ゲームカード・ジョイコホールディングス

ゲームカード・ジョイコホールディングス
(6249・JASDAQ スタンダード)2015 年 1 月 6 日
パチンコ用プリペイドカードシステム首位
ベーシックレポート
ホール運営効率化に役立つ各台計数システムの導入が拡大中
パチンコホール向けプリペイドカードシステムのリーディングカン
パニー。システムを提供している加盟店舗数(14 年 9 月末)は 4595 店、
(株)QBR
永田 和子
会
社
シェアは 49%と、2 位:グローリー(6457)グループの 23%、3 位:
マースエンジニアリング(6419)の 22%に大差をつけている。
概
14/3 期の売上構成比は、(a)パチンコホールに対する機器販売 54%
要
(新店および機器入れ替えの需要に対応)、(b)遊技者のカード消費金
所
在
地
東京都千代田区
代
表
者
石橋 保彦
らのシステム使用料収入 30%な
設 立 年 月
2011/04
ど。主力商品は各台計数システ
資
5,500 百万円
ムへの拡張性を有した「B∞LEX
本
金
額に応じて徴収する情報管理料が中心のカード収入 14%、(c)加盟店か
(2014/09/30 現在)
(ビーレックス)
」シリーズ。パ
上
場
日
パチンコ用のカードユニット(写
U
R
L
2011/04/01
真)だけでなく、パチスロ用のメ
http://www.gamecard-joyco.co.jp/
業
種
機械
数システムはホールの人件費削減
や低玉貸しコーナーからの持ち込
主 要 指 標 2015/1/5 現 在
株
価
ダル貸機も手がけている。各台計
み防止に役立つため、近年、導
1,566 円
入が急拡大している。
1,628 円
(2014/01/09)
1,406 円
(2014/05/21)
億円)
。外税方式への対応で出遅れたことで機器販売を中心に 2 桁減収
発行済株式数
14,263,000 株
を予想。研究開発費も引き続き増加するため、大幅減益を見込んでい
売 買 単 位
100 株
時 価 総 額
22,336 百万円
16/3 期の営業利益は同 20%増の 12 億円を予想。今春投入予定の新
予 想 配 当
60 円
商品をテコに機器販売の反転を見込む半面、加盟店の減少傾向は続く
38.56 円
見通し。販管費減少により営業増益見込むが、本格的な業績回復には
0.53 倍
現在研究開発中の新事業領域の創出や新たなシステム構築が待たれ
昨年来高値
昨年来安値
(
会
予 想
社
)
E P S
( ア ナ リ ス ト )
実 績
P B R
本格的な業績回復には研究開発の成果が不可欠
15/3 期営業利益の QBR 予想は前期比 43%減の 10 億円(会社計画は 4
るものの、保守的な会社計画は上回る見通し。
る。
業
績
動 2014/12
向
主要指標
2014/3
実/6
現在
績
売上高
百万円
前期比
%
34,192 -13.5
株
価
会 社 予 想 1,600 円
30,000 -12.3
(2014 年 5 月発表)
1,747 円
2015/3
昨年来高値
ア ナ リス(2013/05/08)
ト 予想
28,000 -18.1
1,380 円
ア ナ リス ト 予想
2昨0 年
1 6来/ 3安 値
29,700
6.1
(2013/01/04)
アナリストレポート・プラットフォーム
発行済株式数
14,263,000
株
売 買 単 位
100 株
時 価 総 額
22,820 百万円
営業利益
百万円
前期比
%
経常利益
百万円
前期比
%
当期純利益
百万円
前期比
%
EPS
円
1,764 -33.9
1,849 -31.3
900 -43.7
63.16
400 -77.3
400 -78.4
100 -88.9
7.01
1,000 -43.3
1,050 -43.2
550 -38.9
38.56
1,200
1,250
700
49.08
20.0
19.0
27.3
1
えんけつ
会
社
会
設
社
立
 会社概要
概
概
経
要
要
緯

