2.敷地分析

2.敷地分析
(1)地形・水系分析
検討対象範囲の北側・南側の境界部は尾根筋で、中央部が谷地形で平坦地となっており、
平坦地では、田畑が分布している。
区域内の標高は、最高が南西付近の 117.77m、最低が東側の 60.37mとなっており、高低
差は、約 57mとなっている。
区域北側の現都市計画決定区域と追加検討区域の境界部分が尾根筋となっており、検討対
象範囲の分断要素となっている。
区域は平野川の上流部にあたっており、区域内の中央部を西から東へと流れている。
区域内には辰池、中池の2つのため池があり、下流の平野地区の水田への貯留機能を有し
ている。公園整備にあたっては、これらの池の代替機能を検討する必要がある。
中池
辰池
図 地形・水系図
31
(2)植生分析
検討対象範囲を含む一帯が落葉広葉樹の二次林であるアベマキ-コナラ群集が分布してお
り、区域内においてもそのほとんどがアベマキ-コナラ群集が分布している。北側の一部に
果樹園が分布するなど、全体的には二次林で占められており、自然的に特筆するものは見ら
れない。
図 植生図
(3)景観分析
検討対象範囲の境界は尾根筋となっており。これらの尾根筋は国定公園の特別地域に指定
されていることから、整備にあたっては、検討対象範囲周辺部からの自然景観を損なわない
ように配慮する必要がある。
32
(4)法規制
検討対象範囲においては、金剛生駒紀泉国定公園区域に属しており、その大半が特別地域
に指定されていることから、公園整備にあたっては、自然公園法の遵守が必要となる。
そのほかに、奈良県自然環境保全区域、地域森林計画対象民有林、砂防指定地などに指定
されていることから、これらについても法の遵守が必要となる。
検討対象範囲
図 法規制図
①自然公園法
自然公園法においては、奈良県と協議を行った結果、工作物の新築については、法 20 条第
3項、規則第 11 条第6項のその他の工作物、第 13 項の一般工作物に該当する。
また、本計画において、これまでの計画と施設内容を変更する場合には、再度県との協議
が必要となる。
法令
本計画に関わる規制
法
国定公園の特別地域内においては、下記に掲げる行為は都道府県知事の許
第 20 条3項
可を受けなければならない。
一
工作物の新築、改築、増築
二
木竹の伐採
五
河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
九
水面を埋め立て、又は干拓すること
十
土地の開墾、土地の形状の変更
→知事の許可が必要
33
規則
特別地域内で新築、改築、増築をする場合、
第 11 条 6 項
・第2種特別地域のうち、植生の復元が困難な地域で行われるものでない
こと(第1項2号)
・当該建築物が主要な展望地から展望する場合の著しい妨げにならないも
の
(第1項3号)。
・当該建築物が主要な山稜線を分断する等眺望の対象に著しい支障を及ぼ
さないこと(第1項4号)
・屋根及び壁面の色彩、形態がその周辺の風致又は景観と著しく不調和で
ないこと(第1項5号)
・当該建築物の水平投影外周線で囲まれる土地の勾配が 30%を超えないこ
と。
(第4項7号)
・当該建築物の地上部分の水平投影外周線が公園事業道路の路肩から 20m
以上、それ以外の道路から5m以上離れていること(第4項9号)
・当該建築物の水平投影外周線が敷地境界線から5m以上離れていること
(第4項 10 号)
・当該建築物の水平投影面積が 2000 ㎡以下であること(第4項 11 号)
・当該建築物の高さが 13mを超えないこと(第1号)
・建ぺい率・容積率は以下の表の通り
地種区分と敷地面積
の区分
第2種特別地域内
における敷地面積
が 1000 ㎡以上
総建築面積/敷地面積
総延床面積/敷地面積
20%以下
40%以下
規則
第 11 条 13 項
・上記の第1項2~4号
・産業廃棄物の最終処分場を設置するものでないこと
・次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること
イ.当該工作物の地上部分の水平投影外周線が公園事業道路等の路肩か
