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2016 年 1 月 19 日
平成 27 年度 省エネ大賞において
『HFC-32 高性能空調機の世界展開による省エネルギー推進』が「経済産業大臣賞」
ビル用マルチエアコン『VRV シリーズ』が「省エネルギーセンター会長賞」を受賞
ダイキン工業株式会社は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する平成 27 年度省エネ大賞
(製品・ビジネスモデル部門)において、『HFC-32 高性能空調機※1 の世界展開による省エネルギー
推進』が最高賞の「経済産業大臣賞」を、またビル用マルチエアコン『VRV シリーズ』※2 が「省エ
ネルギーセンター会長賞」をそれぞれ受賞しました。
省エネ大賞は、国内の省エネを推進している事業者や、省エネに優れた製品を開発した事業者の活
動を表彰することで、省エネ意識の浸透、省エネ製品の普及促進等に寄与することを目的としたもの
です。
「経済産業大臣賞」を受賞した『HFC-32 高性能空調機※1 の世界展開による省エネルギー推進』は、
温暖化影響の少ない冷媒 HFC-32 を採用した空調機を世界に先駆けて 2012 年に商品化し、日本国内
をはじめ世界各国に展開することで、地球規模での温暖化抑制に貢献したことが高く評価されました。
流通開拓や販売活動だけでなく国際規格のルール形成や技能者の育成など、環境を整備してきた結果、
2015 年末までに世界 47 カ国で 550 万台以上の HFC-32 空調機が使用されるに至りました。国内で
もすでに全メーカーが HFC-32 空調機を販売しており、今後も世界の温室効果ガス削減において大き
な効果が見込まれています。
「省エネルギーセンター会長賞」を受賞したビル用マルチエアコン『VRV シリーズ』は、低負荷時
の運転効率を大幅に向上した新型スクロール圧縮機と、冷暖房時の負荷に合わせて全自動で冷媒温度
をコントロールする新しい制御技術で、年間の消費電力量を大幅に削減しました。実際のビルにおけ
る空調機の年間使用状況は、真夏や真冬のように負荷が非常に高いなかで運転する時間は短く、運転
時間の約 90%は機器の定格能力の 50%以下で運転されており※3、負荷が少ないときにどれだけ効率
よく運転するかがネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実現のキーポイントとなります。この商
品では低負荷時の大幅な効率化を実現し、さらに待機電力も従来比 15%削減※4※5 することで、年間
のトータル消費電力量を従来比約 21%削減しました※5。
表彰式は 1 月 27 日に東京ビッグサイトで開催される「ENEX2016 第 40 回地球環境とエネルギー
の調和展(1/27~29)
」で行われ、受賞製品も展示されます。また 2 月 23 日~26 日に同じ東京ビッ
グサイトで開催される「HVAC&R JAPAN2016」のダイキンブースでも展示します。
当社は今後も、機器の省エネ性はもちろん、グローバルに通用する先進技術やサービスを提供し、
快適性と環境保護の両立を実現する商品開発に取り組んでまいります。
※1 従来の R-410A に比べて温暖化影響の少ない HFC-32 冷媒を使用し、インバータ制御を組み合わせた空調機。
※2 VRV X シリーズ、VRV A シリーズ、VRV QX シリーズ、VRV Q シリーズ、全 237 機種において。
※3 当社調べ。事務所ビルにおいて。
※4 本製品は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「次世代型ヒートポンプシステム研究開発」
プロジェクトの成果を一部活用しています。
※5 用途:事務所ビルでの当社試算。VRV X シリーズ 28.0kW(10 馬力相当)と、当社従来機 Ve-upⅣシリーズ同等機種との比較。
【ご参考】主な商品・取組みの特長
「経済産業大臣賞」を受賞
『HFC-32 高性能空調機の世界展開による省エネルギー推進』
◆新興国市場にアプローチするための「新たなビジネスモデル」
HFC-32 空調機を世界各国に展開するためには、空調機市場
が急速に拡大している新興国へのアプローチが特に重要です。
一方新興国市場では、地球温暖化抑制の取組みは重要である
ものの認知されておらず、新興国政府としても取組みに対す
るモチベーションが高いことがわかりました。そこでダイキ
