Weekly Outlook

投資情報部
2016 年 1 月 28 日(木)
Weekly Outlook
週刊投資情報
CONTENTS
1. 日本株見通しとポイント~日銀金融政策決定会合の結果次第.............................2
2. 米国株見通しとポイント~底値固めの局面 ..........................................................3
3. 円相場見通しとポイント~当面の相場のカギを握る日銀会合 ..............................4
4. 国内経済動向~脆弱さが残存するものの輸出数量に底入れ期待 .......................6
5. 新興国市場・経済動向 ........................................................................................7
6. 過去 2 回の日銀金融緩和前後の日本株とドル円相場 ...................................... 11
7. 海外投資家動向から株価下落の背景を探る .....................................................12
8. 米国株式~米国企業 10-12 月期決算途中経過 ...............................................13
9. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 .......................................................14
10. 向こう 3 ヵ月の主な注目スケジュール ...............................................................15
11. 来週・再来週の主なスケジュール ......................................................................17
1
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
No.239
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
1.日本株見通しとポイント~日銀金融政策決定会合の結果次第
日本株担当: 横山 敦史
21日にECBドラギ総裁が追加緩和を示唆したことに加え、原油価格や人民元が一旦下げ止まったことなど
から投資家心理が改善した。市場では日銀の追加緩和に対する手詰まり感などを指摘する声もあるようだ
が、足元ではマーケットの期待は高まりつつある。内容にもよるが緩和実施となれば、短期的には買い戻し
が優勢となろうが、本格上昇にはもうしばらく時間を要しそうだ。
 リスクオフの巻き戻し進む
図表1. 日経平均と予想配当利回りの推移
先週末以降の日本株市場では、それまでのリスクオ
フの巻き戻しなどによって日経平均が17,000円台を回
復した。21日にECB(欧州中央銀行)理事会の会見でド
ラギ総裁が次回会合での追加緩和を示唆したことなど
から、投資家心理が改善。その後も原油価格が底打ち
の動きを見せたほか、人民元の値動きも落ち着き、徐々
に反発の機会を探る展開へと移りつつある。
日経平均予想配当
利回り(左軸)
2.4
22,000
20,000
日経平均(右軸)
18,000
2.2
16,000
2.0
14,000
1.837%
(15/1/21)
1.8
12,000
1.6
10,000
1.4
一方で、依然として日本株は割安感があり、日経平
均の予想配当利回り(日経予想)は、アベノミクスが始ま
って以来約3年振りの水準まで上昇している(図表1)。
8,000
1.2
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
6,000
16/1 (年/月)
注:予想は日経予想
出所: QUICKよりSMBC日興証券作成
 追加緩和となれば短期的には買い戻し優勢か
図表2. 前回追加緩和時と足元の相場環境比較
目下の注目点は、今日から明日にかけて開かれてい
る日銀の金融政策決定会合だ。市場では日銀の追加
緩和に対する手詰まり感などが指摘されており、今回は
黒田バズーカを温存するとの見方もあるようだ。ただ、足
元ではマーケットの混乱などを受け、追加緩和を期待す
る投資家は多くなっているようだ。
日経平均株価
ドル円
コアCPI
(前年同月比)
WTI原油先物価格
10-12月期GDP見通し
(前期比年率)
改めて前回(2014年10月末)緩和時と足元の相場環
境を比較すると、日経平均は先週16,017円と前回緩和
前の水準に接近したが、為替はまだ円安水準にある
(図表2)。ただ、日銀短観による大企業・製造業の下期
想定為替レートが1ドル=118円であることを考慮すると、
これ以上の円高は業績悪化要因となり、春闘で賃上げ
どころではなくなるだろう。仮に今回の日銀会合で追加
緩和が決定された場合、緩和内容にもよるが、短期的
には買い戻しが優勢となる展開を予想する。しかし、世
界経済の減速懸念が払しょくされるには、もうしばらく時
間を要するものとみられ、上値は限定的となろう。
2014/10/30
15,658.20円
109.18円
2016/1/27
17,163.92円
118.25円
+1.1%(14年8月 )
+0.1%(15年11月)
81.12ドル/バレル
32.30ドル/バレル
+2.26%
+0.63%
2016年夏に
消費再増税判断前
参院選控える
原油安が進行・
人民元安・原油安・
ECBが追加緩和
ECBが緩和示唆
国内政治
海外情勢
注:GDP見通しは14年10月、16年1月のESPフォーキャスト調査のデータ。
CPIは消費増税の影響除く。ドル円は東京時間終値
出所:QUICK、総務省、日本経済研究センターよりSMBC日興証券作成
図表3. 内外需別リビジョン・インデックス(RI)の推移
上方
修正
優位
60
(%)
40
20
0
-20
 世界景気減速懸念を業績予想も織り込み始めた
外需関連業種
下方 -40
修正
優位 -60
足元の相場環境の変動はアナリストによる業績評価
にも影響を及ぼし始めている(図表3)。業績の修正状
況を表すリビジョン・インデックスをみると、外需だけでな
く、内需業種にも下方修正のバイアスがかかり始めた。
株価が先に織り込んだ世界的な景気減速懸念などを後
追いで織り込み始めたものと考えられるが、下方修正の
傾向が続く間は、株価の上値を抑える要因となろう。
内需関連業種
内外需とも
下方修正優位に
-80
-100
14/1
14/5
14/9
15/1
15/5
15/9
16/1
(年/月)
注:RIはTOPIXベースのIBES12ヵ月先予想EPSの修正状況をもとに、
以下の算式で算出し、3週移動平均の推移を図示
RI=(業績予想上方修正数-下方修正数)÷業績予想全修正数×100
出所: DatastreamよりSMBC日興証券作成
2
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(円)
(%)
2.6
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
2.米国株見通しとポイント~底値固めの局面
米国株担当: 河田 剛
1月21日以降の米国株は、米欧の金融政策に対する思惑や、原油価格の変動にともなって値動きの荒い状
態が続いた。FOMCでは3月の利上げの可能性を残したが、市場では年内1回程度の利上げしか織り込ん
でいないため、金融政策が株価を押し上げる可能性は低いと考えられる。一方、2015年10-12月期決算は
直前予想を上回るペースとなっており、業績下振れ懸念の後退で株価は底値を固めよう。
 先週、今週のレビュー~不安定な動きが続く
位に安定しているが、今後の金利動向については注意
する必要があろう。
1月21日の米国株市場は、ECB(欧州中央銀行)のド
ラギ総裁が追加緩和に前向きな姿勢を示したことや、原
油価格が上昇したこと、1月のフィラデルフィア連銀景況
指数が事前予想を上回ったことなどから、ダウ工業株指
数(NYダウ)は前日比+115ドルと反発した。22日は、12
月のシカゴ連銀全米活動指数は事前予想を下回ったも
のの、12月の中古住宅販売件数が事前予想を上回っ
たことや、原油価格の上昇、ECBの追加緩和期待など
からNYダウは+210ドルと続伸した。週明け25日は、原
油価格の下落や、1月のダラス連銀製造業景況指数が
事前予想を下回ったことなどから、NYダウは▲208ドル
となった。26日は、1月のコンファレンスボード消費者信
頼感指数や11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数が
事前予想を上回ったこと、イラクの石油相がサウジやロ
シアの減産拒否姿勢が軟化するのではないかとの発言
を行ったことなどから、NYダウは+282ドルとなった。27
日は、12月の新築住宅販売件数が事前予想を上回り、
原油価格も上昇したが、FOMC(連邦公開市場委員会)
で、ハト派色が特に打ち出されることがなかったことなど
から、NYダウは▲222ドルとなった。
 当面の見通し~底値固めの局面
経済指標では2月1日発表予定の1月のISM製造業
景況指数(事前予想:48.5)、5日発表予定の1月の雇用
統計(事前予想:非農業部門雇用者数、前月比+20.5
万人、民間部門雇用者数、+19.0万人、時間当たり賃金
