シンガポール - SMBCフレンド証券

今さら人に聞けない!!
株式市場には、市場拡大が見込まれる何らかのテーマが常に存在します。ここ
平成 26 年2月 24 日
SMBCフレンド証券 投資情報部
大木登志枝
では、‘何となく知っているものの、ぼんやりとしたイメージしか描けない’シンガ
ポールについて分かりやすく解説します。
シンガポールって、どんな国 ?
シンガポールといえば、マーライオンのイメージの強い方が多いのではないでしょうか。シンガポールは東
京 23 区ほどしかない都市国家ですが、独立以来、著しい経済成長を遂げ、国家競争力では世界トップクラ
スの地位にあります。
シンガポールは東京 23 区ほどの面積の都市国家で、1人当り名目国内総生産(GDP)は約5万 2052 ドルと世界で
第9位(2012 年)、アジアで第1位の裕福な国です。1965 年の独立当時から、強い政府主導のもと、外資を活用して拠
点(ハブ)機能を強化し、産業の育成や高度化を図り、著しい経済発展を遂げました。現在、シンガポールは地域の統
括本部が集まる国際ビジネスセンターであり、アジアの国際金融センターでもあり、製造業・サービス産業を問わずさま
ざまな産業のハブとなっています。
シンガポールの国土と民族・属性
シンガポール共和国(以下シンガポール)はマレー半島の南端、赤道直下に
位置する都市国家で、北をマレーシア、南をインドネシアと海を隔てて近接して
います。面積は約 716 平方キロメートルと東京 23 区とほぼ同じ、人口は約 540
万人(13 年9月)に過ぎません。うち外国人居住者が約 29%(156 万人)を占め
ます。
10 年の国勢調査によると、民族は中国系(74.1%)、マレー系(13.4%)、イン
シンガポール
ド系(9.2%)、その他(3.3%)と多民族で形成されています。宗教は、仏教
(33.3%)、キリスト教(18.3%)、イスラム教(14.7%)、道教(10.9%)、ヒンズー
教(5.1%)などが信仰されています。公用語は英語、中国語、マレー語、タミー
(出所:外務省より投資情報部作成)
ル語ですが、独立前マレーシアの一部であったことから、国語はマレー語で、
ビジネス・行政の場では英語が一般的に使われています。
熱帯雨林を切り開いて建設されたシンガポールは「ガーデンシティ」と呼ばれ、
街の至る所に街路樹や熱帯の花が植えられ美しい景観が保たれています。観
光資源としては、ショッピングやグルメのほかジャングルを利用したアトラクショ
ンがあり、近年ではカジノやエンターテイメントが観光客を引き付けています。
(写真提供:日本アセアンセンター)
シンガポールの政治体制と開発経済
政体は立憲共和制です。国家元首は大統領ですが、象徴的な存在であり外交式典などで儀礼的な役割を担っていま
す。任期は6年で、11 年9月に第7代大統領としてトニー・タン大統領が就任しました。政治的な実権は首相に委ねられ
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ており、現首相は与党人民行動党(PAP)のリー・シェンロン氏です。
議会は一院制で、87 議席、任期5年です。11 年5月の総選挙では、リー・シェン
ロン首相率いるPAPが 81 議席を獲得し政権を維持しました。シンガポールでは、
独立以来PAPが議会で圧倒的多数を占め事実上の一党独裁体制となっていま
す。今回のPAPの得票率は 60.1%と過去最低になり現職閣僚2人が落選し、野
党の労働者党は前回の2議席から6議席へと独立後最大の議席を獲得しました。
これは若年層を中心に与党一党支配体制の修正を求める声が高まってきている
(写真提供:日本アセアンセンター)
ことを反映した結果といえましょう。
シンガポールはイギリスの植民地、日本軍による占領を経て 59 年にイギリスより自治権を獲得し、63 年のマレーシア
成立に伴い、その1州となりました。しかし、その2年後には、マレー人と華人の民族対立を最大の理由として分離し、望
まなかった独立に追い込まれます。独立当時、農業、漁業、天然資源に乏しく、人口、土地、資金が限られ、産業といえ
ば中継貿易だけであり、シンガポールの将来はあんたんたるものでした。当時のリー・クアンユー首相は、吹けば飛ぶよ
