添付資料-Ⅲ TV と SNS の連携の実態と災害時対応への考察

添付資料-Ⅲ
TV と SNS の連携の実態と災害時対応への考察
<以下の資料と共に構成されている>
参考文献・サイトなど
1.TV と SNS の連携の実態
(1)連携状況(参考文献9他)
TV 放送と SNS が連携した番組が増えているが、現状はまだ以下のような取組みが中心
で手探り状態といえる。
・NHK の Web23 のように、番組に Twitter などで視聴者が投稿し一部を字幕や司会者
が取り上げるもの
・視聴者が番組の企画やゲームに参加するものなど
・
「ソーシャルテレビ・アワード 20XX」は、疎遠だったソーシャルメディアと TV の連
携や複合的活用に先進的な取組みをしたテレビ番組を表彰するという趣旨で 2012 年
度から始まったもので毎年 30 作品弱が応募している。
・
(第 1 回大賞)ドラマ(TBS)のオンエア中に、Twitter での投稿を呼びかけ、寄せら
れたツイートをデータ放送画面で配信する取組みをした。
・
(第 2 回大賞)
『TV60 NHK×日テレ(日テレ×NHK) 60 番勝負』が 2 夜にわたって
「面白い」と思った瞬間に、データ放送またはスマホから「イィ」ボタンが押された
のをリアルタイム表示、お茶の間の盛り上がりを可視化した。
・2011 年 12 月に日テレ系で放送された『天空の城ラピュタ』内で、主人公が「バルス!」
と叫ぶ時点での瞬間最高ツイート数が毎秒 2 万 5088 回(通常は数百件/秒)となり、
世界記録を塗り替えた。日本初のスマートフォン向けマルチメディア放送で Twitter
や facebook と連動し、テレビの感動を友達とシェアすることもできる。この記録は、
2013 年正月の「あけおめ」3 万 3388 回に塗り替えられ、2013 年 8 月の日本テレビの
「金曜ロード SHOW!」で「天空の城ラピュタ」放送時に 14 万 3199 回が塗り替えた。
視聴者が一斉に「バルス!」と書き込む現象は「バルス祭り」とよばれている。
2.映像関連 SNS の実態
(1)スマホで簡単に生放送が可能に
・SNS の動画機能(映像の生放送)がスマホのみで(容易に安価)に行えるようになっ
た。Ustream、ニコニコ生放送、Youtube(録画配信が主)などのツールが揃っている。
-Ustream の特徴(参考文献12 Ustream がメディアを変える:小寺信良)
★ 500 万チャネルの巨大メディア(米国の cableTV でも 200 チャネルしかない)
★伝えたいものが伝えられる。時間無制限で編集なしに伝える。見直しなしに本番公
開(現状ではミスもしょうがないと容認する雰囲気がある)
1
★Ustream は、
Twitter との合体でブレーク(Twitter の書き込みを追いながらの視聴、
数の力・・実績が見える)
★best-effort でありハプニング起こり易い。放送局の提供する TV 放送は中断などは想
定していない
★プライバシーのコンテンツ化を実現
監視カメラ的に自分の仕事ぶりを常時送信する『そらのちゃん(佐藤綾香さん)』な
どが例
★一般市民がジャーナリズム的に使う
★コンテンツを作りを公開し、作るプロセスもコンテンツにしてしまう。
★Ustream を有名にした生中継
*ソフトバンク(SB):iPhone の発売行列を生中継、決算発表の生中継、製品発表
会((2010.5)で孫正義 CEO が現在のビューを 4 万以上と放映(その後の SB は
視聴 140400 人、Twitter 投稿は 47000 件と発表)
*民主党の事業仕分け(ニコニコ生放送、DMM.com、スティッカム、Sharecast も
送信した)
*はやぶさの帰還:JAXA の管制塔の様子を生中継
*2010 年 3 月「激笑
裏マスメディア~テレビ・新聞の過去~」を NHK の放送記念
日特集にぶつけた。ホリエモン氏、上杉隆氏、アルファブロガー小飼弾氏、山本
一郎氏の対談、ドワンゴの川上量生会長が飛び入り、司会は津田大介氏(そらの
さんが放送) 14 万ビューを獲得した。
★生放送の課題/問題
*秋葉原通り魔事件の容疑者を一般人が生中継して Ustream 配信<2008.6>
*一般人の安易な生配信はプライバシー侵害や倫理上の問題を引き起こしやすい
・ニコニコ生放送、DMM.com などの動画配信 SNS も同様な性格を持っている
3.TV と SNS が東日本大震災時に連携した例
(1)東日本大震災時時点では、インターネット、SNS は情報入手手段としては極めて低
