基本目標Ⅲ 子どもがすべての家庭で大切にされる

基本目標Ⅲ 子どもがすべての家庭で大切にされる
(1)安心して出産できる環境の支援
現 状
子どもがすべての家庭で大切にされるためには、安心して出産できる環境の整備が必
要です。区では、妊産婦の健康を守るとともに、生まれる子どもの健やかな発育と発達
を支えるために健診や保健相談を実施しています。妊婦健康診査や妊娠5か月から8か
月の妊婦及び産後1年以内の産婦を対象とした妊産婦歯科健康診査、妊娠中や産後の生
活、育児、栄養、歯科などの講義・実習を行っています。核家族においては父親の役割
が大きく、初めて父親になる方を対象としてパパの育児教室を開催しています。出産後
は、全産婦・新生児を対象として保健師や委託指導員が家庭訪問により相談に応じてい
ます。また、経済的な理由で困っている妊婦に対しての出産費用の援助や、協力者がい
ないなどの妊産婦に対して産前・産後ヘルパーを派遣することによって育児や家事支援
を行っています。
課 題
○ 妊婦健診を適切な時期・回数受診することができるよう普及・啓発を行う必要があり
ます。
○ 特定妊婦の早期把握・早期対応に努めるために、医療機関等と連携を密にする必要が
あります。
○ 妊産婦・新生児訪問と乳児家庭全戸訪問を統合して実施し全数把握することにより、
育児不安の解消や虐待予防に努める必要があります。
施策の方向
○ 妊産婦・新生児訪問と乳児家庭全戸訪問を統合して実施することにより、4か月健診
終了までに全数把握し母子の心身の健康チェックと虐待予防に努めます。
○ 健診未受診者のフォロー体制を確立し、相談・支援体制を充実させます。
○ 母親学級、父親学級を受講しやすい体制づくりを行います。
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【拡充事業】
● 事業番号 3101
妊婦健康診査
(保健予防課・碑文谷保健センター)
妊娠の届出をした妊婦に対して、妊婦死亡率の低下や妊娠中の母体と胎児の健康を守
るため、妊娠中に14回医療機関に委託して健康診査を実施する。妊娠超音波検査も1
回公費負担する。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 2101〕
妊婦届出数 2942件
妊婦健診等実績(超音波検査含む)
31786件
(25 年度実績)
● 事業番号 3102
計画目標
・妊産婦健康診査について、どのように拡充す
ることが望ましいのかを検討していく。
・妊婦健診を適切な時期に適切な回数受診する
よう普及・啓発する。
・健診結果についてフォローしていく。
妊産婦・新生児・未熟児訪問指導・乳幼児全戸訪問事業
(保健予防課・碑文谷保健センター)
新生児・未熟児に対して、保健師あるいは委託による助産師が訪問し、指導を行う。
子育て家庭の福祉を増進するとともに、併せて児童虐待の防止等に関する法律に規定
する児童虐待の早期発見を目的として、乳児家庭に対して訪問を行う。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 2103〕
出生通知票により保健師や委託指導
員が妊産婦・新生児訪問を実施
● 事業番号 3103
計画目標
・新生児訪問と乳児家庭全戸訪問を統合して実
施し、乳児健診までに全数把握を行う。
・産後うつ対策強化のためアンケート導入
・委託指導員の増員
・出生通知票改定
産前・産後支援ヘルパー派遣事業
(子ども家庭課)
新生児家庭に対し、一定期間、産前・産後支援ヘルパーを派遣し、育児・家事のサー
ビスを提供する。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 2111〕
産前・産後支援ヘルパー派遣
4,506 時間
多胎児支援ヘルパー派遣
748 時間
(25 年度実績)
計画目標
引き続き実施する。
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【継続事業】
事業名
事業概要
〔事業番号 3104〕
ハローベビークラス・サロン
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3105〕
パパの育児教室
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔前計画番号 2102〕
主に初妊婦を対象に、妊娠・出産・育児等につい
て必要な知識を習得し、理解することや交流を目
的として実施する。
〔前計画番号 3106〕
育児への父親参加を促し、男女の協力による育児
を支援するため、はじめて父親になるかたを対象
に育児指導を実施する。
〔事業番号 3106〕
妊娠高血圧症候群助成
〔前計画番号 2104〕
妊産婦死亡及び後遺症を防ぎ、併せて胎児を守る
ため、必要な医療給付を行い、早期に適切な療養
が受けられるようにする。
