α7型ニコチン受容体を介した潰瘍性大腸炎治療薬の開発に関する研究

(7)α7 型ニコチン受容体を介した潰瘍性⼤大腸炎治療療薬の開発に関する研究
従来より,ニコチン受容体(nAChR)は主に神経や筋接合部に分布していることが知られていたが,近
年年ではマクロファージにα7 型 nAChR(α7nAChR)の存在が明らかとなり,迷⾛走神経の活性化を介して,
抗炎症作⽤用を⽰示すことが明らかになっている。⼀一⽅方,ニコチンと潰瘍性⼤大腸炎の関連については,喫煙者
で発症率率率が低いことや,ニコチン注腸やニコチンパッチの有⽤用性が報告されていたが,その副作⽤用のため
臨臨床応⽤用までは達していなかった。そこで本研究では,がん化学療療法に対する制吐薬として既に使⽤用され
安全性が確⽴立立されている tropisetron がα7nAChR に対して作⽤用することに着⽬目し,tropisetron の新たな
薬効を⾒見見出だすこと(ドラック・リプロファイリング)を⽬目的として,デキストラン硫硫酸ナトリウム(DSS)
腸炎マウスモデルを⽤用いて検討した。その結果、DSS を7⽇日間⾃自由飲⽔水させることによる下痢痢や⾎血便便の症
状,好中球浸潤の指標である MPO 活性の増悪,及び⼤大腸組織の傷害が tropisetron により抑制された。ま
た,選択的α7nAChR 刺刺激薬,阻害薬を⽤用いた検討から,この腸炎抑制効果がα7nAChR を介していること,
その下流流のメカニズムとして IL-‐‑‒6 及び IFN-‐‑‒γの抑制を介していることが⽰示唆された.さらに,α7nAChR
は⼤大腸マクロファージにも発現していることが明らかとなり、tropisetron が腸炎抑制効果を発揮するため
の重要な役割を果たしている可能性が考えられた.これらの結果は,tropisetron の安全な新規潰瘍性⼤大腸
炎治療療薬としての可能性を⽰示唆するものであり,今後の展開が期待される。 α
LPS
Toll,like,,
receptor,4
Normal
DSS
NicoGne
ACh
Tropisetron
α7nAChR,
Macrophage
Jak2,
Tropisetron
(1 mg/kg)
NfκB,
Cytoplasm,
STAT3,
Pro=inflammatory,
cytokine,expression,
ex.,IL=6
Nucleus, genes
IFN=γ
Th1
Tasaka Y et al, J Pharmacol Sci. (in press)