VTホールディングス (7593・JASDAQ スタンダード、名証 2 部)2014 年 3 月 31 日 新規M&Aなくしても最高益を更新、業績は順調に拡大 アップデートレポート ㈱ティー・アイ・ダヴリュ 高田 悟 3Q 累計は中古車好調に 3Q の新車回復が重なり営業過去最高益 14/3 期 3Q 累計(4-12 月)の営業利益は前年同期比 32%増の 60 億円 となり過去最高。円安による輸出好調や高額車輌取扱い増による期初 からの中古車部門好調が持続。加えて、新車部門が日産の新型軽自動 車投入やホンダの新型「フィット」発売などによりエコカー補助金終 主 要 指 標 2014/3/28 現 在 株 価 555 円 596 円 (14/1/6) 254 円 (13/2/15) 昨年来高値 昨年来安値 了による低迷から後半脱し、3Q(10-12 月)に回復が顕著になったこと が好業績の背景。大幅増益は販売台数増に負う部分が大きいが、3Q 累 計で中古車部門の粗利益率が前年から大きく上昇、サービス、レンタ カー部門も増益となり、新車販売以外の保有をベースとしたストック 型のビジネスが収益を押し上げていることが注目される。書き入れ時 の 4Q(1-3 月)を残し 3Q 累計で会社通期営業利益計画の 63%を遂行。 発行済株式数 119,381,034 株 売 買 単 位 100 株 時 価 総 額 66,256 百万円 来期も最高益更新を予想、当社は配当性向目標を引き上げ 過達成を予想 15/3 期は消費税増税影響を受けるが、前期末の駆け込み需要に対す 予 想 配 当 12.3 円 下期 る在庫不足から受注残を抱えてのスタートになると見られる。加えて ( 会 予 想 社 ) E P S 45.05 円 ( ア ナ リ ス ト ) 実 績 4Q の保守的会社想定から 14/3 期会社計画超過達成が見込まれる。 ホンダ車、日産車ともに前期期中投入の売れ筋小型車や軽自動車が年 度フル貢献するため新車販売への影響は限定的と見る。こうした中、 P B R 2.71 倍 直前のレポート発行日 新車でのオプションパッケージ販売の寄与、輸出も含めた中古車販売 の増、点・車検、修理などサービスの着実な増加、レンタカーの拡大 により、新規M&Aなくしても増益、最高益更新が可能と見る。なお、 ベーシック 2013/6/28 アップデート 2013/12/19 業 績 動 向 当社は業績順調推移を踏まえ配当性向目標の 20%→30%への引き上げ を 2 月に発表。また、本年 3 月末基準で株式 3 分割を実施する。 売上高 百万円 前期比 % 営業利益 百万円 前期比 % 経常利益 百万円 前期比 % 当期純利益 百万円 前期比 % EPS 円 2013/3 3Q(4-12 月) 実 績 82,313 25.5 4,541 10.3 4,432 10.1 2,425 -21.2 22.90 2014/3 3Q(4-12 月) 実 績 90,930 10.5 6,004 32.2 5,917 33.5 3,203 32.1 29.37 2013/3 通 実 績 118,317 23.3 7,810 17.2 7,659 16.7 4,775 9.5 44.93 新 ・会社 予想 128,000 8.2 9,500 21.6 9,300 21.4 5,000 4.7 45.14 (2013 年 11 月発表) 128,000 8.2 9,500 21.6 9,300 21.4 5,000 4.7 45.91 新・アナリスト予想 130,500 10.3 10,000 28.0 9,800 28.0 5,300 11.0 45.05 旧・アナリスト予想 (2013 年 12 月発表) 132,000 11.6 10,000 28.0 9,800 28.0 5,400 13.1 48.68 新・アナリスト予想 138,500 6.1 10,700 7.0 10,500 7.1 6,300 18.9 53.55 旧・アナリスト予想 138,500 4.9 10,700 7.0 10,500 7.1 6,300 16.7 57.57 期 (2014 年 2 月発表) 旧 ・会社 予想 2014/3 通 2015/3 通 期 期 (2013 年 12 月発表) (注)主要指標は 4 月 1 日付の 1:3 の株式分割を勘案、業積動向 EPS も株式分割を勘案、実績は遡及修正 アナリストレポート・プラットフォーム 1 業 績 新車販売は頗る 好調、2 月は 6 カ 会社概要 月連続で前年実績 を大幅に上回る 経営環境解説 国内新車市場 (図表 1)に 12 年 1 月から 14 年 2 月までの国内新車販売台数(登録車+軽 自動車)の月次推移を示した。12 年はエコカー補助金の影響により前半を 中心に市場は活況を呈した。一時、前年同月の 2 倍近くまで市場は膨らんだ。 しかし、その後 12 年 9 月の補助金切れとともに市場は急速に縮小し、約 1 年に亘り前年割れが続いた。