脳神経外科 - Median-net

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脳神経外科
患者さんの社会復帰を目指し
リハビリチームと連携をしながら関わる。
猿田 真紀子さん(主査、皮膚・排泄ケア認定看護師)
●1993年4月入職
●3階(脳神経外科)病棟勤務
●秋田県立衛生看護学院卒
心に残るひと言
「すごく上手です ありがとう 一番」
。これは、延
髄梗塞で気管切開を行い呼吸器を装着されていた
患者さんの痰の吸引後、筆談でいただいた褒め言
葉。認定取得に向けて学校に入る直前で、漠然と
した不安を抱えていた時のことでした。吸引を褒
めていただいただけですが、認定取得への背中を
押してくださったようでとてもうれしく、宝物と
して今も自分の部屋に飾ってあります。
脳卒中で生活が一変した
患者さんの心への配慮。
SCHEDULE
8:30
9:00
10:00
11:00
12:00
13:00
14:30
16:30
17:15
申し送り
観察、清潔ケア
バイタル、神経症状観察
リハビリの準備、各種検査への移送、
抜糸・抜鉤などの処置
昼食
リハビリの準備、送り出し・お迎え
(毎週火曜日の13∼15時はWOCナー
スとしての活動時間)
ミーティング、ベッドサイドケア
申し送り
終業
少しでも安心・安全な環境で生活していけるよう
いこと。
「顔色はもちろん、バイタルサイン、肺の音、
に一人ひとりの状態にあわせたケアや関わりを心
皮膚の状態を注意して看ています」
と猿田さんは話す。
がけています」
と猿田さん。
麻痺や感覚障害があると褥瘡発生リスクが高ま
術後で容態が不安定な患者さんに関しては、疾
るため、褥瘡ケアのスペシャリストが必要と考え、
秋田県は脳卒中での死亡率が高く、その予防と
患や服用薬剤の特性を踏まえ、神経症状と麻痺の
2年前に皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を得る
治療に取り組んできた歴史がある。古くからその
状態をこまめに観察し、異常が見られればすぐに
ことを決意。無事に取得した現在は、他病棟でも
中心的役割を果たしてきた、秋田県立脳血管研究
医師に報告をするなどの対応も必要となる。
センターの脳神経外科に勤務する猿田真紀子さん
適切な体圧分散寝具の選択やスキンケア等につい
てスタッフにアドバイスするなど、活動の幅も広
リハビリテーションの
視点をもって関わる。
は、身近にも脳卒中になる人がいたことから、脳
神経分野の看護の道を選んだという。
がった。また、脳神経外科手術は手術時間が長く、
同じ体位でいることで褥瘡リスクが高まるため、
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血等の脳血管障害
最近では、手術室と連携し、術中・術後の皮膚ト
によって起きる脳卒中は、その患者さんのほとん
「手術直後から社会復帰に向けた関わりをしてい
ラブル防止の取り組みも始めているという。
どに手足の麻痺や感覚障害などが出現するという
きます」
と言う猿田さん。脳卒中は、術後早期から
今後は、センター内全体の褥瘡予防やスキンケ
特徴がある。猿田さんの勤務する病棟には、脳卒
のリハビリテーションが欠かせない。同センター
アのレベルアップを行い、患者さんのQOLのさら
中で手術を受けた後の患者さんや安定期に入った
には経験を積んだ理学療法士、作業療法士、言語
なる向上を目指したいと話してくれた。
患者さんが入院している。多くの患者さんは
「それ
聴覚士等が勤務しているため、情報共有しながら、
までの自分と変わってしまったことを受容する間
チームでケアを行うことになる。
「昨日よりも今日、
もなく、治療やリハビリテーションが開始される
機能的に進歩が見られた時は、一緒に喜び努力を
こともあります」
と話す。
認めながら、できるようになったことはなるべくご
ここでの看護には、患者さんやご家族の気持ち
自分で行ってもらうようにサポートしていきます」
。
をしっかり受け止められるようコミュニケーショ
しかし、気をつけなければいけないのは、一見
ンは欠かせない。
「
『自分の身体』
について受け入れ
リハビリテーションも進み、回復しているかのよ
られないまま、不安を抱えながら治療・リハビリ
うに見えても、心疾患、糖尿病、高血圧等の基礎
テーションを行わなければならない患者さんが、
疾患があると、病状悪化の潜在的なリスクが大き
秋田県立脳血管研究センター
秋田県民の
『脳卒中の撲滅』
という願いにより、1968
年に設立。以来、
『脳卒中の診療、研究を通して、
最善の予防、診断及び治療の方法を確立し、県民
の健康福祉の増進に寄与するとともに、医学の向
上に貢献する』
という理念のもと、脳卒中を中心と
する脳神経疾患と循環器疾患患者さんの救命、回
復に向けての研究を進め、その成果に基づいた診
療を行っている。予防についても各種情報発信を
するほか、専門医の育成、脳卒中の救急医療を担
うスタッフ養成など教育活動にも力を注ぐ。
〒010-0874 秋田県秋田市千秋久保田町6-10
担当/看護部 成田
TEL
(018)833-0115(代)
看護師ミーティングでは、チーム内の患者さんの看護計画を見直
したり、適切な体圧分散寝具が使用されているかなどが話し合われる
ここの看護に注目!
脳血管の閉塞や出血により発症する脳卒中は、発
症部位や程度により麻痺や神経障害などの後遺症
も異なる。
そのため個々の状態に応じたケアが必要
となる。
突然発症する疾患でもあるため、
患者さん
やご家族への精神面でのフォローも欠かせない。
早
期リハビリが社会復帰を左右するためリハビリス
タッフとの連携も重要。
主要疾患
http://www.akita-noken.jp/
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、慢性硬膜下血腫 など
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