研究テーマ:中山間地域の荒廃農地の再生と、都市住民等との

研究テーマ:中山間地域の荒廃農地の再生と、都市住民等との協働による里山景観等地域
資源の活用による地域活性化について
提案先: 企画振興、健康福祉部、産業労働部、農政部
提案者:
所
属
北安曇地方事務所農政課
農地整備課
林務課
長野地方事務所 農地整備課
北安曇農業改良普及センター
氏
太田
勝野
加藤
玉村
高橋
丸山
名
功三
泰光
健一
幸一
博久
翔太
所 属
姫川砂防事務所
特定非営利活動法人
杏っ子の里ハーモア
グリ
氏
山田
相澤
中山
堀内
関口
相澤
名
晃
晴雄
進
一男
百合子
雅也
1.ありたい姿を目指した着眼点
(1)障がい者による農作業従事の現状
1.草刈りや、簡単な作業について農家と委託契約等を結び行っているが、作業の時期が限られ年間通じて
安定した作業委託ができていない。農業に関係する工賃は他のものより高額であるため、多くの回数を
こなしたい。
2.請け負える農作業の種類が少ないため、農家からの要望に応えられていない。
3.他のいろいろな農作業にも対応できるように、摘花、摘果、マルチ設置、簡単な機械の操作などの技術
を学びたいが、学べる機会がなく、誰に依頼すれば良いかも分からない。障がい者を監督する事業所の
職員(指導員)についても同様である。
4.中山間地域の農地では、高齢化や働き手不足により、農業をやめるかどうか悩んでいる人が多い。
(2)ありたい姿(状態)
1.農家や農産物加工業者等と事業所とを仲介し、農作業(草刈受粉作業、摘果作業など)を請け
負い、工賃アップにつなげる。雇い主である農家などでは労働力が確保でき、コストの面でも軽
減でき収入アップにつながる。
2.障がい者が、多くの種類の農作業にも対応できるようになり、その結果、農作業を請け負う機会がよ
り多くなり、工賃アップにつながる。
3.高齢化が進み、後継者も不足し、農作業が徐々にできなくなる農家が多くなっている中で、作業を請
け負ってもらい、無理なく農業を続けていけるようになる。(荒廃農地発生の未然防止)
4.将来は障がい者たちで作った農産物を自分たちで収穫し、そのまま、あるいは加工し、事業所による
直販をしたり、農産物直売所や都会のレストランなどへ出荷し利益を上げる。農地は荒廃農地を安く利
用できるようにして、農業機械などは農協などから無償で借りられ、コスト面でも採算性が良い。併せ
て荒廃農地の解消にもつながる。
5.長野県、市町村、関係事業所、民間企業、農家など、みんなが豊かさを実感できる。
2.具体的な施策と目指す変化
施策名称
「アグリコーチ」
(仮称)の設置
進める活動は何で、それが目
指す変化は何か?
→ それは従来と比べて何
が同じで、何が違うのか?
・営農技術を教えることがで
きる人を探し、アグリコーチ
として任命する。
・農作物別、季別に必要とな
る技術を学べる場、機会を提
供し、アグリコー
チを派遣する。希望する事
業所へも派遣する。
・アグリコーチの活動に係る
経費は長野県にて支払う。
(交通費、コーチ料、教材
代など)
成功へのカギ
(必要なこと)
・だれが、いつ、どこで、何
を、どのように教えるか。
・アグリコーチとなる人材の
確保。
・指導するにあたり必要とな
る諸経費の支援。
・既存の施設を利用する。
・事業所の指導員との打合せ
3.政策研究の取組内容
(1)
.中山間地域の課題
「高齢化」
「労働力不足」
「後継者問題」
「農業経営的な要因」「鳥獣害被害」
(2)
.各地の取組みの重要性について再認識
地域資源を活かした産業づくりや都市と農山村との交流など、各地で積み重ねてき
た、今実施している取組みを着実に支援していくことが重要である。
(3)
.労働力(働き手)の確保
● 荒廃農地の解消に向けて、労働力(働き手)の確保は重要な課題である!!
・スナゴケの栽培
= 労働力の軽減のため実施している。
・杏っ子の里
= 労働力不足は大きな課題のひとつである。
・労働力(働き手)
= 農業法人・営農組合・NPO等の団体・Iターン者
●
障がい者も働き手として重要な位置を占めるのでは?
