※ドイツ 資料 2 [助産師] 注釈

※ドイツ 資料 2 [助産師] 注釈
HebG”:“Gesetz über den Beruf der Hebamme und des Entbindungspflegers (Hebammengesetz)”
「助産師及び産科看護師の職業に関する法律(助産婦法)」
<1-(1)>種別と業務について
【助産師】
・資格の呼称
Hebamme(⇒直訳:助産婦・産婆)又は Entbindungspfleger(⇒直訳:分娩看護師)
※注:2つの呼称がある理由として、ドイツでは男性助産師が存在するにも拘わらず前者呼称は
女性の助産師のみを指すので、男性用に後者の呼称を使用することになったものと推察。資格・
役割に差異はない
・主たる業務
*妊婦を、妊娠期間中と分娩時に看護する、
*産後の母子の面倒を見る、
・エビデンス
連邦雇用庁“Bundesagentur für Arbeit”ホームページから助産師業務に関する説明文を引用翻
訳(部分訳)。
⇒当該文献 URL(一番上の箇所“Die Tätigkeit im Überblick”):
http://berufenet.arbeitsagentur.de/berufe/berufId.do?_pgnt_act=goToAnyPage&_pgnt_pn=0&_pgnt_
id=resultShort&status=T01
【公衆衛生看護師について】
資格の呼称・主たる業務について
※注:ドイツには、日本の「保健師」に相当するような、確立された職種概念はない。しかし、専門
コ ー ス と し て 、 TÜV Akademie Berlin-Spandau 校 が 開 講 し て い る “ Gesundheits- und
Pflegeberatung(健康・看護相談)”の活動内容は日本での「保健師の役割」に類似している。
・活動内容
*専門的な予防措置を実施する、
*適格者の立場で、当事者及び関係者にアドバイスを与え指導する。
・コースに参加できる条件
*看護師としての又は老人看護での職業教育を終了していること、
*加えて、2 年間の職業経験を有すること、
・コースの受講時間数
*325 授業時間、
*約 1 年間、
しかし、コース終了時の試験および取得できる資格に関しての記述がなく、国家又は地方自治体
1
が資格認定したコースではなくプライベート研修課程であると思料される。
参考として URL を記載:
http://pflegen-online.de/nachrichten/aktuelles/weiterbildung-gesundheitsberater-pflegeberater.
htm
(ドイツ国内に於いては上記コース以外、該当する(と思われる)養成教育課程が見当たらない)
<1-(2)-①>免許証の種類
【助産師】
免許証の正式原名
⇒“Urkunde über die Erlaubnis zur Führung der Berufsbezeichnung Hebamme/Entbindungspfleger
(⇒直訳:職名「助産師/産科看護師」使用許可証)”[⇒「G13」欄②]。
<個別か共通様式か>
⇒「G13」欄②の訳文から看取できる通り、個別のものです。
<1-(2)-②>免許の発行元
【助産師】
・免許証交付者(免許付与者)
⇒交付申請者が試験を受けた州の管轄公署。
・交付免許証の送付方法
⇒これに関する国の規定を捜し当てず。以下、上のイ)看護師欄での相応記述内容に同じ。
<1-(2)-④>免許の取消
【助産師】
・免許取消
“HebG”、3 頁、第 3 条
第 2 項 免許は、爾後に於いて第 2 条 1 項の 2[⇒「G15」欄②b の 2]に拠る所要条件が該当し
なくなった場合に、これを取り消す。
第 3 項 免許は、爾後に於いて第 2 条 1 項の 3[⇒「G15」欄②b の 3]に拠る所要条件が該当し
なくなった場合に、これを取り消すことができる。
・免許取消の要件:
A. 取消:助産師としての信頼を失った、
B. 取消可能:助産業務に健康上の支障がでた、
<1-(2)-⑤>相互承認 [資料 1-4,5]
【助産師】
<相互承認制度>
⇒導入している。
相手国の内訳:
2
*欧州経済領域加盟国[⇒「H21」欄④(「助産師法」での資格認定内訳)、「D21」欄①b(相互性)
及び「D21」欄①c(相互性の助産師適用)]。
*スイス連邦[⇒「G21」欄②a(相互性)及び同欄②b(相互性の助産師適用)]。
<業務内容の制限>
⇒助産養成教育・助産職歴の水準が一定以上[⇒「H21」欄⑤]であれば、ドイツ人助産師と同等
の職務に服することができる[⇒「D21」欄①b]。
<1-(3)-①>登録機関
【助産師】
登録機関⇒交付申請者が試験を受けた州の管轄公署[⇒「D24」欄②]。