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3107〕
保健指導(保健指導票の交付)
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3108〕
妊産婦歯科健診
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3109〕
入院助産費用の援助
・子ども家庭課
〔事業番号 3110〕
養育医療(未熟児養育医療)費助成
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3111〕
小児慢性疾患の医療費助成
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3112〕
育成医療費助成
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔前計画番号 2105〕
生活保護世帯や非課税世帯の妊産婦・乳児に対
し、専門医の保健指導が無料で受けられる保健指
導票を交付する。
〔前計画番号 2109〕
妊産婦の歯科疾患の予防及び早期発見による口腔
衛生向上を図るため、目黒区歯科医師会に委託し
て歯科健診を実施する。
〔前計画番号 2110〕
経済的理由で病院に入院して出産することが困難
な妊産婦に対して、指定の助産施設(病院、助産
院)での出産費用を援助する。所得制限があり、
また費用の一部本人負担がある。
〔前計画番号 2106〕
未熟児であって入院養育が必要のため、指定医療
機関に入院した者を対象に、社会保険等の自己負
担分を公費で負担する。
〔前計画番号 2107〕
小児慢性疾患をもつ児童を対象に、社会保険等の
自己負担分を助成する。
〔前計画番号 2108〕
18 歳未満の児童で身体上の障害をもった児童又
は現存する疾患を放置すると将来障害を残すと認
められる児童に対して早期に適切な治療を受ける
ため、医療費を助成する。
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(2)家庭における子育て力の向上
現 状
グローバル化・情報化など社会の大きな変化の影響を受け、近年、保護者の生活、働
き方や子育ての取り組みは多様化し、各家庭の抱える課題も複雑化しています。支援を
必要とする家庭への働きかけや、子育て支援への取組みをより充実させることは、保護
者の子育て力を向上させることへつながります。また、いじめ、不登校、児童虐待とい
った問題を抱える子どもが増え、解決のためには家庭・地域・学校が連携を強めること
が必要となっています、このため、国や地方公共団体においては、平成 18 年に改正さ
れた教育基本法に基づき、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する家庭教育に
関する学習の機会や情報の提供などの支援を積極的に行うことが求められています。
区では、家庭教育に関する講座や啓発活動、情報提供などを行うことで、家庭教育を
支援しています。
正しい育児知識の普及、育児不安の軽減、仲間づくりなどを目的として、生後1~3
か月の初産母子を対象としたフレッシュママのつどいや、5か月児・10~11か月児
を対象とした歯科・栄養・保健による育児学級を開催しています。
母親が孤立しないで子育てができるように、そして育児不安が軽減できるようにとの
視点で、電話・面接・訪問等による相談や育児学級・つどいを実施しています。子ども
の養育にかかる費用が家計に及ぼす影響を緩和し、家庭における生活の安定を図ること
で子どもの健全な育成に資することを目的として、子どもや家庭の状況に応じて、児童
手当、児童育成手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当が支給されています。また、子
ども医療費助成制度により、中学生までの子どもの医療にかかる費用を助成しています。
区内3歳から5歳児の約 51%は私立幼稚園に通園していますが、区立幼稚園の割合
は 2.4%です。私立幼稚園児保護者に対しては、経済的な負担を軽減し、幼児教育の振
興と充実を図る目的から、保育料等の補助事業を実施しています。
また、経済的理由により就学が困難な家庭の区立小中学生に対して就学援助を行って
います。
核家族化が進み、また地域の中で人と人とのつながりが薄くなる中で、子育てに不安
や負担感を感じる家庭が多く存在しています。保健予防課・碑文谷保健センターが実施
する健康診査や育児学級などの機会を通じて、また、児童館、保育園、子ども家庭支援
センターが実施するひろば事業、めぐろ学校サポートセンターが実施する教育相談等で
子育てや教育に関する相談や情報提供を行っています。また、子どもの誕生前の準備か
