その6 ミトコンドリアの関与

その6
ミトコンドリアの関与
私達の体を構成する細胞の中には、多数のミトコンドリアという小器官があります。
ミトコンドリアは、ほとんど
すべての生物(ヒト、動物、植物、
菌類など)の細胞に在り、酸素を
取り込み、 生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、 車のエンジンや発電所の発
電機のような働きをしています。
エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多くなります。
ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
60 兆個の細胞が活動することで人は生命を維持
片頭痛のひとつの要因として、新陳代謝やエネルギー代謝など代謝の低下があげられま
す。この代謝の低下を引き起こし、また、片頭痛を悪化させるひとつの要因と考えられて
いるのが、エネルギー産生能力の低下です。
私たちの体は、およそ 60 兆個にものぼる細胞から成り立っています。これらの細胞は、
私たちが日々生活を送るために必要なエネルギーをつくり出しています。
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心臓を例にとると、心臓を構成するひとつひ
とつの細胞がエネルギーをつくり出し、そのエ
ネルギーによって心臓を取り囲む丈夫な筋肉で
ある心筋は、24 時間休むことなく働き続けるこ
とができます。もしエネルギーが十分につくら
れなくなれば、心筋の働きは低下。息切れや動
悸といった症状が現れることになります。
各細胞内では、食物から摂取した栄養素を酸
素が燃焼させてエネルギーを生み出しています。
栄養素をきちんと補給してそれを燃焼させるというサイクルをしっかり回さなければ、細
胞はエネルギーを生み出せなくなり、人は生きていくことができません。また、私たちの
体のほとんどの部分では、常に新しい細胞が生まれ、古い細胞と入れ替わっていますが、
こうした細胞の入れ替わりのサイクルも、生命維持には欠かせない仕組みです。
細胞はひとつの生命体です。細胞自体がいつも元気に活動することでエネルギーが生ま
れ、新しい細胞もつくられていきます。(これを新陳代謝といいます)
細胞内のミトコンドリアがエネルギーを生み出す
エネルギーは、細胞内に存在するミトコンドリアという小器官の中で、栄養素が酸素で
燃焼されることによって生み出されます。ひとつの細胞に含まれるミトコンドリアは 50
から 200 ほどです。
ミトコンドリアによるエネルギー産出量は、私たちが必
要とする全エネルギーの 95 %にものぼるため、ミトコンド
リアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれています。骨格
筋や心臓、肝臓、腎臓、脳などエネルギー代謝の盛んな臓
器・器官の細胞ほどミトコンドリアの数は多く、それだけ
たくさんのエネルギーをつくり出すことで、神経・筋肉を
動かしたり、心臓を働かせているわけです。
そのためエネルギーをつくり出す能力が低下すると、さまざまな形で人の活動は支障を
来します。筋肉を動かす力が衰えると、歩いているときに物につまずきやすくなる。心筋
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の働きが低下して、すぐに息切れする。肝臓の働きが弱くなって、若い頃には酔わなかっ
たお酒に酔いやすくなる…。いずれもエネルギーをつくる能力が低下することが、ひとつ
の大きな原因になっていると考えていいでしょう。
こうしたことが起こらないよう、エネルギーを生み出す能力をできるだけ維持・向上さ
せることが大切になります。
エネルギー産生の元となる ATP をつくるうえで欠かせないコエンザイムQ(CoQ10)
エネルギー工場の働き手として欠かせないのが CoQ10 です。
私たちが生きていくうえで必要なエネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれ
る物質が元となって生み出されます。ATP はミトコンドリア内で生成されますが、ATP
の生成に欠かせない物質が CoQ10 です。
CoQ10 は、体内の酵素の働きを助ける役目を担っ
ています。酵素は化学反応によって体内の物質を分解
したり合成するものですが、CoQ10 はこの酵素の働
きをサポートする「補酵素」としてミトコンドリア内
に存在しています。また、ビタミンと同じような役割
を果たすため、「ビタミン Q」との別名もあります。
ただし、ビタミンが体内で生合成されないのに対し
て、CoQ10 は体内でつくり出すことができることか
ら、正しくは「ビタミン様作用物質」のひとつです。
エネルギー工場であるミトコンドリアでは、数多く
の CoQ10 が日夜エネルギーをつくり出し続けていま
す。CoQ10 はいわばエネルギー産生に欠かせない戦
力です。この戦力が休んだり足りなくなると、エネル
ギーは生み出されなくなります。
スムーズに効率よく、たくさんのエネルギー産生へ
ミトコンドリア内におけるエネルギー産生の仕組みを、もう少し詳しく見てみましょう。
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「ミトコンドリア工場」では、酸素と三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)をエネル
ギーをつくるための主な材料として仕入れます。このうちもっとも重要なのが糖質(炭水
化物)です。ベルトコンベアに乗せられた炭水化物はすぐにブドウ糖に分解され、3 つの
工程を経て、エネルギーをつくる元となる ATP をつくり出します(【図 2】)。
ATP は第一・第二工程で少量がつくられます。しかし、もっとも大量に生成されるの
が、第三の工程です。この工程=電子伝達系で必要不可欠な働き手が CoQ10 です。第二
工程で発生した電子を交通整理して、効率的・スムーズにかつ大量に第三工程に送り、ATP
をつくり出しています。
こうした役目を担うことから、CoQ10 はエネルギー産生に欠かせない物質と呼ばれる
わけです。
脂肪からエネルギーが産生される仕組み
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体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、
血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。ミト
コンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルギーを生
み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。ところが、遊離脂肪酸は L-カルニチンが
ないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。つまり、L-カルニチンがミトコン
ドリアの鍵を開けることで、はじめて遊離脂肪酸はミトコンドリアに入ることができると
いうわけです。
L-カルニチンは遊離脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を果たしています。つまり、Lカルニチンが不足していては、体
についた脂肪を燃やしてなくすこ
とはできないのです。
L-カルニチンには、もう一つ重
要な働きがあります。それは、健
康な脳機能を維持することです。Lカルニチンが不足すると、脳のア
セチル-カルニチンが不足します。
アセチル-カルニチンが不足する
と、脳の細胞が壊れやすくなり、痴呆症になりやすくなります。このことは、数多くの臨
床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、ボケ防止にも役立つというわけです。
L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチ
ル化してボケを防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。
L-カルニチンのパワーは CoQ10 なしでは発揮されない!
肥満を解消したいからと、いくら L-カルニチンを摂っても、それだけでは効果はあま
り期待できません。その優れた体脂肪の燃焼効果を発揮させるためには、CoQ10 が欠か
せないのです。
L-カルニチンだけがたくさんあっても、CoQ10 が不足していては、脂肪はうまく燃焼
されません。逆に、CoQ10 だけがたくさんあっても、L-カルニチンが不足していては、
脂肪はうまく燃焼されません(L-カルニチンと CoQ10 の脂肪代謝のメカニズムについて
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は、下の図及び解説をご覧ください。)つまり、この二つの相乗効果で、肥満が解消でき
るというわけなのです。
L-カルニチンは CoQ10 と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。
コエンザイム Q10 と片頭痛
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コエンザイム Q10 は抗酸化作用、疲労回復、美容成分として知られる栄養素です。 サ
プリメントや化粧品の成分として広く利用されています。
もともとはビタミン(=必須栄養素)と考えられていましたが、 体内で他の栄養素か
ら作り出せることから、名称をコエンザイム Q10 へと変更しました。
必須栄養素と考えられるほど体内では非常に重要や作用をする栄養素であるものの、 体
内での合成量は 20 代をピークにどんどん低下していきます。
そのため、年齢が上がるほどその量が不足しがちとなり、 コエンザイム Q10 の摂取
効果が高くなります。
加齢とともに体内の量が減少
健康維持には体内に十分なコエンザイム Q10 があることが重要ですが、年齢を重ねる
ごとに、その量は減っていきます。酸化ストレスの増加などが原因で、体のコエンザイム
Q10 を作る能力が低下するためです。体の場所によってコエンザイム Q10 の量が減少す
る比率は違いますが、特に皮膚では、70 代では 20
代の約1/3まで減ってしまうという研究結果もあ
ります。
加齢だけでなく、喫煙などの生活習慣、うつ病、
心筋症、片頭痛などの病気も体内のコエンザイム Q10
を減らす原因として注意が必要です。
コエンザイム Q10 が減ることで、体内のエネル
ギー生産量が減り、細胞の活力がなくなります。つまり、元気や健康を維持する力が失わ
れ、老化が進んだり、病気になりやすくなるのです。
女性の場合は、更年期を迎えると心身ともに不調を感じることが増えてきますが、それ
は女性ホルモンのエストロゲンだけでなく、コエンザイム Q10 も減少しているためと考
えられます。
不定愁訴や更年期障害などで悩んでいる人も、コエンザイム Q10 を摂取することで、症
状を軽くすることができるでしょう。
また、コエンザイム Q10 のもうひとつの働きに、抗酸化作用があります。活性酸素は
毒物やウイルスなどを分解する酸素ですが、増えすぎると正常な細胞まで傷つけてしまう
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ことが。抗酸化作用により増えすぎた活性酸素を無力化して取り除くことで、細胞が元気
でいられます。
還元型と酸化型の違いは?
ところでコエンザイム Q10 には、
「還元型」と「酸化型」という2つの種類があります。
従来のコエンザイム Q10 は酸化型で、コエンザイム Q10 の基本構造に酸素がくっついた
状態です。酸素と反応して酸化しているので、体の中に入った時に、もともとの形である
還元型に変換する必要があるのですが、人によっては加齢などでうまく変換できず、あま
り効果が実感できないこともあります。一方で、最近よく見かける還元型というのは、酸
化作用を受けていないものです。技術の進歩で、人間の体内にあるコエンザイム Q10 と
同じ状態に開発されたものが、還元型コエンザイム Q10 です。
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還元型コエンザイム Q10 は、体内での変換過程を経ずにダイレクトにミトコンドリア
に作用するため、素早く効きめを感じやすく、人による効果の当たり外れも少ないとか。
コエンザイム Q10 は若さと
健 康 の キ ープ に 欠か せない だ
け に 、 加 齢に 伴 い不 足する 分
を 意 識 的 に補 う こと が大切 で
す。
イ ワ シ 、 豚肉 、 オリ ーブオ イ
ル 、 ブ ロ ッコ リ ーな ど、コ エ
ンザイム Q10 を多く含む食品
を積極的に食べることです。忙しくてそれができない人は、還元型コエンザイム Q10 の
含量を強化したゼリーやチョコレートなどの食品やサプリメントがお手軽です。還元型コ
エンザイム Q10 を上手に摂取して、細胞レベルから元気になりましょう。
コエンザイム Q10 と片頭痛
コエンザイム Q10 の経口摂取により、片頭痛の発生頻度と発生期間の減少に効果があ
る、との報告があります。
コエンザイム Q10 摂取により片頭痛を予防する効果を示唆する学術文献もあります。
それでは、なぜコエンザイム Q10 が片頭痛に効果があるのでしょうか?