うな小さな都市国家を生存させるために、強い指導力で政治・経済の舵をとりシンガポールに繁栄と安定をもたらしまし
た。しかし、この繁栄と安定はPAPによる開発独裁によって実現したのです。変化する経済環境の中で常に危機感をも
って迅速に対応しなければならず、国家にすべての権限が集中する体制下でマスコミ統制や国民生活を管理すること
が行われ、現在に至っています。
「建国の父」リー・クアンユー顧問相と第2代首相であったゴー・チョクトン上級相は首相退任後も閣内に留まって影響
力を持っていましたが、11 年の選挙で閣外に去りました。インドネシアなど他の開発独裁主義国家が民主化を進め「普
通の国」に変化していく中で、シンガポールの政治も転換期に来ているのかもしれません。
シンガポールの国旗とマーライオン
シンガポールの国旗は、赤と白で横2色に分かれ、赤色部分に三日月と5つの星が置かれて
います。赤は友好と平等を、白は美徳と純粋性を、5つの星はそれぞれ民主主義・平和・進歩・
正義・平等の5つの理想の進展を表し、三日月はイスラム教を象徴するばかりでなく、5つの理
想を支える決意を表しています。シンガポールがマレーシア連邦に参加した際作られた州旗が、
(出所:外務省)
新国家独立に際して国旗として採用されています。
国名の「シンガポール」はサンスクリット語で「ライオンの町」を意味します。また、マーライオンは「海」を意味する「マ
ー」と国名の一部の「ライオン」を合わせたもので、シンガポールの象徴となっています。
シンガポールの経済状況
① GDP
シンガポール経済(12 年)は名目GDPが約 2765 億ドルで、日本の埼玉県と同規模です。1人当り名目GDPは約5万
2052 ドルと日本(約4万 6707 ドル)より高く、アジアで第1位、世界でも米国を抜き第9位の裕福な国です。
90 年代に7~10%台の経済成長を続けてきたシンガポールは、97 年のアジア通貨危機後、素早い回復を見せました。
しかし、01 年には米国経済の減速と世界的なIT不況の影響を大きく受け建国以来最低の実質GDP成長率(マイナス
1.2%)を記録します。03 年前半にも、新型肺炎(SARS)の影響により低迷しますが、後半持ち直し 4.6%のプラス成長
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に転換しました。その後は、外需の回復により輸出が拡大し 04 年は 9.2%、05 年は 7.4%、06 年は 8.8%の高成長を達
成します。07 年は、大型リゾート施設などで活況を呈した建設業や金融業がけん引し、8.9%となります。08 年には金融
危機に端を発した景気後退により製造業が不振となり 1.7%に減退し、その影響は 09 年も続きマイナス 1.0%に陥ります。
10 年には外需回復を背景に電気電子やバイオ医薬品といった製造業が回復するとともに、カジノなど総合リゾート施設
の開業による観光施設の拡大によって 14.8%と過去最高の成長を記録しV字回復を果たしました。11 年も 4.9%と堅調
な経済状況でしたが、12 年は世界経済低迷により 1.9%と減速しました。13 年の成長率は、世界経済の緩やかな回復を
受け 4.1%に加速しました。
② 産業政策
シンガポールの産業政策のポイントはハブ機能の強化と外資活用
による産業育成です。外資誘致のため、独立当初より、租税の優遇、
工業用地や労働力の提供を行うなどの政策を実施しました。
シンガポールは、一番手として新技術を開発するのは現実的では
なく、新たな成長産業をいち早く見出し、その分野の先端技術を有す
る海外企業を誘致することで自国の産業育成を図っています。この
(写真提供:筆者撮影)
外資誘致の手法は、今に至るまでシンガポールの産業政策の根幹を
成しています。こうした政策が奏功し、シンガポールの国際競争力は世界でもトップクラスとなっています。たとえば 11 年
にスイスのビジネススクールIMDによると3位、世界経済フォーラムによると2位でした。
シンガポールは、独立直後より、輸出志向工業化を推進し、造船、石油産業などの資本集約型の重厚長大産業や、
食料、輸送、電気機械などの労働集約型産業を発展させます。
