平成25 - 香川県信用保証協会

年度経営計画の評価
平成25年度
香川県信用保証協会
1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
1-1.業務環境
(1)香川県の経済情勢及び中小企業の動向
日本銀行高松支店発表の「香川県金融経済概況」によれば、県内の景気は持ち直しの動きから年末に向けて緩やかに回復しつつある状態へと向
かい、12 月から年度末までにかけては緩やかながら回復状態となった。企業の生産動向は、年度初めの足踏み状態から緩やかな持ち直しに至り、
金属製品は、公共工事や住宅着工の増加を受けて増加し、高水準に至った。また、化学(医薬品)は、年間を通じ堅調に推移し、電気機械・一般
機械は、堅調に推移しながら年度中盤から増加の動きをみせ、窯業・土石は、持ち直しつつある状態にある。輸送機械(造船)は、受注残の減尐
を反映して、生産水準を引き下げている状態から受注持ち直しの動きが広がり、持ち直しつつある。
(2)県内中小企業の資金繰り状況
民間信用調査機関によれば、平成 25 年度の倒産件数は前年度比 63.2%、負債額は前年度比 33.8%とそれぞれ減尐した。原因別では、販売不振
の不況型倒産が全体の 88.9%を占めた。
当協会の代位弁済は一部の中小・零細企業において、経済の先行き不透明から、自ら企業経営を断念するケース等があり、代位弁済額 17 億 60
百万円、前年度比 53.7%となり、前年度に引き続き低い水準で推移した。中小企業の資金繰り状況は、景況感の回復を反映し落ち着いた状況にあ
った。
(3)県内中小企業の設備投資動向
県内の景気は緩やかな回復の動きが続き、設備投資については、持ち直しの動きが明らかになりつつある。
当協会の資金使途別保証状況を見ると、設備資金(運転・設備資金を含む)は、構成比で 11.20%と、前年度の 7.79%を 3.41 ポイント上回った。
(4)県内の雇用情勢
平成 26 年 3 月、全国有効求人倍率の平均は 1.07 倍で 1 を上回り、香川県有効求人倍率は 1.40 倍(全国 5 位)で、前年度の 1.08 倍を 0.32 ポ
イント上回り、4 年連続で上昇した。県内の雇用情勢は厳しさが残るものの持ち直している。
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1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
1-2.業務運営方針
業務運営に当たって、中小企業の良きパートナーとして、「信用保証」により経営の安定と強化を支援し、中小企業の振興と地域経済の発展に
貢献していくため、健全な業務運営と経営の効率化に努め、
「信頼され、顔が見える、存在感のある協会」を目指して次の通り取り組んだ。
①
各種政策保証については、中小企業の資金繰りの円滑化を図りながら、中小企業金融円滑化法終了後も、国および地方公共団体の施策に呼
応し、借換保証、経営力強化保証などの推進を図った。また、保証利用企業数については減尐傾向にあるので、金融機関の協力を得ながら新
規利用企業の増加を図った。
②
保証利用企業先の管理については、大口の保証利用企業のうち、経営が悪化している企業、返済緩和を行っている企業を重点管理し、金融
機関と連携してきめ細かな対応に努めた。
③
求償権の回収については無担保かつ第三者保証人のいない求償権が増加している中、破産等の法的整理案件も加わり困難化する状況におい
て、回収体制の合理化・効率化に取り組んだ。
④
危機管理体制については協会に対する信頼を確立するため、コンプライアンスとあわせて充実・強化に努め、経営の透明性と健全性を高め
るよう取り組んだ。
⑤
電算システムについては、次期電算システムの情報収集を図り、引き続き導入に向けた検討を行うと同時に、現行システムを検証し、確実
性を高めた。
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1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
2.重点課題について
(1)保証部門
①
企業情報の共有化と経営支援の強化
金融機関との連携強化や情報共有を図るため、事務打合せ会を 6 金融機関(79 店舗、150 名)と実施し、また百十四銀行の得意先業務研修
(51 名)に講師を派遣した。26 年度以降も積極的に開催を呼びかけ金融機関との現場(実務)レベルとの連携を強化する予定である。
②
目利き職員の養成
中小企業診断士二次試験に合格した職員がおり、26 年度中に有資格者が 1 名増加する予定である。また、目利き職員を養成するため、連合
会実務研修の課題別研修に、保証部・経営支援部合わせて 10 講座、のべ 12 名を派遣した。26 年度以降も積極的に研修への派遣並びに通信教
育への取組みを推進する予定である。
