2015/3/21 深い眠りに包まれて 楽曲構造分析まとめ

2015/3/21
深い眠りに包まれて
楽曲構造分析まとめ
kin
(1)曲想、テンポ、調、強弱の整理
テンポ
小節
詞
*1
A 1~
24
1
深い眠 りに
包まれ た遠
い日… ぐっ
すり眠 って
いる
曲想標
(速度標語)
Moderato
中ぐらい
の速さで
速度
調*2
(調性格論*3 も併
記)
rit.
a tempo
A-dur(イ長調)
112
C 40~
47
D 48~
59
2
晴れや かな
夏の日 差し
…どん どん
沈んでゆく
Piu
Mosso
速く
愛だけ を…
胸に抱いて
Tempo
Ⅰ°
最初のテ
ンポで
澄んだ 音色
に包ま れた
遠い日 …ふ
わり眠 って
いる
直前の rit (112
があり、a )
tempo と
ある。テン
ポは冒頭
と同じか。
Piu
Mosso
速く
E 60~
74
うらら かな
春のざ わめ
き…夢 を求
めて浮 き上
がる
F 75~
愛だけ を…
胸に抱いて
G 83~
きっと …世
界が開 ける
だろう
82
Tempo
Ⅰ°
最初のテ
ンポで
最
小
最
大
p
mp
輝かしくも非常に
攻撃的。気晴らしよ
りも嘆くような悲
しい情念に向く。ヴ
ァイオリン用の曲
に適する。
ほのか な…
ひっそ り眠
っている
B 25~
39
強弱記
号
39 小節
poco rit.
112
112
72
cis-moll (嬰ハ短調)
最も陰暗な調の一
つ。残忍、皮肉、悲
愴、不気味
rit.=
ritardand
o
次第に遅
く
46 小節
A-dur(イ長調)
rit.
47 小節
a tempo
(元の早
さに戻す)
Des-dur(変ニ長調)
魅惑的、深刻、荘重
長調の中で最も暗
く痛々しい調の一
つで病的なロマン
性も出す。
74 小節
f-moll (ヘ短調)
rit.
穏やかで落ち着い
た、深く重い、何か
絶望的で、死ぬほど
の心の不安を感動
的に描く。救いよう
のないメランコリ
ー、恐怖心、戦慄を
呼び起こす。
Des-dur(変ニ長調)
103 小節
rit.
105 小節
a tempo
107 小節
rit.
1
コメント
コントラスト表現が重要!
① テンポの対比
・Moderato と Piu Mosso
と coda
・rit. と a tempo の対比
② 調の対比
・転調
・長調・短調の対比
③ ピアノとフォルテ対
比
これらのコントラストの
意味を考え抜き、対比を明
確に表現する必要
最初の転調。
「属調平行調」
にあたる近親調転調。D と
対比
最初のピアノとフォルテ
の対比
p
f
p
mf
二回目の転調。元の A-dur
に戻る。
p
p
三度目の転調。遠隔調への
転調*4
cre.