会社概要
パチンコホール向けカードシステム事業を手がけている。11 年 4 月 1 日
に日本ゲームカードとジョイコシステムズが経営統合し、両社を完全子会社
とする共同持株会社として同社が設立された。
パチンコホール向けカードシステムは、パチンコホールの経理の透明化を
目的として 80 年代後半に誕生した。日本ゲームカードは草創期に設立され
た企業のなかの 1 社。その後の業界再編の主導的な役割を果たすとともに、
様々な研究開発を経てホール内の機器やサービスとの連携を深めることで、
シェアを高めてきた。ジョイコシステムズとの経営統合により、両社合計で
約 5 割の市場シェア(加盟店ベース)を確保している。
沿
革

沿革
1988 年
10 月
日本レジャーカードシステム設立
1989 年
8月
日本ゲームカード設立
1995 年
3月
日本アドバンストカードシステム設立
2001 年
3月
ジョイコシステムズ設立
2003 年
10 月
日本ゲームカードが日本アドバンストカードシステム
を吸収合併
2006 年
4月
日本ゲームカードがジャスダック証券取引所に上場
2007 年
6月
日本ゲームカードが日本レジャーカードシステムを子
会社化
2008 年
4月
日本ゲームカードが日本レジャーカードシステムを吸
収合併
2011 年
4月
日本ゲームカード及びジョイコシステムズが共同株式
移転により持株会社ゲームカード・ジョイコホールデ
ィングスを設立
大阪証券取引所 JASDAQ スタンダード(現東京証券取引
所 JASDAQ スタンダード)上場
(出所)会社資料
企
業
理
念

企業理念
「プリペイドカードシステム事業を通じてレジャー産業の健全な発展に
貢献し、真に豊かな社会の実現を目指し事業活動に取り組むとともに、より
良い社会の実現に向けて、地球・社会・地域への貢献活動を推進」すること
を使命として掲げている。
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2
会
大
社
概
株
要
主

大株主(2014 年 9 月 30 日現在)
ジョイコシステムズとの経営統合により、ホールと太いパイプを持つパチ
 会社概要
ンコ・パチスロメーカーが軒並み同社大株主として名を連ねることとなった。
これにより、販売面での協力体制が構築され、同業他社との競合上、大きな
アドバンテージとなっている。
株主
1
SANKYO
2
3
所有株式数
(千株)
所有比率
(%)
2,131
14.94
データ・アート
632
4.43
平和
537
3.76
各 536
各 3.76
各 463
各 3.24
京楽産業.
サミー
4
大一商会
ニューギン
藤商事
奥村遊機
サンセイアールアンドディ
三洋物産
大都技研
9
高尾
竹屋
豊丸産業
マルホン工業
(注)13 年 7 月 1 日付で関東財務局に提出された大量保有報告書により、13 年 6 月 28
日現在でタワー投資顧問が 727 千株(所有比率 5.10%)の株式を所有している旨の
報告を受けているが、同社として実質所有株式数の確認ができなかったため、上記
大株主には含めていない。なお、14 年 11 月 21 日付の変更報告書により上記 3 位以
下の株主の所有株式数に若干の変動が生じている。
(出所)15/3 期第 2 四半期報告書
経
営
者

経営者
12 年 10 月、グループ全体を統括するホールディングス会社としての機能
と責任を明確化し、経営体制の一層の強化と充実を図ることを目的として、
石橋保彦氏(11 年 4 月から同社取締役会長)が代表取締役会長兼社長に就
任している。石橋保彦氏は 66 年にパチンコ・パチスロ機の大手メーカー、
平和(6412)へ入社。06 年に平和の代表取締役社長へ就任(12 年に退任→
相談役に)
。
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3
事
事
業
業
概
の
内
要
容
 会社概要

事業の内容
プリペイドカードの発行および販売、遊技機用プリペイドシステム機器の
企画・開発・販売・貸与、保守等を行う子会社等の経営管理、それに付帯・
関連する事業を手がけている。具体的には、図 1 に示す通り、カードユニッ
トとプリペイドカードを通じてパチンコホールにおける入金情報・利用額情
報を一元管理するシステムを提供している。
14/3 期の売上構成比は、(a)機器売上高 54%、(b)カード収入高 14%、(c)
システム使用料収入 30%、(d)その他の収入(工事・保守)1%。以下に、
(a)~(c)の詳細を述べる。
図1
パチンコ用プリペイドカードシステムの仕組み
(出所)同社ホームページ
部 門 別 事 業 内 容