ら 20m以上離れていること
ロ.学術研究そのた公益上必要と認められること
ハ.地域住民の日常生活の維持のために必要と認められること
ニ.農林漁業に付随して行われるものであること
ホ.既に建築物の設けられている敷地内において行われるものであるこ
と
へ.地下に設けられる工作物の新築・改築・改築、または、既存の工作
物の改築・建て替え・若しくは災害により滅失した工作物の復旧の
ための新築のいずれかに該当するものであること
34
②都市公園法
法令
法
第4条1項
本計画に関わる規制
・都市公園に公園施設として設けられる建築物の建築面積の総計の敷地面
積に対する割合は、2/100を参酌して設置する地方公共団体の条例
で定める割合を超えてはならない。ただし、政令で定める特別の場合に
おいては、政令で定める範囲を参酌して設置する地方公共団体の条例で
定める範囲内でこれを超えることができる。
令
(公園施設の建築面積の基準の特例が認められる特別の場合等)
第6条1項
・令第5条4項に規定する運動施設を設ける場合
(運動施設の定義)※抜粋
・野球場(専らプロ野球チームの用に供されるものを除く。
)
・陸上競技場
・サッカー場(専らプロサッカーチームの用に供されるものを除く。
)
、ラグビ
ー場
・テニスコート
・バスケットボール場、バレーボール場、ゲートボール場
・水泳プール、温水利用型健康運動施設
・これらに附属する観覧席
・更衣所、控室、運動用具倉庫、シャワーその他これらに類する工作物
・上記のほか、当該地方公共団体が条例で定める運動施設
令
(建ぺい率を超えることができる範囲)
第6条2項
・運動施設を設ける場合、敷地面積の10/100を限度として建築面積
を超えることができる。
→つまり、2/100+10/100=12/100 まで建築可能とな
る。
令
(公園施設に関する制限等)
第8条
都市公園に設ける運動施設の敷地面積の総計は、当該都市公園の敷地面積
の50/100を超えてはならない。
→自然公園法では、全施設の敷地面積の総計の上限が40/100なので、
これの方が厳しくなる。
35
③環境影響調査
本公園の整備計画策定にあたり、平成 13 年度に環境影響評価調査を行っている。
奈良県環境影響評価条例において環境影響調査の対象事業の面積要件は、スポーツ又はレ
クリエーション施設の場合で実施区域が 50ha 以上とされていることから、本公園は該当しな
い。
以下に、平成 13 年度時点からの環境基準等の変更点を示す。
参考:本市スポーツ公園整備に係る環境影響評価項目及び基準の変更点
項目
報告書
ページ
内容
当時の基準等
現行法等
追加項目
・ジクロロメタン
・微小粒子状物質
予測モデルの変更
騒音
P166、P170 予測モデル ・ASJ Model 1998
・ASJ RTN-Model 2008
追加項目
水質
P42、P199 環境基準
-
・1,4-ジオキサン
基準の変更
P45~P49
-
-
・土壌汚染対策法
土壌及び地盤
追加項目
の状況
P48
環境基準
-
・ふっ素
・ほう素
・環境庁 RDB
基準の変更
P56~P59、 重 要 種 の 選
動植物
・奈良県環境資源デ ・環境省 RL
P243、P293 定
ータブック
・奈良県版 RDB
その他法令、条
P86~P98、
例、規制等の指
P317
定状況
大気質
P22
環境基準
-
36
(5)既存計画の整備内容の比較検証
表
分
類
既存計画の整備内容比較
施設名称
項目
野球場規格
スタンド
基本構想(H12.3)
施設内容
規模
両 翼 : 100m 、 中 堅 :
122m
敷地面積
2.0ha程度
10,000人程度
基本計画(H13.3)
施設内容
規模
基本計画再検討(H15.3)
施設内容
規模
基本構想と同等
14,500㎡ 両翼:95m、中堅:122m
芝生(一部階段)
9,000㎡
8,000~ 規模の縮小
10,000人
本
格
的
運
動
施
設
-
-
付帯施設
-
-
ナイター施設
-
400mトラック 1面
-
サ ッ カー ・ラ グビ ー球
技場 1面
競技場規格