ところが、エコカー補助金終了に伴う反動減が 一巡する中、13 年夏場から新車販売は上向き始めた。13 年 9 月以降は各社 が相次ぎ投入した新型車効果に本年 4 月の消費税増税前の駆け込み需要が 相俟って販売好調が続く。因みに本年 2 月の新車販売台数は前年同月比 18.4%増の 565 千台となり、6 カ月連続で前年実績を大幅に上回った。 こうした中、軽自動車の販売好調が注目される。13 年暦年の軽自動車販 売台数は前年比 6.7%増の 2,112 千台となり、優に 200 万台を超え、新車販 売全体に占める割合も約 4 割に達した。直近の 1 月、2 月も登録車を上回る 伸びとなっており、2 カ月連続でシェア 4 割を超えた。低燃改善、室内空間 拡大、安全技術搭載など商品力の向上が販売好調に寄与していると見られる。 一方、登録車の中ではHV車販売が堅調だ。最近の販売上位は「アクア」 、 「プリウス」、 「フィット」とHV専用車やHVモデルを持つ車種が顔を並べ る。小型車、低燃費車への市場シフトが続く。 新車にやや遅れ中 古車販売も上向く 国内中古車市場 中古車登録台数推移の前年比較(図表 1)を見ると、完成車メーカーの新 型車投入タイミングなどの戦略や補助金など国の政策の影響を大きく受け る新型車と異なり販売は安定している。昨年夏場からの新車販売回復に一歩 遅れて上向き始め、足元は従来に比べ高い登録水準での推移になっている。 ホンダは新型車効 果で販売急回復、 日産も堅調 ホンダ、日産の国内販売動向 設立母体がホンダ系販社で、その後M&Aにより日産販社を相次いで買収 した当社においては、新車部門業績はホンダ、日産の販売動向に概ね連動す る。ホンダ系 1 社に対し日産系 4 社を傘下に持つため日産の販売動向の影響 がより大きい。 (図表 2)にホンダ・日産 2 社の販売動向を示した。ホンダ は新型軽自動車「N BOX」の貢献により一昨年の水準が高かったことな どから、昨年前半苦戦したが、昨年 9 月の主力小型車新型「フィット」投入 に伴い販売は急回復した。2 月の伸びの鈍化は新型車リコールが一時的に影 響したと見られる。一方、日産は昨年 6 月投入の三菱自動車との共同開発軽 自動車「デイズ」のヒットから以降は前年を上回り販売は堅調である。 アナリストレポート・プラットフォーム 2 業 績 国内新車販売(登録車+軽自動車)と中古車(乗用車)販売(図表 1) 会社概要 前年比(%) 200 新車販売台数 180 中古車販売台数 160 140 120 100 80 60 2 0 1 2 年1 月 5月 9月 2 0 1 3 年1 月 5月 9月 1月 (出所)(社)日本自動車販売協会連合会 国内新車販売、全体及びホンダ・日産(図表 2) 前年比(%) 180 160 140 120 100 80 国内全体 60 2 0 1 3 年1 月 4月 ホンダ 7月 日産 10月 1月 (出所)(社)日本自動車販売協会連合会 アナリストレポート・プラットフォーム 3 業 績 3Q 累計は営業 最高益、新車回復 会社概要 と保有ベースビジ ネス好調が寄与 14/3 期 3Q 累計 (4-12 月)業績解説 2 月 10 日公表の 14/3 期 3Q 累計(4-12 月)決算は、売上高 909 億円(前 年同期比 10.5%増) 、営業利益 60.0 億円(同 32.2%増) 、経常利益 59.1 億 円(同 33.5%増)、純利益 32.0 億円(同 32.1%増)となった。 3Q 累計では新型車効果により、外国車も含めたグループ全体の新車販売 台数が前年同期比 9.6%増の 20,457 台と上期までの同 3.8%増 13,604 台か ら大きく上向いた。ホンダ車が同 13.9%増の 5,199 台、日産車が同 6.0%増 の 13,024 台の内訳。一方、中古車販売台数は同 12.3%増の 34,511 台とな った。堅調な中古車販売には中古車オークション相場が比較的安定していた ことを背景にオークションでの中古車販売が順調に推移したことに加え、円 安を追い風に中古車輸出が同 16.9%増の 6,953 台と大幅に増加したことが 寄与した。新車販売回復に中古車販売好調が重なり、グループ全体の自動車 販売台数は同 11.3%増の 54,968 台と大幅に増加した。加えて、サービス部 門の堅調推移、リース部門の拡大などにより大幅増収となり、新規のM&A がない中で、売上は 3Q 累計として過去最高となった。 販売台数大幅増、サービス部門の増益、レンタカー部門の収益拡大から大 幅増益となり、営業段階、経常段階とも 5 期連続で最高益を確保した。 3Q(10-12 月)のみでは売上高が 304 億円(前年同期比 14.0%増) 、営業 3Q のみでは 新車回復が顕著と なり大幅増益 利益が 19.5 億円(同 41.9%増)となった。エコカー補助金終了影響を受け た前年同期に比べ、昨年 6 月の日産の新型軽自動車投入、昨年 9 月のホンダ の新型「フィット」投入などによる新型車効果により新車販売が大幅に改善 したことに加え、中古車販売好調持続から大幅増収大幅増益で着地。 