1.抗酸化作用・活性酸素除去
コエンザイム Q10 は抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去する効果があります。
活性酸素が身体に悪いのは、細胞を破壊・損傷し、DNA の改ざん、老化など様々な悪影
響の原因となるためです。
(※活性酸素の働きは全てが悪い作用ばかりではありません。)
人間にはこの活性酸素を除去するシステムがもともと備わっており、 その一つがコエン
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ザイム Q10 です。
その他に、ビタミン A、ビタミン C、ビタミン E、αリポ酸などが抗酸化作用のある
物質ですが、 これらがお互いに作用しあって活性酸素の除去を行います。
これらの中でコエンザイム Q10 はその構造から電子を放棄し、ほぼ完全に脂質の生成
を防止し、酸化を阻害します。
また、抗酸化に利用されたビタミン E を修復します。
大きくはこの2つの働きによってコエンザイム Q10 が活性酸素の除去に効果があるとさ
れています。
ある研究では、運動前にコエンザイム Q10 を摂取したところ、 酸化ストレスマーカー
(8-OHdG)の増加を抑える効果があったしています。
2.エネルギーの産生
コエンザイム Q10 は人間の活動の元となるエネルギーの産生に寄与します。
TCA 回路(クエン酸回路)からエネルギー(ATP)を作り出す最後の栄養素がこのコエン
ザイム Q10 です。
そのため、TCA 回路が適正に機能していても、コエンザイム Q10 がなければエネルギー
が作られません。
しかし、コエンザイム Q10 の体内での量は 20 代をピークにその量は減っていきます。
食事から直接摂取する量そのものが減ること以外に、チロシン、フェニルアラニンなど
複数の栄養素を摂取しないと体内で作られないため、バランスの良い食事をしていないと、
体内で作られる量も減ってしまいます。
サプリメントとしてコエンザイム Q10 を摂取したところ、 疲労感と憂うつ感の低下、
活動度の増加が認められたという報告や、 コエンザイム Q10 を 100mg、10 日間摂取した
ところ、69 %で疲労回復の効果を感じられたとする報告もあります。
結局、ミトコンドリアとは?=“細胞のエネルギー生産工場”
以上のように、ミトコンドリアは“細胞のエネルギー生産工場”とも言われ、グルコー
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ス(糖)・脂肪を原料として、“生体のエネルギー通貨”と呼ばれる「アデノシン三リン
酸(ATP)」を合成しています。AT
Pは体内で日に延べ 50 ~ 100 kg が作
られていますが、そのうちの約 95 %
はミトコンドリアによって作られてい
ます。また、ATPをつくる過程では
水がつくり出されており、その水は「代
謝水」と呼ばれ、身体の水分保持にお
いて重要な役割を果たします。
ミトコンドリアが不調になると・・・
ミトコンドリアの機能が低下すると、ATPが不足するほか、ATPがうまくつくられな
いことにより活性酸素が増加し、その結果、身体にはさまざまな不調があらわれます。
身体を元気に健康に保つためには、ミトコンドリアを元気にすることが大切なのです。
ミトコンドリアの数が少なく弱ってくると、細胞が適正に活動するために必要なエネ
ルギー量が不足し、細胞や組織はその役割を充分に果たせなくなります。私達が元気で
いられるのは、ミトコンドリアが充分エネルギーを供給してくれるからです。そのため、
ミトコンドリアの数が少なく活力が無ければ、そのヒトの活力もなくなってしまうとい
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うことです。
片頭痛もミトコンドリアが弱ることで起きる病気ですので、ミトコンドリアをいかに
元気にすることができるかが片頭痛を改善させる最大の“鍵“となります。
「活性酸素」
酸素は地球上のほとんどの動物にとっては、なくては生きていけない大切なものです。
しかしその酸素が呼吸によって体内に取り入れられると、その一部が「活性酸素」とい
われる不安定な状態になり、近くの物質と結び
つこうとします。物質が酸素と結びつくことを
”酸化”といいますが、鉄がさびたり、空気に
触れたりんごの切り口が茶色になったり、ある
いは雨ざらしのゴムホースがぼろぼろになった
りするように、活性酸素が体の中でさまざまな
「さび」の状態を作るのです。
活性酸素が過剰になると、物質が酸化によってぼろぼろに壊れてしまうのと同じ現象が、
人体の中でも起こってきます。その結果、
がんや動脈硬化、脳梗塞、心疾患、糖尿
病、白内障などの生活習慣病を引き起こ
してきます。また、活性酸素はしみやし
わなどの原因になり、老化の最大の原因
であることも分かってきました。
現在の研究では、活性酸素は全疾患の 90 %以上に何らかの形で関っていると言われてい
ます。片頭痛も同じように、この活性酸素が関係しています。
この活性酸素はミトコンドリアと切っても切れない関係にあります。
活性酸素とはミトコンドリアがエネルギーを作り出す際に生み出されるものです。
「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)の形成過程
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細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれます
が、反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミ
トコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去
する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低
く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていく
という悪循環が始まります。
身の回りの活性酸素を生み出す要因
活性酸素は、
「呼吸をする」、
「食事をとる」、
「運動をする」など、ごく普通の生活をし
ているときに発生します。酸素を取り込み、
エネルギーを作る過程で必ず発生するから
です。そのほか、白血球が細菌を殺傷する
とき、生理活性物質が作られるとき、有害
物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、
抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染
物質など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や
電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざ
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まな要因により発生します。
「酸化ストレス」
最初にも述べましたように、ミトコンドリアが酸素を取り込み、エネルギーを作る過程
で活性酸素は必ず発生します。この活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動を
する」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗
酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう
状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こして
しまう状態のことをいいます。
たくさんのミトコンドリアが余裕を持ってエネルギーをつくる態勢だと、活性酸素はそ
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れほど問題になりませんが、少ないミトコンドリアが必死にフル回転でエネルギーをつく
ろうとすると、活性酸素がたくさん排出されてしまいます。
そして、さらに重要な点は、生まれつき受け継がれた「ミトコンドリアの働きの悪さ」
は各人・各様で千差万別です。極端な表現をすれば、極端に悪い状態であれば「ミトコン
ドリア病」となり、その対局に「正常人」があるとすれば、片頭痛の方々は、「ミトコン
ドリア病」まで至っていない状態で、さらに「正常人」以下の中間に位置するものと考え
て下さい。
この「生まれつき存在する、ミトコンドリアの働きの悪さ」の程度は、片頭痛の方々で
は一様でないということです。極端に悪ければ、改善までに時間を要することになります。
こうしたことから、片頭痛の方々の「セルフケア」の場面での生活指導の内容が患者さ
ん個々で異なっており、一律に述べることの難しさがあった理由です。
しかし、このような表現で片付けることは決して許されることではありません。
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ここでは、こういった状況に対
して、どのように対処すべきかを
述べていきます。
ぼろぼろに錆びた金属にたと
えられる、「錆び体質」といわれる
ものです。
「酸化ストレス・炎症体質」は
片頭痛発症の根底にある体質とい
うことだけでなく、ほとんどの現
代人が抱える、さまざまな慢性病
や生活習慣病の根底にある慢性病の源となっているものです。
「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだ
からといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。
このように、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因
子”として、生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性
酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの
働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾
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患と考えられています。
片頭痛において「酸化ストレス・炎症体質」を形成するもの
以上、「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには、その根底にある次のような問
題を解決する必要があります。これは分子化学療法研究所の後藤日出夫先生の見解です。
1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
2)乱れた腸内環境を整える
3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの乱れを正す
5)インスリンノ過剰分泌を抑える
これらの根本的原因を解決しない限り「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質ともい
います)を改善することはできません。
生活環境により、さらに毎日食事とともに摂取される有害物質、さらに食事の摂取のし
かたから、腸内環境が乱され、さらに有害物質が体内に蓄積することにより 「酸化スト
レス・炎症体質」が作られてくることになります。このため、腸内環境を整え、デトッ
クスを日々意識して行っていく必要があります。
この部分を解決しないことには、片頭痛を根本的になくしてしまうことは不可能です。
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ミトコンドリアの働きを悪化させる要因
ミトコンドリアの働きを悪化させる要因としては、以下のようなものがあります。
1.睡眠不足の問題
2.マグネシウムの問題
3.有害物質・・活性酸素の問題
4.薬剤による影響
1.睡眠不足の問題
慢性頭痛を改善させる際に、まず最初に念頭におくべきことがあります。
片頭痛の方々は、基本的に「ミトコンドリアの働きの悪さ」が存在します。このミトコ
ンドリアを元気にさせるためには、重要な点は睡眠を十分にとることが必要です。
また、緊張型頭痛では、脳内セロトニンの低下が存在します。セロトニン神経の活性化
には、早寝、早起き、十分な睡眠が基本原則となっています。
それでは、どうして「睡眠」が大切なのでしょうか?
