02.税制対策事業

§2
税制対策事業
1.平成 26 年度税制改正に関する対応
社会保障と税の一体改革を目的に、消費税率が平成 26 年 4 月から 8%に引き上げられ、平
成 27 年 10 月から 10%に引き上げられる予定ですが、平成 25 年度税制改正大綱には「自動車
取得税は、二段階で引き下げ、消費税 10%の時点で廃止する。消費税 8%の段階では、エコカ
ー減税の拡充などグリーン化を強化する。必要な財源は別途措置する」と明記され、平成 26
年度税制改正で具体的結論を得るとされました。
税務当局では地方税である自動車取得税の税収減を穴埋めするため、自動車関係諸税の増税
を検討していたことから、JU中販連では以下の対応を図りました。
(1)新車エコカー補助金関連
消費税増税に伴う景気の腰折れを防ぐため、新車エコカー補助金が復活する案が深く潜行し
ていました。
新車エコカー補助金は平成 21 年から実施され、通算 28 カ月間で約 9300 億円以上の税金が
投入されましたが、補助金終了後には販売台数が大きく減少することに加えて、高年式・高品
質の中古車は業界にとって収益源の一つの柱であるのに、新車エコカー補助金により中古車の
割安感が失われ、場合によっては高年式の中古車との価格差が無くなり 、 中古車業界に壊滅的
な影響を与えることになります。
しかしながら、総務省が平成 25 年 11 月に発表した「自動車関係諸税のあり方に関する検討
会報告書」には、「我が国の産業政策上対策が必要ということであれば、歳出面において、エ
コカー補助金等の財政措置を講ずることも考えられる」と明記されました。
JU中販連ではあらゆる機会を通じて「消費税率引き上げ後の新車・中古車の買い控え抑止
策は、補助金政策ではなく、自動車関係諸税の恒久減税を講じるべきである」と再三再四要望
してきた結果、12 月 5 日の臨時閣議で決定された大型補正予算での新車エコカー補助金の導
入は見送られました。
(2)自動車取得税関連
自動車関係諸税の増税議論の水面下で、平成 26 年 4 月から自動車取得税の免税点 50 万円の
特別措置の廃止または引き下げが検討されていました。
自動車取得税免税点 50 万円の特別措置はJU中販連の要望で実現したもので、これにより
3 年落ちで実売価格 120 万円程度の中古車は自動車取得税が免税となっています。
中古車販売店にとって生命線とも言える制度であるため強力に継続を陳情した結果、平成
26 年 4 月以降も 50 万円の免税点が維持されることになりました。
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また、自動車取得税は二段階で引き下げられることになっていますが、平成 26 年 4 月から
消費税率が 3%引き上げられるため、自動車関連業界では自動車取得税については消費税増税
分として 3%を引き下げ平成 26 年 4 月から 2%にするべきであると要望してきました。
しかしながら、12 月 12 日に発表された平成 26 年度税制改正大綱では、登録自動車は 5%か
ら 3%、軽自動車は 3%から 2%に自動車取得税が引き下げられることになり、エコカー減税
の適用区分について 75%軽減車は 80%、50%軽減車は 60%に減税額が引き上げられることに
なりました。
(3)経年車に対する課税強化関連
総務省が平成 25 年 11 月に発表した「自動車関係諸税のあり方に関する検討会報告書」では、
自動車取得税廃止に伴う地方税の税収減を補うため、自動車税や軽自動車税を増税すべきであ
ると明記されました。
また、「環境の観点からも、燃費が劣る中古車よりも一般的に燃費が優れる新車の選択につ
ながるよう、中古車に対しても課税すべきとの意見もある」とも明記されました。
JU中販連では「自動車税や軽自動車税を増税することは、自動車ユーザーだけに負担を強
いることになり、『税制抜本改革法第 7 条第 1 号カ』でいう『負担の軽減』に反している」「仮
に高排気量の新車と低排気量の中古車の燃費を比べた場合、『中古車イコール燃費が悪い』と
いう論法には大いに疑問がある」「新車への代替促進を述べているが、経済的弱者が多い中古
車ユーザーに対する配慮が欠けている。新車を購入できる担税力のある高所得者に対して税制
優遇措置がある一方で、中古車を購入する低所得層に対して経年している中古車というだけで