新車に加え、新車 以外の部門でも着 実に収益を拡大 (図表 3)に 3Q 累計の自動車セグメントの部門別業績を示した。新車部門 粗利益は前年同期比 8.0%増益となった。新車販売時におけるオプション品 セット販売への注力などによる販売単価確保が小型車及び軽自動車比重が 高まる中での新車部門の増益及び高収益に寄与している。中古車部門は同 21.5%増収となり販売台数の伸びを上回る増収率となった。オークション市 場で高額車輌を多数販売できたことによる。サービス部門の微減収の一方で の増益は点・車検、修理、手数料収入などの収益性向上への注力により、粗 利益率が同 1.0%改善したことなどによる。レンタカー部門増益は新規出店 に伴う費用増を既存店の稼動堅調と新規出店による増収で吸収した。また、 同表から新車以外の部門の粗利益が自動車セグメント全体の 67.4%(前年 同期 66.4%)を占めることが注目される。当社においては新車以外の部門 の堅調な業績による新車以外の部門の粗利益でほぼ販管費をカバーできて おり、新車販売動向に左右されににくい体質が確立できていると言える。 アナリストレポート・プラットフォーム 4 業 績 会社概要 (図表 3)自動車セグメント部門別損益 (単位:百万円) 14/3期 4Q(1-3月) 1-3Q(4-12月) 新車 中古車 サービス 外部売上高 粗利益 粗利率 台数 外部売上高 粗利益 粗利率 台数 外部売上高 粗利益 粗利率 外部売上高 レンタカー 粗利益 粗利率 外部売上高 粗利益 合計 粗利率 台数 実績 構成比 前年比 計画 構成比 前年比 40,572 44.6% 10.1% 19,965 53.9% 13.0% 6,185 32.1% 8.0% 3,097 37.7% 14.5% 15.2% 15.5% 20,457 37.2% 9.6% 10,876 47.4% 21.4% 25,574 28.1% 21.5% 7,282 19.6% -22.1% 3,835 19.9% 45.0% 1,470 17.9% -0.5% 15.0% 20.2% 34,511 62.8% 12.3% 12,092 52.6% -3.5% 19,064 21.0% -0.8% 7,583 20.5% 8.5% 7,240 37.5% 1.8% 2,852 34.7% -1.9% 38.0% 37.6% 4,003 4.4% 11.3% 1,545 4.2% 12.9% 1,737 43.4% 89,215 18,998 21.3% 54,968 9.0% 98.1% 98.5% 100.0% 9.3% 通期 計画 構成比 前年比 60,538 47.3% 11.0% 9,282 33.8% 10.1% 15.3% 31,333 40.2% 13.4% 32,857 25.7% 8.0% 5305 19.3% 28.7% 16.1% 46,603 59.8% 7.7% 26,648 20.8% 1.7% 10,092 36.7% 0.7% 37.9% 5,548 4.3% 11.7% 691 8.4% 10.4% 2429 44.7% 43.8% 10.5% 36,376 98.1% 2.8% 125,592 11.3% 8,109 98.7% 5.1% 27,108 22.3% 21.6% 11.3% 22,968 100.0% 6.9% 77,936 8.8% 9.7% 98.1% 98.6% 8.2% 9.3% 100.0% 9.9% (出所)会社資料よりTIW作成 (注) 前年比は前年同期に対する増減率 (注 2)構成比は連結全体業績に対する割合 アナリストレポート・プラットフォーム 5 業 績 3Q 累計の主要ディーラー業績 上期に続き 3Q 累 会社概要 計でも各社好調 ホンダカーズ東海と日産系ディーラー4 社の主要 5 社(長野、静岡、三河、 サティオ埼玉)が当社売上高の 75.0%を占め、日産系ディーラーのみの比 率は 59.3%を占める。中古車販売の好調と後半の新車販売の回復により、 各ディーラーともに大震災後の特殊要因により高いレベルとなった 12/3 期 の水準を超えて、経常段階で過去最高の利益を上期に確保した。 3Q 累計でも当社グループ入りによる販売急回復で他社攻勢に会っている と見られる日産サティオ埼玉(12 年 4 月子会社化)の新車部門を除き、各 ディーラーともに新車、中古車ともに販売台数が前年の水準を大きく上回っ ていることから高収益を確保したと見られる。 自動車ディーラーと して最高水準の利 益率を維持 3Q 累計の売上高営業利益率は 6.6%と高水準を確保 3Q 累計の営業利益率は 6.6%となった。因みに 13/3 期通期の営業利益 率が当社 6.6%に対し同期間の業界平均営業利益率は 2.7%(日本自動車 販売協会連合会調べ)で自動車ディーラーとしては最高水準の利益率を誇 り、今期に入っても高い水準を維持している。 