高圧ガス移動取締状況について 平成27年3月 九州産業保安監督部 九州管内の高圧ガスの移動に関する取締状況について、23~25年度の3年間分を九 州各県の協力により以下にまとめました。 1.違反状況 “車両に固定した容器による移動”の「固定」 (タンクローリー)と“その他の移動”と して、容器を車両に積載した「バラ」積みについて、違反率を比較した。 (以下、同じ。) 図1をみると、 「バラ」の違反率が、 「固定」の約4倍と高い。 違反率 50% 40% 23年度 バラ 30% 23年度 固定 20% 24年度 バラ 10% 24年度 固定 0% 25年度 バラ バラ 固定 23年度 バラ 固定 バラ 24年度 固定 25年度 25年度 固定 図1.違反率 2.ガス種別違反率 「固定」と「バラ」それぞれに対して、液石則と一般則のガス別に違反率を比較した。 「固定」 、 「バラ」ともに液石則(LPG)が、一般則ガスより違反率が高い。 60% 50% 40% 30% LPG違反率 20% 一般違反率 10% 0% バラ 固定 23年度 バラ 固定 バラ 24年度 図2.ガス種別違反率 固定 25年度 3.違反内容等 「固定」及び「バラ」について、その違反の内容について代表的なものを表1に記した。 1) 「固定」の場合 ・上記の1、2にあるとおり、 「バラ」に比べると違反は少ないが、時折「防災資機材」、 「移 動注意書」 、 「警戒標」 、 「弁開放状態の識別の有無」の指摘が見受けられる。 2) 「バラ」の場合 ・違反内容の主な内容は、 「防災資機材」 、 「警戒標」 、「移動注意書」 、 「容器の転落防止」で あった。特に、 「防災資機材」、 「警戒標」が毎年多く、また「転落防止」が増えてきている。 表1.違反の内容(単位;件数) 違反内容 23年度 24年度 25年度 バラ 固定 バラ 固定 バラ 固定 警戒標 4 1 7 2 4 0 転落防止 1 ― 5 ― 7 ― 0 ― 1 ― 0 ― ― 2 ― 0 ― 1 防災資機材 22 0 17 3 18 0 移動監視者 1 0 0 0 1 1 移動注意書 6 0 5 0 3 0 その他 3 0 1 0 2 0 (バラのみ) バルブ損傷防止 (固定のみ) 弁開放状態識別 (固定のみ) *(これら具体的な内容については、例示基準をご覧下さい。) 表2は、違反に対する措置について、「固定」 、「バラ」別に記した。 表2.違反措置(単位;件数) 措置内容 23年度 24年度 25年度 バラ 固定 バラ 固定 バラ 固定 口頭注意 21 3 21 4 20 2 文書警告 4 0 2 0 5 0 その他 0 0 0 0 0 0 4.考察 ●この3年間の検査台数は平均で約110台(うち「固定」、 「バラ」の割合は、およそ7: 4程度)であるが、 「バラ」積み車両に関する‘違反率’が高い。 ●ガス種では、LPG で違反率が高い。 ●違反内容では、特に、 「バラ」積みで、 「防災資機材」、 「警戒標」が例年多い。 ●「バラ」積みでの「転落防止」の指摘も増加している。 ○違反が「バラ」積みで多く、その指摘内容が、 「防災資機材」 、 「警戒標」 、 「容器の転落防 止」という面から、特に、 「バラ」積みについては、高圧ガスの移動における危険意識が薄 くなっているのではないかと考えられる。 以上。 参考:法令抜粋 1.高圧ガス保安法 第23条 高圧ガスを移動するには、その容器について、経済産業省令で定める保安上必 要な措置を講じなければならない。 2 車両により高圧ガスを移動するには、その積載方法及び移動方法について経済産業省令 で定める技術上の基準に従ってしなければならない。 (以下略) 2.一般高圧ガス保安規則(省令) 移動;第48条~第51条 「固定」→第49条、 「バラ積み」→第50条 第49条 一 車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。 十四 可燃性ガス、酸素又は三フッ化窒素を移動するときは、消火設備並びに災害発生防 止のための応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。 十五 毒性ガスを移動するときは、当該毒性ガスの種類に応じた防毒マスク、手袋その他 の保護具並びに災害発生防止のための応急措置に必要な資材、薬剤及び工具等を携行す ること。 (一般のみ) 二十一 可燃性ガス、毒性ガス又は酸素の高圧ガスを移動するときは、当該高圧ガスの名 称、性状及び移動中の災害防止のために必要な注意事項を記載した書面を運転者に交付 し、移動中携帯させ、これを遵守させること。 第50条 一 車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。 四 充てん容器等(内容積が5リットル以下のものを除く。 )には、転落、転倒等による衝 撃及びバルブの損傷を防止する措置を請じ、かつ、粗暴な取扱いをしないこと。 3.液化石油ガス保安規則(省令) 移動;第47条~第50条 「固定」→第48条、 「バラ積み」→第49条 第48条 一 車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。 十二 充てん容器等を移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のための応急措置に 必要な資材及び工具等を携行すること。 十八 車両に固定した容器により、液化石油ガスを移動するときは、移動中の詐害防止の ために必要な注意事項を記載した書面を運転者に交付し、移動中携帯させ、これを遵守 させること。 第49条 一 車両の見やすい箇所に警戒標を掲げること。 四 充てん容器等は、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を請じ、 かつ、粗暴な取扱いをしないこと。 五 充てん容器等を車両に積載して移動するときは、消火設備並びに災害発生防止のため の応急措置に必要な資材及び工具等を携行すること。ただし、容器の内容積が20リッ トル以下である充てん容器等のみを積載した車両であって、当該積載容器の内容積の合 計が40リットル以下である場合にあっては、この限りでない。
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