OptiChar Ver.10.48 マニュアルの Examples を日本語化しました。(pdf

OptiLayer
Thin Film
Software
OptiChar
例題
(Examples)
Version 10.48
Cop yright © 1998-2014, OptiLa yer Ltd.
目次
3.1
は じ め に ........................................................................................................... 1
3.2
例 題 1 : 不 均 質 膜 の 解 析 .................................................................................... 1
3.3
例 題 2: 分 光 偏 光 解 析 : 表 面 不 均 質 性 と デ ル タ 角 ................................................. 8
3.4
例 題 3: 分 光 測 定 デ ー タ に 含 ま れ る 系 統 的 誤 差 の 影 響 ........................................ 12
3.5
例 題 4: 分 光 偏 光 解 析 : バ ル ク お よ び 表 面 不 均 質 性 ........................................... 15
3.6
例 題 5: 異 な る 計 算 モ デ ル で T と R を 使 っ た 石 英 基 板 と TiO2 層 の 解 析 .............. 23
3.7
例 題 6: 電 子 銃 蒸 着 に よ る TiO2 膜 の 解 析 ( 多 孔 性 モ デ ル ) ............................... 39
3. 例 題
3.1
はじめに
・ こ の 例 題 を 実 行 す る に は 、 PC の 例 題 用 デ ィ レ ク ト リ に 例 題 を イ ン ス ト ー ル す る 必
要があります。
・ OptiChar の 登 録 ユ ー ザ ー の 場 合 、カ ス タ ム (Custom)セ ッ ト ア ッ プ を 選 択 し 、次 ペ
ー ジ で Examples( 例 題 ) も イ ン ス ト ー ル し て 下 さ い 。
・OptiChar の デ モ バ ー ジ ョ ン の 場 合 、Examples は 自 動 的 に イ ン ス ト ー ル さ れ ま す 。
デ モ バ ー ジ ョ ン は 、す べ て の フ ァ イ ル が 読 み 出 し の み と な っ て お り 、書 き 込 み・修
正等はできません。
・ Windows Vista, XP, 2000, Me お よ び Windwoss98 を 搭 載 す る PC な ら ば 実 行 可 能
で す が 、 最 小 性 能 と し て は PⅢ 500MHz、 RAM256MB を 推 奨 し ま す 。
・本 例 題 を 行 う 前 に 、メ イ ン ソ フ ト ウ ェ ア ー で あ る OptiLayer の チ ュ ー ト リ ア ル( 練
習 問 題 )を 先 に 行 う こ と を 推 奨 し ま す 。多 く の 部 分 で 共 通 す る 内 容 を 含 ん で い ま す 。
注 意:チ ュ ー ト リ ア ル (Tutorial)や 例 題 (Example)の デ ィ レ ク ト リ に は 、作 成 し た
デ ー タ を 保 存 し な い こ と を お 薦 め し ま す 。こ れ ら の デ ィ レ ク ト リ は 、再 イ
ン ス ト ー ル や 更 新 時 に 上 書 き さ れ 、保 存 し た デ ー タ が 消 去 さ れ て し ま う こ
とがあります。
3.2
例題1:不均質膜の解析
本 例 題 は 、反 射 率 の 測 定 デ ー タ を 使 用 し て 、不 均 質 性 の あ る 単 層 膜 の 特 性 を 解 析 し ま す 。
測定サンプルと基板の屈折率が近いために解析は複雑になります。
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC03C1b に あ り ま す 。
・ 基 板 : BK7,
Measurements: REF.DATA( デ ー タ の 内 容 は 、 database の Measurement タ ブ か ら
REF.DATA を Edit し て Preview タ ブ で 確 認 で き ま す )
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本 例 題 を 実 行 す る 前 に 、一 度 で も LEC03C1b を 読 み 出 し た こ と が あ り ま し た ら 、メ イ ン
メ ニ ュ ー の Characterization か ら Clear Layer Model を 選 択 実 行 し て 初 期 化 し て 下 さ い 。
メ ニ ュ ー の View か ら Data Fitting を 選 択 し て Data Fitting Window を 表 示 し 、 サ ン プ
ル と 未 コ ー ト の BK7 基 板 の 反 射 率 を 比 較 し て み て く だ さ い 。 窓 の 左 下 に 測 定 デ ー タ と 基
板 の 理 論 反 射 率 と の 差 異 が D 値 ( 本 例 題 の 場 合 D=0.410614)と し て 表 示 さ れ ま す 。
測定データ(赤の十字線)の最大反射率のピーク位置が基板の反射率(黒の実線)から
離れていることに着目してください。このようなシフトは、膜の不均質性の特徴として知
ら れ て い ま す [ 参 考 : G. Koppelmann and K. Krebs. "Die Optischen
Dielektrischer
Schichten
mit
Kleinen
Homogenitatsstorungen,"
Eigenschaften
Zeitschrift
fur
Physik, 1961, 164, pp. 539 -556]。 測 定 し た 反 射 率 の 最 大 ピ ー ク 値 の 基 板 か ら の シ フ ト 量
は、すべてのポイントがほぼ同等であるため、不均質性は直線的であると推測することも
できます。
A. V. Tikhonravov, M. K. Trubetskov, B. T. Sullivan, and J. A. Dobrowolski,
"Influence of small inhomogeneities on the spectral characteristics of single
thin films," Appl. Opt. 36, 7188 -7198 (1997)
