新たな学事暦に係わるQ&A

2014.11.17-Ver.1.1
新たな学事暦に係わるQ&A
<改革全般について>
Q.そもそも、なぜ平成 27 年度から学事暦を変更するのか、その理由と、変更に伴う
メリット・デメリットとして挙げられるものは何でしょうか?また、学事暦を変えるこ
とでタフな学生が育ち、国際化が図れるのでしょうか。
→ 東京大学として、どのような学生を日本に、また、世界に輩出していくのかという
理念として、平成15年3月に制定された「東京大学憲章」の中で「世界的な水準で
の学問研究の牽引力であること、あわせて公正な社会の実現、科学・技術の進歩と文
化の創造に貢献する、世界的視野をもった市民的エリートが育つ場であることをあら
ためて目指す。」ことを掲げていることは、毎年の入学者募集要項の最初のページに
記載しているところであり、ご存じの方も多いかと思います。
この目的を達成するため、刻々と変化していくグローバル社会の中で、東京大学が
どのような取り組みを行う必要があるか、これまでも常に検討が進められてきました。
濱田総長が現職に着任した平成 21 年度には、その入学式の式辞の中で「タフな東
大生」の育成について言及され、これを現実化させるための具体的なビジョンを
「FOREST2015」として取り纏められ示されました。この中で次のとおり謳われていま
す。
「東京大学の教育の目標は、国際的な広い視野を有し、強靭な開拓者精神を持ちつつ、
公共的な責任を自ら考え、行動するタフな人間の育成です。
・・・」
この精神に基づき、総合的な教育改革としてこれまで次のような様々な取り組みが
行われてきました。
改革を支える3つの柱(国際化・実質化・高度化)
国際化・・・FLY Program や体験活動プログラム、PEAK、IARU の拡充など
実質化・・・初年次・少人数チュートリアル授業の展開、アクティブラーニングなど
高度化・・・習熟度別授業、専門教育と有機的に結合する教養教育など
来年度からの新たな学事暦(アカデミック・カレンダー)も、総合的な教育改革の
一環として導入するものです。
平成 27 年度以前に入学し、新たな学事暦への移行時期に引き続き在籍する学生の
皆さんには、原則として入・進学時に提示されたカリキュラムが引き続き適用されま
す。このため、新しいカリキュラムとの科目の読み替え(例えば、新しいカリキュラ
ムの「α」という科目の履修が、現在のカリキュラムの「A」の科目の履修として扱
われる)など、少なからずの影響があるほか、授業期間や土曜日・祝日に行われる授
業の関係で、他大学との定期戦など部活動等に影響することがデメリットとして考え
られます。
一方、新たな学事暦では、科目の特性に応じ短期集中的な教育が望ましいものをタ
ーム単位で授業展開することや、2つのタームを組合わせた従来の「学期」に近い期
間で授業展開するセメスター型での授業も展開可能となり、より充実した教育が行え
るほか、長期休業期間中や、ターム単位で休学をとることにより、短期留学や、国際
体験をしやすい学事暦となっているのが大きなメリットです。
しかしながら、これらの環境を大学が整えても、それを活用すべき学生の皆さんの
主体的な行動がなければ「タフな東大生」の育成に結びつくものではありません。去
る 10 月 15 日に行われた濱田総長と語る集いに出席された方には、総長の生の声とし
て、この点についてお聞きになられたかと思いますし、また、国際体験を行うための
奨学制度の充実についても、総長自ら支援者・支援団体に足を運び、さらなる協力を
働きかけていることもご存じのことと思います。
学事暦の移行という、東京大学の歴史から見ても大きな変革のタイミングで、学生
の皆さんにはもとより、同じく教職員の方々にも多かれ少なかれ、混乱が生じること
は自ずと想定されるものですが、今、やれるべきことから始めないと、国際社会から
取り残されることにも成りかねない情勢の中、数十年先の東京大学の将来を見据え、
学生の皆さん、教職員一体となって新しい学事暦を有効に利活用することが望まれま
す。
《参考情報》
東京大学憲章:
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/b04_j.html
平成 21 年度入学式総長式辞:
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/b_message21_02_j.html
FOREST2015 とは:
http://www.u-tokyo.ac.jp/scenario/index.html#hamadasocho
行動ビジョン:
http://www.u-tokyo.ac.jp/scenario/pdf/2action_scenario_c_vision.pdf
総合的な教育改革:http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/fall.enrollment.html
濱田総長と語る集い:http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/b01_event_j.html
