第3~4章〉(PDF:551KB

3 今後の取組の方向性
(1) 周産期母子医療センター等の医療機能の確保と連携の充実
①施策の方向性
●
限られた医療資源を有効に活用して,安全で良質な周産期医療を提供するために,周
産期母子医療センター等,地域の拠点病院を中心に各医療機関の機能分担を図り,分娩
リスクに応じた医療が提供できるよう努めます。
● このため,周産期母子医療センター等の医療機能の確保に努めるとともに,各医療機
関等関係機関における連携の充実を図ります。
②取組内容等
ア 周産期母子医療センター等の医療機能の確保
(ア) 周産期医療に必要な病床
○
本県には,平成26年4月1日現在,54床(鹿児島市立病院36床,鹿児島大学病院9床,
今給黎総合病院9床)のNICUが設置されており,平成25年度の稼働率は,県全体で
約77%となっています。
○
本県においては,これらの病院を中心に各医療機関の連携のもと,24時間体制で患者
の緊急搬送が受け入れられています。
○
国が指針で定める「出生1万に対して25∼30床」の目標や,平成19年度厚生労働科学
研究「NICUの必要病床数の算定に関する報告書」の「稼働率は80%が妥当」との内
容を踏まえると,本県のNICUは,一定の水準を確保しており,今後ともその維持に
努めます。
○
また,平成26年4月1日現在で,鹿児島市立病院に6床のMFICUが設置されてお
りますが,今後とも,鹿児島大学病院とともに,リスクの高い妊婦の出産に対応するよ
う努めることとします。
(イ) 総合周産期母子医療センター
○
総合周産期母子医療センターは,本県の周産期医療システムの中核として,周産期医
療施設と連携し,母体・胎児にリスクの高い妊娠に対する医療や高度な新生児医療など
総合周産期医療が提供されるよう努めることとします。
(ウ) 地域周産期母子医療センター
○
地域周産期母子医療センターは,今後とも,地域の拠点病院として,地域の周産期医
療関連施設や総合周産期母子医療センターとの連携を図り,人工換気装置を用いた呼吸
管理や痙攣に対する常時の治療,糖尿病等を有するハイリスク妊婦の分娩など比較的高
度な医療が提供されるよう努めることとします。
27
(エ) 地域周産期医療関連施設
○
地域周産期医療関連施設は,主に正常な分娩や他の医療機関との連携によるリスクの
低い帝王切開術への対応,妊婦健康診査等を行いますが,これらの施設においては,地
域の実情を踏まえながら,総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターと連
携し,機能が維持されるよう努めることとします。
イ 周産期医療関連施設の連携の充実
○
限られた医療資源を有効に活用し,安心して安全に子どもを生み育てる環境づくりを推
進するため,鹿児島市立病院や鹿児島大学病院,県医師会等関係機関との連携を図りなが
ら,周産期医療関連施設の機能分担を推進し,施設間の連携の充実に努めます。
○
また,退院した障害児等の生活の場での療養・療育を支援する体制を提供するため,療
養・療育支援施設との連携体制等について検討します。(療養・療育支援施設との連携に
ついての詳細は「(4)NICU等への長期入院児に対する支援」に記載)
表20
周産期医療の機能分担(参考例)
【地域周産期医療関連施設】
【地域周産期母子医療センター】 【総合周産期母子医療センター】
【療養・療育支援施設】
母体・児におけるリスクの高い
正常分娩(日常の生活・保健指導,
機
周産期に係る比較的高度な医療 妊娠に対する医療,高度な新生 退院した障害児等の生活の場で
新生児の医療相談を含む。)
能
児医療
の療養・療育への支援
●正常分娩の対応
●妊婦健診を含めた分娩前後の診療
●他医療機関との連携によるリスク
目 の低い帝王切開術の対応
標
●周産期に係る比較的高度な医
療行為
●24時間体制での周産期救急
医療(緊急手術を含む)
●母体・児にリスクの高い妊娠
に対する医療及び高度な新生児
医療
●周産期医療システムの中核と
しての地域の周産期医療施設と
の連携
●周産期医療情報センター
●周産期医療施設を退院した障
害児等の生活の場での療養・療
育を支援する体制の提供
●在宅で療養・療育している児
の家族に対する支援
●産科・産婦人科の病院・診療所
医 ●助産所
療
機
関
例
●今給黎総合病院
●済生会川内病院
●県民健康プラザ鹿屋医療センター
●県立大島病院
●鹿児島市立病院
●鹿児島大学病院
(地域周産期母子医療センター)
●小児科の病院・診療所
●在宅医療を行う診療所
●医療型障害児入所施設 等
●産科に必要とされる検査,診断,
治療の実施
●正常分娩の安全な実施
●他の医療機関との連携による,合
併症や,帝王切開術その他の手術へ
求 対応
め ●妊産婦のメンタルヘルスの対応
ら
れ
る
事
項
●産科及び小児科(新生児医療
を担当するもの)を有すること
●緊急帝王切開術等比較的高度
な医療を提供することのできる
施設
●新生児病室等
●産科及び小児科において、そ
れぞれ24時間体制を確保する
ために必要な職員
●産科において,帝王切開術が
必要な場合30分以内に児の娩
出が可能となるような医師及び
その他の各種職員
●産科及び小児科,麻酔科その
他の関係診療科目を有すること
●母体・胎児集中治療管理室
