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壁耐力の算出方法
1. 試験
2009. 6. 26
耐力壁の強さ =壁倍率は、 破壊試験によって行
われた実験結果に基づいています。
試験方法の例を左図に示し ます。
2. 耐力の算定
試験によって得られた数値=せん断耐力に、
低減係数をかけて、 短期許容せん断耐力( Pa) を
求めます。
低減係数: 耐力壁構成、 材料の耐久性・ 使用環境
の影響、 施工性の影響、 壁量計算の前提条件を満
たさ ない場合の影響等を勘案し ている。
試験によって得られた数値を表し たグラフ
「 荷重変形曲線」 を用いて、 短期許容せん断耐力
耐力
Paを算出までの流れは、 以下により ます。
Pmax
0.8Pmax
Pmax:最大耐力の下限値
0.8Pmax:最大荷重に達した後、80%の荷重
まで低下した点
ステッ プ1
最大荷重から80%まで低下とは、
試験基準が、最大荷重の80%に低下
するか、変形角が1/15に達するまで
加力することになっている為。
変位量
耐力
試験によって得られた数値のモデル「 荷重変形曲線」
①
Pmax
(100%)
0.8Pmax
ステッ プ2
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
0.1Pmaxと0.4Pmaxを結ぶ直線①を引く
変位量
耐力
①
②
Pmax
(100%)
0.9Pmax
(90%)
0.8Pmax
ステッ プ3
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
変位量
耐力
0.4Pmaxと0.9Pmaxを結ぶ直線②を引く
③ ②
①
Pmax
(100%)
0.9Pmax
(90%)
0.8Pmax
ステッ プ4
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
変位量
耐力
曲線に接するまで②を平行移動し、③とする。
①
③ ②
Pmax
(100%)
0.9Pmax
(90%)
④
0.8Pmax
ステッ プ5
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
変位量
耐力
①と③の交点からX軸に平行な④を引く。
③ ②
①
Pmax
④
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ6
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
δy
変位量
④と曲線の交点(Py、δy)を降伏点とし、その耐力を降伏耐力Py、その時の変位をδyとする。
耐力
⑤
①
③ ②
Pmax
④
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ7
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
δy
変位量
原点と降伏点を結ぶ直線⑤を引き、その勾配を初期剛性とする。
耐力
⑤
①
③ ②
Pmax
④
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ8
0.4Pmax
(40%)
0.1Pmax
(10%)
δy
変位量
δu
最大荷重(Pmax)後の0.8Pmax荷重低下域の曲線上の変位を
終局変位δuとする。
Y軸
耐力
⑤
①
③ ②
Pmax
④
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ9
0.4Pmax
(40%)
S
0.1Pmax
(10%)
δy
δu
曲線とX軸及びδuで囲まれる面積をSとする
変位量
X軸
Y軸
耐力
⑤
①
③ ②
Pmax
⑥
④
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ10
0.4Pmax
(40%)
S
0.1Pmax
(10%)
δy
変位量
X軸
直線⑤とδuとX軸およびX軸に平行な直線で囲まれる面積が、
δu
Sと等しくなるように、X軸に平行な直線⑥を引く
Y軸
耐力
⑤
①
Pmax
⑥ Pu
④
③ ②
(100%)
0.9Pmax
(90%)
Py
0.8Pmax
ステッ プ11
0.4Pmax
(40%)
S
0.1Pmax
(10%)
δy δv
変位量
X軸
直線⑤と⑥の交点(δv、Pu)を完全弾塑性モデルの仮想降伏点とし、
δu
そのときの耐力を終局耐力Pu、そのときの変位を仮想降伏点変位δvとする。
塑性率μ=(δu/δv)とする。
ステッ プ12
構造特性係数Ds=1/√(2μ-1)とする。
Y軸
耐力
⑤
①
③ ②
Pmax
⑥ Pu
Py a
④ c
d
b
(100%)
0.9Pmax
1/3
(90%)
0.8Pmax
ステッ プ13
0.4Pmax
1/3
(40%)
S
Pux(0.2/Ds)
0.1Pmax
(10%)
δy δv
1/120
1/3
δu
変位量
X軸
壁の短期許容せん断力Pa
Pa=min(a,b,c,d)
a:降伏耐力Py
b:終局耐力Pux(0.2/Ds)
c:最大荷重Pmaxの2/3
d:特定変形時の耐力(層間変形角1/120)
ステッ プ14
3. 壁倍率の算定
壁倍率=Pax ( 1/1. 96) x ( 1/L)
1. 96: 壁倍率=1のと きの強さ ( kN/m)
L: 壁の長さ ( m)
Y軸
耐力
⑤
①
③ ②
■まと め
Pmax
⑥ Pu
Py a
④ c
d
b
(100%)
0.9Pmax
1/3
(90%)
0.8Pmax
壁の限界耐力Pmaxより も少ない数値で決定し ている
0.4Pmax
1/3
(40%)
S
Pux(0.2/Ds)
0.1Pmax
(10%)
δy δv
1/120
壁耐力=壁倍率は以上の方法で決定さ れます。
こと がわかり ます。
1/3
変位量
δu X軸
なおかつ、 限界耐力Pmaxを超えても、 一気に破壊
し てし まわず、 耐力が低下し ていく 時間があるので、
壁の短期許容せん断力Pa
Pa=min(a,b,c,d)
a:降伏耐力Py
b:終局耐力Pux(0.2/Ds)
c:最大荷重Pmaxの2/3
d:特定変形時の耐力(層間変形角1/120)
a, b, c, dのう ちの一番小さ い数値を採用する。
建物が二次設計時に一気に倒壊し てし まわないよう に
配慮さ れています。