い数値であった。(参考文献 4)
問:
「地震発生から数日間、情報入手の手段が限られる中で、災害に関する情報は主に
どこから入手しましたか」
回答:ラジオ 61.9%、新聞 31.0%、口コミ 29.0%、テレビ 13.3%、twitter や SNS1.8%
(2011 年 4 月:避難所に避難した 20 歳男女 451 名対象のアンケート調査:by:
サーベイリサーチセンター)
問:
「大津波警報を知った媒体」
(2011 年 9 月~:被災地沿岸 54 市町村 10601 名を対
象:by国土交通省の第三次現況調査)
2
回答(5345 人)
:防災行政無線 51.9%、民放ラジオ 16.9%、NHK ラジオ 11.4%、イ
ンターネットは 0.2%(極めて低い数字)
。
問:
「地震発生後から日没までの間、避難や津波に関する情報を得るのに次にあげる情
報源はあなたにとって役にたったと思いますか」
(同上の国交省調査)
回答:ラジオ 39.8%、
近所や家族 25.0%に対して、ホームページと回答した人は 0.3%、
ソーシャルメディア 0.3%(極めて低い数字)
(2)マスメディア発ソーシャルメディア経由の情報発信は有効であった(ただ、被災地
においては、テレビの視聴すらもままならない状況であったので、インターネットで
テレビ放送を見る人は皆無に近かったと思われる)(参考文献 4)
・ソーシャルメディアはマスメディア発の情報を媒介するものとして有効であった(確
かな情報源が求められた:NEC ビッグローブ:2011 年)
-Twitter によるマスメディア発の震災1か月後のツイートの中で被リンクされたド
メインのランキング : 1位 NHK、2位東京電力、3位 asahi.com、4位 47NEWS
(3)NHK や一部のラジオは Ustream で見聞きできた(広島の中学生2年生が Ustream
で違法に NHK の実況中継を始めたが、これがきっかけとなってインターネット放送が
始まった。
通常は NHK がインターネットで放送しようとすると、他局から「放送法と通信法の規
定に違反している」といったクレームがきがちだが、今回は一部局員の「何かあった
ら私が責任を取る」との英断により、無断配信の継続認め午後6時過ぎ正式に許諾し
た。
NHK および、他の放送局も Ustream で TV と同じ内容を配信した。海外に住む日本
人、日本に関心を持つ人が、ネットを介して震災に関連するニュースを視聴できる恩
恵を受けたといわれている。
・TV と同じ内容を放送した TV 局は以下
(2011.3.13 時点:http://gigazine.net/news/20110313_ustream_tv/)
-NHK:午後9時頃からは Ustream で公式に配信を開始した。nhk-gtv(Ustream の
NHK チャネル)で NHK 総合テレビの「東北地方太平洋沖地震」関連ニュースを
配信(2011 年 3 月 25 日で終了)
、nhk-gtv2 で高画質版を放送
<http://www.ustream.tv/channel/nhk-gtv>
海外向け放送も行った<http://www.ustream.tv/channel/nhk-world-tv>
-TBS:http://www.ustream.tv/channel/tbstv
(TBS は youtube でも生放送した)
-フジテレビ:Ustream Asia 公式チャンネルで再配信した。
http://www.ustream.tv/channel/japanhelpchannel
-テレビ朝日の公式チャンネルで地震に関する緊急報道特番を配信
http://www.ustream.tv/channel/annnews2
・東日本大震災では、マスメディアにおいてもソーシャルメディアが使われた。
3
-「radiko(ラジコ)
」(http://radiko.jp/)というインターネットで聴けるラジオは、
普段は自分の地域の放送局しか聴けないが、地震直後は制限が解除され、全国どこか
らでも聴くことができた。
-ツイッターから得られた有益な情報の中から裏取りできたものをラジオで伝えた(リ
トーク(参考文献 1)
・ニコニコ生放送によって原発事故、震災に関連する記者会見はほぼすべて生中継された。
YouTube を使って支援物資、募金の呼びかけなども行われた。
4.TV と SNS の連携に新しい提案をした「JoinTV」(参考文献 10)
(1)日本テレビが「JoinTV」を米国フェイスブック社の技術協力を得て開発(2012 年)