+0.3%、失業率5.0%)などが注目される。26~27日に開
催されたFOMCの声明文では、前回までの「リスクは均
衡している」という表現が削除され、「世界の経済および
金融の動向を注視する」という文言が加わった。従来よ
りも慎重姿勢をやや強めたとみられるが、3月15~16日の
次回FOMCで利上げを行う可能性は依然残っている。
しかし、FF金利先物から推定される市場の利上げの織
り込み度合いは、2016年中は1回程度にとどまっている
ため、金融政策が目先の株価を押し上げる可能性は低
いとみられる。一方、2015年10-12月期決算は、S&P500
採用企業のうち133社が発表を終えているが(26日時
点)、1株当たり利益は前年同期比▲2.4%と減益ながら
直前予想(▲6.7%、1月8日時点)を上回っている。この
ため、企業業績に対する過度な下振れ懸念が後退し、
株価は底値固めに入っていると考えられる。
不動産市場の動向
事前予想は Bloomberg、2016 年 1 月 27 日 10 時時点のもの
26日に発表された11月のS&P/ケース・シラー住宅価
格指数は、全米20都市ベースで、季節調整前の前年
比が+5.83%と事前予想(+5.69%)を上回り、前年比で
は42ヵ月連続でプラスとなった。前月比では季節調整
図表1. S&Pケース・シラー住宅価格指数の推移
前が+0.1%、季節調整後では+0.9%となり、総じて住宅
(%)
220
価格の回復傾向が続いている。販売、着工については、 60
住宅価格指数(20都市)(右軸)
50
200
22日に発表された12月の中古住宅販売件数は前月比
+14.7%、年率546万件(事前予想:520万件)と事前予
40
180
想を上回った。27日に発表された12月の新築住宅販売
30
160
件数は前月比+10.8%、年率54.4万件(事前予想:50.0
20
140
万件)と事前予想を上回った。20日に発表された12月
10
120
の住宅着工件数は前月比▲2.5%の年率換算114.9万
0
100
件と事前予想(120.0万件)を下回った。販売、着工につ
-10
80
前年同月比(左軸)
いては、2015年年内の暖冬傾向と、1月の寒波によるぶ
-20
60
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年)
れが出る可能性が考えられる。また、現在住宅ローンと
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
金利と連動性が高い長期金利(10年国債利回り)は低
3
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
3.円相場見通しとポイント~当面の相場のカギを握る日銀会合
欧米・為替担当: 本間 英至
ドル円は原油動向に左右されながらもドル買いが優勢となり、一時119円台を回復した。ドル円は依然不安
定な値動きも想定されるが、主要中央銀行が市場動向に配慮する姿勢を示す中、原油価格にも下げ止まり
の兆候が窺えること等を踏まえると、ドル円は引き続き「底値ゾーン」にあるとの見方を継続する。今週末に
日銀金融政策決定会合の結果が発表され、追加緩和の有無および黒田総裁の発言が注目される。
 この1週間(1/21~)のレビュー
通しと雇用市場に対するリスクは概ね均衡」との文言を
削除し、代わりに「国際経済および金融情勢を注意深く
モニターし、雇用市場やインフレへの影響、見通しに対
するリスクバランスへの影響を評価していく」との一文を
新たに挿入した。市場の一部ではよりハト派的な内容を
期待する向きもあったとみられ、声明発表後に米国株が
下落、ドル円も上昇幅を縮小させたが、金融市場の混
乱に一定の配慮を示し、今後の動向次第で利上げ時
期を後ずれさせる可能性も示唆したことは、金融市場に
はプラス材料と素直に位置づけていいとみている。欧米
金融当局の歩調を合わせた金融政策姿勢の変化は、
金融市場の安定化に向けて一歩前進と評価されよう。
ドル円は21日に117円近辺でスタート後、ECB(欧州
中央銀行)のドラギ総裁が3月の追加緩和の可能性を
示唆したことをきっかけにドル高が進行。22日には、日
米株の大幅上昇に連れて118円台後半まで買われた。
週明け25日は原油安を受けてドル売りが優勢となった
が、26日の欧州時間以降は原油の反発を材料にドルは
再び上昇し、27日には一時119円台を回復する場面も
あった。オセアニア通貨は概して原油価格の動向に左
右される展開となり、27日には豪ドル円が84.21円、NZド
ル円が74.78円まで上昇した。ユーロ円も、原油上昇等
を受けたリスク回避色の後退による円買いの巻き戻しに
より、上昇傾向を辿った。(東京時間1/28正午時点)
原油は上下に振れながら下げ止まりの兆しも
加えて、原油価格の動向もドル円の押し上げ要因と
なっている。WTI原油先物価格は年明け以降も軟調に
推移し、1月中旬には30ドル/バレル割れまで下落。下げ
止まらない原油動向が金融市場のリスク回避的な動き
を強め、内外株の下落と共にドル安円高材料となってき
たわけだが、ここにきて下げ止まりの兆候もみせ始めて
いる。背景にあるのは、原油需給の改善期待だ。26日
にはイラク石油相が、サウジアラビアとロシアが供給過
剰対策を巡って歩み寄りの姿勢をみせつつあるとの認
識を表明。翌27日には、ロシアがOPECと協調減産に向
けて協議の意向を固めたと複数のメディアが報じる等、
供給圧力の緩和期待が浮上している。
 ドル円相場の見通しと来週にかけての注目材料
ドル円は一時119円台を回復
ドル円は内外株や原油価格の動向に一喜一憂する
展開が続いているが、一時116円を割り込んだ20日以
降は概してドル買い戻しが優勢の展開となっており、27
日には一時119円台を回復する場面もあった。(図表1)
大きなきっかけはECBの追加緩和示唆
その大きなきっかけとなったのが、ECBの追加緩和姿
勢である。ECBは21日の理事会で政策の据え置きを決
定したが、ドラギ総裁は、新興国経済の先行きや金融
市場・商品市場の大幅な変動、地政学リスクに言及した
上で「3月の理事会で金融スタンスを見直し、恐らく再検
討する必要があるだろう」と言明。「理事会には行動する
能力や意欲、決意がある」と発言する等、3月10日の次
回理事会で一段の金融緩和策に踏み切る可能性を強
く示唆した。昨年12月に追加緩和を実施したばかりの
ECBが、不安定な値動きを続ける金融市場などに配慮
した政策姿勢を示したことを受けて、翌22日に日経平均
株価が前日比900円以上も上昇するなど市場の不安心
理後退をもたらす格好となっている。
図表1. 年明け以降のドル円相場の推移
121
120
119
118
117
FRBも市場に一定の配慮の姿勢
116
一方、26~27日にはFRB(連邦準備制度理事会)が
FOMC(連邦公開市場委員会)を開催。27日に発表さ
れた声明文では、12月声明で記載されていた「景気見
115
1/1
1/5
1/7
1/11
1/13
1/15
2016年
出所:BloombergよりSMBC日興証券作成
4
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(円/米ドル)
1/19
1/21
1/25
1/27
(月/日)
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
また、原油価格の52週前比(≒前年比)の騰落率を
みると、昨年に▲50%を超える下落率を記録(図表2)。
過去を遡ると、1985年以降で▲50%を超えたケースが2
回あるが、原油価格はその後いずれも持ち直している。
加えて、原油価格が下向きの中で騰落率は上向きに転
じる「ダイバージェンス」が発生中。テクニカル分析的に
も、原油相場はそろそろ下げ止まりに転じても不思議で
はない時間帯に入ったといえる。サウジはこれまで減産
に対して強硬な反対姿勢を示してきただけに、依然予
断を許さない状況にある。ただ、多くの産油国が採算面
で厳しい状況に追い込まれている中で、歩み寄りの兆し
が出てきたことは原油下げ止まりに向けて大きなニュー
ス。原油価格の安定化は、金融市場全体の落ち着きを
もたらす大きな材料となるとみられ、今後も産油国関係
者の発言が注目される。
ン」にあるとの認識のもと、時間分散的なドル買いを検
討していい水準にあると考えている。
来週は米雇用統計等重要指標の発表を控える
来週にかけては、月末月初ということもあり米国で重
要経済指標の発表が相次ぐ。29日には10-12月実 質
GDP(速報)が発表される他、5日には1月雇用統計の
発表を控える。製造業活動の停滞が続く中、個人消費
が米国景気の大きなサポート要因となっているだけに、
引き続き堅調な雇用市場が確認できるか注目される。
製造業活動については、28日に12月耐久財受注、2月
1日に1月ISM製造業景況指数が発表される。改善の兆
しの有無を確認したい。また、1日にはFOMC中核メンバ
ーの一人であるフィッシャーFRB副議長が講演を行う。
FOMCでの協議を踏まえた発言が予想され、市場の注
目を集めよう。米国以外では、1日に中国で1月製造業
PMIが発表される。世界の金融市場は以前ほど中国株
や人民元の動向に神経質な反応を示さなくなっている
とはいえ、世界第二位の経済大国の景気動向は投資
環境として重要であることに変わりなく、注目したい。
日銀も協調緩和姿勢に加わるか
こうした中、本日から日銀金融政策決定会合が開催
され、29日に結果が発表される。日銀は、異次元緩和
の実施によりデフレからの明確な脱却と日本経済の好
循環入りに取り組んできたが、その際に重要な役割を担
