内容見本 - 八木書店 出版物・古書目録

1594年に天草で刊行されたキリシタン版を
高精細カラーで影印!
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天草版
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ラテン文典
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高精細カラー版
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2012 年 8 月刊行予定!
【原本所蔵】 Biblioteca
Pública de Évora (Portugal)
【翻刻・解説】カルロス・アスンサン(ポルトガル Trás-os-Montes e Alto Douro 大学副学長)
豊島正之(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
【原本所蔵】 Biblioteca
【内容見本】
【本書の特長】
●原本は 1594 年(文禄 3)刊のキリシタン版。日本イエズス会が刊行した
初めての文法書であり、現存二点のみの稀覯書。
●日本初鋳造のイタリック活字を組版に用いた、最初のキリシタン版。
●所蔵館の協力による、原本を眼前に置くかの如き、精細なフルカラー影印。
●難読本文を初めて通読可能とする、解釈本文としての全文翻刻。原文の誤
植は訂し、印字不鮮明箇所を補読し、日本語には漢字・仮名表記を補った。
●多数の諸版からの天草版の依拠原典の探求などを盛り込む詳細な解説。
●ポルトガル語史・日本語史の専門家の多年の国際共同研究の成果。
【ご購入の案内】 ISBN978-4-8406-2085-7 C3080 ¥30000E
● 造本 B5 判上製本・約 650 頁予定
● 印刷 影印本文:オールカラー印刷
● 製版 高精細ハイブリッドスクリーニング製版(AGFA スブリマ 240 線)
● 定価 31,500 円(本体 30,000 円+税 5%)
※平成 24 年度科学研究費(研究成果公開促進費「学術図書」)助成出版
【発行】
●TEL:03-3291-2961[営業] 03-3291-2969[編集] ●FAX:03-3291-6300
八木書店刊
申 込 書
The earliest Jesuit publication on the Japanese grammar is now in a full color facsimile for
the first time. De Institutione Grammatica (1572, Lisbon) by Manuel Alvares, which established
itself as the standard Latin pedagogical grammar for centuries to follow, was re-edited and
published by the Jesuits in Japan, in 1594, with modifications and annotations with Japanese
examples, so as to let the readers with a Latin background to understand the structure of the
Japanese language. This first attempt was followed by the subsequent Jesuit publications
(1604,1620) of much more detailed grammars of Japanese by João Rodriguez Tçûzu.
ラテン文法の枠組みによる初の日本語文法書。
厳密な翻刻と解説を付し、その全貌を明らかに!
●日本語学・言語学・日欧交渉史・宗教史・印刷史等に必携の基本資料!
Pública de Évora (Portugal)
【翻刻・解説】カルロス・アスンサン(ポルトガル Trás-os-Montes e Alto Douro 大学副学長)
豊島正之(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
ま
天草版
ラテン文典
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あま くさ
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天草版
2012 年 8 月刊行予定 取扱店(番線印)
ラテン文典
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て ん
〔 〕冊
ISBN978-4-8406-2085-7 C3080 ¥30000E 定価 31,500 円(本体 30,000 円+税 5%)
お名前(ふりがな)
ご住所 〒
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2012.7. TP 11,000
ラテン文典
天草版
は、1594
年(文禄三)に天草で刊行されたキリシタン版で、日本イエズス会が
刊行した初めての文法書である。イエズス会士マヌエル・アルバレスの原著『ラテン文典』
(1572 年リスボ
ン初版)に日本語に関する注記を加えて、ラテン文法の枠組みで日本語文法を素描しようとしたもので、
