島と海のネット コアグループ会議 2015 年 1 月 19~20 日 日本財団ビル(東京 赤坂) 報告 平成 27 年 1 月 19~20 日、日本財団ビル(東京・赤坂)にて島と海のネット (IO ネッ ト) コアグループ会議が開催された。この会議は、海洋政策研究財団(OPRF)および ウーロンゴン大学オーストラリア国立資源安全保障センター(ANCORS)の共催で開催 され、OPRF、ANCORS の他、太平洋島嶼フォーラム事務局(PIFS)、太平洋諸島フォーラ ム事務局(PIFS)、太平洋共同体応用地球科学技術部(SOPAC/SPC)代表、および OPRF 調査研究委員会委員など 40 名が出席した。プログラムおよび参加者リストは添付の通 り。 この会議は、OPRF 寺島 紘士常務理事、スチュアート・ケイ ANCORS 所長および海洋研 究開発機構(JAMSTEC)アプリケーションラボ山形 俊男所長が共同議長を務めた。 寺島常務理事は、開会の挨拶にて本会合の開催趣旨を述べ、出席者に協力を要請した。 具体的には、2009 年より OPRF, ANCORS, SOPAC/SPC, PIFS を始めとする関係者の協働 により国際共同政策提言“For the better conservation and management of islands and their surrounding ocean areas”を作成して国際社会に発信してきたが、昨年 9 月にサモアで開催された SIDS2014 でその共同政策提言の実現に向かって協力すること に賛同する団体及び個人による国際協働ネットワーク「IO ネット」の設立を提案し、 参加者の全会一致でその設置が宣言されたこれまでの経緯を説明した。その上で、本 コアグループ会合では、IO Net の活動を具体的にどのような形で進めていくのか、及 び優先して取り組むべき施策とそれを実現するプロジェクトの具体化方策について議 論したい旨強調した。ケイ所長は IO ネットの推進に向け積極的な役割を OPRF が担っ てくれていることに謝意を表し、IO ネットの今後の活動への期待を述べた。山形所長 は共同議長としての喜びに言及しつつ、この会議および IO ネットの活動を支援してい く姿勢を強調した。 セッション1では、OPRF 小林正典研究員が SIDS 2014 での OPRF/ANCORS 共催のサイド イベントの結果を報告した。 セッション2では、寺島常務が、OPRF の活動の紹介に続いて共同政策提言の 3 つの柱 (島の保全と管理、周辺海域の管理、気候変化と変動への対応)に言及し、そうした 政策提言の具体的実施ために様々な関係者が自発的に協働して活動する IO ネットを構 築することの意義と重要性を強調し、優先的に取り組む施策を絞り、そのための具体 的プロジェクトを実施して優良事例(good practice)を構築していくという方針を提案 した。ケイ所長は、IO ネットの重要性を強調しつつ、IO ネットの活動支援に向けた ANCORS の方針について述べた。PIFS のライアン・メラドーナ自然資源アドバイザーは、 PIFS の活動や SIDS 2014 でハイレベルな政策フォーラムとして立ち上げられた太平洋 海洋連合(Pacific Ocean Alliance)の概略を紹介した。SPC/SOPAC キフレ・カーサイ 地球科学主任は SPC/SOPAC の活動を紹介し、SPC/SOPAC が IO ネットの活動に貢献しう る共通の基盤を強調した。 セッション3では、優先的に取り組む施策とそれに基づく具体的プロジェクトについ て、共同政策提言の 3 つの柱に沿って議論を行った。第 1 部「島の保全と管理」にお いては、OPRF からの優先的に取組みたい施策の提案、オークランド大学環境学部長の ポール・ケンチ教授、東京大学茅根創教授らからの提案・情報提供に基づいて議論が 行われた。第 2 部「周辺海域の管理」においては、OPRF からの優先的に取組みたい施 策の提案、独立行政法人水産総合研究センター宮原正典理事長からの提案・情報提供 に基づいて議論が行われた。第 3 部「気候変化と変動への対応」においては、OPRF か らの優先的に取組みたい施策の提案に基づいて議論が行われた。いずれのパートにお いても、活発な意見交換により有意義な議論が行われたが、具体的なプロジェクトの 形成には至らなかった。また、IO Net におけるプロジェクトの形成・展開にあたって は、現在・過去に行われている同様の活動についての情報把握の重要性が再三にわた って指摘された。 セッション4では、今後の作業計画について議論を行った。IO Net は、参加者につい ては、共同政策提言に賛同してその実現に向けてボランタリーに協働する意思を表明 した者(パートナー)とし、厳密なメンバー資格を定めない緩やかなネットワークと すること、ただし、具体的なプロジェクトは参加者を明確に定めて自立的に運営する ことなどが概ね合意され、今後 TOR を作成してこれらを明確化していくこととなった。 今後、IO Net の活動を起ち上げていくために、まず優先的に取り組むプロジェクトの 具体化を進める必要があるので、参加者に対して 2 月 10 日までに具体的プロジェクト の提案提出が提案され、合意された。また、これから IO Net への参加者を勧誘してい くこと、コアグループメンバーを現在の 4 機関に SPREP、USP を加えて 6 機関とするこ とについても合意された。第 1 回の IO Net の総会は、5 月にいわきで開催される太平 洋・島サミット(PALM)の前後に実施することが提案され合意された。 最終セッションでは、寺島共同議長が全ての会議参加者に対し討議への前向きな貢献 に謝意を表し IO ネット活動への継続的な協力・支援をお願いした。
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