投資情報部 2016 年 1 月 21 日(木) Weekly Outlook 週刊投資情報 CONTENTS 1. 日本株見通しとポイント~日米欧中央銀行の会合に注目 ................................... 2 2. 米国株見通しとポイント~株価は底値圏 ............................................................ 3 3. 円相場見通しとポイント~2 月上旬にかけて内外金融政策が大きな焦点に ......... 4 4. 国内経済動向~年末商戦が好調で 12 月の全国百貨店売上高はプラスに ......... 6 5. 新興国市場・経済動向 ...................................................................................... 7 6. 2016 年 3 月期第 3 四半期決算発表スケジュール(1 月 25 日~29 日) ........... 11 7. 訪日外国人~2015 年は 1,974 万人となり過去最高 ........................................ 12 8. 東証 REIT 指数は 2Q 以降、徐々に上値を切り上げる展開へ .......................... 13 9. 米国先物~投機筋によるポジション動向 ......................................................... 14 10. トルコ~金融政策の簡素化は当面先送りされる可能性も .................................. 15 11. インドネシア~2015 年 2 月以来の利下げを決定 ............................................. 16 12. ブラジル~予想に反して政策金利の据え置きを決定 ........................................ 17 13. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 ..................................................... 18 14. 来週・再来週の主なスケジュール .................................................................... 19 1 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 No.238 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 1.日本株見通しとポイント~日米欧中央銀行の会合に注目 日本株担当: 横山 敦史 原油価格が下げ止まらないことなどから、日経平均は14年10月末の日銀による追加緩和時の水準まで下落 した。原油相場は世界的な景気減速懸念や中東情勢の混迷などから依然として不透明ながら原油価格下落 による生産調整が需給の改善に繋がる可能性があろう。目先、株式市場にプラスに作用する緩和期待が高 まり易い局面としては、月末にかけての日米欧中央銀行の会合などが挙げられよう。 日経平均は前回追加緩和時と同水準まで急落 図表1. 日経平均とドル円の推移 先週末以降の日本株市場では、WTI原油先物価格 が下げ止まらないことなどからリスクオフムードが継続し た。日経平均は18日に約3ヵ月半ぶりに終値で17,000円 を割り込み、20日には16,416円(前日比▲632円)まで 下落。2014年10月31日の日銀による追加緩和が発表さ れた日の終値まで下げたこととなり、株価の面では追加 緩和の効果が剥げ落ちたかたちとなった(図表1)。 (円) 22,000 (円/ドル) 130 日経平均(左軸) ドル円(右軸) 125 20,000 120 18,000 115 16,413円 前回追加緩和時の日経平均終値 16,000 105 14,000 原油の需給は徐々に改善する可能性も 原油相場は需給面で急激な改善は見込みにくく、引 き続き株式市場の下押し要因となるだろう。EIA(米エネ ルギー情報局)では、消費が今後回復基調に向かうと の見方などから需給も徐々に改善すると予想しているが (図表2)、世界的に製造業の景況感が悪化していること などを踏まえると、新興国を中心に景気の停滞感は強く、 需要が急速に回復することは見込みづらい。また、供給 面においても、サウジアラビアとイランの外交関係が悪 化しており、OPEC(石油輸出国機構)の生産調整に関 する議論の進展はハードルが高い。 100 日銀による追加緩和 2014/10/31 12,000 14/8 14/12 15/4 95 15/12 (年/月) 15/8 出所: QUICKよりSMBC日興証券作成 図表2. 世界の原油消費量・供給量の推移 (万バレル/日) 150 (万バレル/日) 9,700 100 50 9,500 ただ、一時1バレル=26ドル台まで価格が下落したこ とで、非OPEC加盟国などにおける高コストの油田では、 産出量の見直しの可能性が予想されている。また、原 油価格が急落したことにより、資源開発プロジェクトの見 直しなどが広がれば、世界的な原油の需給は改善する 可能性があろう。 消費超 供給超 0 50 9,300 100 150 9,100 200 消費-供給(右軸) 世界消費量(左軸) 世界供給量(左軸) 8,900 8,700 13 14 15 250 16年1月以降は EIA予想 16 17 300 (年) 350 出所:EIA(米エネルギー情報局)よりSMBC日興証券作成 図表3. 今後の注目スケジュール 日米欧中央銀行イベントに注目 原油価格や人民元が短期的にいつ下げ止まるかの 予測は困難だが、目先的な注目スケジュールとしては、 月末にかけての日米欧の金融政策を決定する会合が 挙げられる。 円高の進行で国内の企業業績の悪化が懸念される 他、春の賃上げも見通しづらくなるとなれば、アベノミク スの信頼を揺るがすことに繋がりかねない。黒田総裁は 度々、賃上げ動向に注目している旨を発言しており、今 月の会合で追加緩和に踏み切る可能性は従来よりも高 まったと言えよう。 日程 1月21日 イベント ECB(欧州中央銀行)理事会 1月26~27日 FOMC(米連邦公開市場委員会) 1月28~29日 日銀金融政策決定会合 1月下旬 16/3期第3四半期決算発表本格化 2月8日 中国春節 2月15日 日本10-12月期GDP(1次速報) 2月後半 春季労使交渉開始 注:1月21日時点の予定。スケジュールは予告なしに変更されることがある 出所: 各種報道等よりSMBC日興証券作成 2 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 110 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 2.米国株見通しとポイント~株価は底値圏 米国株担当: 河田 剛 1月14日以降の米国株は、原油安や一部の経済指標が事前予想を下回ったこと、アジア、欧州市場の軟調 などから、当初は上昇したものの、その後下落傾向となった。バリュエーションが株価急落後の2015年8月 25日の安値よりも割安となっていることなどから、株価は底値圏にあるとみられる。企業の業績期待が低下 しているため、主要企業の決算が事前予想を上回るペースなら、株価は底入れしよう。 先週、今週のレビュー~下落傾向続く 価格下落のプラスの影響の弱さや、資産価格の下落に よるマイナスの影響で伸びが鈍化する可能性は注視す る必要があろう。 1月14日の米国株市場は、1月9日終了週の新規失 業保険申請件数が事前予想を上回ったものの、原油価 格が上昇したことや、セントルイス連銀のブラード総裁が ハト派 的 見 解を示したことなどから、 ダウ工 業 株 指 数 (NYダウ)は前日比+227ドルと反発した。15日は、アジ ア、欧州株が軟調だったこと、前日引き後に発表された インテルの業績見通しが慎重だったこと、12月の小売売 上高(自動車・部品を除く)や12月の鉱工業生産が事前 予想を下回ったこと、WTI原油先物価格が30ドル/バレ ルを割り込んだことなどから、NYダウは▲390ドルの大 幅安となった。キング牧師誕生日の連休明け19日は、1 月のNAHB(全米住宅建設業協会)住宅価格指数が事 前予想を下回ったことや、原油安などマイナス材料はあ ったものの、中国の経済対策期待や一部の企業が堅調 な2015年10-12月期決算を発表したことなどから、NYダ ウは+27ドルとなった。20日は、12月の住宅着工件数が 事前予想を下回ったことや、アジア株、欧州株の下落、 原油価格の下落などから、NYダウは一時▲550ドル超 の下落となったが、バイオ株などに買い戻しが入り、▲ 249ドルとなった。 当面の見通し~株価は底値圏 12月の小売売上高 15日に発表された12月の小売売上高は、前月比▲ 0.1%となり、事前予想(▲0.1%)と一致、3ヵ月ぶりに前 月 比 マ イ ナ ス と な っ た 。 た だ し 、 11 月 分 は +0.2% → +0.4%に上方修正された。業種別では家具が+0.9%、ス ポーツ用品・ホビー等が+0.9%、建設資材が+0.7%、無 店 舗 販 売 は +0.3% と 増 加 し た が 、 衣 料 ・ 装 飾 品 は ▲ 0.9%、総合小売は▲1.0%、食品・飲料は▲0.3%、電気 機器は▲0.2%と減少した。ガソリンスタンドは▲1.1%と なった。自動車・部品を除く小売売上高については、▲ 0.1%と事前予想(+0.2%)を下回った。暖冬の影響で冬 物衣料などの販売が伸び悩んだことが全体の足を引っ 張った可能性がある。一方、消費者センチメントについ ては、15日に発表された1月のミシガン大学消費者信頼 感指数(速報値)は前月比+0.7の93.3と事前予想(92.9) を上回り、依然として高水準を維持しているため、今後 も消費の拡大基調は続くものとみられる。ただ、ガソリン 3 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 経済指標では22日発表予定の12月の中古住宅販売 件数(事前予想:前月比+9.2%)などが注目される。また、 2015年10-12月期決算発表がピークを迎え、25~29日の 週ではプロクター・アンド・ギャンブル、ジョンソン・エン ド・ジョンソン、アップル、マイクロソフトなどの発表が予 定されている。ダウ工業株指数の20日終値15,766ドル は 2015 年 11 月 6 日 の 高 値 17,910 ド ル か ら ▲ 11.9% 、 S&P500 の 20 日 終 値 1,859 は 2015 年 11 月 3 日 の 高 値 2,109から▲11.8%の下落となっている。S&P500の20日 時点の12ヵ月先予想PERは14.8倍と2015年8月の急落 時の最安値時点(8月25日)の14.8倍と同水準になって いる。株式イールドスプレッド(S&P500の12ヵ月先予想 益回り-10年国債利回り:数値が大きいほど株式が割 安であることを示す)は20日時点で4.76%と2015年8月 25日時点の4.69%を上回っている。また、市場センチメ ントを示すとされるCNNのFear & Greed Index(恐怖と強 欲インデックス 1/20時点)は9(0が最弱気、100が最強 気)と極端な弱気になっており、株価は底値圏にあると みられる。企業の業績期待が低下しているため、主要 企業の決算が事前予想を上回るペースなら、株価は底 入れしよう。 事前予想は Bloomberg、2016 年 1 月 21 日 10 時時点のもの 図表1. 小売売上高(前月比)の推移 (%) 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 09 10 11 12 13 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 14 15 (年) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 3.円相場見通しとポイント~2月上旬にかけて内外金融政策が大きな焦点に 欧米・為替担当: 本間 英至 ドル円は引き続き内外株に振り回され、一時約1年ぶりに116円を割り込む場面もあった。ドルの下振れには 依然注意を要しようが、日本経済の好循環入りに取り組む政策当局が円高を放置するとは考え難く、ドル深 押しの可能性は低いとみている。2月上旬にかけては、主要国の金融政策が大きな焦点。金融市場に配慮 する策や姿勢が示されれば、不安心理の和らぎからドル反転のきっかけとなる可能性があり注目される。 