3-11.諸施設の検討と設定③/その他施設

3-11.諸施設の検討と設定③/その他施設
(1)園路・広場
園路は、「3-5.アクセスや動線の検討と設定
(3)園内動線」の項で示したように、
その役割により、幹線園路、枝線園路、散策園路に分類する。
公園利用者がスムーズに移動でき、また時によっては滞留や休憩の場となることもある。
また、公園利用者には幼児から高齢者まで、さまざまな年齢層や障害をもった人の利用にも
対応していかなければならない。
このように、多様な利用形態や利用者の安全な流動を行うため、具体的な設計方針として
は、次のように考える。
・園路は、その目的や利用内容に応じた分類を行い、それぞれにふさわしい幅員、素材、
断面構成などの設定を行う。
・あらゆる利用者が安全に移動できるよう、山地部を除いて高低差があるところでは、
階段及びスロープを設置する。
設計方針を踏まえ、下記のように、各園路区分の性格・用途にふさわしい素材を選択する。
表
園路素材
園路種類
幹線園路
考え方
素
材
公園の重要な場所であり、利用が集中すること等か コ ンク リー ト系 ブ ロ
ら、高級感があり、天候・摩耗に強い素材を選択する。 ック、洗い出し舗装
枝線園路
散策園路
自然感を求めることから土系の色合いを持つ素材と 自 然色 アス ファ ル ト
し、管理用車両の通行も考慮した素材を選択する。
舗装
自然と調和する素材を選択する。
土系舗装
空間の連続性を切らないエッジの処理
幹線園路:自然と調和し格調のある舗装材
枝線園路:自然感がある舗装材
散策園路:自然感の高い舗装材
図
園路断面イメージ図
100
また、広場としては以下のようなものがある。
表
広場区分
広場種類
エントランス広場
配置の考え方
留意事項等
公園のメインの入口に配置し、すべての情 案内・情報提供
報提供を行う。
離合集散・滞留の広さ
玄関としての景観性
分岐広場
主な園路の分岐点に配置し、分岐の案内を 案内・情報提供
行う。
滞留広場
利用者が休憩・遊びなどのために滞留して 案内・情報提供
利用することに対応する。
図
広場施設位置図
101
滞留に必要な広さ
(2)管理棟
管理棟は、本公園の管理運営全般をつかさどる施設として、公園の中央部かつ駐車場に近
い位置に設置する。
公園の中枢となる管理機能を主たる機能として配置するとともに、災害時に備えた備蓄倉
庫の配置を行う。あわせて、トレーニング室の配置を行う。
表
管理棟概要
項
目
規模
概
要
建築面積
676 ㎡
延床面積(1階 676 ㎡、2階 338 ㎡)
室構成
面数等
事務室、会議室、ホール、更衣室、トレーニング室、備蓄倉
庫、公園用管理倉庫、機械室、トイレ、その他
1階平面図
2階平面図
図 管理棟平面図
102
1,014 ㎡
(3)トイレ
本公園のトイレは、その収容力に応じた穴数を有することと、面積の広さにも配慮して必
要な各所に配置することを基本とする。
トイレの必要穴数は、イベント時をピークとして算出すると、平常時には過大なものとな
るので、通常の最大時滞在者数(平均的ピーク日)をベースに算出する。イベント時には、
臨時のトイレを考慮する。
必要穴数は、次のように算出する。
必要穴数
=
最大時滞在者数 × トイレ利用率(1/30~1/80)
ここでトイレ利用率を
必要穴数
=
1/50 とすると
3,000(人) ×
1/50
=
60 (穴) となる。
公園全体として好ましいトイレ箇所数としては、下表を参照し、決定する。
普通型総合公園の値を引用すると 0.4 棟となるが、高低差のある地形条件を考慮して、普
通型風致公園の 0.6 棟との中間値である、0.5 棟を採用する。
これより、本公園敷地の 19.6ha に当てはめて全体数を算定すると、次のようになる。
19.6ha
×
0.5 棟/ha
=
表
9.8(棟) ≒ 10
棟(箇所)
公園の種別とトイレの必要個所数
公園の種別
1ha 当たり棟数
児童公園
普通型
地区公園
普通・都心型
0.5 棟
総合公園
