2015 年 3 月 24 日 NO.1082 教 育 宣 伝 部 現場の第一線で区政に貢献する職員の努力を 正当に評価する賃金・人事制度へ改善せよ 非正規労働者の賃金・労働条件改善も強く求める 2014 年は特別区の賃金改定で 15 年ぶりの月例給引上げ改定が実現し たものの、消費税が上がり、物価も上昇し、実質賃金は下がっています。 2015 春闘では、デフレ脱却・経済再生に向けた賃金のベースアップ(ベ ア)が問われています。大手企業のベア実施回答を中小・未組織労働者 に波及させる重要な局面にあります。こうした 15 春闘を背景に、わが組 合は闘っています。 3 月 19 日 19 時 12 分から、平成 27 年度給与改定(第 1 回)団体交渉 を行い、第 7 回中央委員会で確認した「2015 年度現業系賃金・人事制度 に関わる要求書」を区長会に提出しました。 特別区職員の生活改善につながる賃金改定、閉塞感に覆われる職場環 境の改善のための人事・任用制度の改善は喫緊の課題です。内需拡大で デフレを脱却し、経済再生を確実なものにするためにも、賃金水準の引 上げは至上命題です。国からの不当な指導やいわれなき公務員批判に屈 することなく、労使による自主的・主体的な解決を求めました。 2015 年度 第1回団交(2015.3.19)で要求書を提出 1 平 成27 年度 給与改 定(第 1回 )団体 交渉 1.日 時 2015 年 3 月 19 日 ( 木 ) 19 時 12 分 か ら 19 時 32 分 2.場 所 東 京 区 政 会 館 203 会 議 室 3.出席者 区長会: 佐 藤 副 区 長 会 会 長 ( 江 東 区 )、 鈴 木 副 区 長 会 副 会 長 ( 目 黒 区 )、 安 井 副 区 長 会 副 会 長 (板 橋 区 )、 山 口 副 区 長 会 役 員 ( 千 代 田 区 )、 生 沼 副 区 長 会 役 員 ( 台 東 区 )、 桑 村 副 区 長 会 役 員 ( 品 川 区 )、 松 沼 副 区 長 会 役 員 ( 杉 並 区 )、 久 野 副 区 長 会 役 員 ( 葛 飾 区 )、 志 賀 副 管 理 者 ( 特 人 厚 ) オ ブ ザ ー バ ー : 澤 田 人 事 企 画 部 長 ( 特 人 厚 )、 鈴 木 調 査 課 長 ( 特 人 厚 ) 長 谷 川 勤 労 課 長 ( 特 人 厚 )、 中 野 副 参 事 ( 特 人 厚 ) 清掃労組: 吉田委員長、纐纈副委員長、大和田副委員長、染書記長、桐田書記次長、 山﨑財政部長、森田組織部長、斉藤共闘部長、坂本現業部長、野﨑教宣 部長、渡辺共闘部副部長、張替教宣部副部長 4.議事録 〈清掃労組〉 〈清掃労組〉 本 日 は 、「 2 0 1 5 年 度 現 業 系 賃 金 ・ 人 事 制 度 に 関 わ る 要 求 書 」 を 提 出 いたします。 本要求書は、職場討議を踏まえ、3月11日に開催した第7回中央委員 会で確認・決定したものです。組合員の総意として、誠意を持って受け止 めていただき、前向きに検討されることを求めます。 (要求書手交・読み上げ) 以上の要求内容は5課題33項目となっていますが、本日は特に強調し ておきたい事項について申し上げます。 まず始めに、現業系職員の賃金制度(水準)の改善についてであります。 現業系職員が地域の公共サービスとして区民から求められるための要素 2 は 、“ 行 政 と 区 民 と の 接 点 ”“ 継 続 的 な 現 場 の 把 握 ” 等 に あ り ま す 。 現業系職員が日常の業務を遂行するうえで、常に区民と接している仕事 上の利点を活かし、区民の求める公共サービスとしての自治体責任を果た すことこそが現業系職員に求められる役割であると考えます。 また、単に現場を持っているというだけではなく、長期間にわたって地 域に密着していることから、地域や区民の長期間の経年変化までも知り得 ることや、幅広い政策情報の収集が可能な立場にいることも現業系職員の 大きな役割です。 収集・運搬作業を中心とする現場の第一線の職務は、ややもすれば“単 純労務”と捉えられがちですが、区民や事業者への排出指導など、公権力 を伴う職務内容も増えています。小学校に出向いて、分別ゲームなどを通 して、環境問題としての清掃事業を学ぶ環境学習も高い評価を得ています。 これらの職務は、特定の職員だけで担われているわけではありません。 毎日の全体による打合せを基に、職員間の連携により進められています。 指導業務や環境学習は、長年の知識や経験無くしては担えない職務です。 良質な公共サービスとしての清掃事業を維持しようと、日夜職務に精励す る職員の努力を正しく評価すべきです。 職員の職務・職責はますます増大する一方で、賃金が引き下げられるば かりでは、職務・職責のバランスは大きく崩れることになり、職務に対す る意欲の維持が困難となります。