税金を重課することは不公平である」「代替促進もさることながら、省資源の概念を忘れてい
るのではないか」として、年式の古い車に対する課税強化について断固反対しました。
しかしながら、地球環境、温暖化問題、エコカー、グリーン化の言葉に象徴されるが如く、
環境対策が十分でない低年式の中古車に対する評価は極めて厳しく、正に逆風の中での活動で
あり、税制改正大綱が発表される前日の 12 月 11 日付けの全国紙の新聞 1 面に「13 年超の自
動車は、自動車重量税は 0.5 ㌧当たり 900 円重課、自動車税は 10%重課されているが、環境
対策が進んでいる車への乗り換えを促進するため、これを前倒しして 11 年超から重課する」
との観測報道がなされました。
JU中販連では自動車議連、経済産業部会等、あらゆる機会を通じて経年車への課税強化を
反対してきましたが、自民党税制調査会のメンバーを中心に再度陳情を強化しました。
その結果、先生方も税収確保との板挟みのなかで 11 年超からの重課を撤回していただき、
現行と同様に 13 年超からの重課で決着しました。
ただし、平成 26 年 4 月以降、13 年超の乗用自動車は、現状と比べて、自動車重量税は 0.5
㌧当たり平成 26 年 4 月から 400 円・平成 28 年 4 月から 700 円増税(軽自動車は平成 26 年 4
月から 100 円、平成 28 年 4 月から 300 円増税)、ガソリン乗用自動車の自動車税は 10%重課
から 15%重課になりますが、中古車流通で商品価値の高い 11 ~ 12 年超の自動車の重課を食
い止めることが出来たことは、それなりに成果があったと考えています。
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(4)自動車税・軽自動車税・自動車重量税関連
前述のとおり、自動車取得税廃止に伴う地方税の税収減を補うため、軽自動車税の増税が検
討されたことから、自動車メーカーが一体となり増税反対の陳情を展開し、多くの議員からの
賛同を得ました。
しかしながら、平成 26 年度税制改正大綱には、平成 27 年 4 月 1 日以後に新規取得される新
車の軽自動車税について、自家用自動車については 1.5 倍、その他の区分の車両にあっては農
業者や中小企業者等の負担を考慮し約 1.25 倍に引き上げられることになり、併せて、軽自動
車税においてもグリーン化を進める観点から、最初の新規検査から 13 年を経過した四輪車等
について、平成 28 年度から約 20%の重課を行うこととされました。
なお、自動車重量税については、平成 26 年 4 月以後の新車新規検査の際に自動車重量税が
免除された自動車は、最初の継続検査の自動車重量税が免除されることになるとともに、自動
車税については、自動車税のグリーン化を「H17 基準 75%軽減(4 ☆)かつ H27 度基準 20%以
上達成車」は当該登録の翌年度の税率が 50%軽減から 75%軽減に見直しされ、その他につい
ては平成 28 年 3 月末まで 2 年間延長されることになりました。
(5)今後の見通しについて
消費税率 10%段階において、平成 25 年度与党税制改正大綱を踏まえ、自動車取得税のグリ
ーン化機能を維持・強化する環境性能課税(環境性能割)を、自動車税の取得時の課税として
実施することとし、平成 27 年度税制改正で具体的な結論を得ると明記されました。
環境性能に劣る年式の古い車を増税するという考えは依然根深いので、平成 26 年末の税調
において中古車の課税強化が再度検討されるものと思われますので、JU中販連では断固反対
を主張してまいります。
自動車議連
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経済産業部会
2.中古車に対する消費税の特別措置に関する要望
消費税率が平成 27 年 10 月から 10%へと段階的に引き上げられることになっていますが、
消費税率がアップし複数税率が導入され、インボイスが義務付けられた場合、課税事業者では
ない消費者はインボイスが発行できないため、消費者から仕入れた中古車は仕入税額控除がで
きなくなり、中古車市場が崩壊する恐れがあります。
よって、JU中販連では平成 24 年末の税制要望活動では中古車については帳簿方式による
仕入れ税額控除の継続を強く要望したところ、平成 25 年度税制改正大綱には「消費税率の 10