部門別事業内容
(a)機器売上高
カードユニット、メダル貸機、券売入金機(カードを発行する装置)、精
算機(カード残高の精算を行う装置)等を代理店経由でパチンコホールに販
売している。カードユニットとはパチンコ機とパチンコ機の間に設置され、
玉を貸し出す機械(図 1)
。メダル貸機はパチスロ機とパチスロ機の間に設
置され、メダルを貸し出す機械。機器は新店および入れ替えの需要に対応し
ており、現在は入れ替え需要の方が多い。既存店における機器の入れ替えサ
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4
事
業
概
要
イクルは 5~8 年だが、革新的な機能を有した新製品が登場すれば、入れ替
えペースが速まる可能性もある。
 会社概要
主力商品は 09 年 11 月に投入した「B∞LEX(ビーレックス)
」シリーズ。
各台計数システムへの拡張性を持たせた(各台計数システムを後付けできる)
ことで、市場から高い評価を得た。
コスト削減ニーズや
低玉貸し営業定着
を背景に各台計数
システムが急拡大
タイトル(4行)
各台計数システムとは、パチンコで大当たり時に獲得した出玉の個数を、
各パチンコ台の下に設置された計数機やカードユニットを用いて計数し、そ
の計数情報がプリペイドカードを通して確認できるシステム。従来は出玉が
入った玉箱を通路に積み重ね、従業員が計数機まで持ち運んで計数するのが
主流だったため、玉箱運びに手間と人手を要し、ホール経営にとって大きな
コスト負担となっていた。各台計数システムの導入により人件費の削減や離
職率の低下、防災対策の強化といったメリットがあるほか、近年、増加して
いる低玉貸し(
「1 円パチンコ」など、通常は 1 玉 4 円)コーナーからの持
ち込み防止にも役立つ。
12 年末には低メダル貸し(「5 円スロット」など、通常は 1 メダル 20 円)
営業の普及に対応し、各台計数システムへの拡張性を有したメダル貸機を他
社に先駆けて投入した。
図2 各台計数システムの導入状況
万台 機器販売台数(左軸)
カードユニット
メダル貸機
16
うち各台計数タイプ うち各台計数タイプ
14
通期
上期
12
各台計数システ
ム導入店舗
(右軸)
店
1600
1400
1200
10
1000
8
800
6
600
4
400
2
200
0
11/3 12/3 13/3 14/3
13/3 14/3 15/3期 11/3 12/3 13/3 14/3 14/9
年/月末
(注)11/3期は日本ゲームカードとジョイコシステムズの単純合算
(出所)会社資料
0
低玉(メダル)貸し営業の定着やコスト削減ニーズの高まりを背景に各台
計数システムの導入は 14/3 期にかけて急激に拡大(図 2 右側)
。同社加盟店
舗のうち、各台計数システムを導入済みの店舗は 14 年 9 月末で 1705 店と、
全体の 37%を占めるまでになった。
アナリストレポート・プラットフォーム
5
事
業
概
要
(b)カード収入高
IC カードおよび IC コイン(リサイクル可能な入金対応式で半永久的に使
 会社概要
用可能、券売入金機または入金機能付きカードユニットで入金する)のカー
ドおよびコイン媒体を加盟店に販売している。但し、カード収入高の主体は
遊技者の消費金額に応じて加盟店から徴収する情報管理料である。情報管理
料は機器の設置台数に加え、稼働状況にも左右される。
(c)システム使用料収入
プリペイドカードシステムの運用費用として、加盟店からシステム使用料
を徴収している。店舗ごとに機器の設置台数に応じ毎月定額を徴収している
ため、加盟店舗数の増減と概ね連動する。
収
益
構
造
図3 販売品目別の売上高、粗利益の推移
売 上 高 (左軸)
億円
400
350
300
億円
160
140
120
250
100
200
80
150
60
100
40
50
20
0
09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3
(50)
(注)11/3期までは日本ゲームカードのみの業績
(出所)会社資料