記号
有
pp
f
四度目の転調
二度目のピアノとフォル
テの対比。そのコントラス
トも大きくなる。
mf
f
五度目の転調。Des-dur に
戻る。
pp
ff
三度目のピアノとフォル
テの対比。コントラストも
最大の幅になる。
(2)音楽様式・作曲技法の分析
小
節
A 1
~
24
音楽様式*5
作曲技法
深い眠
りに…
ぐっす
り眠っ
ている
ほのか
な…ひ
っそり
眠って
いる
出だしバリトン
単旋律
音型論*6
A は音価の
長い音符多
し
B は音価の
短い音符多
し
強弱法①
B 25
~
39
晴れや
かな…
沈んで
ゆく
C 40
~
47
愛だけ
を…胸
に抱い
て
2 澄んだ
音色に
…ふわ
り眠っ
ている
Moll(短調)への
転調⇒
シューベルトの
調性感覚と時間
間隔
半音進行
(27-28,31 小節)
ポリフォニーに
続くホモフォニ
ー
D 48
~
59
E 60
~
74
詞
1
ポリフォニーと
ホモフォニーの
対比
うらら
かな春
のざわ
めき…
夢を求
めて浮
き上が
る
Moll(短調)への
転調⇒
シューベルトの
調性感覚と時間
間隔
半音進行
(63-64,66,73-74
小節)
75
~
82
愛だけ
を…胸
に抱い
て
ポリフォニーと
ホモフォニーの
融合
G 83
~
きっと
…開け
るだろ
う
単旋律⇒ポリフ
ォニー⇒ポリフ
ォニックなホモ
フォニー⇒ホモ
フォニー
半音進行
(106 小節以下 T2)
F
強弱法②
作曲例
コメント
バッハ(1685- 1750)
シューベルトの調性感覚と時間感覚*7
「Magnificat in D major」,
BWV 243 第 8 曲
テノールの「Deposuit(下ろ
す)」の歌詞の箇所で下降音
型。
「マタイ受難曲」
冒頭、低音の付点音符は十
字架を負い、裸足で処刑場
へ向うイエスの重い足取り
シューベルト(1797~1828)
「菩提樹」
29 小節(動画 1:35~)、動画
2:29~で二度短調へ転調。短
調の箇所は、明確にリズム
が刻まれ時間感覚が異なる
ヘンデル(1685- 1759)
「メサイヤ」
ポリフォニーとホモフォニ
ーを交互に効果的に使用
音型論
D は音価の
長い音符多
し
E は音価の
短い音符多
し
強弱法①´
強弱法②´
「外の時間」⇒時計の時間。現実世界
「内の時間」⇒われわれの個人の体内
の時間、内面世界の伸び縮みする時間
調
性
外 短
調
内 長
調
テンポ
快速
(拍子感が強い)
緩やか
(拍子感が弱い)
ポリフォニーとホモフォニー
F と対比
強弱法
A と対比。
D の方が音量強弱の幅が狭い(p→cre
のみ)。
A よりも眠りが浅くなって来ているこ
との表れか。
ワーグナー(1813-1883)
「トリスタンとイゾルデ」
前奏曲冒頭では、オーボエ
がソ♯ララ♯シと半音進行
する。これは「憧れの動機」
と呼ばれる。
なお、和音に着眼するとド
ミナント→ドミナントを繰
り返し協和音に辿りつかな
い*8(トリスタン和音)
。
ハイドン(1732- 1809)
弦楽四重奏「鳥」第 4 楽章
37 小節以降(動画 0:55~)か
ら特にポリフォニックなホ
モフォニーが強調される。
強弱法③
2
強弱法
B と対比。B より E の方が音量強弱の
幅が広い(pp からf迄)。
「外の時間」
からの「呼びかけ」が強まっているこ
との表れか。
半音進行*9
73-74 小節。心のざわめき、行くべき
方向性の不明瞭さを表現する方法とし
て用いられている
ポリフォニーとホモフォニー
C との対比。
単なるポリフォニーに続くホモフォニ
ーの C に対し、F はポリフォニーとホ
モフォニーの融合*10。F 方がスペシャ
ル感。
さなぎが羽を広げていくまでの様を音
量強弱および単旋律⇒ポリフォニー⇒
ホモフォニーと音が豊かになっていく
ことで表現
(3)楽式*11
イ.基礎楽式*12
動機①
「深い~」
ミファ♯ミ
動機②
「ほのかな」
ミミミミ
動機労作*13
出現
1
1213
(B1)
他の出現箇所(小節)
A~C
A(1~24)
7,9-10,21-22
B(25~39)
25,27(T1,T2),31-32,
38-39(T1×2),39-40(B2)
C(40~47)
39-43(T1),41(B1,B2)