<学事暦(カレンダー)について>
Q.なぜ学部によって授業期間・休業期間が異なるのか。
→
学部により様々な事情があり、最終的に2つのタイプの学事暦が提案され、学
部毎にタイプを選択できるようにしました。具体的な例として、前期課程教育を
担う教養学部は、入学直後の学生に、大学での学びを会得させるには一定の時間
を確保したいという意向があり、入学後4ヶ月間の連続した授業期間を確保した
タイプⅠを選択しました。その他、6~7月にS2タームを設けるタイプⅠを採
用する学部では、ロースクールの日程との関係、資格試験の時期との兼ね合いな
どの事情があります。
一方、6~8月を夏季休業とするタイプⅡを選択した多くの学部では、海外諸
大学におけるサマープログラムへの参加を重視しているところが多く、国際的な
感覚の涵養を促すきっかけとなることを期待するご意見が多く見受けられまし
た。
Q.文系と理系でタームがずれると、文系・理系間での教育の融合や、他学部聴講に支
障が出るのでは。
→ 文系と理系で開講タームの時期がずれることで、文理間の教育の融合や、他学
部聴講に支障が出るという考え方も皆無では無いでしょうが、一方、文理共に自
らの所属学部の休みの1タームの期間に、他の系統の学部が開設する科目を他学
部聴講することが可能となります。これは自らの科類とは基本的な対応関係にな
い学部への進学をも視野に入れている学生さんにとっては大きなメリットにな
るものと考えています。
Q.タイプⅠでは6~7月にS2タームがあり、SPには参加できないのではないか。
→
4ターム制は、短期間で授業が完結するというメリットがあります。学部によ
って事情は異なりますが、例えば前期課程2年生のS2タームには基本的に必修
科目を配置しないので、その期間を利用して短期留学することも可能となるほか、
1~3月の時期に長期の休業期間があるので、南半球の諸外国大学でのウィンタ
ープログラムなどに参加することも可能となります。
Q.前期課程からタイプⅡを採用する学部に進学する場合、2年次は5タームになり休
みが無くなるのではないか。
→
タイプⅡを採用する学部のうち、一部の学部・学科ではWタームに授業開設を
予定しています(医学部、工学部の一部の学科、薬学部など)
。詳細については各
学部等が実施するガイダンスなどでご確認ください。
Q.海外での学習や体験が可能なように学事暦を変えたということだが、具体的にどこ
で可能なのか。
→
欧米の大学では6月~7月を夏休みとするところが多く、この時期に各種のプ
ログラムが開催されています。タイプⅡの学事暦を採用する学部に在籍する学生
の皆さんには長期休業期間となり、従来の学事暦と比べ容易に参加することがで
きるようになります。また、タイプⅠの学事暦を採用する学部においてもS2タ
ームを休学すれば時期を合わせることが可能となるほか、1月から3月が長期休
業期間となるため、南半球にある諸大学のウインタープログラムへの参加が可能
となります。
Q.タイプIは冬に3ヶ月の休業期間が設けられ、夏季休業期間ほどには海外の大学に
留学することができない。何をやることが想定されているのか。
→
先の質問と同じ回答となりますが、南半球の海外大学では、1~3月の間にウ
インタープログラムを開設しているところがあるのでそれに参加したり、また、
現在は夏季を中心に実施している体験活動プログラムを1~3月に試行的に開
催することも検討しています。
また、長期の休業を得ることでできる大学時代にしか出来ない様々な体験を自
発的に行うチャンスの期間でもあります。図書館に通い詰めて興味のある本をと
ことん読み倒したり、行ってみたい国や地域に赴いて現地の人と交流したり、理
系分野に興味があれば他学部聴講をすることもできます。
Q.大学院の学事暦も学部と同様に変わるのか。また、どのような影響があるか教えて
欲しい。
→
大学院の学事暦につきましては、各研究科において検討が行われているところ
です。詳細については所属する研究科にてご確認ください。
また、学事暦の変更に伴う大学院への影響という点で想定しているものは、夏
休み明けの授業開始時期が9月上旬となることで、学部と学事暦を合わせた場合
に、これまでの10月入学を1ヶ月間前倒しして9月入学にできないか、また、
9月入学とした場合の入試の実施時期や、前課程の修了との兼ね合いをどうする
かという問題もあり、各研究科において引き続いての検討が行われています。
<授業時間・授業期間>
Q.105 分の授業時間は長すぎる。8 時 30 分始業は早すぎる。土曜・祝日に授業をする
のは如何か。
→
2単位の最低総時間数として1350分確保する必要があり、ターム内に必要
な授業時間数を確保し、また他学部聴講や全学共通科目の履修が容易にできるよ
う便宜を図るために、全ての学部において授業開始と終了時間を統一すると共に、
全学としての標準的な授業日程を固め、これを基準に土曜及び祝日の授業開設を
各学部毎に設定できることとしています。
また、105分の授業時間を長すぎると捉えるか否かは、個々の受け取り方で、
これまでの授業時間が90~100分であったものから5分~15分間長くな
ることに対して反射的な嫌悪感があるのかもしれません。実際に授業時間は長く
