2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) ◆第一章 総則 第9条 【原文規定】 食品業種協会は、業界の自律を強化し、規定に照らした健全な職業規範及び内部賞罰制度 を設立し、食品安全情報及び技術等のサービスを提供し、食品製造・販売者が法に基づき 製造・販売を行うよう誘導励行し、業界における信用の構築を推進し、食品安全に関する 知識について宣伝し、普及する。 【修正意見】 「及び内部賞罰制度」を削除頂きたい 【修正理由】 日本の場合、食品業種協会は事業者をもって組織されており、事業者間での情報共有や意 見交換、一般消費者への情報提供などを目的としている。設立目的や活動内容に鑑みると、 食品業種協会が内部賞罰制度を有している必要性は低く、また有していることはごく稀で あると考えられるため。 第 11 条 【原文規定】 国は、効果が高く低毒性農薬の使用を推奨し、速やかに劇毒及び高毒性農薬を淘汰する。 国は、食品安全に関する基礎研究と応用研究を奨励、支持し、食品製造・販 売者が食品 安全レベルを引き上げるために、先進的な技術と管理規範を取り入れること を奨励、支持 する。 【修正意見】 「高毒性農薬」の定義を示して頂きたい 【修正理由】 中国における食品中の農薬最大許容量は GB2763 で規定されており、利用できる農薬と作 物の組み合わせおよびその残留許容量(MRL)が設定されている。一般的に、農薬は食品 中の残留値が一日摂取許容量(ADI)を超えると健康への影響が考えられるため、 「高毒性」 の定義を明確にし、消費者および生産者の適正な安全確保に努めて頂きたい。 1 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) ◆第三章 食品安全基準 第 28 条 【原文規定】 食品安全国家基準がない場合は、省・自治区・直轄市人民政府衛生行政部門は、食品安全 地方基準を制定し公表することができ、併せて国務院衛生行政部門へ報告を行う。 食品安全国家基準が策定された場合は、当該食品安全地方基準は直ちに廃止される。 【修正意見】 「国家基準がない場合は、省・自治区・直轄市人民政府衛生行政部門は国務院衛生行政部 門に対して国家基準制定を要請することができる。 」に修正いただきたい。 【修正意見】 事業者にとっては、基準がどれであるかが明確である方がより基準遵守が容易になる。ま た、一部の省・自治区で必要になる基準について、国家基準が存在しない場合、同基準は 他省においても導入の必要性があると考えられるため、国家基準として一律に制定された 方が消費者にとっても有益であると考える。 第 30 条 【原文規定】 食品安全基準は、一般大衆が無料で閲覧、ダウンロードできるようにしなければならない。 省レベル以上の人民政府衛生行政部門はネット上に公布、制定及び報告された食品安全国 家基準、地方標準及び企業標準を公表しなければならない。 食品安全基準の実施過程において生じた問題については、県レベル以上の人民政府衛生行 政部門は関連部門と共同して直ちに指導して、解答を与えなければならない。 【修正意見】 (※以下に代わり、前回パブコメ(二)の再掲でも可) 二段落目の「及び企業基準」を削除して頂きたい。もしくは、中国国外の事業者は適用外 として頂きたい。 【修正理由】 企業が独自に定めている食品安全基準には、企業秘密が含まれる可能性がある。 また、第 29 条において、企業基準は省・自治区・直轄市人民政府衛生行政部門への届出が 義務付けられているが、中国国外の事業者が企業基準を設けている場合において、同基準 は当該国の衛生基準に則っており、かつ言語も当該国の言語を使用している可能性が極め て高い。そのため、中国国内の消費者に対する十分な情報提供にはならない。 2 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) ◆第四章 食品の製造・販売 第 34 条 【原文規定】 国は、食品の製造・販売に対して許可制度を実施する。食品の製造、食品の流通、飲食サ ービスに従事する場合、法に基づき許可を取得しなければならない。 但し、農民個人でその実家産の食用農作物を販売する場合、許可を取得する必要はない。 県レベル以上の地方人民政府食品薬品監督管理部門は「中華人民共和国行政許可法」の 規定に基づき、申請人が提出する本法第 32 条第 1 項から第 4 項規定が要求する資料を審査 し、必要に応じ申請人の生産経営場所の現場検査を実施する。規定条件に符合する場合は 許可を行い、規定条件に符号しない場合は許可せず、書面にて理由を説明する。 【修正意見】 ①許可制度について、例えば見本市等への(国内消費者への影響が少ない段階での)サン プル輸出の場合や個人消費の場合は免除とする、などの例外適用措置をとってほしい。 ②「必要に応じ申請人の生産経営場所の現場検査を実施する」という点について、中国国 外(輸入品)は対象外としてほしい。 【修正理由】 ①見本市や商談等のためのサンプル輸出の場合、中国での販売が決まっておらず、中国の 消費者に与える影響は極めて低いと考える。 ②中国側・海外の受け入れ側ともに負担がかかるため、実行性の低い規定になると想定さ れる。 第 35 条 【原文規定】 食品を製造・加工する小規模業者および食品の露天商が食品の製造・販売に従事する場合、 本法が規定する、その製造・販売規模、条件に相応の食品安全面での要件に合致しなけれ ばならず、製造・販売するすべての食品が衛生的、無毒、無害であることを保証しなけれ ばならない。 食品医薬品監督管理部門はそれに対する監督管理を強化しなければならず、具体的な管理 方法は、省、自治区、直轄市人民代表大会常務委員会が本法に基づき策定する。 【修正意見】 小規模業者の定義を、中国国内での売上高●●元と明示するなどした上で実施までに猶予 期間を設けるなど、例外適用措置をとってほしい。 【修正理由】 小規模業者が本法への適正な対応を実施するためには、ある程度の準備期間が必要である。 