ら学童期までを対象にした総合的な子育て情報誌「めぐろ 子育てホッ!とブック」を発
行しています。
課 題
○ 私立幼稚園は、区立幼稚園と比べて経営環境の問題があり、保護者の経済的負担が大
きくなっています。
○ 経済的理由により就学困難な区立小中学校に在籍する児童生徒に対し援助を行う必要
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があります。
○育児学級やつどいにおいては毎回定員を超える予約申し込みがあるなど、区民からの
強い要望があります。今後も、定員や内容について充実させていく必要があります。
○今後も、育児不安の軽減や虐待予防のために電話・面接・訪問等による相談を継続し
ていく必要があります。
○家庭教育の自主性を尊重しつつ、家庭の教育力の向上をめざして、家庭におけるしつ
けや子どもに対する保護者のかかわり方などを学ぶ機会の提供や情報提供などの支援
を進める必要があります。
○家庭教育の学習機会になかなか参加していただけないが、今後も家庭教育の学習を必
要とする保護者に対し、家庭教育の支援を行っていく必要があります。
○子育てに関する不安や負担を感じる家庭が多く存在し、様々な要因が複雑に絡み合っ
た相談が増えており、職員の相談対応力の向上や関係機関の連携が求められています。
○子育てに関する情報を、必要とする方にわかりやすく、利用しやすい形で提供してい
く必要があります。
施策の方向
○ 私立幼稚園の園児保護者に対する支援を継続していきます。
○
経済的理由により就学困難な区立小中学校に在籍する児童生徒に対し就学援助を行い
ます。
○育児学級の定員について検討するほか、正しい知識の習得だけでなく積極的に仲間づ
くりを行うなど、内容の充実を図ります。
○随時、電話・面接・訪問等で相談を受ける体制を維持していきます。
○家庭教育の自主性を尊重しつつ、家庭教育学級や家庭教育講座などによる学習機会の
提供を行い、子どもの生活習慣の習得や自立心の育成に向けて、より効果的な支援を
行うための工夫と検討を進めていきます。
○子育てスーパーバイザーを相談機関に派遣し、職員が専門的な相談にも対応できるよ
うに援助していきます。また、関係機関のネットワークを通して連携した対応を図っ
ていきます。
○総合的に情報を提供したり、インターネットを活用するなどにより、子育てに関する
情報を利用者が使いやすい形で提供していきます。
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【拡充事業】
● 事業番号 3201
子育て短期支援事業(ショートステイ)
(子ども家庭課)
保護者の病気、出張などにより、一時的に児童の養育が困難となった区民の児童を、
区内の児童養護施設で短期間養育する。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 3202〕
利用日数 延べ 104 日
(25年度実績)
計画目標
受入年齢制限の見直しを検討
● 事業番号 3202 子育て相談・子育ち相談
(子育て支援課・子ども家庭課・保育課)
児童館や保育園などの各施設において、保護者や子どもからの子育て・子育ちに関す
る悩みなどに関係者・関係機関と連携しながら対応する、第一次相談窓口としての役割
を充実させていく。
また、ほ・ねっとひろばでの来所相談、電話相談、メール・ファックス相談のほか、訪
問相談を実施する。
現況〔26 年度〕
計画目標
〔前計画番号 3501〕
【児童館】
14 館で相談実施、相談件数 90 件
【ほ・ねっとひろば】
・相談件数
来所相談 52 件、電話相談 197 件、
メール相談 13 件、訪問相談1件、ひ
ろば相談 120 件
・児童館や保育園の職員に対して、
専門研修を実施
【保育園】
相談件数 延 3,962 件
(25年度実績)
・第一次相談窓口としての役割の充実と相談員の
スキルの向上を図る。
・周知と関係機関との効果的な連携を図る。
・電話、メール、ファックス、インターネットの
活用など、利用しやすい相談方法による情報提供
を行う。
・子育てスーパーバイザーを活用し、専門的な立
場からの相談対応を実施する。
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● 事業番号 3203
子育て情報の提供
( 子ども家庭課)
総合的な子育てサービス情報の提供として、総合的な子育て情報誌「めぐろ 子育てホ
ッ!とブック」を発行。また、平成 20 年度から、子育て情報ポータルサイト「めぐろ
子ども・子育てネット-みんなで育てるまち-」を開設し、取材・編集を区民参加で行い、
区民目線による子育て情報の発信の実施と子どもによる取材、子どもからの発信コンテ
ンツの開設を行う。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 3503〕
子育て情報誌「めぐろ 子育てホッ!