ストック型の構造
粗 利 益 (右軸)
機器売上高
カード収入高
システム使用料収入
その他収入
0
09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 期
-20
収益構造
上記(b)、(c)はどちらかと言えばストック型の収益構造であり、機器売上
高ほど大きな変動はない(図 3 左側)
。なお、売上構成では(a)の機器が過半
を占めるが、14/3 期の粗利益構成比は、(a)21%、(b)27%、(c)51%と、シ
ステム使用料の利益貢献が大きくなっている(図 3 右側)
。粗利益率は各々、
12.7%、60.8%、53.8%。
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6
事
業
概
要
図4 営業利益、研究開発費の推移
 会社概要
億円
120
100
その他販管費
80
研究開発費
60
営業利益
上記3項目の
合計が粗利益
40
20
0
08/3
09/3
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3 期
(注)11/3期までは日本ゲームカードのみの業績
(出所)会社資料
研究開発費により
販管費が変動
一方、販管費については、図 4 に示す通り、新商品開発に向けた研究開発
費の増減によって大きく変動する傾向にある。日本ゲームカード時代を例に
とると、10/3 期に研究開発費が膨らみ大幅な営業減益となったが、その成
果として投入された「B∞LEX」シリーズが貢献し、11/3 期の営業利益は「V
字」回復を遂げた。
競争激化を背景に差別化商品の投入が待ったなしとなっていることから、
12/3 期以降は再び研究開発費が増大傾向にある。13/3 期は前期比 50%増の
27 億円、14/3 期は同 9%増の 30 億円を研究開発に投入。研究開発費が先行
して発生しているため、13/3 期以降の利益水準を押し下げる一因となって
いる。
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7
競 合 ・市 場 分 析

 会社概要
競合分析
警察庁発表データによれば、13 年末の「ぱちんこ営業」店舗数は 1 万 1893
店。このうち、カードシステム導入店は 9297 店となっている(14 年 9 月末、
出所:プリペイドシステム協会)。パチンコホール全体に占める導入比率は
8 割前後に達しており、この比率は近年、殆ど変動していない。
図5 プリペイドカードシステム加盟店舗数・シェアの推移
店
10000
加盟店舗数(左軸)
←ユニバーサルET
シェア(右軸)
← ダイコク
マースエンジニアリング
%
60
ゲームカー
ド+ジョイコ
50
日本ゲームカード
8000
40
グローリーグループ
6000
ジョイコシステムズ
30
グローリーグループ
4000
2000
日本ゲームカード
マースエンジニアリング
20
ジョイコシステムズ
10
ユニバーサルET
0
08
09
10
11
12
13
(注)各年12月末の実績、14年のみ9月末
(出所)会社資料
3 社で寡占してい
たが、ダイコク電機
参入がかく乱要因
14
08
09
10
11
12
13
←ダイコク
0
14 年
図 5 に示す通り、同社の加盟店舗数は日本ゲームカード 4089 店、ジョイ
コシステムズ 506 店の計 4595 店(14 年 9 月末、以下同)
。カードシステム
導入店におけるシェアは 49.4%と、2 位:グローリー(6457)グループの
23.0%、3 位:マースエンジニアリング(6419)の 22.2%に大差をつけてい
る。この 3 社でほぼ市場を寡占してきたが、12 年にホールコンピュータ大
手のダイコク電機(6430)が新規参入。人気の高い呼び出しランプ、台毎液
晶端末とのセット売りにより販売台数、シェアを伸ばしており、規模は小さ
いものの、市場のかく乱要因となっている。
専業の強みあるが
デメリットも
同社と他社(グローリーグループ、マースエンジニアリング)との違いは、
同社がカードシステム専業なのに対し、他社は他の周辺機器と一体となった
「オール・イン・ワン」型のシステムを展開している点にある。専業ならで
はの強みとして、同社システムは様々なメーカーの周辺機器(ホールコンピ
ュータ、会員・景品管理システム、呼び出しランプ、台毎液晶端末など)と
互換性を持たせているため、入れ替え需要への対応に最適な機器と言える。
一方、専業のデメリットとして、他社からの価格攻勢に晒されやすい(他社
はカードシステム以外で利益が出ればいい)という点が挙げられる。
アナリストレポート・プラットフォーム
8
競 合 ・市 場 分 析
図6 パチンコ・パチスロ市場規模・参加人口の推移
 会社概要
兆円
30
万人
1800
25
1500
20
1200
15
900
10
600
5
300
パチンコ・パチスロ市場規模(左軸)
パチンコ・パチスロ参加人口(右軸)
0
0
03
04
(出所)レジャー白書
05
06
07
08
09
10
11
12
13 年
台
380
360
340
320
300
700
図7 パチンコホール店舗数・遊技機設置台数の推移
1店当たりのパチンコ・パチスロ設置台数
店
16000
店舗数(左軸)
14000
600
万台
500
12000
07/9末 4号機撤去
パチスロ離れ加速
10000
8000
6000
400
パチスロ人気再燃
300
200
パチスロ設置台数(右軸)
パチンコ設置台数(右軸)
4000
100
2000
03
(出所)警察庁
ライトユーザーのパ
チンコ離れが加速