ンでは、日本政府、国連機関、国際機関と連携し、次の 3 つ
の観点でインドをはじめ新興国政府に働きかけを行いました。
新ビジネスモデルの全体像
国際規格
施策
③
日本企業
支援基金
安全規格
エネルギーラベル
国連
日本政府
製品提供
省エネ教育
支援基金
実行支援
政府
補助金、助成金や規制
市 場
<3 つの施策と具体的な活動内容(インドでの実績から)>
施策① 国への政策提言 ⇒環境性能の高い冷媒への転換促進
現地での実証実験により地球温暖化抑制効果を証明し、現地セミナーや政府関係
機関への個別訪問を通じて、HFC-32 高性能空調機がインドの電力政策、気候変
動政策に有効であることを訴求しました。
R22 機
R32 機
施策② 現地産業への技術支援 ⇒転換の容易性の理解
空調機の据付・サービス技術者は、空調機が正常に稼動するために不可欠
な存在です。彼らに HFC-32 高性能空調機の良さとともに、扱い易さへの
理解を深めてもらうため、ダイキンは経産省の支援を得てインド 12 都市で
76 回の教育研修を実施し、技術者約 3600 名への教育を実施しました。
施策③ 安全と性能のための規格整備 ⇒安全性の向上
HFC-32 高性能空調機の普及を持続可能なものにするため、安全と性能を担保する国際規格
をインドで国内規格化するための支援を実施しました。
政府主導の技術委員会への積極的に参加するなど、技術的観点からの貢献を継続した結果、
インバータ空調機の性能評価基準の国際規格がインド国内で規格化され、インバータ空調機
のためのエネルギー効率ラベリング制度が新たに設立されました。
◆ビジネスモデル化へ
インドでの取組みに続いて、タイ政府から要請があり支援を行いました。タイで
はインドの実績を踏まえ、テキストを作成するなど包括支援をパッケージ化しま
した。このパッケージを使用して、国の枠組みを超えた多様なステークホルダー
を巻き込んだビジネスモデルを確立しました。
3つの技術支援
① 生産ライン構築
② 機器設計の留意点
③ 据付サービス研修
①生産ライン編
◆HFC-32 高性能空調機のメリット
HFC-32 は、地球温暖化係数(GWP)が従来冷媒の 1/3 で、温暖化
対策として有効な冷媒です。さらにこの冷媒の特性を活かすことで、
空調機のエネルギー効率を大きく向上させることができます。現在
では、世界 47 カ国で 2012 年以降 550 万台以上を販売しています。
②設計編
③サービス編
施策
①
施策
②
「省エネルギーセンター会長賞」を受賞
ビル用マルチエアコン『VRV シリーズ』
◆ZEB 化を目指すキー技術を搭載し、年間運転効率を大幅に向上
一般のビル用マルチエアコンは、負荷率 50%未満の低負荷領域において、断続運転などによるエネルギー
消費効率(COP)の低下が見られます。一方実際の建物に設置されるビル用マルチエアコンは、ピーク負
荷をベースに選定されますが、その発生頻度は低く、負荷率 50%以下の低負荷領域での運転が 90%程度を
占めています。本商品では特に低負荷運転での高効率化に着目しました。
■定格能力に対する負荷率と運転時間の関係(事務所ビル:当社調べ)
実際の運転状態を調査
ビル用マルチ据付イメージ
■低負荷効率を大幅に向上する先進技術で、年間消費電力を 21%削減
1)圧縮漏れ・ロスを極小化する「新型スクロール圧縮機」
低負荷時に圧縮漏れが発生しやすい、スクロール圧縮機の弱みを払拭する新機構を搭載。
ロスを減らすことで高効率化を実現しました。
スクロール
部
新型スクロール圧縮
機
2)負荷に合わせて全自動で冷媒温度をコントロール
各室内機で必要な能力をリアルタイムに把握し、システムに
最適な冷媒温度へ変更する新しい冷媒制御を搭載。冷やしすぎ、
暖めすぎを防ぐ事で、快適性を維持しながら無駄を抑制します。
3)待機電力の大部分を占めるクランクケースヒータの電力量を削減
圧縮機には、冷凍機油に冷媒が溶け込む現象を防止するため
ヒーターが内蔵されています。本ヒーターの制御を最適化する事で、
待機電力を従来比約 15%削減しました。
上記技術の組合せにより、年間の消費電力量において、従来比約 21%削減
と大幅な省エネ性向上を実現しました。
低負荷時の実省エネを実現
年間消費電力量(kWh)
従来機比
21%省エネ
<試算条件>
VRV X シリーズ 28.0kW(10 馬力相当)
と、当社従来機 Ve-upⅣシリーズ同等機
種との比較。事務所(東京)の冷暖房発
生時間(JRA4002:2013R による)と、負
荷毎の COP より年間消費電力を算出