東北地域の産業復興の 現状と今後の取組 平成27年3月4日(水) 東北経済産業局 目次 ・産業復興の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2頁 ・東北産業の本格復興へ向けた取組 1.沿岸部・福島県避難指示区域などの商業・まちづくり支援・・・・3頁 2.沿岸部の水産加工業等の海外展開に対する支援・・・・・・・・・4頁 3.新事業・創業支援と支援機能の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6頁 ・参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7頁 1 産業復興の現状と課題(参考1~3) 1. 東北地域全体の鉱工業生産は、震災前と同じ程度まで回復している。 一方、津波被災・原子力被災市町村の製造品出荷額等を見ると未だ回 復が遅れている 2. 復興事業の進展等によりインフラ整備が進捗した津波被災市町村や避 難指示が解除された原子力被災市町村・地域では、順次、具体的な商 業・まちづくり再生に向けた取組が開始されている 3. 多くの津波被災市町村の基幹産業である水産加工業では、国内での販 路の縮小、人材不足などに課題を抱える企業が多く、販路開拓や付加価 値を高める取組が重要となっている 4. 震災からの復興の過程で、被災地では創業をはじめ様々な事業が生ま れてきている。この勢いを継続するだけではなく、新事業の展開や創業機運 の高まりを加速するための取組が重要となっている 2 東北産業の本格復興へ向けた取組 1.沿岸部・福島県避難指示区域などの商業・まちづくり支援(参考4) 沿岸地域の津波被災市町村や原子力被災市町村での商業・まちづくり支援については、 グループ補助金や中小機構による仮設店舗等により対応してきているが、土地区画整理事業 等の進展に伴い、商業・まちづくりの本格復興が期待される。 □沿岸部の津波被災市町村の商業・まちづくり 土地造成等が進められるなか、復旧整備を終えた地域から順次本格復興に向けた取組が 進行。岩手県釜石市や宮城県女川町では、グループ補助金の共同店舗やまちなか再生計 画により商業・まちづくりが進められており、今後も、これらの地域において商業・まちづくり復 興への取組が進むことが期待される。 □福島における住民帰還を促進する商業インフラの整備 福島県被災12市町村では、平成26年度に田村市全域で避難指示解除準備区 域が解除されるなど徐々に住民帰還に向けた取組が始まっており、今後他の市町村でも避 難指示の解除や帰還に向けた取組が開始されることにより本格復興の加速化が期待される。 ○今後の取組 商業・まちづくり支援については、これまでも関係市町村や復興庁等との協議を積極的に 行っており、引き続き関係機関との連携を図りつつ地域の実情に沿った施策運用の最適化 を図り、これら地域での本格復興への動きを加速化させる。 3 東北産業の本格復興へ向けた取組 2. 沿岸部の水産加工業等の海外展開に対する支援(参考5) ○東北地域水産加工業等の海外販路開拓等を集中的に支援するため、「水産加工業等海 外展開支援プロジェクトチーム」発足(H26.3.3) □これまでの活動概要 ・H26・4・23全体会合開催 ・水産加工業等海外展開取組事例集作成(H27.3末完成予定) ・おいしい東北パッケージデザイン展 水産加工業4社採択 ・石巻市の水産加工業等グループがJAPANブランド育成支援 事業を活用し、海外販路開拓中 ・海外展開戦略策定支援事業(F/S支援事業)水産加工業 実用化・商品化されたパッケージ 2社採択(中小企業基盤整備機構) □被災した水産加工業者等59者を訪問し、課題、要望等のヒアリングを実施 ・課題:①人材の確保・育成 ②(国内)販路の確保・開拓 ③原料魚の確保 ④新商品開発 等 ・支援ニーズ:①国内市場の販路開拓や商品開発 ②海外展開対応人材育成 ③支援施策の入手 等 □震災を契機とした新たな取組 ・グループ化による新たな協働事業の展開 ・自社ブランド商品の開発 ・大手量販店向け販売(下請)から通信販売への進出等業態の変更 等 4 東北産業の本格復興へ向けた取組 〇今後の取組 □三陸のポテンシャルを活かした広域連携への支援 ・三陸沿岸地域には、多くの魚種と多種多様な加工方法及び商品が存在。 ・この三陸の優位性を活かし、国内他地域の商品との差別化を支援。 ・アジアを足がかりにアメリカ、ヨーロッパと衛生管理の要求基準の厳しい国々への段階的な 挑戦を支援することで、海外にも積極的にアプローチ。 ・三陸沿岸地域の広域的な連携の取組を支援。 ・これらの取組を通じ将来的には、三陸のポテンシャルを活かした「三陸クオリティ」ともいう べき広域ブランド化を推進。 〇平成27年度の重点的な取組 □競争力を有するグループ事業への支援 ・震災を契機に販路の共有、生産の協業化等グループ化に よる成果事例が出てきている。 ・グループのメンバーがお互いの強みを持ちより連携する事業 展開は、強い競争力を生み出す可能性が高い。 ・グループの取組を支援(5グループ程度)するとともに、新た なグループ化の動きを推進。 JAPANブランド育成支援事業による 海外展示会に出展した石巻復興「日高 見の国ブランド」輸出プロジェクトの ブースの様子 □三陸沿岸自治体と水産加工業との連携による地域活性化の促進 ・自治体や水産加工業者、流通関係者、観光等関連業者、大学教授等有識者を交 えた研究会を三陸沿岸数カ所で開催し、以下の視点で検討を進める。 ①公共インフラ(高度衛生管理基準市場等)の活用による海外展開の環境整備。 ②観光産業等との連携による地域資源を活かした地域活性化策。 5 東北産業の本格復興へ向けた取組 3.新事業・創業支援と支援機能の強化(参考6) ○震災からの復興の過程で、自ら未来を切り拓く創業をはじめ、東北の産業の可能性を印象づける様々な事業が生まれている。 □被災地企業による新分野進出、バリューチェーンの再構築 ・水産加工業等の商品開発・販路開拓・カイゼンの取組 ・製造業と農業生産法人による流通イノベーション □地域資源の活用・社会課題解決を目指した起業・創業、新事業の取組 ・被災農地の再生・植物工場による事業効率化・省エネルギー化、機能性食材の生産 ・社会課題解決事業(ソーシャルビジネス)による復興 ・被災地へのUIJターンによる起業、女性起業家と新たな女性就労モデル ・「スマートコミュニティ」構築に向けた取組 等 □新事業・創業を支える支援機関や支援人材が増加 ・公益法人、NPO法人等の立ち上げやクラウドファンディング、経営塾等の機能強化 ○新事業の展開や創業機運の高まりを加速するため、東北全域で支援の取組を拡大するとともに、支援機関等の機能を最大 限発揮するための産業支援の広域的なネットワークの構築を図る。 □「東北支援人材サミット」の取組強化 ・今年度は創業などの3分科会とまとめのサミットを開催し、延べ200人を超える関係者が参加。 ・今後は、支援人材の緩やかな連携(プラットフォーム)を構築し、人材育成・機能向上を図る。 □市町村創業支援事業計画による創業支援 ・これまで26市町の計画を認定。創業支援に取り組む市町村をさらに増やし、地域的な広がりを創出。 □「デザイン」領域からの事業支援のアプローチ ・「パッケージデザイン展」の展開としてモデルとなる商品企画プロジェクト実施しデザイナー・クリエイターのネットワーク化を進める。 