この点をよく理解され、十分に
睡眠をとられませんと、以後行われるどのような方法も慢性頭痛を改善に導くことはあり
ません。それ程、十分な睡眠は、慢性頭痛治療上、極めて重要な位置を占めています。
エネルギーの生産には休息が必要です
これまで述べてきましたように、生物の細胞の中にはミ
トコンドリアという細胞小器官があります。
私たちが食物からとった、炭水化物(糖)や脂肪は代謝
されて、ミトコンドリアの中でTCAサイクルに放り込ま
れて酸素を消費しながら、活動していくのに必要なエネル
ギーに変えられています。
糖にはTCAサイクル以外に、酸素を使わずミトコンド
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リア以外の場所でエネルギーを生産するシステム(解糖系)もあります。
この場合は乳酸ができますので、激しい運動(無酸素運動)をした時などは、筋肉内に
大量の乳酸がたまることになります。
しかし、このエネルギーの作り方では効率が良くないので、解糖系で分解した糖も、酸
素が十分にある場合は、途中からミトコンドリアの中でTCAサイクルに渡されて、エネ
ルギーに変えられることになります。
つまり、ミトコンドリアは体温や生体が活動するエネルギーを生産するにはなくてはな
らない場所なわけです。
そして、ミトコンドリアは生体がちゃんと休息をとらないと働けなくなってしまうので
す。ですから、ちゃんと睡眠時間を確保することが大切になります。
地球の重力に逆らって動物が立ったり、座ったり、動いたりするには、相当なエネルギ
ーの消耗があり、眠らなくても重力に逆らわないように横になっているだけでも休息をと
っていることになります。
直立2足歩行は人間に大変な重労働を課
しています。
生物が水の中で暮らしていた頃は水の浮
力によって1/6Gの重力しかなかったのが
陸にあがって1Gに変わり、なおかつ5キ
ログラムもある頭を 150 ~ 180 センチの高
さに保つには相当なエネルギーが必要です。
血圧を例にとると、4足歩行の 45 キロ位
の大型犬で血圧は 90 ミリHgほどです。人間は 120mmHg なければ 160 センチの位置に
ある頭の活動を生き生きと保つことが出来ません。しかし、横に
なればイヌと同じ血圧 90mmHg でも細胞レベルの呼吸は十分維持
できます。
体重を支える骨には大きな負荷がかかります。骨が体重を支え
ているときはただ柱のようにさせているのではなく、酸素を消費
し、骨の中のリン酸を消費しエネルギー使って支えています。こ
こで重要なのは骨は体を支えるだけではなく造血もしているとい
うことです。立っているときは体重を支えることでエネルギーが
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消費されてしまい、エネルギーが不足して造血したくても出来ません。だから新陳代謝は
睡眠中に行われます。1晩で1兆個の細胞がリモデリング(新陳代謝)しています。つま
り、睡眠をとらないと新陳代謝というプロセスが行われないということです。
睡眠は脳の疲労を回復する栄養剤
太古から人類は、日の出とともに狩猟や農耕に精を出し、日が沈むとともに体を休め眠
りにつく一日を過ごしていました。睡眠とは、重力に逆らい二本足で昼間活動していた人
類が、疲れを取るために横になって眠る時間です。重力の影響は大きいので、横になって
体を休め、その影響を解除しないと骨髄の造血機能が働きません。骨休めという言葉の意
味でもあります。
眠っている間は副交感神経が優位になり、成長ホルモンが最も多く分泌され、細胞の成
長や修復を行ったり、脂肪を分解させたり、病気をもたらすウィルスなどの体内への侵入
防ぐ免疫力も高めたりします。
また、睡眠は体ばかりでなく、何よりも脳の疲労を回復させてくれます、長い時間運動
を続けていると、筋肉に疲労物質がたまって、充分な力が発揮できなくなるように、脳で
も同様のことが起こります。脳は働く時間と量に比例して、睡眠促進物質プロスタグラン
ディンやサイトカイン、神経ペプチドなどがたまってきてしまいます。
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睡眠促進物質が増えすぎると脳が壊れてしまうので、
睡眠促進物質の生産を止め、これを分解するために、
脳の働きを止めて眠る必要があるのです。そのため大
脳が疲れてくると自然に眠くなり、眠ることによって
脳の疲労を回復して定期的なメンテナンスを行ってい
ます。
嫌なこと、辛いことを眠って忘れると言うように睡
眠中には心の修復、記憶(情報)の整理までもが行わ
れています。
睡眠中に分泌されるホルモンの役割
夜、眠りについてから朝起きて活動を始めるまでに、体の中ではさまざまなホルモンが
分泌され、大切な働きをしています。
ノンレム睡眠中には、新陳代謝を活発にする成長ホルモンや免疫細胞同士の情報伝達の
役割をするサイトカインなどが活発に分泌され、病原菌に対する抵抗力が強化されたりし
ます。成長ホルモンは 22 時頃から活発になり 2 〜 3 時頃にピークを迎えます。「寝る子は
育つというように」、睡眠の深い子ども程たくさん分泌され、子どもの成長に重要なホル
モンですが、大人にとっても体の修復に欠かせません。たんぱく質や骨などを合成する働
きの促進、疲労回復、リンパ球の働きを活発にさせて傷の修復、お酒を飲んで代謝に使わ
れた肝臓細胞の再生など、細胞を活性化させ、体全体のダメージを回復するホルモンです。
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女性にとってもこの 4 時間は、お肌
のゴールデンタイムといわれ、肌の
生まれ変わりが最も活発になり、熟
睡によって皮膚の新陳代謝が促進さ
れ、肌がみずみずしく、つやつやし
ていきます。
レム睡眠中には、生命維持に不可
欠なホルモン、コルチゾールが分泌
され、睡眠中のエネルギー供給のた
めに脂肪を燃やしたり、肝臓にある
グリコーゲンをブドウ糖に分解して血糖値を高めてすぐに活動できるようにします。
不規則な就寝時間や浅い睡眠は、ホルモンの分泌時間や量を乱し働きを低下させた体温
調節ができなくなります。ホルモンや免疫から考えると、遅くても午前 0 時には入眠する
のが望ましいでしょう。
それでは、睡眠時間に関して最近一番よく聞くのが、6 時間半~ 7 時間半くらい、つま
り平均して 7 時間くらいが良いということです。従って 11 時頃就寝し、6 時頃起床する
のが理想的と言われています。この点に関しては、本人にとって適正な時間であれば十分
であり、それよりは起床時間と就寝時間を一定にさせることが最も大事な点です。
適切な睡眠時間は、各人によって異なっていることを理解され、睡眠時間を適正に確保
し、起床・就寝時間を一定にす
べきです。これが最低限必要と
されています。
とくに、仕事の関係で十分な
睡眠時間が確保できない状況に
おいては、最低限、朝の起床時
間を一定にする必要があります。
以上、睡眠は、片頭痛治療上、
極めて大切であるかが理解して頂けたかと思います。
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しかし、問題は職業柄夜勤だけの場合です。ガードマン、夜警などの方々は、このよう
な考え方では睡眠がとれません。このため、このような方々の慢性頭痛のコントロールに
は難渋していることは事実です。こうしたことは、睡眠が十分に確保できないとどのよう
になるかを証明していると言えます。
経験的に、睡眠時間の問題が解決しなければ、いかなる手段を用いようとも、慢性頭痛
を改善させることは不可能といえる程、重要な位置を占めております。
慢性頭痛に「不眠」があれば、その不眠の原因・背景を探ることを出発点にすることが
大切になってきます。ここから、慢性頭痛の発症要因を探る手がかりになることもありま
す。
このように睡眠は、ミトコンドリアを元気にさせるために絶対的に必要なものです。
2.マグネシウムの問題
マグネシウムの役割
1.緊張状態から解放してくれるます
筋肉の動きは、筋肉細胞内のカルシウム量の増減で決まります。カルシウムの量が増え
ると筋肉が緊張(収縮)し、カルシウムの量が減ると筋肉が弛緩します。
じつは、カルシウムの量を減らすときにマグネシウムが使われています。イメージでい
いますと、細胞にカルシウムを出し入れするポンプがあって、マグネシウムはこのポンプ
がカルシウムを汲み出すときに欠かせないのです。ですから、マグネシウムが不足すると
筋肉が収縮した状態を解消できなくなります。神経も過敏になるために痛みも感じやすく
なります。
マグネシウムは「抗ストレスミネラル」と呼ばれ、ストレスによって激しく消費されて
しまうので、イライラ感が増したり、怒りつぽくなったりもします。こうした状況が長く
続き、もしも心臓で激しい緊張状態が起こったら……心臓は麻痺を起こしてその動きを止
めてしまうことになるわけです。これが突然死です。
- 23 -
寝ているあいだに足がつる、まぶたがピクピクとけいれんするといった症状も、筋肉が
緊張した状態が続くために起こります。こういう症状があらわれやすい人はマグネシウム
不足です。
また、片頭痛の前兆として「肩がこる」という人もたくさんいますがこれも同様です。
心当たりのある方は、すくに「マグネシウム液」を水に溶かしたものを飲んでみてくださ
い。ちょつと多めに 4 ~5 cc ほど。効果はバツグンです!
マグネシウムの不足によって緊張型頭痛を起こすという研究報告もあり、不足したマグ
ネシウムを補うことで頭痛を改善に導いてくれます。
マグネシウムが役に立つのは、肩こりなど筋肉の緊張から来る筋緊張性頭痛です。マグ
ネシウムは、筋肉の緊張を解いてくれます。また血管の筋肉をリラックスさせることで血
流が増え、血行が良くなるからです。
マグネシウムを大量摂取することで血液の循環がよくなり、また筋肉の収縮も抑えるの
で、緊張型頭痛にも効果があります。
2.こんなに大事なのに・・・
!?
ところで、マグネシウムつてあまり“健康ネタ”には登場しない成分だと思いませんか?
というのも、マグネシウムは比較的簡単にとれるものだと思われてきたからです。
しかし、実際はそう簡単ではありません。ストレスに弱い女性のほとんどが、じつはマ
グネシウム不足です。たぶんその原因の1つには、カルシウムが多くてマグネシウムが少
ない「乳・乳製品」(ケーキ含む!)のとり過ぎがあると思います。女性はみんな大好き
ですから。
乳・乳製品には、カルシウムが多く含まれています。あなたも小さい頃、「丈夫な骨や
歯をつくるために牛乳を飲もう!」といわれたでしょう。でも実際のところ、カルシウム
をたくさんとってもほとんどが吸収されずに排泄されてしまうし、それだけならまだしも、
マグネシウムなどほかの大事なミネラルを道づれにしてしまいます。「小食だけど乳製品
は死ぬほど好き!」という女性は、超ヤバイかも知れません!?
カルシウムとマグネシウムの摂取バランスは、カルシウム「2」に対してマグネシウム
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「1」が理想的だといわれてます。それが牛乳だと《10: 1》、チーズにいたっては
《20 ~ 30:1》というバランスの悪さです。
サプリメント(錠剤)でとるから大丈夫と思っても、ほとんど
吸収されないので無意味です。マグネシウムは薄くして飲むのが
いちばんいい方法です。毎日コツコツつづけて、マグネシウム不
足を起こさないようにするしかありません!