とブック」を母子健康手帳交付時や
子ども関連施設で配布したほか、区
のホームページにも登載した。ま
た、子育て情報ポータルサイト「め
ぐろ子ども・子育てネット」により
子育て家庭への支援となる子育て情
報の発信を目的として、子どもワー
クショップや区民との編集会議の開
催等、協働型の子育て情報サイトの
運営を行った。(25年度実績)
計画目標
子育て情報誌については、民間との協働により作
成、発行する。
【検討事業】
● 事業番号 3204
トワイライト事業の検討
(子ども家庭課)
子育て短期支援事業の一環として、宿泊を伴わない形で、区内の児童養護施設で養育
する。
現況〔26 年度〕
未実施
計画目標
実施の可否も含めて、調査検討する。
【継続事業】
事業名
事業概要
〔事業番号 3205〕
〔前計画番号 3401〕
育児学級(5か月)(10・11 か月) 育児上の悩みを解決するための知識の習得や親同
士の仲間づくりを目的として実施する。
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3206〕
〔前計画番号 3403〕
私立幼稚園等園児保護者に対する負担 私立幼稚園等園児保護者に対して、経済的な負担
軽減
を軽減し、保育料の公私較差是正を図る目的か
ら、入園料補助、保育料補助、就園奨励費補助事
・子育て支援課
業を実施する。
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事業名
〔事業番号 3207〕
子育て講座
・子ども家庭課
〔事業番号 3208〕
家庭教育講座
・生涯学習課
〔事業番号 3209〕
家庭教育学級・講座の充実
・生涯学習課
〔事業番号 3210〕
就学援助
・学校運営課
〔事業番号 3211〕
外国人学校補助
・総務課
〔事業番号 3212〕
子育てスーパーバイザー派遣事業
・子ども家庭課
〔事業番号 3213〕
教育相談
・めぐろ学校サポートセンター
〔事業番号 3214〕
児童手当、子ども医療費助成
・子育て支援課
事業概要
〔前計画番号 3406〕
家庭における子育て力の向上を目的として、身近
なテーマを取り上げて講座を開催する。
〔前計画番号 3408〕
学校や地域社会における集団生活のルールやマナ
ーを子どもが身につけていけるように、家庭での
しつけ等について、学習や交流の機会を提供す
る。
〔前計画番号 3409〕
地域社会や家庭の環境が変化する中で、どのよう
な家庭教育が望ましいのかを保護者自身が考えあ
い、学び合う機会を提供する。また、PTAが家
庭教育学級(区立小学校)・講座(区立中学校)
にとりくみやすいよう、情報提供や学習相談を行
う。
〔前計画番号 3410〕
経済的理由により就学困難な区立小・中学校に在
学する児童・生徒に対し就学援助費を支給する。
〔前計画番号 3411〕
外国人学校に在籍する児童生徒の保護者に対し
て、その授業料負担の軽減を図るために一定額の
補助金を支給する。
〔前計画番号 3502〕
子育てに関する不安や負担を感じる家庭が多く存
在し、最近では、様々な要因が複雑に絡み合った
相談が増えている。子育てスーパーバイザーを公
私立の児童館、保育園等に派遣することにより職
員が専門的な相談にも対応できるようにする。ま
た保護者からの相談にも応じる。
〔前計画番号 3505〕
めぐろ学校サポートセンターにおいて来室教育相
談、電話教育相談を実施し、児童・生徒及び幼児
の心身の健全な発達を図るため教育上の様々な問
題について相談に応じる。
〔前計画番号 3405〕
中学生までの児童の養育者に手当を支給し、児童
の医療費を助成することにより、児童の保健の向
上に寄与するとともに、次代の社会をになう児童
の健全な育成及び資質の向上に資する。
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(3)特に配慮が必要な家庭への支援
現 状
高齢出産、障害を負って誕生する子ども、発達障害のある子ども、ひきこもりなど、
子どもの養育、教育、健康、経済面などにおいて様々な課題を抱えて生活をしている家
庭が増えています。それは、子どもの貧困や虐待につながるおそれがあり、子どもの将
来に大きな影響を与えることになります。
