Appendix 4 これがプリント基板の組み立て工程だ!

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Appendix
4
これがプリント基板の組み立て工程だ!
フレッシャーズのための紙上工場見学
相田泰志
ここでは,量産時のプリント基板の組み立て(部品
ここでは電子機器に欠かせない,プリント基板の製
実装・出荷検査)工程について解説します.ボード設
造
(組み立て)工程を簡単に紹介します.
計者はもちろんのこと,回路設計者であっても,製造
プリント基板の組み立ては,
工程の知識がなければ,コストや性能の面で最適なプ
1)部品実装工程 プリント配線板に部品を取り付
リント基板を設計することはできません.本章で示す
写真は,筆者が知っているある会社の実際のプリント
基板組み立てラインです.
〈編集部〉
ける.
2)はんだ付け工程 はんだ槽やリフロ槽を通して
はんだ付けを行う.
3)修正工程 自動機で作成された基板の確認,修
ASIC
(Application Specific Integrated Circuit) や
正を行う.
FPGA
(Field Programmable Gate Array)の大規模化
4)チェック工程 部品が間違いなく取り付けられ
が進み,システム LSI(system on a chip)も身近なも
ているかどうか,ボードとして正常に機能するか
のになりつつあります.しかし,こうした大規模な
どうかのチェックを行う.
LSI がプリント基板
注1
に取って代わるまでには至って
と大きく 4 工程から成り立っています.
いません.
LSI や抵抗,コンデンサなどの電子部品は,プリン
● 2 種類の部品の実装方法
ト配線板に搭載され,ボードの形になることではじめ
電子機器で用いられる部品は,リード部品と SMT
て機能します.このため,プリント基板は実際に製造
(Surface Mount Technology; 表 面 実 装 技 術 )部 品
できるように設計しなくてはなりません.このために
(SMD:Surface-Mounted Device)の二つに分類され
は設計者であっても,基板製造についての知識が必要
ます.
になります.製造工程を知ることで,低コストで製造
リード部品は,プリント基板上の穴に部品のリード
できるような設計も可能となります.
線を差し込んで実装します.SMT 部品は,穴をあけ
ることなくプリント基板上に貼り付けるように実装す
るタイプです.
(a)リールとトレー
(b)テープに並んだ SMT 部品
写真 1 SMT 部品
小型の SMT 部品は,長いテープの上に部品が並べられ,そのテープが巻かれたリール形状で供給される.比較的大きな SMT 部品は,トレーに並べら
れた状態で供給される
(写真撮影協力:西山工業,以下同).
注 1:部品実装前のプリント板を「プリント配線板」
,「ベア・ボード」
,「PWB(printed wiring board)
」と呼び,部品実装後のプリント
板を「プリント回路基板」や「PCB
(printed circuit board)
」
,
「ボード」と呼ぶ.「プリント基板」という言葉は,
「プリント配線板」
としても「プリント回路基板」としても使われている.本章では,部品実装の前後を問わず広い意味のときには「プリント基板」
を用いるが,プリント板そのものを指すときは「プリント配線板」
,部品実装後を指すときには「ボード」と表記する.
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