JXHDが業績下方修正―財務基盤回復遅れれば格付に影響も

NEWS RELEASE
2015年2月4日
JXHDが業績下方修正―財務基盤回復遅れれば格付に影響も
JX ホールディングス(JXHD、証券コード:5020、発行体格付=A)が 4 日公表した 2014 年度第 3 四半
期の経常損益は 1715 億円の赤字で、通期予想も 2100 億円の赤字に下方修正した。原油価格急落による
石油製品事業の在庫影響が 4300 億円に膨らむのが主因であり、前回予想比で 3900 億円の減益となる。
石油元売り各社は原油や石油製品の在庫を大量に抱えており、期中の原油価格の変動が期間損益に及
ぼす影響は極めて大きい。そうした収支・財務特性は織り込んでいるが、一般に原油価格の急変下では
精製マージンが確保しにくくなる傾向にあり、実質的な収支も弱含みで推移している点は看過できない。
石油や金属の上流事業の資産価値への影響も気掛かりだ。再評価の結果次第で減損損失が生じる可能
性があるほか、市況低迷による事業収支の悪化も痛手だ。初期投資が膨らんだカセロネス銅鉱山は、銅
価低迷に加え本格生産への到達が遅れているのも響いており、投資を回収していけるか注視を怠れない。
大きく広範な事業基盤が引き続き信用力を支えているが、2013 年度のマージン低迷による収益減など
で負債とキャッシュフローのバランスや資本負債構成は格付に見劣りする状態になっている。今回、資
本負債構成が一段と悪化するのは避けられず、財務リスク評価と格付の乖離が広がる方向にある。
中期的な収支・財務の動向は、石油・天然ガスや金属の上流事業でどの程度の収益を確保していける
かに加え、主力の石油製品事業のマージンが十分に回復するかどうかが鍵を握る。ただ石油製品は今後
も需要減が避けられず、需給を抜本的に改善させるには業界全体の過剰生産能力削減が急務だ。
製油所の二次装置比率に係る政府規制は 2017 年 3 月末が達成期限だが、各社の財務耐久力低下もあり、
より早急な対応が求められる。石油元売り業界の先行きが不透明なほか、資源価格の動向も予断を許さ
ない。収益力の立て直しに手間取り、財務基盤の回復が進まないようなら、格付に影響してこよう。
主任格付アナリスト:西村
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