千葉県総合企画部交通計画課 1.はじめに 2.コミュニティバスとは 県内

県内におけるコミュニティバスの現況について(平成25年度)
千葉県総合企画部交通計画課
1.はじめに
平成14年2月に施行された改正道路運送法による路線バスの参入・退出規制の緩和を
機に、交通需要の少ない地域において不採算路線からの退出が増えはじめました。
こうした状況のなか、路線バスが廃止された地域や、もともと交通空白であった地域に
おける住民の交通手段として、あるいは、高齢者や障害者等の社会参加を促進するため、
公共施設等への利便を確保する交通手段として、市町村等が主体となって運行するコミュ
ニティバスが増加しています。
県では、昨年度に引き続きコミュニティバスの現況(平成25年度)について、市町村
の協力を得て調査を実施しました。本書は、その結果をまとめたものです。
2.コミュニティバスとは
調査に当たっては、コミュニティバスを「市町村等が主体となって、地域内における交
通不便者の交通手段の確保と利便性の向上のため、その運行システムの構築・維持に積極
的に関わっているバス等の運行サービス」と定義づけました。
具体的には、市町村がルート、運賃、ダイヤ等の運行内容を決定し、運行自体は乗合バ
ス事業者が行うもの(狭い意味での「コミュニティバス」)や市町村が乗合バス事業者の
運行する赤字路線を補助するものがあります。
運行形態としては、このほか市町村が電話やインターネット等により事前に希望乗車時
刻の予約を受け付け、予約状況に応じて配車するもの(いわゆる「デマンド型」)もあり
ます。
3.運行状況
平成25年度末現在において、県内54市町村のうち
運行状況(市町村数)
47市町村、約87%の市町村がコミュニティーバスの
の運行に取り組んでいます。
7
47
運行中
0
予定なし
○運行中の市町村
(1)市部
(系統数及び路線総キロは平成25年度末現在、利用者数は平成25年度中の数値)
名称・愛称
市名
路線総キロ
(km)
系統数
利用者数
(人)
千葉市 さらしなバス、おまごバス、いずみバス
市川市 市川市コミュニティバス
3
74.71
141,638
4
36.39
537,510
船橋市 公共交通不便地域解消事業
館山市 廃止路線代替バス
3
10.00
348,583
3
59.68
30,712
2
28.98
6,705
6
199.00
306,765
木更津市 中郷富岡線
野田市 まめバス
茂原市
5
69.96
13,376
9
239.10
243,377
3
18.70
52,588
3
46.10
23,671
20
115.53
91,860
5
27.21
519,995
5
55.73
44,345
4
40.70
10,700
4
29.50
116,129
5
31.30
681,270
16
99.40
65,757
我孫子市 あびバス
鴨川市 大学線、鴨川市コミュニティバス
6
39.82
206,403
7
65.78
53,091
鎌ヶ谷市 コミュニティバス「ききょう号」
4
34.70
78,036
4
57.86
248,524
6
57.47
89,543
2
15.00
1,362,483
2
16.53
75,735
八街市 八街市内循環バス(通称:ふれあいバス)
印西市 ふれあいバス
5
201.80
102,635
6
119.62
224,171
白井市 白井市循環バス「ナッシー号」
富里市 さとバス、富里市デマンド交通
4
99.90
165,770
5
26.00
11,322
9
138.27
43,885
6
130.25
63,609
14
305.00
115,293
5
27.89
94,361
12
198.30
99,228
2
24.00
199 2,740.18
27,937
6,297,007
茂原市市民バス「モバス」、茂原市デマンド交通「ふれあい」
成田市 成田市コミュニティバス、成田オンデマンド交通
佐倉市 佐倉市循環バス、さくらデマンド交通
東金市
旭市
東金市市内循環バス(福岡路線・豊成路線) 東金市デマンド
型乗合タクシー
旭市コミュニティバス
習志野市 ハッピーバス、東習志野・実籾地域バス
柏市
かしわ乗合ジャンボタクシー、かしわコミュニティバス、予約
型相乗りタクシーカシワ二クル
勝浦市 勝浦市民バス
あおばす、コスモス南総、デマンド戸田(実証運行)
市原市 ようろう号(実証運行)
流山市 流山ぐりーんバス
八千代市 八千代市コミュニティバス試行運行
小糸川循環線、中島・豊英線、人見・大和田・神門線、
君津市 君津市デマンドタクシー
