モナコ公国 PRINCIPATO DI MONACO モナコ公国の歴史 STORIA UFFICIALE DEL PRINCIPATO DI MONACO 切り立つ岩に保護されて古代から自然港だったモナコ。しかし1419年までは、ジェノヴァの二大勢力、皇帝 派ギベッリーニと教皇派グエルフィの権力争いの舞台であった。1297年1月、策を弄した教皇派フランソ ワ・グリマルディが修道士に扮し要塞へ侵入、占拠に成功する。このエピソードは、剣をかざす二人の修道士 の姿でグリマルディ家の紋章に刻まれ、以来700年以上に渡って同家が統治を続けている。 グリマルディ家のシャルル1世が、1346年マントン、1355年ロクブルニ ュを領地として取得し、公国領として制定。 フランス王シャルル8世とサヴォイア公爵によりモナコの独立が認められ るのは1489年。だがその後相次いで他国の保護下に入り、完全に独立す るまではさらに約370年を要する。 1612年モナコ候(Signore)オノレ2世が大公(Principe)の称号を得る。 1641年9月、オノレ2世がフランス王ルイ8世とペロン協定に調印、フラ ンスと同盟関係を結ぶ。これにより1525年よりスペインの保護下にあっ たモナコは、フランスの保護下へ移ることとなる。 グリマルディ家の紋章 1793年、第一共和制下のフランスにより、単なる海側アルプスの一都市として「フォール・エルキュール (ヘラクレス砦)」の名で仏領に再び統合される。 1814年5月30日のパリ協定でグリマルディ家に全権が返還されるも、翌年11月の第2パリ協定ではサルデー ニャ王国の保護下に置かれることが決定。 サルデーニャは後の1860年に、マントンとロクブルニュの権利をフランスに移転。これに対しモナコのシャ ルル3世大公は強く抗議の意を表す。 しかしシャルル3世は翌年2月、上記2都市の権利を放棄。これによりモナコ公国の完全な独立が決定的となる。 1865年、領海も含んだフランスとモナコ領内では関税同盟が成立。カジノの建築も始まり、翌年6月1日の勅 令により、着工地のスペルゲス台地がモンテカルロと名付けられる。 1906年、モナコのアルベール1世大公が海洋学研究所を設立。この博識の大公は自ら大西洋のアゾレス諸島、 北アメリカ、ブラジル海岸、北極海のスピッツベルゲン諸島など様々な航海を敢行。アナフィラキシー(過敏 症)が1901年に発見されたのも彼の船上からで、免疫研究の発端となった。その他にも人類博物館、海洋博 物館、異国庭園、地中海科学調査国際委員会(C.I.E.S.M.) などを設立する。 1911年、憲法制定。 1918年フランスとの協定により、フランスはモナコ公国の独立と主権、現領土を保証し、モナコ公国はフラ ンスの利益を顧慮した上で主権を行使することが定められる。翌年ヴェルサイユ条約調印国により批准される。 祖父ルイ2世の後を継ぎ、1949年レイニエ3世が大公に就任。1956年レイニエ 3世、米国の映画女優グレース・ケリーと結婚。 1962年12月に新憲法が制定され、国の基本法律となる。 1963年フランスとの間に収税協定と相互行政援助の新協定を結ぶ。総売上高が 国外で25%を超える会社に対し収益税をかけること、1957年10月13日以降モ ナコ在住となったフランス人はフランスの個人所得税が課せられることが決定。 1982年グレース妃が事故により死亡。 1993年5月、183番目の国際連合加盟国となる。 王宮広場に立つ フランソワ・グリマルディの像 2004年欧州評議会の46番目の加盟国となる。 ジェネラル・インフォメーション INFORMAZIONI PRATICHE 王宮広場に設置されたルイ14世時代の大砲と砲弾。 砲弾はこの他、ベンチの脚にも使われている。 地形 フランス南東部に位置し、イタリアとの国境からは 12km。南アルプスのふもと、地中海沿岸にわずか4km ほど広がる小さな国だ。国土195ヘクタールのうち31ヘ クタールを海が占める。 気候 天候に恵まれ晴れの日が年間300日を超える。平均気温 は冬期10℃、夏期25〜30℃。 言語 公用語はフランス語だが、イタリア語、英語も通じる。 リグーリア地方とプロヴァンス地方に根ざすモナコ方言 というものもあり、現在でも高齢の人々はこれを使う。 また学校でも教えられている。 通貨 貨幣単位はユーロ。モナコ固有のデザインが刻印された貨幣もある。店では主要外貨で支払える場合もある。 時差 日本との時差は夏時間(モナコでは3月の終わりから10月の終わりまで)で-7、冬時間で-8。 銀行とクレジットカード 銀行は月曜から金曜まで、午前9:00〜12:00と午後2:00〜4:30(祝日にあたる場合は午前のみ)が一般的だ が、土曜も営業している銀行もある。クレジットカードはアメリカンエクスプレス、ダイナーズ、マスター、 ヴィザなどが最も利用範囲が広い。多くの両替所は毎日営業している。 