ってきたのが金融市場であった。しかし、年明け以降の
金融市場は大荒れの様相。とりわけドル円に関しては
一時115円台と、昨年12月調査の日銀短観で示された
今年度下期の大企業製造業の想定為替レートである
118円を一時大きく割り込み、「円安→企業収益押し上
げ→賃上げ→デフレ脱却と日本経済の好循環入り」シ
ナリオが頓挫する可能性が浮上する場面もあった。
図表2. WTI原油先物価格と52週前比の推移
150
550
500
WTI原油先物価格(左軸)
450
100
400
350
50
このような状況の中で迎えた本日の会合。Bloomberg
のエコノミスト調査によると、今回の会合で追加緩和を
見込むのは14%程度と僅かだが、市場内における期待
はもっと強い印象である(図表3)。足元では日本株もド
ル円も持ち直し傾向にあり、一時の危機感は和らいだと
はいえ、何もなければネガティブサプライズが想定され、
日銀はゼロ回答という訳にもいくまい。一段の緩和策が
先送りされたとしても、黒田総裁から先行き緩和の可能
性が示唆されることが予想され、その際は、上述の米欧
に日本も加わった主要先進国の協調的な金融緩和姿
勢が、市場の不安心理の後退をもたらすことが期待され
る。
300
250
(%)
200
0
150
100
-50
50
0
-100
-50
-100
WTI原油先物価格の52週前比(右軸)
-150
-150
85
87
89
91
93
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
(年)
出所:BloombergよりSMBC日興証券作成
図表3. 市場の追加緩和時期予想(42機関調査)
33.3%
31.0%
16.7%
14
7
0
0
0
12月
2017年以降
出所:BloombergよりSMBC日興証券作成
5
追加緩和なし
0
11月
6月
2
9月
4.8%
0
4月
6
13
7月
14.3%
3月
市場の不安心理が払拭されていない中、ドル円は内
外株や原油価格などを睨みながらの神経質な値動きが
今しばらく続くことが予想される。しかし、上述したような
協調的な金融緩和姿勢や原油市場における底固めの
兆しなどを踏まえると、ドル円の先行きを悲観視する必
要はないとみている。前週と同様、ドル円は「底値ゾー
※1/22~27調査
(数)
1月
16
14
12
10
8
6
4
2
0
ドル円は「底値ゾーン」との見方を継続
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(ドル/バレル)
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
4.国内経済動向~脆弱さが残存するものの輸出数量に底入れ期待
日本経済・金利担当: 野村 真司
12月の貿易収支は原数値、季節調整値共に貿易黒字となった。輸出数量は前年比、前月比共に減少。今
後の輸出数量のトレンドを左右するのは海外経済動向である。中国経済は製造業中心に減速感の強い状
態が続くものの、欧米経済は内需主導で底堅さが見込まれ、輸出数量全体の底入れが期待されよう。ただ
品目別でみた場合、建設機械に脆弱さが残る。原油安の影響を受けており引き続き注視が必要だ。
 12月貿易統計(速報値):脆弱さ残る輸出数量
の輸出が減少。米国内の石油関連投資は既にピーク
時の半分まで減少していることから一段の減少余地は
小さいものの、足元も原油価格は下振れリスクを抱えて
おり、引き続き注視が必要である。
12月の貿易収支は+1,402億円(原数値)となり、2ヵ月
ぶりの黒字。輸出入金額共に前年同月比マイナスとな
ったものの、輸入金額の落ち込みが相対的に大きく黒
字に転じた。輸出金額は米国・EU向けを中心に自動車
関連が堅調だったものの、鉄鋼、有機化合物等が足を
引っ張り、前年同月比▲8.0%と3ヵ月連続のマイナス。
また、輸入金額も同▲18.0%(2009年10月以来の大幅
減少)と12ヵ月連続のマイナスで、2ケタ減は4ヵ月連続と
なった。引き続き原油安に加え、暖冬の影響もあり輸入
数量が減ったことも影響し、エネルギー関連(原油、液
化天然ガス等)が下押し要因となっている。なお、季節
調整値でみた貿易収支は+366億円と、東日本大震災
が発生した2011年3月以来56ヵ月連続で赤字が続いた
後、11月に続き2ヵ月連続の黒字を記録した(図表1)。
なお、10-12月の実質輸出は前期比+2.7%、実質輸
入は同▲1.1%となった。10-12月の外需(純輸出)は実
質GDPに対してプラス寄与と想定され、7-9月に続き2四
半期連続のプラス寄与となりそうだ。
図表1. 輸出入金額の伸び率と貿易収支の推移
輸出数量は前年同月比で▲4.4%と6ヵ月連続の減少。
また、前月比(季節調整値)も▲4.4%と3ヵ月ぶりの減少
となった(図表2)。地域別ではアジア向けを中心に米国
向け、EU向けいずれも減少している。
今後の輸出数量のトレンドを占う上でカギを握るのは
やはり海外経済の動きだ。米国経済は、FRB(連邦準備
制度理事会)が9年半ぶりの利上げに踏み切ったとはい
え、依然として緩和的な金融環境にある。改善傾向にあ
る住宅市場と労働市場に支えられ、内需主導で2016年
を通じて2%台の成長を維持する可能性が高い。欧州
経済は、ECB(欧州中央銀行)による量的緩和実施、及
び追加緩和期待に伴う金利低下・ユーロ安、及び原油
安が下支え役となり、加速感は乏しいながらも緩やかな
回復が期待される。焦点はやはり中国経済の動向であ
ろう。引き続き設備投資主導から個人消費主導へと経
済のリバランスが続く中、政策当局が景気下支えに取り
組み、概ね安定した景気パスが期待されるものの、当面
は製造業部門を中心に減速感の強い状態が続く公算
が大きい。以上から、今後の輸出数量は中国向けに過
大な期待はできないものの、欧米向けを下支えに輸出
数量全体でも底入れが期待できよう。ただ、品目別に見
た場合、引き続き脆弱さが残存する。原油安による石油
関連投資の落ち込みから米国向けを中心に建設機械
2010
2011
2012
2013
2014
(前年比、%)
70
60
50
輸入(右軸)
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
-80
-90
-100
-110
2015
(年)
出所: 財務省「貿易統計」よりSMBC日興証券作成
図表2. 輸出数量指数(地域別)の推移
(2010年=100、季節調整値)
120
米国
110
全
全体
100
90
米
アジア
80
EU
70
60
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所: 内閣府「輸出入数量指数」よりSMBC日興証券作成
6
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(億円)
12500
貿易収支
10000
(季節調整値、左軸)
7500
5000
2500
0
-2500
-5000
-7500
-10000
-12500
輸出(右軸)
-15000
-17500
-20000
(年)
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
5.新興国市場・経済動向
新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太
新興国株式市場は、ECBの追加金融緩和期待や原油価格の反発を受けて、先週半ば以降、総じて値を戻
す展開。新興国通貨は対円で総じて急反発となった。リスクオフの起点となった人民元や原油価格が安定し
つつあることや、主要国中銀のハト派スタンスも相まって、年初来の急激なリスクオフの流れにはひとまず歯
止めがかかった可能性が高いとみている。新興国株式や通貨はいったん買い戻しの動きが想定されよう。
 最近の新興国市場の動向
新興国株式市場は、ECB(欧州中央銀行)の追加金
融緩和期待が浮上する中、原油価格が反発するなどリ
スクオフの流れが後退、先週半ば以降、総じて値を戻
す展開となった。直近1週間の株価騰落率(図表1、27
日時点)では、ロシア株が原油価格の反発から+7.2%と
大幅高。一方、中国株は今週初まで比較的安定的に
推移していたものの、26日に上海総合指数が前日比▲
6.4%、翌27日も一時▲4.1%と急落し、27日の終値は
2,735と2014年12月以来の安値を付けた。27日までの一
週間では▲8.1%となった。金融当局の政策運営に対す
る失望等(後述)が売り材料となった。
為替市場でもリスクオフの流れが後退し、円がドルに
対して下落する一方、新興国通貨はドルに対して概ね
堅調となり、対円では総じて急反発となった。直近1週
間の通貨騰落率(図表1、27日時点、対円)では、原油
など商品市況の下落を背景に年初から大きく下げてい
たロシアルーブル(+5.9%)や南アフリカランド(+3.4%)
など資源国通貨の反発が目立っている。一方、ブラジ
ルレアル(+1.2%)は対ドルでは▲0.3%と小幅に下落。
予想外の政策金利据え置き(20日)や28日にも発表が
予定される政府の景気対策に対する警戒感(後述)から
売りに押される場面がみられた。(前田)
図表1. 主な新興国市場の動向
直近値
騰 落 率 (% )
1月 27日
2016年 初 来 2015年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間
株価指数
中国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
為替
上海総合指数
香港ハンセン指数
SENSEX30種指数