富津市役所・君津駅線、湊・富津線、笹毛線、東京湾フェリー
富津市 線、戸面原ダム線、竹岡線
浦安市 おさんぽバス
四街道市 市内循環バス「ヨッピィ」
市営路線バス(富山線、富浦線)、廃止代替路線バス(平群
南房総市 線、丸線)、豊房線、電話予約型乗合タクシー(三芳線、丸山
線)
匝瑳市 匝瑳市内循環バス
佐原循環バス、小見川循環バス、山田循環バス、栗源循環バ
香取市 ス、旭中央病院線、小見川タクシー 他
山武市 山武市基幹バス、山武市乗合タクシー
いすみ市路線バス、いすみシャトルバス、夷隅地域デマンド交
いすみ市 通、岬地域デマンド交通、大原地域デマンド交通(実証運行)
大網白里市大網白里市コミュニティバス
34市
計
(2)郡部
(系統数及び路線総キロは平成25年度末現在、利用者数は平成25年度中の数値)
名称・愛称
町村名
酒々井町 しすいふれ愛タクシー
栄町 栄町循環バス
神崎町 きらきら号
多古町 多古町循環バス、多古-成田空港間シャトルバス、多古町デマンド交通
芝山ふれあいバス、空港シャトルバス、芝山あいあいタクシー
横芝光町循環バス
新にこにこサービス
睦沢町町民巡回バス
長柄町民バス
長南町巡回バス、長南町デマンド交通
御宿号
鋸南町循環バス
13町
34市13町
利用者数
(人)
8
8
3
5
‐
39.60
164.00
138.92
27,723
35,278
9,774
80,656
8
76.80
14,045
3
52.50
5
179.38
1
‐
1
222.00
6
71.00
5
76.00
1
15.00
1
32.00
55 1,067.20
254 3,807.38
120,357
37,059
8,207
2,869
4,913
13,731
1,794
11,969
368,375
6,665,382
東庄町 外出支援巡回バス「おでかけ号」
芝山町
横芝光町
一宮町
睦沢町
長柄町
長南町
御宿町
鋸南町
計
総計
路線総キロ
(km)
系統数
注) 乗合タクシーの場合、路線という概念はありませんが、以下の説明の便宜上、1系統と
計上しています。
※路線総キロ・・・バス路線が開設されている区間の距離をいいます。
※デマンド型交通は、路線総キロに含めておりません。
※系統数・・・・・路線を実際に運行する経路パターンをいいます。
同一路線であっても起点・経由地・終点が異なれば、別々の系統として扱い
ます。
4.系統数の推移状況
平成25年度末までの増加数の多い年度は、19年度が28系統以下多い順に、平成15
年度が27系統、平成17年度が22系統、平成18年度が20系統、平成20年度が19
系統となっています。
路線の開設年度が、平成13年度以降に集中している要因としては、平成14年2月施行の
改正道路運送法による路線バスの退出規制の緩和に伴い、市町村が代替交通としてコミュニティ
バスを導入し始めたためと考えられます。
系統数の推移状況
累計
300
増加数
30
25
250
20
200
15
150
10
100
5
50
0
0
5.路線総キロの推移
路線総キロは、新規路線の開設とともに年々増加
し、21年度には約4,103kmとなりましたが、
22年度以降は、コミュニティバスからデマンド型
交通への切り替えなどの要因から減少傾向にあり、
25年度は約3,807kmとなりました。
路線総キロの推移
km
4,200
4,100
4,000
※デマンド型交通については、路線総キロに
3,900
含めておりません。
3,800
3,700
3,600
3,500
増加数
累計
6.年間収入・支出・利用者数の推移
収入は、運賃のほか広告収入等も加えた総収入です。支出は、人件費、燃料費、車両の
減価償却費等、運行の総経費です。
路線キロの延伸等運行規模の拡大に伴い、各数値とも増加傾向にあります。
年間収入・支出・利用者数の推移
収入・支出(千円)
利用者数(人)
3,000,000
6,800,000
6,600,000
2,500,000
6,400,000
2,000,000
6,200,000
6,000,000
1,500,000
5,800,000
-
1,000,000
5,600,000
5,400,000
500,000
5,200,000
0
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
収入
701,035
724,045
775,632
826,810
862,474
881,542
支出
2,069,254
2,106,958
2,323,134
2,493,399
2,502,297
2,538,348
利用者
5,664,938
