これからの人材育成について 近年、自治体では、職員数が減少する中、業務量は増加しており、一人当たりの作業負担が大 きくなっている傾向にあります。 EMS 業務についても例外ではなく、ISO14001 が普及した 10 年前は、複数名の事務局担当者が いて、中には専任の職員もいましたが、今では、担当者が実質1名で、しかも兼務という自治体も珍 しくありません。 このような少数精鋭の時代には、“自ら考えて行動できる職員”が求められおり、このような職員 を計画的に育成していく必要があります。 ということで、今回のテーマは、自治体における“これからの人材育成”です。 人材育成の手法は、一般的に「OJT」「OFF-JT」「自己啓発」の3つに大別できます。 1.OJT 職場で日常業務を行いながら、上司・先輩が、部下・後輩を指導・育成する。 2.OFF-JT 日常の業務から離れて職員を集め、社内外の指導講師やインストラクター が集合教育の形で研修を行う。 3.自己啓発 本人の意思により、自分自身の能力向上や精神的な成長を目指して行う。 OFF-JTは、「短期間で実施可能」「知識やスキルを体系的に学ぶことができる」「日常では得られ ない気付きがある」などのメリットがあり、どの自治体でも人事部署を中心に計画的に行われていま す。 しかし、OFF-JT中心の教育で、臨機応変な意思決定や行動が求められる現場力は養えるでしょ うか? やはり実践・経験をつまないと現場力を身に付けることは難しいため、OFF-JTに頼りすぎ るのは危険です。 「職員は仕事を通じて成長する」「生活の中で「仕事の時間(on the job)」が圧倒的に長い」ことを 考えると、OJTはとても重要で、人材育成の基本として位置付けてもおかしくないと思いますが、各 職場で育成指導者を決めてOJTを計画的に実践している自治体は少ないように思います。 OJTに割くための時間はそれなりに必要となりますが、様々なメリットがあります。(次ページにO JTのメリットをまとめました。) OJTは指導する上司にもメリットがあります。皆さんも経験があると思いますが、教えるということ はその内容を深く理解していないとできません。教えることを通じて、分かっていたと思っていたこと が実はそうではなかったということに気づくことがあります。また、あらためてできていること、できて いないことにも気づくこともできます。 さらに、部下が成長してくれれば今以上に業務を任せられるため、新しい仕事に注力できるような るというメリットもあります。 これからは、うまくOJTを活用して、部下も上司も共に成長することを目指してはいかがでしょう か。 <OJTのメリット> ① 助言・指導が仕事の成果に直結する OJTでは、職場において仕事を通じて助言・指導するため、その結果が直接業務遂行の向 上に結び付きます。 ② タイムリーで、個別的・具体的な指導ができる 職場における助言・指導は、必要に応じて部下職員の能力や個性に合わせて行えるため、 職員一人ひとりの仕事の質が向上します。 ③ 信頼関係を築き、働きやすい職場になる 助言・指導を通じて上司(育成指導者)と部下職員間のコミュニケーションが円滑になるため、 信頼関係を築きやすくなり、働きやすい職場環境をつくることができます。 ④ 継続的に実施できる 人の能力は、数回の助言・指導で容易に向上するものではありません。OJTは、職場を離れ て行う「OFF-JT」とは異なり、日常の仕事の中で継続して実施するので、部下職員は業務上必 要な知識や能力を着実に身に付けることができます。 ⑤ 上司の成長にもつながる 上司(育成指導者)は、部下職員に仕事を教えることにより、自ら成長することも期待できま す。また、仕事の進め方をあらためて見直す機会になり、しごとの効率化や簡素化にもつなが ります。 (平成 26 年 5 月 伊藤貴紀) 株式会社知識経営研究所 〒106-0045 東京都港区麻布十番2-11-5麻布新和ビル4F TEL: 03-5442-8421 FAX: 03-5442-8422 Eメール:[email protected] TEL: 03-5442-8421FAX: 03-5442-8422E メール:[email protected]
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