15-D-0061 2015 年 4 月 16 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 日本ロジスティクスファンド投資法人 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し (証券コード:8967) AA+ 安定的 ■格付事由 (1) 本投資法人は物流施設特化型の不動産投資法人(J-REIT)。資産運用会社である三井物産ロジスティク ス・パートナーズ(MLP)の株主は、三井物産(51%)、三井住友信託銀行(29%)およびケネディクス (20%)となっている。安定性の維持と持続的な成長の両立を機軸とする運用を行っていく方針であり、 各スポンサーからのサポート体制を基盤とし、外部成長、安定的な収益の確保、および強固な財務基盤の 構築を進め、物流施設特化型 J-REIT のパイオニアとして 19 期にわたる運用実績を有する。 (2) 現在の資産規模は、37 物件、取得金額総額約 2,029 億円。保守的な投資方針のもと、これまで競争力の 高い立地に所在する物流施設に選別投資してきた。この 1 年間においては、投資法人自らが行う保有物件 の再開発(OBR)への取り組みや資産の入れ替えを実施するなどして、ポートフォリオの収益拡大および 質的向上を進めてきた。J-REIT として初の全面的な OBR となる「八千代物流センター」は、14 年 12 月 に工事が完了し、賃貸事業損益の向上によって含み益が拡大している。また、更なるポートフォリオの強 化を図るため、新規に築浅な 2 物件(取得価格計約 103 億円)を取得する一方、築年が 20 年以上経過し ている 2 物件(売却時帳簿価格計約 111 億円)を売却した。こうした取り組みの中、ポートフォリオ全体 の含み損益率は、15/1 期末で約+28.6%と J-REIT の中で最も高い水準を維持している。MLP では、物流 施設に係る投資リスク低減への対応を意識した戦略のもと、これまで、外部成長面、内部成長面、財務面 において市場環境に即した柔軟かつ堅実な運用実績を有し、足元においてもポートフォリオの高い収益性、 高い含み益率、保守的な LTV 水準が維持され、従来と同様に堅実な運用が継続されている。以上を踏ま え、格付を据え置き、見通しを安定的とした。 (3) ポートフォリオの稼働率は 15/1 期末で 95.1%となっている。14/1 期末の 99.0%からやや低下しているが、 OBR を進めていた「八千代物流センター」において契約ベースの稼働率(100%)を考慮すれば、ポート フォリオの稼働率はほぼ 14/1 期末と同様の水準となる。テナントとの賃貸借は長期契約が中心であり、 15/1 期末における残存賃貸借契約年数は 7.3 年と長く更新時期の分散化も図られている。一方で、物流施 設に対する旺盛な需要による堅調な市況の中、特に東京近郊においては新規の開発案件が相次いでおり、 今後、想定される賃借需要を上回る供給も予定されていることから需給バランスの悪化による賃料および 稼働率の動向には留意が必要であるものとみている。ただ、本投資法人については、メインスポンサーで ある三井物産のサポートによるものを含めたテナントとの間での良好なリレーションが構築されており、 競争力の高い立地に所在する物流施設を中心としたポートフォリオであることとも相俟って、需給バラン スの悪化に対する耐性が相応に備わっているものと判断している。 (4) 財務面については、金融機関との良好な取引状況のもと強固な財務基盤が構築されている。借入金は全額 無担保・無保証での調達であり、返済期限の分散化も進み、有利子負債の長期固定化比率は高い水準であ る。LTV については、鑑定評価額ベースで 30%前半の水準を意識した保守的な水準でコントロールをし ていく方針に変更はない。また、総資産ベースの LTV は 15/1 期末で約 35.2%と、J-REIT の中でも保守 的な水準にある。なお、ポートフォリオが多額の含み益を有することから鑑定評価額ベースの LTV は約 27.8%と、更に保守的な水準となっている。 (担当)杉山 1/3 http://www.jcr.co.jp 成夫・秋山 高範 【新規に取得した主要物件の概要】 (1) 相模原物流センター 本物件は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道) 「相模原 IC」まで約 4km の距離に位置する物流施設。圏央 道は、関越自動車道、中央自動車道、東名高速道路等を介して広域的な輸送アクセスが向上したため、近 年、圏央道沿線は物流立地としてのニーズが高まっている。本物件が所在する相模原エリアは、東京都内や 横浜・川崎等の一大消費地に近接していることから、一般消費財の首都圏向け保管・配送拠点として底堅い ニーズが期待できるエリアである。また、本物件周辺には住宅地が広がっているため、労働力確保の面で特 段問題のないエリアである。 本物件は、スポンサーであるケネディクスに AM 業務を委託している SPC から取得している。有効柱間 隔 10m以上、有効天井高 6.0m、床荷重 1.5t/㎡の仕様を備えているため汎用性が確保されている。また、多 数の垂直荷役設備の設置により、貨物の効率的な入出庫や庫内移動が可能となっている。 取得日:15 年 3 月 3 日 取得価格:8,032 百万円(ポートフォリオ比:約 4.0%) ■格付対象 発行体:日本ロジスティクスファンド投資法人 【据置】 対象 長期発行体格付 格付 見通し AA+ 安定的 2/3 http://www.jcr.co.jp 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日: 2015 年 4 月 1 4 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者: 藤 本 主任格付アナリスト: 杉 山 成 夫 幸一 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類 と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法(格付方法)の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)のストラク チャード・ファイナンス「格付の方法」のページに、 「J-REIT」(2014 年 6 月 2 日)の信用格付の方法として掲載し ている。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) 日本ロジスティクスファンド投資法人 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置: な し ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 3/3 http://www.jcr.co.jp
© Copyright 2024 ExpyDoc