(6床以上)
●新生児集中治療管理室
(9床以上)
●後方病室 ●ドクターカー
●検査機能 ●輸血の確保
●母体・胎児集中治療管理室及
び新生児集中治療管理室の,24
時間診療体制を適切に確保する
ために必要な職員
●周産期医療情報センター
●人工呼吸器の管理が必要な児
や,気管切開等のある児の受け
入れ
●児の急変時に備えた,救急対
応可能な病院等との連携
●医療、保健及び福祉サービス
(レスパイトを含む。)の調整
●自宅以外の場における,障害
児の適切な療養・療育の支援
●家族に対する精神的サポート
等の支援
●自宅への訪問看護の充実
28
③具体的な施策
施策の目標
ア
周産期母子
医療センタ
ー等の医療
機能の確保
イ
周産期医療
関連施設の
連携の充実
具体的施策
周産期医療対
策事業の実施
具体的施策の概要
○周産期母子医療センターに運営費等の補助を行うことによ
り,周産期死亡,新生児死亡の低減並びに産科医療体制の充
実を図る。
○周産期医療協議会を開催して,周産期医療体制整備計画の
進捗管理や体制整備等について検討する。
地域医療再生
計画の推進
○地域医療再生計画に基づき,関係医療機関の診療及び救命
救急の機能を強化する。
設備の整備
○周産期母子医療センター等の整備について要望があった場
合は,国の補助制度の活用等について検討する。
県保健医療計
画・地域医療
連携計画の推
進
○「県保健医療計画」に基づき,各地域ごと切れ目のない医
療を適切に受けられる体制が整備され,県民が安心して効率
的に医療を受けられる地域社会の形成を目指す。
○二次保健医療圏域ごとに策定した地域医療連携計画を踏ま
え,6小児科・産科医療圏域を基礎として,各地域の実情に
応じて,医師会,市町村,保健所等関係機関が周産期医療の
連携について検討する。
NICU等へ
の受入に係る
連携の充実等
○NICUを有する鹿児島市立病院,鹿児島大学病院等の新
生児及び母体受入体制に係る連携体制の充実を図る。
○ハイリスク妊婦等リスクの高い分娩に対応するため,平時
から,産科関係機関の連携体制の充実を図る。
○鹿児島市立病院は,離島の医療機関や地域周産期母子医療
センター等の要請に応じて,緊急時の医師の派遣や技術的助
言等を行う。
セミオープン
(オープン)
システム※27,28
の検討
○分娩取扱医療機関が減少し,今後,地域で出産ができる体
制を維持することが困難になった場合等は,選択肢の1つと
して,セミオープン(オープン)システムの導入について検
討する。
29
(2) 周産期医療関連施設の人材の確保と育成
①施策の方向性
●
周産期母子医療センター等の地域の拠点病院や,正常な分娩を取り扱う地域の周産期
医療関連施設の機能を確保するため,医師や助産師等人材の確保や育成等に努めます。
● このため,医師不足がより一層深刻化している状況等を踏まえ,将来にわたって医師
を安定的に確保するため,総合的な医師確保対策等に取り組むとともに,地域の取組を
支援します。
● また,助産師・看護師等の確保や育成等についても,その充実に努めます。
②取組内容等
ア 地域医療を担う医師の養成・確保
○
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると,産婦人科・産科の医師数は,
平成18年から徐々に増加していますが,地域偏在が有り,医師の高齢化や若手医師の就業
率の低さ等から,10年後の本県の医師数は10%以上減少するとの試算が出されています。
(「日本産科婦人科学会会員の勤務実態調査」(H26)より)
○
本県の産科医療体制については,現場の医師に過大な負担がかかっており,また,本県
の半数以上の医療機関が,将来的な医師の確保が課題であると考えていることから,将来
にわたって医師を安定的に確保するため,総合的な医師確保対策に努めます。
また,地域の産科医療体制確保のための取組を支援します。
イ 勤務環境の改善等
○
医師不足の一因である勤務医の過重な負担を軽減するため,分娩手当等の支給を通じた
勤務環境の改善に取り組む医療機関に対する支援を行います。
ウ 地域における医療課題の解決
○
救急医療や地域医療の確保など,地域における医療課題の解決を図ることを目的に設置
された地域医療再生基金※29を活用し,医師確保対策や地域医療支援方策の検討を踏まえた
取組を推進します。
○
地域における医療及び介護の総合的な確保を図るために創設された地域医療介護総合確
保基金※30を活用して,医療従事者の確保等地域の医療課題の解決に向けた取組を推進しま
す。
エ 助産師・看護師等の確保・育成
○
助産師・看護師等の確保・育成を図るため,看護職員養成施設に在学する学生又は生徒
への修学資金の貸与のほか,高度な専門知識の習得や技術の向上を図ることを目的とした
研修会の実施や,潜在助産師の再就業を支援する取組等を進めます。
また,鹿児島市に助産師・看護師が集中していることから,鹿児島市以外の地域で就業
する助産師に対する修学資金を拡充するなど,地域偏在の改善を図ります。
○
助産師就業の偏在解消や実習施設確保,実践能力の向上等を図るため,県内医療機関間
での助産師の出向や就業の偏在把握等の取組を支援します。
30
オ 地域の産科医療体制の確保支援
○
分娩取扱医療機関の減少や,産科医・助産師の不足・地域偏在等が問題となっており,
