アドバンス・レジデンス投資法人

14-D-0821
2015 年 1 月 13 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
アドバンス・レジデンス投資法人
【変更】
長期発行体格付
格付の見通し
債券格付
(証券コード:3269)
AA−
ポジティブ
AA−
→
→
→
AA
安定的
AA
■格付事由
(1) 10 年 3 月に旧アドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人との新設合併により設立
された、賃貸住宅特化型の J-REIT。資産運用会社(AM)のメインスポンサーは伊藤忠商事である。伊藤
忠商事による AM への出資比率は、14 年 6 月 27 日付でスポンサーの一社であった日本土地建物から株式
譲渡を受けたことで 47%から 66%、伊藤忠都市開発の持分を含めればグループ全体では 85%へと高まり、
今後も物件供給や PM 業務等において、伊藤忠グループによるスポンサーサポートの継続強化が見込まれ
る。現行ポートフォリオは都心部所在のシングル・タイプ(単身者向け)を中心とした 246 物件で構成さ
れ、取得価格総額で約 4,398 億円と賃貸住宅特化型 J-REIT として最大の資産規模となっている。なお、
15 年 1 月引渡予定で、
「東京・スチューデントハウス日吉台」をはじめ計 6 物件を約 293 億円で売却する。
(2) 本投資法人は 14 年初に第 4 回公募増資を実施し、一定の収益力を有する 11 物件を新規取得するなど、積
極的な外部成長を続けてきた。この結果ポートフォリオキャッシュフローについて、資産規模の拡大によ
り創出力が強化されていることに加え、分散効果に伴いその安定性も高まっていると JCR では考えてい
る。また、AM のポートフォリオコントロールに関し、安定した稼働率や賃料水準の維持、5%台中盤の
NOI 利回りの確保、設備更新やバリューアップ工事によるリースアップや成約賃料上昇等の実績から一定
の評価が可能とみており、今後も堅実な賃貸事業運営を通じた安定的なキャッシュフローを確保できるも
のと想定される。なお、上述の売却物件は都心所在の賃料が高額帯の物件で現状収益力が低下している、
あるいは近い将来の維持更新費負担等が予想される築年経過物件が対象となっており、AM 主導により不
動産マーケットの活況を捉えたポートフォリオの一段の強化を見込んだ物件入れ替えが進むとみている。
財務面では、主に直近のキャップレートの低下に伴う既存物件の鑑定評価額の上昇や減価償却の進展によ
って、ポートフォリオの含み益が増加傾向にあり、財務の柔軟性の向上に一定程度寄与していると考えら
れる。資産総額ベースの簿価 LTV は 14/7 月末で 51.0%、鑑定 LTV は同 50.1%と AM が想定する範囲内
で推移しているが、15 年 1 月に予定されている借入金の期限前弁済を通じ、LTV 水準は低下する見込み
である。以上を踏まえ、格付を 1 ノッチ引き上げ、見通しは安定的とした。
(3) 賃貸住宅の売買市場では市場参加者が増加傾向である一方、相応のスペックを有する物件の供給減等を背
景に、厳しい取得環境が継続しているものと想定される。このような中、本投資法人は相対取引を中心に、
ブリッジファンドの活用を含め競合を回避した物件取得の取り組みを継続する方針である。14 年 9 月に
は優先的な物件情報の取得を企図して、パナホームと協定書を締結し「レジディア町屋」を取得した。今
後もスポンサー開発案件などのチャネルを通じた外部成長や、保有物件の経年対応も視野に入れた、AM
のエンジニアリング部等による大規模修繕工事やバリューアップ工事を通じた内部成長、及びこれらに伴
うポートフォリオ強化の動向に注目していく。
(4) デット・ファイナンスでは、AM の株主でもあるメガバンクをメイン・準メインとするレンダーフォーメ
ーションを維持しつつ、有利子負債のコスト低減、金利の固定化、残存期間の長期化が継続的に進められ
ている。加えて、200 億円のコミットメントライン設定も考慮した返済期限の分散化が図られており、資
金調達の安定性について足元で特段の懸念はみられない。現状 336 億円程度有している合併時における負
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ののれん発生益を振り替えた剰余金は、配当政策を含め資産運用の自由度を確保するサポートの一つにな
りうると考えている。引き続き、適切なレバレッジコントロールをはじめ、財務基盤の一段の強化に向け
た各種施策及びその実効性をフォローしていく。
【主な新規取得物件の概要】
・レジディア新大阪
大阪市営地下鉄御堂筋線「東三国」駅徒歩約 6 分、「新大阪」駅徒歩約 12 分に所在する、14 年 2 月竣工
で鉄筋コンクリート造陸屋根 14 階建の新築賃貸住宅。最寄りの「東三国」駅及び新幹線停車駅でもある
「新大阪」駅からは「梅田」駅、「なんば」駅等、大阪市の中心ビジネスエリアや商業エリアの拠点駅へ