マグネシウムは生命活動に必要な”代謝”の原動力となる、300 種類の「酵素」のサポ
ーターでもあります。
3.女性・みんなのお悩みの「生理痛」
生理痛には個人差がありますが、わずらわしいのは誰でも同じです。
生理痛は時期によって原因と症状が異なります。
月経前
前回の月経後、分泌量を増してきた「エストロゲン」(女性ホルモン)が排卵とともに
急激に低下し、それに代わって「プロゲステロン」(黄体ホルモン)が増加します。この
とき、受精卵が着床しなければ、分泌量が一気に減少します。こうしたホルモンの分泌量
の大きな変化が月経前症候群(PMS)の原因となり、自律神経のバランスが乱れて、乳
房の張りや痛み、のぼせ、頭痛、胃痛、カラダのむくみ、便秘、イライラ、眠気、不眠な
どの不調を引き起こします。これらは脳内セロトニン低下が関与します。
月経前半・後半
月経前半、経血を体外に排出するために子宮収縮が起きて痛みをともないます。これは
「プロスタグランジンF2α」という物質の過剰分泌が原因です。この量が多すぎると子
宮の収縮が強くなり、キリキリとした痛みが生じます。
プロスタグランジンには血管収縮作用があるため、頭痛や肩こり、腰痛、だるさ、冷え
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がひどくなったり、吐き気や下痢の原因になったりします。
月経後半には、冷えなどにより骨盤を中心に血流が悪化するため、プロスタグランジン
が骨盤内で滞り、下腹部の鈍痛や腰回りの重苦しい感覚を引き起こします。
じつは早産や流産にもプロスタグランジンの過剰分泌が関与していて、必要以上に激しい
子宮収縮が早産や流産の原因となるのです。子宮の収縮を伝える神経伝達にもカルシウム
とマグネシウムが関わってます。
カルシウムはメッセンジャーをたくさん出しますがマグネシウムはメッセンジャーが出
過ぎないようにします。ということは、マグネシウムは神経伝達において「収縮せよ」と
いう信号が届きすぎないよう調節してくれているのです。
これらのことから筋肉が収縮しすぎず弛緩するには
マグネシウムが必要であることわ
かりますね。マグネシウム不足では子宮筋層はギュ~っと収縮しっぱなし になります。
すると子宮筋層の血行はもちろん悪くなり、細胞は酸欠を起こしますから SOS 信号であ
る発痛物質がでてきますし、その状況を助けるためにプロスタグランジンが活躍すること
になります。結果的に痛みが発現することになります。
生理痛は、子宮筋のいわば痙攣ですから、マグネシウムの不足している状態でもありま
す。実際、適切なマグネシウムの補給で、生理痛がなくなる人もいます。
こういった理由からマグネシウムが必要になってきます。月経時に頭痛が酷い場合に大
切な点です。月経時に片頭痛はいつもより頭痛が激しい人はマグネシウム補充が必須です。
4.「むくみ」との関連
マグネシウムが不足すると、筋肉などの細胞中のカルシウム濃度が高まり、細胞が“緊
張状態”になります。この状態が続くと、血圧が上がったり、筋肉が動かなくなったり、
細胞内のミトコンドリア(エネルギーをつくる)が死んでしまったりと、かなり“マズイ
状況”になります。
そのため、カラダを守ろうとする仕組みが働いて、細胞内に水分を取り込み、カルシウ
ム濃度を下げようとするのです。これがいわゆる「水ふくれ(水太り)」の状態です。
このとき、マグネシウムが適正に補給されれば、細胞から余分な水分が排出されて正常
- 26 -
な状態に戻ります。
健康ジュースやマグネシウム液による補充を始めると、一時的に尿の量が増えることが
あるのですが、これは細胞内の余分な水分をとり除いてくれるからです。水分が減る分、
体重も減少します。
さらに、寝起きの顔がむくんでしまうのは、寝ているあいた、筋肉をほとんど使わない
ことが原因です。
動脈の血液は、心臓のポンプにより全身に行き渡ります。反対に静脈の血液の“戻り”
は(リンパの戻りも)、筋肉の働き、特にインナーマッスルの働きに左右されます。夜、
寝ているあいだは筋肉が活動しないので、末端組織はもろにその影響を受けて戻りが悪く
なるのです。ところが、朝起きて筋肉を使い始めると、末端組織にたまっている水分も抜
けていき、まぶたのはれも次第に引いてくるというわけです。
ミトコンドリアの働きの悪さに、マグネシウム不足が加わると・・
マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造
において膜の安定性を保つ役割をしています。
細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種
類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられ
ています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラル
イオン濃度の調整をするのです。ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度
を適正に調整する作用があります。
マグネシウムイオンが不足すると細胞内
小器官(ミトコンドリア)の”膜構造なら
びに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱
くなり、細胞内小器官であるミトコンド
リア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリ
ア内に入り込んだカルシウムイオンは、
ミトコンドリア外へ出ていけません。カ
ルシウムはミトコンドリア内に少しずつ
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蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄め
るために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの調整機
能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。
ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア
内のカルシウムイオン濃度が強く係わっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症
にも非常に大きな原因となります。
このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシ
ウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されますが、この水ぶとり状態
も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てら
れます。そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。
これが石灰化した細胞のことです。動脈硬化の原因の一つです。結果的に、この細胞
は死滅してしまいます。
細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカ
ルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くこ
とになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内の
カルシウム濃度の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足がもた
らす結果でもあるのです。
このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナ
トリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招
きます。同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を
招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。これが「脳過敏」を引き起こしてきます。
このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきた
して、神経細胞を興奮しやすくすることになります。
これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。
片頭痛では、ミトコンドリア代謝異常が生まれつき存在するために、ミトコンドリア
はマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグ
ネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているので
- 28 -
す。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコン
ドリアの代謝異常の結果として生じているものです。このようにして、「脳過敏」が形成
されることになります。
片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」
ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記のことを示すものです。
そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせる
ことに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。これが「脳過
敏症候群」の本態です。市販の鎮痛薬の服用が原因ではありません。間違えないように
して下さい。この点は極めて重要なことで、忘れてはなりません。
それではマグネシウム不足の原因はなんでしょうか?
マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに
悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”
にもなってきます。
それではマグネシウム不足の原因はなんでしょうか?
・アルコールの飲み過ぎ
アルコールの多飲により
尿中にマグネシウムを排泄する量が増加します
・毎日の牛乳摂取
カルシウムばかりが多い牛乳を いつも飲むことで
2:1が望ましいカルシウム:マグネシウムのバランス
が狂い、マグネシウムの相対的欠乏を招いてしまいます
・ストレス
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ストレス対応ホルモンがマグネシウムの排泄を促してしまいます。最初で、その機序は
説明しました。
・激しい運動や暑すぎる環境
マグネシウムは
汗とともに大量に排泄されます。
・食材のマグネシウム含有量が低い
日本の土壌は火山灰土でミネラルが少ないため
その土壌で育った作物はあまりミネラ
ルを含まないのです。
さらに農薬の使用で土壌が枯れ
以前より含有率は低下していると言われています。
・白米小麦粉など精製食品の摂取
精製過程でミネラル分がそぎ落とされてしまっています。
・白砂糖の摂取
消化分解にマグネシウムが大量に消費されます。
・加工品や清涼飲料水の摂取
これらに多く含まれるリンにより
マグネシウムの吸収が妨げられます。
・食品添加物や農薬等の摂取
有害物質を解毒するために肝臓でマグネシウムを消費します。
- 30 -
・エストロゲン過剰(環境ホルモン含む)
本来月経期間中はエストロゲン濃度が低いはず
ですが、肉・乳製品・環境ホルモンの摂取でエス
トロゲンが高濃度になると、マグネシウムの体内
濃度は低下します。
肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エス
トロゲン様環境ホルモン)が含まれている可能性
がある事をご存知ですか?
例えば乳牛は、早くから、そして大量にお乳を
出させるために、遺伝子組み換え牛成長ホルモンというのが投与されている事があります。
日本では規制も表示義務もないですが)
アメリカでは、逆にこのホルモン剤を「投与してません」と書くと、投与している牛乳
の販売を妨害する、と裁判が起こり、区別してはいけないようになっています。
ホルモン剤投与でたくさんお乳を出す牛さんは、ママさん達ならわかると思いますが、
乳腺炎を起こしやすくなります。その乳腺炎防ぐために、抗生剤も投与されているのです。
肉牛にもホルモン剤は使われており、日本では4種類のホルモン剤投与が認可されてい
るようです。(EU では一切禁止されていますが・・)
ホルモン剤に抗生剤をお肉や牛乳・乳製品から取っているかもしれない、なんて、普通
は気付きませんので注意が必要です。
・食の欧米化
洋食より和食の方がマグネシウムを多く含む献立ですが、食の欧米化によりマグネシウ
ムの摂取量は低下しています。
・生理時には・・
特に更年期以前の女性は、月経前に血中マグネシウムを骨や筋肉へと移行させるため、
脳内のマグネシウムレベルが低下してきます。
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などなど。。。
こういったことから容易に、マグネシウム不足に陥ってしまいます。
このため、マグネシウムを不足を防ぐするには?