軟式野球 1面
スタンド
-
2,500㎡
ダ グ ア ウ ト 、 ス コ ア ボー
ド、バックネット等
レクリエーション対応
400mトラック 1面
-
-
-
-
同左
-
-
同左
400mトラック 1面
-
5,000人
野球場(軟式)としても
対応可能(両翼80m、中
堅90mで2面)
芝生席5,000人程度
19,700㎡ 野球・ソフトボールはその
中で配置
-
-
付帯施設
ナイター設備
-
-
-
-
-
-
レクリエーション対応
16,600㎡
建築面積
691㎡
-
-
5,000㎡
規模の縮小
18,500㎡
野球場(少年野球程度)としても対応可能
(両翼70m、中堅85mで2面)
2,000㎡
多目的競技
場
スタンド建築
計画
内野(階段スタンド)2,160人
内野(芝生スタンド) 780人
外野(芝生スタンド)1,070人
計4,010人
床面積 1階 ホール 46㎡
本部・会議室 54㎡
本部室 58㎡
選手控え室 42㎡
審判控え室 11㎡
更衣室 56㎡
トイレ 18㎡
シャワー室 10㎡
ダグアウト 80㎡
その他(通路) 129㎡
2階 男子トイレ 26㎡
女子トイレ 26㎡
多目的トイレ 9㎡
サービスコーナー 6㎡
ダグアウト、スコアボード、バックネット、
バックスクリーン
同左
400mトラック 1面
サッカー・ラグビー球技場 1面
(子供用なら2面)
サ ッ カー ・ラ グビ ー球 技場
1面(子供用なら2面)
敷地面積
2.5ha程度
規模
14,000㎡ 両翼:92m、中堅:116m
野球場
スタンド建築
計画
基本設計(H16.3)
施設内容
-
-
-
-
-
-
同左
-
-
ソフトボール 2面
階段スタンド 2,710人
芝生スタンド 1,290人 計 4,000人
床面積 1階 ホール 46㎡
本部・会議室 44㎡
男子更衣室 22㎡
女子更衣室 22㎡
男子トイレ 12㎡
女子トイレ 18㎡
器具庫 84㎡
その他 75㎡
2階 男子トイレ 18㎡
女子トイレ 26㎡
多目的トイレ 6㎡
その他 12㎡
ダグアウト、スコアボード、バックネット
同左
20,500㎡
建築面積
284㎡
-
-
37
38
表
分
類
既存計画の整備内容比較
施設名称
項目
コート規模
テニスコー
ト
スタンド
基本構想(H12.3)
施設内容
規模
8面程度(硬式・ソフ
敷地面積
ト両用)
1.0ha程度
-
付帯施設
ナイター設備
-
-
-
-
基本計画(H13.3)
施設内容
規模
9面
セ ン タ ー コ ー ト の み 芝生
席
-
-
事務室
㎡)
-
管理部門
テニスコー
トクラブハ
ウス
-
5,600㎡
6面
1,000㎡
一部階段スタンド
-
-
4,800㎡
-
-
500㎡
-
-
-
-
柔道・合気道
剣道
会議室 30㎡
倉庫 20㎡
機器室他 20㎡
ロッカー・シャワー室
60㎡
(8人×8コート=64人 1㎡/
人)
武道場
供用部門
-
床面積
1,000㎡
(周辺含
む)
同左
軽スポーツ
施設
健康づくり
施設
-
-
-
-
-
-
ネットフェンス、シェルター、ベンチ
レクリエーション対応
男子更衣室 33㎡
女子更衣室 33㎡
500㎡
-
-
ロビー 100㎡
廊下 他 50㎡
倉庫 80㎡
事務室 50㎡
会議室 50㎡
板敷武道場 360㎡
(剣道・空手道・拳法)
畳敷武道場 360㎡
(柔道・合気道)
建築面積
364㎡(テラ
ス含む)
武道場 720㎡
延床面積
1,750㎡
同左
同左
ストリートバスケ
壁打ちテニス
-
-
同左
同左
-
-
射場 104㎡
巻わら室 70㎡
管理棟へ移動
医務室 130㎡
男子トイレ 24㎡・20㎡
女子トイレ 24㎡・20㎡
多目的トイレ 6㎡
男子更衣室 42㎡
女子更衣室 41㎡
ホール 200㎡
その他(通路) 42㎡
ストリートバスケ
壁打ちテニス 2基×2箇所
ト リ ム ・ フ ィ ッ ト ネ ス施
設(屋外)
-
同左
-
ア スレ チッ ク施設(屋
外)
-
同左
-
トレーニング室 250㎡
-
6,600㎡
男子トイレ 18㎡
女子トイレ 18㎡
