9478 SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ

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9478 SE ホールディングス・アンド・インキュベーションズ
速水 浩二
(ハヤミ コウジ)
SE ホールディングス・アンド・インキュベーションズ株式会社社長
V 字回復を実現し、再成長軌道に乗る
◆2014 年 3 月期通期決算
当社は、最適化された事業構成を目指す IT 関連の事業を中心とした企業集団で、IT 関連の事業者支援、教
育・人材関連、技術情報の出版、店舗、ソフトウエア・ネットワーク関連で事業展開をしている。
2014 年 3 月期の期初目標として、「強靭な企業体質の実現と実体収益に強くフォーカスした経営により、悪環境
下にも確実な収益を実現できる企業グループを目指す」を掲げ、全事業会社黒字化、新規収益基盤の確立、企業
耐性の向上、海外収益基盤の確立と資産の再配分という四つの具体的な施策を進めてきた。その結果、昨年は V
字回復を実現し、再成長の軌道に乗ることができた。
2014 年 3 月期は、連結で、売上高 74 億 19 百万円(前期比 6.1%増)、営業利益 2 億 55 百万円(同 295.3%増)、
経常利益 1 億 66 百万円、当期純利益 64 百万円と、いずれも 2013 年 3 月期を大きく上回った。
セグメント別に見ると、まず出版のセグメントは、売上高 27 億 74 百万円、セグメント利益 2 億 42 百万円となった。
オンライン経由の書籍販売、電子書籍販売が好調に推移した一方で、書店販売は減少し、この結果若干の減収と
なった。広告・イベント関連の収入は下期から回復、翔泳社の子会社で、電気技術者向け資格に特化した翔泳社
アカデミーが、買収以降初めて黒字化した。このセグメントにおいては、オンライン販売や電子書籍への移行トレン
ドが明確になりつつある。
コーポレートサービス事業は、売上高 8 億 51 百万円、セグメント利益 1 億 15 百万円。既存クライアントからの受
注の回復や、新規クライアントからの引き合い増加で、増収増益となった。景気の回復を受けて、企業からのマー
ケティングやプロダクト関連の受注が好調で、このセグメントでの再成長、黒字基調が定着しつつある。
ソフトウエア・ネットワーク事業は、売上高 12 億 88 百万円、セグメント利益 3 百万円で、大幅な増収増益となっ
た。特にスマートフォン関連の売上が大幅に増加、この 2 年近く行ってきたマーケティングや開発投資が回収フェ
ーズに入って、セグメント利益が 1 億円近く改善した。
インターネットカフェの事業は、前々期に不採算店舗の閉鎖等抜本的な経営改革を行った結果、店舗の減少に
より、売上高は 12 億 73 百万円と前期の 13 億 87 百万円から減収になった。しかし、抜本的な経営改善の効果や
個人消費者の回復などにより、セグメント利益は 60 百万円と大幅な増益となった。
教育・人材事業は、売上高 10 億 53 百万円、セグメント利益 45 百万円で、大幅な増収増益となった。クラウドサ
ービスをベースとした教育関係のサービスや、IT・医療人材紹介事業、研修事業が好調に推移、金融や医療業界
向けを中心に利益率の高いサーバベースの教育システムが広く浸透して、増収増益につながった。
当期から開示となった投資運用事業は、売上高 1 億 80 百万円、セグメント利益 32 百万円となった。経済環境の
好転により安定した利益を実現、今後も長期の安定収益拡大を目指す。
2014 年 3 期末の連結資産・負債の状況は、流動資産は 70 億 37 百万円で、現金を中心として約 7 億 50 百万
円前期より増えた。一方で、有利子負債は 3 億 50 百万円前期より減少している。ライツ・オファリングで 9 億円近く
調達できたこと、営業キャッシュインも非常にいい状況だったことから、財務内容もかなり改善した。
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◆2015 年 3 月期通期決算予想
フィーチャーフォンや書店販売などの旧基盤からスマートフォンやオンライン経由の書籍販売、電子書籍など成
長市場に収入基盤をシフトしており、基盤の入れかえが進むことも考慮して、売上高は前期並みの 75 億円(前期
比 1.1%増)を計画している。
営業利益は、先行投資や旧来の事業基盤の入れかえの部分の費用負担も織り込みつつ、スマートフォン、ソー
シャル関連事業の通期での利益貢献などにより、2 億 70 百万円(同 5.7%増)と増益を見込んでいる。
経常利益、最終利益については、前期のライツ・オファリングによる資金調達、財務体質の改善等により、経常
利益 2 億円(同 19.8%増)、最終利益 1 億円(同 54.7%増)を見込んでいる。
◆今後の事業展開
前々期において、リスクのある資産、旧来事業に係る資産の整理など構造改革を進め、現状では減益要因とな
る資産はほぼ一掃できた。また、全事業セグメントの黒字化を前期に達成、営業面でも体質が強化された。ライ
ツ・オファリングによる資金調達で財務体質も改善し、営業外の損益も好転する見込みで、今後は再成長を加速す
る事業基盤への投資と追加の施策を行っていく。
中期の再成長へ向けて、スマートフォン・ソーシャル・クラウドなどの IT ニューマーケット、書籍を中心としたコン