・facebook 上の友達が同じ番組を視聴していると、テレビの画面上に「○○さんが視聴
中です」というメッセージと一緒に、「友達」の顔写真と名前が表示される。
・番組視聴中にテレビリモコンの「青ボタン」を押すと、facebook 上と同じ番組を視聴
中の「友達」のテレビ画面上の両方に「○○さんがいいね!と言っています」と表示
される。
・この際、
「いいね!」を押したシーンの詳しい情報も提供されるので、知りたい情報の
メモ代わりや、関連情報を友達に知らせる用途で利用できる。
・さらに facebook の情報を利用したプレゼント応募も可能で、この場合は番組中に当選
者を決定して知らせることもできる。
(2)災害対策に活用できる「JoinTV」
・2013 年に徳島県美波町などをモデル地区として、集中的な災害対策の実証実験を行っ
たが、画期的な仕組みとして評価できる。
・殆ど全ての家庭にあり、日常の操作で扱える TV と個人ごとに 対応する SNS が連係
して「A さん、B 避難所に避難してください・・・」などと TV 画面から個人名で呼び
かけることのできるものである。
・
「 JoinTV」の特徴
-災害発生(及び避難訓練)時の機能
*TV 画面上で一人ひとりの最も適した避難指示を表示、スマホやタブレットなどの
セカンドスクリーンからも利用できる
*災害発生時の TV の視聴データから、<在宅・不在>の推定情報を地図上に表示す
ると同時に自治体等へ提供し、救助活動を支援
*避難所や医療機関等に登録した ID から住民のデータを収集し、自治体、家族等に
安否情報を提供
*避難所や医療機関等への救援物資の効率的な配分を図る
*外部の安否システムとの連携など
-平時には高齢者の TV と家族とのコミュニケーションに利用できる
4
*高齢者宅の TV の視聴データから異変を察知した際、遠隔地の家族、民生委員等へ連
絡
*遠くの家族等からのメッセージを TV 画面に表示、高齢者から簡単な定型文返信等の
情報交換に利用
5.TV と SNS の連携による災害時対策への考察
東日本大震災発生直後の混乱を機に普段の法律の壁が一気に取っ払われて、マスメディ
アとソーシャルメディアが接近するという現象が起きたが、すぐに元通りの疎遠な関係
に戻ってしまった。平時から法規制に対する整備や連携にための技術開発・サービス開
発、産学官連携などが行われ対策が練られることを望む。、
(1)災害時の TV 放送と映像関連 SNS の連携
・生放送の Ustream、ニコニコ生放送、Livetube、再生の youtube、ニコニコ動画など
手軽に無料でライブ放送や動画を再生・共有できるサイトは、災害時には利用できる
場面が多い。
・東日本大震災時に広島の中学生が Ustream で NHK の放送を無断で流し、NHK が追
認した例があったが、放送局の映像を個人が配信する場合、また放送局自身が配信す
る場合にも現状では制約がある。大災害時や事件発生時などには現在の規制などの枠
を超える必要がある。このための法整備、基準・ルール作りが平時の今作り上げられ
ることが必要である。
・一般人の生中継は秋葉原通り魔事件時<2008.6>の Ustream を使って行ったのが先駆け
であったと言われているが、以降東日本大震災時、関東の竜巻発生時などをはじめ一
般人からの映像投稿は増加している。これは、同時にプライバシー侵害や倫理上から
放送してはならない、或は控えるべき映像などが配信される恐れが大きくなっている
ことを意味している。一般人の生中継や動画投稿に対する法整備が急がれる。また SNS
運営者の自己規制ルールの制定や投稿者の意識向上への取組みも必要である。
・災害時には、放送局が作成したが放送枠制限などで放送できない以下のようなものを
Ustream など外部のツールを利用して放送することも必要であり、実現を望む。
-放送局が放送枠の制限などで放送できないでボツになる映像
-特定の地域のみに放送すればよいローカル映像
-また、一般人からの投稿映像で放送局が意味を認める(品質を認める)ものなど
(2)
「 JoinTV」と同じような TV と SNS が連携した取組みが増えていくことを期待した
い。日テレは、
「JoinTV」の仕組みを『オープンプラットフォーム』にすることを決め
たようであるが、さらに進めて災害対策の部分だけでもオープン、『無償化』にして誰
でもが利用・拡張などができる仕組みにすることを期待する。
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