保健予防課・碑文谷保健センターでは、悩みを抱えた乳幼児を持つ母親が孤立せず自
身で課題解決できるよう母親の会を開催しています。また、ひきこもりや摂食障害など
の思春期・青年期の子どもを持つ親を対象として思春期・青年期親の会を開催していま
す。
保護者の経済状態の差による子どもの貧困に関する様々な課題が出てきています。平
成26年1月に子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されました。子どもの将来
が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健
やかに育つ環境の整備が求められています。また、離婚の増加等により、ひとり親家庭
が増えています。ひとり親家庭の多くは子どもの養育、教育、健康や住宅など、様々な
問題を抱えながら生活しています。特に母子家庭にとっては、所得の低いことが深刻な
問題となっており、社会的・経済的・精神的自立をめざした支援を中心とした事業を実
施しています。また、父子家庭においては、子どもや子育てに関する日常的な支援を中
心に実施しています。母子相談、母子及び父子福祉資金の貸付け、母子生活支援施設、
ひとり親家庭ホームヘルプサービス、ひとり親家庭等医療費助成等のほか、子どもや家
庭の状況に応じて、児童育成手当、児童扶養手当の支給を行っています。また、民間賃
貸住宅に居住するひとり親世帯に対して家賃助成などの居住支援を行っています。
区立の保育園、幼稚園・こども園、小・中学校には多くの外国籍の子どもが在籍して
おり、ことば、制度、文化の違いから集団生活に不安や困難を感じる子どもや保護者が
多くいます。区立学校では、日本語の理解が十分でない児童・生徒を対象に東根小学校
国際日本語学級や必要な学校に設置する日本語教室において日本語指導を行っています。
保育園、児童館や学校等では、日本語での意思疎通に困難を感じる子どもや保護者等に
対して、目黒区国際交流協会に依頼し、入学入園説明会、保護者面談、児童・生徒との
意思疎通の場等に通訳を派遣したり、各種文書の翻訳を行っています。
課 題
○思春期・青年期の親の会開催について広く周知し、親の孤立化を防ぐ必要がありま
す。また、学齢期のひきこもりなどについては教育機関との連携を図る必要があり
ます。
○青少年期における精神保健について、相談体制やネットワークづくりを推進する必
要があります。
○教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策を総合的に推進することが必要です。
○現行の施策は、母子家庭を対象にしたものが多く、父子家庭の需要にあった支援策が
少ないので、家事育児等の支援だけでなく、相談や適切な支援が得やすいように情報
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提供を行っていくことが必要です。
○ひとり親家庭では親の就業のために、夕方から夜間にかけて子どもだけで自宅で過ご
す時間が長くなっています。
○ 日本語の理解が不十分なために、語彙が理解できない等、学習に困難をきたす場合が
あります。また、日本語の理解が不十分な保護者に対して、子育て支援や教育に関す
る様々な制度を、的確に伝えていく必要があります。
施策の方向
○思春期・青年期の親の会開催については広報で周知するほか、相談等の機会を通じて
広く周知していきます。乳幼児健診や訪問の機会等を通じて必要に応じて母親の会を
紹介していきます。
○教育機関や精神保健機関との連携により、相談・支援体制を整備していきます。
○ひとり親家庭支援策を推進します。また、父子家庭の現状を把握し支援策を検討しま
す。
○それぞれの児童・生徒が置かれた状況に応じた日本語指導や生活指導を行っていくと
ともに、各窓口では、多言語による情報提供や相談機能を充実させ、きめ細かい対応
ができるよう努めていきます。また、国際交流協会と連携し、通訳・翻訳ボランティ
アの活用を進めていきます。
○日本語の指導を要する児童・生徒には、東根小学校に日本語国際学級を、必要な区立
学校に日本語教室を設置し、支援を行います。
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【拡充事業】