以下の点に注意しましょう。
・アルコールも牛乳も程々に
・ストレスをためない
・なるべく無農薬で精製されていない物を摂取
・加工品
清涼飲料水
食品添加物を避ける
・環境ホルモンを避ける
・洋食よりも和食でマグネシウムを補給
マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋
がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。
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そして先程の「マグネシウム不足の原因」でも述べましたように、いろいろな状況
で容易にマグネシウム不足が引き起こされてきます。特に、女性の場合はこの傾向
が著しく、月経時の片頭痛がいつもの片頭痛よりも激しくさせる根源ともなってい
ます。 現在、普通の人でもマグネシウムが不足しやすい生活環境にあります。とくに先
程も述べましたように、片頭痛の方々はマグネシウム不足が指摘されています。このため、
日常的に「マグネシウム」を摂取することを意識する必要があり、油断すればすぐに不足
してしまうことになります。
このマグネシウムの摂取量は、それぞれの年齢によって推奨摂取量があります。これを
満たすように、毎日摂取することが大切です。マグネシウムの補充は片頭痛治療の”要”
となっていますので、このことを常々念頭におく必要があります。
”生理時にいつも片頭痛が起き、激しい”といった場合は、マグネシウム不足を疑うく
らいに大切なことです。こうした場合は、必ず、是正に努めて下さい。
細胞内のカルシウムイオン濃度の異常
先程も述べましたが、細胞の代謝には、細胞内外に存在するカルシウムやナトリウム、
カリウムやマグネシウムといったミネラルイオンが大きくかかわっています。
皆さんは高血圧の治療薬として用いられる「カルシウム措抗薬」というのをご存知で
しょうか? 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイ
オンの種類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名が
つけられています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミ
ネラルイオン濃度の調整をするのです。カルシウム措抗薬にはカルシウムチャネルをふさ
ぐ働きがあり、カルシウムイオンが細胞内へ流入するのを防ぎます。
ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。
ところが、細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの
調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまうの
です。
このように、ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には細胞内
のカルシウムイオン濃度が強くかかわっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症に
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も非常に大きな原因となります。
マグネシウムとカルシウムの関係
カルシウムには筋肉を「収縮させる」作用があります。マグネシウムは筋肉細胞内のカ
ルシウムをポンプで汲み出すように排出することから、収縮した筋肉を「緩める」作用が
あります。カルシウムとマグネシウムは、このように常に相反的に作用し、通常はカルシ
ウムイオン濃度が適正に維持されています。
しかし、細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出
するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続
くことになります。その結果、こむら返りを起こしたり、瞼がピクピクと痙學したりする
などの症状があらわれます。
さらにマグネシウムの不足が進むと、筋肉細胞内のカルシウム濃度が高くなり過ぎて筋
肉の伸縮ができなくなります。もしそれが心臓で起きれば、心臓の機能停止(死)といっ
た重篤な状態に陥ることになるわけです。
片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度
の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもある
のです。
マグネシウム不足の原因は先程も述べました。 その原因としては、利尿剤などの薬剤
の服薬、食事からのマグネシウム摂取量不足、胃腸の吸収障害(下痢など)があり、その
ほかにも多くの生活習慣に原因があります。
たとえば、インスリンはブドウ糖とともにリンを細胞内に移動させる作用がありますが、
暴飲暴食などによってインスリンの過剰分泌を起こすと、必要以上に細胞内にリンが取り
込まれて血液中のリン濃度が低下し、低リン血症を起こします。低リン血症になるとマグ
ネシウムは腎臓から尿とともに多く排泄されます。このように、インスリンの過剰分泌も
マグネシウム不足を起こす原因となります。
また、マグネシウムは「抗ストレスミネラル」と呼ばれるように、ストレスが多いとき
ほど多く消費されます。片頭痛の人は精神的ストレスを受けやすく、ほとんどの人がマグ
ネシウム不足であるといっても過言ではないと思います。
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その他、激しい運動、過労、過食など、マグネシウムを消耗する要因は、現代の生活環
境の中に満ちあふれているのです。
肉・牛乳(乳製品)・卵の摂りすぎの弊害
私たちの健康にとって、カルシウムは非常に重要なミネラルです。しかし一方でカルシ
ウムのとり過ぎが「マグネシウム不足を引き起こす」ということはあまり知られていませ
ん。特に食が細い(小食)にもかかわらず、肉類や乳・乳製品が好きという人は要注意で
す。
牛乳は、カルシウムを多く含む食品としてよく知られています。でも、牛乳をとり過ぎ
ると、カルシウムは腸から充分に吸収されることなく、そのほとんどが糞便とともに排泄
されてしまいます。このとき、カルシウムだけではなく、体に必要なマグネシウムなどの
ミネラルや栄養素も一緒に引き連れて排泄されてしまうのです。
では、もし牛乳に含まれるカルシウムを充分に吸収したとするとどうなるか? 血液中
のカルシウム濃度が急激に高まります。これがまたよくないのです。
体にはホメオスタシス(恒常性維持機能)という、バランスをとって正常値に近づけ
ようとする働きがありますから、余分なカルシウムは尿としてただちに排泄されることに
なります。この排泄にともない、マグネシウムや亜鉛などのミネラル、他の栄養素がやは
り失われることになるのです。
このように、牛乳の吸収率がよいにしろ悪いにしろ、カルシウムを多く含む牛乳や乳製
品をとり過ぎることは、結果的にマグネシウムをはじめとする必要なミネラルを失うこと
になります。実際、牛乳や乳製品など、カルシウム分か特に多い食品のとり過ぎによって
マグネシウム不足になるケースは多いのです。
ちなみに、カルシウムとマグネシウムの摂取比は「2一1」が適切と考えられています
が、牛乳そのもののカルシウムとマグネシウムの比は「10
一1」程度と、カルシウムの
比率が高くてアンバランスです。それから代表的な乳製品であるチーズに含まれるカルシ
ウムとマグネシウムの比は、ナチュラルチーズで「20
一1」程度、プロセスチーズ「30
一1」と、もっとバランスが悪くなっています。マグネシウム不足はミトコンドリアの働
きを悪くさせますので、牛乳や乳製品のとり過ぎには充分に気をつけましょう。
また、肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エストロゲン様環境ホルモン)が含ま
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れている可能性があり、本来月経期間中はエストロゲン濃度が低いはずですが、肉・乳製
品・環境ホルモンの摂取でエストロゲンが高濃度になると、マグネシウムの体内濃度は低
下します。
またタンパク質を多量に摂ると(肉食)、解毒の働きをする肝臓と、排泄を担う腎臓に、
大きな負担をかけることになります。尿素が増えてくると、それを尿として流し出すため
に、体は多くの水分を必要とします。そして尿と一緒に、カルシウムやマグネシウムなど
のミネラル類も排泄されてしまうことになります。こういったことから、マグネシウム不
足を引き起こすことになり、マグネシウム不足はミトコンドリの働きを悪くさせます。
高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎとあいまっ
て、
「SOD」
(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシダーゼ」、
「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、
セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が増加するこ
とになり、ミトコンドリアの働きを悪化させます。
肉類や乳・乳製品といっだ動物性タンパク質”たっぷりの食事は、腸内環境を悪くしま
す。腸内の悪玉菌の大好物は、肉などたんぱく質や脂肪を多く含む食品です。
悪玉菌はたんぱく質やアミノ酸を分解し、有害物質を作り出し、このためミトコンドリ
アの働きを悪化させることになります。
牛乳の飲み過ぎは、過剰なカルシウムが排泄されるのと同時に、マグネシウム・亜鉛・
鉄などのミネラルや、他の栄養素も失われてしまいます。その結果、さらにミネラル不足
が進むことになります。
「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシダーゼ」、
「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、
セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が過剰に発生
することになります。
砂糖のような「空のカロリー食品」の多い食事には必須栄養素が不足していますから、
カロリーだけは満たされても必須栄養素は欠乏するという事態が生じます。結局エネルギ
ー代謝が円滑に進まず、ミトコンドリアの働きを悪くさせます。
ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれ、エネルギーを産生する重要な場
所です。ミトコンドリアの働きの悪さは、新陳代謝やエネルギー代謝など代謝の低下を意
味します。このエネルギー代謝を円滑に行うためには、食生活でとくに栄養素・ビタミン
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・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取することが大切になります。
偏った食事は、ミトコンドリアの働きを悪化させ、新陳代謝やエネルギー代謝が円滑
に行われなくなります。
こうしたことから、食生活が極めて重要な鍵を握っています。
以上のように、食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく
摂取することが大切になります。
インスリン過剰分泌
血糖値というのは血液中のブドウ糖の濃度のことです。ブドウ糖というのは、ご飯や麺
類などの主食に多く含まれる「糖質」が分解されたもので人間が活動するための主なエネ
ルギーになります。食事をすると糖質が消化吸収
されブドウ糖になり吸収され、血液によって体の
あちこちに運ばれます。
血液の中のブドウ糖はそのままではエネルギー
として使えません。血管からエネルギーを使う器
官の細胞に取り込まれないといけないのですが、
その取り込む役割をするのが「インスリン」です。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事をして血糖値が上昇すると分泌量
が増え、血中に増えたブドウ糖を細胞に取り込みます。
その取り込まれたブドウ糖がエネルギーになって、人間は活動することができるので
すが、余分にとってしまったエネルギー(ブドウ糖)は脂肪として蓄えられてしまいます。
急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過
剰に分泌されることになります。過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることに
なります。血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組み
が働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスしていれば問
題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血
液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
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緩やかな血糖値の上がり方なら良いのですが、急上昇と急降下を繰り返すような食事を
していると太りやすいのです。上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが頑張って
中性脂肪をたくさん作ってしまうということなのです・・・
また、急上昇急降下の食べ方はすぐにお腹が空くので、食べる量が多くなってしまいま
すし、いつも大量のインスリンを出していると膵臓が疲れてしまい糖尿病になりやすくな
ってしまいます。
インスリンの過剰分泌を起こすと、必要以上に細胞内にリンが取り込まれて血液中のリ
ン濃度が低下し、低リン血症を起こします。低リン血症になるとマグネシウムは腎臓から
尿とともに多く排泄されます。このように、インスリンの過剰分泌もマグネシウム不足を
起こす原因となります。
肥満の人が健康を願うのであれば、何よりも標準体重(BMI:一 25 以下)まで減量
することが第一優先です(スポーツなどで筋肉体質な人は別として)。
肥満であればあるほど、ミトコンドリアの増殖は抑えられてエネルギー代謝が少なくな
り、さらに肥満になりやすくなるという悪循環に陥ります。
食事はカロリーのとり過ぎに気をつけるとともに、いつも満腹でいるのではなく、次の
食事の前には必ず空腹を感じるようにすることです。食事からブドウ糖の供給がなくなれ
ば空腹感を感じ、体に蓄積されているグリコーゲンや中性脂肪からのエネルギー代謝が開
始されます。このとき、ミトコンドリアは栄養分が不足してきたことを認識して数を増や
そうとするのです。ですから間食はダメです!