6 参考資料 ・参考1 東日本大震災後の生産動向(鉱工業生産指数) ・参考2 被災三県の製造品出荷額等の推移(工業統計) ・参考3-① グループ補助金事業者の売上の回復状況 ・参考3-② グループ補助金事業者の経営課題 ・参考4-① グループ補助金事業者の執行状況 ・参考4-② 仮設施設の整備状況および区画整理事業の造成完了予定時期 ・参考4-③ まちなか再生計画の概要(宮城県女川町) ・参考4-④ 国直轄除染の進捗状況(平成27年2月現在) ・参考4-⑤ 避難指示解除にあたって実施した取組例(田村市、川内村) ・参考5-① 水産加工業等の海外展開支援体制の整備について ・参考5-② 水産加工業ヒアリングでのコメント ・参考5-③ おいしい東北デザインパッケージ展2014優秀賞受賞作品:水産加工品 ・参考5-④ 石巻復興「日高見の国ブランド」輸出プロジェクト ・参考5-⑤ 水産加工業等海外展開取組事例集 ・参考6-① 開業率と事業・創業の支援 ・参考6-② 新しい事業・創業<事例> ・参考7 産業復興支援に活用可能な施策一覧 7 参考1 東日本大震災後の生産動向 鉱工業生産指数の推移 (季節調整済、平成22年=100) 120.0 110.0 全国 98.7 100.0 90.0 東北 96.7 80.0 全国 東北 70.0 22 年 23年 24年 25年 26年 資料「経済産業省、東北経済産業局」 8 12月 11月 9月 10月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 12月 26年12月 全 国 98.7 東 北 96.7 11月 9月 10月 8月 7月 6月 5月 4月 26年1月 全 国 103.9 東 北 99.9 3月 2月 1月 12月 11月 9月 10月 8月 7月 6月 25年1月 全 国 94.0 東 北 90.1 5月 4月 3月 2月 1月 12月 11月 23年8月 全 国 100.4 東 北 93.7 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 1月 12月 50.0 2月 23年3月(震災時) 全 国 85.8 東 北 65.2 60.0 参考2 被災三県の製造品出荷額等の推移 工業統計より東北経済局作成 【左図】 被災三県と東北の製造品出荷額等の推移 県全体でみた場合には、福島県は、震災前 (平成22年)の水準まで回復していない ものの、岩手県、宮城県では震災前を上回 る水準まで回復している 【右図】 沿岸等被災市町村の製造品出荷額等の推移 県全体・東北全体の調査結果とは異なり、津 波被災市町村及び原子力被災市町村の回復 は、震災前(平成22年)の状態まで回復し ていない。 ※岩手県津波被災4市(宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市) ※宮城県津波被災3市(気仙沼市、石巻市、塩釜市) ※福島県原子力被災2市(田村市、南相馬市) 9 参考3-① グループ補助金事業者の売上の回復状況 製造業 水産・ 食品加工業 卸小売・ サービス業 その他 ・一方、建設業は約6割の事業 者が震災前よりも売上が増加 している。 旅館・ ホテル業 ・また、卸小売・サービス業は、売 上が増加している事業者と、売 上が低下している事業者が2 極分化している。 建設業 ・業種別に見ると、緩やかな改善 が見られるものの、水産・食品 加工業の回復は他業種と比べ て最も遅れている。 運送業 ・全体では、震災前と比べて売 上が増加している割合が少し ずつ伸びている傾向。震災前 の売上の5割以下の事業者 が全体の1/4弱となってい る(平成26年6月時点) 合計 0% 資料:「東北経済産業局」 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% H24.2 11.6 13.1 11.5 12.6 21.3 13.3 16.6 H24.9 6.1 10.9 11.5 15.8 23.2 10.2 22.3 H25.6 5.2 10.8 11.4 14.7 21.3 9.9 26.7 H26.6 3.9 9.6 10.8 13.6 21.8 10.4 29.8 H24.2 8.4 10.5 8.8 12.7 22.7 18.0 18.9 H24.9 3.6 11.6 14.6 28.7 11.7 20.0 9.7 H25.6 4.0 10.1 10.6 14.5 27.7 11.3 21.9 2.8 