● 【再掲】事業番号 1303
関係機関との連携・地域での見守り
(子ども家庭課)
保護の必要な児童の早期発見と適切な保護を図るため、関係機関と連携し、地域での
見守りを行う。
現況〔26 年度〕
計画目標
〔前計画番号 1304〕
要保護児童対策地域協議会の構成会
議である関係者会議(41 回開催)等
により、関係機関と連携しながら、
虐待を含む要保護児童への支援や対
応を行った。(25年度実績)
子どもにかかる関係機関、地域による要保護児童
対策地域協議会等を活用し、虐待を含む要保護児
童への支援や対応を協力・連携して行う。
地域での見守りを推進する。
● 事業番号 3301
思春期・青年期の親の会
(保健予防課)
ひきこもり、不登校、摂食障害など子どもの問題に悩んでいる保護者に対し、グルー
プや個別相談を実施し、問題に対応していく持久力をつける。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 2223〕
ワークショップとサロンを統合し、グ
ループや個別相談を実施。
H25年度実績 年12回
28人
(平成 25 年度)
計画目標
・参加者のアンケートを実施し、評価の指標と
する。
・グループと個別を上手に組み合わせて実施す
る。
【検討事業】
● 事業番号 3302
子どもの貧困対策の推進
(子育て支援課)
子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状
況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る
ため、子どもの貧困対策を総合的に推進する。
現況〔26 年度〕
国が掲げる重点施策のうち、「保護
者に対する就労の支援」のひとり親
家庭の親の就業支援は実施してい
る。また、「経済的支援」の母子福
祉資金貸付金の父子への拡大などを
実施している。
計画目標
国が示す「子どもの貧困対策に関する大綱」に
基づき、必要な施策を検討する。
基本的な方針に沿って、関係各課が連携し、貧
困家庭に生まれた子どもが貧困に陥る「貧困の
連鎖」を断ち切るための仕組みを構築する。
【主な基本的な方針】
・貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成
を目指す。
・子どもの貧困の実態を踏まえて対策を推進す
る。
・生活の支援では、貧困の状況が社会的孤立を
深刻化させることのないよう配慮して対策を推
進する。
・保護者の就労支援では、家庭で家族が接する
時間を確保することや、保護者が働く姿を子ど
もに示すこどなどの教育的な意義にも配慮す
る。
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【継続事業】
事業名
〔事業番号 3303〕
母親の会
事業概要
〔前計画番号 5203〕
母親同士のグループワークにより育児不安の軽減
を図る。
・保健予防課
・碑文谷保健センター
〔事業番号 3304〕
母子及び父子福祉資金貸付
〔前計画番号 3313〕
20 歳未満の子どもを扶養している母子及び父子
家庭に、入学や就学、技能習得など自立に必要な
・子ども家庭課
資金を貸し付ける。
〔事業番号 3305〕
〔前計画番号 3314〕
ひとり親家庭ホームヘルプサービス
ひとり親家庭で、日常生活に著しく支障がある場
合、ヘルパー派遣が受けられる介護券を交付す
・子ども家庭課
る。
〔事業番号 3306〕
〔前計画番号 3316〕
ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金 ひとり親に対する就業支援策として、教育訓練講
座の受講料の一部を支給する。
・子ども家庭課
〔事業番号 3307〕
〔前計画番号 3317〕
ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金 ひとり親に対する就業に向けた資格取得を容易に
するため修業期間中訓練促進給付金を支給する。
・子ども家庭課
〔事業番号 3308〕
〔前計画番号 3318〕
母子生活支援施設
母子家庭で生活上の様々な問題のため、子どもの