特に大隅・南薩・北薩・離島地域については,産科医療体制の確保が困難となっています。
このような中,大隅地域においては,地元市町村と市・郡医師会,医療機関,消防等に
よる協議会を定期的に開催し必要な対策を検討するなど取組を行っているほか,南薩・北
薩・離島地域についても地元市町村や県医師会等の関係団体による検討が進められていま
す。
県としても,このような地域の取組を推進するため,助言を行うとともに,産科医等を
確保するための財政的支援を行っていきます。
③具体的な施策
施策の目標
ア
地域医療を
担う医師の
養成・確保
具体的施策
医師修学資金
の貸与
ドクターバン
クかごしまの
運営
臨床研修医確
保対策の実施
イ
勤務環境の
改善等
分娩取扱機関
に対する分娩
手当の一部助
成
NICUを有する
医療機関に対
する手当の一
部助成
地域医療支援
センター設置
事業
ウ
地域におけ
る医療課題
の解決
エ
助産師・看
護師等の確
保・育成
看護職員修学
資金の貸与
具体的施策の概要
○医師修学資金を貸与し,離島・へき地の公的医療機関に勤
務する医師を確保する。
○県外在住医師等に対するU・I・Jターンの促進や,医療
機関に対する医師の斡旋,女性医師の復職支援等を行う「ド
クターバンクかごしま」を運営する。
○県内の臨床研修病院等で構成する「鹿児島県初期臨床研修
連絡協議会」と一体となって,県内での合同説明会の開催や,
県内外の医学生に対する県内就業の働きかけなどに取り組む。
○地域医療研修特別顧問を配置して,県内の臨床研修病院と
の連携強化を図り,臨床研修医の確保及び県内定着を図る。
○県内の基幹型臨床研修病院で初期臨床研修を行う1年目の
医師に対して研修奨励金を支給する。
○県内医療機関で特定診療科(小児科,産科,麻酔科)に係る
後期(専門)研修を受ける医師に対し,研修奨励金を支給する。
○産科医等の処遇を改善し,その確保を図るため,分娩手当
を支給する分娩取扱機関に対する費用の一部補助を行う。
○過酷な勤務状況にある新生児医療担当医(新生児科医)の処
遇を改善し,その確保を図るため,NICUに入る新生児を担当
する医師に手当を支給する医療機関に対する費用の一部補助
を行う。
○効率的・安定的な医師派遣体制を構築するため,鹿児島大
学に,医師派遣の総合相談窓口となる地域医療支援センター
を設置する。
○看護職員等の確保とその定着を図るために,県内の看護職
員等の確保が困難な施設等において,将来看護職員等として
業務に従事しようとする看護職員等養成施設に在学する学生,
生徒に対して,修学資金を貸与する。
○看護職員等の地域偏在を改善するため,鹿児島市以外の地
域で就業する助産師に対する修学資金を拡充する。
31
エ
助産師・看
護師等の確
保・育成
看護職員の資
質向上に対す
る支援
母子保健従事
者研修事業
○看護職員の知識及び技術の向上を図ることを目的に,県内
に就業している保健師,助産師,看護師及び准看護師を対象
とした研修会や講習会を開催する。
○保健所,市町村,関係機関等,地域で母子保健に従事して
いる保健師,助産師,看護師等に対し,各地域の課題に即し
た研修を行う。
潜在助産師の
○就業していない助産師を対象に,最新の産科医療等の現状
再就業支援
や安全管理等の講義・演習,実習を行うことにより職場復帰
を支援する。
助産師出向事
○助産師就業の偏在解消や実習施設確保,実践能力の向上等
業の支援
を図るため,県内医療機関間での助産師の出向や就業の偏在
把握等の取組を支援します。
オ
産科医療体制
○産科医療体制の確保が困難な地域において,産科医や助産
地域の産科
確保のための
師等を確保するために人件費等の補助を行う市町村に対して
医療体制の
地域支援
助成を行う。
確保支援
32
(3) 周産期搬送体制の充実
①施策の方向性
●
出産時の急変等に対応するため,母体及び新生児の救急搬送体制の充実・強化に努め
ます。
● 本県においては,搬送の手段として,救急車,新生児用ドクターカー,ドクターヘリ,
消防・防災ヘリ等を活用し,また,必要に応じて,沖縄県ドクターヘリや自衛隊に出動
を要請していますが,今後もこれらを有効に活用するため,関係機関との連携のより一
層の充実に取り組みます。
②取組内容等
ア 緊急時の母体・新生児搬送体制の確保
○
緊急時の対応として可及的速やかに帝王切開や緊急手術等ができるよう,関係機関連携
のもと,迅速に母体搬送を行う体制の確保に努めます。
○
母体の救命率の向上や後遺症の軽減等を図るため,必要な治療を行いながら,医療機関
に短時間で搬送ができるドクターヘリの活用を進めます。
○
新生児についても,鹿児島市立病院の新生児用ドクターカーを中心に,関係機関連携の
もと,迅速に搬送を行う体制の確保に努めます。
○
また,新幹線等の公共交通機関が円滑に利用できるよう,その利用方法等についての周
知等を図ります。
○
現在,離島・へき地における重篤患者の搬送については,ドクターヘリ,消防・防災ヘ
リや自衛隊ヘリ等により救急搬送が行われていますが,今後とも関係機関との連携のもと,
搬送体制の整備に努めます。
○
奄美地域については,沖縄県ドクターヘリや沖縄の陸上自衛隊ヘリによる救急搬送が円
滑に行えるよう,今後とも関係機関との連携強化に努めるとともに,導入を予定している
奄美ドクターヘリの活用を検討します。