D~F
D(48~59)
48(B1),54(T1),56-57
E(60~74)
60,62
F(75~82)
75,76
G(83~)
85,88(B2),88-89(T1),93-94
A~C
A(1~24)
13(T1,T2),14,16-17,17(T1),20-21
B(25~39)
C(40~47)
43-44
D~F
D(48~59)
51-53,55-56
E(60~74)
F(75~82)
78-79
G(83~)
90-91,94-95,98-99,102-103
82 小節~、106 小節~の「きっと」も
同じ動機の音価変形と解釈できるか
動機①´
36
動機①が 36,40
小節で反行変
奏*14。
「どんどんど
ん」
「愛だけ」
ファ♯ミ(ミ)
ファ♯
A~C
A(1~24)
B(25~39)
C(40~47)
D~F
D(48~59)
E(60~74)
F(75~82)
G(83~)
7-8(T2,B1),9-10,19-20,21-22
31-32(T1,B1),36,36-37,39(T1,B1)
40(B2),40-41(B1),41(B2),4243(B1),45
54-55(T1),56-57(T1)
60-61(B1),65,65-66(T2),71(T2)
75-78,80
85,89,99-100,103-104
コメント
動機労作
短調の部分 B・E を支配
→動機①´。但し B には動機①も
頻出。動機②は、元々の形と同じ
ようには現れない(67-68 小節を
どう見るか?)。
長調の部分 A・C・D・F を支配
→動機①&動機②。
G(coda)を支配
→ 各 動 機 が 結 合 し た 音 型 (85,8889,98-100,102-104 小節)。
G は、各動機のオンパレードに
なっており、音楽の密度が濃く
なっている。短調・長調の対決、
動機の対決を統合しているよう
にも見える。
ベートーヴェン(1770-1827)
「交響曲第 5 番 ハ短調 運命」
動機労作の例。冒頭のダダダダー
ンという動機が展開し、曲全体に
一貫性を付与。
反行変奏
シューマン(1810-1856)
「詩人の恋」より「麗しくも美し
い五月に」
冒頭すぐのピアノ前奏は、実は歌
い出し(動画 0:17~)の旋律の反行
形である*15
ロ.応用楽式
形式
外形上は、変化有節形
式 * 16 に 近 い 形 を 採
用?
節は基本的に 3 部(D・
E・F の一組が基本形)
で書かれていると見得
るか?
有節形式
変化有節形式
通作形式
ソナタ形式
但し、末尾に coda * 17
(G)を付けている。そ
して中身は、まるでソ
ナタ形式のような展開
と再現を見せる。
ただ、類似した旋律の
繰り返し(反復主義)の
ような側面も一部認め
られることは否めな
い。その意味では、一面
で「単線的でない時間
感覚」も内包している
と解釈することも可能
か。
反復主義
作品例
シューベルト(1797~1828)「野ばら」
シューベルト「菩提樹」
シューベルト「魔王」
ソナタ形式
交響曲の第一楽章はソナタ形式。
「提示部」
で、複数の主題の提示がなされる(但し異
なる調にて)。
「展開部」では調性が不安定
化したり、主題が様々に展開。
「再現部」で
複数の主題が同一の調で奏され、対立が統
合される*18
モーツァルト(1756- 1791)
「交響曲第 41 番ハ長調ジュピター」
第一楽章で主題が 3 つ現れる*19。
第 3 主題が現れるのは、定型からの逸脱。
提示部 第 1 主題(冒頭)、その後第 2 主
題、さらに第 3 主題。
展開部 第 1 主題の偽の再現あり。
再現部 第 1 主題。第 2 主題、第 3 主題の
再現。
サティ(1866-1925)「3 つのジムノペディ」
第1番
第2番
第3番
コメント
「深い眠りに包まれて」は、ソナ
タ形式の様に第一主題(動機)と第二
主題(動機)の対話ないし矛盾の相克
が止揚されるという有様が明確に
現れる訳ではない。
しかし、基礎楽式の動機の分析を
みると、複数の動機の有機的な結
合・統合によって coda 部分が作曲
されているようにも見得る*20。
なお、ソナタ形式を含む交響曲の 4
楽章形式は西洋の直線的な時間観
を前提にした音楽の形式だという
指摘もある*21。
