思考の可視化をもとに、自然事象の意味理解を深める ∼ 第４学年「みんなで追究！水のすがた」での実践をとおして ∼ 山口大学教育学部附属山口小学校１萱野誠はじめに子どもが「なぜ」「どうして」から生み出された問いをもとに追究していくことは、性質やきまり等といった本質に触れることができ、自然事象の意味理解を深めることにつながると考えています。本稿では、自然事象の意味理解を深めることめざした支援と実践を紹介いたします。２取り組みの具体これまで、実験の前後で比較できるよう、考えを表現する際には「実験前」「実験後」で図示して説明するように促していました。今回の取り組みでは、変化の過程とその解釈を表現できるようにすることを期待し「実験中」についても図示して説明するように促しました。３自然蒸発についての記録と考え子どもの学びの実際本稿では、特に自然事象の意味理解に深まりが見られた、第２次第４時の学びを紹介します（本校理科部ＨＰで指導案をご覧ください）。それまでの学びを簡単に紹介します。第１次では空気鉄砲遊びをもとに、筒の中の空気の力について問いをもち、学習の見通しをもちました。第２次第１ ∼ ２時では、筒に空気を閉じ込め、手応えや体積変化を調べました。第３時では、水中で空気鉄砲を発射させた体験をもとに、筒の水を閉じ込めた場合について問いをもち、おし返す力があるのか調べました。しかし、玉が水に押され、うまく閉じ込めることができません。第４時では、注射器を使って追究することとなりました。第２次第４時注射器に水を入れ、ゴム栓で口を閉じ、実験を始めました。始めるとすぐに「固い」という言葉が各班から聞こえてきました。閉じ込めた水をおしたときの手応えについてつぶやいています。その様子を見取り、自分たちが働きかけたことと結果、考えをワークシートに図示するよう促しました。その上で、ワークシートを、押し棒をついたときの変化（全く動かない・少し動いた）で分類し、板書上に示しました。以下は、ワークシートをもとにした考察の場面です。Ｙ児７班は、僕たちの結果と違って少しおせると書いているよ。Ｉ児僕たちの班は 1mL 分だけおすことができたから水は少しはおし縮められると思うよ。教師言えることがはっきりしないようだね。では、先生がやってみるから、みんなで見てみよう。Ｋ児押し棒の先がペコペコとへこんでいるよ。先生、押し棒の先はどうなっているのですか。教師取り出しみるよ。押し棒の先はゴムになっていて、手でおすと少しへこむようになっているね。Ｋ児分かった！だから水を閉じ込めたとき、少しだけでもおすことができたのだよ。教師Ｋ君の言いたいことは分かったかな。改めて聞くけれど、みんなの結果から言えることは何かな。Ｔ児水にはおし返す力がない。Ｓ児付け加えで、閉じ込めた水は、おし縮めることができないから、おし返す力がない。４おわりに思考を可視化すれば、自然事象についての意味理解が深まるか。もちろん、そうではありません。その根底として、子どもたちの共通体験が必要であると考えています。ここでは伝えきれなかった支援や実践について、本校研究紀要で紹介しております。ぜひ、お問い合わせください。また、この実践につきまして、ご質問などございましたら、以下のメールアドレスにご連絡いただきますよう、よろしくお願いします。各班の相違点におたずねをする子ども【本校ＨＰ】 http: //www. ymg -es. ya mag uchi-u. a c.j p/ 【萱野アドレス】 grets ch429@gmail . com