多目的トイレ 6㎡
ホール 41㎡
その他(通路) 21㎡
器具庫 42㎡
本部室 50㎡
会議室 50㎡
エントランス 250㎡
遊
・
憩
い
施
設
一部階段スタンド 500㎡
-
-
更衣・便所 150㎡
-
4,800㎡
本部・会議室 64㎡
同左
弓道場 200㎡
弓道
6面
規模
同左
便所 50㎡
管理部門
基本設計(H16.3)
施設内容
20㎡(2人 ×10
-
共用部門
本
格
的
運
動
施
設
基本計画再検討(H15.3)
施設内容
規模
建築面積
1,325㎡
2階建て
1,400㎡
-
-
-
-
トリム・フィットネス施設(屋外)
-
-
アスレチックコース 約450m
-
-
39
40
表
分
類
既存計画の整備内容比較
施設名称
項目
自然探索・
鑑賞施設(区
域南側)
-
花と緑の施
設
-
遊
・
憩
い
水の修景施
施
設
設
基本構想(H12.3)
施設内容
規模
基本計画(H13.3)
施設内容
規模
自然の森
-
自然の森
13,000㎡ 自然の森
自然の道
-
-
花木園・果樹園
せせらぎの林
-
-
基本計画再検討(H15.3)
施設内容
規模
花木園
花の園
落葉の林
せせらぎ
(平均W=1.0~1.5m)
5,000㎡
-
4,000㎡
4,000㎡
8,000㎡
1,000㎡
自然の道
-
花木園
花の園
落葉の林
せせらぎ
(平均W=1.25m)
5,600㎡
8,000㎡
-
同左
同左
6,000㎡
5,300㎡
2,300㎡
7,200㎡
1,800㎡
6,000㎡
500㎡
1,000㎡
同左
同左
植物の池
1,200㎡
同左
1,500㎡
2,300㎡
3,000㎡
-
芝生と疎林による緑の
広場
-
ピクニック広場
展望施設(周辺含む)
魅力施設
-
シンボル遊具
-
シンボル遊具
ピクニック広場
展望施設(周辺含む)
-
同左
同左
同左
-
事務室
200㎡ ( 約 20名
×10㎡)
-
管理部門
管理中枢
管理棟
-
供用部門
延床面積
800㎡
同左
同左
武道場内
トイレ
駐車場
-
台数
箇所数
600台
-
-
80m
900㎡(水面
700㎡・舗装
200㎡)
ピクニック広場
展望施設
5,900㎡(水
面1,000㎡)
7,600㎡
-
シンボル遊具
自然との調和をテーマとした遊具
約40m×40
m
植物の池(雨水調節機能あり)
男子更衣室 47㎡
女子更衣室 45㎡
男子トイレ 22㎡
女子トイレ 16㎡
多目的トイレ 6㎡
便所 50㎡
14箇所
( 男 子 ( 大 )1 、 男 子
( 小 )3 、 女 子 3、 身障 者用
1)
アートの池(雨水調節機能あり)
会議室 54㎡
-
公園用管理倉庫 85㎡
備蓄倉庫 85㎡
機械室 90㎡
ロビー(軽食コーナー) 120㎡
80人×1.5㎡=120㎡
廊下・その他 100㎡
そ
の
他
施
設
自然の道
古墳の森
花木園
花の園
落葉の林
せせらぎ
(平均W=1.5~2.0m)
事務室 52㎡
会議室 100㎡
医務室 30㎡
倉庫 50㎡
機械室他 50㎡
ロッカー・シャワー室
100㎡(野球20人×4チーム
=80人 1㎡/人)
規模
20,000㎡ 自然の森
アートの池
(雨水調節機能あり)
緑の広場(区
域南側)
基本設計(H16.3)
施設内容
建築面積
691㎡
2階建て
700㎡
ホール 90㎡
その他(階段・通路) 82㎡
トレーニング室
200㎡
-
11箇所
-
-
建築内トイレ
野球場、多目的競技場、武道場、管理等、テニ
スクラブハウス
-
-
野球場周辺 2箇所
-
多目的競技場周辺 2箇所
-
-
480台 + 大 型 バ ス 分 = 530
台
-
-
5箇所
14,500㎡ 4箇所
同左
同左
屋外トイレ(男子(大)1、男子(小)3、女子3、
他多目的1)
中央第1駐車場、中央第2駐車場、西第1駐車
場、野球場・多目的競技場間、落葉の林周辺、
植物の池周辺
同左
同
518台(うち、身障者用25台)
大型バス専用駐車ますは設けない
-
-
-
-
15,400㎡
15,000㎡ 7箇所+園路臨時駐車場
41
42