その秘訣は(1)新車販売時におけるオリジナルモデルのワンプライス 戦略(例えばオプション用品を含めお買い得感のあるパッケージ提案など による値引き抑制=付加価値確保)、 (2)サービス面におけるサービスマ ンも営業マンとして機能(営業マンとサービスマンが連携し、車輌状態、 顧客ニーズに合った提案営業、メインテナンスパックによる顧客囲い込み など) 、 (3)運営面での誰もが売れるシステム、マニュアル(店頭商談の 効率を最大化し、誰でも簡単に提案できる商談システムを構築) 、などの いわゆるVT方式とういう独自の経営ノウハウ、営業ノウハウにあると見 られる。12 年 4 月に子会社化した日産サティオ埼玉は当社のノウハウ注 入により僅か半年足らずで日産系トップディーラーの仲間入りを果たし たが、このことは当社経営、営業ノウハウの高さの証左と言える。 アナリストレポート・プラットフォーム 6 業 績 通期業績見通し 会社概要 当社以上の通期増益を TIW は予想 書き入れ時の 4Q(1-3 月)売上高は過去 2 年度、直前四半期 3Q の売上高 の約 1.35 倍に上った。しかし、今期 4Q の会社売上想定は 370 億円(前年同 期比 3%増、3Q 比 1.22 倍)に止まる。これは、消費税増税前の駆け込み需 要の影響による在庫不足への懸念による 3Q 累計決算公表時の通期計画据え 置きが影響したと見られる。TIW は(1)3Q 累計の良好な計画遂行、(2)好 調が続く中古車販売の 4Q 会社想定が保守的(3Q 比 13%減収)な印象、など を勘案し会社計画を上回る通期着地を予想。なお、4Q にはホンダ車は昨年 12 月投入のフィットベースのSUV「ヴェゼル」 、日産車は 2 月投入のスー パーハイトワゴンタイプの新型軽自動車「デイズ ルークス」の貢献が見込 まれる。 (ホンダ ヴェゼル 同社 HP より) (日産新型軽自動車デイズ ルークス 同社 HP より) アナリストレポート・プラットフォーム 7 業 績 子会社トラスト業績 は順調に拡大 会社概要 進む 修正 3Q 累計は大幅増収、大幅営業増益 ①中古車輸出、②レンタカー、③海外自動車ディーラーの 3 事業からなる、 東証マザーズに上場する子会社トラスト(3347)の業績が堅調だ。3Q 累計は 中古車輸出事業が車輌のラインアップ強化、現地自動車販売業者などへのB 2B販売強化やWEBサイト強化などによる利便性改善などや円安を追い風 とした台数増により大幅増益となった。レンカー事業も TVCM の継続的放映 などによる個人顧客への販売強化、新規出店効果及び車輌販売台数増により 増益となった。また、主に南アフリカでの新車販売を柱とする海外自動車デ ィーラー事業も販売台数増と販社の中古車・サービス部門における継続的な 経営改善により大幅増益となった。この結果、3Q 累計は前年同期比 19.1% 増の大幅増収、同 34.2%の大幅営業増益となった。通期ではレンタカーで の出店費用増をこなし過去最高益更新が見込まれる。新車市場縮小の流れな ど当社国内販社を取り巻く環境が悪化する中で成長分野を手掛ける同社の 貢献が今後一層高まる可能性が高いと TIW はみている。 M&Aなくしても増益、営業過去最高益更新を予想 15/3 期業績展望 TIW は仮にM&Aがなくても 15/3 期は営業利益で前期比 7%増の 107 億円 と増益、過去最高益更新を予想。理由は(1)ディーラー新車販売は消費税 引き上げの影響が懸念される。しかし、ホンダ系販社では前期末の在庫不足 から受注残を抱えスタートする見込みであることに加え、HV車を中心に受 注好調な新型「フィット」及び「ヴェゼル」の年度フル寄与が見込まれる。 日産系販社でも三菱自動車との共同開発車に年度フル寄与が見込まれるた め、国内販社の新車販売台数は前期を上回ると考える。 (2)基盤収益カバー 率のたゆまぬ改善により新車以外の部門の業績も底上げされ前期を上回る 公算が大きい。 (3)当社の買収後の子会社収益改善力を踏まえれば、買収後 3 年目に入る日産サティオ埼玉の一段の収益拡大、英国子会社CCRの黒字 化が見込める。 (4)成長途上の子会社トラストで円安持続による中古車輸出 事業の好調、レンタカー事業の順調な拡大を背景に増収増益を予想。などに よる。ただし、前期前半に大きく伸長し上期を牽引した国内中古車販売で増 益のハードルが高くなっていることを踏まえ、予想増益幅は一桁にとどめた。 アナリストレポート・プラットフォーム 8 特 記 事 第 4 回新株予約権 の権利行使が終了 会社概要 進む 修正 項 2 月 10 日権利行使が完了、自己資本を 36 億円増強 当社はM&Aを柱とした事業拡大の継続と財務内容強化の両立を目的に 「固定株価資金調達プラン」という手法による資金調達プランを採用。一昨 年 11 月に投資銀行のUBSを新株予約権の割当先として新株予約権 3,000 個(新株予約権 1 個に付つき 1,000 株)を発行した。