これに対し、同形式の反復により
「はじめ」も「真ん中」も「終わり」
も否定しようしたのはサティ*22。
サティの時間感覚は反復であって
直線的でない。サティの音楽には
「フィナーレ追求性」は皆無。
「深い眠りに包まれて」は、どちら
に近いといえるか、サティほどの徹
底性はないこと、G の部分の動機の
結合・統合からは、伝統的な西洋の
時間観に近いとみるべきか。
(未完成)
3
註)
ての西洋音楽の歩み わたし探しの音楽美学の旅」,101 頁より抜粋引
*1 小節の区分およびアルファベットの記号の付与は、小池由幸発言
用。
「2014/11/22「深い眠りに包まれて」練習」を参照した。
*11【楽式】
*2 調について、吉岡理(著)「「深い眠りに包まれて」解説」
楽曲を構成する基本的原理を意味する音楽用語。音楽形式という場合も
http://masuraoglee.web.fc2.com/column/column012_4.html
ある…この意味をもつ楽式はさらに「基礎楽式」と「応用楽式」とに大別さ
及び下河原建太(著)「深い眠りに包まれて~楽曲分析~」
れ、言及されることができる。
http://masuraoglee.web.fc2.com/column/column014_6.html も参照した。
基礎楽式
*3 マッテゾン(1681–1764)の調性格論。田村和紀夫 (著),「文化としての
旋律を中心に音楽をみた場合、その最小の単位は動機であり、それが発
西洋音楽の歩み わたし探しの音楽美学の旅」,音楽之友社,2013 年,86
展して小楽節、さらに大楽節が形成される。
頁。なお、cis-moll、Des-dur の箇所は、「音楽マメ知識 調の特性」
応用楽式
http://ww2.wt.tiki.ne.jp/~nk_sounds/mametisiki.htm
楽曲全体にわたる構成上の原理のこと…。
を参照した。
以上、コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説[黒坂俊昭]より抜
*4 【近親調と遠隔調】
粋引用。https://kotobank.jp/word/%E6%A5%BD%E5%BC%8F-460249
「【A】→【B】の転調について見てみよう。調号はそのまま、臨時記号での
*12【基礎楽式】
転調となっているが、(調号的にいえば)♯がひとつ増えていることが見て
基礎楽式については、前掲,吉岡理(著)『「深い眠りに包まれて」解説』の
取れる。cis-moll の「平行調」は E-dur であり、これは転調前の A-dur から
「旋律の変奏」の記述も参照。
主音の関係で完全五度上の調にあたる。このような調を「属調」というわけ
*13【動機労作】
だが、これらの元の調から関係の深い調のことを近親調(closely related
「動機…は、作品全体で何度も活用され、全曲に統一感を与えています。
key)という。【A】から【B】は「属調平行調」にあたる近親調転調である。【B】
このような手法を「動機労作(または主題労作)」と呼びます…。」 後期ロ
→【C】で元の調へと戻っている。次に、【C】→【D】の転調について見てみ
マン派の名曲(2) YAMAHA 学校音楽教育支援サイトより抜粋引用。
よう。これは上で述べた近親調に含まれない調への転調である。このよう
http://jp.yamaha.com/services/teachers/music_pal/study/masterpieces/
な調関係を遠隔調(distantly related key)という。名前から推測がつくかもし
romanticism_5/
れないが、近親調の方が近しい響きを持っていて、転調時のつながりは滑
*14【反行】
らかになる。一方で、遠隔調への転調はより異質な響きが際立ち、音楽の
「反行とは、ある基準音を中心に旋律を上下反転させること。」 旋律の変
流れが一新されて聞こえるだろう。また、この遠隔調への転調が、予備動
形 - 河合楽器製作所サイトより引用。
作なしに行われていることにも留意したい。転調の前に、新しい調を導くた
http://www.kawai.co.jp/cmusic/products/ex/melody.htm
めの和声や旋律上の多くの工夫があるが、ここでは一切の準備なしに転
