6wt%の水素吸蔵が可能な 低温型炭素材料 Carbon material which absorbs 6wt%-hydrogen under low temperature 長岡技術科学大学大学院物質・材料系 教授 斎藤秀俊 1 従来技術とその問題点 水素社会が目前に来ている →FCVが次世代車の覇権狙い坂道発進、政府 は成長戦略で支援(ロイターニュース6/24) 政府が24日に発表する「新成長戦略」では、FCVを含む次世代 車の新車販売に占める割合を13年の約23%から30年には5― 7割にする目標を掲げるとともに、水素社会の実現に向けた工程 表に基づき、1)FCV購入者に補助金を出す、2)2025年までに ハイブリッド車(HV)と互角の販売価格に引き下げる、3)FCVの 基準統一など国際調和を進めて海外展開も促す──ことなどを盛 り込む見通しだ。 2 従来技術とその問題点 液化水素スタンドを市街地にも建設できるように 基準整備 水素タンクの現状 70 MPa(700気圧) タンク貯蔵能力 5.7 wt% (トヨタ自動車) 3 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術では70 MPa、常温で貯蔵 タンクも含めた貯蔵効率は5.7wt% • 本技術の適用により、低温ではあるが2~5 M Paの圧力で、材料のみの貯蔵効率6wt%を超 える水素貯蔵が可能になり、貯蔵における安 全性向上が期待される。 4 想定される用途 • 本技術の特徴を生かすと、液化水素から蒸発 した水素の2次貯蔵に適用でき、安全性が向 上すると考えられる。 • 上記以外に、車両に搭載することによる安全 性向上の効果が得られることも期待される。 • また、水素製造所や家庭用燃料電池用水素 サーバーといった分野や用途に展開すること も可能と思われる。 5 実用化に向けた課題 • 現在、材料技術についてほぼ完成している。 • 今後、本件材料を利用した装置類の開発にス テージが移る。 • 実用化に向けて、本件材料を封入した水素 サーバーの開発を進めたい。特に利用シーン を考えた様々なサーバーを提案する企業に本 件材料を提供していきたい。サーバー開発で 得られた知財を開発パートナーが作り上げる ことができる。 6 企業への期待 • 大学は、より高温で水素貯蔵が可能な材料開 発を目指している。まずは77K(液体窒素温 度)で動作するサーバーの開発を希望。 • 明確なアウトプットを持つ、企業とのサーバー 開発の共同研究を希望。 • また、水素インフラ分野への展開を考えてい る企業には、本技術の導入が有効と思われる。 7 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :水素吸蔵方法、水素吸蔵装 置、及び水素吸蔵用炭素材料 • 特許番号 :特許5481648 • 出願人 :長岡技術科学大学、 ヒューズテクノネット • 発明者 :斎藤秀俊 他 8 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :水素吸蔵方法及び水素吸蔵 材料 • 特許番号 :特開2013-112572 • 出願人 :長岡技術科学大学、 ヒューズテクノネット • 発明者 :斎藤秀俊 他 9 水素吸蔵炭素材料の製造 籾殻 燻炭 水素吸蔵炭素 燻炭 水素吸蔵 炭素材料 排出 JAバイオエタノール プラント 賦活用連続炉 波及効果 CO2固定(180万t/year) 籾殻 水素吸蔵炭素 籾殻炭 200万t/year 低圧水素 ステーション整備 水素燃料電池 FCV普及の加速 CO2排出量削減に貢献 水素貯蔵 CO2回収 水素製造 籾殻活性炭の構造モデル 籾殻活性炭 < 2.0 nm TEM像 グラフェンシート 5 nm グラフェンシート間にミクロ孔 (2 nm以下の空間)が存在 籾殻活性炭の構造モデル 未吸着状態 グラフェン ・グラフェンが自由な方向に 配列 ・不規則積層構造 ・スリット型の細孔を持たない 吸着状態 吸着分子 ・グラフェンが一定層間で 配列 ・規則積層構造 ・スリット型の細孔が形成 Differential pore volume (cm3/g・nm) ミクロ孔の大きさ(細孔径分布) 8.0 1.5 nm 6.0 1.2 nm 籾殻活性炭A Vmicro=1.76 cm3/g 4.0 籾殻炭 Vmicro=0.04 cm3/g 2.0 0.0 0 0.4 0.8 1.2 1.6 Pore diameter (nm) 2.0 Differential pore volume (cm3/g・nm) ミクロ孔の大きさ(細孔径分布) 8.0 1.5 nm 6.0 4.0 1.0 nm 籾殻活性炭B Vmicro=1.80 cm3/g 1.2 nm 1.6 nm 2.0 0.0 0 0.4 0.8 1.2 1.6 Pore diameter (nm) 2.0 Stored hydrogen contents (wt.%) 298 Kにおける水素吸蔵特性 2.0 T=298 K 導入圧力=0.0005-12 MPa 1.5 籾殻活性炭B 1.24 wt.% 1.0 籾殻活性炭A 0.74 wt.% Maxsorb 0.78 wt.% 0.5 籾殻炭 0.1 wt.% 0.0 0 2 4 6 8 10 Equilibrium pressure (MPa) 12 Stored hydrogen contents (wt.%) 77 Kにおける水素吸蔵特性 10 導入圧力=0.0005-12 MPa T=77 K 籾殻活性炭B 8 7.8 wt.% 籾殻活性炭A 6 5.5 wt.% 4 Maxsorb 5.6 wt.% 2 0 籾殻炭 0 0.68 wt.% 2 4 6 8 10 Equilibrium pressure (MPa) 12 Stored H2 contents at 77K (wt.%) 世界トップレベルの活性炭の水素吸蔵量 10 DOE目標値 本研究 8 6 4 2 0 1994 1998 2002 2006 Year 2010 2014 技術開発の構想 貯蔵タンク(170L) 断 熱 層 冷 媒 搭載活性炭性能 77 K 5 MPa 7 wt% 水素11.9 kg お問い合わせ先 国立大学法人長岡技術科学大学 総務部 産学・地域連携課 知的財産係 中嶋、和久井 TEL 0258-47 -9279 FAX 0258-47 -9040 patent@jcom.nagaokaut.ac.jp 20
© Copyright 2024 ExpyDoc