80 年代に製造業が不況に陥ると、85 年に政府は国の将来像として国際ビジネスセンターとなることを打ち出し、運輸、
情報通信、観光、金融などサービス産業に新たな
シンガポールの対名目GDP産業構成比(2012年)
活路を見出します。国際ビジネスセンターとは、多
国籍企業の地域統括拠点が集中し、それを支援
するサービス産業が発達している地域のことを言
その他
サービス
10.3%
います。90 年代には、サービス産業に加え、知識
集約型産業の育成のため研究開発機能を強化し
その他
10.6%
製造業
19.4%
建設業・公共
事業
5.7%
ます。2000 年代以降はバイオ医薬、教育、航空
ビジネスサービス業
13.7%
関連産業(航空機の整備・修理に関わる産業)、
水ビジネスの集積も進めています。13 年には、液
卸売・小売業
16.0%
化天然ガス(LNG)のハブとなることを目指し、
金融サービス業
11.1%
LNG 輸入ターミナルの操業を開始しました。
情報通信業
3.6%
③ 主要産業と構成比
シンガポールの産業構成は、部門別では広義
のサービス産業が圧倒的に大きく 64.4%を占め、
運輸・倉庫業
7.3%
ホテル・レストラン業
2.4%
注:グラフ内の点模様部分は工業を、横線部分はサービス産業を示す。
表示単位では、項目の合計と一致しない場合がある。
(出所:JETRO〈原資料はシンガポール統計局など〉データより投資情報部作成)
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工業は 25.1%となっています(注:農林水産業は統計に計上されていません)。サービス産業のなかでは、卸・小売業
(16.0%)が最大であり、次いでビジネスサービス業(13.7%)、金融サービス業(11.1%)、運輸・倉庫業(7.3%)とハブ機
能を持つ産業が続きます。
個別産業別では、製造業が 19.4%と最大の割合を占めます。シンガポールはGDPにおける製造業の割合を 20~
25%前後に保つという方針を貫いています。製造業の中では、エレクトロニクス、化学、バイオ医薬、輸送機械、精密機
器が主要産業となっています。化学産業では、独立直後から育成されてきた石油化学コンビナートへの投資が続いてい
ます。近年急速に成長しているのはバイオ医薬産業です。
観光産業も重要な産業です。80 年代から、政府が中心となって、航空会社、旅行会社、ホテルなどと協力しながら宣
伝活動、会場の整備、コスト面での支援を提供し観光振興を図っています。国際ビジネスセンターになるべく整備してき
た空港インフラやノウハウを活用し、コンベンション誘致にも注力しました。11 年には国際会議の件数で、都市別だけで
なく国別でも世界第1位となりました。近年は、イベントやエンターテイメント関連の観光資源が増加しています。08 年に
はF1を開催し、10 年には、マリーナ・ベイ・サンズとリゾーツ・ワールド・セントーサの大型カジノ施設、ユニバーサル・ス
タジオがあいついで開業しました。シンガポールを訪問する外国人観光客は、12 年に約 1450 万人と人口の約 2.7 倍に
達しています。
国際金融センター指数の総合および分野別トップ5
シンガポールはアジアを代表する金融センタ
ーでもあります。国際決済銀行の 10 年調査に
よると、外国為替取引高では、イギリス、米国、
日本に次いで世界第4位です。金融街には、
世界の主要銀行、証券会社、生命保険会社、
損害保険会社、資産運用会社、ベンチャーフ
総合
1
2
3
4
5
資産運用
ロンドン
ロンドン
ニューヨーク
ニューヨーク
香港
シンガポール
シンガポール
香港
チューリッヒ
東京
6位
5位
*
(注)*は東京の順位を示す。
(出所: Z/Yen, “The Global Financial
銀行
ニューヨーク
ロンドン
香港
シンガポール
ソウル
6位
保険
ニューヨーク
香港
ロンドン
シンガポール
チューリッヒ
8位
専門サービス
政府と規制
ロンドン
ニューヨーク
香港
シンガポール
チューリッヒ
9位
ロンドン
ニューヨーク
香港
シンガポール
ジュネーブ
7位
Centres Index 13” March 2013 より投資情報部作成)