http://www.opticsinfobase.org/abstract.cfm?URI=ao -36-28-7188
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・ Layer Characterization( 膜 の 解 析 ) を 開 始 し ま す 。
・メ イ ン メ ニ ュ ー の Characterization か ら Layer Characterizatio n を 選 択 す る と Layer
Characterization Setup ウ ィ ン ド ウ が 開 き ま す 。
・ Refractive Index ( 屈 折 率 ) は Normal Dispersion ( 一 般 的 な 分 散 )、 Extinction
Coefficient( 消 衰 係 数 ) は Non-absorbing( 吸 収 は な し ) を 選 択 し ま す 。
・Physical thickness limits( 物 理 膜 厚 範 囲 )を 0~ 1000nm、Refractive index limit( 屈
折 率 範 囲 ) を 1.3~ 1.6 に 設 定 し て く だ さ い 。 そ の 設 定 理 由 は 、 解 析 す る 膜 が SiO 2 の
ため、経験上この設定範囲内にあることが分かっているためです。
・ OK ボ タ ン を 押 す と 膜 解 析 が 開 始 さ れ ま す 。 解 析 結 果 は Data fitting 窓 に 実 線 で 表 示
されます。
解 析 結 果 と し て の D 値 ( ズ レ 量 ) は 1.98486 と 小 さ く な り ま し た が 、 測 定 デ ー タ と は
あまりうまくフィッティングしていません。特に最大反射率近辺のズレが大きくなっ
ています。
この状況は特に珍しいことではありません。均質膜の反射率ピークは未コート基板の
反射率と一致しますが、不均質膜の反射率ピークとは一致しません。
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メ イ ン メ ニ ュ ー の View か ら Layer Plots ウ ィ ン ド ウ を 開 く と 均 質 膜 の 屈 折 率 モ デ ル
が 表 示 さ れ ま す 。 本 例 題 で は 350nm の 1.514 か ら 840nm で の 1.485 ま で 変 化 し て い
ます。
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・ Bulk Inhomogeneity( バ ル ク 不 均 質 性 ) 解 析 の 手 順 を 行 い ま す 。
・ メ イ ン メ ニ ュ ー の Characterization か ら Bulk Inhomogeneity を 選 択 し 、セ ッ ト ア ッ
プウィンドウを開きます。
・ 膜 の 不 均 質 を 解 析 す る た め に First Order( 一 次 ) を 選 択 し ま す 。
・ OK ボ タ ン を 押 す と 、 不 均 質 モ デ ル と し て 解 析 結 果 が 表 示 さ れ ま す 。
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解 析 後 、 D 値 は 0.050398 と な り ま し た 。 得 ら れ た フ ィ ッ テ ィ ン グ 結 果 は 測 定 デ ー タ
と ほ ぼ 一 致 し ま し た 。 Layer Plots ウ ィ ン ド ウ は 自 動 的 に 薄 膜 の 不 均 質 係 数 を 表 示 す る
Q(z)モ ー ド に 切 り 替 わ り ま す 。 こ の 係 数 は 、 膜 厚 方 向 へ の 屈 折 率 の 相 対 的 変 化 を 示 し て
い ま す 。 n(z)タ ブ は 、 X 軸 に 表 示 さ れ た 波 長 別 の 屈 折 率 を 表 示 し て い ま す 。 膜 の 不 均 質
度 は 、 媒 質 側 と 基 板 側 の Q(z)の 差 に 100%を 掛 け た 値 と な り ま す ( 本 例 の 場 合 は +1.6%
で す 。 General Information ウ ィ ン ド ウ に 表 示 さ れ て い ま す )。
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Layer Plots 窓 を Re(n)の ペ ー ジ に 切 り 替 え る と 、 不 均 質 膜 モ デ ル の 平 均 屈 折 率 が 表 示
さ れ て お り 、 350nm で 1.508、 840nm で 1.479 に な っ て い ま す 。
均 質 膜 モ デ ル の 結 果 と 比 較 す る と 、屈 折 率 と し て は 低 い 方 に 0.006、約 0.4%シ フ ト し て
いることに着目して下さい。本結果がより良くフィッティングしているということは、測
定サンプルを不均質膜モデルと見なしたことが適切であったと判断できます。
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3.3
例 題 2: 分 光 偏 光 解 析 : 表 面 不 均 質 性 と デ ル タ 角
本例題では、分光偏光解析が、薄膜表面の不均質性(表面微少粗さ)を検出する感度の
よい方法であることを示します。
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC03C2 に あ り ま す 。
・ SUBSTRATE : QUARZ DISP.DATA 26 WL POINTS,
Measurements: SAMPLE5 PSI-DEL( デ ー タ 内 容 を 確 認 す る に は database の Edit
タ ブ か ら Preview を 選 択 し て 下 さ い )
測 定 デ ー タ は 、 入 射 角 65°と 75°, 波 長 範 囲 250nm~ 850nm で 測 定 さ れ た エ リ プ ソ
メトリー角Δ,Ψになります。
・ メ イ ン メ ニ ュ ー の characterization か ら Layer Characterization を 選 択 し て 下 さ い 。
・ Refractive Index( 屈 折 率 ) は Normal Dispersion( 一 般 的 な 分 散 )、 Extinction( 消
衰 係 数 ) は Non-absorbing( 吸 収 な し ) を 選 択 し て 下 さ い 。
・ Phys.thickness limits ( 物 理 膜 厚 範 囲 ) は 0~ 1000nm に し て 下 さ い 。 も し 、 Phys.