5,855,463
6,087,253
6,374,271
6,628,060
6,665,382
5,000,000
収入
支出
利用者
※支出について、一部推計値を用いています。
7.運行内容について(平成25年度の状況)
(1)系統数、運行回数及び車両数
県内全体で、平成25年度末現在254系統が開設されており、この路線へバス車両等が
247両投入され、1日当たり約1,639便運行されています。
1系統当たりでいうと、約1両が投入され、1日当たり約6.45便が運行されていること
になります。
注)運行回数の計上方法
往復型は1往復で1便と計上し、循環型は1循環で1便と計上しています。
また、デマンド交通は含めていません。
(2)運行目的
県内の254系統のうち、乗合バス廃止の代替交通として運行されているのが113系
統、交通空白地帯の解消を目的として運行されているのが196系統、中心市街地を活性
化するために運行されているのが3系統、その他交通利便を確保するために運行されてい
るのが96系統となっています(複数回答)。
(3)運営方式
乗合バス事業者への運行委託が一番多
の補助により運営しているのが72系統
となっています。
また、市町村自ら運行している直営方
運営方式による分類
その他,
20, 8%
く144系統、続いて乗合バス事業者へ
市民, 16,
6%
(運営方式、路線数、割合)
直営, 2,
1%
直営
式が2系統、市民団体が運営し補助を行っ
委託
ているのが16系統となっています。
補助
その他は、社会福祉協議会への運行委託
等で20系統となっています。
補助, 72,
28%
委託,
144,
57%
市民
その他
(4)使用車両
県内のコミュニティバスの運行に用
大きさによる分類
いられている全247両のうち、小型
その他,
66, 27%
車両が81両、中型車両が95両、大
型車両が5両、その他が66両となっ
ています。
※予備車両は除きます。
大型, 5,
2%
中型, 95,
38%
(種類、台数、割合)
小型, 81,
33%
小型
中型
大型
その他
注)・小型:7m以上かつ定員29人以下のバス車両
・大型:9m以上又は定員61人以上のバス車両
・中型:上記以外のバス車両
・その他:バス車両以外の車両(ワンボックス車両等)
(5)運行日
県内の254系統のうち、毎日運行されているのが136系統、平日のみ運行されてい
るのが96系統、1週間のうち特定日のみを運行しているのが22系統となっています。
(6)運賃
県内254系統のうち、100円均一としているのが68系統、150円均一としてい
るのが17系統、200円均一としているのが61系統、300円均一としているのが
16系統で、その他定額の35系統とあわせ約8割の路線で定額となっています。
このほか、高齢者の外出支援等を理由とした無料の路線も14系統あります。
運賃(系統数)
無料, 14
区間制, 43
その他定額,
35
300円均一,
16
100円均一
150円均一
200円均一
300円均一
その他定額
区間制
無料
100円均一, 68
150円均一, 17
200円均一, 61
8.収支状況について 過去5年間の推移(平成20~25年度)
・収支状況
収支状況の推移
(千円)
3,000,000
2,000,000
1,000,000
0
-1,000,000
-2,000,000
収入
収入
支出
収支
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
680,836
724,045
775,632
826,810
862,474
881,542
支出 2,037,722 2,106,958 2,323,134 2,493,399 2,502,297 2,538,348
収支▲ 1,356,886
▲ 1,382,913
▲ 1,547,502
▲ 1,666,589
▲ 1,639,823
▲ 1,656,806
※支出について、一部推計値を用いています。
※収入、支出は年度途中で廃止となった系統も含んでいます。
・収支率
=収入÷支出×100(単位:%)
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
33
34
33
33
34
25年度
35
注)数値が大きいほど好成績であることを示し、100を下回る場合は収入で支出を賄え
ない状態です。例えば、25年度の場合は、100円の支出に対して33円の収入であるこ
とを示しています。
収入、支出の規模は大きくなっていますが、収支率は30%台で推移しています。