③
新規保証利用企業の確保
保証利用企業数の維持を図るため、上期・下期にて新規先保証推進キャンペーンを実施し特別預託を行った。24 年度以降は新規先企業の定
義並びに預託基準を緩和して実施しているが、25 年度の実績は、新規先件数 554 件、預託対象件数 435 件、預託対象店舗はのべ 145 店舗とな
り、新規先件数と預託対象件数は 24 年度の実績を下回った。25 年度の新規企業(初回申込み企業及び過去 3 年間保証利用がない企業)数は
350 企業で前年度を大きく下回り、代位弁済による減尐は 92 企業だったものの、25 年度末における保証利用企業数は 8,945 企業と前年度末
に比べ 497 企業の大幅減尐となった。新規保証利用企業の推進を積極的に図り、保証利用企業数を維持することが喫緊の課題である。
④
利用者の利便性の向上
ホームページを活用し、新しい保証制度の創設、中小企業会計割引制度の見直し、経営者保証に関するガイドラインへの対応、「信用保証
のてびき」の改訂等について情報を提供した。また、金融機関向けに、新規先保証推進キャンペーンや保証のランキング等の保証推進情報に
ついても提供を行った。今後はより一層適時適切な情報発信と内容の充実に努める必要がある。
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1. 前年度計画の自己評価
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(2)期中管理部門
①
返済緩和の条件変更企業等の管理強化
中小企業金融円滑化法終了後も引き続き金融機関と連携して返済緩和の条件変更に取り組み、事故報告を受けた企業および事故報告後に返
済緩和の条件変更を行った企業についても、事業の継続性を見極めたうえで再度の返済緩和等に対応した。
また、代位弁済やむなしと判断されるものについては、代位弁済手続に早期着手し代位弁済利息が嵩まないように努め、その結果、平成 25
年度の代位弁済は、17 億 60 百万円で、平成 24 年度比 53.7%と低水準となった。
なお、従来、保証債務残高 1 千万円以上で延滞または期限経過先について管理していたが、平成 26 年 3 月より経営支援部担当の企業先に
ついて延滞回数 2 回以上または期限経過 15 日以上の案件を抽出し、4 月からは保証部担当も含めた全企業を対象にして事故に至らないよう努
めた。
②
大口の保証利用企業に対する重点管理継続
前年度に引き続き、保証債務残高 6 千万円以上の企業を対象に、決算書を定期的に徴求した。その中で、保証料率区分が 2 区分以下の企業
または返済緩和の条件変更をしている企業については、重点管理企業として、毎月末に延滞等が発生していないかどうかのチェックを行い、
延滞が発生している場合は、金融機関に電話照会するなど早期対応に努めた。
③
中小企業の経営改善を支援する取り組み
金融機関との連携のもと、中小企業者の経営改善計画策定支援については香川県経営改善支援センターへ、事業再生計画策定支援について
は香川県中小企業再生支援協議会への相談を促し、国や県等が推進する支援施策活用の提案を行った。
その策定された事業計画等に基づき、平成 25 年度における経営力強化保証は、創業資金の利用も含めて 19 件 245 百万円、平成 26 年 1 月
開始した事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート)は、14 件 169 百万円(県再生支援融資6件83百万円含む)
、香川県中小企業再生
支援融資は、18 件 325 百万円の保証承諾を行った。
一方、再生計画に基づいた求償権DDSを日本政策金融公庫の承認のもと、当協会としては初めて取り組んだ。また、中小企業再生支援協
議会とは引き続き、月 1 回の定例会を開催し、個別企業の進捗状況について情報交換に努めた。
なお、セーフティネット保証 5 号利用における金融機関から提出された「業況報告書」を受けて、金融機関 25 店舗の訪問を実施し、企業
の実態把握に努めた。
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1. 前年度計画の自己評価
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(3)回収部門
①
求償権の回収体制の合理化・効率化
新規求償権は、代位弁済前に回収担当者を決め、債務者等の資産調査等現状を把握して、早期の弁済交渉や担保処分をめざした。
なお、物件処分による回収に注力するため、有担保案件と無担保案件それぞれの担当専任化を推進した。また、損害金の減免を条件にした
一括入金交渉などを行い、長期化した求償権の解決をめざした。
以上の結果、回収総額(元金と損害金の合計、サービサー回収分含む)は 9 億 52 百万円と前年度比 110.7%となった。