なりますが、講義と演習を組み合わせるなど、担当教員によって様々な工夫がで
きるという面もあります。
Q.図書館や生協も土曜・祝日にOPENするのか。
→ 図書館は駒場・本郷ともに、これまでも土曜日や祝日でも開館しており、引き
続き開けていただくようお願いする予定です。また、東大生協ほか学内の福利厚
生施設についてもご協力をお願いしていく予定です。
Q.教職免許をとるための科目を履修しているが、何か影響があるか。
→ 現在、在籍中の学生の皆さん方への影響は特段無く、これまでどおり必要な科
目を取得していただくことになります。また、参考までの情報として、平成 27 年
度からの新カリキュラムでは、1年生の段階から教職課程科目の履修を可能とし、
夏季休業期間中に集中での授業科目を展開するなど、これまでより教職課程の取
得が容易になるような変更をする予定です。
<部活動・学生生活>
Q.学部ごとに休みの期間が異なること、始業時間が 8 時 30 分に早まることは、部活
動に支障が出る。どう考えるか。
→
授業時間や授業期間が変わるので、学生の生活面においてもいくつかの変化が
生じる可能性があるのはご指摘のとおりです。より良い教育を実現するために、
学生の皆さんにも方策をお考えいただければと思っています。また、不都合が生
じたら学生支援の窓口等でご相談いただき、大学として対応できることには協力
をしていく方針です。
Q.授業日となるA2タームの土曜・祝日には伝統的な定期戦が重なり、実施が危ぶま
れる。先方の大学との調整を始めてはいるが、大学側で急遽決定した学事暦であり、何
らかの救済措置をとってもらえないか。
→ 事情は充分に察することができ、大変な状況であることも理解できます。学事
暦の変更は本学の歴史においても極めて大きな改革であり、学内委員会の了承を
得て本年9月末のお知らせとなっています。より良い教育を実現するために、学
生の皆さんにも方策をお考えいただければと思っています。また、不都合が生じ
たら学生支援の窓口等でご相談いただき、大学として対応できることには協力を
していく方針です。
Q.これまで五月祭は5月下旬に行ってきたが、新しい学事暦では5月下旬はS1ター
ムの試験期間となっている。4ターム制導入の検討の際に、五月祭の日程は考慮された
のか。
→ 大学の諸行事については、どのような学事暦であるべきかを検討する段階から
視野に入れてきました。より良い教育を実現するために、学生の皆さんにも方策
をお考えいただければと思っています。また、学生支援の窓口等でご相談いただ
き、大学として対応できることには協力をしていく方針です。
<留学費用>
Q.休業期間を活用して留学をしてみたいとは思うが、費用を用意できない。
→
本学を通じて申し込むプログラムに参加する学生には、大学やその他支援団体
などからの奨学金が支給される可能性があるので、まずは各学部等の窓口でご相
談ください。
各学部留学相談窓口情報URL:
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/administration/go-global/contacts/inquiry.html
<履修や単位>
Q.履修計画を立てるに当たって、単位の扱いがどうなるのか知りたい。
→
最低単位数の削減や取得すべき科目の改編などは、来年度の入学者から対象と
なります。平成 27 年度以前に入学した在学生に対する単位の取扱いや、卒業の
要件については、基本的にはこれまでと変わりませんので、従来どおり計画して
ください。ただし、授業科目の変更などによって、科目の読み替えが生じること
がありますので、詳細は各学部の教務窓口にてご確認ください。
Q.成績評価に「優上」が導入された。導入前の成績で「優」が付いている場合、その
評価が低く見られることがあるのではないか。
→ 「優上」の評価の導入で不利益が生じないよう、成績証明書には、優上の評価
基準は 2014 年度から設けられた旨や、各科目の履修年度を記載しています。
Q.これまでより前期課程の修了に必要な単位数が少なくなるが、どのような効果を期
待しているのか。
→ 「実質的な学び」の実現に向けた取り組みの1つとして実施するものです。大
学の卒業までに必要な総修得単位数は124単位(4年制大学)であるのに対し、
本学では学部による差はあるものの160単位前後となり、学内の調査結果など
を見ても、予習・復習に当てる時間、自習時間が充分に確保できていないといっ
た現状があります。
学生の皆さんにも、このような観点で主体的に学ぶこと、自学自習に取り組ん
でもらうことに期待しています。
Q.後期課程の必要単位数も減るのか。
→
各学部で個々に検討を行っているところです。詳細は今後、各学部から周知さ
れることになります。
(平成 27 年度以前に入学し在籍中の学生の皆さんには、こ
れまでどおりの必要単位数が適用されますので、お間違えのないようご注意くだ
さい。
)
Q.2ターム通しの講義はこれまでのセメスター講義と変わらないように見える。2タ
ーム通しの講義とタームごとの講義と混在して分かりにくくなるのでは?また時間割
の組み立てが複雑になるのでは?