韓国総合指数
ジャカルタ総合指数
SET指数
FBM KLCI総合指数
フィリピン総合指数
MICEX指数
イスタンブール100種指数
JSE全株指数
ボベスパ指数
ボルサ指数
2,735.55
19,052.45
24,492.39
1,897.87
4,583.62
1,278.29
1,631.54
6,507.22
1,747.57
72,052.86
47,923.92
38,376.37
42,109.89
▲22.7
▲13.1
▲6.2
▲3.2
▲0.2
▲0.8
▲3.6
▲6.4
▲0.8
0.5
▲5.5
▲11.5
▲2.0
9.4
▲7.2
▲5.0
2.4
▲12.1
▲14.0
▲3.9
▲3.9
26.1
▲16.3
1.9
▲13.3
▲0.4
▲8.1
0.9
1.8
2.8
3.5
2.3
0.8
4.0
7.2
3.5
3.4
1.9
3.1
▲22.6
▲13.1
▲5.9
▲3.4
0.6
▲0.6
▲2.3
▲6.8
0.9
▲3.0
▲6.4
▲12.3
▲3.0
▲19.2
▲16.5
▲8.7
▲6.7
2.5
▲8.0
▲2.1
▲9.5
2.3
▲8.3
▲10.3
▲15.9
▲5.7
▲18.4
▲23.2
▲17.2
▲2.8
▲13.1
▲19.6
▲9.5
▲14.7
4.4
▲21.0
▲5.5
▲21.0
▲1.2
▲2.7
▲4.1
▲4.0
▲1.9
▲1.0
▲0.8
▲3.6
▲7.6
▲4.1
▲7.2
▲4.9
▲8.1
▲4.0
▲4.2
▲6.6
▲9.7
▲8.3
▲18.0
▲4.0
▲20.1
▲19.7
▲24.9
▲32.6
▲13.8
1.7
1.3
1.5
2.0
2.5
5.2
2.1
5.9
2.8
3.4
1.2
1.8
▲2.9
▲4.2
▲4.7
▲3.1
▲1.0
▲0.9
▲3.2
▲8.7
▲4.6
▲8.3
▲7.4
▲7.9
▲5.5
▲6.0
▲7.4
▲3.8
▲2.7
▲1.0
▲3.8
▲19.1
▲4.2
▲17.3
▲8.2
▲11.8
▲4.6
▲9.2
▲10.2
▲9.5
▲8.9
▲15.3
▲7.7
▲12.6
▲20.8
▲29.1
▲36.9
▲20.3
※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高
中 国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
円/人民元
円/インドルピー
円/韓国ウォン(x100)
円/ルピア(x100)
円/バーツ
円/リンギ
円/フィリピンペソ
円/ルーブル
円/トルコリラ
円/ランド
円/レアル
円/メキシコペソ
18.01
1.74
9.81
0.85
3.30
27.79
2.47
1.52
39.49
7.21
28.88
6.42
注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
7
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
 新興国市場関連トピック
2015年は世界経済およびインドネシア経済がいずれ
も減速する中で、直接投資の伸びは2014年の+13.5%
を上回っており、堅調であったと評価できよう。2015年9
月以降、政府は投資誘致等を目指した経済政策パッケ
ージを相次ぎ打ち出すなど積極的な取り組みを見せて
おり、直接投資を一段と後押しすることが期待される。
(山本)
中国~上海総合指数は2014年12月以来の安値
上海総合指数は26日に前日比▲6.4%、翌27日も一
時▲4.1%と急落した。27日は政府による買い支えがあ
ったとみられ、終値では▲0.5%の2,735と下げ幅を縮小
したが、2014年12月以来の安値となった。
株価急落の背景としては、根強い景気減速懸念に加
え、金融当局の政策運営への不信感等も挙げられる。
春節(2/7~13)前の資金需要等に対応し、リバースレポ
等を活用した市場への流動性供給を実施したものの、
より強力な流動性供給手段である預金準備率の引き下
げを見送っていることが株式市場の失望につながったと
みられる。
図表3. 対インドネシア海外直接投資(FDI)
(兆ルピア)
400
350
300
250
200
150
なお、当局が預金準備率の引き下げを見送っている
背景としては、これが市中金利の低下につながり、資本
流出に拍車をかけるリスクを懸念したことが考えられる。
人民元安が継続する中では、上述のように金融政策の
自由度が制約されることが予想され、景気の下振れ懸
念から株価は当面下押しされやすい展開が続こう。
(白岩)
100
50
0
2010
2014
2015
(年)
最大野党ゴルカル党のバクリ派は25日、連立与党へ
の参加を表明した。ゴルカル党では、バクリ氏とアグン
氏をそれぞれ支持するグループによる内紛が続いてお
り、両グループが「党大会」でそれぞれバクリ氏とアグン
氏を党首に選出する事態となっている。
5500
5000
4500
2014年10月に発足したジョコ政権は、国会での与党
の議席が過半数に満たず、少数与党でのスタートを余
儀なくされていた。その後、2015年9月に国民信託党が
与党入りしたことから、ジョコ政権は与党の過半数獲得
に成功している。ゴルカル党バクリ派の与党入りは、政
権基盤を一段と強めるものといえよう。(山本)
4000
3500
3000
2500
15/7
2013
インドネシア~ゴルカル党バクリ派が与党入りを表明
(1990年12月19日=100)
15/4
2012
出所: インドネシア投資調整庁(BKPM)よりSMBC日興証券作成
図表2. 上海総合指数の推移
15/1
2011
15/10
16/1
(年/ 月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
インド~フランスが5年で100億ドルの投資を表明
インドネシア~海外からの直接投資は堅調な伸び
フランスのオランド大統領は25日、インドの首都ニュ
ーデリーでモディ首相と会談、テロ対策での連携強化で
一致したほか、長年の懸案となっていたフランス戦闘機
ラファール36機の売却について合意に達した。一方、オ
ランド大統領訪印に同行したサパン財務相は25日、フラ
ンス企業が過去5年間にインドで年10億ドル以上の投資
を行ったとした上で、向こう5年間で少なくとも100億ドル
の投資を行う見通しを明らかにした。
インドネシア投資調整庁(BKPM)は21日、2015年の
海外からの直接投資(石油ガス、金融等を除く)が前年
比 +19.2%の365.9兆 ルピア(263.2億 ドル)と目標 値の
343.7兆ルピアを上回ったと発表した。投資先の業種別
比 率 ( 米 ド ル ベ ー ス ) で は 、 2014 年 に 比 べ て 製 造 業
(45.6%→40.2%)や鉱業(16.4%→13.7%)が低下した一
方、サービス業(29.9%→38.5%)は上昇した。商品市況
の低迷を背景に鉱業は4年連続で、製造業も2年連続
で比率が低下した一方、サービス業は2年連続の上昇と
なっている。
また、オランド大統領は26日、軍事パレードなど「共
和国記念日」の式典に主賓として出席した。インドでは
毎年、共和国記念日に外国の首脳が主賓として招かれ
8
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
ており、式典への招待は外国首脳に対する最高の栄誉
とされる。2014年には日本の安倍首相、2015年にはオ
バマ米大統領が招かれている。
金融政策への不信感が通貨リラの下押し要因となる展
開が当面は続くとみられる。(前田)
図表5. トルコの政策金利と市中金利
2014年に就任したモディ首相は、「メイク・イン・インデ
ィア(Make in India)」をスローガンに日米欧中などへ積
極的な経済外交を展開。また、防衛産業や保険業など
様々な業種で外資規制を緩和するなど投資誘致に注
力している。海外からの対印直接投資は2014年に前年
比で3年ぶりに増加(+30.6%)し、2015年も9月までの累
計で+19.4%と高い伸びを示しており、モディ政権の取り
組みは成果を挙げているといえよう。(山本)
14
主要政策金利(1週間物レポ金利)
市中金利(翌日物銀行間金利)
12
10
8
6
4
2
金利コリドー(グレー部分)
:市中金利の誘導目標、上限が翌日物貸出金利・下限が翌日物借入金利
0
図表4. 対インド海外直接投資(FDI)
35,000
(%)
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
(百万ドル)
16/1
(年/月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
30,000
25,000
ブラジル~昨年の経常収支はGDP比▲3.3%に改善
20,000
26日に発表された12月の経常収支は▲24.6億ドル
(Bloombergの市場予想:▲25.0億ドル)と、前年同月の
▲116.5億ドルから赤字額が大きく縮小した。レアル安
や景気の悪化、原油価格の下落(ブラジルは原油の純
輸入国)が経常収支の改善に寄与している。2015年通
年でも▲589億ドル(GDP比▲3.3%)と2014年の▲1,042
億ドル(GDP比▲4.3%)から改善しており、経常収支赤
字に起因するレアル売り圧力は低下しつつあるといえよ
う。(武田)
15,000
10,000
5,000
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(年)
