ニューラルネットによる人間型介助ロボットの アーム動作生成 富山大学 大学院理工学研究部(工学) G. Capi Z. Mohamed E. Rama 背 景 近年、世界的に高齢化が進んでおり、高齢者に対する身体的ないし経済的な補助 が急務となっている。若年者は、清掃やゴミ出し、物の運搬といった家事を容易に行うことができるが、高齢者は、 . 身体能力の低下のためにこれらの動作を行うことが困難となる。よって、高齢者を日常的に補助するための個人用 介助ロボットの需要が高まっている。介助ロボットは、一つの動作を繰り返し行うものよりも様々な動作を行うことが 期待されるが、ロボットの腕部の動作は特定の動作を基準として生成されることが好ましい。本研究では、ロボット の腕部動作生成のための最適化手法について検討した。 実 験 本提案手法を実装するための人型ロボットを構築した。ロボッ トは、物体を操作するための上半身と移動のための下半身の2 つから構成されている。上半身の自由度は、2自由度の頭部と把 持部を含む10自由度である。また、センサとしてステレオカメラと 2つのレーザレンジファインダが設置されており、これらを用い て、物体認識と定位、移動を行うことができる。本研究における 提案手法は、最少時間と距離、加速度の3つの目的関数を最適 化することで、動的環境におけるロボットの腕部動作を生成する ことができる。また、1つの多目的進化型アルゴリズム によって 複数のニューラルコントローラを生成することが可能である。加え て、ニューラルコントローラはロボットの動作開始地点と終了地 点を変更しても、利用することができる。 The developed mobile humanoid robot system Spray can position detection using LRF 実験結果 提案手法を検証するために、ニューラルコントローラをシ ミュレーション環境で進化させ、ロボットに実装した。結果とし て、ロボットは良好に腕部動作を生成することができた。シ ミュレーション環境と実環境では差があるものの、ロボットは シミュレーション環境で獲得した腕部の軌道を保ちつつ、良 好にタスクを実行することができた。ロボットをテーブルへ移 動させ、対象物との所望の相対距離で停止させるために、 ウェブカメラとレーザレンジファインダを利用した。 最初の実験では、シミュレーションと同様の位置にスプ レー缶を配置し、右手で把持動作を行った。本提案手法のパ フォーマンスを検証するため20回動作実験を行った結果、 20回中85%の割合でロボットハンドを目標位置へ到達させる ことができた。 Mobile humanoid robot moving toward the table Experimental results for random goal positions Trajectory comparison between simulation results and the real robot for (a) x-axis (b) y-axis (c) z-axis まとめ・今後の展望 本研究では、動的な環境でのヒューマノイドロボットアームの運動生成のための進化ベースのアプローチを 提案した。シミュレーションおよび実験の両環境において、生成された動作は良好なものとなった。 連絡先 富山大学リエゾンオフィス・TLO TEL:076-445-6392 FAX:076-445-6939 Email:[email protected]
© Copyright 2024 ExpyDoc