職責や職務内容(公務としての特殊性や 困難度、危険性)等を十分に踏まえた給与水準とするべきです。 次に、現業系職員の保障額表から業務職給料表への切替えに係る課題で あります。 私どもは、業務職給料表の切替えに伴う調整措置の終了を重点課題とし て繰り返し求めてきました。 切 替 調 整 措 置 を 長 期 に わ た っ て 実 施 し て き た こ と に よ り 、 職歴の 短い職 員 の給 料号給が職歴の 長い職 員の号給を 追い越し てしまう 実例も指 摘してま い りま した。 昨 年の 賃金確定期に、 これら の矛盾と も言 える追 い越し実 例を解消 するた め 、一 定の見直しが図 られる ことになり ましたが 、切替調 整措置の 終了と残 号 数の 廃止という私ども の要 求実現には 至っていま せん。 3 2010年度に保障額表から給料表への切替えが実現して既に5年が経 過しました。今尚、多くの調整号数を保有しているために、勤務成績が良 好でも処遇に直接反映しない多くの職員がいるのです。 また、現給保障者が昇任・昇格した場合、昇格後の号給の給料月額が現 給保障額より少ない場合には、引き続き現給保障に留められてしまいます。 このことが大きな一因として、技能主任、技能長、統括技能長への昇任意 欲を失うことになっています。 人事管理上からも大きな問題を含んでいる切替調整措置の一日も早い終 了、残号数の廃止を求めます。 次に、一時金についてであります。 2013賃金確定期に、皆さん方から「成績率の原資のうち、扶養手当 相当額の配分方法について、一定の見直しを図りたい」という考え方が明 らかにされましたが、具体的な提案には至りませんでした。 現行の成績率の制度自体に問題があることは明白ですが、配分方法の見 直しでは、根本的な問題の解決にはならないばかりか、新たな問題点を生 み出すことになりかねません。 職員の意欲や能力を十分に引き出せる人事考課制度のあり方を検証する ことと併せて、一時金の水準などを含めた改善を求めます。 現業系人事制度についてであります。 現在、行政系職員の人事制度の見直しが検討されていると聞き及んでい ます。私ども東京清掃労働組合は、現業系職員が主体の労働組合ではあり ますが、清掃工場に勤務する技術職員を中心に行政系職員も一定の職員数 がいます。行政系人事制度の見直しについては、大きく注目している課題 であります。 これまで私どもは、現業系人事制度の見直しを求めてまいりました。 長期に及ぶ技能主任昇任資格基準や、人事の停滞につながっている昇任 選考のあり方等、多くの問題があることを指摘してまいりました。 皆 さ ん 方 か ら は 、「 技 能 系 ・ 業 務 系 人 事 制 度 に つ き ま し て は 、( 中 略 ) 、 所要の見直しは図られている」という認識を示しつつも、「今後も各区に おける運用状況等を注視し、適切な検討を行ってまいります」と明言して 4 います。 行政系人事制度の見直しの検討と同時に、現業系人事制度についても見 直しの検討が進められるべきです。行政系職員と同じ特別区に働く現業系 職員として、現業系人事制度の見直しだけが後回しにされるのでは、著し く均衡を欠くことになり納得できません。 現行の技能主任昇任資格基準は、1級職歴16年以上(前歴持ち込み2 分の1、6年限度)となっています。現行制度では、新規採用後、昇任機 会が生ずるのは最短でも10年を要するのです。また、現業系職員は、高 年齢での採用も多く、40歳台後半で初めて昇任資格が発生する職員も少 なくありません。行政系の昇任機会と比べてもあまりにも不利な制度であ ることを指摘せざるを得ません。 統括技能長・技能長選考に係わっては、身分切替後の各区独自選考に よって、区ごとの年齢構成や昇任枠のアンバランスにより、昇任選考に困 難が生じ、人事の停滞につながっています。昇任意欲がある職員がいても、 昇任枠が無いという理由で選考すら行われていない実態があります。 いくつかの区では、昇任選考を毎年実施し、職務内容や配置に工夫をす るなど、人事の停滞が生じないような努力がされていますが、まだ一部の 区にとどまっています。 こ れ ま で の 設 置 基 準 の 改 善 に よ り 、「 そ の 他 、 職 務 内 容 に 応 じ て 、 任 命 権者が必要と認める場合に設置する」という一項が加えられましたが、職 員の人数を一つの括りとする基準も残っていることから、昇任枠が無いと いう判断がされているのです。 昇 任 意 欲 の 醸 成 や 人 事 の 活 性 化 の 観 点 か ら も 、 こ の 際 、「 技 能 長 を 多 数 設置している職場に1名設置する」という統括技能長に係る設置基準や、 「概ね20人程度の技能系・業務系職員を単位として設置する」という技 能長に係る“職員人数を括りとする基準”は廃止し、各区の任命権者の判 断による制度とするべきです。 