ペトロリメックス向け「石油販売・物流」コースの実施

ペトロリメックス向け「石油販売・物流」コースの実施
1. コースの背景と目的
ベトナムとは 2010 年 8 月にペトロベトナム(Petrovietnam)
と、2010 年 12 月にペトロリメックス(Petrolimex)とそれぞれ
基本協力合意書を交わしています。2011 年は Petrovietnam
と Petrolimex 合同で、2012 年以降は Petrolimex 単独で、
石油販売 & 物流の CPJ 研修を実施しています。Petrolimex
はベトナムの石油製品市場で 50%のシェアを持ち、その 30%
を国内製油所から引き取り、70%を輸入しています。現在、
自社の製油所も計画中です。
昭和四日市製油所視察
2. プログラムの内容
(3)㈱タツノ・横浜工場
2.1 JCCP での研修
SS 計量機、POS システム計器のトップメーカーでの、関連
(1)「日本の石油産業」
外航タンカーによる原油輸入からサービスステーション間の
価格競争まで、日本の石油産業全般について、実地研修に
先立って十分な時間を取って学習しました。VLCC で原油を
輸入し、沿海タンカーで転送、タンクローリーで配送するという
日本の物流は、長い海岸線を持つベトナムにとって、格好の
器機全般の最新製品の紹介、構造、製造工程の研修を行
いました。研修生の大半が多数の SS を運営する地方分社の
経営幹部であることから、コストや投資効率など詳細な質問を
行っていました。工場内にはベトナム語表示のベトナム向け計
量機もあり、大変親しみを感じる視察となりました。
目標として捉えられていました。
(2)「アジアのオイルマーケット」
中国、インド、ベトナムなどの経済成長等で需要が旺盛な
東南アジアの最新の需給環境とマーケット事情全般について
学習しました。
(3)「販売管理システム」
社会主義国ベトナムでも、経済活動の進展と国有会社の
民営化の流れに伴って、より合理的な販売活動の管理手法
が求められています。このため、管理会計と財務会計の違い
タツノ横浜工場視察
を学習したうえで、今後のあるべき管理システムの根幹となる
財務会計のセンスを身に付けることを目的として、各人がビジ
ネスシュミレーションに参加するワークショップ形式で実施しまし
た。
(4)コスモ石油㈱
日本の石油元売会社の特約店網を中心とした販売体制と
製油所の立地、油槽所の配置、さらにバーター取引を加えた
物流体制について学習しました。また風力発電、太陽光発電
2.2 実地研修
等環境関連の新規事業への取り組みの説明も研修生の興味
(1)JX 特約店・㈱冨士谷商店(広島)
を引きました。
日本の SS 運営、小売市場、販売業界の実情を経営者自
身から説明を受けるという得難い機会であるため、社屋内で
の解説、SS、油槽所での詳細にわたる説明に、質問が途切
れることがありませんでした。特に特約契約と卸価格の決定方
式、またガソリンスタンド間の競争によって形成される小売価格
について熱心な質疑応答が行われました。
3. まとめ
参加者は主として Petrolimex の地方分社の代表者または
幹部です。本社からの参加者が、こちらの英語の説明を逐
次ベトナム語に通訳するかたちですが、研修に不自由はありま
せんでした。同社は現在株式の 5%が民間に放出されており、
(2)昭和四日市石油㈱・四日市製油所
今後その割合が拡大する計画です。この流れが TPP 交渉に
原油輸入から石油製品の製造、貯蔵、出荷に至る製油
より加速されているという報道もあり、自由市場とそこで競争に
所機能について研修を受けた後、製油所内を視察しました。
さらされている企業の運営ついて、知識習得の熱意が強く感
ベトナム第二の製油所建設が進む中、製油所の各機能を興
じられるコースとなりました。
味深く見学し、質疑応答も活発に行われました。
JCCP NEWS No.216 Winter 2014
(研修部 神保 雅之)
人材育成事業
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