ァンドなどが集積しています。12 年1月 17 日現在、773 社の金融機関がシンガポールに拠点を設けています。シンガポ
ール政府は、68 年という早い時期にアジア・ダラー市場を創設し、近隣諸国のマネーを取り込みながらオフショア市場を
拡大しました。80 年代後半には、国際的な資産運用拠点と位置付ける政策を打ち出しました。現在、欧米やアジアから
シンガポールに流入した資金が世界の国々に投資されています。イギリスのシンクタンクZ/Yen が 13 年3月に発表し
た国際金融センター指数(GFCI)をみると、シンガポールは総合順位が世界で4位、資産運用では世界3位、アジアで1
位となっています。
④ 貿易
シンガポールの貿易は、12 年に輸出が前年比 0.9%減の 5103 億 2940 万シンガポールドル(以下Sドル)、輸入が同
3.2%増の 4745 億 5420 万Sドルで、357 億 7520 万Sドルの貿易黒字となりました。13 年は輸出が同 0.6%増の 5133 億
9100 万Sドル、輸入が同 1.6%減の 4667 億 6220 万Sドル、貿易黒字は同 30.3%増の 466 億 2880 万Sドルでした。
シンガポールは中継貿易機能を持つため、再輸出(輸入した財を輸出すること)の規模が大きいという特徴がありま
す。11 年の輸出総額に占める地場輸出の割合は 54.7%と過半を占めています。同様に中継貿易地を持つ香港では地
場輸出の割合はわずか 3.7%(10 年)に過ぎず、シンガポールにおいて製造業が発達していることが表れています。
輸出(再輸出を含む総額ベース、12 年)を品目別にみますと、半導体等電子製品類を含むIT製品(34.1%)が最大の
割合を占めますが、伸び率は前年比 1.5%減でした。2位は石油製品(18.3%)、3位は化学品(14.0%)でした。
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シンガポールの品目別貿易額
一般機械
IT製品
精密機器
輸送機器
化学品
食料品
石油製品
繊維製品
卑金属・同製品
総額
2011年
金額
71,413
176,774
16,684
20,037
69,061
10,479
100,867
2,563
14,129
514,741
輸出
2012年
金額
構成比
71,350
14.0
174,090
34.1
19,313
3.8
18,507
3.6
71,563
14.0
10,580
2.1
93,207
18.3
2,678
0.5
13,490
2.6
510,329
100.0
伸び率
▲ 0.1
▲ 1.5
15.8
▲ 7.6
3.6
1.0
▲ 7.6
4.5
▲ 4.5
▲ 0.9
2011年
金額
61,772
127,804
14,173
17,392
36,738
14,171
149,365
4,260
20,816
459,655
輸入
2012年
金額
構成比
63,139
13.3
129,404
27.3
15,123
3.2
18,547
3.9
37,070
7.8
14,134
3.0
154,175
32.5
4,231
0.9
19,448
4.1
474,554
100.0
伸び率
2.2
1.3
6.7
6.6
0.9
▲ 0.3
3.2
▲ 0.7
▲ 6.6
3.2
※ 単位:100万Sドル、%
(注)その他を含まないため項目の合計と総額は一致しない。
(出所: JETRO<原資料はシンガポール貿易統計>データより投資情報部作成)
輸入を品目別にみると、トップは石油製品(32.5%)で、2位がIT製品(27.3%)となっています。
輸出先をみますと、地域別構成比ではアジア大洋州が 61.9%と圧倒的に大きく、うちASEANは 31.8%を占めました。
EU27 は 9.0%、北米は 6.1%に過ぎません。国別構成比をみるとマレーシアが 12.3%と最大で、次いで中国(10.8%)、
インドネシア(10.6%)、米国(5.4%)、日本(4.4%)と続きます。
輸入も輸出同様、アジア大洋州が 55.9%と最大で、うちASEANは 21.0%でした。次いで中東(13.8%)、EU27
(12.6%)、北米(11.0%)と続きます。石油製品が最大の輸入品目であるため中東の割合が高くなっています。