0
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
年
市場分析
レジャー白書によれば、パチンコ・パチスロの参加人口は 11 年以降、急
激に減少(図 6 線グラフ)
。若者を中心にライトユーザーのパチンコ・パチ
スロ離れが加速している。勝ち負けの波が荒くなり気軽に遊べる娯楽ではな
くなりつつあるうえ、スマホなどに時間とお金を割かれていることも背景に
あると考えられる。他方、パチンコ・パチスロの市場規模(貸玉料・貸メダ
ル料)はピークの 95 年には 30 兆円を超えていたが、2005 年以降、下降曲
線を辿り、10 年に 20 兆円割れ(図 6 棒グラフ)。11 年以降は参加人口の落
ち込みにもかかわらず市場規模は低位安定しており(19 兆円前後で推移)、
1 人当り消費金額の増大、すなわち、ヘビーユーザー化の進行がみてとれる。
ヘビーユーザー中心の市場では、ギャンブル依存や借金問題などを巡り警察
による規制が一段と強化される可能性も高く、業界にとってはライトユーザ
ーの回帰が急務となっている。
アナリストレポート・プラットフォーム
9
競 合 ・市 場 分 析
パチンコ・パチスロの市場規模が 10 年から 13 年にかけて底割れを回避で
 会社概要
きたのは、パチスロ人気再燃によるところが大きい。だが、後述する新たな
パチスロ規制がパチスロ人気に影を落とす可能性があるうえ、パチンコの低
迷も続いているため、市場規模が再び下降トレンドに向かう懸念もある。
パチンコホールの店舗数も減少の一途を辿っている(図 7 下段線グラフ)。
一方でパチンコ・パチスロの設置台数は横ばい圏で推移(同棒グラフ)。1
店当たり設置台数の増加(図 7 上段)は、ホールの二極化(大手チェーンの
大量出店、中小規模店の閉店・廃業)を反映している。
外税方式への移行
が緩やかに進む
パチンコホールでは従来、貸玉料(通常 1 玉 4 円)、貸メダル料(通常 1
メダル 20 円)に消費税が含まれる内税方式を採用してきた。このため、14
年 4 月からの消費税率引き上げがホール経営に与える影響は小さくない。今
のところ、殆どのホールが貸玉(メダル)料を据え置いている(増税分をホ
ールで負担している)が、パチスロを中心に外税方式に切り替え、増税分を
ユーザーに転嫁する動きも出てきた。14 年 9 月末で全ホールの 1 割程度が
外税方式に切り替えた模様(但し大半がパチスロのみでの実施)。外税方式
採用店の稼働状況が内税方式採用店と比べ大きく見劣りする事態とはなっ
ていないため、予定通り 15 年 10 月に消費税率 10%への引き上げが決まっ
ていれば、外税方式への移行が一気に加速した可能性もある。だが、消費再
増税が 1 年半先送りとなったことで、今後も緩やかな移行が続く見通し。
パチスロ規制の影
響が不透明
業界にとって現在、消費税問題以上に関心が大きいのは、14 年 9 月 16 日
から適用されたパチスロ型式試験方法の運用変更(事実上のパチスロ規制)
による影響だろう。ここ数年のパチスロ人気を支えてきた AT 機など、射幸
性の高い機種に規制がかかることで、07 年の 4 号機撤去後に起きたパチス
ロ離れ(図 7 下段参照)と同じようなことが起きるのではないかと懸念され
ている。今春くらいまで旧基準の試験に通った機種の発売が続くため、すぐ
には影響が出ないが、その後、新基準に基づくパチスロ新機種がいつごろか
ら登場するのか、また、新基準パチスロ機が受け入れられるのかは不透明だ。
仮に、07 年のようにパチスロ離れが進んだ場合、ホール経営に与えるダメ
ージは大きく、中小規模店の閉店・廃業が加速するリスクがあるほか、ホー
ルが設備投資(出店、改装、新台入替え等)を一段と抑制する可能性も高い。
新基準機が登場するまではパチスロ規制の影響が読めないため、当面は規制
の影響を警戒する流れが続こう。
アナリストレポート・プラットフォーム
10
競 合 ・市 場 分 析
ECO 遊技機への
期待大きい
 会社概要
遊技業界再生には、ヘビーユーザー依存からの脱却、若年層の取り込みな
どが不可欠と考えられている。それを実現するための取り組みとして有望視
されているのが、ECO 遊技機構想。ECO 遊技機は遊技球を盤面内部で循環さ
せる封入式構造によりコストダウンやセキュリティ強化を図るとともに、射
幸性を抑えた遊べる遊技機の開発にもつながるとされている。ECO 遊技機に
は専用のカードユニットが必要となるため、実現すれば、プリペイドカード
システム業界にとっても新規需要につながる可能性が高い。さらに、ライト
ユーザーや若者の回帰による市場拡大期待も高まる見通し。
足元は液晶 ROM の大容量化や可動役物の増加など、
”ECO”とは逆の方向に
進んでいるが、パチンコ・パチスロメーカーにとってもコスト上昇は頭の痛
い問題だけに、過剰装飾・演出を見直す動きも出てきた。これを機に、ECO
遊技機構想が進捗する可能性もあり、今後の動向を注視したい。
アナリストレポート・プラットフォーム
11
業
績
外税対応で出遅れ
 会社概要
上期大幅減収