イ 関係機関の連携強化
○
搬送に係る医師の負担を軽減し,できるだけ速やかに搬送が行えるよう,新生児・母体
に係る情報,搬送の手段,搬送を要請する方法,輸血用血液製剤の供給体制,受入可能な
医療機関等に関する情報の医療機関等への周知・共有化等に努めます。
○
本県と隣接県における母体及び新生児の搬送・受け入れの状況を踏まえ,県境を超えた
搬送が円滑に行われるよう,隣接県との情報共有や相互支援体制の構築など,連携の強化
に努めます。
○
母体救命においては,大量の輸血用血液が必要になることもあることから,輸血用血液
製剤の供給体制や搬送体制の確保に努めます。
33
③具体的な施策
施策の目標
ア
緊急時の母
体・新生児
搬送体制の
確保
具体的施策
ドクターヘリ
の活用
イ
新幹線等の公
共交通機関の
利用
新生児・母体
具体的施策の概要
○重篤患者を緊急に医療機関に搬送する必要がある場合に,
ドクターヘリを活用し迅速な搬送を行い,母体の救命率の向
上等を図る。
○徳之島,沖永良部島,与論島の緊急症例については,沖縄
県の協力を得て,沖縄県ドクターヘリの活用等を図る。
○重篤患者の搬送について,必要に応じて引き続き,消防・
防災ヘリを活用し,迅速な搬送を行う。
○十島村以北の離島においては,消防・防災ヘリやドクター
ヘリの運航ができない夜間など,他に搬送手段がなく,重篤
患者を緊急に医療機関に搬送する必要がある場合に,鹿屋の
海上自衛隊ヘリに出動を要請し,患者の迅速な搬送を行う。
○奄美大島以南の離島においては,消防・防災ヘリやドクタ
ーヘリの運航ができない夜間など,他に搬送手段がなく,重
篤患者を緊急に医療機関に搬送する必要がある場合に,沖縄
の陸上自衛隊ヘリに出動を要請し,患者の迅速な搬送を行う。
○新幹線等の公共交通機関の利用について,必要な場合に円
滑に利用できるよう,平時から,その利用方法や活用事例等
の周知に取り組む。
○新生児・母体搬送等に係る医療機関間及び搬送機関等との
関係機関の
搬送等に係る
情報の共有化についての検討に取り組むとともに,関係機関
連携強化
情報の共有化
への周知を図る。
隣接県との連
○隣接県との医療資源等の情報の共有や相互支援体制の構築
携強化
など,県境を越えた搬送・受入が円滑に行われるための連携
沖縄県ドクタ
ーヘリの活用
消防・防災ヘ
リの活用
海上自衛隊ヘ
リ(鹿屋)の
出動要請
陸上自衛隊ヘ
リ(沖縄)の
出動要請
体制の充実を図る。
○特に,沖縄県との連携については,鹿児島市立病院による
受入調整体制を維持し,円滑な搬送体制の確保に努める。
輸血用血液製
○県赤十字血液センター又は血液製剤備蓄所(県内8ヶ所)
剤の確保
からの輸血用血液製剤の供給が迅速かつ円滑に行われるよう,
関係機関間の連携により一層の充実を図る。
34
(4) NICU等への長期入院児に対する支援
①施策の方向性
●
NICU等に入院している医療ニーズの高い児が,望ましい環境で療養できるよう,
関係機関の連携強化を図るとともに,在宅療養を望む児や家族が,地域で安心して在
宅療養できる環境づくりを推進します。
②取組内容等
ア 関係機関・施設の連携強化
○
NICU等へ長期入院している重症児を望ましい療育環境に速やかに移行させるため,
医療機関,医療型障害児入所施設,訪問看護ステーション,保健所,市町村等の関係機関
の連携強化に努めます。
イ 退院児(家族)への支援の充実
○
医療ニーズや療育支援の必要性が高いNICU等入院児は,集中治療を脱しても,家族
が地域の支援体制や在宅等での看護に不安を感じているため,円滑に退院できない状況に
あります。
○
退院児やその家族を支援するため,在宅生活を支えるための社会資源(小児科医,レス
パイト※31先,訪問看護ステーション,障害児通所支援事業所※32,相談支援事業所※33等)を
有効に活用する方策を検討するとともに,保健所,各市町村等関係機関の連携のもと,長
期にわたる在宅医療を必要とする児への訪問指導等の取組に努めます。
ウ 小児在宅医療の環境づくりの推進
○
小児の在宅医療は,大人と比較して環境整備が進んでおらず,利用できる医療資源も少
ないことから,介護を行う家族の負担が大きい現状にあります。
○
医療・保健・福祉・教育・行政の機関による協議の場を設け連携を促進するとともに,
小児在宅医療についての課題把握や,環境整備を支援するための方策を検討します。
③具体的な施策
施策の目標
ア
関係機関・
施設の連携
強化
具体的施策
NICU等長
期入院重症児
に対する支援
体制の充実
具体的施策の概要
○医療機関,医療型障害児入所施設,訪問看護ステーション,
行政等関係機関との情報交換等を行い,児を望ましい療養・
療育環境に移行させるための方策や連携のあり方等について
検討する。
小児科医等と
の連携
○退院後も医療ケアを必要とする児の療養・療育体制を検討
するため,関係医療機関(小児科,在宅医療を行う診療所等)
等との情報交換等を行う。
35
施策の目標
イ
退院児(家
族)への支
援の充実
具体的施策
NICU等長
期入院児の在
宅等への移行
支援・地域支
援
重症心身障害
児への療育の
実施
具体的施策の概要
○NICU等入院中から,保健所,市町村,医療機関等が連
携して,在宅療養等への移行に向けた支援を行うとともに,