昨年後半の株価上昇局 面で一部権利行使が進んだが、新年に入り株価が権利行使価格 1,200 円(固 定)を超える水準で推移する中、順調に権利行使が進み、2 月 10 日に権利 行使が完了。これにより当社は自己資本を 36 億円増強した。また、発行済 み株式数は 3 百万株増加の 39,793,678 株となった。 財務体質改善によ り新たなM&Aへ の環境が整う 自己資本蓄積、新株予約権行使により実質有利子負債削減が進む 前期末、メーカーへの支払いサイトなどの変更にともない一時的に 261 億円まで増加した実質有利子負債は今期に入り業績拡大に伴う自己資本の 蓄積により順調に削減が進み、14/3 期 3Q 末には 222 億円へ減少、上記新株 予約権の行使完了もあり会社計画では 14/3 期末には実質有利子負債が 150 億円以下へ低下の見込み。当社成長にはM&Aが不可欠と言えるが財務体質 改善が一段と進んだことで財務面からは環境が整ってきたと言える。 株式分割と 目標配当性向引き 上げを発表 1 対 3 の株式分割実施を予定、期末配当予想を増額修正 2 月 12 日に当社は株式の流動性を高め、投資家層の拡大を図ることを目 的に株式分割(1 対 3)を発表。基準日は 3 月 31 日で効力発生日は 4 月 1 日となる。また、同時に株主への利益還元をさらに充実させるために、当社 業績の順調推移や東証上場会社の配当性向の平均値などを総合的に勘案し 目標とする配当性向を 30%(従来 20%)へ引き上げることを公表。これに 伴い、今期業績の順調推移から当期(14/3 期)期末配当予想を前回予想か ら 5 円増額し 1 株当り 21 円(株式分割を勘案すると 7 円)に修正した。こ れにより、当期の年間配当金は1株当り 37 円となり前期(13/3 期)との比 較では 7 円の増配となる予定。 アナリストレポート・プラットフォーム 9 (出所)㈱QUICK 上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。 上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。 上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。 2011/3 株 価 推 移 2012/3 2014/3 予 (アナリスト) 2013/3 株価(年間高値) 円 120 187 367 - 株価(年間安値) 円 46 74 178 - 月間平均出来高 百株 47.319 23.194 23.859 - 高 百万円 92,657 95,974 118,317 130,500 売 上 営 業 利 益 百万円 5,919 6,662 7,810 10,000 経 常 利 益 百万円 5,700 6,562 7,659 9,800 百万円 2,763 4,361 4,775 5,300 業 績 推 移 当 期 純 利 益 E P S 円 26.90 42.31 44.93 45.05 R O E % 25.2 30.9 26.4 22.0 流動資産合計 百万円 20,634 26,631 27,392 - 固定資産合計 百万円 45,095 44,970 52,118 - 資 百万円 65,730 71,601 79,510 - 産 合 計 貸借対照表 流動負債合計 百万円 37,813 41,872 43,074 - 主 要 項 目 固定負債合計 百万円 14,815 12,807 15,279 - 負 百万円 52,628 54,680 58,353 - 株主資本合計 百万円 12,086 15,737 19,876 - 純 資 産 合 計 百万円 13,101 16,921 21,157 - 営業活動による CF 百万円 6,619 6,487 2,347 - 投資活動による CF 百万円 -916 -694 -1,643 - 財務活動による CF 百万円 -6,304 -5,549 -3,122 - 現金及び現金同等 物の期末残高 百万円 6,352 6,579 4,184 - キャッシュフ ロー計算書 主 要 項 目 債 合 計 (注)株価推移における株価及び業績推移における EPS は本年 4 月 1 日予定の 1 対 3 の株式分割を勘案 アナリストレポート・プラットフォーム 10 リ 業 関 ス ク す 界 る リ 会社概要 分 析 に ス ク 業界に関するリスク 昨年前半の国内新車販売は一昨年、市場を活性化させたエコカー補助金 の反動で低迷した。この影響一巡と新型車効果などで足元の新車販売は 好調だが、消費税増税前の駆け込みが需要を支えている面もあり反動や 増税による景況感悪化で新車市場が急激に冷え込むリスクがある。 中古車ビジネスは景況感悪化などにより需要不足、供給過多の状況とな り値崩れから利幅が減少するリスクがある。また、商品構成やトレンド の変化による需給アンマッチによる取引環境の悪化や円高への転換に よる輸出環境の悪化などのリスクがある。 