→
1タームで完結する科目のみならず、2つのタームに連続して授業を行う科目
があるのは、短期集中的な授業形態が望ましいもの、比較的長い時間をかけて習
熟すべきものなど、科目の特性に応じて、教育効果をあげる手段として採用する
ものです。新しいことを実行する際には、従来の手法では対応できないことなど
少なからずの影響が出る可能性は否定できませんが、学生の皆さんにも前向きに
取り組んでいただけることを期待しています。
懸念しているようなことが実際に起きた場合には、まずは所属学部の教務担当
窓口に相談してください。
<初年次教育>
Q.初年次教育の目的と内容はどのようなものか。
→
高校までの授かる学びの受け止めではなく、自ら設定する目標を掲げ、それを
達成するための方法・手段を自ら見いだす力を涵養するなど、自己を向上させる
ための目的意識を持ち学士課程教育をより充実した時間として活用できるよう、
大学の入り口の段階で、大学で学ぶ者としての、物事の捉え方・考え方を身につ
けてもらうことが目的です。
これまでにも増して後期課程諸学部や大学院研究科、研究所等の協力を得なが
ら、様々な授業・プログラムを展開していく予定です。内容に関しての詳細は、
来年度のシラバス等でご確認ください。
<進学振分け>
Q.進学振分けはどうなるのか。
→
来年度(平成 27 年度)実施の進学振分けは、時期を約1ヶ月間前倒しして実
施するのみで現行の方式で実施します。平成 28 年度以降については、名称も「進
学選択」に改め、学生の皆さんも、学部・学科等も、より主体的に進学先を選択・
決定できる方式への変更を予定しています。平成 27 年度入学者が入学してきた
時点で新しい「進学選択」方式の情報が提供できるよう、詳細の検討が行われて
おり、今年度末までには、決定・周知していく予定です。
<授業料>
Q.休みが3ヶ月間になるのであれば、授業料は安くなるのか。
→
授業料は年額で定められており、また、本学で教育を受けるための対価である
ので、休業期間の長短によって変わるものではありません。
Q.夏季休業明けの授業開始が9月であるなら、現行の冬学期に当たる期間は9月~3
月の7ヶ月間になるが、授業料の扱いはどうなるのか。
→ 納入時期は従来どおり5月末と11月末であり、年額の二分の一ずつ徴収する
こととなります。なお、9月入学者の授業料については、入学年に7ヶ月分、修
了年には5ヶ月分を収めることとなります。
Q.授業料免除はどうなるのか。
→ 従前どおり、年を半分の期間に分け実施します。ただし、9月入学者の授業料
免除については、入学年に7ヶ月分(9~3月)、修了年には5ヶ月分(4~8
月)を対象に実施することとしています。
<就職活動>
Q.タイプⅡは1~2月に授業が設けられ、就活に支障が出るのではないか。
→
現在、学生の学習に極力影響が出ないような就職協定が国レベルで策定されて
います。現在の就職協定は、3年の3月に活動開始、4年の8月に内定となって
いますので、授業期間の変更によって支障が出るものではないと考えています。
<秋入学>
Q.秋入学の話はどこまで進んでいるのか、計画されていることがあれば教えて欲しい。
→ 秋入学は、東大のみが先行して実施するものではなく、国家資格試験制度の時
期の見直しや企業の採用時期・採用方法の柔軟化、産業界や他大学との連携を図
らなければならないなどクリアすべき課題があるほか、社会のギャップタームへ
の理解や活動機会の確保も必要となってきます。何年から実施するといった具体
的な計画は現段階ではありませんが、世界的に見て日本がおかれている立場を考
えれば、近い将来に見据えた議論を今後行っていくことになるかと思われます。