● 障がい者の農業分野における雇用形態の実情
・雇用:農家・農業法人、特例子会社等が労働者として雇用
・障害福祉サービス事業所(以下「事業所」という。
)における就労
:事業所が保有する土地や借り入れた農地で農作物の生産を行う。
・事業所の施設外における就労 (施設外就労)
:事業所が農家等から農作業を請け負い、請け負った作業に障がい者が従事。
(4)
.施設外就労の現状 (事業所及び農業者等の現状)
(※農作業をやってみて、または委託して良かった点を聞き取りしました。)
事業所
農業者、農業生産法人
◆農業への施設外就労を行う前
◆事業所に作業を委託する前
・受託作業の伸び悩み
・高齢化による労働力不足
・不景気、収益減少、作業賃金低下
・重量のある作物の栽培面積減少
・内職的な室内作業が多い事業所ではストレ (ブロッコリーなどへの軽重量作物へ)
スが溜まり、問題となるケースもある。
・昔から受け継いできた農地が有効に利用
されない。
◎施設外就労を行なってみて
◎作業を委託してみて
・工賃のアップ。
・農業は障害の特性に応じた作業が可能。
・自然や動植物との触れ合いにより情緒が安
定し、心身回復・リハビリ効果がある。
・農業は体力・精神面での訓練が可能
・農業振興への貢献、農家からの感謝。
・労働力として期待、労働力不足の解消、
重労働の解消。
・品質の向上、作付面積が拡大できた
・雇用促進により、農業として社会的要請
に貢献できた。
・コスト面でも効果があった。
(作業に見合う報酬を支払う)
・障がい者との交流により、話もでき、活
力が出てきた。職場の雰囲気が和む。
(5)
.施設外就労促進のための ステップ1
【聞き取りによる課題整理、現場のニーズを把握】
事業所
農業者
◆課題
◆課題
・簡単な作業(草刈など)から高度な
作業まで、障がい者のレベルに合
わせた作業内容となるように注意。
・現在の自分たちにできる農作業は
季節や、作物毎に限定され、年間
通じて数多く受注するには至ってい
ない。 (もっとやりたいのに・・・)
・初めて体験する農作業では、農業
者や経験者に現地に来て指導して
もらう必要がある。
(時間がかかる・・・効率も悪い)
・他の種類の、季節ごと、作物ごとの
農作業も学びたい。
農作業受託の機会を増やし、工賃
アップを図りたい。
(障がい者も事業所の指導員も)
・最初は草刈りの簡単なものからじゃない
と安全面でも不安だし、品質の確保の面か
らも不安である。
・他の作業も教えたいが、ちゃんと教える
ことができるのか不安。
・さらに高度な農作業が委託できたら、
自身が相当の負担軽減になり、その
結果、収益の大きい作物の栽培や、
作付面積も増やせるのでは。
県内の就労継続支援B型施設
197か所
うち農業取組事業所
70か所
平均工賃(月額)
14,074円
農業取組事業所では
14,707円
(平成 25 年 健康福祉部調べ)
(6)
.施設外就労促進のための ステップ2
【現在の支援事業等を調べる】
対象 : 事業所
農業者やその他受入側
都市農村共
生・対流総合
対策交付金
「農」のある暮
らしづくり交
付金
社会福祉施設
等施設整備費
補助金
高齢・障害・求
職者雇用支援
機構による支
援制度
農業就労チャ
レンジ事業
農山漁村の持
つ豊かな自然
や「食」を観
光、教育、健
康等に活用す
る地域の手作
り活動を総合
的に支援
都市及びその
近接地域にお
いて、「農」を
楽しめる暮ら
しづくりに必
要な農園等の
整備に対する
支援
各法律に基づ
く福祉施設の
整備に対する
補助
○雇用管理に
関する専門的
な助言・援助
○ジョブコー
チ(職場適応援
助者)による支
援
その他
農業分野にお
いて障がい者
の就労機会を
創出・拡大する
ため、コーディ
ネーターによ
る農家等と事
業所の仲介を
行う
国
ソフト事業
定額
ハード事業
1/2
国
ソ フ ト 事 業
定額
ハ ー ド 事 業
1/2
国1/4
県3/4
国
○○円/人等の
それぞれの計
算による助成
金、及び人的支
援
県単独事業
県が福祉就労
強化事業の受
託者に委託す
る
地域協議会、
農業法人、N
PO等
民間団体、NP
O、市町村、社
会福祉法人等
社会福祉法人
等
雇用主(特例子
会社、一般企
業)
長野県セルプ
センター協議
会
(7)
.施設外就労促進のための
ステップ3
【政策提言】
企画振興、健康福祉部、産業労働部、農政部に提言します!
『 しあわせ信州農業講座
』 (仮称)
障がい者就労促進のためのアグリコーチ(仮称)の設置
障がい者の農業分野における就労促進のため、様々な営農技術を習得できるようにアグ
リコーチが支援します!