こういった問題が生じる一因には、現行の各区選考の限界があるのです。 人材育成、人事の活性化の観点からも、現行の各区選考に柔軟性を持たせ、 5 区間交流や派遣制度などを積極的に活用出来る制度的な対応を求めます。 設置基準の改善と併せて、職員の交流・派遣を制度化することで、公共 サービスとしての清掃事業の23区全体の質の維持にも繋がるものです。 高齢期雇用制度についてであります。 現行の再任用賃金水準は一部年金が支給されることが前提となっている ものです。高齢期の雇用問題は、雇用と年金を確実に接続することで職員 の生活を保障することが本来の趣旨であることを再三にわたって指摘して まいりました。 また、本年10月から共済年金と厚生年金が一元化され、制度的な差異 については基本的に厚生年金に揃えて解消されることになっています。 年金の一部支給停止の限度額が下がり、再任用の勤務日数を選択する上 で考慮することになります。 雇用と年金の接続の観点からも、希望者全員が確実に任用されると同時 に、その賃金収入だけで生活できる水準を確保するため、再任用制度にお ける賃金水準を大幅に改善することを求めます。 最後になりますが、清掃事業に従事する非正規労働者や臨時職員の賃 金・労働条件についてであります。 現状の格差の拡大の状況を一刻も早く解消していかなければ社会不安は 拡大する一途です。すべての働く者の賃金引上げを起点とした経済の好循 環をつくり出すことが不可欠です。 特別区の清掃事業においても“車付雇上”と呼ばれる作業形態による非 正規労働者の多用が拡大の一途です。何十年も継続して働いても日雇い扱 い さ れ て い る 実 態 が あ り ま す 。『 健 康 保 険 』、『 厚 生 年 金 』、『 雇 用 保 険 』 の 適用もされず、関係機関からは3保の適用の指導が入っていると聞き及ん でいます。 正規職員との均等待遇の立場から、これら非正規労働者や臨時職員の賃 金の引き上げや保護具の支給など、賃金・労働条件の改善に向けて関係機 関に働きかけることを求めます。 以上、何点かにわたって賃金・人事制度の改善に関わる私どもの要求に ついて申し上げました。 現場の第一線で、区民とのふれあいにより、区政に貢献をしている職員 の努力を正当に評価する賃金・人事制度の改善は、職員の切実な思いを込 6 めた要求であることを受け止め、是非とも改善に向けた検討をしていただ くことを求めるものです。 〈当局〉 ただいま、皆さんから「2015年度現業系賃金・人事制度に関わる要 求書」をいただきました。皆さんからの要求については、早速、各特別区 長に報告するとともに、要求の内容について、事務局に検討に入らせたい と思います。 さ て 、 最 近 の 経 済 情 勢 に つ い て み る と 、 2 月 の 月 例 経 済 報 告 で は 、「 景 気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いてい る 。」 と 述 べ て お り 、 基 調 判 断 を 4 か 月 連 続 で 据 え 置 い て お り ま す 。 一 方 で 、「 消 費 者 マ イ ン ド の 弱 さ や 海 外 景 気 の 下 振 れ な ど 、 我 が 国 の 景 気 を 下 押 し す る リ ス ク に 留 意 す る 必 要 が あ る 。」 と し 、 先 行 き に 対 す る 警 戒感も示しております。 今春闘は、このような状況下で、一部に明るい兆しが見られるなかで、 ベアを巡って厳しい交渉が行われていると報じられております。 私どもは、春闘の動向を引き続き注視してまいります。 一方、平成27年度の特別区の財政についてみると、都区財政調整交付 金の原資となる法人住民税が国の税制改正により、前年度比313億円、 4.9%の減収となるものの、特別区民税が262億円、3.6%の増収 となる見通しであり、都区財政調整交付金の総額は、前年度比0.7%減 の9,743億円となる見込みとなっております。 各特別区は、多くの区で一般会計規模は前年度比でプラスを計上してお りますが、扶助費の増加や改築需要に伴う歳出増、木密不燃化事業や首都 直下地震を想定した防災対策などといった喫緊の課題が山積しており、厳 しい財政状況に変わりはなく、諸課題に迅速かつ的確に全力を挙げて取り 組んでいかなければなりません。 このように区政を取り巻く環境が厳しい状況のなか、給与をはじめとす る職員の勤務条件については、社会一般の情勢に適応したものとなるよう、 時機を失することなく見直しを行うことが、区民の区政に対する信頼を確 7 保する上で、極めて重要であると考えております。 