9.7 H26.6 8.7 12.9 25.9 12.7 27.4 H24.2 26.0 19.1 17.3 13.0 13.2 7.9 3.6 H24.9 13.8 17.0 21.4 18.2 19.1 4.0 6.5 H25.6 8.1 15.1 22.1 21.9 18.7 5.2 8.8 H26.6 5.2 8.8 18.8 25.6 5.0 14.4 22.2 H24.2 7.1 15.0 10.3 13.3 24.8 14.7 14.7 H24.9 5.6 10.2 12.3 17.3 22.9 10.2 21.5 H25.6 5.5 11.7 12.2 16.9 23.1 8.8 21.8 H26.6 4.2 11.7 12.9 16.3 23.2 9.5 22.3 H24.2 10.2 10.2 17.3 15.0 18.1 7.1 22.0 H24.9 16.0 8.2 11.9 18.9 18.9 2.5 23.8 H25.6 14.5 8.7 12.8 16.1 14.9 5.4 27.7 H26.6 4.5 9.3 11.9 16.7 20.8 4.5 32.3 H24.2 0.0 3.5 4.7 2.4 12.9 14.1 62.4 H24.9 1.9 8.4 10.0 7.4 9.7 8.4 54.2 H25.6 1.6 8.8 6.7 7.8 9.2 9.5 56.5 H26.6 2.0 6.9 6.8 4.8 8.1 11.7 59.9 H24.2 6.8 13.6 9.1 14.4 29.5 11.4 15.2 H24.9 0.9 8.7 7.3 14.6 35.2 13.7 19.6 H25.6 1.9 9.3 6.5 10.6 29.4 10.1 32.2 H26.6 3.2 5.7 5.9 10.0 27.0 11.3 36.9 H24.2 8.8 8.8 10.0 11.8 27.1 14.1 19.4 H24.9 5.9 9.6 5.3 17.1 21.9 17.4 22.7 H25.6 7.2 9.4 9.5 12.1 17.8 17.6 26.4 H26.6 6.5 8.4 9.0 11.1 21.1 14.4 29.4 1割以下 1~3割 3~5割 5~7割 7~9割 変化なし 増加 10 参考3-② グループ補助金事業者の経営課題 ・業種全体と水産・食品加工業とを比較すると、何れの経営課題でも水産・食品加工業で経営課題がある と回答している割合が多くなっている。 ・特に、新製品・技術の開発、販路の確保・開拓については、業種全体よりも特に高い割合となっている。 70.0% 業種全体(n=5,302) 61.6% 59.9% 60.0% 水産・食品加工業(n=448) 54.9% 50.0% 43.6% 40.6% 37.9% 40.0% 32.2% 30.0% 28.8% 23.5% 18.1% 20.0% 8.1% 7.6% 10.0% 8.4% 7.8% 6.0% 2.4% 0.0% 資 金 繰 り 販 路 の 確 保 ・ 開 拓 資料:「東北経済産業局」 人 材 の 確 保 ・ 育 成 新 製 品 ・ 技 術 の 開 発 環 境 対 策 海 外 展 開 原 材 料 価 格 の 高 騰 そ の 他 11 参考4-① グループ補助金事業者の執行状況 グループ補助金実施状況(平成27年2月末現在) ※国13次公募まで グループ数 青森県 岩手県 宮城県 福島県 東北局計 10 110 184 227 531 補助金 交付者数 208 1,269 3,795 3,508 8,780 補助金総額 (国県,億円) 86 789 2,361 1,067 4,304 うち国費 (億円) 57 527 1,574 712 2,869 ※金額の端数は四捨五入のため不突合 ・国12次分(平成26年10月公表)から資材等価格高騰に対応した増額 変更承認も実施 ・平成27年度からは、従来の施設等への復旧では売上回復などが困難な場合 