第三者委託⇒上のイ)看護師欄の相応箇所の記述内容に同じ。
“HebG”、8 頁、第Ⅵ章 [資料 2-1]
管轄
第 24 条
第 1 項 第 2 条 1 項に拠る決定は、申請者が試験を受けた州の管轄公署がこれを下す。
第 3 項 州は、本法律の執行を所管する公署を定めるものとする。
<1-(3)-②>登録の手順
【助産師】
登録管理⇒登録は、交付申請者が試験を受けた州の管轄公署にて行う
※注:国の機関での登録に就いては不明。
<1-(5)-①>国家試験
【助産師】
「有」、法的根拠:助産師法第 2 条 1 項の 1。
<2-(1)>教育機関の種類
【助産師】
教育機関⇒当該教育機関は国家認定されたものである。看護教育の場合と異なり、各州の自由
裁量の範囲はかなり限定されており、国の認定要件がほぼ全面的に適用される。
“HebG”、4 頁、第 6 条 [資料 2-1]
第 2 項 助産学校は、次に掲げる事項に該当する時に、第 1 項[下記参照]に拠る養成教育に適
合するものとしてこれを国家認定する。即ち、当該学校が:
1. 助産教員若しくは分娩看護教員により、或は医師及び助産教員若しくは分娩看護教員により
共同で運用されている、
2. 養成定員数に対し十分な人員数の、助産教員若しくは分娩看護教員並びに養成教育に参与
する医師及びその外の専門職員を擁している、
3. 授業に必要とされる部屋及び設備を具備している、
3
4.助産師若しくは分娩看護師による病院内での、助産師の教育及び試験令[直訳:「助産師の為
の養成教育及び試験に就いての政令」]に拠る実習教育の実施を担保できる病院と連係してい
る。
一部実習教育は、教育目標の趣旨に違わず或はむしろ必要とされる限りに於いて、管轄公署に
より養成権能を付与された施設に於いてこれを実施することができる。
<2-(2)-①>教育年限
【助産師】
教育年限:3 年
HebG”、4 頁、第 6 条 [資料 2-1]
第 1 項 助産師及び分娩看護師の為の養成教育は、国家試験を以て終了するものとし、国家試
験の時期に拘わらず 3 年継続するものとする。同教育は、理論的及び実技的授業並びに実習教
育を以てこれを構成する。授業及び実習教育は、病院に付設された国家認定助産学校に於いて
これを行う。>
<2-(2)-③>入学要件
【助産師】
<入学要件>
⇒健康状態並びに各種教育修了又は看護助手経験等に関する要件あり[⇒「D48」欄②]。
“HebG”、4 頁 [資料 2-1]
第 6 条 1 項[前項参照]に拠る養成教育を修学する為の所要条件は、職業遂行にあたって健康上
不適格でないことである。更なる所要条件として:
1. 実技学校修了若しくは同等の学校教育若しくは 10 年制学校教育修了、又は、
2. 本科学校修了若しくは同等の学校教育であって、志願者が次の事項に該当する場合:
a) 最低 2 年の看護予備学校を修了している、又は、
b) 最低 2 年の養成教育予定期間の職業教育を修了している、
又は、
3. 看護助手の免許。
<2-(3)>教育機関の管轄
【助産師】
<教育機関に対する管理>
⇒看護師での相応記述に同じ[②(管轄:特に第 24 条 3 項)及び[②(教育機関)]。
<卒後教育>
⇒看護師での相応記述に同じ。
“HebG”、8 頁、第Ⅵ章 [資料 2-1]
管轄
4
第 24 条 第 1 項 第 2 条 1 項に拠る決定は、申請者が試験を受けた州の管轄公署がこれを下す。
第 3 項 州は、本法律の執行を所管する公署を定めるものとする。
“HebG”、4 頁、第 6 条
第 2 項 助産学校は、次に掲げる事項に該当する時に、第 1 項に拠る養成教育に適合するものと
してこれを国家認定する。即ち、当該学校が:
1. 助産教員若しくは分娩看護教員により、或は医師及び助産教員若しくは分娩看護教員により
共同で運用されている、
2. 養成定員数に対し十分な人員数の、助産教員若しくは分娩看護教員並びに養成教育に参与
する医師及びその外の専門職員を擁している、
3. 授業に必要とされる部屋及び設備を具備している、
4.助産師若しくは分娩看護師による病院内での、助産師の教育及び試験令[直訳:「助産師の為
の養成教育及び試験に就いての政令」]に拠る実習教育の実施を担保できる病院と連係してい
る。
一部実習教育は、教育目標の趣旨に違わず或はむしろ必要とされる限りに於いて、管轄公署に
より養成権能を付与された施設に於いてこれを実施することができる。
<1-(5)-②>受験資格要件
【助産師】
<受験資格要件>⇒身分証明及び養成教育課程に参加したことの証明。
“HebAPrV”、2 頁 [資料 2-2]
第 4 条 受験許可
第 2 項 受験許可は、下記証書が提出された時にこれを与える:
1. 身分証明書又は旅券の謄本、
2. 本政令に拠って定められた養成教育課程参加に就いての証明書。