移行後においても,訪問指導等により児及び家族への支援を
行うなど,一体的な保健・医療・福祉サービスの充実を図る。
小児訪問看護
○在宅の障害児(者)を対象に,児童発達支援,放課後等デ
イサービス及び保育所等訪問支援等の方法により,日常生活
動作訓練など必要な療育を実施する。
○障害児等療育支援事業により,理学療法士や作業療法士等
が,在宅障害児(者)の家庭を訪問し,療育・介護等に関す
る助言・指導を行い,併せて各種の相談に応じる。
○小児訪問看護を行う訪問看護ステーションの情報について,
の活用
医療機関等関係機関にタイムリーに提供を行う。
ウ
関係機関との
○医療・保健・福祉・教育・行政等関係機関の代表者による
小児在宅医
連携
協議の場を設け,小児在宅医療に関する連携体制等について
療の環境づ
くりの推進
検討する。
小児在宅医療
○在宅療養を必要とする小児の状況や,関係医療・福祉・教
に関する調査
育機関の状況等について調査を行い,得られた情報の活用を
図る。
小児在宅医療
○NICU入院児等の医療ニーズの高い児が在宅で療養する場合
支援体制の検
の,地域の受入体制や連携体制,課題や対策等について検討
討
する。
36
(5) 安心して出産できる環境づくり
①施策の方向性
●
安心して子どもを生み,健やかに育てることができる環境づくりを推進するため,子
どもや母親の健康を確保するための母子保健医療対策,妊婦やその家族への妊娠・出産
等に関する支援の充実に努めます。
● 本県の母子保健指標は,周産期死亡率を始め各指標とも長期的には改善されてきてい
ますが,低出生体重児の出生割合等は全国平均と比べると高い水準であることから,早
産予防や低出生体重児低減のため,ハイリスク妊婦への保健指導の充実や妊婦健康診査
の受診勧奨など,予防対策に関する情報の普及に努めます。
● また,産院退院直後の母子への心身のケアや育児のサポートなどを行う産後ケアの取
組の推進,離島地域の妊婦への支援など,総合的な支援体制の充実に努めます。
②取組内容等
ア 母子保健医療対策の充実
○
本県の低出生児体重児の出生割合は,全国平均を上回って推移し,年々増加傾向にあり
ます。
○
低出生体重児は,成人後に糖尿病や高血圧等の生活習慣病を発症のリスクが高いと言わ
れており,さらに,超低出生体重児や極低出生体重児は,新生児死亡につながる可能性が
高く,たとえ救命されても児の未熟性による脳性麻痺,知的障害,てんかん等の重い障害
を負うこともあることから,低出生体重児の低減に向けて,予防対策に努めます。
イ 妊娠・出産等に関する総合的な支援体制の充実
○
妊娠・出産に関する安全性の確保については,搬送体制や後方支援体制等の更なる充実
により,総合的な周産期医療体制の整備を図るとともに,妊産婦の心身の状態や胎児への
負担に対する理解や配慮のある家庭や社会の環境づくりに努めます。
○
また,妊産婦に対しては,出産場所や出産方法等に関する選択肢や安全性・快適性等に
ついての情報提供を図ります。
○
産後うつ病などの妊産婦の心の健康問題やハイリスク妊産婦については,その健やかな
母性を育み守るため,医療機関や行政,精神保健福祉センターなどの関係機関が一体とな
って,支援体制の充実に努めます。
○
育児不安・負担を抱える産後の母親をサポートし,安心して子どもを産み育てられる環
境づくりを推進するため,産後ケアの取組を推進します。
37
③具体的な施策
施策の目標
ア
母子保健医
療対策の充
実
具体的施策
低出生体重児
低減のための
取組の推進
低出生体重児
低減のための
取組の推進
疾病や障害に
かかわらず適
切な医療や療
育が受けられ
る環境の整備
イ
妊娠・出産
等に関する
総合的な支
援体制の充
実
妊娠・出産の
安全性と快適
さの確保
妊産婦に対す
る相談支援の
充実
産後ケアの取
組の推進
離島における
出産経費の助
成
具体的施策の概要
○妊娠11週以内での妊娠の届出及び定期的な妊婦健康診査受
診を推進するとともに,妊娠中の喫煙や食生活と体重管理の
問題など改善可能な要因について,市町村と連携し,予防対
策のための保健指導を充実する。
○低出生体重児低減のため,思春期からの喫煙対策や思春期
のやせの問題について,思春期を含めた若い世代への啓発を
推進する。
○精神的,身体的,生活環境上の理由から妊娠や出産に支障
を及ぼす恐れのある妊婦に対して,医療機関,市町村,県保
健所等が連携し,母親学級の開催や訪問指導等による保健指
導・栄養指導を行い,妊娠中からの継続的な支援を実施する。
○未熟児の養育に必要な医療の給付や,小児慢性特定疾患治
療研究事業による医療の給付を行う。
○長期療養児等の在宅療養について,医療機関,市町村,県
保健所,訪問看護ステーション等が連携し,療養・療育環境の整備
や在宅看護の提供など,一体的な保健・医療・福祉サービス
の充実を図る。
○妊婦健康診査の重要性に関する普及啓発と受診勧奨を行う。
○市町村や県保健所は,母親学級・両親学級,母子保健関係
者を対象にした研修会の開催等により妊娠や出産等に関する
情報や学習の機会の提供を行う。
○働く妊婦の状況に応じた勤務上の配慮が図られるような制
度について,事業主や産業医等保健スタッフ及び妊婦に対す
る普及啓発に努める。
○医療機関と連携した健康管理のための母性健康管理指導事
項連絡カード※34の活用を推進する。