には、これに代えて新分野需要開拓等を見据えた新たな取組を支援する新運用 を実施予定 12 参考4-② 仮設施設の整備状況および区画整理事業の造成完了予定時期 ○仮設店舗等整備事業の実施状況について (平成27年2月末時点) 県 要望提出 事業実施 岩手・宮城における主な土地区画整理事業の 終了予定時期 ※ 市町村名 地区数 終了予定時期 着工 竣工 譲渡 宮古市 2地区 ~27年度 青森県 18 18 18 18 18 山田町 4地区 ~29年度 岩手県 351 351 351 351 351 大槌町 4地区 ~28年度 宮城県 141 141 139 139 139 釜石市 4地区 ~30年度 福島県 70 67 67 67 67 大船渡市 1地区 ~30年度 茨城県 1 1 1 1 1 陸前高田市 2地区 ~30年度 長野県 1 1 1 1 1 市町村名 地区数 終了予定時期 合計 582 579 577 577 577 気仙沼市 3地区 ~29年度 女川町 4地区 ~29年度 南三陸町 1地区 ~30年度 石巻市 12地区 ~30年度 東松島市 2地区 ~29年度 名取市 1地区 ~28年度 ※中企庁作成資料を元に東北経済局作成 ※岩手県・宮城県公表資料より東北経済局作成 13 参考4-③ まちなか再生計画の概要(宮城県女川町) ●まちなか再生計画の認定は、国として、被災地の商店まちの再生を支援する制度を創設したもの。計画を認定すること により、商業施設等復興整備補助金の対象となる。 ●女川町では、認定後、同補助金の活用により、駅前の商業施設を整備する(平成27年秋~年末開業予定) ●まちなか再生計画のスキーム ①まちなか再生計画の認定 (復興庁・外部評価委員会) ②商業施設等復興整備補助 金の交付(中小企業庁) 区域周辺の公共施設等配置図 ③商業施設の建築・ テナントの入居 ④商業施設の運営 テナント型商業施設内配置図 ●デイリーエリア 日常生活に必要な生鮮三品を扱う コンビニエンスストアや薬局(ドラッグ ストア)、その他町民が日常利用す る店舗等を配置 ●フードエリア 海鮮焼屋、焼肉屋等の飲食店、居 酒屋、スナック等を配置 ●ファクトリーリテールエリア 商品制作過程の見学・体験もでき る工房併設型店舗や町民・観光客 がくつろげるコーヒーショップ、ダイビン グショップ、レンタカーなどの観光客向 け店舗等を配置 復興庁公表資料より東北経済産業局作成 14 参考4-④ 国直轄除染の進捗状況 出典:環境省除染情報サイト 15 参考4-⑤ 避難指示解除にあたって実施した取組例(田村市、川内村) 田村市都路地区は、平成26年4月1日に避難指示が解除。これに合わせて ・仮設商業店舗(Domo)が平成26年4月に開業(写真はDomo古道店) ・平成27年1月にはコンビニエンスストアもオープンしている Domo古道店 Domo古道店 川内村では、津波・原子力災害被災地域雇用創出立地補助金(公設商業施 設整備型)の第一号採択として共同店舗を建設中。 ※このほか、南相馬市、広野町でも平成27年2月4日付けで採択 16 参考5-① 水産加工業等の海外展開支援体制の整備について 1.目的 東日本大震災により、甚大な被害を受けた東北地域水産加工業等の復興を推進するため、当局、(独)日本貿易 振興機構東北地域統括センター、(独)中小企業基盤整備機構東北本部、自治体等が連携して、水産加工品の海 外販路開拓等を集中的に支援する。 2.名称 水産加工業等海外展開支援プロジェクトチーム 3.体制 ①局内 ヘッド:産業部長 主 査:国際課長 関係課室長:新事業促進室長、産業支援課長、特許室長、東日本大震災復興推進室長 等 事務局:国際課 ②外部関係機関 青森県、岩手県、宮城県、福島県 (独)日本貿易振興機構 東北地域統括センター、(独)中小企業基盤整備機構東北本部、(一社)東北経済 連合会 4.活動内容 関係者が連携して企業訪問活動を行い、現場の課題を抽出し、それぞれの機関が有する支援事業(補助事業、ア ドバイザー制度、海外センターによるネットワーク支援等)を投入して、課題の解決を支援する。 