②
積極的かつ効果的な法的措置などの実施
本訴(簡易裁判所への請求訴訟を含む)
・支払督促・仮差押などの法的措置は、合計 91 件(前年度 50 件)実施した。競売は 29 件(前年度
22 件)実施した。なお、7~8 月および 12 月に夜間督促・休日督促を実施した。
③
サービサー(保証協会債権回収株式会社)の活用
サービサーへの新規委託については、件数 56 件(前年度比 82.3%)、金額 199 百万円(前年比 61.6%)を実施した。
求償権全体の質が劣化しているなか既存案件の掘り起しを中心にすすめた結果、サービサーによる回収額は 100 百万円(年度計画 100 百万
円)となり、計画を達成した。
(4)その他間接部門
①
危機管理体制の強化
危機管理委員会を 3 回開催し、事業継続計画における代替拠点の確保等については議論を重ねた結果、香川インテリジェントパーク内に被
災時対応スペースを確保したほか、株式会社IHIエスキューブの安否確認システム(IS-Anpi)を導入し 7 月 31 日に役職員を対象
とした安否報告操作訓練を実施した。また、9 月 24 日には内陸型地震を想定した避難訓練も実施し、危機管理の強化に努めた。
②
コンプライアンスの充実・強化
平成 25 年度コンプライアンス・プログラムに基づき、役職員を対象とした内部研修の実施やコンプライアンス情報の発信に努めた。
また、朝礼を利用して、役職員一人ひとりがこれまで以上に、コンプライアンス意識、危機管理意識を持つことの周知を図った。
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1. 前年度計画の自己評価
③
香川県信用保証協会
現行システムの検証と次期システムの検討
現行システムについてはアウトソーシング先との連絡を密にし、GLOBALNEXTS運営協議会や同グループ連絡会を通じて連携を深
め、システムの検証を実施して事故防止に努めた。
次期システムについては、他協会から東京グループ(コモンシステム)、大阪府グループ(オービットシステム)の情報収集に努めると同
時に検討委員会において現状の事務処理等を確認し、候補システムの評価準備を進めた。
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1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
3.事業計画について
保証承諾は、3,630 件、371 億 89 百万円で、前年度比で件数 79.1%、金額 72.9%と下回り、計画額 515 億円に対する達成率も 72.2%となり、
計画額を 143 億 12 百万円下回った。
また、保証債務残高においても 17,537 件、1,244 億円で、前年度比で件数 92.9%、金額 86.8%と下回り、計画額 1,360 億円に対する達成率も
91.5%となり、計画額を 116 億円下回った。
平成 21 年 12 月に始まった中小企業金融円滑化法が平成 24 年度で終了したこと、またセーフティネット保証の対象となる認定業種が減尐した
こと等の影響から、全国的に保証承諾及び保証債務残高は、前年度に比べて下回っており当協会も全国と同様の状況となった。
企業倒産は全国的には 23 年ぶりに 1 万 1 千件を下回る低水準にあり、全国的に代位弁済についても前年度を下回って推移した。当協会の代位
弁済は一部の中小・零細企業において経済の先行き不透明から、自ら企業経営を断念するケース等があったものの、前年度比で件数 53.4%、金額
53.7%と、金額は前年度を約 15 億 18 百万円下回り、対計画比で 44.0%、金額で計画を 22 億 40 百万円下回るなど、低い水準で推移した。
回収は、無担保及び第三者保証人がいない代位弁済の増加により、ますます困難になっている。このため、計画額を7億円、対前年度計画比
100.0%としていたことから、回収額 9 億 52 百万円計画比 136.1%と計画は達成し、対前年度比も 110.7%と増加した。
平成 25 年度の保証承諾等の主要数値は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
項
目
件
数
金
額
計画値(金額)
計画達成率
保 証 承 諾
3,630
(79.1)
37,189
(72.9)
51,500
72.2
保証債務残高
17,537
(92.9)
124,419
(86.8)
136,000
91.5
代 位 弁 済
210
(53.4)
1,760
(53.7)
4,000
44.0
実 際 回 収
107
(101.9)
952
700
136.0
(110.6)
※( )内の数値は対前年比を示す。
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1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
