Ⅱ 現状と課題 1 広島市を取り巻く現状 人口増加の鈍化や少子化・高齢化の進展を始め、事業所数・従業者数の減少、製造品出荷額の 減少などの産業構造の変化や、都市構造の問題、交通問題、地球温暖化・エネルギー問題などが あります。 (詳細は、参考資料) 2 都心の現状 定住人口の微増や昼夜間人口差の縮小など都心回帰の兆しが表れている一方で、建物更新の遅 れ、空きオフィスの増加、放置自転車の問題、歩行者・自転車・自動車の輻輳などがあります。 (詳細は、参考資料) 3 人間を中心とした観点(生活者・来訪者等の視点)からの現状 個人の価値観の多様化、依然として多く発生している犯罪や交通事故など安全性の確保の問題 があり、また、歩行者空間の拡充や魅力的な場の整備など都心の魅力向上を求める市民のニーズ があります。 (詳細は、参考資料) -6- 4 取り組むべき課題 広島市の現状を踏まえ、今後、交通渋滞の解消や快適な歩行者空間の形成、既存の社会資本や 歴史・文化的資源の有効活用、持続可能な低炭素型社会・循環型社会の構築、都心居住の推進、 産業競争力の強化、空きオフィスの用途転用などの大小様々な課題の解消に向けた取組を進めて いく必要がありますが、ビジョンでは、特に、魅力ある都心づくりに向けた重要課題を以下のと おり整理しました。 重要課題1 : 広域圏から都心への行きやすさの向上 ・広域圏と都心を結ぶ自動車交通を円滑に処理する幹線道路網の着実な整備に加え、公共交通のアクセ ス強化や、都心に関する様々な情報の広域的提供などにより、都心への行きやすさを向上させる必要 があります。 重要課題2 : 歩行者を優先とした市街地の形成(回遊性の創出) ・安全で快適な歩行空間の確保や歩行者優先の空間整備を推進し、歩行者を優先とした市街地を形成す る必要があります。また、自転車走行空間の確保などにより、自転車利用者の快適性の向上とあわせ て歩行者の安全性を確保する必要があります。 ・拡大都心核及び新都心成長点を中心とした魅力の向上や公共交通機関の機能強化、個性的な専門店が 立地する裏通りの形成促進などにより、にぎわいと回遊性を有する都市空間の創出に取り組む必要が あります。 重要課題3 : 社会資本や地域資源の有効活用などによるにぎわいや交流の場の創出 ・広幅員道路、河川、公園・河岸緑地などの社会資本、歴史的な建造物や個性的な通り、地域に根ざし た祭りなど、有形・無形の地域資源を有効に活用し、新たなにぎわいや交流の場を創出する必要があ ります。 ・新都心成長点において、都市開発事業等の開発ポテンシャル※1を活用した土地利用転換を促進し、拡 大都心核と一体となった活力やにぎわいのある都市空間を形成する必要があります。 重要課題4 : 憩いや潤いがあり、安全・安心に過ごせる都市環境の形成 ・公共交通機関や公共・民間施設のバリアフリー化※2の推進はもとより、ユニバーサルデザイン※3の導 入や犯罪の起こりにくい空間づくりにより、全ての人々が安全に安心して過ごせる都市環境を形成す る必要があります。 ・平和記念公園などの観光地への行きやすさの向上や、駐車場・レストランなどの施設整備、ホスピタ リティ※4の向上、民間と行政の連携強化など、来訪者の視点に立った環境整備が必要です。 ・違反広告物やごみの散乱のないきれいなまちづくりを進めるとともに、公園・河岸緑地、平和大通り などの貴重な資源を生かしながら、それらがネットワークされた緑豊かなやすらぎと潤いのある都市 空間を形成する必要があります。 ・河川や河岸緑地などの潤いのある緑豊かな自然環境を生かすとともに、エネルギー使用の合理化や再 生可能エネルギーの利用を進め、地球温暖化など地球環境や地域の環境に対する負荷が少ない持続可 能な都心を形成する必要があります。 重要課題5 : 都心居住の推進と快適な住環境の形成 ・多様なニーズに対応した都市型住宅の供給により職住バランスのとれた都心を実現するとともに、緑 化や防犯性の向上、教育・福祉・医療施設の活用・充実などにより、都心居住者にとって、ゆとりの ある快適な都市環境を形成する必要があります。 ※1 ポテンシャル 潜在する能力。可能な能力 ※2 バリアフリー化 高齢者や障害者などの活動の障害となるものを取り除くこと。 ※3 ユニバーサルデザイン 全ての人にとって使いやすいように製品、建物、環境をデザインすること。 ※4 ホスピタリティ 訪問者を丁重にもてなすこと。歓待。厚遇 -7-
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