5.活動期間 概ね3年間 (平成26年3月3日発足) 6.全体会合の開催 平成26年4月23日に関係機関で今後の活動計画等について協議・確認する全体会合を開催。 17 参考5-② 水産加工業ヒアリングでのコメント 人材 【 の確保・育成】 ○従業員の高齢化に加え、求人しても集まらない(青森県) ○海外の受注に応えられる従業員がいないので、海外進出に躊躇している(岩手県) ○海外展開を担当する人材がいないので、取組が進まない(宮城県) ○ロボットメーカーとタイアップして省力化設備の導入を検討(福島県) 国内販路 【 の開拓・確保】 ○水産加工品のみではなく、日配品(すし、焼きそば)等取り扱い商品を増やしている(岩手県) ○冷凍品のみ扱っていたが、海藻を扱うことで新たな販路の開拓と作業の平準化を図っている(岩手県) ○震災を契機に利益率の高い商品に絞った生産体制に移行(宮城県) ○売り上げは震災前の8割、これは利益の確保を優先に販売戦略を見直した結果(宮城県) 原料 【 魚の確保】 ○原料のサバの水揚げが少ないため、輸出に回せない(青森県) ○シメサバ用の大型のさばが水揚げ不足(青森県) ○輸入原料(マグロ)が円安で価格上昇しているものの、価格転嫁出来にくい状況(宮城県) 新商品 【 の開発】 ○高度燻製技術を活用したサンマ加工品を開発中(宮城県) ○オゾンナノバブル減菌処理を導入し、品質向上を図ることでブランド構築したい(宮城県) ○ITを活用した次世代農業と水産加工品のコラボレーションに取り組んでいる(福島県) ○付加価値をつけた商品の投入を検討中(福島県) 18 参考5-③ おいしい東北デザインパッケージ展2014優秀賞受賞作品:水産加工品 (株)八葉水産(宮城県気仙沼市)「みちのく塩辛」の最優秀賞受賞デザイン活用商品の実用化 平成26年11月 「おいしい東北パッケージデザイン展2014」最優秀受賞者が決定 ○展覧会「おいしい東北パッケージデザイン展2014」 会期:平成26年11月28日(金)~12月1日(月) 会場:東京エレクトロンホール宮城(仙台市) ○表彰式 平成26年11月30日(日) ホテル法華クラブ仙台(仙台市) 平成26年12月 最優秀賞受賞デザイン実用化に向けてのフォローアップ訪問 出席者:企業代表取締役、企業担当者、デザイナー、知財専門家(弁護士) 知財総合支援窓口支援担当者、事務局(特許室担当者、事業請負業者) 改良点:・中身が冷蔵品の為、温度変化に伴う資材結露が出ない紙素材を希望⇒ミシン目加工可能な油ポ紙で対応 ・イカのヘラ部分の角で怪我しそう⇒Rをつけることで対応 平成27年 2月 実用化について東北経済産業局プレス発表 発表概要:東北経済産業局では、「おいしい東北パッケージデザイン展2014」の対象商品とその優秀作品に対す る実用化・商品化に向けた継続的なフォローアップ支援を行ってきたところ、最優秀作品に選ばれた株式 会社八葉水産の「みちのく塩辛」の実用化・商品化が決定。 最優秀パッケージデザインを纏って完成した「みちのく塩辛」は、2月25日(水)に気仙沼市で開催さ れる「第20回三陸気仙沼の求評見本市」において初披露。 商品概要: ■商品:みちのく塩辛(株式会社八葉水産/宮城県気仙沼市) ■参考価格:400円(税込) ■販売:今春より、道の駅・県内スーパー等にて(予定) ■デザイン:小野 貴人(高速シーパック株式会社/宮城県仙台市) 既存商品 実用化商品 19 参考5-④ 石巻復興「日高見の国ブランド」輸出プロジェクト(平成25~26年度JAPANブランド育成支援事業) 1.事業概要 東日本大震災で大きな被害を受けた石巻の水産加工業者が統一ブランド「日高見の国」を作り、「三陸の海の復興は日本の再 生」を旗印に、新たな販路として海外市場への輸出を目指す。 25年度はタイ、香港、シンガポール、26年度は香港、台湾、マレーシア等をターゲット市場として展示会及び商談会へ出展。 