【政策実施内容】
●多様な農作業に対応できるように、希望する障害福祉サービス事業所に、希望する農
作業(営農技術)をアグリコーチが教える。アグリコーチは各事業所に赴くか又は作業
予定農地にて技術を教える。
●また農業大学校等の県有農地も最大限利用し、学習の場を多く設定する。
●アグリコーチは長野県において登録され、水稲、果樹、花卉、その他の分野それぞれの
農業経験者、または農業改良普及センター等営農技術を有する県、市町村や農協等のOB、
その他 希望する者とする。
●技術を教える対象者は、障害福祉サービス事業所毎の、希望する障がい者と指導員を対
象とする。
●アグリコーチの活動に関する諸経費(旅費交通費、人件費、教材費等)は長野県におい
て支出する。
●現在長野県において実施している「農業就労チャレンジ事業」の委託先である「長野県
セルプセンター協議会」にて、アグリコーチの登録、派遣、事業所との連絡調整等を実施
する。
また、その業務にともなうセルプセンターの活動費用においても長野県において支出す
る。
●アグリコーチの登録にあたっては、農政部により候補者の名簿を作成し、セルプセンタ
ーに引き継ぐ。また、障がい者の雇用契約などに関する情報等については産業労働部、事
業の実施は健康福祉部所管の県単事業とする。
(別図参照)
(8)
.施設外就労促進のための
ステップ4
【事業実施にあたって必要なこと、注意すること】
アグリコーチ
・専門分野の確認
(水稲、果樹、花卉他)
長野県セルプセンター協議会
事業所、指導員、障がい者
・アグリコーチと事業所とのマ ・希望する作業内容を確認する。
ッチング
・農業技術を学び、その後の営農
・中山間地域などの農家を主な ・事業所との打合せ
にかかる将来計画の確認
対象とし、現在は農業を止め (作業実施上の留意点)
・指導員の意識向上
てしまった農家もコーチにな ・コーチとの打合せ
・障がい者の希望の把握
ってもらう。
・セルプセンターとの打合せ
(注意点、接し方など、事前に ・事業所として、障がい者 のリ
確認しておく)
ハビリも兼ねた農作 業とする
(教え方、接し方など)
・アグリコーチの登録
のか、将来の営農のための基礎
・事業所との打合せ
(農作業別、地域別、作物別、
技術の習得を目的とするのか。
(注意する点など細かいこと
期別など)
などを事前に確認しておく)
・事業所の登録
(希望する農作業、地域など)
・PR
(ハローワーク等へ)
農政部
・アグリコーチの選定
産業労働部
健康福祉部
・雇用に関する情報提供(雇 ・県単事業管理
(農家、県や市町村、農
用契約、受委託契約書な ・工賃の実績等、データ収集
協等の農業技術者OB、
どの法律的なことも含め (他の事業所などへの情報提
希望する農家や技術
就労に関するアドバイ
供による事業効果の広ま
者)
ス)
りが期待できる)
・アグリコーチ名簿作成
(人材バンクとして、営
・ハローワークへの情報提供 ・ニーズの把握
(アグリコーチによりレベ
(上記情報提供をもとに
農技術、地域、対応可
ルアップした事業所の情
セルプセンターと協力し
能時間などの情報をま
報を提供し、問い合わせ
新しいニーズを発掘でき、
とめる)
などに広く利用してもら
農作業のみではなく、営農
うことで、就労の促進に
までレベルアップができ
つながる)
る)
・営農技術マニュアル化
(取得した技術を復讐で
きるように、作物別、季 市町村(農業委員会)
・情報提供、共有
節別等の技術をマニュ
(関係者との連絡調整)
・耕作放棄地、賃貸借農地の
アル化する)
紹介、あっせん
・セルプセンターとの協議 ・農地法に関すること
(教え方など)
・学習する場として、農業
大学校等の県有施設の
利用について検討する。
・農地法に関すること
(9)
.施設外就労促進のための
ステップ5
【事業実施にあたっての予算】
約1,000,000円 (県単事業費)
営農技術指導報酬
600,000円
5,000円/日
営農技術習得希望事業所数 約30か所(想定)
30か所×1人×4回×5,000円/日=600,000円
旅費交通費
120,000円
・事業所又は農地への出張費
30×1×4×500円/回=60,000円
・セルプセンターとの打合せ等
のべ30人×4回×500円=60,000円
(技術講習に関する材料費など)
30×1×5,000円/1技術=150,000円
(パンフレット等の作成)
200か所分×150円=30,000円
(名簿の作成、打合せ経費等)
のべ30人×4回×1,000円/回=100,000円
教材費
150,000円
PR費用
30,000円
セルプセンター委託費
100,000円