15/3 期上期実績
15/3 期上期の連結業績は売上高が前年同期比 27%減の 126 億円、営業利
益が同 58%減の 7.3 億円だった(図 8)
。競合・市場分析で述べた通り、パ
チンコホールではパチスロを中心に消費増税分をユーザーに転嫁する(=外
税方式に移行する)動きが出てきた。転嫁方法としては玉(メダル)数調整
方式とカード減算方式がある(※)が、主流は玉(メダル)数調整方式に。
外税方式への移行予定が当面ないホールでも、出店・改装時には将来を見越
して玉(メダル)数調整方式に対応するカードシステム機器を選ぶ傾向にあ
る。
(※)玉(メダル)数調整方式が貸し出す玉(メダル)数の調整で消費増税に対応する
のに対し、カード減算方式は消費増税に合わせて遊技料金自体を引き上げカードで徴収
する。玉(メダル)数調整方式と違い、カード減算方式では 1 円単位の精算が必要とな
り手間がかかる。
パチンコホールは若者のパチンコ・パチスロ離れや低玉(メダル)貸し営
業の定着などによる厳しい経営環境に加え、消費増税による収益悪化懸念も
あり、ただでさえ出店・改装等の設備投資を抑制気味。そうしたなか、同社
は外税方式の主流となった玉(メダル)数調整方式ではなく、カード減算方
式を推奨していたため、出店・改装時の需要を取り込めず、加盟店舗数は 6
カ月で 177 店減少した。加盟店舗数、機器販売台数が想定以上に落ち込んだ
ことで売上高は社内計画を下回ったが、ストック型の収益構造を持つカード
収入高、システム使用料収入の落ち込みが小さかった(図 8 上段左側)うえ、
原価低減も進捗。営業利益はほぼ計画線で着地した。前年同期との比較では
粗利益が 12%減だったのに対し、研究開発費を主因に販管費が 8%増加(図
8 下段左側)
。大幅営業減益に終わった。
図8 上期の部門別売上高・粗利益、販管費、営業利益の推移
億円
200
粗 利 益 (右軸)
売 上 高 (左軸)
億円
60
45
機器売上高
100
30
カード収入高
システム使用料収入
0
億円
80
70
60
50
40
30
20
10
0
粗利益(左軸)
その他販管費(左軸)
研究開発費(左軸)
12
13
(出所)会社資料よりQBR作成
アナリストレポート・プラットフォーム
15
営業利益(右軸)
0
億円
20
15
10
5
0
14
12
13
14 年度
12
業
績