出所: CEIC、インド商工省よりSMBC日興証券作成
トルコ~中銀はインフレ見通しを大幅に上方修正
図表6. ブラジルの経常収支対GDP比
トルコ中央銀行は26日、四半期インフレ報告を公表。
2016年末のインフレ見通しを前年比+7.5%と10月公表
時の+6.5%から大幅に上方修正した(インフレターゲット
は+5%±2%)。中銀は同報告で、原油価格の下落はイ
ンフレ押し下げ効果をもたらす一方、最低賃金の大幅
引き上げ(+30%)や公共料金の引き上げ等をインフレ
見通し悪化の主因として指摘。また、2017年末も+6.0%
(10月公表時:+5.5%)に上方修正した。
0.0
▲ 1.0
▲ 2.0
▲ 3.0
一方、今後の金融政策については、「引き締め的な
金融政策スタンスを維持する」と従来の姿勢を繰り返す
にとどめた。その上で、現在の金融政策の枠組みは「世
界的に市場のボラティリティが高いときに為替変動の抑
制に寄与する」との見解を示しており、当面は政策変更
を先送りする可能性を示唆した。
▲ 4.0
▲ 5.0
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
(年/月)
注: データは2015年12月まで。但し、10年11月までは旧統計を使用
出所: CEICおよびブラジル中銀よりSMBC日興証券作成
トルコ中銀は昨年12月に予想に反して政策金利を据
え置いた後、今年1月も据え置きを続けている。インフレ
見通しが悪化する中でも、中銀は利上げに対し消極的
姿勢を強めていることが徐々に明らかになりつつあり、
9
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(%、対GDP比、12ヵ月移動平均)
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
 来週にかけてのスケジュールと見通し
金利据え置きでも、声明文の内容次第では利下げ期待
が株価のサポート要因となる可能性もあろう。
年明け以降のリスクオフのきっかけとなった人民元と
原油価格の急落のうち、人民元については先週時点で
既に安定化していたが、ここにきて原油についてもよう
やく安定化の気配が見えつつある。
トルコでは、本日28日に12月外国人観光客数の発表
が予定されている。トルコによるロシア軍機撃墜(11月24
日)に対する制裁の一環として、ロシアは国内旅行会社
のトルコ向けツアー販売禁止等を決定した。トルコの外
国人観光客に占めるロシア人の割合は高く、対外収支
の面からは観光収入の重要度は非常に大きいだけに、
観光客の動向は注目される。この他、29日に12月貿易
収支、3日に1月消費者物価指数等が発表される予定。
一方、年明け以降のリスクオフの伏線には、市場の失
望を招いた昨年12月のECB(欧州中央銀行)や日銀の
金融政策決定に加え、年明け以降のFRB(連邦準備制
度理事会)関係者のタカ派的な発言等もあったと考えて
いる。この点については、ECBが追加緩和を示唆(21
日)、FRBも今後の金融政策にあたって金融市場の動
向を考慮する姿勢をにじませており(27日)、主要国の
金融政策に対する市場の懸念も徐々に後退しつつある
とみている。29日には日銀の金融政策決定会合の結果
が明らかとなり、その内容次第では一段とリスクオフが和
らぐ可能性もあろう。
南アフリカでは、本日28日に金融政策委員会が予定
されている。中銀は従来から通貨安を大きなインフレリス
ク要因として指摘しており、年初からの大幅なランド安も
考慮すると、利上げの可能性が高いとみられる。市場で
は0.50%ptの利上げが予想されているものの、クガニャ
ゴ総裁は20日、低成長が続く国内経済に言及しながら、
「0.25%ptの利上げでも小さくない」と述べ、大幅な利上
げには否定的な見解を示した。市場では小幅な利上げ
にとどまる可能性をある程度織り込みつつあるとみられ
るが、実際に0.25%ptの利上げにとどまれば、ネガティブ
な反応も予想される。
総じてみると、なお不安定さは残しつつも、年初来の
急激なリスクオフの流れにはひとまず歯止めがかかった
可能性が高いとみている。新興国株式や通貨は年明け
以降一様に売られているだけに、リスクオフ一巡後はい
ったん買い戻しの動きが想定されよう。
ブラジルでは、28日にも発表されるとみられる景気対
策策の内容が注目される。報道によれば、中小企業向
けの貸出拡大策に加え、建設資材購入や住宅修復の
ための貸出支援策等が検討されている模様。これらは
は景気の下支えとなる一方で、財政収支の悪化やイン
フレ率の上振れにつながるリスクも想定される。市場で
はこうしたリスクはある程度織り込み済みとみられるが、
対策の内容次第ではレアルが一段と売られる可能性が
あろう。
なお、各新興国の来週にかけての注目ポイントは以
下の通り。
中国では、2月初めに中国物流購入連合会および財
新による1月の購買担当者指数(PMI)が発表される(財
新のサービス業およびコンポジットPMIは3日、他は1日
発表)。市場予想では、製造業PMIについていずれも若
干の鈍化がコンセンサスとなっているが、予想を大幅に
下回れば、株価は再び急落する可能性もあろう。
インドネシアでは、2月1日に1月の消費者物価指数
(CPI)が発表される。インドネシア銀行は1月14日、11ヵ
月ぶりの利下げに踏み切っており、国債市場では12月
下旬以降、利下げ期待を背景とした外国人による買い
が目立っている。債券市場への資金流入は通貨ルピア
のサポート要因にもなっており、CPIの発表を受けて追
加利下げ期待が高まれば、ルピアの買い材料となろう。
メキシコでは、原油価格の動向に加え、29日に期限
を迎えるペソ買いドル売り為替介入プログラムの行方、
さらに4日に予定される金融政策の結果等が注目される。
メキシコ中銀はかねてより米国に追随した利上げを基本
方針とすることを示唆しており、今回は据え置きの可能
性が高いと予想される。ただ、通貨ペソが今後一段と下
落する場合は追加利上げに踏み切る可能性もあろう。
インドでは、2月2日に金融政策が決定される。インド
準備銀行(中央銀行、RBI)は2015年に計4回(1~9月)、
累計で1.25%ptの利下げを実施しており、引き続き追加
利下げの可能性を探るとみられる。一方で、過去の利
下げ効果や2月末に明らかとなる政府予算案を見極め
たいとのRBIの意向も想定され、今回は政策金利据え
置きの可能性が高いと考えている。株式市場では、この
ところ国内の手掛かり材料難が続いていただけに、政策
10
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
この他、29日には10-12月の実質GDPが発表される。
政府の原油収入減少に伴う公共投資の削減がこのとこ
ろ景気の下押し要因となっており、この点からも原油価
格の動向に改めて注目が集まろう。
(山本、白岩、武田、前田)
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
6.過去2回の日銀金融緩和前後の日本株とドル円相場
日本株担当: 母良田 剛
21日のECB理事会を機に、今回の日銀の金融政策決定会合での金融緩和期待が盛り上がり始めている。
アベノミクス下における過去2回の緩和局面では日経平均は大幅に上昇し、為替は大きくドル高・円安に動
いた。仮に今回は決定が見送られたとしても、3月あるいは4月の政策会合での金融緩和の期待はくすぶり
続けるため、「反動安」は限定的となろう。
 今週の日銀金融政策会合で追加緩和はあるか
図表1. 過去2回の金融緩和前後の日経平均
今週28~29日に日銀の金融政策決定会合が開催さ
れている。 当初の事前予想では「4月会合説」の見方が強
19,000
(円)
<前回>
18,000
かったものの、21日のECB(欧州中央銀行)理事会でドラ
ギ総裁が3月10日の政策委員会での景気刺激策強化の
可能性を示唆したことから、今回の日銀会合での緩和期
待が盛り上がりつつある 。アベノミクス下における過去2回
17,000
16,000
約2300円
15,000
(2013年4月4日、2014年10月31日)の金融緩和局面で
は、発表日前日に比べて、1~2ヵ月で日経平均はそれ
ぞれ約3,300円、約2,300円上昇し、為替はそれぞれ約
10円、約12円、円安・ドル高に動いた。今回は、ECB理
事 会 の あ った 21 日 か ら 28 日 ま で に 日 経 平 均 は 一 時
1,000円以上買われており、ある程度の緩和は織り込ん
だとも考えられるが、ドル円はまだ1円強しか円安に動い
ておらず(図表3)、日本株についてもさらなる上昇の余地
14,000
13,000
約3300円
12,000
<前々回>
11,000
10,000
-20
-15
-10
-5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
(営業日)
図表2. 過去2回の金融緩和前後のドル円
(円/ドル)
125
が残されている可能性はある。また、緩和がない場合でも
「3月か4月での緩和」について黒田総裁が可能性を否定
しなければ、失望売りは限定的となろう。
<前回>
120
115
 緩和が決定された場合の物色対象は
約12円
110
出所: 図表1~3ともにBloombergよりSMBC日興証券作成
11
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
1月27日
1月25日
1月23日
1月21日
1月19日
1月17日
1月15日
1月13日
1月11日
1月9日
1月7日
1月5日
1月3日
1月1日
12月30日
