はじめに 運 輸 多 目的衛星 新 1号 ( MTSAT-lR)には、 可 視 ・ 赤 外 放 射 計 に新たに 3. 7 μ m 帯の赤外センサー 7μm 帯 の画像の取得と 3. 7μm 帯と赤外 l( l lμ m 帯)とで観測された輝 が追加 された。これ により 、3. 度温度差から 3 . 7μm 差分画像を作成 することも可能となった。 7μ m画像と 3. 7μm差 分 画 像 の 有 効 性 については、 Hunt0973 ),Yamanouchie t これまで、この 3. 9 9 5 ) ,Le ee tal . ( 1 9 9 7),山崎等( 1 999 ,淵 ) 田等( 2004)による報告が a l .( 1 9 8 7 ), E l l rod ( l992),操野等( 1 ある。しかし、淵田等( 2004)を除いては 、西 太 平 洋域においては極軌 道 衛 星 NOAAに搭載された AVHRR(Adva nced Ver y High Resol u t i o n Radi ome t er )の画像データを用 いた解析で、あったり 、 静止 気 象 衛 星 GOESを用いた解析で、は大西洋 域のアメリカ東海岸の解析が主で、あった。 1 999)は極軌道衛星 NOA Aの空間分解能と運輸多目 的衛星( MTSAT)の空間分 この 中で山 崎 等 ( 解 能 の違いに着 目し、極軌道衛星 NOAAの 空 間 分解 能を運輸 多目 的衛星( MTSAT)で取得される ン ミュレーション画像 Jを作成し西 太 平 洋域にお ける①夜間における霧 ・ 分解能まで蒋とした「 MTSAT、 層雲の検出②夜間にお ける台風 の Shea r -pa t t e r n(風の鉛直シァーが大きい時に現れる台風の雲パタ ーンで、下層雲列により決定される台風 の中 心 と濃密な雲域 がずれている場合をいう)を呈する台風 の中心推定への応 用 について有効な威 力を発揮することを報告した。また、執l 田等( 2004) は 、 静止 9μ m 帯センサーの観測 波 気 象 衛 星 GMS-5の代 用 衛星 として運用 された GOES-9に搭載 されている 3. 7μm 帯のセンサーとほとんど大差がないと思われることから、 長 域 がMTSAT-lR に搭載されている3. GOES-9の3 . 9μm帯のセンサーを利用して、数 例 の気象現 象 の解析をおこない、MTSAT-lRの3. 7μ m帯センサーを利 用 した画 像 解 析 の有 効 性 について検証をおこなっている。 しかし、これらの報告は 画像の見え方の報告が主であり 、 事例 解析までには至っていなかった。 そこで、この手引き書で は 、 天気予報や注 ・ 警 報 等 の 現 業 作 業 に 応用 することを主 眼として、気 象 現象の事例を増やし詳細な解析を行っている。また、 3. 7μm 帯の画像の利 用 だけに言及せ ず、すで に発行している一般気象編( 2000年 3月 ) 、航空気象編( 2002 年 3月)、熱帯気象編 ( 2004年 3月)を基 章 、第 2章、第 3章には、これまでに に、この本 一 冊で衛星画像 の解 析と利用の手 引きとなるよう、第 1 取 得されている可視、赤外 1、赤 外2、赤外 3(水蒸気)の画像の特性と利 用について、基本的な解説 を行 い 、 それ らの画像 を利 用した応用編として温帯低気圧の発達パターンの解析事例を載せ ている 。 また、第 4章 、第 5章 、第 6章には MTSAT-lRで新しく取得される 3. 7μm 帯センサーとその画像の特 . 7μm 帯 の画像 を用 いた事例解析を行い詳細に解説 している。 性、 さらには各気 象現象別に3 この手引き書の他 に、事例 解 析よ り 、さらに詳細な情報を求 める読 者 のためには事例解析を行った 現 象 の 衛 星 動 画集 CD-ROM( 数 値 予 報デー夕、レーダ、アメダス、地上実況等を収録)を添付してい る。この手引書を、参考書として 3. 7μm 帯の画像を日々の天気予報や気象現象の情報 作 成 ・ 解析等 に有効に利用してもらえば幸いである。 2005年 3月 気象衛星センター所 長 村松照男 目次 はじめに 11122344577788121A14699034667922168858 1122222233333334467780uO 目次 第 1章 気 象 衛 星 1 1 気象衛星による観測 1 2 衛星の軌道 第 2章 運 輸 多 目 的 衛 星 新1号 2 1 放射の観測 22 分解能 2-3 キャリプレーション 2-4 ナビ、ゲーション 2-5 衛星画像による雲型判別 第 3章 運 輸 多 目 的 衛 星 新 1号で取得できる各画像の特性 3 -1 運輸多目的衛星新1号で取得できる画像および波長帯 3-2 可視画像 3 3 赤外画像 3-4 水蒸気画像 3 5 赤外差分画像 3-6 赤外・可視・水蒸気画像を利用した雲パターンの解析 第 4章 3 . 7μ m画像と 3.7μm 差分画像の利用 4 1 3.7μm帯センサーの特性 4-2 3 . 7μ m画像の利用 4-3 3.7μm差分画像 4-4 日中における各画像の見え方 4-5 夜間における各画像の見え方 4-6 場所による見え方の違い 4 -7 日の出時の画像 4-8 夜間帯における各雲型の 3.9μm差分画像上での見え方 第 5章各種現象の監視・解析(日中) 5 1 雪氷域と下層雲の識別 52 薄い上層雲 5 3 上層雲の影 第 6章各種現象の監視・解析(夜間) 6 1 内陸部の霧・下層雲 6 -2 海洋上の霧・下層雲 6-3 薄い上層雲 6 4 台風の中心推定 6 5 火山活動域や大規模火災域の検出 6-7 航空機に着氷の危険性のある雲域 4ム E 唱・且 6 -6 夜間における活発な対流雲域や厚い雲域の検出 6-8 海面水温算出における効果 1 1 9 現象解析への適否 1 2 3 索引 124 参考文献 1 2 7 一 一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 コラム ①三軸制御衛星の MTSAT 2 0 ②マイクロ波 2 8 ③WMOとCGMS 3 2 ④移動性高気圧 35 ⑤レーダーの電波はどこまで届く 4 1 ⑥衛星の軌道制御 60 ⑦地上に達する降水の違い 7 5 ③測地のノイズは気象のシグ、ナノレ 87 ⑨地球上の風の方向を変えるコリオリの力 104 ⑮雲量格子点情報 1 1 8
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