QBR は今期営業 4
割減益を予想
 会社概要
15/3 期業績予想
15/3 期連結業績の会社計画は売上高が前期比 12%減の 300 億円、営業利
益が同 77%減の 4.0 億円。期初計画が据え置かれた。
QBR は 15/3 期の連結業績について、売上高を前期比 18%減の 280 億円、
営業利益を同 43%減の 10 億円と予想。売上高は前回予想(305 億円)から
引き下げたが、営業利益予想は変えていない。下期の売上高を前年同期比
9%減の 154 億円、営業利益を 2.7 億円(前年同期は 25 百万円)と見込んだ
(図 9)
。
図9 下期の部門別売上高・粗利益、販管費、営業利益の推移
億円
200
億円
粗 利 益 (右軸)
売 上 高 (左軸)
60
45
機器売上高
100
0
30
カード収入高
システム使用料収入
15
0
粗利益(左軸)
その他販管費(左軸)
研究開発費(左軸)
億円
50
億円
10
40
8
営業利益(右軸)
30
6
20
4
10
2
0
0
12
13
(14)
(出所)会社資料よりQBR作成、14年度下期はQBR予想
12
13
(14)
年度
9 月に玉数調整方式に対応した機器を投入(メダル数調整方式対応機器は
6 月に投入済み)。これをバネに外税対応での出遅れ解消を目指すが、営業
面での本格的な巻き返しは、今春に予定している新商品投入以降となる見通
し。このため、QBR では下期も機器中心に減収基調が続くとみている(図 9
上段左側)が、上期に続き原価低減が見込まれるほか、研究開発費、その他
販管費も減少を予想(同下段左側)。今後の成長に向けた研究開発を積極推
進しているため、通期の研究開発費は前期比 7%増を予想しているが、新商
品の投入時期の関係で 15/3 期は上期に研究開発費を前倒しで計上している。
これにより下期の営業利益は研究開発費が膨らんだ前年同期を上回る見込
み(同右側)。
アナリストレポート・プラットフォーム
13
業
績
なお、QBR が 15/3 期の売上高を会社計画より厳しく見込んでいるにもか
配当余力は十分、
 会社概要
会社計画の今期配
かわらず、営業利益は会社計画を上回ると予想しているのは、その他(研究
開発費以外の)販管費の会社計画(図 11 左側)が保守的と判断したため。
当は 60 円/株
会社側は 1 株あたり年間配当について 60 円/株(期末 30 円)を維持する
計画。前期末で自己資本比率 65%、現金及び現金同等物残高 180 億円、無
借金と、財務基盤は頑強であり、配当余力は十分ある。
図10 部門別の売上高と粗利益の推移
売 上 高 (左軸)
億円
400
粗 利 益 (右軸)
億円
120
350
105
300
90
250
75
機器売上高
200
60
150
100
50
45
カード収入高
30
15
システム使用料収入
0
(14) (14) (14) (15) (15) その 12
会社 QBR QBR QBR QBR 他
計画 前回 今回 前回 今回
(出所)会社資料よりQBR作成
12
13
13
0
(14) (14) (14) (15) (15) 年度
会社 QBR QBR QBR QBR
計画 前回 今回 前回 今回
図11 粗利益、販管費、営業利益の推移
粗利益(左軸)
その他販管費(左軸)
研究開発費(左軸)
億円
120
億円
30
営業利益(右軸)
100
80
20
60
15
40
10
20
5
0
12
13
(14) (14) (14) (15) (15)
会社 QBR QBR QBR QBR
計画 前回 今回 前回 今回
(出所)会社資料よりQBR作成
アナリストレポート・プラットフォーム
25
12
13
0
(14) (14) (14) (15) (15) 年度
会社 QBR QBR QBR QBR
計画 前回 今回 前回 今回
14
業
績