%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することをめざす。そのため、与党税制協議会で、速や
かに下記事項について協議を開始し、平成 25 年 12 月予定の与党税制改正決定時までに、関係
者の理解を得た上で、結論を得るものとする」と明記されました。
JU中販連では平成 25 年度の税制要望活動において、軽減税率が導入された場合であって
も中古車については帳簿方式による仕入れ税額控除の継続を強く要望した結果、平成 26 年度
税制改正大綱には、以下のとおり明記されたことから、平成 26 年度についても引き続き中古
車については帳簿方式による仕入れ税額控除の継続の要望を継続してまいります。
消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財
源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率 10%時に導入する。この
ため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経
緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区
分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス
等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成 26 年 12 月までに結論を
得て、与党税制改正大綱を決定する。
3.注文書における印紙税に関する指導
自動車リサイクル法は平成 17 年 1 月から実施されていますが、リサイクル料金を預託済み
の中古車について、その金額を「預託金相当額」として注文書に記載した場合は、物品の売買
契約書としてだけではなく、債権譲渡契約書でもあるとみなされ、その金額が1万円以上の場
合は印紙税の課税対象となり、注文書1枚 200 円 × 枚数が必要となります。
JU中販連では自動車リサイクル法説明会等を通じて会員販売店への周知を図ってきました
が、遺漏があるケースが報告されたことから、各県協会へ通達を発信するとともに、月刊JU
中販連等において再度周知徹底を図りました。
また、契約書の中にカーナビ取付けなどの「請負」に関する事項が記載されていた場合も、
その金額が1万円以上の場合は印紙の貼付が必要となることから、併せて周知徹底を図りまし
た。
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4.商品中古自動車の自動車税の減免
中古自動車販売店が所有する商品中古自動車については、自動車税の減免が受けられるた
め、JU中販連では、自動車税の軽減措置を希望する販売店に対して、査定協会の支所で商品
中古自動車の証明を受け、税務当局に減免申請をするよう周知徹底を図りました。
平成 25 年度の商品中古自動車の自動車税の減免申請状況は申請手続きに基づき、販売事業
者が日本自動車査定協会へ商品中古自動車証明申請を提出した台数が 14 万 7,400 台、証明書
が発行された台数は 14 万 5,900 台となり、うち 13 万 9,300 台が減免申請を受理されました。
減免金額 1 台当たりは約 9,400 円の 13 億 5,600 万円となりました。
5.商品軽自動車の課税免除に関する対応
商品中古自動車については、JU中販連の要望により、展示されている商品車であることを
古物台帳等で第三者機関(査定協会)が確認し、証明された商品中古自動車について昭和 61
年 4 月より自動車税年税額の 12 分の1の減免制度が実現、平成 3 年 4 月からは自動車税年税
額の 12 分の 3 まで減免が拡大しました。
一方、商品軽自動車税については、市町村税であり、市町村で条例を定め、運用も市町村の
判断で行われることから課税免除は実施されていませんでしたが、平成 15 年度から北九州市
で商品軽自動車の軽自動車税の課税免除が実現しました。
この情報をもとに市町村に対する陳情要領をJU中販連から各県協会へ提供し、各県協会が
市町村と粘り強く折衝を行った結果、平成 26 年 3 月末現在で 14 都府県 86 市町村(報告ベース)
で課税免除が実現しています。
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