この1週間(1/14~)のレビュー ドル円は、14日は米国株の上昇を材料に118.28円ま で買われたが、15日には日中米の株式市場の大幅安 を受けたリスク回避色の強まりから116円台半ばまで押し 戻された。週明け18日にやや切り返すと、19日には中 国の期待外れの経済指標結果が景気刺激策期待をも たらしてドル買いが進み、一時118円台を回復。しかし、 翌20日は内外株の大幅下落を受けてドル売りが加速し、 116円を一時割り込む場面もあった。ただ、21日の東京 時間午前には、日銀の追加緩和期待等を材料に117円 台前半まで持ち直している。ドル以外の通貨も、ドル円 と同様に内外株の変動に振り回される展開。20日のリス ク回避色が強まった場面では、豪ドル円が一時80円を 割り込んだ他、NZドル円は73.65円、ユーロ円は126.63 円まで下落した。(東京時間1/21正午時点) 円(週次一目均衡表「雲」の下限、1/20時点)あたりが視 野に入ってくる(図表1)。 一段の円高放置は考え難くドル深押しは回避へ ただ、そこまでのドル深押しの可能性は低いとみてい る。その大きな理由は、日銀の追加金融緩和期待であ る。昨年12月調査の日銀短観で示された2015年度下 半期の大企業製造業の想定為替レートは118円(2015 年度通年では119.40円)。この水準を大きく下回るような 図表1. ドル円相場の推移(2014年初~) (円/米ドル) (円/米ドル) 128 126 128 126 125.86円(2015/6/5高値) 124 124 122 122 120 120 118 118 ドル円相場の見通しと来週にかけての注目材料 116 115.00円(心理的節目) 116 ドル円は一時約1年ぶりに116円割れ 112 114 115.86円 (2015/1/16 安値) 110 ドル円は、この1週間も年初から続くドル安円高の流 れが継続し、20日には内外株式市場の大幅下落と共に ドル売りが加速。一時115.98円と2015年1月16日以来、 約1年ぶりに116円を割り込んだ。 114 113.31円 112 (25.1円幅の半値押し) 110 108 108 115.57円 (2014/12/16安値) 106 104 102 1/1 4/2 7/2 10/1 2014年 これまでのドル安円高の主な材料とされてきたのは、 ①中国金融市場に対する不透明感と②原油安。①に 関しては、中国株は足元で落ち着きを取り戻しつつある。 人民元相場も市場介入などの効果もあり、世界の金融 市場の不安心理を煽る値動きから脱しつつあるのが現 状である。一方、②の原油については依然下げ止まら ず、引き続き市場心理を悪化させている。また、20日の 東京時間における日本株安と円全面高の材料として香 港株安が挙げられていた点は、市場の地合いの悪さを 象徴するものともいえ、ドルの下振れリスクには依然注 意が必要だろう。 106 104 102 100.76円 (2014/2/4安値) 100 地合いは芳しくなく、ドル下振れリスクに依然注意 25.1円幅 12/31 4/1 7/1 9/30 100 12/30 2016年 2015年 (月/日) 出所:BloombergよりSMBC日興証券作成 図表2. 投機筋の円ポジションとドル円相場の推移 40 (千枚) (1枚=12,500,000円) 20 (円/ドル) ドル円相場(右逆軸) 0 -20 -40 -60 -80 -100 その際、チャート上の目処としては、まずは20日につ けた115.98円と115.86円(2015/1/16安値)。そこを割り込 む よ う だ と 、 115.00 円 ( 心 理 的 な 節 目 ) 、 113.31 円 (2014/2/4安値から2015/6/5高値の半値押し)、113.68 -120 -140 15/1 15/5 (年/月) 出所:CFTC、BloombergよりSMBC日興証券作成 4 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 15/3 投機筋の円ポジション 円買い残-円売り残、左軸) 15/7 15/9 15/11 16/1 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 ドル安円高の定着を、『企業収益好調→賃金上昇→デ フレからの明確な脱却と日本経済の好循環入り』を目指 してきた政策当局、特に日銀が放置するというのは考え 難く、追加緩和策が期待されよう。 慎重に金融政策を運営していく意向が示される可能性 もあり注意しておきたい。今回のFOMC後にはイエレン FRB議長の記者会見は予定されていないが、同議長は 2月10日に議会証言を行うことが決定している。金融市 場の先行きを占う上で注目が高まろう。 また、投機筋の円ポジションをみると、年明け早々に3 年強ぶりに円買い超過に転じた(図表2)が、内訳をみる と、投機筋は円売りポジションの解消から新規の円買い ドル売りに移行している様子が確認される。昨年12月の 追加緩和補完措置が日銀の弾切れを連想させて黒田 日銀の神通力が低下し、その結果、リスク回避色が強ま る場面での円買いに一定の安心感を提供してしまった 可能性が示唆されている。それだけに、日銀が追加緩 和に踏み切れば、投機筋の円買いポジションの巻き戻 しに円売りポジションの積み増しも相まって、ドルの反発 が見込まれよう。 FRBが利上げに慎重姿勢を示せばドル高へ なお、米国で利上げペースをより緩慢なものとする可 能性が示唆された場合のドル円相場への影響だが、足 元のドル円は日米金利差や米金融政策への思惑では なく、世界的なリスク材料を眺めながらのリスクオン/オフ が大きな変動要因となっている。その為、FRBの慎重な 政策運営姿勢はリスク回避色の和らぎに伴う円全面高 の巻き戻し、つまりドル高円安への反応が想定されよう。 米国景気動向もドル円の焦点 来週にかけての米国の注目材料だが、何よりも上述 のFOMCが重要イベント。一方、経済指標面では、住宅 販売や住宅価格指数といった住宅関連指標や消費者 信頼感、耐久財受注の他、29日には昨年10-12月の実 質GDP(速報)が発表される。 「底値ゾーン」と捉えて時間分散的なドル買いも一考 ドル円は依然不安定な値動きが想定されるものの、こ うしたことを踏まえると、ドル円の現在の水準は「底値ゾ ーン」にある可能性があり、時間分散的なドル買いを検 討していいレベルにあると考えている。 2月上旬にかけて主要国の金融政策が大きな焦点に 本日以降2月上旬にかけては、主要国の金融政策が 焦点となる時間帯に入る。まずは本日(1/21)、ECB(欧 州中央銀行)理事会が開催される。ECBは昨年12月に 追加緩和策を決定したばかり。今回の政策変更は見込 まれていないが、金融市場が大荒れの様相を呈してい るのはユーロ圏も同じである。市場の動揺を抑えるべく ドラギ総裁がハト派色を強める発言をする可能性もあり、 理事会後の同総裁の記者会見が注目される。 日本では、1月28~29日に日銀金融政策決定会合が 開催される。本日東京時間午前中に、安倍首相側近の 話として「日銀の追加緩和の条件を満たしている」との 見解が一部で報じられ、足元で今月の追加緩和観測が 浮上しているだけに、会合における政策変更の有無お よび黒田総裁の記者会見は要注目だ。 米国の経済サプライズ指数は低下基調を辿っており、 市場の期待を裏切る経済指標結果が多いことが示され ている(図表3)。ドル円と経済サプライズ指数は完全に 連動しているわけではないが、共に昨年11月中旬をピ ークに低下基調を辿っている。予想を下回る経済指標 結果を受けた米国景気の先行き不透明感の燻りも、ド ル安円高の要因となっている様子が窺え、内外の金融 政策に加えて米経済指標の結果にも注目したい。 図表3. 米経済サプライズ指数とドル円相場の推移 (円/ドル) 10 125 0 123 中国では12月の主要経済指標の結果が概して市場 予想に届かなかったこともあり、何らかの景気刺激策が 打ち出されるとの見方が浮上している。2月8日の春節 前にも何らかの金融緩和措置が出てくるとの観測もあり、 中国の政策にも注意を怠れない。 121 -20 119 117 -30 -40 ドル円(左軸) 米経済サプライズ指数(右軸) 115 そして米国。1月26~27日にFOMC(連邦公開市場委 員会)が開催される。FRB(連邦準備制度理事会)は昨 年12月に利上げを行なったばかりであり、政策変更によ るサプライズはない見込み。ただ、声明文で従来以上に 8/3 8/24 2015年 -50 9/14 10/5 10/26 11/16 出所:BloombergよりSMBC日興証券作成 5 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 -10 12/7 12/28 1/18 2016年 (月/日) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 4.国内経済動向~年末商戦が好調で12月の全国百貨店売上高はプラスに 日本経済・金利担当: 野村 真司 12月の全国百貨店売上高は、年末商戦の好調を受けて前年同月比、前月比共に2ヵ月ぶりのプラス。ただ、 暖冬要因で衣料品の売上が低迷し、全体の底上げにはつながらなかった。訪日外国人売上高は引き続き 好調。また1月のロイター短観では、製造業の景況感が世界経済の先行き不透明感等から悪化する一方、 非製造業の景況感は内需の底堅さを反映して大幅に改善している。 12月全国百貨店売上高:年末商戦は好調 たものの、加工業種で新興国を中心とする海外需要の 減退に加え、先行き不透明感から悪化した。一方、非 製造業は同+9ポイントの+27と3ヵ月ぶりに大幅改善。業 種別では不動産・建設、卸・小売、通信・情報サービス、 運輸・電力等、その他サービスの全業種で改善した。不 動産市場の好調、小売販売の回復、IT需要の活況、堅 調なインバウンド需要等が背景にある。因みに先行き4 月見通しは製造業が+6と横ばい、非製造業が+23と悪 化する見通し。景況感は製造業で世界経済の先行き不 透明感からやや低迷しているものの、非製造業は底堅 い内需を印象付ける結果となった。 12月の全国百貨店売上高(店舗数調整後)は、前年 同月比+0.1%と2ヵ月ぶりのプラス。全国的に気温が高く 厳しい条件下、クリスマス週を中心に年末商戦が好調 で前年同月比プラスに転じた。商品別では、主要5品目 (衣料品、身のまわり品、雑貨、家庭用品、食料品)のう ち、衣料品を除く4品目が前年水準を上回り、特に雑貨 が同+8.0%と9ヵ月連続のプラス。一方、11月に続き暖 冬の影響でコート等、重衣料の動きが鈍く、主力の衣料 品が同▲5.2%と落ち込んだため、全体の底上げにはつ ながらなかった。細分類では化粧品、美術・宝飾・貴金 属が底堅いインバウンド需要を反映し、9ヵ月連続で前 年同月比プラスを維持。売上高全体の前月比(弊社季 節調整値)でも+1.5%と2ヵ月ぶりのプラスだったものの、 10-12月は前期比▲1.4%と2四半期ぶりのマイナスとな った(図 表 1)。訪 日 外 国 人 売 上 高 は引 き続 き好 調 。 2014年10月の免税制度改正(従来の家電製品や衣類 から、化粧品や飲食料品等の消耗品も免税対象)から 一巡したものの、12月の売上高は前年同月比+38.2% の177.6億円と、過去3番目の高水準を記録している。 図表1. 小売関連統計の推移 (2005年平均=100) 150 140 138.2 コンビニエンスストア 130 (3月) 117.4 120 110 112.4 (4月) 101.2 (11月) (前月比▲2.4%) 91.1 スーパー 100 90 なお、日本政府観光局(JNTO)によれば、2015年の 訪 日 外 客 数 は 前 年 比 +47.1% の 1,973 万 7,000 人 と 、 JNTOが統計を取り始めた1964年以降で最大の伸び率 を記録。また、過去最高だった2014年の1,341万3,000 人を大きく上回り、1970年以来45年振りに訪日外客数 が出国日本人を上回った。それでも依然として観光立 国には程遠い。2013年時点で外国人訪問者数を国際 比較するとスペイン、米国、トルコ、中国等、8ヵ国が既 に2,000万人の大台を超えている。為替動向等に左右さ れず、安定した訪日客数増加のためには外貨対応の ATM、一般住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」事業 の参入拡大等、インフラ整備の充実が肝要となろう。 79.4 80 (12月) 78.0 (前月比+1.5%) 百貨店 70 68.8 (3月) *季節調整値はSMBC日興証券で試算。 60 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所: 日本百貨店協会、日本チェーンストア協会 日本フランチャイズチェーン協会データよりSMBC日興証券作成 図表2. ロイター短観・業況判断DIの推移 見通し (良い-悪い、%ポイント) 40 20 0 -20 1月ロイター短観:景況感は非製造業が大幅改善 製造業 -40 1月のロイター短観(調査期間:1月5日~1月15日)を 業種別にみると、製造業の業況判断DI(良い-悪い)は 前月比▲3ポイントの+6と2ヵ月ぶりの悪化で、昨年9月 以降はプラス1ケタ台の水準にとどまっている。