炎症性疾患に対する抗体治療薬の開発をめざした基礎研究 Basic Study on Development of Antibody Medicine for Chronic Inflammatory Diseases 高橋 吉孝(Yoshitaka Takahashi) 保健福祉学部 栄養学科 教授 Professor, Department of Nutritional Science 研究領域:応用薬理学 共同研究者:川上祐生 キーワード:ロイコトリエン、単鎖抗体、肺線維症 【研究内容】 We established an expression system for a single-chain antibody to leukotriene (LT), a potent lipid mediator causing acute and chronic inflammation. We are constructing mutants of the antibody which show better affinity to LT aiming to develop an antibody medicine for chronic inflammatory diseases such as pulmonary fibrosis. システイニルロイコトリエン(LT)は LTC4、LTD4 および LTE4 からなり、炎症や免疫などの生 体防御反応に関わる強力な生理活性物質である。これらは、リガンド結合特異性の異なる複数の受 容体サブタイプ(CysLT1、CysLT2、CysLTなど)への結合を介して、気管支平滑筋の収縮や血管 透過性亢進のような急性炎症だけでなく、慢性炎症に伴う組織の線維化にも関わる。我々はこれま でに、この LT に対するモノクローナル抗体が中和抗体として働き、実際に気管支喘息に対して有効 であることを、モデルマウスを使って証明している。また、抗体の H 鎖と L 鎖の可変領域をつない で一本鎖とし、変異体の作成ならびにヒト化の容易な抗 LT 単鎖抗体として発現させることにも成功 している。すでに、モノクローナル抗体の X 線結晶解析を行い、その構造情報を基に抗 LT 単鎖抗 体の部位特異的変異体を網羅的に作成しており、元の抗体 コントロール 抗LT抗体 とリガンド結合特異性の異なる変異体の作成にも成功し ている。現在は、いまだ有効な治療法が知られていない肺 線維症に対する抗体治療薬の創出をめざし、LT への親和 性がさらに高い単鎖抗体の作製を試みている。 【特記事項】 気管支肺胞洗浄液中の細胞 関連する業績 1) Kawakami Y, Takahashi Y. et al. 2010 Functional expression of single-chain antibody to leukotriene C(4). Biochem Biophys Res Commun. 392: 421-425. 2) Kawakami Y, Takahashi Y. et al. 2014 Neutralization of leukotriene C4 and D4 activity by monoclonal and single-chain antibodies. Biochim Biophys Acta. 1840: 1625-1633. 関連する助成金 1) 科学研究費補助金 基盤研究(C)(H25~H27)「慢性炎症性疾患治療薬の開発を目指した抗ロイ コトリエン単鎖抗体に関する基礎研究」 研究代表者 【連絡先】 TEL/FAX:0866-94-2155/0866-94-2155 Mail:[email protected]
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