thickness の 表 示 が Opt.thickness に な っ て い た 場 合 は 、General Information ウ ィ ン
ドウから変更可能です。
・ Refractive Index limits ( 屈 折 率 範 囲 ) は 1.3~ 2.0 に し て 下 さ い ( 解 析 す る 膜 は フ ッ
化 ラ ン タ ン 膜 な の で 、 こ の 設 定 範 囲 内 に あ る と 予 測 で き る た め で す )。
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・ OK ボ タ ン を 押 し て 実 行 す る と data Fitting ウ ィ ン ド ウ が 下 記 の よ う に な り ま す 。
・ 解 析 後 の D 値 は 22.99401 と な り 、 65°, 75°の 入 射 角 に お け る Ψ の 測 定 デ ー タ と は
うまくフィッティングしています。
・Δのタブにページを切り替えて下さい。Δ値は、理論値と測定した値に大きなズレが
あ り ま す ( 表 示 が 下 記 と 異 な っ て い る 場 合 は 、 Configuration メ ニ ュ ー → Settings→
Units の Delta limits を From -180 to 180 に マ ー ク し て 下 さ い )。
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・グラフからは Δ 値が理論値よりも上方向にシフトしていることが確認できます。
・理論による詳細解析で、この特徴的なシフトは膜表面の不均質性(表面微少粗さ)
によるものであるということが分かっています。詳しくは、下記の文献を参照して下
さい。
A.V.Tikhonravov,
M.K.Trubetskov,
A.V.Krasilnikova,
E.Masetti,
A.Duparre,
E.Quesnel, D.Ristau, "Investigation of the surface micro -roughness of fluoride
films by spectroscopic ellipsometry," Thin Solid Films, 2001, 397, pp. 229 -237.
・ メ イ ン メ ニ ュ ー の characterization か ら Surface Inhomogeneity( 表 面 不 均 質 性 ) を
選択して下さい。
・ セ ッ ト ア ッ プ ウ ィ ン ド ウ が 表 示 さ れ ま し た ら Near Ambient( 媒 質 側 ) を 選 択 後 、 OK
ボタンを押して下さい。
・ 表 面 不 均 質 性 を 解 析 後 の D 値 は 、 前 の 値 の 約 1/5 で あ る D=4.855982 に な り ま し た 。
これでψ、Δともに良いフィッティング結果が得られました。
Layer Plots ウ ィ ン ド ウ は 、 自 動 的 に 不 均 質 性 を 表 す Q(z)の ペ ー ジ に 切 り 替 わ り ま す 。
膜 の 媒 質 付 近 で 小 さ な 段 差 が あ る こ と に 注 目 し て 下 さ い 。こ の 段 差 は 、材 料 密 度 が 50%
で あ る 膜 表 面 層 の 厚 さ を 表 し て い ま す 。 Layer Report( Results メ ニ ュ ー ) で 結 果 の 確 認
を し て 下 さ い 。 こ の 表 面 層 の 物 理 膜 厚 は 3.52nm と な り ま す 。
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さらに表面不均質層および表面微少粗さの概念を理解されたい方は下記の文献を参照
して下さい。
・ A. Tikhonravov, M. K. Trubetskov, A. A. Tikhonravov, and A. Duparre, " Impact
of surface roughness on spectral properties of thin films and multilayers," in
Optical Interference Coatings, OSA Technical Digest Series (Optical Society of
America 2001), paper ThB5.
http://www.opticsinfobase.org/abstract.cfm?URI=OIC -2001-ThB5
・ A. A. Tikhonravov, A. V. Tikhonravov, and M. K. Trubetskov, " Accurate formulas
for estimating the effect of surface micro -roughness on ellipsometric angles of
dielectric thin films," in Optical Interference Coatings, OSA Technical Digest
Series (Optical Society of America, 2004), paper WE4.
http://www.opticsinfobase.org/abstract.cfm?URI=OIC -2004-WE4
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3.4
例 題 3: 分 光 測 定 デ ー タ に 含 ま れ る 系 統 的 誤 差 の 影 響
本例題では、分光光度計による光学的解析の結果生じる系統的誤差に関する最近の研究
を示します。本例題を進める前に下記の文献を参照しておくと、より理解が深まると思い
ます。
A. V. Tikhonravov, M. K. Trubetskov, M. A. Kokarev, T. V. Amotchkina, A. Duparré,
E.Quesnel, D. Ristau, and S. Günster, "Effect of Systematic Errors in Spectral
Photometric Data on the Accuracy of Determination of Optical Parameters of
Dielectric Thin Films," Appl. Opt. 41 , 2555-2560 (2002)
http://www.opticsinfobase.org/abstract.cfm?URI=ao -41-13-2555
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC03C3 に あ り ま す 。
・ SUBSTRATE : CAF2 SUBSTRATE(FILE CAF2-1,R),
Measurements:MGF2-1 ON CAF2 SUBSTRATE,R( デ ー タ を 確 認 す る に は database
の Edit タ ブ か ら Preview を 選 択 し て 下 さ い )
・ メ イ ン メ ニ ュ ー の View か ら Data Fitting ウ ィ ン ド ウ を 開 い て 下 さ い 。
膜はほぼ均質であることが確認できます(実線で示す基板の反射率と測定データの
ピ ー ク 反 射 率 が ほ ぼ 同 じ に な っ て い る か ら で す )。
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・ メ イ ン メ ニ ュ ー の characterization か ら Layer Characterization を 選 択 し て 下 さ い 。
・ Refractive Index( 屈 折 率 ) は Normal Dispersion( 一 般 的 な 分 散 )、 Extinction( 消
衰 係 数 ) は Non-absorbing( 吸 収 な し ) を 選 択 し て 下 さ い 。
・ Phys.thickness limits ( 物 理 膜 厚 範 囲 ) は 0 ~ 300nm に し て 下 さ い 。 も し 、 Phys.
