してますか?くすりのトータルサポート OTCサプリの影響を科学する

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してますか?くすりのトータルサポート
OTCサプリの影響を科学する
< 連 載 4>
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共立薬科大学・OTC薬とセルフケア研究会
骨は生体の支持組織として荷重を支えると同時に、生体にCaとPを供給している。血中へCaを移行さ
せるために通常は一定周期で古くなった骨は破骨細胞によって壊される(骨吸収)。その血中へ吸収された
分は、骨芽細胞によって作られている(骨形成)。しかし、破骨細胞と骨芽細胞の機能バランスが崩れると
骨吸収と骨形成のバランスが崩れ骨粗鬆症となる。
骨粗鬆症による骨折は、寝たきりで介護が必要となる可能性がある。特に女性は閉経後に女性ホルモンの
低下によって骨粗鬆症を起こしやすい。かつては、骨粗鬆症は生理的な老化として考えられてきたが、現在
は生活習慣病の一種としてとらえられ、骨折の予防に重点をおいて治療が行われている。
骨粗鬆症治療薬と相互作用を起こし得るOTC薬やサプリメントを別表にまとめた。活性型VD3製剤で
あるアルファカルシドール(商品名:アルファロールなど)やカルシトリオール(商品名:ロカルトロール
など)は骨へのCa吸収の増加をねらって投与される。これらのVD3製剤はMgを配合するOTC薬の制
酸剤などと併用することで高Mg血症を起こす恐れがある。高Mg血症の初期症状として口渇、熱感、全身
倦怠感などの初期症状があることを伝え、どうしても必要ならばMgを含まないOTC薬をすすめる。
またVD3製剤はOTC薬のCa製剤やVD製剤などと併用するとそれぞれ高Ca血症、VD過剰症を引
き起こす恐れがある。CaについてはOTC薬の総合ビタミン剤などにも配合されていることが多いので注
意が必要である。
ある患者さんは塩酸ラロキシフェン(商品名:エビスタ)とアルファロールを服用していたが、Ca配合
の相互ビタミン剤とヨーグルトを毎日摂取し、さらに足りないと思いヨーグルトに粉ミルクを混ぜたいとお
っしゃっていた。日本人は通常食事で 500∼600mg/日のCaを摂取しており、骨粗鬆症で補充を行う場合
は 500mg/日程度でよいとされている。患者さんが自己の健康を気遣うことは良いことだが、時として過剰
摂取となることがある。高Ca血症の初期症状としては、口渇、集中力障害、吐気などがある。薬剤師には
併用のOTC薬の使用状況の把握と、過剰摂取への注意の促しや過剰症の初期症状などの情報提供が望まれ
る。
ビスホスホネート製剤のエチドロン酸二ナトリウム(商品名:ダイドロネルなど)
、リセドロン酸ナトリ
ウム水和物(商品名:ベネットなど)は強力な骨吸収抑制作用から骨吸収と骨形成のネガティブバランスを
改善し、骨粗鬆症の第一選択薬となる。これらの薬は服用方法が特殊で、薬剤の腸管からの吸収を保つため
にアクトネル、ベネットは服用前後 30 分から、ダイドロネルは服用前後 2 時間は水以外の飲食をしないこ
とと、座位での服用などを情報提供する。
飲食物以外にも、OTC薬の胃薬やFe剤、Ca剤など多価陽イオン含有製剤もビスホスホネート製剤の
吸収を低下させ、作用を減薬させるので注意が必要である。
イプリフラボン(商品名:オステン)は骨吸収の抑制と腎からのCa排泄抑制作用により骨量減少を改善
する。イプリフラボンはテオフィリンの代謝を阻害し、テオフィリンの血中濃度を上昇させるおそれがある。
従って、テオフィリンを含有するOTC薬の鎮咳薬や乗り物酔い防止薬などとの併用には注意が必要である。
骨粗鬆症という病気の名前からか、患者さんのなかにはとにかくCaを摂取しなくてはいけないと考えら
れる方も多いようである。薬剤師は投与時に薬の説明やOTC薬の使用状況の確認だけでなく、サプリメン
トの使い方や食事についてなど生活習慣に関する情報提供も望まれる。
〔表〕 医療用医薬品とOTC薬、サプリメントの相互作用
<4.骨粗鬆症治療薬>
相互作用を起こし
医療用医薬品
得る OTC 薬、
相互作用(臨床症状)
相互作用機序
PK/PD
サプリメント
活 性 型VD 3 製剤 Mg含有制酸剤
高 M g 血 症 の お そ れ VD3 製剤は腸管における PK(A)
(アルファロール
(口渇、熱感、全身倦 Mg吸収を促進させる
など)
怠感など)
Ca製剤
高 C a 血 症 の お そ れ VD3 製剤は腸管における PK(A)
(口渇、集中力障害、 Ca吸収を促進させる
吐気、筋肉痛など)
VD製剤
VD過剰症(高Ca血 VD過剰摂取による相加作 PK(A)
症、かゆみ、嘔気、下 用でCa吸収量が増加する
痢、腹痛など)
ビスホスホネート Mg、Al含有制酸 ビスホスホネート製剤 ビスホスホネート製剤は 2 PK(A)
製剤(ダイドロネ 剤、Ca、Fe製剤 の作用減弱
価陽イオンと錯体を形成す
ル、ベネットなど) など
るため、吸収が妨げられる
イ プ リ フ ラ ボ ン テオフィリンを 含 テオフィリンの作用
テオフィリンの代謝が阻害 PK(M)
(オステンなど) 有する鎮咳薬、乗り 増強
されるためテオフィリン血
物酔い防止薬
中濃度が上昇するおそれが
ある
PK(A):吸収時の相互作用;PK(D);分布時の相互作用;PK(M):代謝時の相互作用;
PK(E):排出時の相互作用;PD:薬理効果上での相互作用