基本目標Ⅳ 子どもの生きる力をはぐくむ (1)学校教育の振興 現 状 いつの時代においても、教育は、国や社会の発展の礎となるものであり、わが国がこ の 21 世紀において今後さらなる発展を遂げ、国際社会に貢献していくためには、心豊 かで、たくましい子どもの育成が重要となっています。 特に、これからの社会を子どもたちが自立し、社会の一員として生き抜いていくため には、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けるとともに、自ら課題を見つけ、 自ら学び、主体的に判断し、よりよく問題を解決する能力や、自らを律しつつ、他人を 思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力など を身に付けていくことが必要となっています。 国では、平成25年6月にいじめ防止対策推進法の制定、平成25年8月には障害者 や特別支援教育にかかわる法令の改正が行われました。教育委員会では、法の制定等を 踏まえ、他人を思いやる心、偏見や差別を許さない心の育成とともに、いじめの未然防 止、早期対応を図るための仕組みづくりや具体的な取り組みを進めています。また、特 別支援教室を含めて特別支援教育の一層の推進に向けた今後の取組方向等の検討を行っ ています。 教育委員会においては、目黒区の学校教育に関する中期計画として「めぐろ学校教育 プラン」を策定し、「生きる力」をはぐくむ学校教育を推進するとともに、家庭、地域 の教育力の低下、学校生活への不適応、子どものストレスの堆積などから生まれる子ど もの心の悩み、不安、いじめや不登校への対応など、子どもの健全な成長を妨げる課題 の解決に向けた取り組みを進めています。また、学校現場での体罰・不適切な指導の根 絶、子どもの安全確保への対応、教育環境の向上などの取り組みを進めています。特に 教職員の分かりやすり授業を展開できる実践的指導力を高めるとともに、児童・生徒、 保護者などとの信頼関係の構築に努めています。教育環境の面では、児童・生徒の生活 様式の変化、施設・設備の老朽化に対応した学校環境の改善など児童・生徒が安心して 学習・生活ができる安全な学校づくりに向けた取り組みや、区立学校の小規模化に応じ、 区立中学校の適正規模の確保と適正配置に取り組むとともに、魅力ある区立中学校づく りに向けた取り組みに努めています。 課 題 ○すべての大人・子どもが、人権尊重の理念を正しく理解するとともに、思いやりの心 や社会生活の基本的ルールを身に付け、社会に貢献しようとする精神をはぐくむこと が求められています。 ○グローバル化が進展する中で、未来を担う子どもたちが自立して生き抜いていくため には、学習指導要領に基づき、「確かな学力」や「豊かな心」、「健やかな体」など 「生きる力」はぐくむとともに、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら問題を解決する 資質や能力をはぐくむ教育をさらに推進することが求められています。 86 ○子どもの心の悩み、不安への対応が求められています。また、不登校やいじめの問題 は引き続き重要な課題であり、的確な対応が求められています。 ○発達障害や知的障害、肢体不自由など特別な支援の必要な子どもに対し、一人ひとり の教育的ニーズに応えた指導を行うことが求められています。 ○子どもの安全を守る体制の整備とともに、児童・生徒が自ら危険を予測し、回避する 危機対応能力を高める効果的な指導が必要になっています。 ○子どもは、家庭、学校、地域社会の中ではぐくまれ、成長していきます。次代を担 う子どもをはぐくむために、家庭、学校、地域が連携・協力して、子どもの教育にか かっていくことが求められています。 ○学校の教育環境や生活環境の充実・改善、学校施設の安全対策や長寿命化対策の推進 が求められています。また、情報教育の充実を図るとともに、子どもたちがトラブル や事件に巻き込まれないよう情報を取捨選択し、正しく読み解く力や情報モラルを身 に付けるなどの教育を推進することが必要です。 施策の方向 ○一人ひとりの子どもが、人権の意義や重要性等について理解し、自分の大切さととも に他の人の大切さを認め、具体的に行動でき、人権が尊重される社会づくりに向けた 行動につながるよう、人権尊重教育を推進します。また、児童・生徒に適切な指導が できるよう教員の人権教育に関する資質の向上を図ります。 ○「確かな学力」の向上に向けて、児童・生徒一人ひとりが学ぶことの喜びや楽しさを 実感し、自主的な学びへつながる教育を進めます。