テンツのオンライン化、エリアとして海外・中国、この 3 点を重点項目として、再成長基盤の形成、確立を進める。
重点項目の 1 点目のスマートフォン・ソーシャル・クラウドなどのニューマーケットについては、スマートフォン・ソ
ーシャルマーケットへはこの 2 年で 5 億円超の先行投資を行ってきたが、これが回収、利益フェーズへ入っている。
スマートフォンのコンテンツ事業は、2013 年度下期から損益が黒字に転じ、売上も拡大を続けている。スマート
フォンのマーケットは寿命が長いので、今後もコンテンツの拡充、多様化をはかって、長期にわたり収益を上げて
いきたい。ソーシャルマーケットも、一定の利益が確定している受託開発から、より大きな利益が出る自主運営や
共同運営コンテンツへシフトしている。
さらに、クラウドラーニング、ペーパーレスソリューションの展開を進める。クラウドやサーバベースのソリューショ
ンを基盤とした教育システムは、特に金融、医療の分野で大きなシェアを占めている。また、サーバやタブレット PC
などの端末を使って会議を効率的に進めるペーパーレスソリューションも提供しており、非常に順調に伸びてい
る。
重点項目の 2 点目として、コンテンツのオンライン化を進める。オンラインベースでのコンテンツ提供の強化をは
かるとともに、コンテンツ自体の電子化とオンライン化を進める。
電子書籍点数は、2012 年 3 月末期にはほとんどなかったが、2014 年 3 月末では 500 点を超え、2015 年 3 月末
には 700 点を超える見込みだ。また、「MarkeZine」や「ECzine」といったオンラインマガジン等も拡充すると同時に、
イベントとの複合展開もはかって収益アップを目指す。
タブレットやスマートフォンなどの端末が普及し、電子端末による書籍やコンテンツの購読が増え、書籍も、書店
での購入からオンラインを通じての購入に移行している。従来は書籍販売の 9 割以上が書店経由の購入だったの
が、ここ数年で書籍販売の約四分の一が電子書籍やオンライン経由の販売に変わってきており、電子書店や電子
書籍に強いコンテンツホルダー、コンテンツのパブリッシャーである当社にとって、好ましいマーケットに移行しつつ
ある。
今後はオンライン販売や電子書籍といったマーケットに強いコンテンツの企画を進め、アドバンテージを拡大し
ていく。一方、書店販売も、データ解析を進めて効率のよい販売を行い、市場の移行に伴う混乱やコスト負担が少
ない形でマーケット拡大と売上拡大をはかっていく。
重点項目の 3 点目は海外展開、中国展開だ。当社の出資先であり長年支援を続けてきた 800Teleservices 社へ
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の支援拡大と連携強化をはかり、中国市場でのレベニューストリームを創出する。同社は中国国内、外資の双方
に優良クライアントを多く抱え、業績は順調に拡大している。中国市場の拡大とともに同社の一層の成長が期待さ
れる。
また、投資運用分野においても、SE インベストメント社を通じて海外資産や海外運用を拡充し、日本のローカル
リスクをヘッジする。
2014 年 3 月期は、最終利益で黒字を回復し、大幅な増収増益となり、全事業セグメントで利益を計上できた。
2015 年 3 月期も、引き続き成長市場への事業シフトを加速し、三つの重点項目を柱に成長基盤確立を目指す。
◆質
疑
応
答◆
教育・人材事業、Web マガジンの売上の仕組みについて伺いたい。
人材については、人材派遣、人材紹介、教育については、教室の運営、コンテンツの提供・販売など、教育・人
材事業は多様なレベニューストリームがある。
e‐ラーニングは、サーバ製品を提供して、そのイニシャルの導入費とメンテナンス、ランニングから収益を上げる
部分と、e‐ラーニングのシステムをクラウドベースで提供し、その利用料という形で収益を上げる部分と、現状二つ
のレベニューの方法がある。
Web マガジンは、企画広告も含めた広告の提供による売上がある。また、Web マガジンと連動したイベントの開
催などによる集客収入、スポンサー収入も売上となっている。
e‐ラーニングでサーバ製品を提供する場合、その内容も御社が提供するのか。
もともとわれわれは IT コンテンツに強いグループで、技術者の教育等を中心としたラーニングの場合、システム
とコンテンツとあわせて提供する形が多かった。
e‐ラーニングは、集合研修のように、研修の場所を確保したり、研修を受ける人が移動する必要がない。そうい
うメリットがあるため、e‐ラーニングのニーズが高まり、金融、医療関係にもシステムを提供している。そのため、近
年は、システムだけを提供して、コンテンツは企業のほうでカスタマイズする形も増えている。
翔泳社アカデミーの売上はどのくらいか。
翔泳社アカデミーはコンテンツの多様化の目的で数年前に買収した会社だ。非常に小さい会社なので、出版セ
グメントの中でもまだ 1 割に満たない。
(平成 26 年 6 月 6 日・東京)
*当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。
http://www.sehi.co.jp/ir/settlement_explanation.html
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