経験則では、金融緩和(特にサプライズのある場合)
105
<前々回>
によって短期的に物色されるのは「出遅れの修正」であ
100
る。すなわち、それまでにパフォーマンスが悪かった高
95
ベータ(=市場感応度が高い)銘柄が大きくリバウンドす
約10円
90
るケースが多い。過去2回の緩和局面において、ともに
-20 -15 -10 -5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
(営業日)
TOPIXを上回って上昇した主なセクターは、証券、海運、
ガラス・土石、保険、鉄鋼などとなっている。意外なこと
図表3. 昨年末以来の日経平均とドル円の推移
に、大幅な円安になったにも関わらず、輸送用機器や
(円)
(円/ドル)
19,500
120.5
電気機器、精密といった外需関連株は、“1勝1敗”とな
日経平均(左軸)
19,000
120.0
ドル円(右軸)
っている。また、金融緩和のメリットがあると思われる不
18,500
119.5
動産も“1勝1敗”である。両局面ともにアンダーパフォー
18,000
119.0
17,500
118.5
ムしたセクターは石油、鉱業、医薬品、卸売業、小売業
17,000
118.0
などとなっている。足元の過去1ヵ月でTOPIXをアンダー
16,500
117.5
パフォームしているのは、エネルギー・資源安による石
16,000
117.0
油や鉱業、また円高による電気機器、機械、加えて証
15,500
116.5
券や海運業、不動産も下落率上位に入っている。もし
(月/日)
金融緩和が決定した場合、今回も前述の通り、証券、
海運業や、円安メリットのある外需セクターの一部などが 注: 図表1~2は追加緩和発表前日を0とする。日経平均、ドル円の上昇幅
は、発表日前日との比較
短期的に物色されるのではないだろうか。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
7.海外投資家動向から株価下落の背景を探る
日本株担当: 母良田 剛
年初来で日経平均は一時、3,000円以上下落したが、この間、個人投資家が大幅に買い越している一方で、
売りの主体は海外投資家となっている。この中でもCTAと呼ばれるタイプのヘッジファンドが、下げ相場に乗
じて高パフォーマンスを挙げている。彼らの運用手法を鑑みれば、実態以上に市場が売られている可能性
があり、いったん反転すれば投資家心理の好転につながるだろう。
 投資資金は世界的に安全資産へ逃避しているが…
図表1. 米国個人投資家センチメント
東京証券取引所が発表している投資部門別売買動
向によると、1月4日~22日の期間、個人投資家が大幅に
買い越している一方で、売り手の主体は海外投資家と
なっている。海外投資家による売却の主な理由の1つと
して、中国株式市場が影響している。株価急落により取
引停止などの一時的な緊急措置を取ったためにファン
ドの解約などに対応できず、アジア株式市場の中で規
模が大きく流動性も高い日本株を代わりに売却したと思
われる。また、原油価格の下落に伴い、産油国の運用
資金は海外資産の売却に向かっているとみられており、
ここでも時価総額が大きい日本株市場は売却対象にな
った可能性が高い。さらに言えば、急落した中国株やエ
ネルギー・資源株の損失をカバーするために、相対的
にパフォーマンスの良好な日本株を同時に売却せざる
をえなかったという事情もあろう。
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
強気 - 弱気
-40
11/1/20 11/7/20 12/1/20 12/7/20 13/1/20 13/7/20 14/1/20 14/7/20 15/1/20 15/7/20 16/1/20
(年/月/日)
図表2. 米国MMF残高
(10億ドル)
2,800
2,750
世界的な株価急落で、米国の個人投資家の株式へ
の投資意欲は2年10ヵ月ぶりの弱気水準に転じている
(図表1)。また、これに伴い、安全資産とみられるMMF
の残高は過去5年間の最高水準近くにまで増加してい
る(図表2)。逆に言えば、投資家のセンチメントが改善し
た場合には、MMFに逃避している資金が再び株式市
場に戻ってくることが期待できよう。
2,700
2,650
2,600
2,550
2,500
こ の よ う な 環 境 の 中 、 CTA ( Commodity Trading
(年/月/日)
11/2/2
12/2/2
13/2/2
14/2/2
15/2/2
Advisor、商品投資顧問)と呼ばれるタイプのヘッジファ
図表3. CTAヘッジファンドのパフォーマンスと原油価格
ンドは原油価格が下がる中でも好パフォーマンスを維持
(ポイント)
(ドル/バレル)
している(図表3)。CTAは商品先物、通貨、株価指数先
1,650
20
30
物などの金融商品に投資し、相場の上昇局面では買い、
1,600
40
下落局面では売るという、相場の流れに追随(トレンドフ
50
ォロー)して利益を確保する戦略をとっている。彼らの運
1,550
60
用手法を踏まえれば、売りが売りを誘い、実態以上に原
70
油が売られている可能性があろう。原油が底打ちすれ
1,500
80
ば、空売りポジションの買い戻しを行うことで原油価格の
90
1,450
上昇に拍車がかかり、投資家心理の好転につながるた
CTAファンド(左軸)
100
め、株式市場にも追い風が吹くのではないか。WTI原
WTI原油先物(右、逆軸)
1,400
110
油価格は1月20日に安値をつけて以降、底値固めの気
14/1/24 14/4/24 14/7/24 14/10/24 15/1/24 15/4/24 15/7/24 15/10/24
(年/月/日)
配もある。主要産油国の減産協議に向けた観測報道も
出所: 図表1~3ともにBloombergよりSMBC日興証券作成
あり、CTAの「売り疲れ」に期待したいところだ。
12
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
8.米国株式~米国企業10-12月期決算途中経過
米国株担当: 河田 剛
米国企業の2015年10-12月期決算は1月27日時点でS&P500指数採用企業のうち133社が発表を終えて
いるが、全産業の1株当たり利益は前年同期比▲2.4%と直前予想(▲6.7%)を上回っている。ただ、発表企
業数が少ないため、最終結果は今度変動する可能性がある。2016年1-3月期も減益予想となっており、増
益に転じるのは2016年4-6月期以降となろう。
 10-12月期は減益見通し、増益転換は2016年4-6
月期以降に
のの、エネルギー除くは下回っている。ただし、売上に
ついても今後変動するものと考えられる。
米国企業の2015年10-12月期(Q4)決算は1月27日
時点でS&P500指数採用企業のうち133社(26.6%)が発
表を終えているが、全産業の1株当たり利益(EPS)は前
年同期比▲2.4%と直前予想(▲6.7%、1月8日時点の
Bloomberg集計、以下同じ)を上回っている。また、金融
除くベースは▲2.6%(直前予想▲7.5%)、エネルギー除
くベースは▲0.7%(直前予想▲1.2%)となっている。た
だし、発表企業数がまだ少ないため、最終的結果は今
後変動する可能性が高いと考えられる。セクター別の1
株当たり利益では、耐久消費財(+13.1%)、非耐久消費
財(+12.5%)などが好調な伸びとなっている。一方、エネ
ルギー(▲68.1%)、素材(▲67.4%)、金融(▲2.1%)、
情報テクノロジー(▲5.1%)、ヘルスケア(▲0.4%)など
が減益ペースとなっている。
2016年1-3月期(Q1)については、エネルギー、素材
セクターなどが足を引っ張る形で、全産業が▲2.5%と減
益が続く見通しになっている。増益に転じるのは2016年
4-6月期(Q2)以降となろう。
売上高については、全産業が▲0.1%、金融除くが▲
0.8%、エネルギー除くが+1.1%となっている。直前予想
(全産業:同▲3.1%、金融除く▲3.6%、エネルギー除く
+1.2%)に対しては、全産業、金融除くは上回っているも
図表1. S&P500採用企業セクター別収益動向
(1月27日時点)
1株当たり利益(EPS)予想増益率(前年比)
既発表率 暫定実績
(前年比)
Q4/15
S&P500
S&P500(金融除く)
S&P500(エネルギー除く)
耐久消費財
非耐久消費財
エネルギー
金融
ヘルスケア
工業(資本財)
情報テクノロジー
素材
通信サービス
公益
26.6%
23.2%
27.8%
15.5%
18.4%
12.5%
42.5%
19.6%
39.4%
39.7%
18.5%
40.0%
0.0%
▲2.4%
▲2.6%
▲0.7%
13.1%
12.5%
▲68.1%
▲2.1%
▲0.4%
2.7%
▲5.1%
▲67.4%
28.3%
na
Q1/16
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
13
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
Q2/16
Q3/16
▲2.5%
1.9%
7.4%
▲2.1%
2.6%
5.9%
0.8%
4.1%
9.0%
12.8% 12.5% 11.2%
2.2%
1.9%
7.4%
▲63.5% ▲40.4% ▲24.6%
▲4.1% ▲0.7% 14.1%
6.8%
5.6%
8.4%
▲3.1%
4.3%
4.4%
▲2.6%
5.0%
9.7%
▲7.5% ▲3.8% 11.6%
11.8%
7.7% ▲3.3%