展示会等での出展成果を元に販路開拓先を絞り込み、販売先として販路を確立することができるよう重点的に商談を行う。 2.事業実施体制及び参加事業者並びに専門家 3.26年度実施状況及び今後の予定 ・台湾、香港、マレーシア等の展示会・商談会へ参加し、現地バ イヤーや百貨店等と販路開拓のために交渉。 ・海外展示会出展の機会を活用して現地調査を行い、商品開 発に反映。 ・27年度も引き続きアジアでの展示会、商談会を足がかりに販 路確立、拡大を目指す。 【日高見の国の統一ブランドを掲げ、各国の商談会、展示会に出展】 ○参加事業者と主な商材 ・末永海産・・・・・・・・・・ ・ヤマサコウショウ・・・・ ・ヤマトミ・・・・・・・・・・・ ・丸平かつおぶし・・・・ ・山形屋・・・・・・・・・・・・ ・水月堂物産・・・・・・・・・・・ 牡蠣味噌等牡蠣・ホヤの加工品、海藻加工品 たらこ、笹かま、つぶ、たこ等 金華〆サバ、煮焼き真穴子等 かつおぶし、粕漬、味噌漬、だし粉 味噌、醤油、和風ドレッシング ホヤ等 ○専門家 ジェトロ・食品輸出専門家、 ジェトロ香港・バンコク・シンガポール食品輸出コーディネーター 20 参考5-⑤ 水産加工業等海外展開取組事例集 【事例集掲載予定企業】 市町村 企業名 概要 八戸市 武輪水産(株) シメサバをアメリカ、東南アジアに輸出。 FDAHACCP取得済み。 洋野町 (株)ひろの屋 わかめを台湾へ輸出。 宮古市 共和水産(株) イカそうめんをアメリカへ輸出。 気仙沼市 八葉水産(株) イカ塩から、もずく、めかぶなどを台湾へ輸 出。 石巻市 (株)ヤマトミ 煮穴子を香港へ輸出。 いわき市 山菱水産(株) マグロをカナダへ輸出。 いわき市 おのざき(株) カレイ、サバなどの煮魚パックをタイへ輸出。 水産加工業等海外展開取組事例集 など10社程度をH27.4、当局HPに公表予定 21 参考6-① 開業率と事業・創業の支援 【開業率の推移】 ◎宮城県、福島県は震災以降高い開業率を維持。 21年度: 宮城県5.0%(12位)、福島県4.5%(27位)、岩手県3.4%(46位) 22年度: 宮城県4.9%(10位)、福島県4.3%(23位)、岩手県3.2%(45位) 23年度: 24年度: 25年度: 26年度: 宮城県7.0%(2位)、福島県5.2%( 5位)、岩手県4.5%(17位) 宮城県6.9%(2位)、福島県5.6%( 4位)、岩手県4.9%(10位) 宮城県6.0%(2位)、福島県5.6%( 6位)、岩手県4.0%(36位) 宮城県5.6%(6位)、福島県5.2%(12位)、岩手県3.5%(45位) 青森市 弘前市 八戸市 (推計) ※厚生労働省:雇用保険事業年報より。( )は都道府県順位。26年度は当局推計。 大館市 【事業・創業を支援する機関・機能の増加】 秋田市 ・経営者育成講座・経営塾 (東北大学イノベーションプロデューサー塾、東北未来創造イニシアティブ未来創造塾) ・インキュベーション・コワーキングスペース 奥州市 (東北IM連携協議会、T-biz(中小機構)、みやぎ復興パーク、 Flight事業(仙台印刷工業団地)、創業スクエア、cocolin(MAKOTO)) ・公益法人等支援機関の機能強化 (Linkers(東経連ビジネスセンター)、地域創造基金さなぶり) ・NPO・企業CSRによる事業支援 大船渡市 一関市・平泉町 酒田市 鶴岡市 (経営支援NPOクラブ、首都圏大手企業による事業化支援) ・国家戦略特区「ソーシャル・イノベーション創生特区」(仙台市) 登米市 山形市 ・ベンチャーファンド、創業融資の拡充等 大崎市 石巻市 仙台市 女川町 (日本政策金融公庫、ベンチャーキャピタル、大学・地銀によるファンド立ち上げ) 【市町村による創業支援】 ・市町村が創業支援計画を策定し金融機関、経済団体等と連携して 地域の創業を支援するスキーム。(産業競争力強化法) ・東北では、第4回認定(27年2月)までに25計画26市町を認定。 