養育を充分できない方が入所する施設。所得によ
・子ども家庭課
って費用負担がある。
〔事業番号 3309〕
〔前計画番号 3319〕
第三者評価
母子生活支援施設において第三者評価を受審し、
サービスの質の向上を図る。
・子ども家庭課
〔事業番号 3310〕
〔前計画番号 3320〕
ひとり親世帯に対する民間賃貸住宅居 ひとり親世帯等に対して民間賃貸住宅家賃助成な
住支援
どの居住支援を行う。
・住宅課
〔事業番号 3311〕
〔前計画番号 3321〕
区立幼稚園・こども園、小・中学校へ 入学入園説明会、保護者面談等において児童生徒
の通訳派遣・翻訳等の実施
の意思疎通の場に通訳を派遣したり、連絡文書や
学校便り等の翻訳を行う。
・学校運営課
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事業名
〔事業番号 3312〕
日本語教室・日本語国際学級
事業概要
〔前計画番号 3322〕
日本語の理解が十分でない児童・生徒を対象に、
基礎的な日本語の習得と学校生活等への適応を図
る。
・学校運営課
・教育指導課
〔事業番号 3313〕
〔前計画番号 3309〕
児童育成手当、児童扶養手当、ひとり ひとり親家庭等に手当を支給し、医療費の一部を
親家庭等医療費助成制度
助成することにより、ひとり親家庭等の保健の向
上に寄与するとともに、その福祉の増進を図る。
・子育て支援課
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(4)ワーク・ライフ・バランスの推進
現 状
基礎調査では、育児休業を取得した母親の割合は 44%で、平成 21 年度の同様の調
査と比べて 17 ポイント上昇しました。一方で忙しい、職場に育児休業の制度がない、
育児休業をとりにくい雰囲気があるなどにより、取得しなかったという割合は 18%で
した。
国の調査によれば、共働き世帯数は年々増加し、平成 25 年度は 1065 万世帯と、
平成 9 年以降、男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っています。
一方で、6 歳未満児のいる夫の 1 日当たりの家事時間は約 30 分、育児時間は約 40
分程度であり、男性の育児休業取得率も依然として 2.03%(平成 25 年度速報)と、
男性の仕事優先の働き方が続いています。
出産後も就業を継続する女性の割合は増加傾向にありますが、第 1 子出産前有職者の
うち約 6 割が第 1 子出産を機に離職しています。
家族の介護や看護を理由とした離職・転職者数は年間 10 万人を超えており、男女別
では女性の割合が全体の約 8 割(80.3%)を占めています。家事・育児・介護の負担
が女性に偏っている現状がうかがえます。
このような状況のもと、男女がそれぞれの個性や能力を生かし、仕事と生活が調和し、
その両方が充実している状態にするためには、家事・育児・介護を分かち合う環境と、
多様な働き方を可能にする社会の仕組みが必要です。
区は、子育てと仕事の調和が実現できるよう、男女がともに協力して子育てがしやす
い環境づくりや働き方に応じた保育園や学童保育クラブ等の保育サービスの提供を行っ
ています。
認可保育園は区立保育園が 22 園、私立保育園が 11 園、合計 33 園の保育園があり、
定員の合計は 3,149 人です。通常の保育時間は午前 7 時 15 分から午後 6 時 15 分ま
でで、保育園によって時間は異なりますが全園で延長保育を実施しています。
保育園に入園を希望する保護者は年々増加していて 26 年度の待機児童数は 247 名
でした。認可保育園の他に東京都認証保育園や、家庭福祉員、グループ型小規模保育、
小規模保育所、認可外の保育室が利用されていますが、利用希望者が多い状況になって
います。
課 題
○保育所の待機児童の解消を早期に実現する必要があります。
○男女がともに仕事の責任を果たしつつ、家事・育児・介護等の家庭生活の責任を担う
ためには、ワーク・ライフ・バランスを推進し、仕事と生活が調和した生活へと「働
き方」を見直していく必要があります。また、仕事優先の意識や固定的性別役割分担
の意識など、様々な要因を解消させていく必要があります。