さらに、空腹時の運動は軽いものであっても、ミトコンドリアをより刺激することにな
り、効率よく数を増やすことにつながります。
- 38 -
小断食(三度の食事を一度程度抜く)は、ミトコンドリアを刺激するのに有効な手段で
すが、2日を越える絶食は、刺激ではなくミトコンドリアの死滅を招く可能性があり逆効
果です。分子化学療法研究所の後藤日出夫先生提唱される、朝食を「万能健康ジュース」
に変えること”は、日常的に軽い刺激を与えることになり、ミトコンドリアの活性化に有
効です。
標準体重以下(BMI一 20 以下)の人はカロリーを制限する必要はなく、むしろ摂取
カロリーを増やす必要がありますが、それでも間食は控えて、さらに空腹時には軽い運動
をすることが、ミトコンドリアの数を増すためには効果的です。
食べ物では、ブドウの果皮(赤ワインにも含まれる)やピーナッツの薄皮に含まれるポ
リフェノールの一種レスペラトロールに、カロリー制限と同じような効果があり、ミトコ
ンドリアの数を増すといわれています。また、大豆や大豆製品に含まれるタンパク質成分
のβコングリシニンや、黒豆の皮に含まれるアントシアニン、トマトなどに含まれるリコ
ピンもミトコンドリアの数を増す効果があるといわれています。
脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種、アディポネクチンには、ミトコンドリアの数
を増やす効果があるといわれています。これも肥満になれば分泌量が減り、減量すると増
えます。標準体重でいること、きちんと空腹感を感じることが、ミトコンドリアを増やす
最良の方法なのです。
このように、食べ過ぎはミトコンドリアの働きを悪化させます。
さらに活性酸素は細胞にインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を高めて、
それにより糖尿病や動脈硬化を引き起こしやすい状態をつくるという悪循環になります。
インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)は、それ自体で「酸化ストレス」を
促進すると言われています。
これらによって引き起こされる炎症反応は活性酸素の増加や細胞の酸化を促進する要因
になります。
血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっています。
血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
また、脂質が酸化されると細胞が障害されてしまいます。
細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も促進します。
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また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や炎症を引き
起こす物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。
これらの生理活性物質や遊離脂肪酸などが合わさって、身体の「酸化ストレス」を促進
する要因となり、全身の障害を招くことになるのです。
マグネシウムの補充
こうしたことから、常日頃、マグネシウムの補充を考えなくてはなりません。そのため
には、基本的には食事から摂取することです。
●マグネシウムを多く含む食品
玄米によるご飯
100g 48mg
白米によるご飯
100g
40mg
米、麦こうじ味噌
100g
80mg
豆こうじ味噌
100g 130mg
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アーモンド
30g 87mg
カシューナッツ
30g 72mg
国産大豆
30g 66mg
落花生
30g 60mg
干しひ時期
10g 54mg
納豆1パック
100g 100mg
かき
70g 50mg
ほうれん草
70g 50mg
いんげん豆
30g 45mg
かつお
100g 40mg
あおのり
3g 40mg
あずき
30g 36mg
とうもろこし
1本120g 35mg
枝豆
50g 35mg
バナナ
100g 34mg
食品から摂取するのが一番ですが、より確実に補充していく場合は「マグネシウム原液」
を作成され、これで必要量を補充する方法があります。
マグネシウム原液の作り方
マグネシウムの原料は、 スーパーでニガリ(200円/100cc)を求めるか、薬局で「塩化マ
グネシウム」(500g/1本、1000円~1200円)を買い求めることです。豆腐屋で用いる20Kg
袋を買って(4000円程度です)つくるのは量が多すぎて現実的でないため、薬局で「塩化マ
グネシウム」(500g/1本、1000円~1200円)を買い求めるのが適当と思われます。
50 mg マグネシウム原液の作り方:
こうしたマグネシウムの原液は、本来「片頭痛治療薬」として製品化されるべきですが、
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メーカーには利益にならないため、市場には出回っていません。ですから、自分でつくる
しかないようです。(トリプタン製剤のように利潤が上がらないためです)
具体的な”マグネシウム水溶液”の作り方です
2リットルの空きペットボトルの1.2リットルのとこ
ろにマジックインクで線を入れておきます。
漏斗等を用い塩化マグネシウム粉末 500 gをペットボト
ルに入れます。
加熱後冷却水か市販の飲料水を1.2リットルの線近くま
で入れます。
ペットボトルに栓をし、よく振って溶解させます。
(その後、静置し正確に1.2リットルになるよう水を追加します)。
以上で完成です
サプリメントを飲んでもマグネシウム不足は解消されません
マグネシウム不足を解消するのが目的ならば、市販のサプリメントでマグネシムを補え
ばよいのでは??と思われる方が多いかと思うのですが、残念ながらサプリメントではマ
グネシウム不足を解消するのは難しいです。
なぜならばマグネシウムは大量の水で希釈しないと吸収されないからです。サプリメン
トでマグネシウム不足を解消しようと思ったら 2 ℓくらいの水と一緒に飲まないと効果は
ありません。サプリメントを 2 ℓの水で飲むなんてとても現実的ではありません。そこで
確実&簡単にマグネシウムを摂取する手段として、この「マグネシウム水溶液」が考案さ
れました。
マグネシウム水溶液の飲み方
[飲み方の基本]
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500cc の水に小さじ 1 杯程度のマグネシウム水溶液を入れて飲みます。
[味付けの工夫]
上記の様に水で薄めるだけで、マグネシウム不足を補う事がでますので、効果的にはこ
れで問題無いのですが。このままではニガくて飲めないと思います。
味付けを工夫して楽しみながらマグネシウムを摂取するのがよいのです。
クエン酸とビタミンCを 1 gずつ入れて飲む事をオススメしています。
こうする事によってレモン水の様な味になり、味のバリエーションが増えます。
もう一つのオススメはクエン酸、ビタミンCの他、更に「蜂蜜」を加えることです。
甘味が出るので美味しく頂けます。
[実際の飲むタイミング]
飲むタイミングは
(1)片頭痛の前兆時に飲む
(2)日頃の”水分補給時”に飲む
この 2 点です。
これを行うためには
(1)先程説明した[飲み方の基本][味付けの基本]を基に出来たものを、ペットボトル等
に詰めて常に携帯し、必要に応じて飲むようにします。水分補給とかねて・・
(2)もしくは、原液の状態(小さじ 1 杯あたり 500 gの水に希釈しない状態)
の物を小さな小瓶(弁当に入っている醤油挿しの様なもの)に詰めて携帯し、出先で必要
に応じて水に薄めて飲む。頭痛がきそうな予感がしたときに服用します。
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の 2 種類の方法をオススメしています。
これらはあなたの生活スタイルに合わせて、やりやすい方を実行して頂ければOKです。
このように、これを原液として、万能健康ジュースにも使用できますし、スポーツドリ
ンクなどの代わりに、500ml の水(ペットボトル)に 2 ~3cc入れて飲むのもOK。ま
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た、ご飯を炊くときに少し入れるのもいいですね。
塩化マグネシウム(粉末)はドラッグストアなどでは手に入れにくいので、ネットで購
入するのがいいでしょう。市販のニガリ(水溶液)でもよいのですが、ちょつと割高にな
ります。おとうふ屋さんでもらえるとラッキーですね。
以上のように、慢性頭痛を改善させるためにはマグネシウムの補充がいかに大切かが理
解されたことと思います。
問題は、日常生活を送る際にちょっとしたことがマグネシウム不足を引き起こすことに
なりますので、注意が必要になってきます。
とくに生理痛でお悩みの方々、さらに月経時の片頭痛に悩まれる方々はこの点を念頭に
おく必要があります。
3.有害物質・・活性酸素の問題
細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれますが、
反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミト
コンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する
機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰
の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪
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循環が始まります。
身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ
実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。
私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。
激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをしてふつうに生活して
いるときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。
私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえ
るかもしれません。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の
活性酸素が発生したとき、病気や老化が
起きるのです。大量発生のきっかけには
さまざまなものがあります。
体が傷を受けたり、ウイルスが侵入し
たときもそうですし、太陽光線も原因に
なります。
これらは昔から、私たちの体に活性酸
素を発生させる原因になってきました。
その上、現在では、更に活性酸素を発
生させる原因が増えています。
それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や
放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因で
はないかと言われています。
ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になりま
す。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
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このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性
酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上
回る活性酸素をつくってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけて
しまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗
剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異
物と理解してしまうのです。
そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸
素が発生してしまうのです。
このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更
にむしばんでいることが伺えます。
薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利
用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち
体内での活性酸素の大量発生につながっているのです。
昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
私たちの体の働きは、太古から少しずつつくられてきたものですから、この数十年の変
化にはついていくことができません。
体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素
の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰
な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
活性酸素をつくり出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分にはないと
すると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。
食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に暮らす
日本人は病気から逃れることができません。
ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなか
った喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性
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酸素の増加が原因と考えられます。
日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させ
る要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。
活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供
が、長生きできる保証はどこにもないのです。
また、高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎとあ
いまって、「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシ
ダーゼ」、「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、
銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が
抗酸化作用より常に優位な状態、いわゆる「酸化ストレス」になります。
偏食や過食は活性酸素の発生を加速し、がんや認知症などの疾患にも悪影響を及ぼしま
す。カロリーのとり過ぎは活性酸素の発生量を増加させ、逆にカロリーを制限することは
活性酸素の発生を減少させ、片頭痛を改善させ、老化の進行を抑制します。
さらに、活性酸素の増加させる”環境の悪化”があります。
環境ホルモンとは?
環境ホルモンが問題となりはじめたのは、1980 年頃に世界各地で異常が発見されるこ
とによって、研究がされるようになりました。環境ホルモンは、外因性内分泌攪乱物質ま
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たは外因性内分泌攪乱化学物質と
呼ばれています。
環境ホルモンという呼び名は、
あるひとつの物質の名前ではなく、
”生物のホルモンの働きを狂わせ
てしまう物質”の総称です。環境
ホルモンは、体内の正常な働きを
するホルモンの働きを壊すことで、
様々な異常を引き起こします。
体内のホルモンの働きを乱し、
生殖機能への影響などが心配され
ている環境ホルモンは、人工的に作りだされた化学物質で、正しくは内分泌攪乱化学物質
といいます。環境ホルモンの多くは有機合成化合物で、環境庁が 1998 年 5 月に策定 、2000
年 11 月に改定した「環境ホルモン戦略計画 SPEED'98」では、“動物の生体内に取り込ま
れた場合に、本来、その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性
の物質”とし、疑われる化学物質として 65 物質をあげています。
また、ゴミの焼却の際に生ず環境ホルモンも大問題になっていますが、私たちの周りに
は 医薬品、農薬、食品添加物、合成樹脂、合成洗剤など、人が作りだした化学物質がた
くさんあります。
問題は人体がダイオキシンなど環境ホルモンである有機化合物を受け入れやすく、分解
・排出しにくい点です。そのために体の中に残って害をもたらすのです。たとえば、女性
ホルモンに似た環境ホルモンが体内に入り込むことで、ホルモン本来の働きが乱されるこ
とになります。環境ホルモンは、前立腺ガンとの関係が心配され、免疫力を低下させるの
ではという不安もいわれています。
食物では、アメリカの肉牛や養殖の魚に環境ホルモンの残留が見られますが、これは家
畜の飼料やエサに成長を早める成長ホルモンが混ぜられているからです。
私たちはゴミを出さないなど、身近にできることから取り組み、これ以上環境ホルモ
ンを作らないようにすることも重要ではないでしょうか。
環境ホルモンの原因
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環境ホルモンの原因となっているのは、化学物質です。化学物質を大量に摂取している
とは、誰もが思わないのでしょうが、日々の生活の中で環境ホルモンは、身体の中に取り
込まれているといってもよいでしょう。殺菌剤・防腐剤・殺虫剤・農薬・食品添加物・ダ
イオキシンなど、約 70 種もの化学物質があげられています。さらに、環境汚染された状
態の川や海などからも有害物質が検出されています。産廃処分場の侵出水から、30 種以
上の環境ホルモンが検出されたという例もあります。
環境ホルモンの影響
環境ホルモンは、知能低下・学力障害・注意力欠如・ストレスへの過剰反応・ 拒食症
・強迫神経症・様々な不安症・鬱状態・アレルギーなど、人や生物に、多大な悪影響を及
ぼすことがわかっています。さらに、環境ホルモンの影響を受けている動物の肉などを食
べることも環境ホルモンの影響があります。そして、人間への影響として、キレやすい子
供が増えたことも環境ホルモンの影響ではないか?と言われています。
私たちが、なにげなく食べているジャンクフードには、着色料や保存料といった食品添
加物(化学物質)が大量に入っています。さらに、カップメンやお弁当などの容器や缶ジ
ュースの缶には、化学物質が使われていて、微量ですが、溶け出しています。私たちが、
安全だと思っているものには、実際、多くの化学物質が入っているというのが現状なので
す。しかし、そういったものは、私たちの目に見えるものではなく、見逃してしまいがち
です。
具体的に、活性酸素はいつ発生するのでしょうか?
