いちごのハダニの簡易密度推定法

いちごのハダニの簡易密度推定法
1 試験のねらい
いちごハウス内のハダニ密度を知ることは防除対策上重要なことであるが,ハウス内の分布が
極めて集中的であることが多く,多数の標本が必要であること,ハダニが小さくて見づらいこと,
一枚の葉に多数寄生するなどの理由で調査を困難にしている。そこで,寄生葉率と密度の関係を
明らかにし,寄生葉率から密度を推定する方法を検討した。
2 試験方法
昭和58年1月11日保温開始の半淀成栽培ハウス4棟(品種,ダナー)を対象に,保温開始
から10日問隔でハウスごとのハダニ(ナミハダニが優占)密度と寄生葉率を求め,両老の関係
を求めた。標本数は各ハウスとも100小葉を抽出し,寄生する雌成虫数を数えた。得られたデ
ータは36であるが,それぞれを独立とみなして Gerrad and Chiangの提唱した式にあ
てはめた。
λ_α/一伽(1−p)〕β
3 試験結果及ぴ考察
各調査日のハウスごとの寄生葉率(P)を加g〔一加(1−P)〕とし,平均密度を五〇gxと
して調査時期別に両老の関係をみると表一1のようになる。βの値は1.2−1.4と比較的安定し,
適合率(r2)も高い。したがって,保温開始から収穫末期までを通して,両者の関係は安定して
いると考えられる。
ハウスごとの両老の関係をみると,表一2のようになる。Cハウスのα,βの関係は他のハウ
スと異なり,適合率も悪い。これは,Cハウスが終始,低密度で経過したためと考えられる。ハ
ウス問のばらつきはあるものの,全体のデータをまとめて両老の関係をみると,
五。g三一・.…1+・.・…五・g〔一加(トp)〕・一… 2一・・…
が成立し,適合率も比較的高い。この関係式を利用して,ハウス内の寄生葉率を調査すれば,小
葉当たりの平均密度を推定することができる。
寄生葉率(P)と平均密度(刎)の問に 分=a〔一五n(1−P)〕bが求められる時
分散・(倫)は・(余)一÷・缶/…1一必・(・一・)b一’〕2
このととの必要標本数・は・一片で求めら帆
一41一
全体のデータから得られた 分=0.9631{一加(1−P)}13536 q=700から,
相対精度(D)=0.2及び0.3の場合の必要標本数を求めると,高密度時,たとえば刎=4の時
はD=O.2で100枚,D=0.3で50枚程度の標本数で済むが,低密度時ではかなり多数の標本
数が必要となる。したがって,寄生葉率からの密度推定は,多発したハウスでいちいちハダニを
数えるのが困難な場合に使うのが良いと考えられる。
4 成果の要約
表一1 調査時期別
ハウス内のハダニ密度は,寄生葉
率(P)を調べただけで,
調査時期 α β
0.795 12
3月 O.9974 1.3791
0.792 12
4月 O.9540 1.4709
0.961 12
1.3536五〇g〔一Zn(1−P)〕
の式で推定できる。
枚程度で良いが,低密度時では更に
標本数を増加させる必要がある。ま
表一2
ハウス別 λ二α〔一Zn(1≒P)〕βの関係
β r2 n
ハウス名 α
A
B
C
D
た,結果も不安定なのでこの式は高
密度時に使用すると良い。
(担当者病虫部合田健二)
表一3
r n
1∼2月 1.0296 1.2859
40gX=O,9631+
標本数は高密度時では100∼50
λ=α〔■必n(1−P)〕βの関係
O.7078
1.0632
0.912
0.9218
1.3461
0.801
0.2775
0.9420
0.154
1.3717
1.6936
0.942
小葉でみた寄生葉率(P)と平均密度推定値(分)の関係
P 刎
P 刎 P
O.018
10
0.437
40
3.700
0.047
12
0.567
45
4.578
0.081
14
0.710
50
5.593
0.12工
16
0.864
55
6.774
O.165
18
1.029
60
8.160
0.212
20
1.206
65
9.810
0.263
25
1.701
70
11.809
0.318
30
2.257
80
17.493
0.357
35
2.938
90
28,405
一42一
9
9
9
9一