多成分系のガラスやセラミックスを
作製するために
金属アルコキシド M(OR)x M:金属(または陽イオンとなる)元素 O:酸素 R:アルキル基 (基本的にはC,O,H) アルコキシドは元素、側鎖の長
さにより加水分解速度が異なる
・脱水縮重合に影響
・複合酸化物を合成する際に独
立で酸化物や炭酸塩を形成
複合金属酸化物の合成
多成分系の金属酸化物の合成には複数の金属アルコキシドを使用
加水分解、脱水縮重合により
-O-M1-O-M2-O-M1-O-M2-Oを形成させ、結晶化させることで目的物質を得ることが出来る
加水分解速度が大きく異なる金属アルコキシドを混合した場合
-O-M1-O-M1-O-M1-O-M2-O-M1-O-
-O-M2-O-M2-O-
の混合状態となり、それぞれの安定相を形成するため、目的物
質を得ることが出来ない
ダブルアルコキシドやトリプルアルコキシド
(RO)x-M1-O-M2-(OR’)y
同一分子に異種金属を含むアルコキシド
加水分解、脱水縮重合により複合酸化物を形成
-O-M1-O-M2-O-M1-O-M2-O合成が困難、原料が高価などの問題
CaBi4Ti4O15作製用トリプルアルコキシドの合成
Bi(OEt)3
Ti(OEt)4
Ca
EtO
EtOH
Ca(OEt)2
OCH2CH2OCH3
Bi-O-Ti-OEt
2-メトキシエタノール
CHCH
3OCH
2CHCH
2O OHOCH2CH2OCH3
OCH
3
2
2
ダブルアルコキシド
トリプルアルコキシド
EtO-Ca-O
OCH2CH2OCH3
Bi-O-Ti-OEt
CH3OCH2CH2O
OCH2CH2OCH3
共沈法複合酸化物粉体の合成法
異種金属元素を同時に沈殿させ加熱処理により酸化物とする
メリット
○溶液状態ではイオンレベルでの均一混合可能
高い純度の金属酸化物を得ることが出来る
○水酸化物として沈殿物を得るので加熱により脱水
金属ー酸素ー金属結合を低温で形成
結晶化により目的物を得ることが可能
(固相反応法のような高温での物質拡散機構を必要としない)
デメリット
化学的な操作(pH調整など)により同時に沈殿物(水酸化物)を
得ることの出来ない組み合わせには用いることができない
pHに対する飽和溶解度が重要
実験例
NiFe2O4の作製
Fe3+やNi2+は酸性水溶液中でイオンとなる
中性、アルカリ性では溶解度が極端に低下
水酸化物として沈殿
H2Oに対する溶解度積
Fe(OH)3:3.16×10-38 (25℃)、Ni(OH)2:10-16 (25℃))
[Fe(H2O)6]3+ + 3OH- → Fe(OH)3 + 6H2O
Fen(OH)3n(H2O)m → n/2Fe2O3 + (m+3n/2)H2O
2Fe(OH)3 + Ni(OH)2
→ NiFe2O4 + 4H2O
Ni(NO ) 6H O
32
2
Fe(NO ) 9H O
32
2
H O
2
注意点
●NiはFeに比べて飽和溶解度が高い
NaOH NH4 OH
pHを高くする必要がある(約10以上)
●アルカリ試薬の選定
どのような試薬でも良いわけではない
Niはアンモニアと錯体形成
Ni2+ + 4NH4OH → [Ni(NH3)4]2+
過剰なアンモニアが存在すると錯体
を形成
沈殿物が再溶解する