(10).施設外就労促進のための (みんなが幸せになるための)
【効果】
ステップ6
「しあわせ信州創造プラン(長野県総合5か年計画)
」
「2
豊かさが実感できる暮らしの実現」
《みんなが W i n W i n》
対
象
アグリコーチ
効
社会貢献・生きがい・収入
果
・技術の伝承
農家、農業法人 ・労働力(働き手)が確保できる・経営面積の増・社会貢献・地域や
など
職場などの活性化
・耕作放棄地増大防止
事業所、指導員、 ・工賃アップ・就労できる障がい者の人数増加
障がい者
・事業所の指導員の人数増加・障がい者が働き手として自信を持ち、
より多く社会進出できる(社会貢献)
・将来の営農計画のレベルアップ
長野県セルプセ ・農業分野における障がい者就労の活性化
ンター協議会
・人材の確保(バンク)
・農業(作業、営農)の紹介選択肢が増える。
長野県
・しあわせ信州の実現・県民の心が豊かになる・職員の意識向上
4.研究の成果
(1)部局における予算化等による施策の反映結果
施策提案による農業就労チャレンジサポーターを拡充することにより、障がい者の農業
就労に係る助言、技術支援を行い、障がい者の働く場の創出・拡大を図ります。
(拡)障がい者の農業就労チャレンジ事業 <9,032 千円>
健康福祉部
≪研究グループ活動実績≫
時期
活動場所
参 加 者
(年月日)
4 月30
山形県
小谷村、丸山
~5 月1 日
勝野、玉村、高橋、
山田、丸山、太田、
5 月20 日
大町合庁
杏っ子の里(4
名)、小谷村役場
(4 名)
玉村、高橋、山田、
6 月5 日
長野市
丸山、太田、杏っ
子の里(5 名)
動
実
績
小谷村スナゴケ試験事業視察に同行
・活動内容の確認、とスケジュールについて
・小谷村とのスナゴケ試験事業実施内容の確
認
NPO杏っ子の里の活動状況現地調査
(テーマアドバイザーとの意見交換)
スナゴケ試験に係る荒廃農地の再生状況確
認及び事業スケジュールの検討
6 月24 日
小谷村
7 月16 日
小谷村
7 月17 日
長野図書館
8 月7 日
大町合庁
8 月18 日
大町保健福
高橋、太田
祉事務所
8 月19 日
大町合庁
勝野、高橋、山田、 目指す施策の方向について、新たなコラボの
丸山、太田
提案(事例調査の発表と集約)
8 月25 日
長野合庁
玉村、高橋、太田
9 月1 日
~
大町合庁
各市町村
9 月3 日
9 月3 日
9 月5 日
9 月5 日
9 月10 日
勝野、太田
活
勝野、玉村、加藤、
山田、太田
玉村、高橋、丸山、
太田、杏っ子の里
(1 名)
玉村、高橋、山田、
丸山、太田、杏っ
子の里(3 名)
スナゴケ現地試験、敷設作業
研究状況等意見交換
目指す施策の方向について、新たなコラボの
提案(事例調査)
スナゴケ現地調査生育状況確認(玉村)
福祉課職員との意見交換
(福祉事業における農業の活用状況について)
報告会に向けたテーマアズバイザーとの意
見交換
玉村、高橋、山田、 目指す施策の方向について、新たなコラボの
丸山、太田、杏っ 提案(事例調査)
子の里(3 名)
スナゴケ現地調査生育状況確認(玉村)
健康福祉部、セルプセンター、市町村、福祉
メンバー
施設等へのニーズの聞き取り調査
県庁健康福
祉部障がい
玉村
者支援課自
立支援係
長野県セル
プセンター 玉村
協議会
大町合庁
メンバー
大町保健福
福祉課、高橋
祉事務所
県庁健康福
祉部障がい
玉村
者支援課自
立支援係
障がい者への農業技術指導にかかる打合せ
(意見交換)
障がい者への農業技術指導にかかる打合せ
(意見交換)
調査結果の検討と、事業内容の検討
福祉課職員との意見交換
(福祉事業における農業の活用状況について)
報告会発表内容についての意見交換
9 月16 日
大町合庁
勝野、高橋、山田、 報告会発表内容の検討
丸山、太田
(事例調査の報告と集約)
9 月22 日
県庁講堂
メンバー全員
9 月30 日
大町合庁
福祉課、勝野、玉
村、高橋、加藤、 ヒアリングの経過と今後の対応について
山田、丸山、太田
10 月1 日
10 月3日
大町市内
長野市
白馬村
勝野、太田、玉村、 福祉施設等との意見交換(北アルプスの風、
山田、丸山
杏っ子、クロスロード白馬)
10 月3 日
県庁農村振
勝野、玉村、太田
興課
健康福祉部、農政部提案内容のヒアリング
10 月27 日
大町市内
北アルプスの風との意見交換
11 月5 日
松本合庁
11 月25 日
小谷村
勝野、高橋、太田
報告会に向けたテーマアドバイザーとの意
見交換
玉村、高橋、太田、
農福連携シンポジウム参加
杏っ子 2 名
スナゴケ作業&研修会の計画
メンバー全員
(神城断層地震により延期)