のアクセスが乗り換えなしで可能であるなど、交通利便性は良好である。周辺は中高層共同住宅、事務所、
駐車場等が混在する地域であり、コンビニエンスストアや食品スーパー、金融機関も存している等、生活
利便性は高いとみられる。建物外観のグレードは比較的高く、総戸数 208 戸の住戸プランは 1R+S:48 戸
(32.13 ㎡)
、1K:156 戸(21.60 ㎡∼25.25 ㎡)
、1DK:4 戸(32.13 ㎡)と、主に単身者向けのプランで占
められている。住戸内設備として、システムキッチン、モニター付インターホン、浴室暖房乾燥機等一定
の機能を具備している。通勤利便性・生活利便性等の立地条件を重視する、主に大阪市中心部に通勤する
単身者層等の需要(法人需要を含む)が見込まれることから、相応の競争力を有していると想定される。
なお、14 年 8 月 1 日時点の稼働率は 100%となっている。
取得日:14 年 8 月 1 日
取得価格:2,644 百万円
鑑定評価額:3,060 百万円(14 年 3 月末時点)
(担当)杉山 成夫・松田
■格付対象
発行体:アドバンス・レジデンス投資法人
【変更】
対象
長期発行体格付
対象
第 13 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 14 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 15 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 16 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 17 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 18 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 19 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 20 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
第 21 回無担保投資法人債(特定投
資法人債間限定同順位特約付)
格付
見通し
AA
安定的
発行額
発行日
償還期日
利率
格付
80 億円 2011 年 9 月 12 日
2016 年 9 月 12 日
1.27%
AA
20 億円 2011 年 9 月 12 日
2018 年 9 月 12 日
1.68%
AA
40 億円 2012 年 4 月 26 日
2015 年 4 月 24 日
0.86%
AA
40 億円 2012 年 4 月 26 日
2017 年 4 月 26 日
1.08%
AA
80 億円 2012 年 9 月 12 日
2017 年 9 月 12 日
0.87%
AA
40 億円 2012 年 9 月 12 日
2019 年 9 月 12 日
1.23%
AA
30 億円 2013 年 4 月 25 日
2023 年 4 月 25 日
1.32%
AA
20 億円 2013 年 11 月 14 日 2025 年 11 月 14 日
1.41%
AA
25 億円 2014 年 4 月 28 日
1.04%
AA
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2024 年 4 月 26 日
信康
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 1 月 8 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本
主任格付アナリスト:杉山 成夫
幸一
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法(格付方法)の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)のストラク
チャード・ファイナンス「格付の方法」のページに、
「J-REIT」(2014 年 6 月 2 日)の信用格付の方法として掲載し
ている。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等)
アドバンス・レジデンス投資法人
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
いずれかの格付関係者による表明保証もしくは対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当該方針が
求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部
TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026
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http://www.jcr.co.jp