シンガポールは、多くの国と自由貿易協定(FTA)を締結しており、貿易相手国としてASEAN、中国のほか韓国やイ
ンドのプレゼンスが高いのはFTAに基づく関税引き下げ効果により貿易が活発化していることが考えられます。
シンガポールの主要国・地域別貿易額
輸出
輸入
2011年
2012年
2011年
2012年
金額
金額
構成比
伸び率
金額
金額
構成比
伸び率
アジア大洋州
315,343
316,011
61.9
0.2
257,251
265,059
55.9
3.0
日本
23,120
22,609
4.4
▲ 2.2
32,964
29,539
6.2
▲ 10.4
中国
53,651
54,873
10.8
2.3
47,748
48,950
10.3
2.5
香港
56,777
55,900
11.0
▲ 1.5
3,994
3,637
0.8
▲ 8.9
19,459
20,713
4.1
6.4
27,318
32,025
6.7
17.2
韓国
ASEAN
160,285
162,238
31.8
1.2
98,159
99,730
21.0
1.6
マレーシア
62,835
62,869
12.3
0.1
49,167
50,501
10.6
2.7
インドネシア
53,777
54,131
10.6
0.7
24,246
25,228
5.3
4.1
タイ
17,645
19,500
3.8
10.5
14,270
12,675
2.7
▲ 11.2
ベトナム
12,835
12,944
2.5
0.9
2,085
2,807
0.6
34.6
フィリピン
8,506
7,920
1.6
▲ 6.9
7,793
7,547
1.6
▲ 3.2
インド
17,654
13,593
2.7
▲ 23.0
17,771
16,213
3.4
▲ 8.8
台湾
18,356
18,058
3.5
▲ 1.6
27,333
31,601
6.7
15.6
EU27
48,528
46,089
9.0
▲ 5.0
57,901
59,587
12.6
2.9
中東
9,602
10,869
2.1
13.2
54,966
65,514
13.8
19.2
7,708
8,495
1.7
10.2
52,426
60,096
12.7
14.6
湾岸諸国会議
北米(NAFTA)
32,972
31,256
6.1
▲ 5.2
53,385
52,046
11.0
▲ 2.5
米国
27,638
27,445
5.4
▲ 0.7
49,050
48,201
10.2
▲ 1.7
アフリカ
5,726
11,077
2.2
93.4
1,474
2,230
0.5
51.2
中南米
24,238
22,938
4.5
▲ 5.4
13,968
14,044
3.0
0.5
世界
514,741
510,329
100.0
▲ 0.9
459,655
474,554
100.0
3.2
※ 単位:100万Sドル、%
(注)アジア大洋州はASEAN+6(ASEAN、日本、中国、韓国、豪州、NZ、インド)に台湾を加えた合計値。
その他を含まないため項目の合計と世界の数字は一致しない。
(出所: JETRO<原資料はシンガポール貿易統計>データより投資情報部作成)
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外国人労働者問題
人口が限られているなか、外国人労働者を積極的に受け入れていることで経済
発展を実現してきたシンガポール。その外国人労働者の急激な増加が問題になっ
ています。総人口は、01 年は約 414 万人だったのが、11 年に約 518 万人と 100 万
人以上増加しました。この増加をけん引したのが外国人労働者です。政府の積極
的な外国人労働者の誘致策は高い経済成長を支える一方、住宅価格の高騰や交
通渋滞、所得格差の拡大などの要因となり、国民からの反発が生じているといわれ
ています。
政府は 10 年、国民の労働生産性を引き上げるため、外国人労働者への過度な
依存を抑制し、外国人労働者を全労働人口の3分の1に抑えるという目標を設定し
ました。これを受け、政府は低熟練労働者から幹部職、永住権に至るあらゆるレベ