4.収支計画について
当期収支差額は 17 百万円の黒字と見込んでいたが、実績は 5 億 27 百万円の黒字となった。
これを分析すると、経常収入については、保証承諾の減尐から保証料は対計画比 95.1%、金額で 63,282 千円下回った。
一方、有担保債権の一括回収が促進されたことから、損害金は対計画比 133.9%、金額で 3,729 千円上回った結果、経常収入は対計画比 97.4%、
金額で 47,623 千円下回った。
次に経常支出は、すべての勘定科目で対計画比を下回り、主な勘定科目は、業務費の内、人件費・事務費で対計画比 89.9%、保証承諾の減尐か
ら保険料は対計画比 97.8%と下回った結果、経常支出は対計画比 91.0%、金額で 140,263 千円下回った。
経常外収入は、対計画比 68.5%と減尐した。経常外支出が対計画比 61.8%と下回った主な要因は、代位弁済が計画値を下回り、求償権償却が
対計画比 58.5%、金額で 1,418,971 千円下回ったことによる。制度改革促進基金取崩は、代位弁済が計画値を下回ったことから対計画比 85.7%、
金額で 13,458 千円下回った。
この結果、計画に対し経常収支差額、経常外収支差額ともに好転し、当期収支差額は 5 億 27 百万円の黒字となった。
政府における経済対策の効果が地方の中小企業に波及するにはかなり時間を要するものと思われる。
また、中小企業を取り巻く経営環境は依然厳しい状況にあり、加えて平成 24 年度で中小企業金融円滑化法が終了した影響も考慮すれば、今後、
代位弁済の増加により収支の悪化が予想されることから、更に、健全な業務運営と経営の効率化に努める必要があると認識している。
5.財務計画について
基本財産の内、基金については、平成 17 年度から県市町への拠出要請を見合わせており、期末の基金は、前年度末と同額の 62 億 82 百万円と
なっている。基本財産の内、基金準備金は、前年度末の 74 億 42 百万円に当期収支差額の半分の 2 億 63 百万円を加え 77 億 5 百万円となった。
この結果、基本財産総額は、139 億 87 百万円と計画額 137 億 42 百万円を上回った。
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1. 前年度計画の自己評価
香川県信用保証協会
●外部評価委員の意見等
1.信用保証協会の使命に基づいて、業務に取り組まれていることは評価できます。更に、中小企業に対する金融支援・経営支援・再生支援に積
極的に取り組むとともに、経営基盤の強化と健全経営に努め、中小企業の良きパートナーとしての役割を発揮してください。
2.平成21年度以降保証承諾が減尐しています。景気動向に加え中小企業の資金需要の状況が反映されたという事情はありますが、従来どおり
中小企業の資金需要に更に的確に対応し、適正保証を継続する点からも一定の残高確保は望ましいことと考えられますので、金融機関との連携
を深めるなど一層の努力をお願いします。
3.期中支援については、重点管理対象企業の拡大を図る等、きめ細かい支援強化を実施した結果、財務内容の好転した企業が見受けられます。
一方、中小企業金融円滑化法による返済緩和等が行われた保証債務については、代位弁済の増加が懸念される状況にあり、更なる期中支援の
強化を期待します。
4.平成18年度以降の不動産担保や保証人に過度に依存しない保証の実施によって無担保かつ第三者保証人のいない求償権が増加する状況の下
で、回収体制の合理化・効率化に取り組んだ結果、計画比136%、金額にして9億52百万円の回収実績を上げた事は評価できます。
平成25年度は代位弁済が低位に推移しましたが、今後については増加も予想されることから、なお一層回収の進捗管理に注力し地道な回収
努力を続けてください。
5.危機管理体制については BCP の実効性確保に向けてさらに努力を続けて下さい。反社会勢力対応は適正に対応できる体制が整えられているよ
うですが、その充実・強化に向けて更なる努力をお願いします。
6.コンプライアンスは、年度当初に策定されたプログラム内容が着実に実施されました。コンプライアンスの意識づけは継続的に行うことで定
着が図られますので、今年度行った外部講師による講習などプログラムの充実を図り、役職員の法令順守意識を高め、倫理観とともに行動出来
るような体制を目指して引き続き努力してください。
7.従来からの安定した財務基盤を今年度も維持され、保証を引き受ける余力を十分に確保されていることは評価できます。それに加えて今後と
も、保証協会を取り巻く環境の変化に備え、一層の財務基盤の強化を目指されることを期待します。
以
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上