喜多方市 会津若松市 西会津町 福島市 郡山市 南相馬市 須賀川市 白河市 いわき市 22 参考6-② 新しい事業・創業〈事例〉 【商品開発・販路開拓】 madehni(まで~に) 三陸沿岸の食品系異業種企業4社による共同ブランド。手間を惜し まず丁寧にをモットーに、家庭料理的なスープを共同開発し販売。 (石渡商店、オノデラコーポレーション、斉吉商店、八木澤商店) 【流通イノベーション】 舞台アグリイノベーション株式会社(仙台市) 野菜・コメの生産販売のノウハウを 持つ農業生産法人と製造技術・販路の 融合により、小分け、コールドチェーン (品質)、海外販路等の新たな農業ビ ジネスを展開。 [写真:精米工場(亘理町)] 【農商工連携、ソーシャルビジネス】 東北ロクプロジェクト 飲食・建築・不動産・福祉事業・コンサルティングの事業を展開する 6名の経営者が立ち上げたプロジェクト。 2013年秋、宮城県名取市に農商 工連携、地域コミュニティの形成、 食育をコンセプトにした施設 「ATALATA(アタラタ)」をオープン させた。そば、レストラン、ベーカ リー、アンテナショップ兼コミュニ ティスペースを併設。 【創業支援・まちづくり・Iターン】 NPO法人アスヘノキボウ(宮城県女川町) 被災地初のトレーラーハウス宿泊村の企画・ 立上げをはじめ、女川町の復興まちづくりや 民間プロジェクト、公民連携事業に参画。 創業支援、人材育成、交流促進及び女川 フューチャーセンター設置等を実施。 復興庁の新しい東北先導モデル事業や 町創業支援事業計画(2月認定)の中核支援事業者。 【植物工場】 空き工場での先端アグリビジネスシステム 秋田県で蓄積されたものづくり技術や栽培技術に関する知見を応 用し、空き工場の再利用と再生可能エネルギーの活用(太陽光発 電)による自立型・省エネルギー型の植物工場を 構築。 低カリウムほうれん草等の高付加価値な機能性 野菜を高効率に生産するビジネスモデルを確立。 (先端農業産業化システム実証事業の活用事業) [写真:にかほ市の実験栽培] 【女性起業家・ソーシャルビジネス】 一般社団法人WATALIS(宮城県亘理町) 眠る着物地を活用し、デザインと縫製力で「FUGURO」等の製品とし て再び市場へ送り出すアップサイクル事業。 手仕事によるものづくりを通して、良き習わしや感謝をこころを かたちにし、被 災地の女性に コミュニティー を生み出す。 23 参考7 産業復興支援に活用可能な施策一覧 沿岸部、福島県避難区域などの商業・まちづくりに係る主な施策 ・津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金(H27FY 360.0億円) ・中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(H27FY 400.0億円) ・地域商業自立促進事業(H27FY 23.0億円) ほか 水産加工業等の海外展開に係る主な施策 ・地域中堅・中小企業海外販路開拓支援事業(H26FY補正 14.9億円) ・中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業(H27FY 25.0億円) ・ふるさと名物応援事業(H26FY補 40.0億円 / H27FY 16.1億円) ほか 新産業創出と支援人材に係る主な施策 ・ものづくり・商業・サービス革新事業(H26FY補 1,020.4億円) ・小規模事業者支援パッケージ事業(H26FY補 252.2億円) ・革新的ものづくり産業創出連携促進事業(H27FY 128.7億円) ・ふるさと名物応援事業(再掲) ・商業・サービス競争力強化連携支援事業(H27FY 9.9億円) ・中小企業・小規模事業者人材対策事業(H26FY補 60.1億円 /H27FY 10.0億円) ・創業・第二創業促進補助金(H26FY補 50.4億円 / H27FY 7.6億円) ほか 24
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