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施策の方向
○男女が共に仕事と生活を調和させた豊かな生活が送れるよう、「目黒区男女が平等に
共同参画する社会づくり条例」に基づいた施策を充実させていきます。
○国などの補助金を活用した民設民営の認可保育園を中心に整備をするほか、特に保育
需要の多い0歳から2歳児を対象とした小規模保育所の整備も行い保育施設定員の拡
大を進めていきます。
○区有施設の見直し検討と連動した、合理的かつ効率的な学童保育クラブ整備計画を
検討していきます。
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【新規事業】
● 事業番号 3401
子育て家庭への就労支援
(子ども家庭課)
ほ・ねっとひろばで、子育て中の方に対してマザーズハローワークと連携して就労相
談を行う。
現況〔26 年度〕
平成 26 年 10 月から試行開始
計画目標
利用者の状況をみながら事業展開を検討する。
【拡充事業】
● [再掲] 事業番号 2404
学童保育クラブの整備
(子育て支援課)
地域の学童保育クラブ需要の実態に合せて適正配置を行う。
需要に「偏在化」が見られる地域では、その解消のための対策を講じていく。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 3101〕
・26か所の学童保育クラブを小学
校区域ごとに配置し運営
公設公営20所
公設民営 3所
民設民営 3所
・26年度までの拡充整備
中央町児童館学童保育クラブの新
設、中根小内学童保育クラブの新築
拡大、田道小内学童保育クラブの改
修規模拡大
計画目標
・学童保育クラブの保育需要の動向を見極めな
がら、具体的な整備計画を検討していく。
・学校でのランドセルひろば、子ども教室との
連携により、より選択肢の広い利便性の高い居
場所を構築する。
・利用希望者が受入れ可能数を超過する「偏在
化」に対しては、区有施設の再編、改修等の中
で「集約化、多機能化、複合化」の手法によ
り、拡充整備対策を講じていく。
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● [再掲] 事業番号 2406
認可保育所整備【実】
(保育計画課)
公立保育所の増築改修・改築及び新設による定員の増、また、民設民営による私立保
育所(賃貸型認可保育所含む)の設置による定員増により、待機児童の解消を図る。
現況〔26 年度〕
〔前計画番号 3112〕
25 年度末
定員
公設公営 1,971 人
公設民営 244 人
民設民営 804 人
計
3,019 人
整備数
公設公営 19 か所
公設民営
3 か所
民設民営
9 か所
計
31 か所
(平成 25 年度実績)
計画目標
31 年度末
定員
公設公営 1,778 人
公設民営
244 人
民設民営 2,157 人
計
4,179 人
整備数 公設公営 17 か所
公設民営
3 か所
民設民営 30 か所
計
50 か所
【27】私立認可保育所整備(新設)
3 か所 定員 180 人
【28】私立認可保育所整備(新設)
5 か所 定員 310 人
【29】私立認可保育所整備(新築)
4 か所 定員 240 人
区立保育所民営化(効率的運営)
1 か所 定員 64 人
【30】私立認可保育所整備(新設)
3か所 定員 180 人
【31】私立認可保育所整備(新設)
1 か所 定員 60 人
区立保育園民営化(効率的運営)
1 か所 129 人
〔27~31 年度整備量〕
定員
公設公営 △193 人
民設民営 1,163 人
計
970 人
整備数 公設公営 △2か所
民設民営 18か所
計
16 か所
【継続事業】
事業名
〔事業番号 3401〕
区民、事業者への情報提供
・人権政策課
事業概要
〔前計画番号 3111〕
男女がともに仕事と生活の調和を図ることができ
るよう、職業環境の整備及び意識啓発を目的と
し、区民・事業者に対し情報誌やホームページ等
で情報提供を行う。また、啓発用DVDの貸出を
行う。
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