後のロドリゲス日本文典の基礎ともなった。キリシタン版の例に洩れず稀覯で、今回底本としたポルトガ
ルのエボラ公共図書館とローマのアンジェリカ図書館の二本のみが知られている。
イエズス会日本語研究書の嚆矢
豊 島 正 之
東京外国語大学教授 天 草 版 ﹃ ラ テ ン 文 典 ﹄︵ 一 五 九 四 年 刊 ︶は 、 日 本 で 布 教 を 続
けた日本イエズス会が出版した、日本語用例・その注釈付き
のキリシタン版ラテン文典であって、ラテン文法の枠組みに
よる初の日本語文法書として著聞するが、他のキリシタン文
献や、その後の ︵通事ロドリゲスの︶文法書類に比して、研究
は遙かに少ない。原本は、日本イエズス会が初めて活字 ︵イ
タリック︶製造から造本までの全てを日本で手掛けたキリシタ
ン版である ︵それまでの﹃イソポ物語﹄等は、欧州からの輸入活字
に よ る もの︶
。このためか、原本の組版は著しく不安定で、印
字不鮮明の箇所が多数ある。加えて、使用された和紙が時に
極めて薄く、裏面の印字が透ける﹁裏写り﹂が甚だしい。印
字品質だけでなく、原文自体の誤植・誤綴、異様な省記法
等、欧文組版に習熟していなかったがための問題も少なから
ず、原本の稀覯と相俟って、本書を難読の文献にして来た。
今回の出版は、所蔵館の御理解の下、原本を新たにデジタ
ル撮影した鮮明なカラー複製を伴っているので、翻刻は、誤
植を正し省記を開くなどした解釈本文として整備して、原本
Missionary
の状態の克明な観察・及びその通読の双方を容易とする事を
目 指 し た 。 著 者 ら は 、﹁ 宣 教 に 伴 う 言 語 学 ﹂
の国際共同研究の一つとして本書の研究を重ねて
Linguistics
来 た が 、 そ の成果は、マヌエル・アルバレスの原著 D e
の多数の版の中からの日本語版底本
Institutione Grammatica
の探求などと共に、本書の五十頁にわたる背景解説・書誌解
説に詳述した。この出版によって、名のみ高い天草版﹃ラテ
ン文典 ﹄が、研究資料として現代に甦る事を願ってやまない。
【翻刻見本】
Circa voces Iapponicas imperatiui illud imprimis adnotabis, Vomoye 思 え , Agueyo 上 げ よ ,
Yome 読め , fere nunquam primis personis adhaerere, sed secundis duntaxat : in tertiis vtimur
eisdem cum particula, To と , vt Vomoyeto 思えと : deinde futurum indicatiui omnibus personis
inseruit. Vt,
日本語部分には漢字
仮名表記を補記
Yza saraba namida curaben fototoguisu, いざさらば、涙比べん、ほととぎす
Varemo vqiyoni neuo nomizo naqu. 我も憂き世に音をのみぞ啼く
Hoc est : Age lachrymas conferamus, etc. Cum vero prohibemus, ne facias, ne feceris, ne
dixeris, eleganter vtimur futuro negatiuo indicatiui, vt Subecarazu すべからず , yǔ becarazu 言
うべからず , suru coto aru becarazu する事あるべからず : deinde propriis vocibus Suruna するな ,
キリシタン版について
安土桃山時代から江戸時代初期
イエズス会によって導入された西欧
の活版印刷術で印刷された書物をキ
リシタン版と称する。
ローマ字本・国字本があり、内容
はキリスト教の布教伝道のための書
物を中心に、
﹃平家物語 ﹄﹃和漢朗詠
集﹄など国文学、
﹃伊曽保物語 ﹄のよ
う な 翻 訳 文 学 、﹃ 落 葉 集 ﹄﹃ 日 葡 辞
典﹄のような辞書類等、布教者・信
者の教育を企図したものであった。
天正十八年 ︵一五九〇︶
、イエズス
会宣教師ア レ ッ サ ン ド ロ ・ ヴ ァ リ
ニ ャ ーノによる印刷機搬入に始まり、
約二十年後、慶長十九年 ︵一六一四︶
の禁教令で、日本での刊行事業は終
焉をむかえた。その刊行書はいずれ
も伝存きわめて稀で、天下の孤本も
少なくない。
一連のイエズス会刊行事業として
百種程度が刊行されたようだが、現
存が確認されている国内刊行書は三
十二種。天草版﹃ラテン文典﹄はそ
の内の一つで、二点のみ現存し、その
高精細カラー影印・全文の解釈本文
本書は、標題に「ラテン語活用形への日本語訳添え」
(Coniugationibus
accesit interpretatio Iapponica)とあり、
「日本語文法書では なく、ラテン
文法に日本語用例が付されているだけ」との誤解も散見される。
実際は、ラテン文法の理解が前提とし得るという環境に於いて、その
枠組みで日本語文法を記述する初めての試みであり、元より初学者向け
の日本語文法書を目指したものではなく、日本語の体系自体の記述より
もラテン語の体系との対応を重視したものであって、ロドリゲス「日本
文典」の記述とは対極にあるが、それへの強い影響を与えた。
の翻刻出版は、今回が初めてである。
ラテン文法の共通理解が前提となり得た時代の生んだ、
初の日本語記述の試み
︵ 十 六 世 紀 末 ∼ 十 七 世 紀 初 ︶に か け て 、
suru coto nacare する事なかれ , xezare せざれ , yuazare 言わざれ , etc.