また、区の補助教員等を活用し、 指導方法の工夫・改善を図り、学力の定着と向上に取り組みます。 ○「豊かな心」をはぐくむために、道徳教育の充実、自然宿泊体験教室等を通した自然 と触れ合い学ぶ機会の拡充、伝統と文化を学び親しむ機会の充実、国際理解教育の推 進、読書活動の推進などの取組を進めます。 ○子どもが生涯にわたって心身ともに健康な生活を営むことができるよう、健康教育を 推進します。 ○校内研究・校内研修等に積極的に取り組み、教員一人ひとりが教育課題に対する理解 と認識を深め、授業力や指導力などの教員としての資質・能力を高めます。 ○教育委員会と学校・保護者・地域が連携し、子どもの不登校・いじめの未然防止・早 期解決に努めるとともに、個々のケースに応じた教育相談機能の充実を図ります。 ○障害のある児童・生徒の自立や社会参加に向けて、一人ひとりの教育的ニーズを把握 し、適切な指導や支援体制の充実を図ります。 ○災害時等の状況に応じた的確な判断や行動ができる能力の育成に取り組むとともに、 子どもを犯罪や事故などから守るため、学校や家庭、地域と連携し、子どもの安全確 保に努めます。 ○子どもたちが健やかに成長できるよう、学校・家庭・地域の連携・協力を推進すると とともに、日々の教育活動や指導の実情を積極的に保護者、地域に公表し、より開か れた学校、信頼される学校づくりを推進します。 87 【新規事業】 ● 【再掲】事業番号 1101 体罰の防止に向けた取り組み (教育指導課) 体罰の防止、根絶に向けて、教職員や部活動外部指導員を対象とした研修を実施する。 また、目黒区体罰根絶マニュアルを作成・配付し、教職員や部活動外部指導員等の意識 啓発を図る。 現況〔26 年度〕 毎年7月、12 月に各校で実施してい る服務事故防止研修で目黒区体罰根 絶マニュアルを活用。 計画目標 毎年度継続的に意識啓発研修を実施 ・教職員向け研修 ・部活動外部指導者向け研修 ● 【再掲】事業番号 2303 特別支援教室の実施 (教育指導課) 区内の拠点校から教員が巡回し、区立小学校に在籍している知的発達に遅れのない発 達障害等の児童への在籍校における指導を行う。 現況〔26 年度〕 平成25年4月1日から、特別支援 教室を区立小学校全校に設置し、7 校の拠点校からの巡回指導を開始し た。 計画目標 東京都は、平成 28 年度からすべての公立小学 校に特別支援教室を設置する構想を公表してい る。 区としては、平成 24 年度から平成 26 年度ま での3年間のモデル事業の実績を踏まえ、平成 27 年度も特別支援教室事業を継続し、平成 28 年度からの本格実施に向けて充実させていく。 【拡充事業】 ● 事業番号 4101 区立中学校の適正規模適正配置の推進【実】 (学校統合推進課) 子ども達が多様な人間関係を構築しながら互いを思いやる心を育み、「生きる力」を 身に付けていけるよう、教育環境の充実を目的として区立中学校の適正規模・適正配置 の取組を推進する。 現況〔26 年度〕 〔前計画番号 4112〕 ・平成27年4月1日大鳥中学校開 校準備 ・南部・西部地区(第七・第八・第 九・第十一中学校)の統合に向けた 検討 計画目標 新たな統合実施策の策定及び統合実施策に基づ く具体的取組を行う。 88 ● 事業番号 4102 学校 ICT 環境の整備【実】 (学校運営課) ① 区立小・中学校の児童・生徒の情報教育の推進を図る。 ② ICT機器を活用し、工夫を凝らした「わかる授業」の実践を図る。 ③ 区立小・中学校配備のコンピュータ機器リース期間満了に合わせ、機器の更新を行う。 現況〔26 年度〕 〔前計画番号 4114〕 小学校8校について ICT 機器入れ替 え、拡充、校内 LAN 拡張を実施。 目黒中央中学校校内 LAN システム更 改を実施。 その他、運用継続を行った。 計画目標 コンピューター教室、普通教室、特別教室等で 使用する教育用 ICT 機器の更新及び拡充を行 う。 【継続事業】 事業名 【再掲】 〔事業番号 1105〕 人権教育 ・人権政策課 ・教育指導課 ・生涯学習課 【再掲】 〔事業番号 1106〕 スクールソーシャルワーカー(SS W)の学校や家庭等への派遣 事業概要 〔前計画番号 1104〕 区立学校における授業や課外活動、人権オープン スクール、また、児童館、青少年プラザ、社会教 育館等の事業を通して、人権尊重の理念を定着さ せ、同和問題や男女平等などの人権教育を推進す る。 