私どもは、各特別区が直面する諸課題の解決に向け、職員一人ひとりが 全力で職務に取り組めるよう、能力・業績及び職責に応じた人事・給与制 度の構築にさらに取り組んでいく必要があると考えております。 こうした取組みにより、質の高い区民サービスを継続的かつ安定的に提 供することが、区民に対する説明責任を果たしていくことにつながるもの と認識しております。 ただいま申し上げた基本的な考え方に基づき、皆さんから要求のあった 主な事項について、現時点における私どもの考えを申し上げます。 まず、業務職給料表等について申し上げます。 業務職給料表につきましては、国、他団体の給与水準、見直し状況等の 動向を注視しつつ、平成19年度の業務職給料表の水準見直しに至った考 え方や、この間の皆さんとの協議も踏まえ、適切な給与制度を構築してい くことを基本に、対応すべきものと考えております。 なお、業務職給料表の号給切替えに伴う、昇給調整措置につきましては、 昨年の給与改定交渉における団体交渉の場でも申し上げたとおり、私ども といたしましては、業務職給料表の水準は、依然として高い水準にあり、 給与水準の観点から考えれば、引き続き昇給調整措置を維持していく必要 があると認識しております。 これらの状況を踏まえるとともに、技能系・業務系職員の士気の維持・ 向上を図るという観点から、熟慮を重ねた結果、昇給調整措置について一 定の見直しを図ったところです。 昇給調整措置につきましては、今後とも、皆さんと協議してまいりたい と考えております。 次に、地域手当について申し上げます。 地域手当につきましては、国や他団体との制度上の均衡を図ること等の 観点から、特別区人事委員会の勧告のとおり、平成27年4月1日から、 支給割合を2%引き上げ、20%とし、あわせて同率程度、給料月額を引 き下げることといたしました。 地域手当の取扱いにつきましては、制度導入における人事委員会勧告の 8 趣旨を踏まえ、対応すべきものと考えております。 次に、特別給について申し上げます。 特別給につきましては、給料、扶養手当及び地域手当を算出の基礎とし、 民間における特別給の支給実態等を踏まえ、職務段階別加算の導入等によ り職務・職責に応じた適切な給与処遇の実現を図っているものであります。 なお、勤勉手当の成績率の一律拠出割合の見直し等について早急に検討 する必要がある旨の人事委員会の意見が出されているところです。 私どもといたしましては、人事委員会の意見やこれまでの交渉経緯を踏 まえ、各区において、制度趣旨を踏まえたより効果的な活用を図るため、 現行制度の更なる整備について、引き続き検討を行ってまいります。 次に、技能系・業務系人事制度について申し上げます。 技能系・業務系人事制度につきましては、これまでも申し上げてきたと おり、所要の見直しは図られているものと認識しておりますが、今後も各 区における運用状況等を注視し、適切な検討を行ってまいります。 次に、昇給制度及び降給制度について申し上げます。 私どもといたしましては、能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図る ことなどをねらいとした地方公務員法の改正を受け、昨年の勧告に伴う意 見も踏まえ、昇給制度及び降給制度について、引き続き検討を行ってまい ります。 最後に、雇用と年金の接続について申し上げます。 私どもといたしましては、引き続き、民間における高齢期雇用のあり方 や国、他団体の動向を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えてお ります。 その他の皆さんの要求につきましては、今後、慎重かつ総合的に検討し たいと考えております。 私からは以上です。 〈清掃労組〉 9 皆さん方の現時点における考え方をお聞きしました。 清掃事業は区民生活に密着した事業であり、区民からの期待や要望は、 増え続けるばかりです。区民要望に応えようと日夜職務に精励する職員の 努力が処遇として反映されないのでは、職員の職務に対するモラールの維 持も困難となります。 多くの課題がありますが、区政の第一線で職務に精励する職員の努力が 処遇として反映される賃金・人事制度の改善が図られるよう、私どもの要 求を真摯に受け止め、国の不当な指導やいわれなき公務員批判に屈するこ となく、毅然とした姿勢で、労使の信頼関係に基づき自主的・主体的に解 決することを求めます。 〈当局〉 清掃労組の皆さんのご意見を伺いました。 今後も、皆さんと誠意をもって真摯に協議してまいりたいと考えておりま すのでよろしくお願いいたします。 以上 10
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