thickness の 表 示 が Opt.thickness に な っ て い た 場 合 は 、General Information ウ ィ ン
ドウから変更可能です。
・ Refractive Index limits( 屈 折 率 範 囲 ) は 1.0~ 1.6 に し て 下 さ い ( 解 析 す る 膜 は フ ッ
化 マ グ ネ シ ウ ム 膜 な の で 、 こ の 設 定 範 囲 内 に あ る と 推 測 さ れ る た め で す )。
フ ィ ッ テ ィ ン グ 後 は 測 定 デ ー タ と よ く 合 致 し て い ま す ( D=0.036739)
フ ィ ッ テ ィ ン グ は 良 好 で す が 、 Bulk Inhomogeneity( バ ル ク 不 均 質 性 ) を First Order
(一次)モデルで解析します。ここでバルク不均質性と、それが原因となる膜の不均質性
を調べる目的は、得られた解析データに含まれる測定による系統的誤差を把握するためで
す。結論から言えば、調べた膜は高品質で本質的なバルク不均質性は小さいということに
なります。
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不 均 質 膜 の モ デ ル を 適 用 し た 結 果 の D 値 は 0.034677 と な り ま し た 。 不 均 質 性 と し て は
-0.116%で す 。 General Information ウ ィ ン ド ウ の Layer 表 示 部 を 確 認 し 、 屈 折 率 の 波 長
依 存 性 は 、 200nm で 1.4156, 800nm で 1.3845 と な っ て い る こ と に も 着 目 し て 下 さ い 。
次 に Clear Layer Model( Characterization メ ニ ュ ー ) を 実 行 し て 、 得 ら れ た 結 果 を 消
去 し 、 database の measurements か ら 測 定 デ ー タ MGF2-2 ON CAF2 SUBSTRATE,R を
Load し て 下 さ い 。
前と同じように設定と手順を再度繰り返し実行して下さい。
D 値 は 0.030339 と な り 、 不 均 質 度 は -0.254%に な り ま す 。
General Information ウ ィ ン ド ウ を 開 き 、 Layer の 項 を み る と 、 最 初 の 測 定 デ ー タ の 値
( 200nm 1.4156, 800nm 1.3845)よ り も 若 干 低 く な っ て い ま す( 200nm 1.412287, 800nm
1.381869)。
最 後 に 再 び Clear Layer Model ( Characterization メ ニ ュ ー ) を 実 行 し 、 同 様 に GF2-3
ON CAF2 SUBSTRATE,R を Load し て 、 同 じ 手 順 を 繰 り 返 し て 実 行 し て 下 さ い 。
D 値 は 0.0334328 と な り 、 不 均 質 度 は -0.419%に な り ま す 。
General Information ウ ィ ン ド ウ を 開 き 、Layer の 項 を み る と 、2 番 目 の 測 定 デ ー タ の 値
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( 200nm 1.412287, 800nm 1.381869)よ り も 更 に 若 干 低 く な っ て い ま す( 200nm 1.409801,
800nm 1.378251)。
3 回の測定データ解析では、サンプル基板が同じものであるにもかかわらず多少ずつ異
な っ た 結 果 に な り ま し た 。こ の 違 い が 系 統 的 誤 差 の 影 響 に よ る も の と い う こ と に な り ま す 。
最近の理論(本例題の冒頭を参照して下さい)によると、反射率の系統的なシフトは膜
の屈折率が下がる方向になり負の不均質を示します。これは、本ケースと同じです。反射
率の測定値がサンプル1~サンプル3で低い方向にドリフトするか比較するにはフィッテ
ィ ン グ し た 3 回 の Fitting Window を *.vtc 形 式 で 保 存 し 、 Plot Engine( 標 準 ユ ー テ ィ リ
ティ)で 1 つのグラフに表示させると良いでしょう。
3.5
例 題 4: 分 光 偏 光 解 析 : バ ル ク お よ び 表 面 不 均 質 性
本 例 題 は 、 バ ル ク お よ び 表 面 に 不 均 質 性 を 有 す る Nb 2 O 5 膜 の 解 析 に 関 す る も の で す 。
い わ ゆ る 1/2λ 波 長 、1/4λ 波 長 お よ び 中 間 波 長 を 使 用 し て エ リ プ ソ メ ー タ ー に よ る 特 性
解析を行います。本例題に関係する最近の文献としては下記のものがあります。
・ A. V. Tikhonravov, M. K. Trubetskov, and A. V. Krasilnikova, "Spectroscopic
Ellipsometry of Slightly Inhomogeneous
Arbitrary
Nonabsorbing Thin
Films
with
Refractive-Index Profiles: Theoretical Study," Appl. Opt. 37, 5902 -
5911 (1998)
http://www.opticsinfobase.org/abstract.cfm?URI=ao -37-25-5902
・ A.V.Tikhonravov, M.K.Trubetskov, G.Clark, B.T.Sullivan, J.A.Dobrowolski,
"Ellipsometric study of optical propertie s and small inhomogeneities Nb2O5
films," In:Advances in Optical Interference Coatings, Proceedings of SPIE, Eds.