活性酸素は、日常生活の様々な場面で無意識のうちに体内で発生しています。
・喫煙
・ストレス
・飲酒
・食品添加物
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・不規則な生活
・農薬などの化学物質
・排気ガスや工場の排煙を吸ったとき
・電磁波
・紫外線
・薬
・激しい運動
・体内に取り込まれた酸素の2%
特にタバコは大量の活性酸素を発生させます。
仮に、1日20本の煙草を1年間吸い続けると、最大280ミリシーベルトの放射線に
被爆していると同じだと言われます。
これを頭部レントゲンに換算すると、1年間で5,600回分!
1日でも約15.5回ものレントゲン被曝量です!
私たちの体内では、活性酸素が大量に発生していますが、目で確認できるものと言え
ば、「日焼けによるシミ」くらいです。
食品からの活性酸素
わたし達に大切なのはバランス良く栄養が取れる食事です。
しかし、忙しさを理由に不規則な食生活やファーストフードやインスタント食品などの
比率が高まっています。
家庭でも魚・野菜中心の和食から、肉中心への欧米型へ変化しました。
肉には脂質が多く含まれています。
脂質は活性酸素の攻撃を最も受けやすく、体内に活性酸素を過剰に発生させる有力候
補なのです。
私たちを脅かすのは、食生活の欧米化だけではありません。
残留農薬や抗生物質、環境汚染も活性酸素を発生させる一因です。
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薬品汚染される食肉
抗生物質だけで年間902トン
畜産はコストを下げるために、狭いスペースに動物を詰め込みます。その結果、病気な
どが蔓延し出荷できなくなるのを防ぐため、あらかじめ、何種類もの抗生物質などの医薬
品や食品添加物までもが過剰に与えられています。
また、成長を早めるために成長ホルモンなども使用され、わたし達の食生活を脅かし
ています。
人が使用する抗生物質の2倍が使用されています。
薬品汚染される養殖魚
抗生物質だけで年間182トン
抗生物質の他にも、漁網に海藻が付かないように使用される薬品などもあります。
寄生虫駆除のためにホルマリンが使用されていたのも記憶に新しいことです。
最近、寄生虫の急増により、新たな駆除剤を使ったら、その駆除剤の残留が問題になっ
ています。
輸入エビからも漂白剤、抗生物質、大腸菌が検出されています。
農薬使用量世界一の野菜
年間農薬使用量約32万トン(平成13年)
今の野菜は生産性を追い求める輪作や化学肥料によって土地が痩せ、野菜本来の栄養素
は著しく低下しています。
わたし達が1日に必要な栄養素を摂取しようとすれば、最低でも大きなサラダボール5
杯は食べなければなりません。
日本は農薬使用量は世界一で、食べれば食べるほど残留農薬の影響を心配しなければな
りません。
日本の農薬使用量は、アメリカの7倍、カナダの20倍、ヨーロッパの7倍と言われて
います。
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農薬が残留している割合の高い作物は、セロリ、パセリ、ミニトマト、ミツバ、大根、
カブ、アオジソ、レタス、サラダ菜、りんご、伊予柑、イチゴなどです。
農薬は化学物質過敏症を引き起こすだけでなく、花粉症などのアレルギーを悪化させ
ます。
現在では、ベランダなどのちょっとしたスペースで、簡単に無農薬野菜が栽培できる方
法が編み出されていますので、この方法で家庭菜園をするのも良いかもしれません。
腐らない食べ物の不思議
最近の食べ物は「保存料」(防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、酸化防止剤など)をたくさん
入れて腐りにくくしています。
「食器棚に置き忘れたご飯が腐らなかった」という話もありますが、これは食器棚から
発散するホルムアルデヒドが保存料の役目をしたのです。
食品添加物では「保存料」が最も危険性です。
「インスタント食品」「レトルト食品」「調理済み冷凍食品類」には多くの添加物が含ま
れています。
特に添加物の多い加工食品です。
1.肉加工食品
2.漬物類
3.珍味類
深刻な環境汚染
工場からの粉じんや排気ガスなどの化学物質は、アスファルトには染み込みません。
風に吹かれ農地を汚染したり、雨に流され川や海を汚染しますので、巡り巡って魚介類
や野菜に蓄積し、わたし達への体内に入るので書くことにしました。
わたし達の住む環境は化学物質に汚染されています。
大気、土壌、海洋、わたし達を取り巻く環境はすべて汚染されています。
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化学物質により生活が豊かになり、健康が守られ、平均寿命も長くなりましたが、そ
の反面、ダイオキシンやPCBなどに代表される残留性汚染物質や農薬、プラスチック建
材に使われる化学物質の影響が深刻であることが分かってきました。それらは、わたし達
に病気という形で返ってきます。
アメリカでは、へその緒から287種類もの汚染物質が検出され問題視されています。
赤ちゃんまでもが、お腹の中にいるときから汚染物質に苦しめられています。
有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気
汚染物質など)を解毒するときに、活性酸素が発生します。そして、発生した活性酸素は
ミトコンドリアの働きを悪くさせることになります。
身体に溜まって蓄積していったらやがて身体に悪い影響になる可能性があります。
体内にたまった毒素が悪影響して、栄養の吸収を阻害したり、細胞まで栄養が届くこと
を邪魔したりします。
有害ミネラルは身体に蓄積されやすく、生理機能や代謝機能を阻害し、体調不良や精神
の不安定が起こります。
なんだかいつも疲れやすい、寝つきや寝起きが悪い、うつ傾向がある、気力が沸かない、
イライラして甘いものを食べるのがやめられない、集中力が続かない、些細なことで腹を
立ててしまう、などの問題があります。
毒素は体内での栄養の吸収を阻害したり、細胞の活動を停滞させたりします。
新陳代謝の低下につながってしまいます。
水銀や鉛などの有害ミネラルは、体内で酵素と結合しやすい特徴があります。酵素は体
内の様々な器官や組織を活発に働かせる代謝に欠かせない存在です。脂肪を燃焼させる(脂
肪をエネルギーに変えて使ってしまう)ということももちろん酵素の働きが必要です。酵
素の働きが有害ミネラルによって阻害されたらもちろん脂肪だって燃えにくくなってしま
います。
また水銀は褐色脂肪細胞の働きを低下させてしまうとも言われます。褐色脂肪細胞は
熱を作ってエネルギーを放射する細胞です。この細胞がどれだけ活性化しているかという
ことが、ミトコンドリアの働きをよくさせることによって、体温や基礎代謝に影響するの
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です。体温が高いということはそれだけ熱を作るためにエネルギーをたくさん使うという
ことですから痩せやすいということなのです。しかし水銀はその褐色脂肪細胞の働きを鈍
らせてしまうのです。片頭痛に悪影響を及ぼします。
それと毒素は自律神経の働きにも影響を与えます。もし自律神経が乱れてしまったらや
はり代謝やエネルギー消費が落ちてしまいますし、毒素が溜まっているということは、便
秘になっていたり、血行が悪くなっていたりする場合が多いわけですから、様々な片頭痛
治療への悪影響が考えられるのです。
こういった有害物質が蓄積することによって、「酸化ストレス・炎症体質」を増悪させ
る要因になってきます。
片頭痛発症の引き金となる「活性酸素」や「遊離脂肪酸」は栄養素の摂取過不足による
化学ストレスの代謝結果であり、多くの重度の片頭痛の方々が陥っている「薬物乱用頭痛」
は薬剤による典型的な化学ストレスの結果だということさえも理解できない、一部の「頭
痛専門医」がいるということです。
また、精神的ストレスであれ、化学的ストレスであれ、強いストレスや慢性的ストレス
にさらされると、そのストレスを癒す体の仕組みが働きだし、コルチゾール(副腎皮質ホ
ルモンの一種)が分泌されます。コルチゾールは脳の海馬を萎縮させる作用がありますの
で、アルツハイマー病の危惧までも生じてくることになります。
また、コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが分泌された時には、ホメオスター
シス(恒常性維持)といって体を正常化する(「化学的ストレス」を正常に戻す作用)コ
ントローラが働き、過剰に分泌されたこれらのホルモンを分解する際にも、過酸化水素や
ヒドロキシラジカルなどの活性酸素が多量に発生することになります。
ところで、“化学ストレス”って、一体何なのでしょうか?
簡単に言うと、体の中でおきているさまざまな代謝(化学的な反応)、例えば、食べた
ものが消化吸収され筋肉やエネルギーになったり(全て化学的な反応です)、血圧が上が
ったり下がったり、血糖値が上がったり下がったり、・・・・・、などに偏りが起きたと
きに、体がストレスを感じてしまうことをいいます。
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日常生活でいうと、栄養のとり過ぎや栄養不足、および、化学物質(薬、環境汚染物質、
食品に含まれる有害物質など)のとり過ぎなどその原因となります。
先ほど述べました「薬物乱用頭痛」や「脳過敏」などは、鎮痛剤や片頭痛発作予防薬の
慢性的な服薬により生じる「化学的ストレス」の結果が、本来体に備わった鎮痛作用や発
作抑制作用などにかかわる、ホルモンや神経伝達物質(シナプスでシグナル伝達に介在す
る物質)、プロスタグランジンなどのエイコサノイド、ヒスタミンなどのアミン、アンジ
オテンシンやブラジキニンなどのペプチドなどのバランスを狂わすことによって生じる現
象だと考えられます。
そのため、このような薬剤による「化学的ストレス」の解消にはストレスの原因となる
薬剤から離脱するしか方法は無いのですが、実際の医療現場では「脳過敏症候群」などの
新たな病名をつけ、さらに異なった薬剤を投薬するなどの奇異な医療行為?が一部の頭痛
専門医により奨励されています。
さて、このような「化学的ストレス」はこれらの薬剤の服薬以外にも、日常の食生活な
かにも幅広く存在し、私達は知らず知らずのうちにその悪影響を受け続けているのです。
そのため、食事とともに摂取される糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素、ビタミン類、
ミネラル類、微量金属などの過不足にともなう片頭痛発症への対策や有害化学物質に対す
る対策が必要不可欠となります。
ここでは体内でどのように有害化学物質の代謝が行われるかについて説明することに
します。
有害化学物質の体内での代謝について!