○連絡会等により医療機関,市町村,保健所等が連携し,ハ
イリスク妊婦に関する情報を共有するとともに,妊婦の健康
管理についての支援体制を充実させる。
○市町村の実施する乳児家庭全戸訪問事業や新生児訪問指導
等を推進するとともに,市町村,県保健所,産科及び精神科
医療機関等が連携し,支援体制の充実に努め,産後うつ病 ※35
等,妊産婦の心の健康問題に関する早期発見・早期治療に取
り組む。
○母子保健関係者の資質の向上及び母子保健活動の充実のた
めに,妊娠・出産・育児支援に関する研修を実施する。
○医療機関における「出生前小児保健指導(プレネイタルビ
ジット)」※36の活用について検討する。
○産後ケアの取組を推進するため,産後の母子を受け入れ,
心身ケアや育児サポートを行う宿泊型産後ケアセンターを整備す
る。
○宿泊型産後ケアセンターの利用に係る費用の一部を補助する。
○常駐の産科医がいない離島地域の妊婦が,島外の産科医療
機関で妊婦健診を受診したり,出産を行う場合に,妊婦に交
通費や宿泊費等の助成を行う市町村に対し,その経費の一部
について補助を行う。
38
4 整備計画の進捗管理及び評価について
●
整備計画を実効あるものとして総合的に展開していくためには,定期的に,県医師会,
周産期母子医療センター,学識経験者,市町村代表等で構成する県の「周産期医療協議
会」(以下,「協議会」という。)において,進捗管理を行うことが重要です。
● 県は,人口動態や個別の施策の進捗状況等について,定期的に分析・評価を行い,そ
の結果を協議会に報告するとともに,施策の取組状況等について協議会の意見を聴きな
がら,必要に応じて,計画の変更を検討することとします。
(1)
人口動態に基づく評価
○
周産期関連の母子保健指標について,毎年,分析・評価を行い,その結果を協議会に報
告します。
○
評価にあたっては,第1次整備計画における数値目標(「鹿児島子ども未来プラン」に
おける数値目標)を継続し,下記の数値目標を評価の基準とします。
○
指標の分析・評価を行うことで,その時点における現状や課題を明らかにするとともに,
協議会の意見を踏まえ,以後の取組の方向性の決定や強化を図る上での参考にします。
表20
数値目標
現
数値目標項目(各指標)
状
(平成25年度)
妊産婦死亡率(出産10万対)
0.0
早期新生児死亡率(出生千対)
0.7
周産期死亡率(出生千対)
3.3
乳児死亡率(出生千対)
2.1
新生児死亡率(出生千対)
1.0
全出生数中の低出生体重児の割合
低出生体重児 (出生体重2,500g未満) 10.4%
極低出生体重児(出生体重1,500g未満)
0.8%
(2)
目
標
(平成30年度)
減少(維持)させる
減少させる
減少させる
減少させる
減少させる
減少させる
減少させる
具体的な施策(取り組み)の評価
○
総合的な周産期医療体制を整備し,安心して子どもを生み育てることができる環境づく
りを推進するため,前項「3今後の取組の方向性」に記載した「具体的施策」に取り組む
こととしますが,計画を実効あるものとするため,各施策の取組の状況(実績や今後の計
画等)を,必要に応じて協議会に報告することとします。
○
協議会は,各施策の取組の状況について,総合的な検討を行い,県は,協議会の意見に
応じて,適宜,施策の取組の強化や方向性の見直し等について検討します。
39
(3)
最終評価と次期計画の策定
○
整備計画の最終年度である平成31年度に,人口動態の推移や各施策の進捗状況,成果等
を踏まえて,総合的な評価を行います。また,必要があると認められるときは,協議会の
意見を踏まえて,計画の見直しを行います。
□ 整備計画の進捗管理・評価
(県)
状況把握
周産期母子医療センター
情報収集・状況把握
等の関係機関
報告
分析・評価
○
人口動態統計
○
施策の取組状況
○
事業の進捗状況
など
報告
周産期医療協議会
○取組の方向性(見直し・変更等)
○施策・事業の強化
意見
40
用
語
解
説
(整備計画への掲載順に記載)
1 周産期医療
妊娠期から産褥期までの母体・胎児に対する主として産科的医療と,病的新生児に対する医
療を合わせた医療をいう。産科・小児科双方からの一貫した総合的な医療体制が必要であるこ
とから,特に「周産期医療」と表現されている。なお,統計上,「周産期」とは,妊娠満22
週から生後満7日未満までの期間を指すが,周産期医療の対象はこの期間に限らない。
2
周産期医療体制整備指針
各都道府県が周産期医療体制を整備するための指針となるよう,厚生労働省医政局長通知「周
産期医療対策事業等の実施について」の周産期医療対策事業等実施要綱の第1の4に基づき,
国が策定したものをいう。
指針においては,周産期医療協議会の設置,周産期医療体制整備計画の策定,総合周産期母
子医療センターの指定,地域周産期母子医療センターの認定等,周産期医療対策事業を実施す
る都道府県が取り組むべき内容が規定されている。
3
鹿児島県保健医療計画
医療法第30条の4の規定に基づき,本県の保健医療連携体制の確立を目指す基本的方策を明
らかにするとともに,本県の保健医療行政の計画的・総合的な運営の基本となる,昭和62年に
策定された計画のことをいう。概ね,5年ごとに内容の見直しを行っている。
4
地域医療連携計画