0.1%
4.6%
4.1%
2016
2017
▲0.4%
4.8%
▲1.1%
4.6%
6.6%
6.4%
10.7% 11.1%
▲0.8%
5.8%
▲60.1% ▲31.5%
2.3%
5.7%
16.0% 10.6%
▲0.2%
3.2%
11.5%
4.8%
▲8.1%
4.8%
20.6%
2.6%
1.7%
3.7%
2015
12.9%
13.6%
10.8%
14.0%
7.7%
85.9%
9.9%
11.9%
10.3%
12.1%
16.2%
3.7%
3.6%
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
9.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
日本株担当: 溝渕 彩乃
2016年に入り、日本株は下落傾向が続いていたが、ECBによる追加緩和期待や原油価格がやや反発して
いることなどから、先週末以降底打ちの動きがみられる。一時、「売られ過ぎ」の水準を示していた日経平均
ストキャスティクスをみても、急上昇している。ただ、東証一部25日騰落レシオは依然「売られ過ぎ」の水準を
示しており、テクニカル指標によってもまちまちのようだ。日本株の本格的な底打ちはまだ先と言えよう。
図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
【国内主要株価指数】
110
(150日前を100として指数化)
105
【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】
(pt)
1,850
0.7
1,800
100
(%)
0.6
日本10年物国債利回り(右軸)
1,750
0.5
90
1,700
0.4
85
1,650
0.3
1,600
0.2
95
80
75
日経平均
日経JASDAQ指数
70
65
6/17
7/17
8/16
9/15
1/13(年/月)
6/17
2016年
【日経平均と25日移動平均・乖離率】
(円)
(%)
21,000
7/17
8/16
0
9/15 10/15 11/14 12/14 1/13 (年/月)
2016年
2015年
20
23,000
10
(円)
【日経平均と100日移動平均・乖離率】
(%)
日経平均株価(左軸)
15
日経平均株価
(左軸)
25日移動平均(左軸)
0.1
東証REIT指数(左軸)
1,500
10/15 11/14 12/14
2015年
23,000
1,550
東証マザーズ指数
21,000
15
10
100日移動平均(左軸)
5
19,000
20
5
19,000
0
-5
17,000
25日移動平均乖離率
(右軸)
15,000
6/17
7/17
8/16
(円)
-5
17,000
100日移動平均乖離率
(右軸)
-10
-15 15,000
9/15 10/15 11/14 12/14 1/13 (年/月)
6/17
2015年
23,000
0
7/17
【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】
2016年
【日経平均 ストキャスティクス(9日)】
(円)
300 23,000
250
21,000
-15
9/15 10/15 11/14 12/14 1/13(年/月)
2015年
2016年
日経平均株価(左軸)
東証一部25日騰落レシオ(右軸)
8/16
-10
300
日経平均株価(左軸)
%D(右軸)
Slow %D(右軸)
21,000
250
200
200
(%)
19,000
19,000
150
100
120%ライン
17,000
(%)
80%ライン
150
100
17,000
70%ライン
15,000
6/17
2015年
7/17
8/16
50
20%ライン
50
15,000
9/15 10/15 11/14 12/14 1/13(年/月)
6/17
2015年
2016年
7/17
8/16
0
9/15 10/15 11/14 12/14 1/13(年/月)
2016年
注: データは2016年1月27 日まで
出所: 各図表ともQUICKよりSMBC日興証券作成
テクニカル指標の見方
 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買
われ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。
 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。
%D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均)
Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。
14
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
10.向こう3ヵ月の主な注目スケジュール
欧米・為替担当: 龍 翔太
国内では、2月に10-12月期GDP発表、3月に春闘の集中回答日などが予定されている。春闘の集中回答
日は、年初からの円高が企業収益を圧迫する中、アベノミクスの成果が賃金上昇につながるかどうか注目
されよう。海外では、2月に米大統領選の予備選挙が始まる他、3月にFOMC等が予定されている。米大統
領選挙はヒラリー氏が有力とされつつも、依然不透明な状況にあり、今後の行方に注目したい。
<向こう3ヵ月の主な注目スケジュール①>
2月
1日
4日
7日
8日
9日
10日
11日
12日
14日
15日
18日
22日
26日
月内
・ アイオワ州党員集会(米大統領選本格スタート)
・ 経産省が「高度外国人材」の受け入れに関する報告書を
・ TPP(環太平洋パートナーシップ)参加12ヵ国協定署 取りまとめ
名(NZ、オークランド)
・ おおさか維新の会党大会(大阪市)
・ 京都市長選投開票
・ 中国春節(旧正月、祝休日は7~13日)
・ 米国大統領2017年度予算教書を公表
・ ニューハンプシャー州予備選挙
・ イエレンFRB議長による半期議会証言(下院)
・ 東京市場休場(建国記念の日)
・ イエレンFRB議長による半期議会証言(上院)
・ 第52回ミュンヘン安全保障会議(独ミュンヘン、~14日)
・ ポルトガル大統領選第2回投票
・ 10-12月期GDP(1次速報)
・ 米国市場休場(大統領の日)
・ EU首脳会議(~19日、ブリュッセル)
・ 世界最大の携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス
2016」(スペイン・バルセロナ、~25日)
・ 竹島の日
・ G20財務相・中央銀行総裁会議(上海、~27日)
3月
1日
5日
8日
10日
13日
14日
15日
16日
21日
25日
26日
27日
31日
月内
・ 米スーパーチューズデー(党員集会、予備選集中日)
・ 全国人民代表大会(中国、~中旬まで)
・ 10-12月期GDP(2次速報)
・ ECB(欧州中央銀行)理事会
・ 自民党大会
・ 日銀金融政策決定会合(~15日)
・ 欧州最大のIT見本市「CeBIT」(独ハノーバー、~18日)
・ FOMC(米連邦公開市場委員会、~16日)
・ 春季労使交渉(春闘)集中回答日
・ 東京市場休場(春分の日の振替休日)
・ 米国市場休場(聖金曜日)
・ 北海道新幹線開業(新青森-新函館北斗間)
・ 熊本県知事選投開票
・ 核安全保障サミット(ワシントン、~4月1日)
・ 経産省、2030年時の産業構造を占める「新産業構造
ビジョン」を策定予定
・ イラン国会選挙
・ 2016年度予算案成立(下旬)
・ TPP協定案・関連法案審議入り(下旬)
・ 「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が観光戦略
策定
出所: 各種報道等をもとにSMBC日興証券作成。特に断りがない限り日本。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
15
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
<向こう3ヵ月の主な注目スケジュール②>
4月
1日
7日
10日
13日
15日
16日
21日
22日
23日
25日
26日
27日
29日
30日
月内
・ 法人実効税率引き下げ見通し(32.11→29.97%)
・ 電力小売り完全自由化
・ ジュニアNISA開始
・ 3月日銀短観
・ 女性活躍推進法が施行
・ 16年度の診療報酬・薬価改定の適用
・ 第57回IDB(米州開発銀行)年次総会(~10日)
・ G7外相会合(広島市)(~11日)
・ 韓国総選挙
・ IMF(国際通貨基金)・世銀春季総会(~17日)
・ 第33回 国際通貨金融委員会(IMFC、~16日)
・ 第93回 世銀・IMF合同開発委員会
・ ECB(欧州中央銀行)理事会
・ G7首脳会議の関連行事「ジュニアサミット」(三重県桑名
市ほか、~28日)
・ G7農相会合(新潟市、~24日)
・ 世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」(独ハノー
バー、~29日)
・ FOMC(米連邦公開市場委員会、~27日)
・ 日銀金融政策決定会合(~28日、展望レポート公
表)
・ 東京市場休場(昭和の日)
・ G7情報通信相会合(高松市、~30日)
・ 安倍総理訪欧(~5月5日)
・ 第33回 国際通貨金融委員会(IMFC)(ワシントンD.C.)