食品とともに取り込まれる有害化学物質には、PCB、ダイオキシン類、メチル水銀、
カドミウムなどの環境汚染物質をはじめ、食品添加物、残留農薬などがあります。
また、これら以外にも、工場や車の排気ガスに含まれる有害物や医療用の薬品類なども
含まれます。
これら、ほとんどの有機有害物質は肝臓で代謝酵素により、エステル化などの加水分解
や酸化反応(シトクロムP450などによる)、還元反応(グルタチオンペルオキシター
ゼなど)、抱合反応(硫酸、リン酸、グルクロン酸、タウリン、グリシンなど)などにより
解毒されます(代謝により毒性の強まる物もある)。
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これらの多くは代謝により親水性を高め分解や排出しやすくされたあと、胆汁または尿
を経て排泄されます。
肝臓による解毒処理では有害化学物質の9割以上はシトクロムP450(水酸化酵素フ
ァミリーの総称)が関与しています。シトクロムP450は脂溶性でその代謝する物は、
PCBやアルコール、一部の薬剤などのように蓄積すると毒性を示す物が多く、特にPC
Bをはじめとする残留性有機汚染物質はこれらの酵素により代謝されにくいため、必要以
上の酵素を誘導してしまいます。
また、排気ガスやタバコの煙、こげた食べ物などに含まれるベンゾピレンはシトクロム
P450で水酸化されることにより、さらに毒性の強い発癌物質を生成することが知られ
ています。
食品添加物として含まれている有害化学物質、残留農薬、環境汚染物質などの代謝、医
薬品と、飲み過ぎのアルコール・アセトアルデヒドの代謝は同じ代謝経路で処理されます。
また、シトクロムP450をはじめこれらの代謝にかかわる酵素は、いつでも十分な状
態で用意されている訳ではなく、通常は必要な時に必要な酵素が合成・補充されます(代
謝酵素の過剰誘導は別として)。
一般に解糖系(ブドウ糖をエネルギーにかえるなど)
の酵素は長寿命であり、酸化系酵素は短寿命(数分~数時間)ですが、タンパク質の合成な
どと同じように絶えず合成と分解がおこり動的平衡状態(いつも必要な物質がプールされ
た状態)にあります。
そのため、酵素合成に必要なアミノ酸類は通常不足することはありませんが、一つの物
質の酵素代謝にも補酵素やビタミン、ミネラルやホルモンなどさまざまな物質が関与して
いるため、そのなかの一つでもが欠乏するとすべての一連の代謝に支障に生じることから
全体としての酵素活性化低下する)、欠乏の起こりやすいビタミンやミネラルの摂取状態
が重要な課題となります。
また、肝臓の解毒負荷としては、他に腸内細菌有害菌により生成するアンモニア、アミ
ン類や硫化水素などの硫黄化合物、未消化タンパク質や尿素由来の毒性産生物もあります。
多量の医療薬服薬などを除けば、肝臓の解毒負荷は、食品などからの有害物質以上にア
ルコールの過飲や、腸内悪玉菌からのアンモニアなど有害物の産生(腸内細菌の状態で産
生量が異なる)が問題となります。
特に、大腸の後半の部分(横行結腸~下降結腸)では、腸内を健全に保っていた場合で
あっても、悪玉菌が産生するアンモニアや硫化水素などの有害物質が激増しますので、何
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よりも早い排泄が必要となります(便秘をしないことが重要)。
さらに、この薬物代謝経路を使い空腹時などの脂質からのエネルギー代謝やコルチゾー
ルなどステロイドホルモンの生合成も行われていますので、解毒負荷の増加はこれらに影
響を与えることになります。
以上、解毒代謝について説明しましたが、デトックス(解毒)を行う上での基本的な対
応は、次のようにまとめられます。
1.有害化学物質を摂らない、発生させない(薬、飲酒、魚介類、腸内細菌の健全化な
ど)
2.有害化学物質を体内に吸収させずに排出する(食物繊維、硫黄を含む野菜類など)
3.吸収したものは排泄する(皮脂、含硫アミノ酸・野菜、キレート剤、水分不足など)
4.解毒代謝を向上する(ビタミン・ミネラル類、解毒負荷軽減など)
こういったことから、慢性頭痛を改善させるためには「デトックス」が不可欠となりま
す。
デトックスとは
デトックスとは身体の中の毒素を外に出すということです。不要なものは出してしまう
ことが大事なことです。ちなみに便秘になると不快感を感じます。イライラしたり身体が
重く感じたりしますが、快便の時は爽快じゃないですか。またサウナや岩盤浴で汗をたく
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さんかいた時も気持ちいいです。老廃物や毒素を出した時には爽快感を感じるのです。
もちろん毒はなるべく身体に入れないほ
うがいいのですが、現実的にはとても難し
いことです。だからなるべく出してしまう
ために「デトックス」が必要なのです。
体内の毒素や老廃物を外に出すこと。これ
は必要なことなのです。
ストレスが続いて血圧や血糖が上がるな
ど、新陳代謝が低下することで体に必要な
栄養素などが届きにくく、老廃物などの不
要なものが、排出しにくい状況になってし
まいます。つまりデトックスができにくい状況になってしまいます。
毎日の食生活で取り入れる食べ物(たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・水)で私達
の体が維持されています。その人間の体の 70 %前後は水でできていますが、水の使い方
で体の中の老廃物や汚染物質を流しだすことに大きなヒントがあるのです。
人の体は、日々代謝を行い古いものと新しいものとに交換しています。細胞の数で 5000
億個の細胞が入れ替わるといいます。
その結果、不要物としてたんぱく質や核酸が分解されて出てくる老廃物や、生命維持や
代謝によって出てくるものなどの有害物質なのです。
体の不要物質は、血液によって回収されますが、血液の循環がスムーズに行われないと
回収されずに臓器や細胞の働きを邪魔することになります。
●尿を出しましょう!!・・水分摂取を怠りなく
尿は体の老廃物を排泄したり、病気を教えてくれたりと人間の体にとって大切な役割を
しています。体に毒素をためず健康体にするためにも、毎日の生活においての解毒(デド
ックス)を心がけが必要です。
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基本のデドックス・・・多くの解毒(デドックス)の中でも基本ともいえるものが、水を
飲むということです。あらゆる代謝は水のある環境
下で行われるので、水を飲むことで代謝がスムース
になり、細胞が解毒(デトックス)されていきます。
特に、尿から有害物質を排出するためには、尿の
濃度を薄く保つことが必要で、水分が不足して尿の
濃度が高まると、有害物質が溶けずに体内残ってし
まいます。
水をコップでこまめに意識して飲むことです。目
安は 1 日 1 から 2 リットルほどです。ただし、病気
で医師にかかっている場合は、水分摂取の注意があ
るかもしれませんので、医師とご相談してください。
体のなかのさまざまな化学反応の媒体
浸透圧バランス、pH 調整、血液循環などの、体内で起こるほとんどの作用に水が関係
しています。体温を調節や、栄養素を運んだり、不要なものを排出するのも、水が大きく
関わっています。命の源とも言える働きをしているのです。
大量の水が自分の中を流れ、あらゆる機能を支えていることを考えると、いきいきし
た体をつくるのに、水の質が体の良し悪しを左右すことになります。そのためにもよい水
を取りましょう。
ストレスが多い環境下では体内で活性酸素が発生しやすく、さまざまな病気の80%は
活性酸素が関与しているともいわれています。その活性酸素を消してくれるといわれる水
素水が話題になっていますが、世界に奇跡の水といわれる名水もこの水素が多く含まれて
いるそうです。
☆水の可能性に期待して、老廃物のデトックスを心がけましょう!
●食生活に気をつけましょう。・・食物繊維摂取不足には注意を
沢山尿を出すために、食物繊維やカリウムは、便や尿を出やすくするので、たっぷり取
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ることをおすすめします。カリウムの多い食材には、ほうれん草やトマト、リンゴ、にん
にく、人参、海藻など・・・。
要注意!食品添加物の現実
食品添加物には、保存剤、殺菌剤、漂白剤、小麦粉改良剤、合成着色料、合成着香料、
乳化剤などがります。普通の食生活をしていても、私たちは 1 日に 80 種類以上の食品添
加物を食べています。食品添加物の怖さとして、その発がん性が取り上げられています。
摂取されている食品添加物の組み合わせによる害は測定されていません。仮に、食品添
加物自体は、発がん性がないとしても活性酸素となると話が違います。いま、私たちが口
にする食品は、食品添加物のお世話になっていないものが無い程です。
そうした食べ物からも活性酸素が生まれるのです。食品添加物には亜鉛を消費するもの
が多く、亜鉛不足は、活性酸素を打消すSODの効果を弱めます。その結果体内に発生す
る活性酸素の増加が大量に増加することになります。そのような体内を水でデドックスを
しましょう!
4.薬剤による影響
さらに、
「ミトコンドリアの働きを悪くさせるもの」があります。それは、まず「頭痛」
のたびに服用する”アスピリン”を含ん
だ市販の鎮痛薬であり、片頭痛・予防薬
として使用される抗てんかん薬のデパケ
ンであり、また風邪などのときに安易に
使用される抗生物質です。
ミトコンドリアは細胞内で細菌のよう
に見え、実際、昔、真核細胞生物に入り
込んだある種の細菌がその先祖であると
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考えられています。このように、ミトコンドリアは細菌的な性質を有していることから、
他の細菌類と同じように抗生物質により殺傷される可能性が高いのです。細菌に近い生物
であったミトコンドリアにも少なからずダメージを与えます。特に片頭痛の素因のある人
は、ミトコンドリアの数がもともと少なく、またミトコンドリアの働きが悪いために、そ
の影響を受けやすいのです。
こういったことから、意味のない風邪での抗生物質の服用には注意が必要です。
また、牛肉、豚肉、鶏肉など、大量生産される畜産食品や養殖魚には抗生物質を含むエサ
を用いて飼育されたものが多く、それらを通して抗生物質が摂取されることになりますの
で、これらの食品のとり過ぎには注意が必要です。
また、アスピリン(アセチルサルチル酸)は、肝臓で代謝されてサルチル酸という強い
酸に分解されます。サルチル酸は、ミトコンドリアが代謝物を取り入れる小さな穴を破壊
します。その結果、ミトコンドリアはエネルギー代謝ができなくなり、最終的に死滅して
しまいます。頭痛薬や風邪薬の安易な服薬は、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせま
す。こういったことから、緊張型頭痛の状態で、アスピリンを含んだ鎮痛薬を頻繁に服用
していますと、片頭痛への移行を早めることになります。片頭痛の段階での服用は、その
鎮痛効果を悪くさせ、結果的に効かなくなります。
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また、予防薬として使われる抗てんかん薬のデパケンにもミトコンドリア毒性があり、
要注意です。長期間にわたる服用では、結局何をしているのか分からなくなります。
病気を治すために飲む薬(市販の鎮痛薬や病院で処方される薬剤などすべてです)これ
らのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理
解してしまいます。
そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素
が発生してしまうのです。このため、過剰に服用した鎮痛薬は異物そのものであり、これ
を解毒するために過剰に活性酸素が発生することによって”ミトコンドリアを弱らせる”
ことになります。
以上のように、長期間にわたる薬剤の服用は、その種類は問わず要注意ということです。
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