<2-(2)-②>教育カリキュラム
【助産師】教育カリキュラム
“HebAPrV”
、6 頁
添付書 1(第 1 条 1 項に関連)
[資料 2-2]
理論的及び実技的授業
養成教育第 1 年次
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
時限数
70
60
60
160
50
120
40
20
30
20
職業学、法律学及び公民学
保健学
衛生学及び微生物学基礎
助産師業務基礎
心理学・社会学・教育学基礎
生物学、解剖学及び生理学
一般病理学
一般薬学
応急処置
病院に於ける立案・組織運用に就いての概説
5
11
12
13
専科関連物理学
専科関連化学
口述及び筆記
30
30
30
養成教育第 2 及び第 3 年次
1
職業学、法律学及び公民学
2
人の生殖、妊娠、出産及び産褥
3
助産実技
4
助産機器・器具の手入れ、保守及び使用
5
妊婦介護
6
産褥看護
7
新生児及び乳児の看護
8
一般看護
9
専門看護
10
心理学・社会学・教育学基礎
11
リハビリテーション基礎
12
専門看護学
13
専門薬学
14
病院に於ける組織運用及び記録管理
60
120
150
30
80
50
50
50
50
40
20
120
30
30
実習教育
実習教育第 1 年次
実習教育の場所
1
分娩科
2
産褥室
3
新生児室
4
手術室(外科看護)
5
非手術室(一般看護処置)
時限数
160
160
160
160
160
実習教育第 2 及び第 3 年次
実習教育の場所
1
分娩科及び対妊婦相談
2
産褥室
3
新生児室
4
小児病院
5
手術室
時限数
1280
320
320
160
120>
<1-(4)> 欠格事由
【看護師】
A. 信頼性:「看護法」第 2 条 1 項の 2 に拠る品行上の不適格(但し、具体的な品行事例に関する
定めなし。他の関連法令も捜し当てず。)、
B. 健康性:「看護法」第 2 条 1 項の 3 に拠る健康上の不適格(但し、具体的な病名・症状に関する
定めなし。他の関連法令も捜し当てず。)。
※注:上の二つの項目とも各州の管轄公署の裁量に委ねられているようです。管轄公署毎に免
許付与の為の要件としての提出書類の種目・内訳が異なっているという事実から、当該要件に関
しての勘案は各公署の専権事項になっているものと察します。内容の差異に就いて三つの公署を
比較調査したところ、例えば:
a.「信頼性」の証明:①警察署交付の行状証明書➡ザクセンとオーバーバイエルン、②本人自らに
6
よる無犯罪誓約書➡ベルリン、
b.「健康性」の証明:いずれも医師が発行するところの、①「職務遂行に健康上問題がない」旨の
文言が記された(実施検査項目の記載のない)健康診断書➡ベルリン、②「不適格でないと所見
する」旨の文言、或は“不適格”である際に具体的な所見内容を記述することになる健康診断書➡
ザクセン、③提出証明書として“医師の診断書”とのみ指定されていて所定フォームがない➡オー
バーバイエルン、
云々となっており、更に診断内容は各公署とも医師の判断に任せている感がある等々、といった
具合でとても統一規格・様式で整備整合化されているといった状態ではありません。
≪付記≫
ドイツにおいては、連邦制が確立していることに因り各州や各地方公共団体の主権や自主権が
比較的強く(その為に国と州の間で所管を巡って訴訟合戦が繰り広げられることもしばしば)、日
本では通常想定できないような事例が数多く見受けられます。例えば、日本人を含む外国人(EU
諸国及び一部の国の国籍者を除く)に対する長期滞在許可(就労ビザ、就学ビザ等)に関してもそ
うですが、この許可を裁定するのは連邦ではなく予定滞在先の市町村の外人局です。その際、査
証申請者が何の書類・証明書を提出すべきか、更にその外の所要条件が何であるかを決めるの
も地方の同局であって、同局は現地の情勢に基づき決定を下します。連邦は、申請者が何らかの
事由に因り入国そのものを禁止されている場合以外は、原則として口出しできない仕組みになっ
ております。以上の記述内容から、免許付与手続に於いて“欠格事由”が具体的に法制定されて
いないが為に相応の法令文献が見当たらない(これは“欠格”に限らず“免許取消・停止”等にも
該当する)。
【助産師】
(看護師と同様)
A. 信頼性:「助産師法」第 2 条 1 項の 2 に拠る品行上の不適格(但し、具体的な品行事例に関す
る定めなし。他の関連法令も捜し当てず。)、
B. 健康性:「助産師法」第 2 条 1 項の 3 に拠る健康上の不適格(但し、具体的な病名・症状に関す
る定めなし。他の相応法令も捜し当てず。)。
看護師の※注に全く同じ。
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