〔前計画番号 1106〕 スクールソーシャルワーカーを区立学校や家庭等 に派遣し、子どもを取り巻く様々な環境などに起 因した課題に関し、スクールカウンセラーや福祉 も含めた関係機関と連携しながら解決を図る。 ・めぐろ学校サポートセンター 【再掲】 〔事業番号 1107〕 長期欠席児童・生徒への学習支援 〔前計画番号 1107〕 長期欠席の児童・生徒一人ひとりの状態に応じた 指導・援助を行い、自立の力をつけ、集団生活へ の適応を図るとともに、学校復帰を目指す学習支 援教室を運営する。また、不登校児童・生徒の自 ・めぐろ学校サポートセンター 宅へ「メンタルフレンド」を派遣し、話し相手や 相談相手になり、一緒に遊ぶ等のふれあいを通し て自分自身を見つめさせ、人と社会とのかかわり を促すことを目的としたメンタルフレンド事業を 行う。 〔前計画番号 4306〕 〔事業番号 4103〕 学校における子どもへの伝統文化の継 伝統芸能継承者を区立学校へ派遣し、子どもが伝 統文化に触れる機会をつくる。 承 ・教育指導課 89 事業名 事業概要 〔事業番号 4104〕 少人数学習集団による指導やティー ム・ティーチングの充実(学習指導講 師等の活用) 〔前計画番号 4101〕 少人数の学習集団をつくり、学習内容の習熟の程 度に応じた指導や課題学習や発展学習を取り入れ た指導を行う。また、区独自の学習指導講師や学 習指導員を活用して、複数の指導者が協力して指 導を行うティーム・ティーチングを実施する。 ・教育指導課 〔事業番号 4105〕 環境教育の充実 〔前計画番号 4103〕 区は「環境の保全のための意欲の増進及び環境教 育の推進に関する法律」に基づき、学校教育及び ・学校運営課 社会教育における環境教育の推進に必要な施策を 講ずるものとされ、各学校が「学校版めぐろグリ ーンアクションプログラム」を基に環境教育に取 り組む。 〔前計画番号 4104〕 〔事業番号 4106〕 区立小・中学校の児童・生徒が校外での豊かな自 自然体験・生活体験の場の充実 然環境の中で自然体験や宿泊体験を行うことで、 ①自然を愛する心や環境を保全する態度の育成、 ・教育指導課 ②自律の精神・協調性・規範意識の育成、③自ら 学び考える力の育成、④心身の健康や体力の増進 を図ることを目的に、小学校 4 年生から中学校 1 年生までの毎年、「自然宿泊体験教室事業」を実 施する。 〔事業番号 4107〕 〔前計画番号 4105〕 職場体験やボランティア活動等の推進 職場体験やボランティア活動などを学校や地域の 特性に応じて取り組み、働くことの意義を理解し ・教育指導課 たり社会に奉仕する心を育てたりする。 〔前計画番号 4106〕 読書活動を推進し、子どもたちに多くの言葉を身 につけさせ、言葉にかかわる感覚を磨き、「考え る力」や「表現する力」「想像する力」などを高 ・教育指導課 めるとともに豊かな感性や情操をはぐくむ。その ため、各学校が読書計画を策定するとともに、学 校図書資料の充実や学校図書館ボランティアの一 層の活用を図る。 〔事業番号 4109〕 〔前計画番号 4107〕 放課後学習等の支援(学習指導員の配 区立中学校の生徒一人ひとりの学力や学習意欲に 置) 応じた学習の機会を拡大するため、学習指導員を 活用した放課後の学習支援や土曜日の補習教室を ・教育指導課 行うことにより、基礎基本の確実な定着を図る。 〔前計画番号 4108〕 〔事業番号 4110〕 各区立学校が夏季休業日の短縮のねらいも踏まえ 夏休み中の学校の対応の充実 ながら、児童・生徒の学習状況等に応じて創意工 夫し、長期休業中の子どもたちの学びや活動を支 ・教育指導課 援する。 〔事業番号 4108〕 読書活動の推進 90 事業名 【再掲】 〔事業番号 2317〕 特別支援学級の増設 ・教育指導課 〔事業番号 4111〕 情報教育の充実 ・教育指導課 〔事業番号 4112〕 学校環境改善 ・学校施設計画課 〔事業番号 4113〕 学校評価の多様化と充実 ・教育指導課 事業概要 〔前計画番号 4110〕 一人ひとりの障害の状況に応じた適切な指導が実 現できるように、対象児童・生徒数の推移を考慮 し、情緒障害学級の増設の必要性について検証す る。 〔前計画番号 4113〕 個人情報保護への配慮も含め、子どもたちの情報 活用能力をさらに高めるとともに、授業の多様化 を図り情報教育を充実する。また、携帯電話等の 情報機器の利用において、子どもたちがトラブル や事件の加害者や被害者にならないよう情報モラ ルの指導を進める。 