修景主体型
0.2 棟
普通型
0.4 棟
都心型
0.8 棟
郊外型
0.2 棟
普通型
0.6 棟
普通型
0.6~0.8 棟
風致公園
歴史公園
最低 1 棟
出典: 河原武敏、都市公園施設の単位面積当たり数量に関する考察、公園緑地
Vol.36-4 昭 50
この値をもとに配置し、建築内を含め次の 10 棟(箇所)とする。
公園全体で 10 棟(箇所)とし、設置する穴数を 60 穴とすると、1 棟(箇所)あたり 6 穴
程度と少なくなるので、男子(大)
:男子(小)
:女子=1 穴:3 穴:3 穴 に身体障がい者用
(多目的トイレ)のトイレを加えたものを最小限のユニットとして配置する。
103
表
トイレ設置場所及び穴数
場
建築内
屋外
所
男子・大
男子・小
女子
多目的
多目的競技場
3
5
5
1
武道館
4
5
4
1
管理棟
2
4
3
1
屋内温水プール
2
6
6
1
テニスクラブハウス
1
3
2
1
中央東駐車場
1
3
3
1
西第二駐車場
1
3
3
1
屋外プール
2
6
6
1
遊具広場周辺
1
3
3
1
落葉の林周辺
1
3
3
1
植物の池周辺
1
3
3
1
小
計
19
建築内トイレ
屋外トイレ
図 トイレ位置図
104
44
41
11
屋外トイレの平面・立面図、及び多目的トイレのイメージは下記の通りとする。
平面図
立面図
図
屋外トイレ計画図(基本設計より)
105
(4)休養施設
あらゆる人々に利用されることを目的とする本公園では、高齢者や障害を持った人の利用
も考えられ、場所に応じて配置する事はもとより、できるだけ緻密に設置し、利用に支障の
ないようにする必要がある。
具体的な設計方針としては、次のように考える。
・設置場所となる空間の質と調和した形態とする。
・だれにでも利用しやすいデザインとする。
・いろいろな空間で休めるよう、幹線園路や主要な広場への設置だけではなく、枝線園
路や散策園路にも設置する。
休養施設については、その配置の仕方、及び休養施設の形態について次のように考える。
表
休養施設の配置及び形態
休憩施設の形態
空間の種類
配置の考え方
摘要
ベンチ等
主要な広場
一般園地
休憩舎等
待ち合わせ、滞留や休
広場に向かって
パーゴラの設置
エントランス広場
憩等が考えられること
座れるよう、背
施設周辺広場
から、広場を取り囲む
もたれベンチと
多目的広場
ように配置する
する
簡単に休める場とする
どの方向にも目
滞在地点での四 自然の森
ため、広場の中や園路
を配れるよう、
阿の設置
際などに自由に配置す
背なしベンチと
落葉の林
る
する
アートの池
花木園
植物の池
古墳の森
気軽に休めるよ
う背なしベンチ
とする
106
自然の森
-
自然の道
(5)駐車場
駐車場規模は、最大時滞在者数に見合った規模を整備する。
必要駐車台数は、次式により算出する。なお、最大時滞在者数は利用者数の想定より、3,000
人として計算する。
必要駐車台数=最大時滞在者数×車利用率×サービス率÷1人あたり利用者数
=3,000 人×0.7×1.0÷2.5 人/台
=840 台
●車利用率:0.7
H19 都市公園利用実態調査より、自家用車利用率は、運動公園
50.3%、広域公園 70.2%である。山あいに立地する本公園では、
広域公園の 70%を採用する。
●サービス率:1.0
周辺に臨時に利用できる駐車場等が無いため、利用者全体に駐車
場をサービスするように考える。
●1台あたり利用者数:2.5 人/台
なお、屋外プールが閉鎖されている時期の最大時滞在者数 2,000 人(3,000 人-1,000 人)
で算出した場合の必要台数は、560 台となる。
必要駐車台数=最大時滞在者数×車利用率×サービス率÷1人あたり利用者数
=2,000 人×0.7×1.0÷2.5 人/台
=560 台
夏季のプール開園時は1年のうち 1.5 ヶ月のみとなるが、その他イベントへ時への対応に
も配慮して、夏季のプール開園時に必要な台数、840 台を確保する。