3 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) 小規模業者も本法が規定する安全面での要件に確実に対応するため、十分な準備期間を設 けることが、長期的には消費者の安全性確保につながると考える。 第 40 条 【原文規定】 食品及び関連製品の製造は、法律、法規及び関連食品安全標準に適合しなければならない。 直接食品に接触する包装材料等については、比較的高いリスクの食品関連製品であるため、 国は工業製品生産許可証管理規定に照らし、生産許可を実施する。品質監督部門は、食品 関連製品生産活動の監督管理を強化しなければならない。 【修正意見】 「直接食品に接触する包装資材等について~生産許可を実施する」という点について、輸 入食品に利用する包装資材は対象外としてほしい。 また、本条項は原料の包装資材等は対象外とし、最終製品の包装資材等に限定して頂きた い。 【修正理由】 輸入食品が利用する包装資材については、当該生産国で製造されたものである可能性が高 く、同国の法規制の下で適正に製造・管理されている。仮に、輸入食品についても中国当 局による生産許可を受けた包装資材しか利用できない場合、包装資材の調達先が限定され るためにコスト増につながり、そのコストが商品に転嫁されると中国国内の消費者にも影 響を与える。 4 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) ◆第五章 食品の検査 第 77 条~ 【原文規定】 食品検査機関は、国の関連する認証認可の規定に基づいて、資格認定を取得しなければ食 品検査業務に従事することができない。但し、法律に別途規定がある場合は除く。 食品検査機関の資格認定条件および検査規範は、国務院食品薬品監督管理部門の規定によ る。 本法に規定に符合する食品検査機関が発行した検査結果報告は法律と同等の効力を 有する。県レベル以上の人民政府は食品検査資源を整合し、資源の共有を実現しなければ ならない。 【修正意見】 食品検査機関、再検査機関は具体的にどこなのかを明示して頂きたい。 【修正理由】 あらかじめ検査機関を明示しておくことが、食品検査に対する消費者の信頼に繋がると考 える。 第 80 条 【原文規定】 県レベル以上の人民政府食品薬品監督管理部門は、食品に対して定期又は不定期のサンプ ル検査を実施しなければならず、併せて関連規定に基づき検査結果を公表しなければなら ず、検査の免除を実施してはならない。 サンプル検査の実施は、サンプル抽出したサンプルを購入しなければならず、検査費用や その他のいかなる費用も徴収してはならない。 県レベル以上の人民政府食品薬品監督管理部門は、執法業務において、食品に対する検査 を実施する必要がある場合、本法の規定に合致した食品検査機関に実施を委託しなければ ならず、ならびに関連費用を支払わなければならない。 【修正意見】 定期とはどの程度の頻度なのか、明示して頂きたい(毎年?3 年に 1 回?等) また、サンプル検査は、何らかの事故が発生した時に類似商品を対象とすれば十分ではな いかと考える。 【修正理由】 定期の頻度を明示することで、事業者はあらかじめ心構えをすることができ、消費者も適 正な検査が実施されているという安心感を得ることができる。 5 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) ◆第六章 食品の輸出入 全条 【修正意見】 サンプル輸出(中国への輸入) 、少量・小額、個人消費目的は対象外として頂きたい。 【修正理由】 サンプル輸出、少量・小額、個人消費目的の食品については、消費者に与える影響は極め て低いと考えられる。 第 86 条第 1 項 【原文規定】 中国国内にむけて食品、食品添加物及び食品関連製品を輸出する国外の輸出業者、国外の 食品製造・販売企業は、中国に向けて輸出する商品が本法および中国のその他の関連法律 法規の規定および食品安全国家基準の要件に合致していることを保証するとともに食品の ラベル、説明書に記載された内容に責任を負わなければならない。 【修正意見】 「本法および中国のその他の関連法律法規の規定~」について、 「本法第六章(食品の輸出 入)および中国のその他の関連法律法規の規定~」に修正いただきたい。 【修正理由】 輸入食品の製造・管理にあたっては、生産国の法規制に則っている。中国への輸入に際し ては、通関時に中国の規制に準じた適切な輸入検査が実施されており、合格した食品が中 国内で流通している。従って、輸入食品については本法第六条を遵守していることで安全 性が担保されていると考えられる。 第 86 条第 2 項 【原文規定】 輸入業者は、国外の輸出業者、国外の食品生産販売企業審査制度を設立し、特に前項に規 定された内容について審査しなければならない。審査に不合格の場合は、輸入してはなら ない。 【修正意見】 本規定を削除頂きたい。 【修正理由】 6 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved. 2015 年 3 月 10 日 ジェトロ農林水産・食品調査課 中国食品安全法改正案に対する意見(案) 輸入食品が中国の規制をクリアしているか否かについては、輸出業者・輸入業者共に確認 をする必要があることは明白である。輸入業者が審査制度を設立することによって無用な ペーパーワークが発生することは好ましくなく、また既に規制遵守している事業者に対し てあえて審査制度の設立を義務化する必要性は低いと考える。 第 91 条 【原文規定】 輸出食品製造企業は、輸出食品が輸入される国(地域)の基準または契約の要件に合致す ることを保証しなければならない。 【修正意見】 「基準または契約の要件に合致することを保証しなければならない」について、 「基準また は契約の要件を遵守しなければならない」に修正頂きたい。 【修正理由】 保証については、ビジネス慣行上契約に含まれていることが通例であり、あえて保証する 必要性は低いと考える。 以上 7 Copyright (C) 2015 JETRO. All rights reserved.
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