〔前計画番号 4115〕 トイレ改修、校庭整備などを計画的かつ重点的に 行い、児童生徒の学習環境と生活環境の改善を進 める。 〔前計画番号 4116〕 区立学校による自己評価を徹底するとともに、教 育委員会で策定した学校評価の指針に基づき保護 者や地域、学校評議員による評価を引き続き実 施・公表し、学校運営に活かしていく。26 年度 をもって全校区で第三者評価を実施したことを受 け、成果と課題をまとめ改善を図る。 91 (2)いじめ防止対策の推進 現 状 子どもは一人ひとりがかけがえのない存在です。一人の人間として尊重され、いきい きと成長していくことが大切にされなければなりません。特に「いじめ」は、いじめられ た子の心を深く傷つける重大な人権侵害であるとの認識の下、区立学校では一人ひとり の子どもがお互いを尊重し、大切にする教育を進めています。 平成 25 年6月には、いじめ防止対策推進法が公布され、各自治体において様々な対 策が求められています。 課 題 ○児童・生徒が心豊かで安全で安心な学校生活を送るために、学校及び関係機関が相互 に連携して、いじめのない環境づくりを推進することが求められています。 ○いじめは、どの学校にも、どの学級にも、どの児童・生徒にも起こり得るものである との認識の下、いじめの防止及び早期発見、早期対応が求められています。 ○平成 25 年6月に公布され、同年 9 月に施行された「いじめ防止対策推進法」により、 区教育委員会と各学校が連携して、いじめの防止及び早期発見、早期対応に向けた取 組の一層の充実が求められています。 施策の方向 ○各学校において、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じ、子どもたちの豊 かな心の育成に努めるととも、授業の公開などにより保護者や地域の方々の心の教育 への理解や子どもたちへのかかわりを深め、子どもたちの豊かな心の育成を進めます。 ○いじめの未然防止及び早期発見、早期対応に向けて、いじめの実態把握の取組や校内 体制・組織の整備及び関係機関との連携を進めます。 ○いじめ問題の深刻化を防ぐため、目黒区と学校・家庭・地域が連携し、早期の発見と 対応を図るとともに、個々のケースに応じた教育相談機能の充実を図ります。 ○「いじめ防止基本方針」を策定し、いじめの未然防止及び早期発見、早期対応のため の取組を推進するとともに、重大事態が発生した際に適切な対応が可能となるように していきます。 92 【新規事業】 ● 事業番号 4201 いじめ防止基本方針の策定 (教育指導課) いじめ防止基本方針を策定し、様々な取り組みを推進していくとともに、重大事態の 発生に対して適切に対応できるようにしていく。 現況〔26 年度〕 いじめ防止対策推進法(平成 25 年 9 月 28 日施行)を受けて、平成 26 年 度中に、各校は「学校いじめ防止基 本方針」を策定、いじめ防止等のた めの組織「学校いじめ対策委員会」 を組織する。 計画目標 「目黒区いじめ防止基本方針」の策定や、いじ め防止に関する条例の制定についても検討を進 め、いじめ防止に向けた様々な取り組みを推進 していく。 ● 事業番号 4202 いじめの未然防止・早期発見・早期対応に向けた取り組み (教育指導課) いじめ問題を考えるめぐろ子ども会議、いじめの実態把握調査を全小・中学校が取組 む。いじめの未然防止及び早期発見、早期対応に向けて校内体制、組織の整備及び関係 機関との連携を行う。 現況〔26 年度〕 ・いじめ問題を考えるめぐろ子ども 会議の開催(中学校区ごとに全小・ 中学校で実施) ・児童・生徒向けアンケートの実施 (年3回) ・いじめの実態把握の取り組み、教 育委員会と各学校の連携の強化 計画目標 いじめ問題を考えるめぐろ子ども会議、いじめ の実態把握調査を全小・中学校が継続して取り 組む。 【継続事業】 事業名 事業概要 〔事業番号 4203〕 〔前計画番号 1105〕 スクールカウンセラーの区立学校派遣 いじめ等の問題を早期発見・早期解決するため、 学校へスクールカウンセラーを派遣し、学校の教 ・めぐろ学校サポートセンター 育相談機能充実に向けた支援を行う。 93 (3)幼児教育の振興 現 状 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる重要な時期であることから、幼稚 園・こども園、保育園などにおける就学前の教育を充実させていくことが必要です。 区では、幼児の健やかな成長に資するため、すべての幼児と保護者が安心して幼児教 育を受けられる環境の整備を進め、幼児教育の振興に向け取り組みを進めています。 