NO1676 (毎月10・25日発行) 教 育 通 信 2015年3月10日号 (昭和27年12月9日第3種郵便物認可) 現行の指導要領・道徳部 分が素晴らしいとは思って いないけど、こうして比較 してみると「改訂案」の特 徴がよく分かるわね。 文科省が1月19日に、学習 指導要領道徳部分の新た な「改正」案を発表しまし た。その特徴を現行との 比較でご紹介します。 改訂案 現行 共通 部分・・・新しい表現 部分・・・なくなった部分 部分・・・表現変更部分 <第3章 特別の教科 道徳 ←これらを参考にお読み下さい。 <第3章 第1 目標> (小学校部分より) 「改正」案 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための 基盤となる道徳性を養うため、道徳的価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面 的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心 情、実践意欲と態度を育てる。 このように、断定的に結論づけている表現が増えています。 現 行 道徳教育の目標は、第1章総則の第1の2に示すところにより、学校教育活動の 全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。 道徳の時間においては、以上の道徳の目標に基づき、各教科、外国語活動、総合的な学習 の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導に よってこれを補充、深化、統合し、道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深 め、道徳的実践力を育成するものとする。 特別の教科 道徳 第2 「改正」案の構成 A 主として自分自身に関すること [善悪の判断、自律、自由と責任] [第1学年及び第2学年] よいことと悪いことの~行うこと [第3学年及び第4学年] [第5学年及び第6学年] すべて体言止め [正直、誠実] B C 主として人との関わりに関すること 主として集団や社会との関わりに関する こと D 主として生命や自然、崇高なものとの関 わりに関すること 項目別の構成になっています。 <総則 第1 教育課程編成の一般方針> (小学校・中学校の共通表現) 「改正」案 ~道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基 づき、人間としての生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共に よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。 道徳教育を進めるに当たっては、人間尊重の ここは新たに強調された部分。 精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、そ の他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それ らを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主 的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発 国家が先 展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来 を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意しなければならない。 ここも断定。「育成に資する」と「道徳性を養う」はずいぶん違います。 現 行 ~道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、 人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の 中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛 し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び、民主的な社会及び国家の発 展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性の ある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。 *3月5日までの予定でパブリックコメントが募集されていました。正式決定はこれからです。 *小学校平成30年度・中学校31年度正式実施予定ですが、平成27年度からの先行実施も提案されています。 内容> (小・中学校より抜粋) 現行の構成 [第1学年及び第2学年] A 主として自分自身に関すること (1)健康や安全に~生活をする。 B 主として他の人との関わりに関すること C 主 と し て 生 命 や 自然 、 崇高 な もの と の 関わりに関すること D 主 と して 集団 や社会 との 関わ りに関 す ること [第3学年及び第4学年] [第5学年及び第6学年] 学年別の構成になっています。 項目名はありません。 「改正」案の具体的な内容 小学校1年生段階から「国」を意 小学校C [伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度] 識させる?しかも、次の項目は [第1学年及び第2学年] 我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つこと。 「国際理解、国際親善」です。 [第3学年及び第4学年] 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、国や郷土を愛する心を持つこと。 [第5学年及び第6学年] 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、先人の努力を知り、国や郷土を愛する心を持つこと。 ここも国が先に 中学校A [真理の探究、創造] 真実を大切にし、真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。 ↓↑ (現行 真理を愛し、真実を求め、理想の実現を目指して自己の人生を切り拓いていく。 「真実を求め」ることも、「理想の実現を目指」すこともなくなります。 新たに強調された部分。 中学校C [遵法精神、公徳心] 法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、 自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。 中学校C [勤労] 勤労の尊さや意義を理解し、将来の生き方について考えを深め、勤労を通じて社会に貢献する こと
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