郵便 月〜金の午前8:00〜午後7:00、土は12:00まで。なお、モナコからの郵便にはフランスの切手も使用できる。 ショッピング デパートは一般的に日祝が休みで、営業時間は午前9:00〜12:00、午後3:00〜7:00。土曜午後あるいは月曜 午前が休みの店もある。ほとんどの店では免税で買い物ができる。モナコ・ヴィル地区の旧市街の路地で手ご ろなお土産が見つかる。ラ・コンダミーヌ地区ではグリマルディ通りやカロリーヌ王妃通り、モンテカルロ地 区ではル・メトロポールやムーラン大通り、ド・ラ・コスタ通り、ボザール通り、イタリー大通り、グレース 王妃通り。フォンヴィエイユ地区の大型ショッピングセンターや港周辺の店もお勧めだ。 交通 市内での交通は厳しく規制されており、モナコまたは海側アルプスのフランスの県に登記された車両のみ通行 可。その他の車両は駐車場などに置いていくことになる。 都市バス5路線が月〜土曜は午前7:00〜午後9:00に約11分おき、日祝は午前7:30〜で約20分おきに運行し、 主要地点を結んでいる。一律料金だが4回か8回分の回数券を買うと割引きになる。チケットは車内で購入。 また205のエレベーター、エスカレーター、動く歩道が市内の53地点を結び、モナコならではの独特のネッ トワークを作っている。その他タクシーやタクシーバス、さらにヘリコプターも利用できる。 国の行事 11月19日は贅を尽くして祝う大公祭。国中が赤白のモナコ国旗であふれ、数々のセレモニーやパレード、シ ョーが行われる。前夜祭には大規模な花火が打ち上げられる。モナコ国民にとって大切な祭りだ。 モナコ政府観光会議局 www.visitmonaco.com モンテカルロ: 2a, boulevard des Moulins, Monte-Carlo MC 98030 Monaco CEDEX Tel. +377 92 166 166 [email protected] www. monaco-tourisme.com ミラノ: Via dante, 12 20121 Milano, Italia Tel. +39 2 8645 8480 Fax. +39 2 8645 8469 [email protected] 東京: 〒108-0071 東京都港区白金台5-15-5-101 Tel. 03-5798-7403 Fax. 03-3280-2655 E-mail: [email protected] www. monaco.or.jp 月〜金10:00〜12:00、13:00〜17:00(土日祝休み) 美術館と観光名所 MUSEI E LUOGHI D'INTERESSE 旧市街と王宮広場 ひしめく家々と、互いに通じ合う狭く細長い路地が旧市街。これに平和礼拝堂、慈悲の礼拝堂、サン・マルタ ン庭園、サン・ニコラ広場、ボジオ小広場、大階段などが色彩を与えている。これらの路地をたどってゆくと 王宮広場に出る。ここの砦のどちら側からも広々とした景色が楽しめる。盛装での衛兵交代も見逃せない。 100年以上も続いている儀式で、毎日午前11:55きっかりに行われる。 王宮 Tel. +377 93 25 18 31 www.palais.mc 所要時間:35〜40分 イタリア式回廊、ルイ15世の大広間、王座の間、王宮内礼拝堂、栄誉の中 庭など、グエルフィとギベッリーニからナポレオンの時代まで、世紀を経た 壮麗な宮殿内を見学できる。10カ国語のテープガイドが無料で用意されて いる。 ナポレオン遺品博物館と王宮史書コレクション Tel. +377 93 25 18 31 www.palais.mc 所要時間:1〜2時間 ナポレオン第一帝政に関する1000以上もの遺品や文書、モナコ騎士勲章、 大公に授与された勲章、王宮衛兵のユニフォームなど、モナコの歴史をたど るコレクションだ。10カ国語のテープガイドが無料で用意されている。 海洋博物館と水族館 Tel. +377 93 15 36 00 [email protected] 所要時間:2時間30分〜3時間 1910年アルベール1世大公により設立された海洋博物館。海洋学者でもある大公が自ら研究の折に使用して いた器具や、海に関する美術品が納められている。さらに大公の自然科学分野における活動の成果である動物 学に関するコレクション、自然科学図書館もある。 一方、水族館は地中海と熱帯地域の代表的な魚群を集めており、多様な種類と希少性で定評がある。450㎥も あるサメの水槽も見ごたえ抜群。 聖母訪問会礼拝堂美術館 Tel. +377 93 50 07 00 所要時間:30分 ピアセッカ・ジョンソン夫人の膨大な宗教美術コレクションの一部を、17世紀建造のバロック様式の礼拝堂 内に収容している。ルーベンスやスルバラン、リベラ、そしてイタリアバロック絵画の傑作を鑑賞できる。 蝋人形美術館 Tel. +377 93 30 39 05 所要時間:20〜30分 等身大の歴代グリマルディ王家の主役たちが当時の衣装で、13世紀末から現代まで歴史の中の名場面を再現 する。 