Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
高い貯蓄率が今後の消費加速を物語る
2015年4月10日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~4週移動平均は15年ぶり低水準~
・新規失業保険申請件数は28.1万件と市場予想に概ね一致して5週連続で30万件割れをキープ。4週移動平
均は0.3万件減少して28.2万件となり、今次サイクルの最低を更新、約15年ぶりの低水準となった。目下の
失業保険申請件数は雇用統計NFPの25万人に整合するレベルであり、今回の結果は3月雇用統計の弱さ
が単に一時的な振れに過ぎないとの見方にますます自信を持たせる。労働市場に対する楽観的な見方を固
持すべきだろう。
(千件)
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数
700 (千件)
650
600
550
500
450
400
350
300
250
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
410
380
350
320
290
260
12
13
14
15
(備考)Thomson Reutersにより作成。太線:4週移動平均
(備考)Thomson Reutersにより作成
・2月独鉱工業生産は前月比+0.2%と市場予想に一致したものの、1月分は符号逆転を伴い下方修正(+
0.6%→▲0.4%)。製造業生産は2月に前月比+0.6%増加したとはいえ、1-2月平均は昨年4Qを+
0.2%上回っているに過ぎず、冴えない動きとなっている。ただし、それでもPMI生産指数は3月に55.5
と11ヶ月ぶり高水準を記録、3月の大幅増産を示唆しており、先行きに明るい見方を提供している。
・3月フランス銀行ビジネス・センチメント指数の製造業は97と市場予想(98)を下回ったものの、2月対
比では1pt改善。他方、サービス業は93で横ばいとなったが、緩やかな改善基調は維持されており、同国
の成長率が加速に向かうことを示唆している。おな、今回の結果を受けてフランス中銀は1Qの成長率見
通しを従来から0.1%pt引き上げ前期比+0.4%とした。
(%)
40
独 製造業生産・PMI生産
30
20
70
PMI生産
(右)
115
110
105
0
-20
50
100
製造業生産
95
40
90
-30
-40
07
08
09
10
11
(備考)Thomson Reutersにより作成
BdFビジネスセンチメント
60
10
-10
仏
30
85
12
13
14
15
製造業生産は3ヶ月前比年率
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
14
15
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は続伸。欧州株高に追随したが、8日の引け後に決算を発表した非鉄大手が大幅下落するな
ど企業業績に対する警戒感が根強いことを印象付ける。一方、欧州株は1%超ラリーする国が目立った。
・前日のG10通貨はUSDの強さが目立った一方でCHF、EURの弱さが目立った。スイス10年金利のマイナス幅拡
大が意識されたことなどからCHFが売られ、それに追随する形でEUR、DEKなど欧州通貨が総じて軟調。
EUR/USDは1%超下落して1.07を割れた。全般的にUSD買いの動きが強まるなか、USD/JPYは120を回復して
雇用統計前の水準を回復。
・米10年金利は+5.5bpの1.960%。失業保険申請件数の結果を受けて米債は軟調。他方、欧州債市場は堅調。
独10年金利は▲0.3bp、0.160%で引け。スペインは入札が重石になり、4.7bp上昇して引けた。
【国内株式市場・経済指標他】~中国インフレ率:持ち直し~
・日本株は欧米株高に追随して小高く寄り付いた後、一時日経平均は15年ぶりに2万円の大台を回復。
・3月銀行貸出(除く信金)は前年比+2.7%と2月から0.1%pt加速。増税後も安定的に2%台後半を維持
している。M&A需要の高まり、REITの物件取得が背景にあろう。
・3月中国CPIは前年比+1.4%と前月から横ばいも市場予想(+1.3%)は上回った。他方、3月PPI
は▲4.6%と2月から0.2%pt下落幅縮小。原油をはじめ素原材料の下落幅が縮小したほか、食料品も下落
幅が縮小した。
【注目点】
・来週は国内では機械受注、海外では米小売売上高が注目されよう。2月コア機械受注の当社予想は前月比
▲4.5%と2ヶ月連続の減少を見込んでいる。ただし、これは大型案件の剥落を反映したもので、設備投資
が緩やかに持ち直していくとの見方に変わりはない。日銀短観で示された設備投資計画は設備過剰感解消
に沿ったものであり、国内景気が緩やかに持ち直すなか、設備投資に加速感がでてくると考えるのが自然
だろう。
・3月米小売売上高のコンセンサスは前月比+1.0%と反発が見込まれている。ガソリン価格の下げ止まりが
反映されるほか、3月自動車販売台数(季節調整済年率換算)が1715万台と4ヶ月ぶりに増加していたこ
とから判断すると、自動車も回復が見込まれる。また、それらを除いたコア小売売上高もコンセンサスは
前月比+0.5%と、驚くほど軟調だった過去2ヶ月からの回復が見込まれている。過去数ヶ月に蓄積された
ガソリン安の恩恵が徐々に消費を押し上げるだろう。その根拠として筆者が注目するのは家計の貯蓄率。
通常、消費者信頼感が改善すると貯蓄率は低下(消費性向は上昇)する傾向があるが、過去数ヶ月は消費
者信頼感指数の著しい改善にも拘らず、貯蓄率が上昇している。消費者が原油価格下落を一時的な現象と
捉え、直ちに財布の紐を緩めなかった可能性が指摘できるほか、季節外れの悪天候が消費活動を阻害した
可能性が指摘できる。いずれにせよ、不自然なほどに高まった貯蓄率から判断すると、今後は貯蓄率低下
を伴った消費者加速が期待される。
(10億円)
(%)
9
コア機械受注
マインド悪化
8 貯蓄率上昇
1000
900
7
800
6 マインド改善
0
税制変更要因
20
40
貯蓄率
5
700
60
貯蓄率低下
80
4
600
3
100
CB消費者信頼感(右)
3ヶ月先行
2
500
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 太線:3ヶ月平均
米 貯蓄率・消費者マインド
05
06
07
08
09
10
11
(備考)Thomson Reutersにより作成
15
120
12
13
14
15
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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<主要株価指数>
日経平均※
NYダウ
DAX(独)
FTSE100(英)
CAC40(仏)
<外国為替>※
USD/JPY
EUR/USD
<長期金利>※
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
<商品>
NY原油
NY金
終値
19926.77
17,958.73
12,166.44
7,015.36
5,208.95
120.61
1.0666
0.359
1.960
1.571
0.160
0.449
1.301
1.242
(円)
20100
前日比
-10.95
56.22
130.58
77.95
72.09
20000
19900
19800
(㌦)
18000
0.03
0.00
%
%
%
%
%
%
%
50.79 ㌦
1193.60 ㌦
-0.008
0.055
-0.008
-0.003
0.004
0.053
0.046
日経平均株価 10:32 現在
%
%
%
%
%
%
%
NYダウ平均株価
17900
17800
121.0
USD/JPY
120.5
120.0
0.37 ㌦
-9.50 ㌦
119.5
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
119.0
(出所)Bloomberg
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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