業種別で は素材業種が原油安や資源安のメリットから小幅改善し 非製造業 -60 -80 2008 2009 2010 2011 2012 2013 出所: 「ロイター短観」よりSMBC日興証券作成 6 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (12月) (前月比+0.9%) 143.6 (全店ベース・季節調整値) 2014 2015 2016 (年) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 5.新興国市場・経済動向 新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太 新興国株式市場は原油安等を背景とする年初からのリスクオフが継続して下落。新興国通貨も同様の展開 となり、特に産油国通貨が大きく下落した。来週にかけては日米欧の金融政策会合が予定されており、内容 次第では徐々にリスクオフの鎮静化に繋がる可能性もあろう。新興国資産は年明け以降一様に売られてき ただけに、リスクオフ一巡後はファンダメンタルズの良好な新興国を中心に買い戻しの動きも視野に入ろう。 最近の新興国市場の動向 新興国株式市場は、原油安等を背景とする年初から のリスクオフの動きが継続し、総じて下落した。直近1週 間の株価騰落率(図表1、20日時点)をみると、主要新 興国株では中国・上海株(+0.9%)が小幅高となったほ かは軒並み下落している。上海総合指数は人民元安等 が嫌気され、15日に昨年来安値(8/26:2,927)を更新し、 2,900 を 付 け た 。 一 方 、 そ の 後 は 19 日 に 発 表 さ れ た 10-12月の実質GDP成長率が市場予想(Bloomberg)を 大幅に下回らなかったことや景気対策への期待から、 同指数は19日に+3.2%と大きく反発した。 為替市場でも、同様に世界的なリスクオフの流れから、 新興国通貨は総じて対ドル、対円ともに下落。ドル円相 場の円高進行により、引き続き新興国通貨は特に対円 での下げが大きくなった。直近1週間の通貨騰落率(図 表1、20日時点、対円)では、原油安を背景にロシアル ーブル(▲6.4%)やメキシコペソ(▲3.7%)等の産油国通 貨 の下 落 が 目 立 ってい る。 また、ブラジルレアル(▲ 2.6%)は、商品市況の下落に加え、中銀が20日の金融 政策委員会で利上げを見送るとの観測から、売り圧力 が強まった。(前田) 図表1. 主な新興国市場の動向 直近値 騰 落 率 (% ) 1月 20日 2016年 初 来 2015年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間 株価指数 中国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 為替 上海総合指数 香港ハンセン指数 SENSEX30種指数 韓国総合指数 ジャカルタ総合指数 SET指数 FBM KLCI総合指数 フィリピン総合指数 MICEX指数 イスタンブール100種指数 JSE全株指数 ボベスパ指数 ボルサ指数 2,976.69 18,886.30 24,062.04 1,845.45 4,427.98 1,248.98 1,618.83 6,259.61 1,630.39 69,603.95 46,329.78 37,645.48 40,844.41 ▲15.9 ▲13.8 ▲7.9 ▲5.9 ▲3.6 ▲3.0 ▲4.4 ▲10.0 ▲7.4 ▲3.0 ▲8.6 ▲13.2 ▲5.0 9.4 ▲7.2 ▲5.0 2.4 ▲12.1 ▲14.0 ▲3.9 ▲3.9 26.1 ▲16.3 1.9 ▲13.3 ▲0.4 0.9 ▲5.3 ▲3.2 ▲3.7 ▲2.4 ▲2.3 ▲1.4 ▲3.6 ▲3.2 ▲4.0 ▲4.3 ▲3.3 ▲0.4 ▲18.3 ▲13.3 ▲6.5 ▲6.9 ▲1.4 ▲1.2 ▲0.6 ▲9.4 ▲5.0 ▲5.1 ▲5.8 ▲12.9 ▲5.4 ▲11.6 ▲17.3 ▲11.8 ▲8.8 ▲3.4 ▲11.8 ▲5.1 ▲12.1 ▲4.8 ▲13.3 ▲13.1 ▲21.2 ▲8.5 ▲6.2 ▲21.1 ▲16.4 ▲3.8 ▲14.3 ▲18.6 ▲7.5 ▲16.0 3.8 ▲22.0 ▲5.7 ▲21.4 ▲2.2 ▲4.3 ▲5.3 ▲5.4 ▲3.9 ▲3.4 ▲5.7 ▲5.6 ▲12.8 ▲6.7 ▲10.2 ▲6.0 ▲9.7 ▲4.0 ▲4.2 ▲6.6 ▲9.7 ▲8.3 ▲18.0 ▲4.0 ▲20.1 ▲19.7 ▲24.9 ▲32.6 ▲13.8 ▲1.0 ▲2.2 ▲0.6 ▲1.5 ▲0.6 ▲2.3 ▲2.7 ▲6.4 ▲1.1 ▲1.8 ▲2.6 ▲3.7 ▲5.2 ▲5.9 ▲6.3 ▲4.4 ▲3.9 ▲6.6 ▲5.7 ▲15.5 ▲7.5 ▲13.1 ▲5.5 ▲10.6 ▲6.7 ▲7.6 ▲9.4 ▲5.3 ▲4.9 ▲5.5 ▲5.8 ▲25.4 ▲8.4 ▲22.5 ▲7.6 ▲13.8 ▲7.3 ▲10.6 ▲11.4 ▲11.3 ▲11.3 ▲19.3 ▲8.5 ▲21.1 ▲24.1 ▲31.9 ▲37.2 ▲22.1 ※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高 中 国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 円/人民元 円/インドルピー 円/韓国ウォン(x100) 円/ルピア(x100) 円/バーツ 円/リンギ 円/フィリピンペソ 円/ルーブル 円/トルコリラ 円/ランド 円/レアル 円/メキシコペソ 17.71 1.72 9.67 0.83 3.22 26.41 2.42 1.43 38.43 6.97 28.54 6.31 注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 7 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 新興国市場関連トピック 図表3. 香港ドルの対ドルレート 中国~10-12月実質GDPは市場予想を僅かに下回る (HKドル/米ドル) 7.84 1月19日に発表された10‐12月の実質GDP成長率は 前年比+6.8%と、7-9月および市場予想(Bloomberg)の +6.9%を僅かながら下回り、減速基調が続いた。また、 2015年通年では市場予想と同じ+6.9%と、+7.0%前後と された政府目標の圏内となったが、1990年(+3.9%)以 来、25年ぶりの低い成長率にとどまった。 7.82 7.8 7.78 7.76 7.74 12月単月の経済指標は概ね市場予想を下回ったが、 7.72 春節期間を含む1-3月は投資に比べて堅調な消費のウ 10 11 12 13 14 15 16 (年) エイトが高くなるため、10-12月と同様に+7%を若干下回 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 る程度の成長率を維持しよう。年央から「供給サイドの 改革」が始動するにつれ、過剰設備業種の操業停止等 が進められるとみられ、景気の下押し圧力が徐々に高ま インドネシア~2015年は4年ぶりに貿易収支が黒字化 15日に発表された12月の貿易統計では、輸出が前 ろう。もっとも、政府は緩やかな景気減速にとどめるため、 必要に応じてインフラ投資の積み増し等を行い、通年で 年比▲17.7%(11月:▲18.0%)、輸入が前年比▲16.0% (11月:▲18.0%)と引き続き輸出入ともに2ケタの減少と は+6%台後半の成長を達成するとみている。(白岩) なった。輸出入ともに市場予想よりは小幅な減少にとど 図表2. 中国の実質GDP成長率 まったものの、貿易収支は市場予想の+1億ドルに対し (%) て▲2.36億ドルと11月に続いて赤字となった。 14 一方、2015年通年では、輸出が前年比▲14.6%、輸 入が▲19.9%とともに大幅に減少したが、輸入の減少幅 が大きく、貿易収支は+75.1億ドルと4年ぶりの黒字とな った。低調な景気を背景に石油ガスを除く収支が前年 から改善(+112.4億ドル→+135.7億ドル)した一方、原 油安による石油ガス収支の改善 (▲134.4億ドル→▲ 60.6億ドル)が貿易収支の改善により大きく寄与した。 12 10 8 6 4 09 10 11 12 13 14 15 (年) 今後は内需の持ち直しに伴う輸入増加が貿易収支 の悪化要因になるとみられる。もっとも、内需回復は緩 やかなペースが予想されることや原油安も相まって、貿 易収支が急速に悪化する可能性は低く、対外収支動 向に起因する通貨安圧力は限定的となろう。(山本) 出所: CEIC、中国国家統計局よりSMBC日興証券作成 中国~香港ドル安が進行 香港は米ドルに対して7.75~7.85香港ドル(HKD)を 目標範囲とする固定相場制を採用している。しかし、足 元では、中国景気の減速懸念から香港市場に上場する 中国関連株を売却する動きなどが加速し、香港ドルの 売り圧力が強まっている。香港ドルの対ドル相場は19日 に年初来で▲0.87%となる7.819HKDで終了。終値では 2007年8月15日(7.822HKD)以来の安値を付けた。20 日は当局の香港ドル買い介入から小幅に反発した。 図表4. インドネシアの貿易統計 30 (前年比、%) (百万ドル) 収支(右軸) 輸出(左軸) 輸入(左軸) 20 2,500 2,000 1,500 1,000 10 500 0 0 -500 -10 香港は1983年から固定相場制を採用し、アジア通貨 危機の際には香港ドル売り圧力に直面しながらも固定 相場制を維持している。今後も固定相場制の放棄に追 い込まれる可能性は低いだろう。ただし、当面は人民元 安に伴って、香港ドルの売り圧力が継続する可能性は あろう。(白岩) -1,500 -20 -2,000 -30 -2,500 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 (年/月) 出所: CEIC、インドネシア中央統計局よりSMBC日興証券作成 8 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 -1,000 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 インド~政府が起業支援策を発表 られるが、今後も金輸入の急増が継続する場合は収支 の悪化につながりかねない。もっとも、そうした場合、過 去のケースと同様に政府や中央銀行が何らかの金輸入 抑制策を発動し、貿易収支の悪化防止に乗り出すこと も想定されよう。(山本) モディ首相は16日、起業支援策「スタートアップ・イン ディア」を発表した。総額1,000億ルピー(約1,800億円) の投資基金や新興企業および新興企業へ投資する投 資家に対する税の優遇措置等が設けられる。首都デリ ーで開催されたイベントには、ソフトバンクグループの孫 正義社長をはじめ内外の投資家や起業家など数百人 が出席した。孫社長は2014年、向こう10年間で約100億 ドルの対印投資を行う方針を発表しているが、既に20億 ドルを投じたことを今回明らかにしている。 図表5. インドの貿易統計 40 (百万ドル) 20 0 -20 -5,000 -40 -10,000 -60 -15,000 貿易収支(右軸) 輸出(前年比、左軸) 輸入(前年比、左軸) -80 -20,000 -100 -25,000 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 出所: CEIC、インド商工省よりSMBC日興証券作成 一方、野党第1党・国民会議派のラフル・ガンジー副 総裁は16日、商品サービス税(GST)について、政府と の妥協は可能との認識を示した。モディ政権は複雑な 間接税体系の簡素化に繋がるGSTの導入を目指してい るが、上院では多数を占める野党の反対により、関連法 案はこれまで先送りが続いていた。2月の次期国会で GST関連法案が成立すれば、市場でもポジティブに受 け止められよう。(山本) インド~12月貿易赤字は4ヵ月ぶりに前年を上回る 18日に発表された12月貿易統計で、12月の貿易収 支は▲116.64億ドルと赤字額は市場予想(▲95.42億ド ル)及び前年同月(▲97.82億ドル)を上回った。赤字額 が前年を上回ったのは4ヵ月ぶり。