*15 田村和紀夫(著),「名曲に何を聴くか―音楽理解のための分析的アプ
調している。これを突然転調ということがある。突然転調と遠隔調が組み
ローチ 新音楽鑑賞法」,音楽之友社,2012 年,77-78 頁。
合わされることで、前半と後半のまとまりの違いがはっきりと意識される。
*16【変化有節形式】
転調時の印象そのものも表現のヒントになってくれるだろう。」
「有節形式を枠組みとしながら,詩節の気分の推移に従って音楽が部分
以上,前掲下河原建太(著),『深い眠りに包まれて~楽曲分析~』より引
的に変化する…。」 コトバンク 世界大百科事典より抜粋引用。
用。
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%8C%96%E6%9C%89%E7%AF%80%
*5 【音楽様式】
E5%BD%A2%E5%BC%8F-1412857
「音楽の様式は音楽を「表現するやり方、その特徴」とみなすことができま
*17【coda】
す」 田村和紀夫(著),「CD 付徹底図解 クラシック音楽の世界」,新星
楽曲または楽章に終結感をもたらすためにおかれた結尾部分。規模は
出版社,2011 年,45 頁より引用。
大小さまざま。
*6 【音型論】
コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より抜粋引用。
「ある音型によって言葉を「見える」かたちへと「音画化」する手法…バロッ
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%80-65021
クではそれを一層徹底し、作曲上の指針として論じた」 田村和紀夫(著),
*18 岡田暁生(著)「西洋音楽史」,放送大学教育振興会,2013 年,116-
前掲「文化としての西洋音楽の歩み わたし探しの音楽美学の旅」,83 頁
118 頁参照。
より抜粋引用。
*19 田村和紀夫 (著),「交響曲入門」,講談社,2011 年,62 頁。
なお、B の旋律の音価が音型論的に解釈でき得ることは、練習中の草場
*20 この点は前掲,下河原建太(著)「深い眠りに包まれて~楽曲分析~」
康裕発言からも示唆を得ている。
の記述が示唆的。
*7 田村和紀夫(著),前掲「文化としての西洋音楽の歩み わたし探しの音
「【A】~【C】で「はさみこみ形式」(作曲者による言葉、出版譜まえがきよ
楽美学の旅」,168-175 頁。
り)、同様の形式が【D】~【G】でも見られ、【F】は新しい動機と再現的な動
*8 田村和紀夫(著),前掲「CD 付徹底図解 クラシック音楽の世界」,186
機が混じり合うコーダとなっている。」
頁。
*21【直線的な時間の流れ】
*9 【半音階進行】
「西洋音楽のもっとも基本的な発想では、時間の経過とともに、音楽は内
「…進行をソ→ソ♯→ラ→ラ♯→シ→ドという具合に、すべて半音階してし
容が濃く、情報量が多くなっていくのが普通です。…同じ主題を再び後で
まうと…どの音が強調されるべきか、分からなくなってしまう。すべての音
出すとき、楽器が増えたり、構造が複雑になったり、別の旋律が付いたり、
が相対化されてしまう。いわば船酔いのような、あてどなく旋回するような
ハーモニーが豊かになったりするのです。…根底にあるのは西洋的な直
感覚が、半音化によって生じるのだ」 岡田暁生(著)「西洋音楽史」,放送
線的な時間観…」 田村和紀夫(著),前掲「CD 付徹底図解 クラシック音
大学教育振興会,2013 年,136-137 頁より抜粋引用。
楽の世界」,201 頁より抜粋引用。なお、「作曲家・遠藤雅夫の現在の関心
*10【ポリフォニックなホモフォニー】
は、非西洋的時間表出を器楽作品で行うことである」との小池由幸報告
「ポリフォニーを取り込んだホモフォニーは、前古典派とバロックまでの音
2014/12/3「ローセキ研究会」からも示唆を得ている。
楽思考の統合をもたらした。…わかりやすく、開かれたホモフォニーの性
*22 田村和紀夫(著),前掲「CD 付徹底図解 クラシック音楽の世界」,
格と、伝統的なポリフォニーによる音楽的密度が総合されたのである。こ
214-215 頁。
れはまことに創造的な業績であった。」 田村和紀夫(著),前掲「文化とし
以上
4