当 リ 社 固 ス 有 の ク 当社事業に関するリスク (1)新モデルの販売動向 来期にかけての当社新車部門の販売は出足好調なホンダ主力小型車「フィ ット」及び「フィットHV」や本年 2 月投入の日産のスーパーハイトワゴン タイプの新型軽自動車「デイズ ルークス」の販売動向がポイントになる。 市場環境の急激な悪化や他社競合車種の攻勢などにより新型車の販売が伸 び悩むリスクがある。 (2)M&Aの対象になる販社及び資金需要 当社の成長には国内販社のM&Aが今後も必要不可欠であり、経営側も意 欲的である。被買収先は、業績改善効果が大きく見込めるため、経営に行き 詰っている先が望ましい。しかし、市場環境の好転などにより好条件の案件 が出難くなるリスクがある。また、業績拡大に伴う自己資本の蓄積と新株予 約権の発行、行使完了により財務体質改善が進んだが、案件の規模や内容に よっては新たなファイナンスの可能性を踏まえておく必要があろう。 (3)国内販社の持続的収益力の向上 当社の買収先業績の短期改善力、基盤収益カバー率(新車以外の粗利益÷ 販管費)向上、などの実績は目を見張る。とはいえ、国内自動車市場縮小、 小型車比重の増加傾向などから大きく収益改善を図りにくい環境になっ てきている。商用車などストックベースのビジネスの基盤収益カバー率を 踏まえると、当社既存販社の基盤収益カバー率は既に高く、更なる改善が 限界的な水準にあるとの見方ができることもリスクの一つと言えよう。 アナリストレポート・プラットフォーム 11 デ ィ ス ク レ ー マ ー 1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。 )が実施する「アナリストレポー ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。 会社概要 2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作 成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社テ ィー・アイ・ダヴリュ(以下「レポート作成会社」といいます。 )に支払われています。 3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに 誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま せん) 。 4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。 5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の 取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変 動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資 の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適 合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお 願いいたします。 6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当 該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の ものであり、今後予告なく変更されることがあります。 7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及 びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が 欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる 情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。 8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作 権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに 複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。 <指標の説明について> 本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。 参照 URL ⇒ http://www.tse.or.jp/listing/analystreport/index.html アナリストレポート・プラットフォーム 12
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