輸出が前年比▲ 14.7%(11月:▲24.4%)と引き続き大幅に減少した一方、 輸入は▲3.9%(11月:▲30.3%)と小幅な減少に留まり、 赤字拡大の主因となった。今回輸入のマイナス幅が大 幅に縮小した要因として、金輸入の増加が挙げられる。 金輸入は婚礼シーズンを前に価格下落による値ごろ感 から前年比+179.1%と急増した。一方、最大の輸入品 目である原油は価格下落を背景に前年比▲33.2%と引 き続き大幅な減少が続いている。なお、10-12月累計の 貿易収支は▲309.75億ドルで原油安等を背景に赤字 額は4四半期連続で前年水準を下回った。 インドでは、輸入に占める原油と金の割合が大きく、 これらの動向が貿易収支を左右する傾向にある。原油 輸入の減少は引き続き貿易赤字の縮小要因になるとみ 9 10,000 5,000 0 モディ政権は、発足以来、日米欧中などへ積極的な 経済外交を展開。防衛産業や保険業など様々な業種 で外資規制を緩和して投資誘致に注力している。こうし た取り組みを背景に、海外からの対印直接投資は2014 年に前年比で3年ぶりに増加(+30.6%)し、2015年も9月 までの累計で+19.4%と高い伸びを示している。今回の ような起業支援策も含め、モディ政権の取り組みは中長 期的な経済成長率の押し上げ要因として期待される。 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (前年比、%) (年/月) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 来週にかけてのスケジュールと見通し 南アフリカでは、28日に金融政策委員会が予定され ている。中銀は従来から通貨安をインフレ見通しに対す る大きなリスク要因として指摘しており、年初からランドが 大幅に下落していることも踏まえると、利上げを決定す る可能性が高いとみられる。市場では0.50%ptの利上げ が予想されているものの、クガニャゴ総裁は20日、低成 長が続く国内経済に言及しながら、「0.25%ptの利上げ でも小さくない」と述べ、大幅な利上げには否定的な見 解を示した。この発言を受け、市場では小幅な利上げ にとどまる可能性をある程度織り込みつつあるとみられ るが、実際に0.25%ptの利上げにとどまれば、市場はネ ガティブに反応する可能性もあろう。 年明け以降のリスクオフの流れは、束の間の小休止 を挟みつつも、依然として継続している。リスクオフのき っかけとなった人民元急落は、当局の介入等によりひと まず一服している。一方、リスクオフのもう一つのきっか けとなった原油安については、節目の30ドルをあっさり 下抜けたことで短期的には20ドルを目指す可能性も否 定できず、当面リスクオフの継続を想定せざるを得ない だろう。もっとも、原油の採掘コスト等を考慮すれば足元 の原油価格は底値圏に到達したとみられ、20ドルを試 す中で達成感が生じれば下げが一巡する可能性もみて おきたい。 一方、足元の市場は「政策催促相場」の様相も強め ていると考えられる。リスクオフのきっかけは人民元や原 油の急落ではあったが、市場の失望を招いた昨年12月 のECB(欧州中央銀行)や日銀の金融政策決定に加え、 年明け以降のFRB(連邦準備制度理事会)関係者のタ カ派的な発言など、主要国の政策当局に対する市場の 不信感も最近のリスクオフの伏線として考えられる。その 意味で、本日21日のECB理事会を皮切りに来週26~27 日のFOMC(連邦公開市場委員会)、28~29日の日銀金 融政策決定会合と、立て続けに予定されている日米欧 の金融政策会合が注目される。その結果や関係者の発 言など内容次第では徐々にリスクオフの鎮静化に繋が る可能性もあろう。新興国株式や通貨は年明け以降の リスクオフ局面で一様に売られているだけに、リスクオフ 一巡後はファンダメンタルズの良好な新興国を中心に 買い戻しの動きも視野に入ろう。 なお、各新興国の来週にかけての注目ポイントは以 下の通り。 メキシコでは、原油価格の動向に加え、29日が期限 となっている中銀のペソ買いドル売り為替介入プログラ ムが延長または強化されるか否かが注目される。現行で は、ペソが対ドルで前日比1%以上下落した場合は2億 ドル、更に1.5%以上下落した場合は追加で2億ドルの ペソ買いドル売り入札が実施されている。強化策として は、介入を急落時だけでなく、無条件で毎営業日実施 するなどの策が考えられ、導入されればペソの下支えと なろう。 経済指標では、29日に10-12月の実質GDPが発表さ れる。政府による公共投資の削減や輸出の低迷などを 背景に7-9月(前期比+0.8%)に比べて減速するとみら れる。政府の原油収入減少に伴って既に公共投資が 削減されているが、足元の原油安により今後一段の削 減が予想される。このため、最近の市場では原油価格 の動向に注目が集まっており、GDP統計に対する反応 は限定的となろう。 中国では、来週にかけてこれといったイベントは予定 されていないものの、引き続き人民元と香港ドルの動き には注意が必要であろう。 インドネシア、インドでも、来週にかけて特にイベント は予定されておらず、株式市場や為替市場は外部要因 に左右されやすい地合いが続こう。 トルコでは、26日に中銀が四半期ごとのインフレ報告 を公表する予定となっている。19日の金融政策委員会 では政策金利据え置きが決定され、声明文で当面様子 見スタンスを継続する可能性が示唆された。一方、足元 では通貨安や最低賃金の大幅引き上げ等により、イン フレリスクは上昇しているとみられる。今後の金融政策 動向を考える上で、インフレ報告で示される中銀のイン フレ見通しが注目されよう。 (山本、白岩、武田、前田) 10 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 ブラジルでは、1月末~2月上旬頃に発表されるとみら れる政府の包括的な経済対策が注目される。報道によ れば、年金制度改革など歳出抑制策に加え、建設業や 中小企業向けの貸出拡大策など景気刺激策が検討さ れている模様。景気刺激策はこれまでの中銀による利 上げの効果を部分的に相殺し、インフレを一段と悪化さ せる可能性がある。政策の内容が財政再建よりも景気 刺激に傾斜した場合は、財政再建路線の後退として市 場ではネガティブに受け止められる恐れがあろう。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 6. 2016年3月期第3四半期決算発表スケジュール(1月25日~29日) 日本株担当: 西尾 浩一郎 今週以降、国内企業の2016年3月期第3四半期決算発表が本格化する。発表のピーク日は1月29日で、月 内は化学、機械、小売、情報・通信、電気機器、銀行など主力企業の発表が相次ぐ。原油安や中国懸念な どで株式市場には不透明感が高まっているが、決算発表で企業業績に対する過度な悲観が後退すれば落 ち着きを取り戻すきっかけとなる可能性があろう。 第3四半期決算発表が本格化 今週以降、国内企業の2016年3月期第3四半期決算 発表が本格化する。発表のピーク日は1月29日で、月 内は化学、機械、小売、情報・通信、電気機器、銀行な ど主力企業の発表が相次ぐ。需要拡大が見込まれる建 設、情報・通信などを中心に内需系銘柄の業績は堅調 で、全体でみれば中国での苦戦による外需系銘柄の業 績悪化をカバーする構図が続いていると考えられる。も っともマーケットの目線は今期業績よりも来期業績に向 かっている。外部環境に不透明感が高まる中で、原油 や為替に対する見方、来期業績へのイメージなど、経 営陣のコメントに注目が集まろう。 図表1. 主要企業の2016年3月期第3四半期決算発表スケジュール 経常利益(百万円) 発表日 コード 銘柄略称 2016/3期通期 会社予想 前年比 経常利益(百万円) 2016/3期通期 コンセンサス予想 発表日 コード 銘柄略称 2016/3期通期 会社予想 前年比 2016/3期通期 コンセンサス予想 2016/01/25 15:00 4185 JSR 39,500 ▲ 5.1% 38,807 2016/01/29 14:00 2267 ヤクルト 50,000 9.6% 2016/01/26 15:00 2413 エムスリー 19,000 17.5% 20,333 2016/01/29 14:00 2802 味の素 89,000 7.5% 50,714 94,061 2016/01/27 15:00 4684 オービック 29,400 6.0% 30,043 2016/01/29 14:00 9531 東ガス 162,000 ▲ 3.7% 174,550 2016/01/27 15:00 4901 富士フイルム 190,000 ▲ 3.6% 199,253 2016/01/29 15:00 4922 コーセー 33,600 33.8% 38,225 2016/01/27 15:00 6770 アルプス 59,500 3.3% 63,853 2016/01/29 15:00 5332 TOTO 47,800 20.5% 48,110 2016/01/27 15:00 8591 オリックス NA NA 405,248 2016/01/29 15:00 5333 ガイシ 74,500 22.0% 77,178 2016/01/28 13:00 4204 積水化 89,000 1.2% 88,033 2016/01/29 15:00 5411 JFEHD 100,000 ▲ 56.7% 90,842 2016/01/28 13:00 7012 川 重 100,000 18.6% 99,068 2016/01/29 15:00 6301 コマツ 214,000 ▲ 9.4% 209,479 2016/01/28 13:00 9719 SCSK 32,000 4.3% 32,765 2016/01/29 15:00 6586 マキタ 58,000 ▲ 15.2% 64,604 2016/01/28 15:00 4063 信越化 210,000 6.0% 219,294 2016/01/29 15:00 6702 富士通 NA NA 151,829 2016/01/28 15:00 4307 NRI 60,000 13.3% 61,411 2016/01/29 15:00 6724 エプソン 2016/01/28 15:00 4902 コニカミノルタ NA NA 69,633 2016/01/29 15:00 6758 ソニー 2016/01/28 15:00 5486 日立金 97,000 12.3% 98,558 2016/01/29 15:00 6762 TDK 2016/01/28 15:00 6645 オムロン 71,000 ▲ 18.8% 69,896 2016/01/29 15:00 6971 京セラ 2016/01/28 15:00 6701 NEC 120,000 7.0% 123,286 2016/01/29 15:00 6981 村田製 2016/01/28 15:00 6954 ファナック 236,300 ▲ 24.3% 237,643 2016/01/29 15:00 7205 日野自 2016/01/28 15:00 8601 大和証G NA NA 193,402 2016/01/29 15:00 2016/01/28 15:00 9042 阪急阪神 100,000 16.8% 100,254 2016/01/29 15:00 2016/01/28 15:00 9064 ヤマトHD 70,000 ▲ 1.3% 69,636 2016/01/29 15:00 2016/01/28 16:00 4661 OLC 107,300 ▲ 2.9% 112,008 2016/01/29 15:00 2016/01/28 16:00 7276 小糸製 72,000 7.7% 75,050 2016/01/29 15:00 2016/01/28 16:00 9532 大ガス 130,000 20.2% 2016/01/29 12:00 4503 アステラス薬 242,000 2016/01/29 12:00 8697 JPX 2016/01/29 12:00 88,000 ▲ 33.6% 93,228 345,000 768.4% 396,013 95,000 27.5% 96,867 140,000 14.9% 142,735 276,000 15.8% 298,567 109,000 4.2% 112,441 7262 ダイハツ 92,000 ▲ 27.6% 94,628 8572 アコム 57,800 291.9% 42,633 9020 JR東日本 402,000 11.1% 408,006 9021 JR西日本 153,000 25.4% 159,923 9022 JR東海 475,000 10.9% 493,223 136,711 2016/01/29 15:00 9201 JAL 202,000 15.2% 211,243 27.6% 258,105 2016/01/29 15:00 9202 ANA 90,000 34.1% 112,944 58,000 5.7% 65,616 2016/01/29 15:00 9437 NTTドコモ 703,000 9.2% 734,773 9101 郵 船 80,000 ▲ 4.8% 76,645 2016/01/29 15:30 8035 東エレク 106,000 14.0% 108,217 2016/01/29 13:00 3099 ミツコシイセタン 39,000 12.8% 40,389 2016/01/29 16:00 6988 日東電 120,000 13.3% 122,120 2016/01/29 13:00 4568 第一三共 115,000 43.9% 122,014 2016/01/29 16:00 8411 みずほ 980,000 ▲ 3.1% 1,021,485 2016/01/29 13:00 7741 HOYA NA NA 127,957 2016/01/29 16:00 9513 Jパワー 55,000 ▲ 7.3% 57,711 2016/01/29 14:00 2002 日清粉G 27,000 5.7% 27,620 2016/01/29 16:20 5334 特殊陶 69,500 2.3% 71,390 注: 会社予想が非開示の場合、コンセンサス予想が無い場合はNAと表記。