来期は営業 2 割増
 会社概要
益を予想、今春投
入の新商品で巻き
返しへ
タイトル(4行)
16/3 期業績予想
QBR は続く 16/3 期の連結業績について、売上高を前期比 6%増の 297 億円
(前回予想 285 億円)
、営業利益を同 20%増の 12 億円(同 12 億円)と予想
した。今春投入予定の新商品をテコに出店・改装時の需要取り込みが進むと
みて、機器売上高の反転を予想(図 10 左側)
。但し、パチスロ規制の影響が
不透明なことなどを考慮し、加盟店舗数の減少傾向には歯止めがかからない
と判断。収益の柱であるカード収入高、システム使用料収入の減収基調は継
続する見通し(同)。つれて、粗利益も小幅減を見込んだが、研究開発費な
ど販管費も減少するとみている(図 11 左側)ため、営業利益は増加しよう。
なお、前回予想と比べ売上高を増額したにもかかわらず、営業利益を据え置
いたのは、前回より研究開発費を保守的に見込んだため。
業界再生に向けた
新たなプリペイドカ
ードシステム構築に
も注力
研究開発では、(1)カードシステムと電子マネー(e-mon)を活用した新サ
ービス、(2)5 インチフルカラー液晶パネルを活用した情報配信サービスな
ど、新規事業領域の創出を進めており、早期の実現を目指している。さらに、
長期的な視野に立ち、業界再生に向けた新たなプリペイドカードシステムの
構築にも注力。16/3 期までの QBR 予想にこれらの収益貢献は見込んでいな
いが、業績回復の鍵を握ると考えられるだけに、早期実現に期待したい。
アナリストレポート・プラットフォーム
15
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2012/03
株 価 推 移
2013/03
2015/03 予
(アナリスト)
2014/03
株価(年間高値)
円
1,600
1,678
1,747
-
株価(年間安値)
円
912
1,097
1,400
-
月間平均出来高
百株
1,689
1,323
1,558
-
高
百万円
43,575
39,545
34,192
28,000
売
上
営
業
利
益
百万円
4,459
2,668
1,764
1,000
経
常
利
益
百万円
4,543
2,692
1,849
1,050
百万円
4,573
1,598
900
550
業 績 推 移
当 期 純 利 益
E
P
S
円
320.64
112.08
63.16
38.56
R
O
E
%
11.1
3.9
2.2
1.3
流動資産合計
百万円
51,055
51,567
56,522
-
固定資産合計
百万円
14,928
13,942
8,133
-
資
百万円
65,983
65,510
64,655
-
産
合
計
貸借対照表
流動負債合計
百万円
13,905
13,183
13,448
-
主 要 項 目
固定負債合計
百万円
10,977
10,528
9,370
-
負
百万円
24,882
23,712
22,819
-
株主資本合計
百万円
41,050
41,721
41,766
-
純 資 産 合 計
百万円
41,101
41,798
41,835
-
営業活動による CF
百万円
4,266
5,109
4,631
-
投資活動による CF
百万円
-13,950
1,133
-1,146
-
財務活動による CF
百万円
-1,998
-2,360
-2,194
-
現金及び現金同等
物の期末残高
百万円
12,849
16,732
18,022
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
債
合
計
アナリストレポート・プラットフォーム
16
リ
ス
ク
分
業
界

関 会社概要
す る リ
析
に
ス ク

業界に関するリスク
同社はパチンコ業界で事業を展開しているため、パチンコ遊技人口の落ち
込みや市場規模の縮小、パチンコホール数の減少、行政による規制強化(直
近では 14 年 9 月からのパチスロ型式試験方法の運用変更~事実上のパチス
ロ規制~)
、消費税率の引き上げなど、パチンコ業界の事業環境が大きく変
化した場合、同社の経営成績、財政状況等に影響を及ぼす可能性がある。
事
関
す
業
る リ
に
ス ク

事業に関するリスク
(1)同業他社との競合激化、(2)急激な技術革新による同社商品の陳腐化、
(3)巨額の研究開発費を投じた新商品の不発、(4)プリペイドカードの偽変造、
不正使用問題、(5)加盟店の倒産等による損失発生、などのリスクに注意す
る必要がある。
アナリストレポート・プラットフォーム
17
デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。

会社概要
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社Q
BR(以下「レポート作成会社」といいます。)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の
取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変
動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適
合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお
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