モナコ大聖堂 Tel. +377 93 30 87 70 ラ・トゥルビ産の白石で造られたロマネスクービザンティン様式の聖堂で、歴代王家の墓がある。内部にはニ ースの画家ルイ・ブレアによる祭壇画、カッラーラ地方の白大理石を使った主祭壇と司教座が置かれている。 1976年に導入された荘厳な大オルガンによる宗教音楽の素晴らしいコンサートも開かれる。 慈悲の礼拝堂 1639年建設の礼拝堂は、グエルフィ党黒派の告解信者会の本拠地であり、初の主任司祭を務めたのはオノレ 2世大公であった。ここに納められている宗教美術の中には、モナコ出身で皇帝ナポレオン1世の公式彫刻家 であったフランソワ・ジョゼフ・ボジオによる磔刑のキリスト木像がある。入口扉の上部はみごとな19世紀 の陶製彫刻に飾られている。 モンテカルロ・ストーリー“モナコ・ル・フィルム” Tel. +377 93 25 32 33 [email protected] 所要時間:35分 コートダジュールで唯一、1297年から現代までの歴代モナコ大公や妃たちの、本当にあった情熱的なエピソ ードを回想するマルチヴィジョン・フィルム。日本語を含む9か国語での同時通訳がある。映画ポスターの常 設展示もある。 観光 列車“アズール・エクスプレス” Tel./Fax. +377 92 05 64 38 所要時間:30分 モナコ国旗と同じ赤白のミニ列車に乗って、モナコの街の特別な魅力を発見。日本語を含む10か国語での解 説つき。 カジノ Tel. +377 92 16 20 00 所要時間:30〜40分 シャルル・ガルニエによる建設。オニキス製のイオニア式円柱28本に囲 まれたアトリウムから、緋と金の内装が美しい“ガルニエの間”へ。ここ は1世紀以上もの間、世界中の主なオペラの舞台となっている。続いて賭 博室は、ステンドグラス、彫刻や寓意画、ブロンズのシャンデリアで美し く飾られている 。 アンティーク人形と機械人形国立博物館 Tel. +377 93 30 91 26 [email protected] www. monte-carlo.mc/musee-national 所要時間:1時間 やはりシャルル・ガルニエによる豪華な邸宅には、19世紀に流行した、 人形や機械仕掛けの人形たちの珍しいコレクションがミニチュアの家具や 調度品とともに展示されている。ナポリのプレゼーピオ(キリスト降誕の 場面の模型)にも注目したい。 異国庭園、展望洞窟、先史人類博物館 Tel. +377 93 15 29 80 [email protected] www. monte-carlo.mc/jardinexotique 所要時間: 庭園と洞窟 1時間30分/博物館 30分 山に隣接する異国庭園では、数も種類も豊富な多肉植物(サボテンなど)が年間を通し花を咲かせている。庭 園内にある、鍾乳石と石筍で覆われた別世界のような展望洞窟を訪れてもよいし、先史人類博物館で時間を超 える旅を楽しむのもよい。 動物園 Tel. +377 93 25 18 31 www.palais.mc 所要時間:1時間30分〜2時間 砦の南側に位置し、とりわけ温暖な気温のおかげで、多くの熱帯産とアフリカ産の動物たちが生活するのに適 している。なかでも猿、ライオンやトラなど大型のネコ科動物、爬虫類、鮮やかな色彩の鳥類は種類が豊富だ。 船舶博物館 Tel. +377 92 05 28 48 www. musee-naval.mc 所要時間:45分〜1時間 古代から現在まで250を超える名高い船の、貴重な模型を収集。輝かしい海軍の歴史に思いを馳せることがで きる。世界でも有数の、完全で種類の多い希有なコレクションとなっている。 切手とコイン博物館 Tel. +377 93 15 41 50 所要時間:1時間 モナコの郵便の歴史を記録する、貴重な切手コレクション。コインや紙幣、記念メダルを展示した一角もあり、 1640年から現代までのこの国のコイン研究における優れた資質を証明している。 モナコ大公アンティーク自動車コレクション Tel. +377 92 05 28 56 www.palais.mc 所要時間:45分 あらゆる時代の自動車を100台近く一堂に展示してお り、思わず目を奪われる。レイニエ3世大公の所有して いた6台の馬車も必見。 アクアヴィジョン Tel. +377 92 16 15 15 [email protected] www.aquavision-monaco.com 周遊時間:55分 乗船:Quai des Etas-Unis 双フロート式の船に乗って海底周遊。沿岸の海底をじっ くり観察すると同時に、海からの眺めはかつて初めてモ ナコが発見された史実を追体験させてくれる。 ヨットハーバー
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