決算発表予定日は、1月15日9時時点のQUICK情報を基にしており、変更 される場合がある。時刻データ入手可能な場合、時刻まで表示。QUICKコンセンサス予想及び会社予想は1月14日時点で発表されていたデータを 取得。米国会計基準とIFRS採用企業については、税引前利益を経常利益とする。主要企業を任意で抽出。掲載企業は推奨するものではない 出所: QUICKなどよりSMBC日興証券作成 11 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 7.訪日外国人~2015年は1,974万人となり過去最高 日本株担当: 母良田 剛 2015年の訪日外客数は前年比47.1%増の1,973.7万人となり、過去最高だった2014年を大きく上回った。 旅行消費額でも同71.5%増の3兆4771億円で過去最高となった。長期的にインバウンド関連企業が訪日客 の恩恵を受け続ける可能性は高かろうが、中身が炊飯ジャーや時計、化粧品などの「モノ消費」から、食事 や観光といった「コト消費」にすそ野が拡大していることに注目したい。 2015年は年間で1,974万人となり過去最高 図表1. 訪日外国人数の推移 1月19日発表の12月の訪日外客数は177.3万人(前 年同月比+43.4%)となり、12月として過去最高だった 2014年(123.6万人)を大きく上回った。また、日本政府 観光局(JNTO) が統計を取り始めた1964年以降、最大 の伸び率となった。2015 年通年では前年比47.1%増の 1,973.7 万人となり、旅行消費額でも同71.5%増の3兆 4771億円で過去最高となった。 (万人) 1,974 2,000 1,500 1,341 1,036 1,000 521 主要20市場では、ロシアを除く19市場が年間での過 去最高を更新した。中国は前年比107.3%増の499 万 人に達し、初めて最大市場となったほか、米国が欧米 市場で初めて100 万人を超えた。また、東南アジア6 市場(タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フ ィリピン、ベトナム)が合計で200万人を超える規模となっ た。クルーズ船の寄港増加、航空路線の拡大、燃油サ ーチャージの値下がりによる航空運賃の低下、円安に よる割安感の定着、ビザの大幅緩和、消費税免税制度 の拡充などが訪日客数の増加に貢献した。 673 733 679 836 622 500 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) 出所:日本政府観光局〈JNTO〉よりSMBC日興証券作成 図表2. 「モノ消費」以外でのインバウンド関連銘柄 コード インバウンド関連銘柄のすそ野は拡大 銘柄名 事業内容 4,675.0 地域限定の観光土産菓子で最大手。「ルタオ」などを展開。 2440 ぐるなび 2,202.0 飲食店情報検索サイトを運営。レストラン情報を多言語で掲載 1,126,000.0 主にホテル、旅館および関連施設への投資を行うJリート 6040 日本スキー場開発 3,575.0 長野、群馬、岐阜3県に計7カ所のスキー場を運営 7616 コロワイド 1,656.0 居酒屋、日本料理レストラン、回転ずしチェーンなどを経営 8179 ロイヤルHD 2,046.0 「ロイヤルホスト」、天丼チェーン「てんや」などを展開 8410 セブン銀行 9010 富士急行 9022 JR東海 9045 京阪電鉄 ただし、インバウンド旅行者(特に中国人)の消費の 中身は、炊飯ジャーや時計、化粧品などの「モノ消費」 から、食事や観光といった「コト消費」にすそ野が拡大し ている。今後はリピーターも増えてくると予想され、「コト 消費」および「地方への観光」が従来以上に注目されよ う。投資テーマについても百貨店や家電量販店から、 外食や観光・宿泊などに対象が拡がっていくことが考え られる。図表2では「モノ消費」以外でのインバウンド関 連銘柄を取りまとめた。投資の際の参考にされたい。 株価 2222 寿スピリッツ 3287 星野リゾート・R 人民元安および中国景気に対する懸念から、インバ ウンド関連の株価は小売りを中心に足元で大きく下落し ている。しかしながら、1)政府は2020年の訪日外国人観 光客数目標3,000万人超を視野に、達成のための政策 をまとめつつあること、2)1人当たりの支出額が最も大き い中国人については、年間訪日客数はまだ人口の約 0.4%であること、などに鑑みると、長期的にはインバウン ド関連企業が訪日客の恩恵を受け続ける可能性は高 かろう。 459.0 訪日外国人がキャッシュカード、クレジットカードでATMを利用 1,103.0 富士山周辺エリアで鉄道、遊園地、ホテルなどを手掛ける 19,670.0 東京―大阪間の新幹線を運営 695.0 主に大阪・京都府にて旅客鉄道・ローカルバスを運営 9201 日本航空 4,207.0 国際線首位、国内線2位のナショナルフラッグ。 9419 ワイヤレスゲート 1,321.0 駅、空港、商業施設、飲食店などで無線LANを展開 9603 エイチ・アイ・エス 3,535.0 旅行代理店ほか、「ハウステンボス」も運営。 9722 藤田観光 480.0 「ワシントンホテル」、「椿山荘」、「箱根小涌園」などを経営 注:株価は1月20日時点 出所:Bloomberg、東洋経済、各企業HPよりSMBC日興証券作成 12 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 614 861 835 835 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 8.東証REIT指数は2Q以降、徐々に上値を切り上げる展開へ 日本株担当: 溝渕 彩乃 弊社では、今後6~12ヵ月の東証REIT指数のターゲットを2,000ptとし、従来からの水準を継続する。2016 年1Q(1-3月)のJ-REIT市場は一時的な需給悪化等で調整局面が懸念されるものの、2Q以降は東証REIT 指数は徐々に上値を切り上げよう。長期金利の低位安定とオフィス賃料上昇を好感しながら、堅調に推移 すると期待する。個別では、中堅オフィス、商業・物流、ホテル型に注目している。 弊社では、今後6~12ヵ月の東証REIT指数のターゲッ トを2,000ptとし、従来からの水準を継続する。長期金利 が低位安定する状況下でオフィスやホテルの賃料上昇 による内部成長を期待する。 なお、足元の株式市場は、海外発のニュースフロー で不透明感が高まっているが、J-REITは海外要因の影 響が相対的に小さく、分配金利回り(東証REIT加重平 均予想利回りは1月20日時点で3.71%〈QUICK算出〉) が上昇していることなども踏まえると、2016年1Qは押し 目買いスタンスが望ましく、仕込みの時期と考えられよ う。 2Q以降に賃料上昇と低金利で堅調を想定 2016年1Q(1-3月)のJ-REIT市場は一時的な需給悪 化等で調整局面が懸念される。例年のJ-REITによる物 件 取 得 動 向 を 見 る と 、 1Q に 集 中 す る 傾 向 が あ る 。 2013~2015年の3年間における物件取得額に対する1Q の取引の割合は32%に上る。2016年1Qについても同様 の傾向となった場合、需給環境の悪化をもたらしかねな い。実際、2016年1月4~8日の5営業日で4銘柄が公募 増資を発表、同4銘柄の有価証券届出書に基づく資金 調達予定額は計1,580億円に達している(2015年1Q(払 込期日ベース)のJ-REITによるエクイティファイナンス実 績は約2,884億円)。また、物件取得による分配金向上 は、不動産投資の期待利回りの低下で期待しづらい。 図表1. オフィス空室率と賃料単価 10% 24,000 平均空室率(東京都心5区) (左軸) 22,000 8% 平均空室率 7% 20,000 6% 5% 18,000 4% 16,000 3% 一方2Q以降は、東証REIT指数は徐々に上値を切り 上げ、2,000ptを目指す展開を予想する。オフィス市況 の改善(図表1)は着実にJ-REIT保有物件にも波及して おり、オフィス賃料上昇による分配金の向上は今後目に 見える形で反映されることが期待できよう。長期金利の 低位安定とオフィス賃料上昇を好感しながら、2016年後 半にかけては堅調に推移すると期待する(図表2)。 平均募集賃料 (東京都心5区)(右軸) 2% J-REITが保有するオフィスの平均空室率(左軸) 0% 99 01 03 05 07 09 11 13 12,000 15 (年) 注: 2016年1月以降の平均空室率及び平均募集賃料は弊社予想 出所: 三鬼商事、投資信託協会よりSMBC日興証券作成 中堅オフィス、商業・物流、ホテル型に注目 図表2. 東証REIT指数と長期金利(週足) 個別では、内部成長期待として「中堅オフィス」を主 軸(ジャパンリアルエステイト(8952)、ケネディクス・オフ ィス(8972)、プレミア(8956)、ヒューリックリート(3295)) としつつ、インカムゲイン獲得期待として「商業・物流」 (ケネディクス商 業リート( 3453)、フロンティア不 動 産 ( 8964 ) 、 GLP J-REIT ( 3281 ) 、 日 本 プ ロ ロ ジ ス リ ー ト (3283))に相対的な魅力があるといえよう。また、ホテル 型(インヴィンシブル(8963))に関しては、好調なファン ダメンタルズを背景とした強い賃料上昇と積極的な外部 成長により、分配金の上昇期待は高く、中長期的に保 有したい注目分野であろう。 (pt) (%) 東証REIT指数(左軸) 2,000 1.1 1,800 0.9 1,600 0.7 1,400 0.5 1,200 新発10年物国債利回り (右軸) 1,000 800 12 13 14 注: 2016年1月20日時点 出所: QUICKよりSMBC日興証券作成 13 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 14,000 1% 15 0.3 0.1 16 (年) 平均募集賃料(円/坪) 9% 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 9.米国先物~投機筋によるポジション動向 日本株担当: 母良田 剛 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋による円の対ドルでの持ち高は3年強ぶりの買い越し額と なり、2週連続で買い越し幅が拡大した。一方でユーロは依然として先安観を保ったポジションとなっている。 投機筋による原油先物の買越幅は2週連続で縮小し、2012年7月以来、約3年半ぶりの低水準となっている。 金先物の買い越し幅は2週連続拡大し、世界的な株安を背景に安全資産への逃避買いが強まっている。 円は3年強ぶりの買い越し水準 図表1. 円先物ポジション 米商品先物取引委員会(CFTC)が1月15日に発表し た建玉明細報告(1月12日集計分)によると、投機筋に よる円の対ドルでの持ち高は2万5266枚の買い越しとな った(図表1)。投機筋の持ち高は前週時点(1/5集計分) で2012年10月19日週以来およそ3年強ぶりに「円買い 超過」に転じていたが、円の買い越し額は更に拡大した。 ただ、日米の金融政策の方向性の違いなどを踏まえる と、投機筋ポジションの円買い超過定着や積極的な円 買い増しの可能性は低いとみられる。ドル円は短期的 には内外株の動向を睨みながらの依然不安定な値動き も想定されるが、投機筋の動向は今後ドル高円安要因 に転じることが期待されよう。