区で作成した人口推計では、0 歳から 5 歳までの人口は平成 30 年度まで増加し、そ れ以降は減少する傾向にありますが、年々共働き世帯の増加や働き方の多様化が進む中 で、就学前の教育・保育に対するニーズも多様化しています。 また、こうした中で、子育てに対する不安感をもつ家庭への支援や、保護者が就労し ていても子どもに幼児教育を受けさせたいというニーズに応えるため、子育て相談や預 かり保育、一時保育など、子育て家庭の支援を行う私立幼稚園が増え、平成 25 年度に は、幼保一体の施設として区立の認定こども園が設置されました。 区の幼児教育は私立幼稚園 19 園に対し、区立幼稚園・こども園が3園で、その大半 を私立幼稚園が担っています。そのため、区では幼児教育の充実と振興を図るため、私 立幼稚園に対して支援を行っています。 区立幼稚園・こども園では、家庭・地域社会と連携・協力した園経営が求められてい るところから、学校評議員を設置し、保育内容や運営に関する情報を提供するとともに、 意見交換などを行い園経営に生かしています。 課 題 ○ 平成27年度から始まる「子ども・子育て支援新制度」に入る幼稚園と現行の制度に 残る幼稚園ができることから、区の支援に差が出ないようにする必要があります。 ○ 私立幼稚園や保育園を含めた、区の就学前施設全体における幼児教育の振興を図る必 要があります。 ○ 「子ども・子育て支援新制度」の趣旨を踏まえ、子育て世帯の多様なニーズに応える ため、私立幼稚園の一時預かりの拡充の実施、保護者の就労の有無にかかわらず教 育・保育を一体的に提供する認定こども園の整備についての検討を行っていく必要が あります。 ○ 私立幼稚園に対しては、幼児教育の質の向上を図るための支援を行っていく必要があ ります。 ○区立幼稚園・こども園は、開かれた園として、家庭・地域社会との連携・協力のもと に、幼児教育の充実を図っていく必要があります。 ○子ども一人ひとりが小学校入学後の生活の変化に対応し、義務教育及びその後の教育 において実り多い生活や学習を展開できるよう、就学前施設と小学校が相互に教育内 容を理解し、子ども同士の交流を図ることや、指導方法の工夫と改善を図っていく必 要があります。 94 施策の方向 ○ 私立幼稚園に対し幼児教育の充実に向けた支援を継続していくとともに、私立幼稚園 の独自性を尊重しつつ、子ども・子育て支援新制度の対応等について、協議を図って いきます。 ○ 私立幼稚園協会の教育環境の整備等の取り組みに対する支援を継続して実施します。 ○区立幼稚園・こども園は、学校評議員との意見交換に努め、また、保護者・地域・学 校評議員による評価を行い、園経営に活かし、家庭・地域社会との連携・協力による 幼児教育の充実を図っていきます。 ○就学前の幼児が円滑に小学校生活に移行できるよう、幼稚園・保育園などの就学前施 設の幼児と小学生の交流や、教員と保育士の交流・連携を進めていきます。 95 【新規事業】 ● 事業番号 4301 認定こども園に関する情報の周知と支援 (子育て支援課・保育 課・保育計画課・学校運営課) 既存の認定こども園に関する情報を区民にわかりやすく周知するとともに、新たに認 定こども園を設置する事業者に対して、積極的な支援をする。 現況〔26 年度〕 区立こども園を希望する区民に対し て周知、説明は実施しているが、事 業者に対しての支援は未実施 計画目標 既存の区立認定こども園を希望する区民に対す る周知、説明は引き続き行い、認定こども園の 設置を希望する事業者に対して、適切な支援を 行う。 ● 事業番号 4302 私立幼稚園への情報提供や相談対応の充実 (子育て支援課) 子ども・子育て支援新制度の、私立幼稚園に関する情報の提供やその対応について、 私立幼稚園全体と区とで相談できる体制をつくる。 現況〔26 年度〕 月1回ほど、私立幼稚園への情報提 供、情報交換のための会議を実施 計画目標 私立幼稚園全体と区が相談できる体制づくり と、子ども・子育て支援新制度に関する情報の 共有を目的として実施する。 【継続事業】 事業名 〔事業番号 4303〕 私立幼稚園協会に対する補助 事業概要 〔前計画番号 3412〕 幼児教育環境の維持及び充実を目的に、私立幼稚 園協会に対して、補助金を支給する。 ・子育て支援課 〔事業番号 4304〕 私立幼稚園への幼児教育研究委託 〔前計画番号 4201〕 私立幼稚園における幼児教育の充実と振興及び質 の向上を図るため、私立幼稚園協会に委託して幼 児教育研究事業を実施する。 ・子育て支援課 〔前計画番号 4202〕 〔事業番号 4305〕 家庭・地域社会と連携・協力した区立 学校評議員を全園に設置し、地域との協力体制づ くりを推進する。 幼稚園運営 ・保育内容や園運営等の情報の提供を推進する。 ・幼稚園の自己点検・自己評価、保護者・地域・ ・教育指導課 学校評議員による評価を実施する。 〔事業番号 4306〕 〔前計画番号 4203〕 区立幼稚園における遊びを通した教育 遊びを中心とした集団生活をとおして、健康な心 と体、豊かな感性、人とかかわる力、道徳性の芽 ・教育指導課 生え、知的好奇心等をはぐくむ。 96 事業名 〔事業番号 4307〕 幼児と児童の交流活動 ・教育指導課 ・保育課 ・めぐろ学校サポートセンター 事業概要 〔前計画番号 4205〕 就学前の子どもたちが円滑に小学校生活に移行し ていけるよう、幼児と児童の交流活動を推進す る。 97 (4)文化・スポーツ活動の振興 現 状 子どもたちが主体的に活動できる魅力的な場と機会の提供の充実を図っています。 社会や生活様式の変化により伝統文化に触れる機会が少なくなってきている中で、子 どもが伝統文化に触れることの大切さが見直されてきています。 また、コンサートや演劇鑑賞、ワークショップ等をはじめとした芸術文化事業につい ては、年齢制限が設けられているものも多く、子どもが良質な芸術文化に触れることの できる機会は多いとはいえないのが現状です。 一方、文部科学省の調査により、子どもの運動能力、体力の低下が著しいことも明ら かになっています。生活様式の変化により、日常生活において身体を動かす機会が減少 したことや、空き地や生活道路といった子ども達の手軽な遊び場の減少等が主な原因と 考えられます。子どもの時期に、運動・スポーツに親しみ身体的能力の基礎を養うこと は、心身の健全な発達・成長を促し、より豊かで充実した生活を送る上で大変重要なこ とです。 また、テレビ、パソコン、ゲーム機などの電子情報機器の進化とインターネットなど の情報メディア環境の変化により、子どもたちが、テレビ、ゲーム等に多くの時間を費 やすようになりました。このような中で読書離れが進み、自らが、読み、考え、学ぶ機 会が減少し、心の成長に大きな影響が生じかねない状況があります。 課 題 ○ 子どもの遊び方及び生活空間の変化によって、屋外で遊ぶ機会が減少しています。運 動能力や体力の養成には、子どもを取り巻く環境を十分に理解し、体を動かす機会や スポーツに親しむ機会を意識し、確保していく必要があります。子どもが遊びやスポ ーツで、身近に利用できる公共施設やスポーツに親しむ機会が必要です。また、子ど もの身体能力等を理解しているスポーツの指導者が必要です。 ○子どもたちが読書を通じて豊かな想像力・思考力等を養うことや自発的に学ぶ習慣を 付けることは、心豊かに成長し人生をより深く生きる力を身に付けていく上で不可欠 と考えます。多様化する生活環境の中で、子どもたちに読書に目を向けてもらうよう 読書活動を推進することが必要です。 ○日本の伝統文化を次代を担う子どもに伝え、将来、国際社会の中で自らのアイデンテ ィティーをはぐくむ必要があります。 ○幼少時から芸術文化に接することによって、豊かな感性をはぐくみ、表現や創造の喜 びを感じることのできる機会を提供していく必要があります。 施策の方向 ○地域の団体等と連携しながら、子どもが日本や地域の伝統文化を体験・習得できる機 会の充実を図ります。 98 ○文化ホールや美術館を拠点としながら、親子や子どもが芸術文化に触れることのでき る機会の充実を図ります。 ○体験型・参加型の事業を推進し、子どもが自ら表現や創造することの喜びを創出する 機会を提供します。 ○子どもの身体的特性等を理解したスポーツ指導者を育成します。誰でも参加できる総 合型地域スポーツクラブの育成・支援を行います。子どもがスポーツに親しむ機会を 提供します。 ○さまざな切り口でブックリスト等を作成し、子どもたちが発達・成長段階に応じた本 と出会えるよう支援します。保健センター、保育園、小中学校等の関係機関及びボラ ンティアと連携し、乳幼児サービス、学校サービス等、さまざまな読書支援を展開し ていきます。また、中学生以降の世代には YA サービスを行い、障害者や個別対応の 必要な方に対して、障がい者(児)サービスを充実していきます。 99 【拡充事業】 ● 事業番号 4401 図書館の子ども向け事業 (八雲中央図書館) ①学校に向けた事業 ・小中学校等への団体貸出や、司書教諭等を対象にした修理講習会を行う。 ・職場体験学習、学校訪問、図書館見学、調べ学習等の支援を行う。 ②児童・乳幼児への事業 ・乳幼児の保護者にはじめて出会う絵本を紹介することにより、保護者の意識を高め、 乳幼児の本への興味を育成する。 ・館内等の読み聞かせボランティアを育成する ③読書活動の推進事業 ・認定こども園、保育園、児童館などの公共施設の読書支援を行う。 現況〔26 年度〕 〔前計画番号 4304〕 【乳幼児サービスの充実】 ・図書館内おはなし会546回 (そのうち、幼児向け458回 赤 ちゃん向け88回) ・小中学校等への出張おはなし会等 23 回 ・小中学校等からの図書館訪問等 19 回 ・保健センターでのリーフレット・ バッグ等の乳幼児への配布 1,440 組 【読み聞かせボランティアの育成】 ・絵本の読み聞かせ基礎講座とワー クショップ(初心者向け)(全3 回)24名受講 上記のうち13名が大橋図書館での 読み聞かせボランティア活動に参加 ボランティアメンバーを対象にフォ ローアップ研修(1 日)8名参加 【児童資料の拡充】 図書購入の内訳では、対前年 2%増の 18%とした。 (25年度実績) 計画目標 ① 学校サービスの拡充 ・小中学校等への団体貸出の回数等を拡充す る。 ・司書教諭等を対象にした修理講習会の拡充を 図る。 ・職場体験学習、調べ学習等を支援するととも に学校訪問、図書館見学等を拡充する。 ② 児童・乳幼児サービスの拡充 ・保健センターでのブックリスト、リーフレッ ト、バッグ等を配布し読書活動の支援を推進す る。 ・館内でのおはなし会(赤ちゃんを含む)の回 数等を拡充する。 ・読み聞かせボランティア、委託スタッフを活 用し、おはなし会を拡充する。 ③ 読書活動の推進 ・認定こども園、保育園、児童館などに対し、 団体貸出、出張おはなし会などによる読書支援 を推進する。 ・館内等の読み聞かせボランティアを育成する とともに、既存ボランティアの技術向上のため のフォローアップ講座及びワークショップを開 催する。 100 【継続事業】 事業名 事業概要 〔前計画番号 4306〕 【再掲】 伝統芸能継承者を区立学校へ派遣し、子どもが伝 〔事業番号 4103〕 学校における子どもへの伝統文化の継 統文化に触れる機会をつくる。 承 ・教育指導課 〔事業番号 4402〕 〔前計画番号 4301〕 社会教育館、青少年プラザ等の子ども 社会教育館、緑が丘文化会館、青少年プラザで青 向け事業 少年を対象とした自然体験・社会体験等の社会教 育講座を実施する。 ・生涯学習課 〔事業番号 4403〕 〔前計画番号 4302〕 体育館等の子ども向け事業 ①「子どもサポートプラン」を実施し、区立プー ルを中学生以下の子どもに対して無料で開放す ・スポーツ振興課 る。 ②各体育館等において、子どもや親子が参加でき るスポーツ事業(教室講習会、スポーツ広場 等)を開催する。 〔事業番号 4404〕 〔前計画番号 4303〕 指導者養成講習会 区民のスポーツ・レクリエーション活動が安全で 楽しく効果的に行なわれるようにするため、指導 ・スポーツ振興課 者として種目を越え、必要な理論・技術を身につ ける。 その中で、子どものスポーツ活動に資する内容を 実施する。 〔事業番号 4405〕 〔前計画番号 4305〕 子どもに魅力のある芸術文化事業 美術館や文化ホール等で子どもに魅力のある事業 の充実を図る。 ・文化・交流課 〔事業番号 4406〕 〔前計画番号 4306〕 小学生やその親等を対象に、日本の伝統文化に触 子どもへの伝統文化の継承 れることのできる教室を実施する。 ・文化・交流課 101 (5)子どもの生活力の向上 現 状 基礎調査で携帯電話とスマートフォンの所持率をたずねたところ、小学 5 年生で 58%、中高生では 84%でした。 社会の情報化の進展に伴い、携帯電話・スマートフォンなどの有用性の高い情報通信 機器が生活に定着する反面、子どもたちがインターネット上での誹謗中傷を受けたり、 犯罪などに巻き込まれたりする事件も起きています。また、インターネット上には便利 なサービスが次々と登場し、それらは便利な反面、子どもたちにとって大きなリスクを 含んでいる場合があります。これからの消費生活を担う子どもたちが「生きる力」を身 につけ、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させ るとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等 の能力を育み、主体的に学習に取り組むことができる、自立した消費者区民を育てるこ とが大切です。 