上記以外に、身障者用駐車スペース、団体バス用駐車場を配置するが、団体バスでの来園
は少ないものと考えられることから、駐車場は専用としては設けず、一般駐車場での共用と
する。
身障者用駐車場は、奈良県住みよい福祉のまちづくり条例施行規則では、1以上の車いす
使用者専用駐車場を設けることとされている。
また、都市公園の移動円滑化整備ガイドラインによれば、道路付属物としての自動車駐車
場について、全駐車台数が 200 以下の場合で全駐車台数×1/50 以上、200 より多い場合で全
駐車台数×1/100+2以上の身体障がい者用駐車施設を設けることとされている。
本公園の駐車場は、バリアフリーに配慮した駐車場とするため、都市公園の移動円滑化整
備ガイドラインの考え方を踏襲することとする。本公園では、駐車場を分散配置して利便性
107
の向上を図っており、各施設近くに身障者用駐車場を設けることが望ましいと考えられる。
そこで、①西第一駐車場及び西第二駐車場、②北駐車場、③中央西駐車場、④中央東駐車場、
⑤武道館駐車場、⑥テニスコート駐車場の6箇所で都市公園の移動円滑化整備ガイドライン
の基準を満たす台数を確保することとする。また、これとは別に屋外プール用としてバス停
付近に身障者用駐車場を可能な台数分確保することとする。
表
駐車台数
場所
駐車台数
身障者用
(身障者用含む)
駐車台数
西第一駐車場
111
台
西第二駐車場
169
台
76
中央西駐車場
備
考
5
台
(111+169)×1/100+2≒4.8
台
3
台
76×1/50≒1.5
244
台
5
台
245×1/100+2≒4.5
中央東駐車場
209
台
5
台
217×1/100+2≒4.2
武道館駐車場
24
台
1
台
23×1/50≒0.5
テニスコート駐車場
30
台
1
台
30×1/50≒0.6
863
台
20
台
北駐車場
合
計
西第一駐車場
北駐車場
西第二駐車場
テニスコート駐車場
中央西駐車場
武道館駐車場
中央東駐車場
身障者用
図
駐車場位置図
108
(6)サイン施設
本公園の利用の多くは、車による来園と考えられるため、都市計画道路に向けた案内も含
めてサインの設定を行う。
サインの設計に関して具体的な方針としては、次のように考える。
・来園する車に対しては、都市計画道路から公園内駐車場への誘導を行う。
・園内に入ると、公園全体への案内とともに、諸施設への誘導を行う。
・主要な諸施設では、解説するサインを設置する。
・近畿自然歩道に関するサインや注意を喚起するものまでを含めて配置を行う。
・デザインについては、本公園の個性を組み込んだものとする。基本計画コンセプトの
「香る芝」の「芝生」をモチーフとしたデザインを採用するのも一例である。
サインの種類及びその配置については、以下のように整理する。
表
サイン一覧
サイン種類
概要
全体案内サイン
公園の全体像を示す総合案内サ
イン
公園内の諸施設へ誘導する方向
指示サイン
主要施設の前に配置する定点サ
イン
池や古墳など、特に説明してお
きたい施設に配置するサイン
危険なところ等、注意を促すと
ころに設置するサイン
公園施設の利用への案内を行う
サインで、掲示サインと利用説
明サインを含む
誘導サイン
歩
施設名称サイン
行
解説サイン
者
注意喚起サイン
配置方針
エントランスとなる部分
主要地点や分岐点
主要な諸施設の近傍
池、古墳、せせらぎ周辺
池周辺や山の頂上付近
系
掲示サインはスポーツ施設
の建築周辺
利用案内サインは、主要施設
の周辺
近畿自然歩道関連 近畿自然歩道に沿って、公園利 近畿自然歩道沿い
サイン
用への案内を行うサイン
ウエルカムサイン 都市計画道路から視認されるた 都市計画道路沿い
めに設置するサイン
駐車場誘導サイン 駐車場内への進入をスムーズに 駐車場入口周辺
するためのサイン
駐車場エリア案内 身障者用駐車スペースの案内な 駐車場内の任意の地点
サイン
ど、駐車場内の定点を示すサイ
ン
利用案内サイン
車
両 系
109
図 サイン配置図
110