またユーロの売り越し幅は2 週ぶりに縮小したが、依然としてユーロは先安観を保っ たポジションとなっている。 原油の買い越しは3年半ぶりの低水準 (枚) (円) 円ポジション(左軸) ドル円(右軸、逆目盛) 90 100 -50000 110 -100000 120 買い残高ー売り残高 -150000 2012/1/20 130 2012/7/20 2013/1/20 2013/7/20 2014/1/20 2014/7/20 2015/1/20 2015/7/20 (年/月/日) 図表2. WTI原油先物ポジション (枚) (ドル/バレル) 500000 120 450000 110 400000 100 350000 90 40000 80 70 60 50 40 30 20 2015/7/20 買い残高ー売り残高 (年/月/日) (ドル) 1700 1600 1500 1400 1300 1200 1100 20000 0 2013/1/18 1000 2013/7/18 2014/1/18 2014/7/18 2015/1/18 2015/7/18 2016/1/18 (年/月/日) 出所: 図表1~3いずれも、CFTC〈米商品先物取引委員会〉、Bloomberg よりSMBC日興証券作成 14 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 80 円 買 い0 超 一方で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所 300000 (NYMEX)で投機筋による原油先物の買越幅は2週連 250000 200000 続で縮小した(図表2)。2012年7月以来、約3年半ぶり 150000 の低水準となっている。投機筋は買い持ちよりも売り持 原油ポジション(左軸) 原油価格(右軸) 100000 ち 高 を 多 く 増 や した 。 原 油 の ポ ジ ショ ンに 関 し ては 、 50000 買い残高 ― 売り残高 2014年末からの原油価格急落後、投機筋は2015年半 0 2012/1/20 2012/7/20 2013/1/20 2013/7/20 2014/1/20 2014/7/20 2015/1/20 ばに買い越しの勢いを強めていたが、現在はそれを投 げ売りしている状況であると思われる。中国を中心とした 図表3. 金先物ポジション 新 興 国 の景 気 減 速 懸 念 に加 えて、石 油 輸 出 国 機 構 (枚) 200000 (OPEC)で5位の産油国であるイランの経済制裁解除で 金ポジション(左軸) 金価格(右軸) 180000 原油輸出が拡大するとの見方も新たな不安要因となっ 160000 ている。また、CTA(Commodity Trading Advisor、商品 140000 投資顧問)と呼ばれるタイプのヘッジファンドは原油価 120000 格が下がる中でも好調なパフォーマンスを維持している。 100000 80000 CTAの運用手法を踏まえれば、売りが売りを誘い、実態 60000 以上に原油市場が売られている可能性があろう。 ニューヨーク商品取引所(COMEX)で投機筋による 金先物の買い越し幅は2週連続拡大した(図表3)。世 界的な株安を背景に安全資産への逃避買いが強まっ ている。また、銅先物の売り越し額は大幅に拡大してお り、世界最大の銅消費国である中国への懸念が高まっ ていることを示唆している。 70 50000 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 10.トルコ~金融政策の簡素化は当面先送りされる可能性も トルコ担当: 前田 佑太 トルコ中銀は19日、すべての政策金利の据え置きを決定した。声明文からは「金融政策の簡素化」に関する 文言が削除されており、中銀は当面様子見スタンスを継続することも想定される。もっとも、足元でインフレリ スクは上昇しているとみられ、長期間の金利据え置きは正当化されないであろう。インフレの動向を睨みつ つ、中銀はいずれ利上げを含む金融政策の簡素化ステップを開始すると予想している。 中銀は政策金利の据え置きを決定 トルコ中央銀行は19日、市場予想(Bloomberg)通り すべての政策金利の据え置きを決定した。中銀は従来 から金利コリドー(図表1参照)について、1週間物レポ 金利を中心に上下対称にし、かつその幅を縮小させる との方針を示していた。現状では3つの政策金利がバラ バラに変更されるなど、複雑でわかりづらいとの批判が 強い金融政策の枠組みが簡素化されれば、金融政策 の透明性が向上すると期待されていた。 この「金融政策の簡素化」の第一段階としては、1週 間物レポ金利を据え置いたまま市中金利の上下限であ る翌日物貸出金利および翌日物借入金利をともに引き 下げることや、1週間物レポ金利および翌日物借入金利 を引き上げることなどが選択肢として考えられる。ただ、 通貨リラが安値圏で推移し、かつインフレも高止まりする 状況下では、金融政策の簡素化ステップを利下げを含 む政策変更から開始するのは非現実的とみられた。そ のため、12月に米利上げが決定されたタイミングも踏ま え、市場では前回会合(12月22日)で1週間物レポ金利 および翌日物借入金利の引き上げが予想されたものの、 実際には金利据え置きとなった。その一方で、「グロー バルな金融政策の正常化開始後に観察されたボラティ リティの低下が継続すれば、金融政策の簡素化ステッ プを次回会合で開始する」と声明文に明記された。その 後(1月4日)に発表された12月の消費者物価指数が前 年比+8.81%と中銀見通し(+7.9%)やインフレターゲット (+5%±2%)から大幅に乖離したこともあり、当初は今回 会合での利上げを含む金融政策の簡素化が有力視さ れた。しかし、中国株や人民元の急落を契機に、世界 的に金融市場が混乱。中銀が金融政策の簡素化ステッ プ開始の条件に挙げた「ボラティリティの低下が継続」し なかったことにより、市場では今回会合でも利上げを見 送るとの観測が多数となっていた。 リラは下押し圧力がかかりやすい展開が続こう 市場では、中銀が利上げに踏み切れない背景には 政府からの圧力があるとみられており、インフレ率が上 昇する中での金利据え置きの長期化は、中銀に対する 一段の信認低下を招く恐れがある。一方、中銀が意図 する金融政策の簡素化の中には前述したとおり利下げ を含むパターンも想定されうる。現状ではこのパターン の金融政策の簡素化を実施する可能性は低いとみて いるが、リスクシナリオとして注意が必要であろう。金融 政策に対する不透明感が増す中、最低賃金の大幅引 き上げなどポピュリズム的な経済政策、ロシアの経済制 裁と中東情勢緊迫化、16年4月に任期満了となる中銀 総裁の後任問題なども相まって、トルコリラは当面下押 し圧力がかかりやすい展開が継続すると予想している。 図表1. 政策金利と市中金利 14 主要政策金利(1週間物レポ金利) 市中金利(翌日物銀行間金利) (%) 12 10 8 6 金融政策の簡素化は当面先送りされる可能性も 4 以上のように金利据え置きは市場予想通りだったもの の、19日の市場はネガティブに反応した。この要因とし て、声明文から「金融政策の簡素化」に関連する文言が 削除されたことが挙げられる。中銀は「今後の金融政策 2 0 金利コリドー(グレー部分) :市中金利の誘導目標、上限が翌日物貸出金利・下限が翌日物借入金利 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 15 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 決定はインフレ見通し次第」と従来の姿勢を繰り返すに とどめており、当面様子見スタンスを継続することも想定 される。もっとも、インフレについては、年初から原油価 格が一段と下落している一方、トルコでは1月から最低 賃金が大幅に引き上げられた他、電力料金等も引き上 げられている。通貨安が進行していることも考慮すると 足元でインフレリスクは上昇しているとみられ、中銀の長 期間にわたる様子見スタンスの継続は正当化されない だろう。次回会合(2月23日)での利上げの可能性は低 いものの、インフレの動向を睨みつつ、中銀はいずれ1 週間物レポ金利および翌日物借入金利の引き上げによ り金融政策の簡素化ステップに踏み切ると予想している。 この上で、まずは1月26日発表予定のインフレ報告で示 される中銀のインフレ見通しが注目されよう。 14/7 15/1 15/7 16/1 (年/月) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 11.インドネシア~2015年2月以来の利下げを決定 新興国・インド・ASEAN 担当: 山本 正樹 インドネシア銀行は1月14日、11ヵ月ぶりの利下げを決定した。インフレ鈍化等を理由にかねてより利下げ 余地に言及していたが、今回は米金融政策を巡る不透明感の後退から利下げに踏み切ったとしている。実 質金利の高さやインドネシア銀行の慎重なスタンス等を考慮すると、利下げが大きな通貨安圧力をもたらす 可能性は低く、むしろ景気のサポート要因と捉えることも可能であり、通貨ルピアは底堅く推移しよう。 インドネシア銀行は11ヵ月ぶりの利下げを決定 一般に利下げは通貨安要因ともなりうるが、政策金利 (7.25%)からインフレ率(12月のCPI前年比+3.35%)を 控除した実質金利は4%弱となお高く、追加利下げにつ いてもこれまでと同様に慎重に実施されるとみられること から、大きな通貨安圧力をもたらす可能性は低いとみて いる。むしろ、底打ちの兆しをみせつつも依然低調とな っている景気のサポート要因として、前向きに捉えること も可能であろう。インドネシアルピアはインドルピー等と 並び、主要新興国通貨の中では相対的に底堅く推移 すると予想している。 インドネシア銀行(中央銀行)は1月14日、BIレート等 の政策金利を0.25%pt引き下げることを決定した(BIレ ートを7.25%へ引き下げ等)。利下げは2015年2月以来 11ヵ月ぶり。市場予想(Bloomberg)では利下げがやや 優勢ながら、見方は分かれていた。 インドネシア銀行は、2015年10月、11月、12月の金融 政策決定会合でインフレや経常収支等のファンダメンタ ルズ改善を理由に既に利下げ余地に言及していた。そ の一方、これまでは利下げを見送ってきた背景として、 米国の金融政策を巡る不透明感があった。今回の声明 文では、昨年12月の米利上げ決定により、米国の金融 政策を巡る不透明感が後退したとの認識に基づいて、 利下げに踏み切ったことが示唆されている。 一方、インドネシアの首都ジャカルタ中心部で14日、 イスラム過激派組織IS(イスラム国)によるものとみられる 爆弾テロおよび銃撃戦が発生し、容疑者を含む7人が 死亡した。インドネシアでは、200名超が犠牲となったバ リ島での爆弾テロ(2002年)をはじめ、かつてはイスラム 過激派によるテロが多発していた。しかし、ユドヨノ前政 権(2004~14年)下でテロ対策が強化されたこともあり、 2009年に発生したジャカルタでの爆弾テロ以降、目立 ったテロ事件は発生していなかった。 インドネシアでは、米利上げ決定後、外国人投資家 による債券市場への資金流入が目立っている。外国人 投資家によるインドネシア国債の売買動向(週間)をみ ると、1月8日までの1週間では、世界的なリスクオフの流 れから買い越し幅は縮小したものの、3週連続で買い越 しを維持した。年明け以降、人民元急落等をきっかけに 新興国通貨に総じて下落圧力がかかる中、インドネシア ルピアの下げは限定的となっており、比較的ファンダメ ンタルズが良好な高金利新興国として選好されているこ とが窺える。底堅い通貨ルピアの動向が利下げを後押 ししたといえよう。 今回のテロが観光等にある程度の悪影響を及ぼす可 能性は否めないものの、最近のイスラム過激派によるテ ロの脅威はインドネシアに限ったものではなく、インドネ シアで同様の事態が多発しない限り、現時点では実体 経済や金融市場への影響は限定的と考えている。 なお、先行きについて声明文では、内外経済を精査 したうえで、追加緩和を実施する可能性に言及している。 インドネシア銀行は引き続き慎重に追加利下げを模索 するものとみられる。 9 (%) 貸出ファシリティ レート 8 BIレート 7 通貨ルピアは底堅い推移へ 14日のインドネシアルピア対ドル相場は、前日の米国 株急落等を受けて他のアジア新興国通貨とともに軟調 に始まり、首都ジャカルタで爆弾テロ(後述)が発生する と下げ幅を拡大。一時前日比1%を超える下落となった。 その後、インドネシア銀行が利下げを発表すると下げ幅 を縮小する展開となり、前日比▲0.52%で終了。株式市 場や債券市場も同様にポジティブな反応を示した。 