C.Amra, A.Macleod, 1999, 3738, pp.183-187.
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC03C4 に あ り ま す 。
・ SUBSTRATE : QUARTZ DISP.DATA26 WL POINTS ,
database の Measurements に あ る NB2O5 ELL.55DEG, NB2O5 ELL.65DEG, NB2 O5
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ELL.75DEG を 連 続 し て Edit し 、ψ &Δ Preview ウ ィ ン ド ウ タ ブ か ら 55°、65°、75°で
のエリプソメトリーデータを比較して下さい。3種類のデータを同時に表示すると比較し
やすくなります。各入射角におけるエリプソメトリー角の分光挙動が異なっていることに
着目して下さい。この現象は、本例題の序文で引用した2番目の文献 の序文で説明されて
おり、入射領域における3つの異なる入射角度の概念に関連します。
・ Measurements: NB2O5 ELL.65 DEG
・ 屈 折 率 と 消 衰 係 数 の モ デ ル は 、 そ れ ぞ れ Normal Dispersion、 Non-absorbing。
・ Physical thickness( 物 理 膜 厚 ) は 0~ 1000nm に 設 定 。
・ Refractive Index limits ( 屈 折 率 範 囲 ) は 2.0~ 3.0 に 設 定 。
・ Characterization か ら Layer Characterization( 層 解 析 ) を 実 行 し て 下 さ い 。
・ 均 質 膜 と 仮 定 し て 解 析 し た D 値 は 、 7.160107 に な り ま す 。
Data Fitting ウ ィ ン ド ウ の ψ 角 を 見 る と 、 理 論 ( 実 線 ) と 測 定 値 ( 赤 十 字 線 ) で 大 き な
差異があることに着目して下さい。
・ メ イ ン メ ニ ュ ー の Characterization か ら Option を 選 択 し 、 HW,QW,IW Points の ペ
ージを開いて下さい。
・ Display( 表 示 ) の Half-wave(HW)Points を 選 択 し て Apply( 適 用 ) ボ タ ン を ク リ ッ
クして下さい。
表 示 さ れ た HW の 位 置 で 、理 論 と 測 定 値 に 最 も 大 き な 差 異 が 発 生 し て い る こ と に 気 づ
きます。
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理論的には、この差異はバルクの不均質性を示してことになります。
・ 次 に HW を 解 除 し 、 QW を 選 択 し て 再 び Apply を ク リ ッ ク し て 下 さ い 。
む し ろ QW の 方 が 理 論 値 と 測 定 値 が 一 致 し て い ま す 。以 上 の こ と か ら 考 え る と 膜 の 不
均質性は直線的であると結論づけられます(関連する理論は、冒頭に掲げた文献を参
照 し て 下 さ い )。
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・ メ イ ン メ ニ ュ ー の Characterization か ら Bulk Inhomogeneity の First Order( 一 次
モデル)を選択して実行して下さい。
一 次 の バ ル ク 不 均 質 モ デ ル を 適 用 し て 実 行 し た D 値 は 4.30、 膜 の 不 均 質 度 は +1.61%と
なりました。
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電子線蒸着によって作製された膜では、このような現象が発生することがあり、
正の不均質を有していることに着目して下さい。つまり、膜の成長とともに屈折率が高く
なっているということになります。
再 び Characterization Option か ら HW, QW, IW Points の ペ ー ジ を 開 き 、HW と QW の
波長で理論値と測定値がよく一致していることを確認して下さい。しかし、中間の波長に
おいては、まだ理論値と測定値が一致していないことにも気づきます。
HW, QW の 選 択 を 解 除 し て 中 間 波 長 IW を 選 択 し て 下 さ い 。 中 間 波 長 に お い て は 、 大 き
な差異が残っていることがわかります。理論的には、これらの原因は表面不均質性(表面
微少粗さ)であると考えられます。
Characterization メ ニ ュ ー の Surface Inhomogeneity を 開 き 、Near Ambient( 媒 質 側 )
を 選 択 し て 下 さ い 。 OK ボ タ ン を 押 す と 、 表 面 層 が 50%の 材 料 密 度 で あ る 微 少 表 面 粗 さ を
有する複雑なモデルとして解析されます。
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実 行 後 の D 値 は 2.245182 と な り 、 400~ 850nm の 範 囲 で 良 好 な フ ィ ッ テ ィ ン グ 結 果 が
得られました。
Results メ ニ ュ ー の Layer Report Window を 開 き 、 表 面 不 均 質 層 が 1.2nm で あ る こ と
を確認して下さい。
この例題でも分光偏光データは、非常に薄い表面不均質層ほど感度が高いことがわかり
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ま す ( 例 題 2 も 再 度 確 認 し て み て 下 さ い )。
Data Fitting ウ ィ ン ド ウ の Δ タ ブ を 選 択 し 、 デ ル タ 角 も よ く フ ィ ッ テ ィ ン グ し て い る こ
とを確認して下さい。
・ NB2O5 ELL 55 DEG の デ ー タ フ ァ イ ル を 読 み 込 み 、 エ リ プ ソ メ ト リ ー 角 の フ ィ ッ テ
ィングがとれていることを確認して下さい。
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・ 同 様 に B205 ELL 75 DEG の デ ー タ フ ァ イ ル を 読 み 込 み 、 こ ち ら も フ ィ ッ テ ィ ン グ が
良好であることを確認して下さい。
本例題では。バルク不均質性と表面不均質性がいかに重要な要素であるかを理解して戴
くために、データを個別に確認しましたが、3 つの測定データを同時に解析することが可