鹿児島県保健医療計画の基本理念やビジョン・戦略等を踏まえて二次保健医療圏(9圏域)
毎に策定した,4疾病5事業の医療連携体制等を具体的に記した計画のことをいう。
5
*5疾病
がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病,精神疾患
*5事業
救急医療,災害医療,離島・へき地医療,周産期医療,小児・小児救急医療
かごしま子ども未来プラン
「次世代育成支援対策推進法」や「少子化社会対策基本法」,
「児童福祉法」,
「母子保健法」,
「母子及び寡婦福祉法」,「子ども・若者育成支援推進法」など関係法令の趣旨に基づき,県
の母子保健計画「健やか親子かごしま21」及び「鹿児島県保育計画」を取り入れながら,本
県の少子化対策や子育て支援,母子保健対策等に関する施策を総合的に推進するため,平成
17年に策定された県次世代育成支援対策行動計画のことをいう。平成21年度に,前期計画
(計画期間:平成17年度∼21年度)の進捗や社会経済情勢の変化等に対応した見直しを行
い,後期計画(計画期間:平成22年度∼26年度)を策定している。
6
傷病者の搬送及び受入の実施に関する基準
傷病者の搬送及び医療機関による受け入れをより適切かつ円滑に行うため,平成21年の消防
法改正により,各都道府県に策定が義務づけられた傷病者の搬送及び受入の実施に関するルー
ル(実施基準)のことをいう。本県の基準においては,医療機関の分類基準,救急隊が傷病者
の状況を観察するための観察基準,搬送すべき医療機関の選定基準,医療機関に傷病者の状況
を伝達するための基準等が規定されている(本県は平成22年3月29日策定)。
41
7
出生率
人口1,000に対する1年間の出生数をいう。
8
1年間の出生数
人口
×1,000
合計特殊出生率
母の年齢別出生数を年齢別女子人口で除して得た年齢別の値のうち,15歳から49歳までの数
値を合計した値をいう。合計特殊出生率が2.1を下回ると,将来,人口が減少するとされてい
る。
母の年齢別出生数
年齢別女子人口
9
15∼49歳の合計
周産期死亡率
妊娠満22週以降の死産と生後1週未満の早期新生児死亡の出産(出生+妊娠満22週以降の死
産)1,000に対する割合をいう。
1年間の妊娠満22週以降の死産数+早期新生児死亡数
1年間の出生数
10
×1,000
新生児死亡率
1年間の出生1,000に対する生後4週(28日)未満の死亡の割合をいう。
1年間の生後4週未満の死亡数
1年間の出生数
11
×1,000
妊産婦死亡率
出産(出生数+死産数)10万人当たりの妊産婦死亡数をいう。
12
死産率
死産は妊娠満12週(第4月)以後の死児の出産であり,自然死産と人工死産がある。
死産率とは,出産(出生+死産)1,000当たりの1年間の死産数をいう。
1年間の死産数
1年間の出産数(出生数+死産数)
13
×1,000
低出生体重児
出生体重2,500g未満の児のことをいう。このうち,1,500g未満は極低出生体重児,1,000g
未満は超低出生体重児という。
14
自然死産率
自然死産とは,人工死産以外の死産のことである。
自然死産率とは,出産数(出生数+死産数)1,000当たりの1年間の自然死産数をいう。
1年間の自然死産数
1年間の出産数(出生数+死産数)
×1,000
42
15
人工死産率
人工死産とは,胎児の母体内生存が確実であるときに,人工的処置を加えたことにより死産
にいたったものをいう。
人工死産率とは,出産数(出生数+死産数)1,000当たりの1年間の人工死産数をいう。
1年間の人工死産数
1年間の出産数(出生数+死産数)
16
×1,000
総合周産期母子医療センター
母体・胎児にリスクの高い妊娠に対する医療や高度な新生児医療を提供するとともに,他の
施設と連携し,地域の医療機関や地域周産期母子医療センターからの救急搬送を受け入れるな
ど,周産期医療における中核的な役割を担っている医療機関のことをいう。
17
ハイリスク妊婦
合併症や切迫早産,胎児異常などの症状や,妊婦健康診査の未受診,経済的問題や家庭環境
の問題など,様々な要因により,妊娠や出産に支障を及ぼすおそれのある妊婦をいう。
また,ハイリスク妊産婦とは,妊娠や出産,育児に支障を及ぼすおそれのある妊産婦をいう。
18
地域周産期母子医療センター
人工換気装置を用いた呼吸管理や痙攣に対する常時の治療,糖尿病等を有するハイリスク妊
婦の分娩を行うなど比較的高度の医療を提供するとともに,地域の医療機関からリスクの高い
妊婦を受け入れたり,高度な周産期医療に対応する総合周産期母子医療センター等に妊婦や新
生児を搬送するなど,地域の拠点病院としての役割を担っている医療機関のことをいう。
19
NICU(Neonatal
Intensive
Care
Unit:新生児集中治療管理室)
新生児の治療に必要な新生児用呼吸循環監視装置,保育器等を備え,24時間体制で集中治
療が必要な新生児の治療を行う施設のことをいう。
20
GCU(Growing
Care
Unit:新生児回復治療室)
NICUの後方病床。NICUにおける治療により急性期を脱した児,又は入院時より中等
症であってNICUによる集中治療までは必要としないものの,これに準じた医療的管理を要
する児の治療・管理を行う施設のことをいう。
21
MFICU(Maternal-Fetal