ルの外国人の受け入れ基準を徐々に厳しくしています。しかし、規制強化により、経
(写真提供:日本アセアンセンター)
済成長率の鈍化、人件費の高騰などを招くとの批判的な意見があります。
また、日本同様、シンガポールは高齢化が進みつつあり、シンガポールが経済発展を維持するには外国人労働者は
今後も不可欠です。経済発展を優先し外国人労働者の受け入れを促進するのか、国民優先で外国人流入を規制し経
済成長鈍化を受け入れるのか、政府は、難しい舵取りを迫られています。
また、外国人労働者は新たな問題を提起しています。12 年 11 月 26 日に中国人のバス運転手が賃上げを要求してス
トライキを決行しました。シンガポールでストライキが発生したのは 26 年ぶりのことです。ストライキは法律違反と見なさ
れ、ストライキの参加者は逮捕されたり、労働許可を取り消され中国に送還されました。原因は、マレーシア人運転手に
比べ賃金が低いことで、今後こうした事案が増加するとの見方もあります。
外国人労働者によるストライキ強行は、シンガポール国家体制そのものへの批判といえましょう。これまでシンガポー
ルは、国民を厳格に管理する政治体制の上に国家主導型で高度経済成長を遂げてきました。その背景には、シンガポ
ールのような小国が生き延びるには、国際経済の必要に合わせて迅速に対応し他国の先を行かねばならず、国家にす
べての権限が集中する体制が不可欠だったのです。これまで、こうした体制によって豊かな生活がもたらされたと認識し
ている国民からは批判は起こりませんでした。しかし、11 年の選挙結果から明らかなように、国民の間にも政府に対す
る不満がくすぶっており、外国人労働者問題によって顕在化する可能性があります。
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まとめ
一般事情
1.面積
716 平方キロメートル(東京 23 区(約 700 平方キロメートル)とほぼ同じ)
2.人口
約 540 万人(うちシンガポール人・永住者は 384 万人)(13 年9月末)
3.民族
中国系 74%、マレー系 13%、インド系9%、その他3%
4.言語
国語はマレー語。公用語として英語、中国語、マレー語、タミール語
5.宗教
仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教
政治体制・内政
1.政体
立憲共和制(1965 年8月9日成立)<英連邦加盟>
2.元首
大統領(任期6年。トニー・タン現大統領は、2011 年9月、第7代大統領として就任。)
3.議会
一院制。選出議員数 87(任期5年)(与党:人民行動党 81 議席、労働者党6議席)
4.政府
首相名:リー・シェンロン(人民行動党[PAP])
外相名:K・シャンムガム(人民行動党[PAP])
経済
1.主要産業
製造業(エレクトロニクス、化学関連、バイオメディカル、輸送機械、精密機械)、商業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業
2.名目 GDP
2765 億ドル(12 年)、2874 億ドル(13 年、IMF推計値)
3.1人当り名目 GDP
5万 2052 ドル(12 年)、5 万 2918 ドル(13 年、IMF推計値)
4.経済成長率
1.9%(12 年)、4.1%(13 年)
5.物価上昇率
4.6%(12 年)、2.4%(13 年)
6.失業率
2.0%(12 年)、1.9 年(13 年)
7. 通貨
シンガポールドル(以下「Sドル」)
8.総貿易額
(1)輸出 5103 億 2940 万Sドル(12 年)、5133 億 9100 万Sドル(13 年)
(2)輸入 4745 億 5420 万Sドル(12 年)、4667 億 6220 万Sドル(13 年)
(出所: 各種資料より投資情報部作成)
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平成 26 年2月 24 日
SMBCフレンド証券 投資情報部
大木登志枝
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