能 で す 。 そ の た め に は 、 Data メ ニ ュ ー の Measurement Preprocessing を オ プ シ ョ ン と し
て追加して下さい。
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3.6
例 題 5: 異 な る 計 算 モ デ ル で T と R を 使 っ た 石 英 基 板 と TiO2 層 の 解 析
本 例 題 で は 、石 英 基 板 、お よ び 石 英 基 板 に 成 膜 さ れ た TiO2 膜 の 広 帯 域 反 射 率 (R)と 透 過
率 (T)デ ー タ を 使 用 し て 解 析 す る こ と を 目 的 と し ま す 。
異なる分散式モデルの使い方と、その結果の解釈方法について説明します。
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC14C1 に あ り ま す 。
※ も し 、 こ の フ ァ イ ル が 見 つ か ら な い 場 合 は 、 OptiChar の イ ン ス ト ー ル 時 に
Examples を 選 択 し て 、 再 イ ン ス ト ー ル し て 下 さ い 。
・ SUBSTRATE : ”Substrate measurements ”,
基板の解析
Substrate measurements の フ ァ イ ル に は 基 板 の 透 過 率 測 定 デ ー タ の み が 含 ま れ て い ま
す の で 反 射 率 Re(n)は 計 算 す る こ と が 可 能 で す 。 し か し 、 石 英 に は 200~ 400nm 範 囲 で 吸
収 が あ り 、 そ の 吸 収 を 無 視 す る と TiO2 膜 の 解 析 結 果 が 間 違 っ て し ま い ま す 。
異 な る 分 散 式 モ デ ル を 使 用 し て
Characterization メ ニ ュ ー の
Substrate
Characterization か ら Re(n)を そ れ ぞ れ 計 算 し ま す 。
・ Cauchy モ デ ル ( 通 常 分 散 )
D=0.65486
・ Sellmeier1: D=0.719321
・ Sellmeier2: D=0.555510
得 ら れ た そ れ ぞ れ の 結 果 は 、Data メ ニ ュ ー の Substrate to Databa se か ら 名 前 を 付 け て
保存できますが、本例題では既に下記の名前で保存してあります。
・ Calculated (Cauchy)
・ Calculated (Sell 1)
・ Calculated (Sell 2)
得 ら れ た 屈 折 率 の 結 果 を View メ ニ ュ ー に あ る Compare Index Plots で 比 較 し ま す 。 3
つ の 結 果 を 石 英 の 屈 折 率 ( Palik’s handbook の デ ー タ ) と 併 せ て 選 択 し ま す 。
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比較すると、次のようになります。
上 の グ ラ フ は 興 味 深 い 結 果 に な っ て い ま す 。す べ て の 計 算 結 果 は 200~ 400nm の 範 囲 で
Palik の デ ー タ ( QUARTZ DISP.26WL POINTS ) よ り も 少 し 高 め で す 。 そ の 理 由 は 簡 単
で、石英はこの範囲で吸収があり、計算時には吸収を考慮していないためです。反射率の
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データがないために、計算時に吸収を計算することができませんでした。
そ れ で は IR 領 域 ( 1400 ~ 2000nm ) に 関 し て 検 討 し て み ま し ょ う 。 計 算 結 果 は 、
Calculated (Sell 2)で の 計 算 D 値 が 低 い の で す が 、 系 統 的 誤 差 の 影 響 も 考 え ら れ る た め 、
そ の 値 を そ の ま ま 信 用 す る べ き で な い と 考 え ら れ ま す 。 経 験 上 IR の 測 定 は 、 非 常 に む ず
かしく、本例題のように測定値が低めにシフトするような注意すべき誤差が含まれること
が多々あります。
予備的結論
IR 領 域 の 測 定 結 果 が 正 し い と 信 用 す る な ら ば 、基 板 デ ー タ を Calculated (Sell 2)に し て
も 良 い で し ょ う 。も し 、測 定 結 果 に 誤 差 が 発 生 し て い る と 思 わ れ る な ら ば Palik の QUARTZ
DISP.26WL POINTS を 使 用 し た 方 が よ い と 考 え ら れ ま す 。
層の解析
基 板 と し て QUARTZ DISP.26WL POINTS を Load し ま す 。 あ と で Calculated (Sell 2)
を基板にして計算し、結果を比較することをお薦めします。
測 定 デ ー タ と し て RT Data TiO2 on Quartz を Load し て 下 さ い 。
Layer Characterization を 実 行 す る 前 に 、測 定 デ ー タ を 基 板 の 透 過 率 T、反 射 率 R と 比
較して下さい。
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透過率の極大値は、基板よりも僅かに低くなっています(グラフを拡大する と見易くな
ります)が、反射率の極小値は基板とほぼ同じであるために、基板の僅かな吸収か、較正
上の問題があると推測されます。
注 ) 非 常 に 広 帯 域 の デ ー タ を 扱 っ て い る た め に 、 Configuration メ ニ ュ ー の
Settings か ら 、 描 画 す る 厚 み の 単 位 を Physical Thickness に 設 定 す る ほ う が
便利です。
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最初のアプローチ
最 初 に 考 え る べ き こ と は 、 層 が UV 領 域 で 無 視 で き な い 吸 収 量 を 有 し て い る と い う こ と
で す 。 従 っ て 、 測 定 デ ー タ か ら UV 領 域 を 切 り 離 し ま す ( Data メ ニ ュ ー の Processing
Measurements Data)。
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UV 領 域 を 除 去 後 、 Characterization メ ニ ュ ー か ら 、 Normal dispersion+UV_VIS を 選