Intensive
Care
Unit:母体・胎児集中治療管理室)
合併症妊娠,胎児異常等,母体又は胎児におけるハイリスク妊娠に対応するため,分娩監視
装置,人工呼吸器等を備え,主として産科のスタッフが24時間体制で治療を行う施設のこと
をいう。
22
救命救急センター
生命危機を伴う重症及び複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に対し高度な医療技術を
提供する三次救急医療機関のことをいう。
43
23
新生児用ドクターカー
専門医が同乗し,搬送中に治療・管理を行う救急車のことをいう。鹿児島市立病院には,緊
急に高度医療を要する新生児を搬送するために保育器,人工呼吸器等を搭載した新生児専用救
急車を配置している。
24
二次保健医療圏
高度・特殊な医療を除く一般的な入院及び比較的専門性の高い保健医療サービスの提供と確
保を行う,医療法第30条の4第2項第10号の規定に基づく圏域をいう。本県においては,鹿児
島,南薩,川薩,出水,姶良・伊佐,曽於,肝属,熊毛,奄美の9圏域を設定している。
25
DICU(Developmental
Intensive
Care
Unit:発達支援集中治療室)
NICU,GCUにおける治療により急性期を脱したものの,様々な要因により入院が長期
に及ぶ児に対し,慢性期の児の医学的管理を行うとともに,児の発達及び退院を支援するため
に設置された施設のことをいう。
26
医療型障害児入所施設
障害児を入所させて,保護,日常生活の指導,独立自活に必要な知識技能の付与及び治療を
行う施設のことをいう。
27
セミオープンシステム
妊婦健診は診療所等で行い,その後は提携している病院へ妊婦を送り,提携病院で分娩を行
うシステムをいう。妊婦を送る側の医師は原則として分娩には立ち会わない。
28
オープンシステム
妊婦健診は診療所等で行い,分娩は原則,診療所等の医師が連携している病院に赴いて行う
システムをいう。
29
地域医療再生基金
地域の医師確保や救急医療の確保など,地域における医療課題の解決を図るため,国が各都
道府県に設置した基金のことをいう。
各都道府県が策定する地域医療再生計画に基づき,対象地域全体への支援を行うことを目的
としている。
30
地域医療介護総合確保基金
病床の機能分化・連携,在宅医療の推進,医療従事者の確保・養成などの医療・介護サービ
スの提供体制の整備を推進するため,国の交付金及び地方消費税増収分を活用して都道府県に
設置された基金のことをいう。
各都道府県が策定する「医療介護総合確保促進法に基づく県計画」に基づき事業を実施する。
31
レスパイト
NICU等に入院していた児等が退院し,呼吸管理等の在宅医療が必要な場合等において,
定期的医学管理及び保護者等の労力の一時的支援を目的として,医療機関で短期入院等を受け
入れることをいう。
44
32
障害児通所支援事業所
障害児に対して,児童発達支援(日常生活における基本的な動作の指導,知識技能の付与,
集団生活への適応訓練等を行う),医療型児童発達支援(上肢,下肢又は体幹の機能の障害の
ある児童に対する児童発達支援及び治療を行う),放課後等デイサービス(学校に就学してい
る障害児を,授業の終了後又は休業日に,生活能力の向上のために必要な訓練,社会との交流
の促進その他必要な支援を行う)及び保育所等訪問支援(保育所等を訪問し,障害児に対して,
障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他必要な支援を行う)など
の通所による支援を行う事業所。
33
相談支援事業所
障害児支援利用援助(障害児の心身の状況やその置かれている環境,当該障害児又はその保
護者の障害児通所支援の利用に関する意向等を勘案し,利用する障害児通所支援の種類及び内
容等を定めた計画(障害児支援利用計画」)を作成し,指定障害児通所支援事業者その他の者
との連絡調整その他の便宜を供与する。),及び継続障害児支援利用援助(障害児支援利用計
画が適切であるかどうかにつき,障害児通所支援の利用状況,当該通所給付決定に係る障害児
の心身の状況,その置かれている環境,当該障害児又はその保護者の障害児通所支援の利用に
関する意向その他の事情を勘案し,障害児支援利用計画の見直しを行い,その結果に基づき,
障害児支援利用計画の変更や関係者との連絡調整その他の便宜の供与を行う。)を行う事業所。
34
母性健康管理指導事項連絡カード
男女雇用機会均等法第13条第2項に基づき定められた「妊娠中及び出産後の女性労働者が
保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべ
き措置に関する指針」に規定されているカードで,健康診査などにおいて,主治医等が妊産婦
に対して行った指導事項の内容を,仕事を持つ妊産婦が事業主へ明確に伝えるために役立つカ
ードである。
35
産後うつ病
産婦のおよそ10∼15%に発症し,出産後数週間から数ヶ月の時期に「抑うつ気分,興味や喜
びの著しい減退,不眠,家事や育児への気力減退,過剰な罪悪感」等の症状が出現する。重症
な例では抗うつ剤等による治療が必要である。
36
出生前小児保健指導(プレネイタルビジット)
妊娠後期の妊婦等を対象に,小児科医が行う保健指導のことをいう。
45