16 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 図表1. インドネシアの政策金利 6 預金ファシリティ レート 5 4 3 13/1 13/7 14/1 14/7 出所: BloombergよりSMBC日興証券作成 15/1 15/7 16/1 (年/月) 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 12.ブラジル~予想に反して政策金利の据え置きを決定 ブラジル担当: 武田 泰典 ブラジル中銀は20日、市場予想に反して政策金利を据え置いた。中銀はこれまで四半期インフレ報告や総 裁の講演などで繰り返し利上げの再開を示唆してきただけに、今回の据え置き決定の背景には政府による 圧力があったものと推測される。これは政府の姿勢がインフレ抑制から景気刺激に傾きつつあること(財政 再建路線の後退)も意味しており、中銀の独立性に対する懸念も相まって、レアルの下押し圧力となろう。 市場予想に反して政策金利を据え置き 力を容認するかのような発言をしたうえ、18日には中銀 総裁と会談したと報じられている。今回の据え置き決定 は政府・中央銀行の姿勢がインフレ抑制から景気刺激 に傾きつつあることを示唆している可能性もあろう。 ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、1月19~20日の金 融政策委員会で、市場予想に反して政策金利を 14.25%に据え置くことを決定した。Bloombergによる調 査では、回答者57人中28人が0.50%ポイントの利上げ、 14人が0.25%ポイントの利上げ、15人が据え置きを予想 しており、利上げ予想が大勢となっていた。据え置きは9 月の会合以降4会合連続。声明文では、国内外、特に 海外の不確実性の高まりなどを考慮したとしており、前 回と同様、詳細な背景については言及されていない。 委員会の採決では、前回と同様、8人中2人の委員が 0.50%ポイントの利上げを主張したが、残りの6人が据え 置きを支持した。 近く発表の経済対策が景気刺激策に傾く可能性 市場では、1月末~2月上旬頃に発表されるとみられる 政府の包括的な経済対策が注目されている。報道によ れば、年金制度改革などの歳出抑制策に加え、建設業 や中小企業向けの貸出拡大策など景気刺激策が検討 されている模様である。政策の内容が財政再建よりも景 気刺激に傾斜する可能性があり、財政再建路線の後退 として市場ではネガティブに受け止められる恐れがあろ う。 利上げ見送りを求める政府からの圧力が背景か 中銀の独立性や財政再建への懸念が売り材料 中銀は昨年12月23日に公表した四半期インフレ報告 で、インフレ率(拡大消費者物価指数の前年比)の見通 しを2015年:+9.5%→+10.8%、2016年:+5.3%→+6.2% とそれぞれ上方修正し、新たに公表した2017年のインフ レ率見通しを+4.8%とした。同時にインフレ率を2017年 にインフレターゲット(+4.5%±2%)の中央値に収束させ るために必要な措置を講じるとし、利上げの再開を示唆 していた。中銀が市場のインフレ期待を評価するうえで 重視する中銀の週次の市場調査でも、2017年のインフ レ率見通しが+5.40%(1月15日調査時点)と足元で一段 と悪化していた。 前述の通り、今回の据え置き決定は、中銀の独立性 に対する懸念や、財政再建を巡る先行き不透明感をも たらす可能性もあり、通貨レアルの下押し圧力となろう。 決定は20日の市場取引終了後であったが、21日の為 替市場ではネガティブな反応が予想される。 図表1. 政策金利および拡大消費者物価指数 中銀がそうした中で今回政策金利の据え置きを決定 した背景には、利上げの見送りを求める政府からの圧 力があったものとみられる。2015年7-9月の実質GDPが 前期比▲1.7%と3四半期連続のマイナスとなるなど景気 後退が続いており、与党内からは景気刺激策を求める 声が高まっている。こうした中、昨年末以降、与党労働 者党党首を含む与党議員から利上げの見送りを求める 声が相次いでいた他、一部報道では与党議員から中銀 総裁の辞任を求める発言も出ていた。一方、ルセフ大 統領やバルボザ財務相は中銀の決定を尊重(利上げを 支持)するとして、当初はこうした発言の火消しに回って いた。しかし、ルセフ大統領は15日に中銀に対する圧 イ ン フ レ タ ー ゲ ッ ト (%) (前年比、%) 20 19 18 17 16 拡大消費者物価指数 (前年比、左軸) 15 14 13 12 11 10 政策金利 (右軸) 9 8 07/1 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 7 16/1(年/月) 注: データは物価が15年12月、金利は16年1月20日まで。 インフレターゲットは+4.5±2% 出所: Bloomberg、CEIC、ブラジル中銀などよりSMBC日興証券作成 17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 13.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 日本株担当: 溝渕 彩乃 年明け以降、日本株は下落傾向が続いている。1月20日には、日経平均は昨年来安値を付け、日銀の追 加緩和前の水準に戻ったかたちとなった。ただ、足元の株価調整により、東証一部25日騰落レシオが2008 年10月以来初めて60%を割り込む等、テクニカル指標は「売られ過ぎ」の水準を示しており、底値は近い可 能性がある。特に来週は、米国でFOMC、国内で日銀会合が予定されており、株価の反転が期待される。 図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 【国内主要株価指数】 110 1,900 (150日前を100として指数化) 105 1,850 100 1,800 95 【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】 (pt) (%) 0.7 日本10年物国債利回り(右軸) 0.6 0.5 1,750 90 0.4 1,700 85 0.3 1,650 80 0.2 1,600 75 日経平均 日経JASDAQ指数 70 65 6/10 7/10 8/9 9/8 東証マザーズ指数 11/7 12/7 1/6 (年/月) 6/10 2016年 【日経平均と25日移動平均・乖離率】 (円) (%) 7/10 8/9 9/8 10/8 11/7 0 1/6 (年/月) 12/7 2016年 2015年 20 23,000 10 (円) 【日経平均と100日移動平均・乖離率】 (%) 日経平均株価(左軸) 15 日経平均株価 (左軸) 25日移動平均(左軸) 21,000 0.1 東証REIT指数(左軸) 1,500 10/8 2015年 23,000 1,550 21,000 15 10 100日移動平均(左軸) 5 19,000 20 5 19,000 0 -5 17,000 25日移動平均乖離率 (右軸) 15,000 6/10 7/10 8/9 9/8 10/8 11/7 12/7 2015年 (円) 23,000 0 -5 17,000 100日移動平均乖離率 (右軸) -10 -15 15,000 1/6 (年/月) 6/10 7/10 【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】 10/8 11/7 12/7 (円) 250 -15 1/6 (年/月) 2016年 【日経平均 ストキャスティクス(9日)】 300 23,000 21,000 9/8 2015年 2016年 日経平均株価(左軸) 東証一部25日騰落レシオ(右軸) 8/9 -10 300 日経平均株価(左軸) %D(右軸) Slow %D(右軸) 21,000 250 200 200 (%) 19,000 19,000 150 100 120%ライン 17,000 (%) 80%ライン 150 100 17,000 70%ライン 15,000 6/10 2015年 7/10 8/9 9/8 10/8 11/7 12/7 50 20%ライン 50 15,000 1/6 (年/月) 6/10 2015年 2016年 7/10 8/9 9/8 10/8 11/7 12/7 0 1/6 (年/月) 2016年 注: データは2016年1月20 日まで 出所: 各図表ともQUICKよりSMBC日興証券作成 テクニカル指標の見方 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買 われ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。 %D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均) Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。 18 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 14.来週・再来週の主なスケジュール <来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 日本 1月 25日 (月 ) 独 - 米国 1月 26日 (火 ) 韓国 日本 米国 1月 27日 (水 ) 英国 豪州 ロシア 日本 米国 1月 28日 (木 ) ユーロ圏 英国 NZ フィリピン 南ア 日本 1月 29日 (金 ) 米国 ユーロ圏 1月 30日 (土 ) 1月 31日 (日 ) メキシコ 日本 市場予想 前月・ 前期・ 前年 12月 12月 12月 12月 1月 - 11月 11月 1月 10-12月期 - 10-12月期 10-12月期 12月 - 1月 10-12月期 12月 12月 12月 - 10-12月期 12月 12月 12月 10-12月期 1月 10-12月期 12月 - 10-12月期 - - 10-12月期 12月 12月 12月 12月 12月 1月 10-12月期 1月 1月 12月 1月 10-12月期 - 貿易収支( 季調済) 貿易収支 輸入( 前年比) 輸出( 前年比) IFO景況指数 アサド政権と反体制派による和平会議 S&P/ケースシ ラー住宅価格指数( 前年比) FHFA住宅価格指数(前月比) コンファレンスボード消費者信頼感指数 ア ッ プル決算 FOMC( 連邦公開市場委員会、 ~ 27日) 実質GDP(前期比、速報) 富士フイルム決算 新築住宅販売件数( 前月比) 政策金利 全国住宅価格(前年比) 消費者物価指数(前期比) 実質小売売上高(前年比) 鉱工業生産(前年比) 小売業販売額(前年比) 日銀金融政策決定会合( ~29日、 展望レポート公表) OLC、川重決算 耐久財受注( 除輸送用機器、 前月比) 耐久財受注( 前月比) 中古住宅販売成約指数(前月比) キャタピラー決算 経済信頼感指数 実質GDP(前期比、速報) 貿易収支 政策金利 実質GDP(前期比) 政策金利 黒田日銀総裁が記者会見 ミツコシイセタン、JR東日本、JAL、東ガス決算 全国消費者物価指数( 生鮮食品除く 、 前年比) 家計調査-実質消費支出(前年比) 有効求人倍率 失業率 鉱工業生産指数( 前月比、 速報) 都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比) 実質GDP( 前期比年率、 速報) ミ シ ガン大学消費者信頼感指数( 確報、 前回値は速報値) シカゴ購買部協会景況指数 マネーサプライM3(前年比) 消費者物価指数( 速報、 前年比) 実質GDP(前期比) 民主党大会 624億 円 ▲33億 円 1,239億 円 ▲3,813億 円 ▲16.5% ▲10.2% ▲7.0% ▲3.3% 108.7 - - - 5.54% - 0.4% 0.5% 96.8 96.5 - - - - 1.3% - - - 2.0% 4.3% 0.25~ 0.50% 0.25~ 0.50% 4.5% - 0.3% 0.5% ▲15.0% ▲13.1% ▲4.0% ▲3.5% ▲0.1% ▲1.1% - - - - 0.0% 0.0% ▲1.0% 0.0% 1.2% ▲0.9% - - 106.8 - 0.4% - - ▲7.79億NZドル 2.50% 2.50% 1.1% - 6.75% 6.25% - - - - 0.2% 0.1% ▲2.4% ▲2.9% 1.26倍 1.25倍 3.2% 3.3% ▲0.3% ▲0.9% 0.1% 0.1% 0.9% 2.0% 93.0 93.3 46.0 42.9 5.1% - 0.2% - 0.8% - - - 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月21日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 