区教育委員会では、「目黒区児童・生徒の携帯電話使用等に関する指針」を策定し、 区と学校・家庭とが一体となり、携帯電話を含めた情報通信機器を適切かつ安全に活用 できる子どもをはぐくむ取組を進めるとともに、消費生活センターでは、夏休み子供向 け講座や学校やPTAの家庭教育学級などに出張講座を開催し、消費者教育の普及啓発 を実施しています。 配偶者等からの暴力であるドメスティック・バイオレンス(DV)が最近、10 代、 20 代の若いカップルの間でも起こり問題になっています。「デート DV」と呼ばれる これらの暴力は将来、深刻な配偶者間の DV につながる可能性も高いため、若い世代へ 向けた交際相手からの暴力を防止する教育が必要です。相手の尊重、自己決定権の必要 性など、他者との関係性についての知識が暴力から自分を守る「生きる力」につながり ます。 課 題 ○子どもの自主性と社会参加を促進するために、夏休みを利用した学習機会を充実する ことが必要です。 ○子どもたちがインターネット社会の中で生きいていくために関係機関と連携し、金銭 感覚を養い、正しいインターネットの利用方法等を身に付ける学習機会を充実するこ とが必要です。 ○子どもが携帯電話・スマートフォンなどの情報通信機器の所有や利用に当たっては、 情報を取捨選択し、正しく読み解く力や情報モラルを身に付けるなどの教育を推進す ることが必要です。 ○若い世代へ向けた、交際相手からの暴力を防止する教育が必要です。 102 施策の方向 ○消費生活センターでは、子どもの消費者力を向上するために、夏休み期間中に自主的 に参加し、親子で楽しく学習することができる講座の充実を図ります。 ○学校やPTAの家庭教学級と連携し、子どもや保護者に対する出張講座の充実を図る とともに支援します。 ○学校では、子どもに情報モラル等を含めた情報活用能力を身に付けさせるとともに、 情報通信機器の利便性と危険性を理解し安全に利用するための教育を推進します。そ のために、区教育委員会と学校・家庭が連携し、子どもを加害者あるいは被害者にし ない取組を進めていきます。 ○交際相手からの暴力を防止するため、若い世代へ向けたデートDV防止講座の充実を 図ります。 103 【新規事業】 ● 事業番号 4501 夏休み子ども向け消費者講座 (産業経済・消費生活課) 子どもたちが小さい頃より消費者としての力や知恵を身につけるため、夏休みに子ど も向けの消費者講座を実施する。 現況〔26 年度〕 年3回 参加者 延べ50人 (25年度実績) 計画目標 毎年、3講座以上を実施する ● 事業番号 4502 子ども向け出張講座 (産業経済・消費生活課) 子どもたちが小さい頃より消費者としての力や知恵を身につけるよう、子どもと保護 者を対象に、出張消費者講座を行う。 現況〔26 年度〕 年15回 参加者 延べ535人 (25年度実績) 計画目標 学校やPTAの家庭教育学級等に出張講座を紹 介し、子どもへの消費者教育を推進する。 ● 事業番号 4503 暴力から自分を守る取り組み(人権政策課) 区内高等学校等の生徒及び保護者を対象に、交際中の暴力の防止についての啓発講座 を実施する。 現況〔26 年度〕 区内都立高校 1 校で実施。 参加者 240 人 デートDVは身体的暴力だけでな く、言葉での暴力や性的な暴力、経 済的な暴力も含まれることを学ん だ。また、生徒同士でロールプレイ を行い、その後、ロールプレイの感 想についてグループ討議を実施し た。 計画目標 実施校の拡大を目指す。 【継続事業】 事業名 【再掲】 〔事業番号 4110〕 情報教育の充実 ・教育指導課 事業概要 〔前計画番号 4113〕 個人情報保護への配慮も含め、子どもたちの情報 活用能力をさらに高めるとともに、授業の多様化 を図り情報教育を充実する。また、携帯電話等の 情報機器の利用において、子どもたちがトラブル や事件の加害者や被害者にならないよう情報モラ ルの指導を進める。 104 事業名 〔事業番号 4504〕 防犯教育プログラム等の実施 ・教育指導課 事業概要 〔前計画番号 6111〕 小学校低学年から防犯教育プログラムなどを実施 することにより、子ども自身が連れ去りなどの犯 罪などから自分の身を守るための知識や技能を修 得する。 105
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