・ IMF(国際通貨基金)世界経済見通しを発表
・ 首都圏の高速道路料金が原則距離制に統一
・ 大阪府が国家戦略特区の特例を使い一般住宅に旅行者
を泊める「民泊」のうち条例に沿って認定した施設を受け
付け
出所: 各種報道等をもとにSMBC日興証券作成。特に断りがない限り日本。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
16
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
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Weekly Outlook No.239
11.来週・再来週の主なスケジュール
<来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
米国
2月 1日 (月 )
ユーロ圏
英国
中国
2月 2日 (火 )
インドネシア
日本
米国
ユーロ圏
豪州
インド
ブラジル
日本
米国
2月 3日 (水 )
ユーロ圏
豪州
NZ
2月 4日 (木 )
トルコ
-
日本
米国
英国
メキシコ
日本
米国
2月 5日 (金 )
英国
豪州
インドネシア
ロシア
ブラジル
市場予想 前月・ 前期・ 前年
1月
10-12月期
-
12月
12月
12月
1月
10-12月期
1月
1月
1月
1月
1月
10-12月期
1月
12月
-
-
-
12月
-
10-12月期
1月
1月
12月
1月
12月
10-12月期
10-12月期
1月
-
10-12月期
12月
-
-
12月
12月
10-12月期
12月
1月
1月
1月
1月
12月
10-12月期
2015年
1月
1月
新車販売台数(除く軽自動車、前年比)
新日鉄住決算
アイオワ州党員集会(米大統領選本格スタート)
個人消費デフレータ(食品・ エ ネルギ ーを除く 、 前年比)
個人所得(前月比)
個人支出(前月比)
ISM製 造 業 景 況 指 数
アルファベット決算
製造業PMI(確報、前回値は速報値)
製造業PMI
製 造 業 PMI
非製造業PMI
消費者物価指数(前年比)
三菱電、NTTデータ決算
自動車販売台数(年換算)
失業率
政策金利
政策金利 (レポレート)
(リバースレポレート)
鉱工業生産(前月比)
黒田日銀総裁、きさらぎ会の例会で講演
日触媒、デンソー、東武決算
ADP雇用統計( 前月比)
ISM非製造業景況指数(総合)
小売売上高(前月比)
サービス業PMI(確報、前回値は速報値)
貿易収支
失業率
就業者数(前期比)
消費者物価指数(前年比)
TPP参加12ヵ国で協定に署名( NZ、 オークランド)
スクエニHD決算
製造業受注(前月比)
政策金利
政策金利
景気一致CI指数(速報)
景気先行C I指数( 速報)
博報堂DY、トヨタ決算
貿易収支
失業率
非農業部門雇用者数( 前月比)
民間部門雇用者数( 前月比)
ハリファックス住宅価格指数(前月比、発表日未定、~10日)
小売売上高(前月比)
実質GDP( 前年比、 発表日未定、 ~ 7日)
実質GDP( 前年比、 発表日未定、 ~ 7日)
消費者物価指数(前年比、発表日未定、~8日)
IPCA(拡大消費者物価指数、前年比)
3.1%
-
-
-
-
-
1.3%
-
0.2%
0.3%
0.1%
0.3%
48.5
48.2
-
-
52.3
-
51.9
-
49.6
49.7
54.4
-
3.35%
-
-
-
1,750万台
1,722万台
-
10.5%
2.00%
2.00%
6.75%
6.75%
5.75%
5.75%
▲2.4%
-
-
-
-
-
19.0万 人
25.7万 人
55.2
55.3
▲0.3%
-
53.6
-
▲23.00億豪ドル ▲29.06億豪ドル
6.0%
-
▲0.4%
-
8.81%
-
-
-
-
-
▲0.1%
▲0.2%
0.50%
0.50%
3.25%
-
111.9
-
103.5
-
-
-
▲429億ドル
▲424億ドル
5.0%
5.0%
20.5万 人
29.2万 人
19.0万 人
27.5万 人
-
1.7%
0.3%
0.4%
4.73%
-
5.0%
-
-
12.9%
-
10.67%
2月 6日 (土 )
2月 7日 (日 )
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月28日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
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本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2016 年 1 月 28 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.239
<再来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
2月 8日 (月 )
独
中国
日本
米国
2月 9日 (火 )
2月 10日 (水 )
独
メキシコ
日本
米国
中国
2月 11日 (木 )
日本
米国
フィリピン
トルコ
米国
2月 12日 (金 )
ユーロ圏
独
インド
市場予想 前月・ 前期・ 前年
12月
12月
1月
1月
12月
-
10-12月期
-
12月
12月
12月
1月
10-12月期
-
1月
1月
-
-
-
12月
1月
1月
10-12月期
12月
10-12月期
12月
1月
経常収支( 季調済)
毎月勤労統計-現金給与総額(前年比、速報)
景気ウォッチャー調査-現状判断DI
景気ウォッ チャー調査-先行き判断DI
鉱工業生産(前月比)
中国春節(旧正月、祝休日は7~13日)
大成建、住友不、東レ決算
ニュ ーハンプシャー州予備選挙
輸入(前月比)
輸出(前月比)
貿易収支
消費者物価指数(前年比)
セコム決算
イエ レンFRB議長による半期議会証言( 下院)
マネーサプライM2(前年比、発表日未定、~15日)
新規銀行融資( 発表日未定、 ~ 15日)
東京市場休場(建国記念の日)
イエ レンFRB議長による半期議会証言( 上院)
政策金利
経常収支
小売売上高( 前月比)
小売売上高( 除自動車、 前月比)
実質GDP( 前期比、 速報)
鉱工業生産(前月比)
実質GDP(前期比、速報)
鉱工業生産(前年比)
消費者物価指数(前年比)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
14,235億 円
0.0%
48.7
48.2
▲0.3%
-
-
-
1.7%
0.5%
205億ユーロ
2.1%
-
-
13.3%
5,978億 元
-
-
4.00%
▲21.1億ドル
▲0.1%
▲0.1%
0.3%
▲0.7%
0.3%
▲3.2%
5.61%
2月 13日 (土 )
2月 14日 (日 )
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月28日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
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Weekly Outlook No.239
投資情報部作成最新レポートのご紹介
【定期発行レポート】
日次
週次
月次
Daily Outlook(日刊投資情報)
Weekly Outlook(週刊投資情報)
月刊投資情報(株式・為替・金利の見通し)
@ Wall Street
投資部門別売買動向(現物・先物)
日本株投資戦略(月刊プレゼン資料)
主要通貨デイリー
来週・再来週の注目スケジュール
米国株式投資ガイド
新興国通貨デイリー
米国 ETF テクニカル週報
日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト)
Global Market Review
米国主要企業決算発表スケジュール
投資初心者向け資料
向こう 3 ヵ月の注目スケジュール
Japan Market Review
【随時発行レポート】
<Spot Report >
2016/01/27
豪経済
利下げを迫られている状況にはない
2016/01/21
NZ ドル
引き続き影を落とす中国景気
2016/01/21
ブラジル経済
予想に反して政策金利の据え置きを決定
2016/01/20
日本株式
日経平均は昨年来安値を更新
2016/01/20
中国株式
本土市場は GDP 発表を受けて反発するも軟調な地合い継続へ
2016/01/20
トルコ
金融政策の簡素化は当面先送りされる可能性も
2016/01/20
インド株式
足元は外部要因に左右されるもファンダメンタルズ面で優位性
2016/01/19
米国株式
Hot Topics:米国株市場の反発に備える
2016/01/18
日本株式
波乱が続く株式市場の底打ちの条件
2016/01/18
米国株式
米国株の下落について
<カントリー・レポート>
2016/01/18
2015/10/19
南アフリカ共和国概観
インド概観
<注目の投資テーマ&業界ナビ>
2016/01/07
2016 年の注目 10 銘柄のご紹介
2016/01/06
国内消費関連データ集
<プレゼン資料ほか>
2016/01/28
米国ストラテジー・セレクション『フェイスブック』
2016/01/27
国策に売りなしシリーズ~生産性革命~
2016/01/27
米国ストラテジー・セレクション『アップル』
2016/01/26
トルコリラの見通しとポイント
2016/01/25
米国ストラテジー・セレクション『ゼネラル・エレクトリック』
2016/01/22
米国株投資を「今」、ご提案する背景について
2016/01/22
海外 ETF 投資の魅力
2016/01/22
米国ストラテジー・セレクション『スターバックス』
2016/01/21
ブラジル経済・市場見通し
2016/01/20
米国ストラテジー・セレクション『バンク・オブ・アメリカ』
2016/01/18
米国ストラテジー・セレクション『U・S・バンコープ』
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Weekly Outlook No.239
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びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお
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に、対象となる有価証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過
損リスク)があります。
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品取引業協会
(2015/04/09 版)
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