19 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 <再来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 日本 市場予想 前月・ 前期・ 前年 1月 10-12月期 - 12月 米国 英国 豪州 インドネシア フィリピン ロシア ブラジル 12月 12月 1月 10-12月期 1月 1月 1月 1月 2015年 1月 10-12月期 1月 12月 - - - 12月 - 10-12月期 1月 1月 12月 12月 10-12月期 10-12月期 - 1月 - 10-12月期 12月 - - 10-12月期 12月 1月 1月 1月 1月 12月 10-12月期 1月 1月 1月 米国 中国 - - 2月 1日 (月 ) 英国 中国 インドネシア 2月 2日 (火 ) タイ 日本 米国 ユーロ圏 豪州 インド ブラジル 日本 米国 2月 3日 (水 ) ユーロ圏 豪州 NZ 2月 4日 (木 ) タイ トルコ - 日本 米国 英国 メキシコ 日本 米国 2月 5日 (金 ) 新車販売台数(除く軽自動車、前年比) 新日鉄住決算 アイオワ州党員集会(米大統領選本格スタート) PCEコア ・ デフレータ ( 食品・ エ ネルギ ーを除く 個人消費デフレータ、 前年比) 個人所得(前月比) 個人支出(前月比) ISM製造業景況指数 アルファベット決算 製造業PMI 非製造業PMI 製造業PMI 消費者物価指数(前年比) 実質GDP( 前年比) 消費者物価指数(前年比) 三菱電、NTTデータ決算 自動車販売台数(年換算) 失業率 政策金利 政策金利 (レポレート) (リバースレポレート) 鉱工業生産(前月比) 日銀黒田総裁、きさらぎ会の例会で講演 日触媒、デンソー、東武決算 ISM非製造業景況指数(総合) ADP雇用統計( 前月比) 小売売上高(前月比) 貿易収支 就業者数(前期比) 失業率 政策金利 消費者物価指数(前年比) TPP参加12ヵ国で協定に署名(NZ、 オークランド) スクエニHD決算 製造業受注(前月比) 政策金利 政策金利 博報堂DY、トヨタ決算 貿易収支 失業率 非農業部門雇用者数( 前月比) 民間部門雇用者数( 前月比) ハリファックス住宅価格指数(前月比、発表日未定、~10日) 小売売上高(前月比) 実質GDP( 前年比、 発表日未定、 ~7 日) 消費者物価指数(前年比) 消費者物価指数(前年比、発表日未定、~8日) IPCA(拡大消費者物価指数、前年比) - - - 3.1% - - - 1.3% 0.3% - 0.3% - 48.2 - - - 51.9 - 54.4 - 49.7 - 3.35% - 5.0% - ▲0.85% - - - 1,722万台 - 10.5% - 2.00% 2.00% 6.75% - 5.75% - ▲2.4% - - - - - 55.3 - 25.7万 人 - ▲0.3% - - ▲29.06億豪ドル ▲0.4% - 6.0% - 1.50% 1.50% 8.81% - - - - - ▲0.2% - 0.50% 0.50% 3.25% - - - ▲424億ドル - 5.0% - 29.2万 人 - 27.5万 人 - 1.7% - 0.4% - 4.73% - 1.5% - 12.9% - 10.67% - 2月 6日 (土 ) 2月 7日 (日 ) アメリカンフットボールNFLス-パーボウル 春節休暇( ~13日) - - 注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2016年1月21日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります 出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成 20 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 - - 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 投資情報部作成最新レポートのご紹介 【定期発行レポート】 日次 週次 月次 Daily Outlook(日刊投資情報) Weekly Outlook(週刊投資情報) 月刊投資情報(株式・為替・金利の見通し) @ Wall Street 投資部門別売買動向(現物・先物) 日本株投資戦略(月刊プレゼン資料) 主要通貨デイリー 来週・再来週の注目スケジュール 米国株式投資ガイド 新興国通貨デイリー 米国 ETF テクニカル週報 日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト) Global Market Review 米国主要企業決算発表スケジュール 投資初心者向け資料 向こう 3 ヵ月の注目スケジュール Japan Market Review 【随時発行レポート】 <Spot Report > 2016/01/21 ブラジル経済 予想に反して政策金利の据え置きを決定 2016/01/20 日本株式 日経平均は昨年来安値を更新 2016/01/20 中国株式 本土市場は GDP 発表を受けて反発するも軟調な地合い継続へ 2016/01/20 トルコ 金融政策の簡素化は当面先送りされる可能性も 2016/01/20 インド株式 足元は外部要因に左右されるもファンダメンタルズ面で優位性 2016/01/19 米国株式 Hot Topics:米国株市場の反発に備える 2016/01/18 日本株式 波乱が続く株式市場の底打ちの条件 2016/01/18 米国株式 米国株の下落について 2016/01/15 インドネシア 2015 年 2 月以来の利下げを決定 2016/01/14 豪ドル チャイナリスクを超えて 2016/01/13 日本株式 2016 年の日経平均の見通しを下方修正 2016/01/13 グローバル投資リスク 2016 年世界の「10 大リスク」について 2016/01/12 為替 米ドル:予想以上に堅調だった 12 月雇用統計と当面のドル円相場 <カントリー・レポート> 2016/01/18 南アフリカ共和国概観 2015/10/19 インド概観 <注目の投資テーマ&業界ナビ> 2016/01/07 2016 年の注目 10 銘柄のご紹介 2016/01/06 国内消費関連データ集 2016/01/05 ROE 重視の姿勢が一層強まる日本株市場 <プレゼン資料ほか> 2016/01/20 米国ストラテジー・セレクション『バンク・オブ・アメリカ』 2016/01/18 米国ストラテジー・セレクション『U・S・バンコープ』 2016/01/15 コーポレートガバナンス・コードの威力(更新版)~ガバナンス対応に積極的な企業に注目~ 2016/01/13 テクニカル指標は「売られ過ぎ」のサイン 2016/01/12 日経平均株価の 2015 年 8 月急落時と今回との比較 2016/01/08 日本株市場を泳ぐ「5 頭のクジラ」(更新版) * 上記レポートをご希望の方は、最寄りの支店までお問い合わせください。 21 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2016 年 1 月 21 日(木) 投資情報部 Weekly Outlook No.238 本資料について 【免責事項】 本資料は証券その他の投資対象の売買の勧誘ではなく、SMBC日興証券株式会社(以下「弊社」といいます)が投資情報の提供を目 的に作成したものです。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づいて作成していますが、これらの情報 が完全、正確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本資料に記載する価格、数値等 は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等は予告なしに変更する ことがありますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。本資料は将来の結果をお約束するものでもありませんし、本資料に ある情報をいかなる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用されるものであり、本資料にある情報の 使用による結果について、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。本資料は、本資料を受領される特定のお客様 の財務状況、ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものではありません。本資料はお客様に対して税金・法律・投資上のアド バイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目 論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 本資料は、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本資料に含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご使用ください。本 資料は弊社の著作物です。本資料のいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製 または転送等を行わないようにお願いいたします。本資料に関するお問い合わせは、弊社の営業担当者までお願いいたします。 本資料に記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。 【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項】 手数料等について 弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内 の金融商品取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400 円)の委託手数料をお支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大 4.32%の 申込手数料、最大 4.5%の換金手数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管理費用)及 びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお 支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商品の場合、 円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによるものとしま す。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含む料率又は金額を記載しております。 リスク等について 各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財 務・経営状況を含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は元 本を超過する損失を生ずるおそれ(元本超過損リスク)があります。 なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバ ティブ取引等についてお客様の差入れた委託保証金又は証拠金の額(以下「委託保証金等の額」といいます。)を上回る場合があると共 に、対象となる有価証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過 損リスク)があります。 また、店頭デリバティブ取引については、弊社が表示する金融商品の売付けの価格と買付けの価格に差がある場合があります。 上記の手数料等及びリスク等は商品毎に異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料等をよ くお読みください。なお、目論見書等のお問い合わせは弊社各部店までお願いいたします。 商 号 等 SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2251 号 加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商 品取引業協会 (2015/04/09 版) 22
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