択 ( 下 記 画 像 参 照 ) し て Layer Characterization を 実 行 し ま す 。 D 値 は 2.285164 に な り
ました。
屈 折 率 Re(n)は 下 記 の よ う に な り ま す 。
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消 衰 係 数 Im(n)は 下 記 の 通 り で す 。
可 視 域 に お い て TiO2 層 に 吸 収 が 見 ら れ ま す が 、 透 過 率 の 最 大 極 値 が 基 板 の 透 過 率 よ り
も全体的に低いということは、層の吸収によるものではなく人為的な理由によって発生し
たと考えられます。最も可能性が高いのは、基板の吸収量を見込んでいないことです。本
結 果 は database の Layer Model に Calculated from R+T(Range 420-2000)で 保 存 し て あ
ります。
計 算 時 に 透 過 率 デ ー タ を 外 す と 、 よ り 信 頼 で き る Re(n)を 得 る こ と が で き ま す ( 透 過 率
T は 吸 収 に 対 す る 感 度 が 高 い た め で す )。 Characterization メ ニ ュ ー の Modify
Measurement を 選 択 し 、 T デ ー タ の あ る 最 初 の ペ ー ジ を 削 除 し ま す ( Angles を ク リ ッ ク
し て incident Angle 1 行 目 の 0.0000 を 選 択 し て Delete あ る い は F8(行 削 除 )を 選 択 し て 下
さい。
Characterization を 再 度 実 行 す る か 、パ ラ メ ー タ ー を 変 更 せ ず に 単 に Layer Refinement
を実行して下さい。
結 果 と し て 得 ら れ た Re(n) は 、 前 の 結 果 と 非 常 に 似 て い ま す 。 こ の 結 果 は Calculated
from R only (Range 420 -2000)で 保 存 さ れ て い ま す 。
波 長 600nm に お け る Re(n)は 約 2.36 に な っ て い る こ と に 着 目 し て 下 さ い 。
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2 番目のアプローチ
測 定 デ ー タ と し て RT Data TiO2 on Quartz を 再 度 Load し て 下 さ い 。任 意 の n(lambda)
と k(lambda)の 機 能 を 使 っ た 複 雑 な 方 法 を 試 み ま す 。 ま た 、 コ ン ト ロ ー ル ス ラ イ ダ ー を 使
ったフィッティングの方法についても説明します。
フ ル レ ン ジ の デ ー タ の ま ま Normal dispersion+UV-VIS モ デ ル を 使 っ て も 明 ら か に 満 足
な 結 果 は 得 ら れ ま せ ん が 、 そ の モ デ ル は Calculated from R+T (Full Range) の 名 前 で
database の Layer Model に 保 存 さ れ て い ま す 。 そ の D 値 は 16.735064 で す 。
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透 過 率 T と 反 射 率 R の Data Fitting ウ ィ ン ド ウ は 下 記 の よ う に な り ま す 。
注)D値を含めた結果が計算ごとに多少異なることがありますが、多くの局所的最小
値の解が存在しているために発生します。
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こ の 計 算 モ デ ル の 場 合 の Re(n)お よ び Im(n)は 次 の よ う に な り ま す 。
こ こ で 計 算 さ れ た 600nm に お け る Re(n)は 2.395 と な り 、最 初 の ア プ ロ ー チ で 得 ら れ た
値よりもかなり高くなりました。
そ れ で は 、n(lambda), k(lambda) の モ デ ル を 試 み て み ま し ょ う 。計 算 す る 波 長 の 点 数 は 、
十 分 な 量 と 考 え ら れ る 200 点 に 設 定 し ま す ( Characterization Option)。
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波 長 点 数 の 取 り 方( grid)は 、短 波 長 側 で 密 度 が 高 く n,k 解 析 に 有 利 な Logarithmic( 対
数)分布を選択します。
Layer Characterization で n(lambda)と k(lambda)を 選 択 し て 実 行 し て 下 さ い 。 こ の 処
理には非常に多くの計算を必要としますので、計算時間はかなり長くなります。また、前
の結果に基づき、物理厚みの設定範囲を狭くしていることにも着目して下さい。
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透 過 率 T と 反 射 率 R の Data Fitting 結 果 は 次 の よ う に な り ま す 。
注 )D 値 の 結 果 は 計 算 ご と に 多 少 異 な り ま す が 、多 く の 局 所 的 最 小 値 の 解 が 存 在 し て
いることが原因です。
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こ の モ デ ル で の Re(n)と Im(n)は 次 の よ う に な り ま す 。
フィッティングの結果が明らかに滑らかすぎると考えられるため、少しシャープにする
必 要 が あ り ま す 。ス ラ イ ダ ー を シ ャ ー プ 側 に 移 動 し 、Layer Refinement を 実 行 し ま す 。こ
れは結果を見ながら何度が実行することになります。下記のスライダーの位置で比較的合
理的と思われる解が得られました。
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透 過 率 T と 反 射 率 R の Data Fitting 結 果 は 次 の よ う に な り ま す 。
注 )D 値 の 結 果 は 計 算 ご と に 多 少 異 な る こ と が あ り ま す が 、多 く の 局 所 的 最 小 値 の 解
が存在していることが原因です。
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Re(n)と Im(n)は 次 の よ う に な り ま す 。
600nm に お け る Re(n)が 再 び 約 2.36 と 最 初 の ア プ ロ ー チ と 同 じ 結 果 と な っ た 事 は 非 常
