第4章

4.空間フィルタ
f [i  1][ j  1]
a[1][1]
a[1][1]
f [i ][ j ]
g[i ][ j ]
*
f [i  1][ j  1]
注目画素
と8近傍
フィルタ係数
f [i  1][ j  1]
注目画素の
新しい画素値
それぞれを9つの要素をもつ配列と考え,積和を計算
1
1
g[i][ j ]    f [i  k ][ j  l ]  a[k ][l ]
l  1 k  1
注意:3×3の他に、5×5、7×7もある
4.1 平滑化フィルタ
4.1.1平均値フィルタ
1
9
1
a[k ][l ]  
9
1
 9
1
9
1
9
1
9
1
9
1

9
1
9 
• フィルタ係数の総和は1と
なるように設定する
• フィルタ係数全てが1/9
• 8近傍の画素値との平均
値を求めて新しい画素値
とする
• 移動平均法とも呼ばれる
• 雑音は軽減されるが,同
時に画像(特に輪郭部
分)がボケてしまう
平滑化フィルタは、低周波通過型(ローパス)フィルタとして作用する
4.1.2 重み付き平均値フィルタ
1 1 1
10 10 10 
1
2 1

a[k ][l ]  
10 10 10 
1 1 1
10 10 10 
• フィルタ係数の総和は1と
なるように設定する
• 注目画素のみ係数(重
み)を大きくする
• 出力に対する着目点の寄
与率が大きくなるためボ
ケを多少は軽減できる
• 代表的なものにガウシア
ンフィルタがある
*ガウシアンフィルタ
ガウス分布
 x2  y2 
G ( x, y ) 
exp 
2
2 
2
 2 
1
 24
2
a[k ][l ]  
 24
1
 24
2
24
12
24
2
24
1
1
24 
2

24 
1
24 
• N回適用することで,標
準偏差σがsqrt(N)に比
例するようなガウシア
ンフィルタの効果を得
ることが可能な近似的
フィルタ
4.1.3 メディアンフィルタ
画素値の順に並べる
注目画素
と8近傍
中央値(メディアン)を選択
メディアンを注目画素の
新しい画素値とする
g[i ][ j ]  median{ f [i  m][ j  n] |  1≦ m, n ≦1}
メディアンフィルタの特徴
• スパイク状の雑音を除去するのに有効
• スパイク雑音は,他の画素値よりも大きいた
め,近傍画素値を並べ替えたときに端に寄る
傾向にある
• メディアンを選択することにより除去できる
• スパイク雑音のみ除去でき,ボケの発生はほ
とんどない(スパイク雑音が無い部分ではボ
ケが発生する場合がある)
• エッジ情報が保存される
例題
ノイズを含む部分:値が上下
f [i]  {...,0,0,1,0,1,8,6,8,8,....}
エッジ部分
平均値フィルタの場合:ノイズは除去
f [i]  {...,0,0,1,3,5,7,7,....}
エッジがボケている
メディアンフィルタの場合:ノイズは除去
f [i]  {...,0,0,1,1,6,8,8,....}
エッジがボケていない
4.2 特徴抽出フィルタ
• 画像解析
– 画像の特徴を抽出し目的に応じて処理
• 画像の特徴
– 濃度値,色,模様(テクスチャ)など
• 領域(region)
– 特徴が似通っている部分
• エッジ(edge)
– 領域と領域の境界で,特徴が急激に変化している部分
エッジ検出は重要かつ基本的な画像解析
4.2.1 (1次)微分フィルタ
• 1次微分
微分(差分)の定義
f [ x][ y ]
  x f  f [ x  1][ y ]  f [ x][ y ]
x
f [ x][ y ]
  y f  f [ x][ y  1]  f [ x][ y ]
y
対称性を考慮して
 x f  f [ x  1][ y ]  f [ x  1][ y ]
 y f  f [ x][ y  1]  f [ x][ y  1]
縦エッジだけ検出
横エッジだけ検出
 x f  f [ x  1][ y ]  f [ x  1][ y ]
 y f  f [ x][ y  1]  f [ x][ y  1]
 x f 2   y f 2
エッジの方向に依存しない
勾配の大きさを計算
あるいは x f   y f
tan
Δxf
1
0 0
-1 0
0 0
y f
勾配の方向
x f
0
1
0
Δyf
0 -1 0
0 0 0
0 1 0
2倍の値に
なっている
ことに注意
x方向微分
y方向微分
縦エッジ検出
横エッジ検出
勾配の大きさ
4.2.2 Robertsフィルタ
Δx f
Δy f
0
0
0
0 0
1 0
0 -1
0 0 0
0 0 1
0 -1 0
• 斜め方向の画素の濃
度差を利用
4.2.3 Prewittフィルタ
Δx f
Δy f
-1 0
-1 0
-1 0
1
1
1
-1 -1 -1
0 0 0
1 1 1
• 8近傍を有効に利用
する
• Robertsのように一カ
所の差分を求めるよ
りは,比較的局所的
な雑音の影響が少な
い
4.2.4 Sobelフィルタ
Δx f
Δy f
-1 0
-2 0
-1 0
1
2
1
-1 -2 -1
0 0 0
1 2 1
• 中央の重みを大きく
する
• 傾きを大きく計算する
ことになり,エッジが
強調される
• Prewittより検出感度
が高いフィルタ
• 重みは大きい程良い
のか?
エッジ検出効果
Roberts
Prewitt
低
Sobel
高
検出感度の違い
ノイズに対する影響
Roberts
Prewitt
低
Sobel
高
ノイズに対する感度も高くなってしまう
4.3 2次微分フィルタ
• ラプラシアン
 2 f [ x][ y ]
x 2
  
 
f [ x][ y ]    f [ x  1][ y ]  f [ x][ y ]

x  x
 x
  f [ x  1][ y ]  f [ x][ y ]   f [ x][ y ]  f [ x  1][ y ]

 f [ x  1][ y ]  f [ x  1][ y ]  2 f [ x][ y ]
 2 f [ x][ y ]
y
2
 f 
2
2 f
 f [ x][ y  1]  f [ x][ y  1]  2 f [ x][ y ]

2 f
x
y 2
 f [ x  1][ y ]  f [ x  1][ y ]  f [ x][ y  1]  f [ x][ y  1]  4 f [ x][ y ]
2
ラプラシアンフィルタ
0
1
0
1
-4
1
0
1
0
• 濃度の変化が緩やか
な所でも,その変化の
割合が大きく変化す
る場所であれば抽出
される。
• 濃度の変化が急激で
も,その変化の割合
があまり変化しない場
所は抽出されない
エッジ強調すなわち、ハイパスフィルターとして作用する
原画像
Prewitt
Laplacianでは負の値
になることもあるので
絶対値をとって出力す
る
Laplacian
変化の割合がなだらかに
変化するため値は小さい
4.4 先鋭化フィルタ
元の画像からラプラシアンを引き算することにより
エッジが強調される。
f [ x][ y ]   2 f [ x][ y ]
 5 f [ x][ y ]
 f [ x  1][ y ]
元の画像
 f [ x  1][ y ]
 f [ x][ y  1]
ラプラシアン
引き算の結果
 f [ x][ y  1]
オーバーシュート
アンダーシュート
プラスを引き算=引き算
マイナスを引き算=足し算
0
-1
0
-1
5
-1
0
-1
0
振幅差が強調される
元の画像
鮮鋭化結果