に興味深く、これによって解析結果が信頼できることを再確認できたことになります。
光学膜厚と物理膜厚はどちらのアプローチ方法でも、殆ど同じ結果となっています。
( Opt1=1180nm,
Opt2=1184nm)
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注 1 ) 1400~ 1500nm に お け る Re(n)の 小 さ な 変 動 と し て 最 も 考 え ら れ る こ と は 、 測 定
時の水吸着によるものと思われます。
注 2 ) 900nm 領 域 で の Re(n)の 小 さ な 変 動 と し て 最 も 考 え ら れ る こ と は 、 分 光 器 で 使 用
する検出器の変動と思われます。
3.7
例 題 6: 電 子 銃 蒸 着 に よ る TiO2 膜 の 解 析 ( 多 孔 性 モ デ ル )
本 例 題 で は 、 電 子 銃 で 成 膜 さ れ た TiO2 層 の 解 析 を 目 的 と し ま す 。
また、本解析では多孔性を有するモデルを使用します。
・ 必 要 な フ ァ イ ル は Program directory の LEC14C2 に あ り ま す 。
※ も し 、こ の フ ァ イ ル が 見 つ か ら な い 場 合 は 、OptiChar の イ ン ス ト ー ル 時 に Examples
を選択して、再インストールして下さい。
・測 定 デ ー タ は 透 過 率 T と 反 射 率 R が 異 な る フ ァ イ ル と し て 保 存 さ れ て い ま す 。こ れ ら
のデータを同時に処理する方法についても説明します。
・ 次 の フ ァ イ ル を Load し て 下 さ い 。
SUBSTRATE : ”Fused Silica (110~ 800nm, RIT)”
Measurement: ”1L TiO2 Hot R (range 330-800nm)”
Append to loaded : ”1L TiO2 Hot T (range 320 -1500nm)”
※ Append to load は Load タ ブ の ▼ を ク リ ッ ク す る と 現 れ ま す 。
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読 み 込 ん だ フ ァ イ ル の 波 長 領 域 を 、 Data メ ニ ュ ー に あ る Preprocess Measurement s
Data を 使 っ て 、 370~ 800nm に 設 定 し ま す 。
初 期 の D 値 は 19.961901 と な り ま す 。
表 示 を 見 や す く す る た め に 、Characterization メ ニ ュ ー の Options か ら Plot Ranges タ
ブ を 開 き 、 X 軸 の ス ケ ー ル を 350~ 850nm に す る と 良 い で し ょ う 。
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Cauchy+ UV-VIS モ デ ル
Characterization メ ニ ュ ー の Layer Characterization の ダ イ ア ロ グ を 開 き 、Extinction
coefficient( 消 衰 係 数 )を 0.1 に 設 定 し 、Normal Dispersion, UV-VIS で 実 行 し て 下 さ い 。
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解 析 結 果 の D 値 は 0.710488、 層 の 物 理 膜 厚 は 400.007nm と な り ま す 。
得 ら れ た 屈 折 率 と 消 衰 係 数 は 、 database の Layer Materials に TiO2 Hot Cauchy の 名
前 で 保 存 さ れ て い ま す ( 実 際 の 保 存 時 は Data メ ニ ュ ー の Layer to Database か ら 行 い ま
す )。
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多孔性モデル
前 の モ デ ル を 消 去 し て 下 さ い ( Characterization メ ニ ュ ー の Clear Layer Model )。
Database の Layer Materials か ら TiO2 IBS を Load し て 下 さ い 。 TiO2 IBS の 屈 折 率
デ ー タ は 400nm か ら な の で 、 測 定 デ ー タ を 400 ~ 800nm の 範 囲 に 設 定 し て 下 さ い
( Preprocess Measurements Data)。
Porosity Option ( Characterization メ ニ ュ ー ) を 開 き 、 Bruggemann’s Formula
(Maxwell-Garnett EMT)と Water を 選 択 し て 下 さ い 。
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解 析 の 結 果 、 D 値 は 0.636822 ( 前 よ り も 良 く な り ま し た ) と な り 、 層 の 物 理 膜 厚 は
400.367nm で す 。
青 線 は TiO2 IBS の 屈 折 率 、 黒 線 は 多 孔 性 モ デ ル と し て 計 算 し た 結 果 で す 。
Results メ ニ ュ ー か ら Layer Report を 作 成 し て 下 さ い 。 packing density( 充 填 密 度 )
88.1036%が 得 ら れ ま し た 。
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得 ら れ た 多 孔 性 モ デ ル を Cauchy モ デ ル と 比 較 し ま す 。 結 果 は 既 に database の Layer
Material に TiO2 Hot Brug と し て 保 存 さ れ て い ま す 。
比 較 す る に は 、 View メ ニ ュ ー の Compare Index Plots か ら Layer Materialss を 選 択 し
て 下 さ い 。現 れ た サ ブ メ ニ ュ ー か ら は TiO2 Hot Cauchy を 選 択 し 、Show Current Plot( 現
在 の グ ラ フ に 表 示 ) の チ ェ ッ ク ボ ッ ク ス を チ ェ ッ ク 後 、 Compare を ク リ ッ ク し て 下 さ い 。
得られた2つのアプローチの結果を比較すると驚くほど一致しています。
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